JP3108959B2 - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

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JP3108959B2
JP3108959B2 JP18123992A JP18123992A JP3108959B2 JP 3108959 B2 JP3108959 B2 JP 3108959B2 JP 18123992 A JP18123992 A JP 18123992A JP 18123992 A JP18123992 A JP 18123992A JP 3108959 B2 JP3108959 B2 JP 3108959B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロマシニング技
術を応用して作製した小型高密度のインクジェット記録
装置の主要部であるインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、記録時の騒
音がきわめて小さく、又、高速印字が可能であり、安価
な普通紙にも印字が可能であるなど多くの利点を有して
いるが、中でも記録に必要な時にのみインク滴を吐出す
る、いわゆるインク・オン・デマンド方式が、記録に不
要なインク滴の回収を必要としないため、現在主流とな
ってきている。
【0003】このインク・オン・デマンド方式のインク
ジェットヘッドには、特公平2−51734号公報に示
されるように、駆動手段が圧電素子であるものや、特公
昭61−59911号公報に示されるように、インクを
加熱し気泡を発生させることによる圧力でインクを吐出
する方式がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
従来のインクジェットヘッドでは以下に述べるような課
題があった。
【0005】前者の圧電素子を用いる方式においては、
圧力室に圧力を生じさせるためのそれぞれの振動板に圧
電素子のチップを貼り付ける工程が煩雑で、特に、最近
のインクジェット記録装置による印字には、高速・高印
字品質が求められてきており、これを達成するためのマ
ルチノズル化・ノズルの高密度化において、圧電素子を
微細に加工し各々の振動板に接着することはきわめて煩
雑である。又、高密度化においては、圧電素子を幅数1
0〜100数十ミクロンで加工する必要が生じてきてい
るが、従来の機械加工における寸法・形状精度では、印
字品質のバラツキが大きくなってしまうという課題があ
った。
【0006】又、後者のインクを加熱する方式において
は、駆動手段が薄膜の抵抗加熱体により形成されるた
め、上記のような課題は存在しなかったが、駆動手段の
急速な加熱・冷却の繰り返しや、気泡消滅時の衝撃によ
り抵抗加熱体がダメージを受けることにより、インクジ
ェットヘッドの寿命が短いという課題があった。
【0007】これらの課題を解決するものとして本出願
人は、駆動手段として圧力室に圧力を生じさせる振動板
を、静電気力で変形させる方式のインクジェットヘッド
について特許出願(特願平3−234537号)を行っ
ているが、この方式は小型高密度・高印字品質及び長寿
命であるという利点を有している。
【0008】これまで本出願人が提示してきた本方式の
インクジェットヘッドの構成は、インクを加圧するため
の圧力室となるべき前記凹部(以下キャビティと称す
る)及び前記振動板は、同一のSi基板中にアルカリ異
方性エッチングにより形成されるものであった。本構成
は、1枚の基板に上記構造(凹部及び振動板)が形成で
きるため、製造プロセスが単純で、製造コストも低いと
いう利点を有しているが、図12に示すように、前記キ
ャビティと前記振動板を同一基板上に形成する場合、振
動板7の幅W4 や厚みt等の寸法値は、Si基板44の
板厚Tとキャビティ5の幅W5 の寸法により一義的に決
定され、設計に自由度がなかった。特に、キャビティの
高密度化、すなわち、ノズルの高密度化を考えたとき、
キャビティ間の間隔を狭めると、振動板7の幅W4 の寸
法が極めて小さくなり、本構成のインクジェットヘッド
が成立しなかった。
【0009】本発明の目的は、静電気力を駆動源とする
インクジェットヘッドにおいて、ノズルが高密度化され
たインクジェットヘッドを提供することにある。又、前
記振動板の厚み精度を向上し、印字品質の高いインクジ
ェットヘッドを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
ヘッドは、インク滴を吐出するための単一又は複数のノ
ズルと、該ノズルのそれぞれに連通する圧力室と、該圧
力室の少なくとも一方の壁を構成する振動板と、該振動
板に変形を生じさせる駆動手段と、該圧力室にインクを
供給する共通のインク室からなるインクジェットヘッド
において、前記ノズル及び前記圧力室となるべきキャビ
ティが形成された第1のSi基板と、前記振動板となる
第2のSi基板とを構成部材とし、又、前記振動板は前
記第1の基板に接合された前記第2のSi基板をエッチ
ング又は研磨により薄くすることにより形成されること
を特徴とする。
【0011】Si単結晶は、アルカリ液を用いてエッチ
ングする際、その結晶面方位によりエッチング速度が大
きく異なるいわゆる異方性エッチングが可能であり、こ
のことを利用して様々な立体形状を精度良く加工するこ
とができる。さらに、これまでIC製造技術において培
われてきた、フォトリソグラフィ・薄膜形成・エッチン
グ等の各技術を利用しての加工を組み合わせることによ
る微小なデバイスを形成する、いわゆる“マイクロマシ
ニング技術”が現在注目を浴びているが、本発明はマイ
クロマシニング技術によりSi単結晶に高精度な加工を
施し、高性能なインクジェットヘッドを提供するもので
ある。
【0012】本発明におけるインクジェットヘッドで
は、前記振動板の幅及び厚み等の寸法値は、インク吐出
特性と密接な関係にある。本発明のインクジェットヘッ
ドの構成によれば、前記のように、キャビティと振動板
が一体で形成されるものでなく、各々別体として形成さ
れるので、振動板の寸法設計に自由度がある。特に、図
11に示すように、圧力室3の広い側に振動板7を形成
する場合、振動板7の幅W6 の寸法値は大きな値をとる
ことができ、ノズルの高密度化に有利である。
【0013】又、前記振動板は、前記第2の基板上に形
成された高濃度p型Si層又はn型Si層からなること
を特徴とし、前記高濃度p型Si層又はn型Si層は、
所望振動板厚と同一に形成し、前記高濃度p型Si層の
場合は、アルカリ異方性エッチングにおいて選択的に残
留せしめ、又、前記n型Si層の場合は、電気化学的エ
ッチングにおいて選択的に残留せしめ、かつ、不要部分
をエッチング除去することにより正確な厚みの振動板と
するものである。
【0014】
【作用】本発明における静電気力を駆動源とするインク
ジェットヘッドの動作原理は、前記電極又は前記振動板
にパルス電圧を印加し、正又は負の電荷を前記電極又は
前記振動板に与えることにより、前記振動板を静電的吸
引又は反発により変形させ、前記圧力室内のインクをノ
ズルより吐出させるものである。
【0015】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の第1の実施例に基づき詳細
に説明する。
【0016】図1は、本発明の第1の実施例におけるイ
ンクジェットヘッドの構造を分解して示す斜視図であ
り、一部断面を示してある。図1に示すように、本実施
例のインクジェットヘッドは、ノズル4・キャビティ5
・インク供給路9等が、アルカリ異方性エッチングによ
り形成されたSi基板1とSi基板6から形成される振
動板7と電極11、ギャップ部を形成するための溝12
等が形成されたガラス基板2とを積層・接合してなる構
造を有する。
【0017】Si基板1は、結晶面方位が(100)で
ある単結晶Si基板であって、該Si基板1の表側の面
(図1では上側の面)には、複数のノズル4と、各々の
ノズル4に連通するキャビティ5と、各々のキャビティ
5においてノズル4と反対側の端部に形成されるインク
供給路9と、各々のインク供給路9にインクを供給する
ための共通のインク室8とが形成されている。振動板7
は、Si基板6をエッチング及び研磨により該Si基板
6の厚みを薄くして形成されたものである。又、ガラス
基板2には、Si基板1上に形成されたキャビティ5の
各々に、前記振動板7を挟んで対向して配置される電極
11と、前記振動板7と前記電極11との対向間隔(ギ
ャップ)を保持するための溝12が形成されている。
【0018】図1に示したSi基板1の製造工程を図2
に示す。
【0019】まず、(100)面方位のウェハの表側
(図2では上側)の面を鏡面研磨し、厚み280ミクロ
ンのSi基板1を形成し、該Si基板1にO2 及び水蒸
気雰囲気中で摂氏1100度、4時間の熱処理を施し、
該Si基板1の両面に厚さ1ミクロンのSiO2 膜15
a及び15bを形成する(図2(a))。
【0020】次いで、前記SiO2 膜15aの上に、ノ
ズル4・キャビティ5等の形状に相当するフォトレジス
トパターン16(図示しない)を形成し、フッ酸系エッ
チング液にて前記SiO2 膜15aの露出部分をエッチ
ング除去し、フォトレジストパターン16を除去する
(図2(b))。
【0021】フォトレジストパターン16の元となるフ
ォトマスクパターン17(図示しない)の各部設計寸法
値は、以下の通りに決定された。
【0022】本構成のインクジェットヘッドに要求され
るインク吐出特性から、各構成部位の設計寸法値が決定
される。本実施例では、振動板7の幅W1 を100ミク
ロン、厚みtを3.5ミクロンとし、又、キャビティ間
の間隔を41ミクロンとし、ノズルピッチとしては14
1ミクロン、すなわち180dpi(ドット・パー・イ
ンチ)とした。本構成のインクジェットヘッドにおいて
は、キャビティ5の幅は前記振動板7の幅W1 と同一で
ある。フォトマスクパターン17のキャビティに対応す
るパターンの幅の値は、エッチングにおけるアンダーカ
ット分を補正して98ミクロンとした。次に、アルカリ
液によるエッチングを行う。エッチング液としては、イ
ソプロピルアルコールを含む水酸化カリウム水溶液を用
いて、所定量である100ミクロンのエッチングを施し
た(図2(c))。
【0023】Si単結晶においては、周知のごとくアル
カリ液でエッチングする場合、結晶面によるエッチング
速度の差が大きいため、異方性エッチングが可能とな
る。具体的には、(111)結晶面のエッチング速度が
最も小さいため、エッチングの進行と共に(111)面
が平滑面として残留する構造が得られる。図3に示すよ
うに、(111)面18は(100)面19に対し、約
55度の角度を持って交わっているため、エッチングの
進行と共に(111)面18が発現し、エッチングマス
クパターン20の幅Wが小さい箇所21では、最終的に
両側の(111)面が全て現われ、それ以上のエッチン
グはほとんど進行しなくなる。又、前記エッチングマス
クパターン20の幅Wが大きい箇所22では、両側に
(111)面が発現し、底部には(100)面が残留す
るような構造が得られる。
【0024】図2において、キャビティ5に相当するエ
ッチングマスクパターンの幅W1 は98ミクロン、ノズ
ル4に相当するエッチングマスクパターンの幅W2 は4
0ミクロン、インク室8に相当するエッチングマスクパ
ターンの幅W3 は3mmであるため、前記キャビティ5
及びノズル4では、断面形状は三角形となり、それ以上
のエッチングはほとんど進行しないようになっているの
に対し、前記インク室8では、底部が(100)面から
なる形状となっている。本発明のインクジェットヘッド
の構造においては、インク吐出特性上、キャビティ及び
ノズルは、その体積や形状における精度が要求されるた
め、上記構造においてキャビティ及びノズルの形状がエ
ッチングマスクパターンにより一義的に決定されること
は非常に望ましい。又、インク室8の体積・形状には多
少の誤差が許されるので、エッチング量の管理はあまり
厳しくしなくてもよいという利点がある。
【0025】最後に、エッチングマスクであるSiO2
膜15a及び15bをフッ酸系エッチング液により除去
し、図1に示すSi基板1が完成する(図2(d))。
【0026】図1に示す振動板7の製造工程を図4に示
す。
【0027】まず、厚み280ミクロン程度のSi基板
6の片側の面23を鏡面研磨し、図2で示した工程によ
り形成したSi基板1と、前記Si基板6の一方の面2
3との接合を行う。接合は、Si−Si直接接合により
下記の通り行った。Si基板1及び6を硫酸と過酸化水
素水の混合液(摂氏100度)にて洗浄し、乾燥後前記
Si基板1と6とを重ね合わせて室温にて接合した後、
Si基板1及び6の接合体25をN2 雰囲気中、摂氏1
100度、1時間の熱処理により強固に接合した接合体
25を得る(図4(a))。次に、Si基板6の他方の
面24に対し、エッチング及び研磨を併用して行うこと
により、Si基板6の厚みを3.5ミクロンまで薄くし
て振動板7とし(図4(b))、最後に所定位置にイン
ク供給用の穴13a(図示しない)を放電加工等により
形成する。
【0028】次に、図1に示すガラス基板2の製造工程
を図5に示す。ホウケイ酸系ガラス基板2の一方の面2
6上にCr(クロム)28及びAu(金)27の薄膜を
順次成膜し、2層薄膜よりなるエッチングマスク29を
形成し(図5(a))、次に、図1に示した溝12に相
当するフォトレジストパターン30をAu27上に形成
し、Au27及びCr28の露出部分をエッチングによ
り除去した(図5(b))。Auのエッチングには、ヨ
ウ素−ヨウ化カリウム溶液を用い、又、Crのエッチン
グには、硝酸第二セリウムアンモニウム−硝酸溶液を用
いた。
【0029】次に、フッ酸系エッチング液によりガラス
基板2の露出部分をエッチングする。エッチング量は、
振動板7と電極11との対向間隔の寸法値より決定され
る。インク吐出特性より、上記寸法値は0.5ミクロン
と決定されており、又、電極11となるAu/Cr2層
膜の厚みは0.2ミクロン(Auは0.15ミクロン、
Crは0.05ミクロン)とするため、上記エッチング
量は0.7ミクロンとなるよう調節した(図5
(c))。次に、フォトレジストパターン30、Au2
7、Cr28を全て除去し、改めてガラス基板2上にA
u/Cr2層膜(Au31は0.15ミクロン、Cr3
2は0.05ミクロン)を形成し、電極11に相当する
フォトレジストパターン33(図示しない)を該Au/
Cr2層膜上に形成し、Au31及びCr32の不要部
分を同様にエッチング除去し、フォトレジストパターン
33を除去し、インク供給用の穴13(図示しない)を
明けて、図1に示したガラス基板2を得る(図5
(d))。
【0030】振動板7が形成されたSi基板1とガラス
基板2との接合は、陽極接合法により行った。Si基板
1上に形成された各々のキャビティ5と、ガラス基板2
上に形成された各々の電極11とが対向するように位置
合わせを行い、振動板7とガラス基板2とを突き合わ
せ、ホットプレート上にて摂氏300度に保ち、振動板
7を正側、ガラス基板2を負側として、直流電圧500
Vを10分間印加し陽極接合を行った。
【0031】最後に、得られた接合体の所定箇所をダイ
シングにより切断・分離し、インク供給用パイプを穴1
3に取り付けてインクジェットヘッドが完成する。
【0032】上記したように、本実施例によれば、ノズ
ルピッチが141ミクロン、すなわち、180dpiの
高密度インクジェットヘッドが得られた。又、上記した
ように、キャビティ5及びノズル4は、所望形状に対し
精度良く形成できるため、各ノズル4からのインク吐出
特性もバラツキが少ない高品質なインクジェットヘッド
が得られた。実際の印字においては、各々のキャビティ
5に対応する電極11に接続される発振回路14によ
り、振動板7の各々のキャビティ5に対向する部分を振
動させ、各々のキャビティ5内のインクを加圧し、各々
のノズル4よりインク滴を吐出させる。
【0033】(実施例2)以下、本発明の第2の実施例
に基づき詳細に説明する。
【0034】本実施例におけるインクジェットヘッドの
断面図を図6に示す。ノズル4a・キャビティ5a等が
形成されるSi基板1a及び電極11a等が形成される
ガラス基板2aは、本発明の第1の実施例におけるイン
クジェットヘッドと構造上同一であるので説明は省略す
る。本実施例における振動板7aは、ドーパントがB
(ホウ素)である高濃度のp型Si層からなる。アルカ
リによるSiエッチングにおけるエッチングレートはド
ーパント濃度依存性を有するが、ドーパントがBの場合
は、高濃度(約5×1019cm-3以上)領域においてエ
ッチングレートが非常に小さくなることが知られてい
る。本実施例ではこのことを利用し、振動板となるSi
基板34の一方の面に所望振動板厚と同一の厚みの高濃
度p型Si層36を形成し、アルカリ異方性エッチング
により、該高濃度p型Si層以外のSi部分をエッチン
グ除去し、厚み精度が高い振動板を形成するものであ
る。
【0035】図6に示したインクジェットヘッドの製造
工程を図7に示す。厚み280ミクロンのSi基板34
の両面に、熱酸化処理により厚み1ミクロンのSiO2
膜35a及び35bを形成する(図7(a))。次に、
前記SiO2 膜35bをフォトレジスト膜で保護し、前
記SiO2 膜35aのみをフッ酸系エッチング液にて除
去する(図7(b))。次に、Si基板34のSiが露
出した面37にBドーピングを行う。処理方法は以下の
通りである。前記Si基板34を石英管中に石英ホルダ
ーにて固定し、N2 をキャリアとしてBBr3 をバブリ
ングした蒸気をO2 と共に該石英管中に導入する。摂氏
1100度にて所定時間処理を行った後、前記Si基板
34をフッ酸系エッチング液にてライトエッチングし、
次いで、O2 中でドライブインを行い、前記露出したS
i面37にp型Si層36を形成した(図7(c))。
振動板7aの厚みの設計値は、本発明の第1の実施例の
場合と同様3.5ミクロンであるが、前記Bドープ処理
において、前記Si面37の表面から3.5ミクロンの
深さにおいて、Bの濃度が5×1019cm-3となるよう
図7(c)工程が行われた。すなわち、高濃度Bドープ
(p型Si)層36は、その全体においてB濃度が5×
1019cm-3以上になっている。
【0036】次に、前記Si基板34と図6に示すSi
基板1a(前記のごとく、本発明の第1の実施例と同一
の方法によりすでに形成されている。ただし、Si基板
1aの裏面(ノズル4a等が形成されている面と反対側
の面)には、後の工程で行われるアルカリエッチングに
おいて、Si基板がエッチングされないように、SiO
2 膜15cを残留させておく。)との接合を行う。該接
合は、Si−Si直接接合法により以下の通り行った。
【0037】まず、Si基板1a及び34を硫酸と過酸
化水素水の混合液(摂氏100度)にて洗浄し、乾燥
後、Si基板1aのノズル4a・キャビティ5a等が形
成されている面と、Si基板34の面37とを密着さ
せ、その後、Si基板1a及び34が一体化して形成さ
れた接合体38をN2 雰囲気中で摂氏1100度、1時
間の熱処理を行い、強固な接合状態を得る(図7
(d))。
【0038】次に、Si基板34上のSiO2 膜35b
をフッ酸系エッチング液で除去し、次いで、接合体38
にアルカリエッチングを施し、Si基板34のうち高濃
度Bドープ(p型Si)層36のみを選択的に残留せし
め、これを振動板7aとし、SiO2 膜15cをフッ酸
系エッチング液にて除去した(図7(e))。次に、図
6に示した本発明の第1の実施例における方法と同一の
方法で形成されたガラス基板2aと接合体38とをキャ
ビティ5aと電極11aとの位置合わせを行った後、陽
極接合法により接合した(図7(f))。
【0039】この後、本発明の第1の実施例同様、ダイ
シングにより所定位置を切断し、インクジェットヘッド
を得た。
【0040】本実施例においては、高濃度Bドープ層を
形成し、アルカリエッチングによりこれを選択的に残留
せしめることにより、振動板7aの厚みとしては、目標
厚み3.5ミクロンに対し、±0.2ミクロンの精度で
形成することができた。従って、インク吐出特性として
バラツキの小さい高品質なインクジェットヘッドが形成
できた。
【0041】(実施例3)以下、本発明の第3の実施例
に基づき詳細に説明する。
【0042】本実施例におけるインクジェットヘッドの
断面図を図8に示す。ノズル4b・キャビティ5b等が
形成されるSi基板1b及び電極11b等が形成される
ガラス基板2bは、本発明の第1の実施例におけるイン
クジェットヘッドと構造上同一であるので、詳細な説明
は省略する。
【0043】本実施例における振動板7bは、n型Si
層からなる。p型Si基板上に形成されたn型層は、該
n型Si層に正の電圧を印加しながらアルカリ液中でエ
ッチングを行う場合、選択的に残留させることができ、
本実施例はこのことを利用して厚み精度の高い振動板を
形成するものである。
【0044】図8に示したインクジェットヘッドの製造
工程を図9に示す。(100)面方位のp型Siウェハ
の両面を鏡面研磨し、厚み280ミクロンのSi基板3
9を形成し、該Si基板39の一方の面40上にn型S
i層41を3.5ミクロンの厚みでエピタキシャル成長
により形成する(図9(a))。
【0045】次に、本発明の第2の実施例の場合と同様
の工程を経て、Si基板1b(前記のごとく、本発明の
第1の実施例と同一の方法により既に形成されている。
ただし、該Si基板1bの裏面(ノズル4b等が形成さ
れている面と反対側の面)には、後に行われるアルカリ
エッチングにおいて、該Si基板1bがエッチングされ
ないようにSiO2 膜15dを残留させておく。)と前
記n型Si層41とを接合し、接合体42とする(図9
(b))。
【0046】次に、図10に示す方法で前記接合体42
に電気化学的エッチングを施す。図10において、前記
n型Si層41を正、白金板43を負として、0.6V
の直流電圧を印加した状態で、イソプロピルアルコール
を含むKOH水溶液(摂氏70度)中に前記接合体42
を浸漬し、エッチングを行った。
【0047】前記p型Si基板39が完全にエッチング
除去されたところで、前記n型Si層41は正の直流電
圧により不活性化されるため、エッチングは進行せず、
この時点でエッチングを終了し、エッチングマスクであ
るSiO2 膜15dを除去し、図9(c)の状態の接合
体42を得る。
【0048】次に、本発明の第2の実施例と同様、電極
11b等が形成されたガラス基板2bと前記接合体42
とを接合し(図9(d))、ダイシングにより所定位置
を切断し、インクジェットヘッドを得た。
【0049】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は以下の効果
を有する。
【0050】ノズル・キャビティ等が形成された第1の
Si基板に接着された第2のSi基板を、研磨又はエッ
チング等により薄くすることによって振動板を形成する
ことにより、ノズルが高密度化されたインクジェットヘ
ッドが得られ、又、該振動板が高濃度p型Si層又は、
n型Si層とすることにより、振動板の厚み精度が向上
し、高い印字品質のインクジェットヘッドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例におけるインクジェット
ヘッドの構造を分解して示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例におけるインクジェット
ヘッドの製造工程図である。
【図3】本発明の第1の実施例におけるインクジェット
ヘッドの各部断面形状を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例におけるインクジェット
ヘッドの製造工程図である。
【図5】本発明の第1の実施例におけるインクジェット
ヘッドの製造工程図である。
【図6】本発明の第2の実施例におけるインクジェット
ヘッドの構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例におけるインクジェット
ヘッドの製造工程図である。
【図8】本発明の第3の実施例におけるインクジェット
ヘッドの構造を示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施例におけるインクジェット
ヘッドの製造工程図である。
【図10】本発明の第3の実施例における電気化学的エ
ッチングの方法を示す図である。
【図11】本発明の第1及び第2及び第3の実施例にお
けるインクジェットヘッドの構造を示す断面図である。
【図12】従来のインクジェットヘッドの構造を示す断
面図である。
【符号の説明】
1,6 Si基板 2 ガラス基板 3 圧力室 4 ノズル 5 キャビティ 7 振動板 8 インク室 9 インク供給路 11 電極 12 溝 13,13a インク供給用の穴 14 発振回路 15a,15b SiO2 膜 16 フォトレジストパターン 17 フォトマスクパターン 18 (111)面 19 (100)面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 四谷 真一 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−297653(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴を吐出するためのノズルと、該
    ノズルのそれぞれに連通する圧力室と、該圧力室の少な
    くともの一方の壁を構成する振動板と、該振動板に変形
    を生じさせる駆動手段と、該圧力室にインクを供給する
    共通のインク室とを備え、前記ノズル及び前記圧力室と
    なるべき凹部が形成された第1のSi基板と、前記振動
    板の第2のSi基板と、を構成部材としたインクジェッ
    トヘッドであって、 前記振動板は、前記第1のシリコン基板に接合された前
    記第2のシリコン基板をエッチング又は研磨により薄く
    することにより形成されてなることを特徴とするインク
    ジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 インク滴を吐出するためのノズルと、該
    ノズルのそれぞれに連通する圧力室と、該圧力室の少な
    くともの一方の壁を構成する振動板と、該振動板に変形
    を生じさせる駆動手段と、該圧力室にインクを供給する
    共通のインク室とを備え、前記ノズル及び前記圧力室と
    なるべき凹部が形成された第1のSi基板と、前記振動
    板の第2のSi基板と、を構成部材としたインクジェッ
    トヘッドであって、 前記振動板は、前記第2のシリコン基板上に形成された
    n型Si層からなることを特徴とするインクジェットヘ
    ッド。
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