JP3106129B2 - リチウム二次電池用負極材料、その製造方法、及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用負極材料、その製造方法、及びリチウム二次電池

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孝士 蛭田
義徳 安元
忠則 綱分
修 松長
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、大容量で、高電位
で、充放電サイクル特性に優れ、且つ電解液の分解を防
止したリチウム二次電池を製造することのできる負極材
料、その製造方法、及び同負極材料を備えたリチウム二
次電池に関する。 【0002】 【従来の技術】電子機器の小型軽量化に伴い、電池の高
エネルギー密度化が要求されている。また省資源の面か
らも、繰り返し充放電が可能な高性能の二次電池の開発
が要求されている。このような要求に応えることを目的
として、従来、高エネルギー密度、軽量、小型、且つ充
放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池が提案され
ている。 【0003】リチウム二次電池は、電解質の種類によっ
て、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電
池、全固体リチウム二次電池等に分類される。これらの
二次電池のうち、リチウムイオン二次電池は、リチウム
金属二次電池の持つ、急速充電性に劣る問題、サイクル
寿命が短い問題、及び安全性に劣る問題等を解決するた
めに開発が続けられている二次電池である。 【0004】リチウム金属二次電池は、負極にリチウム
金属が用いられている。これに対し、リチウムイオン二
次電池は、負極に炭素材料を用いられている。負極に炭
素材料を用いることにより、上記の要求を解決しようと
するものである。即ち、リチウム化合物で正極を構成
し、炭素材料で負極を構成したリチウムイオン二次電池
は、これを充電すると、負極ではリチウムイオンが炭素
材料にドーピングされ、いわゆる炭素−リチウム層間化
合物が形成される。一方、放電時には、炭素材料の層間
からリチウムイオンが脱ドーピンクされ、脱ドーピンク
されたリチウムイオンは再び正極に移動してリチウム化
合物に戻る。このような機構で、リチウムイオン二次電
池は繰返し充放電をすることが出来る。 【0005】リチウムイオン二次電池に用いる負極とし
ては、黒鉛系負極と炭素系負極とがある。これらの負極
を用いて構成した電池において、実用性を無視して長時
間の放電を行う場合は、炭素系負極の放電容量は600
mAh/g以上である。この放電容量は黒鉛系負極の実
用的使用条件における放電容量の350〜370mAh
/gと比較して大きい。しかし、実用的な使用条件で
は、炭素系負極の放電容量は250〜300mAh/g
であり、黒鉛系負極の実用的使用条件における放電容量
の350〜370mAh/gよりも低い値である。更
に、炭素系負極は、炭素材料の密度が低く、放電圧も低
い。このため、炭素系負極を用いた電池は黒鉛系負極を
用いた電池に比べて放電エネルギーも劣っている。 【0006】以上の理由から、多くのリチウムイオン二
次電池において、黒鉛系負極が用いられている。 【0007】黒鉛系負極を用いるリチウムイオン二次電
池の場合、短時間で効率よく充放電が行われるために
は、黒鉛系負極の構成粒子である黒鉛が微粒子であるこ
とが望ましい。黒鉛を微粒子化することにより、電池内
で黒鉛と電解液との接触可能な表面積が増大し、その結
果電解液と黒鉛との間におけるリチウムイオンの授受が
容易になると考えられる。 【0008】本発明者らはリチウムイオン二次電池の負
極に用いる黒鉛を微粒子化することについて研究した。
その結果、黒鉛の微粒子化に伴って電池の放電容量の増
加は認められた。しかし、黒鉛の微粒子化に伴い電池に
必要な充電量も増加し、結果としてクーロン効率が低下
することを見出した。更に、黒鉛の微粒子化に伴い、黒
鉛と電池の電解液を構成する溶媒との反応性が高くな
り、その結果溶媒が分解してガスの発生を著しく高める
ことを見出した。密閉された電池内にガスが発生する
と、電池の内部圧が上昇して電池が爆発する危険性が増
大する。従って、電池内部においてガスの発生を抑制す
ることは極めて重要なことである。 【0009】一般に、リチウムイオン二次電池に使用さ
れる電解液の主溶媒は、エチレンカーボネート(以下E
Cと略す)、プロピレンカーボネート(以下PCと略
す)等の炭酸エステル類が多い。これらの主溶媒に、L
iPF6或はLiBF4等の電解質を添加混合して電解液
を得ている。PCやEC等の溶媒が、電解液の主溶媒と
して多く使用されている理由は、これらの溶媒が高い比
誘電率と広い作動温度範囲等の好ましい溶媒特性を有す
るからである。中でもPCは低温で使用できる溶媒であ
る。しかし、前述のようにPCを含む電解液と黒鉛系負
極とを電池中で共存させると、PCが分解してガスを発
生する。PCの分解は、電池の負極に黒鉛を用いる場合
にのみ見られる現象である。炭素系負極を用いる場合に
は見られない現象である。 【0010】このように、電池において、PCを含む電
解液と黒鉛系負極とを共存させると、PCが分解する。
その結果、電池のクーロン効率が低下するのみならず、
電池の内部圧が上昇して電池が爆発する危険性が増大す
る。このため、PCを含む電解液に用いてもPCが分解
することなく、かつクーロン効率の低下を生じない黒鉛
系負極、即ち耐PC性の高い黒鉛系負極の開発が切望さ
れている。 【0011】従来、PCを分解しない低結晶性炭素で黒
鉛粒子の表面を被覆することにより、PCの分解を抑制
する方法が提案されている。 【0012】このような例としては、化学蒸着法を用い
て黒鉛を低結晶性炭素で被覆した複合材料を負極材料と
して用いる方法(特許第2643035号公報)、黒鉛
を平均面間隔d002が0.337nm以上の炭素で被覆
した複合材料を負極材料として用いる方法(特開平5−
121066号公報)、並びに黒鉛をアモルファス炭素
で被覆した複合材料を負極材料として用いる方法(特開
平5−275076号公報)が挙げられる。 【0013】これらの方法により得られた複合材料を用
いた負極は、PCの分解を抑制する。しかし、これらの
複合材料を負極として用いた電池は、低結晶性炭素を被
覆していない黒鉛粒子のみから構成された負極を用いた
電池と比較して、実用的な使用条件では放電容量が低い
こと、高速充放電ができないこと等の、本来低結晶性炭
素に由来する問題を付加することになる。 【0014】リチウムイオン二次電池に用いる炭素系負
極又は黒鉛系負極においては、黒鉛系負極は黒鉛系材料
に由来する問題を、炭素系負極は炭素系材料に由来する
問題を抱えており、これらの問題は互いに相反する。従
って、これらの問題を同時に解決するリチウムイオン二
次電池用負極材料、及びその負極材料を用いたリチウム
イオン二次電池の開発が切望されている。 【0015】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、化学蒸
着法を用いて種々の条件下で黒鉛を炭素で被覆し、得ら
れた黒鉛−炭素複合材をリチウムイオン二次電池用負極
材料として評価した。その結果、黒鉛の表面を結晶性炭
素で均一、かつ完全に被覆した複合材料をリチウムイオ
ン二次電池の負極として用いる場合、この負極はPC等
の分解を確実に抑制すると共に、得られる電池は放電容
量が高く、高速充電が可能であり、この負極は従来の低
結晶性炭素で被覆された負極材料よりも優れた電極性能
を有することを見出した。 【0016】更に、上記の負極材料は、リチウムポリマ
ー二次電池、全固体リチウム二次電池、リチウムイオン
二次電池等のリチウム二次電池のいずれにも用いること
ができることを見出した。 【0017】更に、リチウムイオンをインターカレーシ
ョンした上記負極材料の7Li−NMRスペクトルを測
定した。そして、この7Li−NMRスペクトルを検討
した結果、この7Li−NMRスペクトルは上記負極材
料の結晶性の評価に用いることができることを見出し
た。これらの成果に基づき本発明は完成された。 【0018】従って、本発明は、上記の諸問題を解決
し、電解液溶媒の分解を抑制すると共に、放電容量が高
く、高速充放電が可能なリチウム二次電池を実現できる
負極材料、その製造方法、同負極材料を用いて形成した
リチウム二次電池を提供することを目的とする。 【0019】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は以下のことを提案するのものである。 【0020】〔平均面間隔d 002 が0.336
nm以下である黒鉛粒子と、前記黒鉛粒子の全表面を被
覆する結晶性炭素層とからなり、リチウムイオンをイン
ターカレーションした負極材料の7Li−NMRスペク
トルが、塩化リチウム基準ケミカルシフトの40〜50
ppmと、10〜20ppmとに吸収スペクトルを有す
ことを特徴とするリチウム二次電池用負極材料。 【0021】〔平均面間隔d 002 が0.336
nm以下である黒鉛粒子と、前記黒鉛粒子の全表面を被
覆する結晶性炭素層とからなり、前記結晶性炭素層が偏
光顕微鏡下に光学的異方性を示すことを特徴とするリチ
ウム二次電池用負極材料。 【0022】〔炭素層の炭素002面を黒鉛粒
子表面に平行にして黒鉛粒子の全表面が炭素層で被覆さ
れた〔1〕又は〔2〕に記載のリチウム二次電池用負極
材料。 【0023】〔4〕 炭素層の平均面間隔d002
0.3352〜0.3369nmである〔1〕又は
〔2〕に記載のリチウム二次電池用負極材料。 【0024】〔5〕 黒鉛粒子として天然黒鉛を用い
る〔1〕又は〔2〕に記載のリチウム二次電池用負極材
料。 【0025】〔〕 黒鉛粒子を流動床式反応炉中で
有機物ガス又は有機物と不活性ガスとの混合ガスを用い
て化学蒸着処理することにより、黒鉛粒子の表面に炭素
層を形成することを特徴とする、黒鉛粒子と前記黒鉛粒
子の表面を被覆する結晶性炭素層とからなる〔1〕又
は〔2〕に記載のリチウム二次電池用負極材料の製造方
法。 【0026】〔〕 混合ガス中の有機物のモル濃度
が2〜50%で、化学蒸着処理温度が900〜1200
℃である〔6〕に記載のリチウム二次電池用負極材料の
製造方法。 【0027】〔〕 黒鉛粒子として天然黒鉛を用い
〔6〕に記載のリチウム二次電池用負極材料の製造方
法。 【0028】〔〔6〕乃至〔8〕の何れかに記
載の製造方法により製造したリチウム二次電池用負極材
料。10〕 〔1〕乃至〔5〕及び〔9〕の何れかに記
載の負極材料を用いて形成したリチウム二次電池。 【0029】以下、本発明を詳細に説明する。 【0030】 【発明の実施の形態】本発明のリチウム二次電池用負極
材料は、黒鉛粒子と、その表面を被覆した炭素層とから
なる黒鉛−炭素複合材である。前記炭素層は、化学蒸着
処理により形成できる、所定の分子配向を有する結晶性
炭素である。 【0031】リチウム二次電池の「負極材料」として
は、主材料である炭素系又は黒鉛系の負極材料以外に
も、ペーストや導電材等の副材料もあるが、本発明にお
いて、リチウム二次電池の「負極材料」という場合に
は、特に断りがない限り、主材料である炭素系又は黒鉛
系の負極材料を指すものとする。 【0032】黒鉛粒子の原料に用いる黒鉛は天然黒鉛で
も人造黒鉛でもよいが、平均面間隔d002は0.336
nm以下の、高結晶性のものであることが望ましい。原
料の黒鉛は、最大粒子径100μm以下に粉砕してある
ことが望ましい。平均粒子径は5〜30μmが好まし
く、より好ましくは10〜20μmである。 【0033】黒鉛の粉砕の方法としては、公知の衝撃粉
砕方法や磨砕方法等何れの方法でも良い。粉砕後の黒鉛
粒子のタップ密度は、特に制限はないが、取扱いの容易
さを考慮すると0.7g/cm3以上であることが望ま
しい。なお、粉砕後の黒鉛粒子のタップ密度が0.7g
/cm3未満の場合は、コンパクター、ローラーミル、
ディスクミル、又は振動ミル等でこの黒鉛粒子をタップ
密度が0.7g/cm 3以上になるように圧縮処理する
ことにより、取扱いを容易にすることができる。 【0034】黒鉛粒子を炭素で被覆して黒鉛粒子の外表
面に炭素層を形成する方法としては、黒鉛粒子をピッチ
又は樹脂と混練して被覆した後、この混練被覆物を炭化
する方法や、静置式の固定床化学蒸着処理法が知られて
いる。 【0035】ピッチ又は樹脂と黒鉛とを混練被覆後炭化
する方法は、被覆したピッチや樹脂が炭化する際に生ず
る収縮により炭化物表面に亀裂や剥離が発生し、黒鉛粒
子を完全に炭素で被覆することが出来ない。 【0036】静置式の固定床化学蒸着処理法は、例えば
石英管中に備えた黒鉛板上に黒鉛粒子を静置し、石英管
内に炭素源となる有機物と希釈ガスとからなる混合ガス
を供給しながら有機物の熱分解温度以上に加熱する方法
である。この方法においては、混合ガスと黒鉛粒子とが
接触する部分だけしか、黒鉛粒子は炭素で被覆されな
い。そのため、固定床化学蒸着処理法で黒鉛粒子を処理
する場合は、黒鉛粒子表面に多くの被覆されない部分が
残される。よって、静置式の固定床化学蒸着処理法によ
っては、黒鉛粒子を完全に炭素で被覆することが出来な
い場合がある。 【0037】これらの被覆方法に対して、流動床式の化
学蒸着処理法は、黒鉛粒子の外表面を簡単かつ完全に炭
素で被覆することができ、しかも結晶性の炭素が主とし
て黒鉛粒子表面に蒸着する(以下、蒸着炭素と略す)。
よって、化学蒸着処理は流動床反応炉を用いて行うこと
が望ましい。流動床反応炉を用いて化学蒸着処理を行う
ことにより、効率良く大量に化学蒸着処理をすることが
できる。更に、黒鉛粒子の表面を蒸着炭素で均一に被覆
できる。 【0038】流動床式の化学蒸着処理においては、流動
床反応炉中の黒鉛粒子は流動層を形成する。その流動層
の嵩密度は、0.1〜0.5g/cm3が望ましい。 【0039】化学蒸着処理温度は850〜1200℃が
好ましく、より好ましい温度は900〜1200℃、更
により好ましい温度は950〜1150℃である。化学
蒸着処理温度は、処理をする際に用いる炭素源としての
有機物の種類により異なるが、化学蒸着処理温度が85
0℃未満の場合は、熱分解炭素の析出速度が小さく、化
学蒸着処理に長時間を要するので好ましくない。 【0040】化学蒸着処理温度が高くなるに従って、有
機物の炭素への変換率は高くなる。しかし、化学蒸着処
理温度が1200℃を超えると、蒸着炭素が繊維状或は
不定形のスス状に成長し、膜状に成長し難くなる。この
ため、均一な膜状の被膜の形成を目的とする本発明にお
いては、化学蒸着処理を1200℃を超える温度で行う
ことは好ましくない。 【0041】化学蒸着処理の炭素源として好ましい有機
物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレ
ン、エチルベンゼン、ジフェニルメタン、ジフェニル、
ナフタレン、フェノール、クレゾール、ニトロベンゼ
ン、クロルベンゼン、インデン、クマロン、ピリジン、
アントラセン、フェナントレン等の1環乃至3環の芳香
族炭化水素、又はその誘導体、或はその混合物が挙げら
れる。中でも、化学蒸着処理時にタールを生成し難いの
で、芳香族環が1箇のベンゼン、トルエン、キシレン、
スチレン等の誘導体が好ましい。 【0042】又、石炭系のタールの蒸留工程で得られる
ガス軽油、クレオソート油、アントラセン油、石油系の
分解油、ナフサ分解タール油、メタン、エタン、プロパ
ン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、
及び前記脂肪族炭化水素の誘導体であるアルコールも単
独で、或は混合物として用いることができる。更に、ア
セチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブ
タジエン等の二重結合を有する有機物も用いることがで
きる。 【0043】化学蒸着処理法により被覆する炭素の量
は、核となる黒鉛粒子を基準としてその2〜30wt%
とすることが好ましく、更に好ましくは7〜25wt%
である。炭素を黒鉛粒子に2wt%以上被覆することに
より、電解液溶媒の分解抑制作用が発現する。30wt
%を超える場合は、電解液溶媒の分解抑制作用がほぼ飽
和すると共に、得られる黒鉛粒子同士の接着が顕著とな
り、負極材料の粗大化を招きやすいので好ましくない。 【0044】化学蒸着処理において、流動床反応炉に供
給する炭素源としての有機物は、不活性ガスで稀釈した
混合ガスの形態で供給することが好ましい。不活性ガス
としては、窒素、アルゴン等が挙げられる。入手や取扱
いのしやすさから窒素が特に好ましい。 【0045】流動床反応炉を用いて化学蒸着処理を行う
際には、不活性ガスは反応系内から酸素や未反応の残存
有機物を排出させると共に、黒鉛粒子の流動床を形成す
る流動化媒体としても重要な役割を果す。 【0046】混合ガス中の有機物の濃度は、生成する蒸
着炭素の結晶性及び分子配向に大きな影響を与える。混
合ガス中の好ましい有機物のモル濃度は、2〜50%、
更に好ましくは5〜33%である。上記濃度範囲に混合
ガス中の有機物濃度を調節することにより、簡単に所定
の結晶性及び分子配向性を有する蒸着炭素層を黒鉛粒子
表面に被覆できる。混合ガス中の有機物のモル濃度が2
%未満の場合は、化学蒸着処理により得られる炭素層の
結晶性は高いが、熱分解炭素の析出速度が小さく、化学
蒸着処理に長時間を要するので好ましくない。一方、混
合ガス中の有機物のモル濃度が50%を超える場合は、
熱分解炭素の析出速度は大きい。しかし、蒸着により得
られる炭素層の結晶性が低下し、更に蒸着炭素の形態が
膜状ではなく繊維状或はスス状に成長する。このため、
均一な炭素層の被膜を黒鉛粒子外表面に被覆することを
目的とする本発明の負極材料の製造には好ましくない。 【0047】以上の諸条件を適宜選択し、その条件にお
いて化学蒸着処理を行うことにより、黒鉛粒子表面上に
析出する炭素層の平均面間隔d002を、0.337nm
未満にすることができるものであり、より好ましい被覆
炭素層の平均面間隔d002は、0.3352〜0.33
69nm、更により好ましい平均面間隔d002は、0.
3352〜0.3359nmとすることができるもので
ある。しかし、炭素層の平均面間隔は必ずしも上記範囲
に有ることを必要とするものでは無い。 【0048】次に、上記負極材料を透過型電子顕微鏡等
を用いて観察し、得られた結果につき図面を参照して説
明する。負極材料の黒鉛粒子表面に蒸着した炭素層の特
徴は以下の通りである。 【0049】図1は、本発明の負極材料の一例を示すも
のである。この模式的断面図に示す負極材料6は略平板
状の黒鉛粒子2と、その表面を炭素で均一に被覆する炭
素層4とからなる。 【0050】図2は図1中の境界線Aで示される部分の
拡大図である。黒鉛粒子2及び炭素層4の分子配向を、
図2を参照して詳細に検討すると以下の知見を得る。 【0051】図2に示されるように、略平板状の黒鉛粒
子2は、側面(110面)を側面炭素層14で被覆さ
れ、また、上面(002面)を上面炭素層16で被覆さ
れている。 【0052】図2において、上方から下方に向かって透
過型電子顕微鏡の電子線Xを照射して上面炭素層16を
観察すると、炭素002面の明瞭な格子像が観察するこ
とはできない。しかし、電子線回折法によると、炭素
02面が観察される。 【0053】一方、上方から下方に向かって透過型電子
顕微鏡の電子線Yを照射して側面炭素層14を観察する
と、炭素110面の明瞭な格子像を観察することができ
る。従って、側面炭素層は結晶構造をなしており、しか
も側面炭素層14の炭素002面は黒鉛粒子表面に平行
であることが理論的に結論される。 【0054】この観察結果は、黒鉛粒子表面の炭素00
2面は炭素層の炭素002面で被覆されていること、更
に黒鉛粒子表面の炭素110面も同様に炭素層の炭素
02面で被覆されていることを意味する。 【0055】よって、本発明の負極材料は、炭素層の炭
002面で黒鉛粒子の全表面を被覆した構造のもので
あることが分かる。 【0056】なお、透過型電子顕微鏡観察により、炭素
002面の層間隔を介して蒸着炭素層の結晶性及び分子
配向を評価することもできる。 【0057】更に、上記の負極材料にリチウムイオンを
インターカレーションしたものについて7Li−NMR
を測定し、この7Li−NMRの測定結果を上記の負極
材料の構造評価に用いることができる。 【0058】具体的には、負極材料を用いて形成した負
極にリチウムイオンをインターカレーションする。次い
で、リチウムイオンをインターカレーションした負極に
ついて7Li−NMR測定を行う。塩化リチウム基準
(0ppm)でケミカルシフトが、40〜50ppmの
位置の吸収スペクトルと、10〜30ppmの位置の吸
収スペクトルとからなる複合スペクトルを有するもの
は、リチウム二次電池用負極材料として好ましいもので
ある。 【0059】ここで、40〜50ppmの位置の吸収ス
ペクトルは、高結晶性黒鉛粒子にインターカレーション
したリチウムイオンに由来する吸収スペクトルである。
また、10〜30ppmの位置の吸収スペクトルは、結
晶性の炭素層にインターカレーションしたリチウムイオ
ンに由来するスペクトルである。これらの2つのスペク
トルの存在、及び存在位置、並びに90〜120ppm
の位置に吸収スペクトルが存在しないことは、本発明の
負極材料を特徴づけるもので、特に炭素層が結晶性であ
ることを示すものとして重要である。 【0060】一方、黒鉛粒子に非晶質炭素層を被覆した
負極材料にリチウムイオンをインターカレーションした
ものの7Li−NMR吸収スペクトルには、10〜30
ppmの吸収スペクトルは認められず、90〜120p
pmの位置に吸収スペクトルが観察される。 【0061】また、黒鉛粒子に低結晶性炭素層を被覆し
た負極材料にリチウムイオンをインターカレーションし
たものの7Li−NMR吸収スペクトルには、10〜3
0ppmの位置と、90〜120ppmの位置にそれぞ
れ吸収スペクトルが観察されることがある。 【0062】上記電子顕微鏡、NMRの測定結果は、黒
鉛粒子の全ての表面が炭素層の炭素002面で被覆さ
れ、かつその炭素層が結晶性炭素構造であることを示し
ている。 【0063】従って、本発明において、結晶性炭素層と
は上記透過型電子顕微鏡、NMRの測定結果から炭素
02面の存在を確認することの出来る炭素層と定義でき
る。 【0064】更に、化学蒸着法により製造した本発明負
極材料の炭素層は以下の性質を有する。 (1)化学蒸着処理により被覆させる炭素、即ち蒸着炭
素は、黒鉛粒子の分子配向の影響を大きく受け、黒鉛粒
子の平均層間距離が小さければ、蒸着炭素の平均層間距
離も小さい。 (2)黒鉛粒子に蒸着した炭素層は、偏光顕微鏡下で分
子配向を確認できる程度に、十分結晶化している。ま
た、黒鉛粒子に蒸着した炭素層は結晶化組織を走査型顕
微鏡でも十分確認できる程度に結晶化している。 (3)黒鉛粒子に蒸着した炭素層の平均面間隔d
002は、黒鉛粒子の平均面間隔と完全同一とまではいか
ないものの、黒鉛粒子の平均面間隔に非常に近い値であ
り、僅かに大きい値である。具体的には、その炭素層の
平均面間隔d002は、0.3352〜0.3369であ
る。 【0065】図3は本発明の負極材料を製造する際に用
いる流動床化学蒸着装置の一例を示すものである。 【0066】本発明の負極材料を製造するにあたって、
黒鉛粒子は流動化した状態で化学蒸着処理することが好
ましい。ここで流動化とは、反応器42の下部からガス
を供給して粒子に浮力を与えることにより、反応器42
内で個々の黒鉛粒子が浮遊し、激しく不規則な運動をす
る状態をいう。流動化した黒鉛粒子はその上部に明瞭な
界面を持つので流動層又は流動床と呼ばれる。流動化し
た黒鉛粒子の体積は、静置している場合の体積の1.2
〜1.6倍程度に膨張した状態となることが多い。 【0067】流動化に用いるガスとしては、炭素源であ
る有機物ガス、又は有機物ガスと不活性ガスとの混合ガ
スが好ましい。 【0068】ガスの流れのみによって黒鉛粒子の流動化
を行う場合には、反応器42の下部に公知の整流板(不
図示)を設けてガスの流れが反応器42の断面に対して
均一な流れとなるようにすることが好ましい。ガスの流
れが不均一の場合には流動層を均一な状態に保持でき
ず、極端な場合には、ガスが、流動層の中を泡立つよう
に流れたり、特定のガス流路(ラットホール)を生じて
流動層を形成しないことがある。 【0069】本発明においては、ガスの流れだけで黒鉛
粒子を流動化しても良い。しかし、黒鉛粒子の性状に起
因して安定した流動層が得られない場合には、反応器4
2の内部に攪拌機40を設けて黒鉛粒子を攪拌すること
が好ましい。これにより、より確実に均一な流動層を形
成することができる。黒鉛粒子に炭素層を蒸着するにあ
たって、攪拌羽根41の先端における周速度は250〜
20000cm/分が好ましい。反応温度等の蒸着処理
条件にもよるが、周速度が250cm/分未満の場合は
攪拌羽根に炭素の沈着を起こし易くなる。また、周速度
が20000cm/分を超えるときは粒子の飛散が多く
なり、収率が低下するので好ましくない。 【0070】又、攪拌機40を設ける代わりに、若しく
は攪拌機40を設けると共に、反応器42の外部に振動
機(不図示)を取付けて反応器42を振動し、間接的に
黒鉛粒子に振動を与えることにより、均一な流動層を形
成することができる。振動は反応器42の規模等により
異なるが、例えば系の共振周波数2〜30ヘルツ、振幅
0.2〜30mmとすることが好ましい。この振動は通
常の電動式振動機により容易に発生させることができ
る。 【0071】蒸着処理の操作は、回分式でも連続式でも
行うことができる。回分式の場合、黒鉛粒子を、黒鉛ホ
ッパー22から反応器42内に供給する。また、連続式
の場合は、その供給手段に制限はないが、例えば、定量
式のスクリューフィーダー(不図示)を用いて反応器4
2内に供給することができる。反応器42内では黒鉛粒
子は流動化した完全混合状態にあるので、反応器42内
に黒鉛粒子を供給する位置は特に制限がない。この流動
化した状態にある黒鉛粒子を化学蒸着処理することによ
って、本発明の負極材料が反応器42内に生成する。 【0072】生成した負極材料を反応器42内から連続
的に排出させる方法としては、例えば、負極材料取り出
し孔46に連結した定量式のスクリューフィダー等で負
極材料を抜き出す方法等がある。これ以外にも、流動層
の上部から負極材料をオーバーフローさせて取り出す方
法がある。 【0073】流動層は熱伝達が非常に良いので、流動層
を所定の化学蒸着処理温度に昇温するには、通常は反応
器42の外部から電気ヒーター44で加熱すれば充分で
ある。しかし、必要により混合ガスを予熱しても良い。 【0074】なお、図3中、24は炭素源、26は定量
液体ポンプ、28は炭素源送液ライン、30は不活性ガ
ス、32はガス流量計、34は不活性ガス−炭素源混合
ライン、36はガス流量計、38は不活性ガスライン、
48はバグフィルター、50は排気ラインである。 【0075】前述のように、黒鉛粒子の平均粒子径は1
〜100μmのものが好ましい。この粒子径は、流動床
式反応炉を用いて化学蒸着処理を行う場合は、特に好ま
しいものである。黒鉛粒子の平均粒子径が1μm未満の
場合は、黒鉛粒子を炭素層で完全に被覆することが実質
的に困難であり、またガス流により反応系外へ飛散する
黒鉛粒子の量が多くなって負極材料の収率が低下するの
で好ましくない。一方、平均粒子径が100μmを超え
ると、均一な流動層の形成が困難になる場合があるので
好ましくない。 【0076】黒鉛粒子の真密度は、約2g/cm3であ
る。化学蒸着処理中の流動化状態にある黒鉛粒子の嵩密
度の好ましい範囲は、0.1〜0.5g/cm3程度で
ある。流動化状態の黒鉛粒子の嵩密度が低いほど化学蒸
着処理は均一に行われる傾向にある。しかし、流動化状
態の黒鉛粒子が嵩密度が0.1g/cm3未満の場合
は、嵩密度を更に低下させても、それに比例して蒸着の
均一化の向上がされ難くなる。むしろ、嵩密度を低くす
るために、より大きな装置が必要になると共に、黒鉛粒
子を流動化させるために供給するガス量が多くなり、そ
れにつれて、そのガスを加熱するために多くのエネルギ
ーを必要とするようになるので好ましくない。一方、流
動化状態の黒鉛粒子の嵩密度が0.5g/cm3を超え
る場合は、反応炉中でガスが偏流して黒鉛粒子の均一な
流動化状態を保ち難い。このため黒鉛粒子の化学蒸着処
理を均一に行うことが困難となる。 【0077】上記嵩密度の流動層において行う化学蒸着
処理は、次に示すように反応器空間中の粒子の体積占有
率から見て、好ましい処理環境であることが理解でき
る。例えば、用いる黒鉛粒子の真密度は約2g/cm3
であるから、蒸着処理において黒鉛粒子が嵩密度0.2
g/cm3の良好な流動化状態を形成する場合、反応器
空間中の黒鉛粒子の体積占有率は10体積%となる。従
って、反応器中の90体積%はガスで占有されることと
なり、これは黒鉛粒子の9倍の体積を占有していること
になる。このため黒鉛粒子は充分に広い空間内に保持さ
れた状態で激しく不規則な運動をすることになる。この
流動化状態における化学蒸着処理においては、固気接触
が充分に達成され、固気接触効率が高くなり、その結果
有機物から炭素層への変換率が高いものとなる。更に、
得られた蒸着膜も均一なものとなる。また更に、固気接
触域は流動層で行われるので、黒鉛粒子が激しく不規則
運動をするのに充分な広い空間が確保されている。この
ため、黒鉛粒子同士の接着等のトラブルも回避できる。
これに対し、従来の化学蒸着処理は、静置した状態で蒸
着処理するものである。従って、固気接触効率が低く、
しかも黒鉛粒子間の接着等のトラブルが生じ易いもので
ある。 【0078】本発明の負極材料を流動化状態で化学蒸着
処理して製造する装置としては、流動床化学蒸着装置で
あれば、種々の様式の流動床化学蒸着装置を用いること
ができる。 【0079】図4は本発明の負極材料を製造する流動床
化学蒸着装置の別の例を示すものである。 【0080】図4において、反応器84は連続式竪型反
応器であり、反応器84の外部を覆って取り付けた電気
ヒーター86により反応器84の内部を加熱することが
できる。また反応器84下部の外側には電動振動機82
を設けている。タンク62内の黒鉛粒子は定量フィーダ
ー64によって反応器84下部に送られ、ここから反応
器84内に供給される。生成物である負極材料は反応器
84の上部から生成物取り出しライン88を通して生成
物受け器90に排出される。 【0081】一方、炭素源66としての有機物は、定量
液体ポンプ68により、炭素源送液ライン70を通して
反応器84の下部から反応器84内部に供給される。ま
た、反応器84の下部に連結した不活性ガスライン80
から、反応器84内に不活性ガス72を供給する。これ
により、反応器84中の粒子を流動化させる。更に、電
動振動機82を作動させることにより反応器84中の黒
鉛粒子を振動させる。これらの作用により、反応器84
内の黒鉛粒子(不図示)の安定した流動化状態を形成さ
せる。以上の操作で黒鉛粒子に炭素層を被覆し、負極材
料を得る。 【0082】なお、図4中、74はガス流量計、76は
不活性ガス−炭素源混合ライン、78はガス流量計、9
2はバグフィルター、94は排気ラインである。 【0083】図5は本発明の負極材料を製造する流動床
装置の更に別の例を示すものである。 【0084】図5において、反応器124は連続式竪型
反応器である。反応器124の外部を覆って取り付けた
電気ヒーター126により反応器124の内部を加熱す
ることができる。また反応器124下部の外部には電動
振動機122を設けている。黒鉛粒子はタンク102か
ら定量フィーダー104によって反応器124上部より
反応器124内に供給される。生成物である負極材料は
反応器124の下部から生成物取り出しライン128を
通して生成物受け器130に排出される。 【0085】一方、炭素源106としての有機物を定量
液体ポンプ108により炭素源送液ライン110を通し
て反応器124の下部から反応器124内部へ供給され
る。また、反応器124の下部に設けた不活性ガスライ
ン120から、反応器124内に不活性ガス112を供
給する。この不活性ガスの供給により、反応器124中
の黒鉛粒子を流動化させると共に、電動振動機122を
作動させることにより反応器124中の黒鉛粒子を振動
させる。これにより、反応器124内の黒鉛粒子(不図
示)の安定した流動化状態を形成させる。以上の操作で
黒鉛粒子に炭素層を被覆し、負極材料を得る。 【0086】なお、図5中、114はガス流量計、11
6は不活性ガス−炭素源混合ライン、118はガス流量
計、132はバグフィルター、134は排気ラインであ
る。以上のようにして製造した本発明の負極材料を用い
て、リチウムイオン二次電池の負極を調製する方法は特
に限定されないが、その一例を以下に示す。 【0087】負極材料に、バインダー(例えば、PVD
F:ポリビニリデンフルオライド)を溶解した溶剤(例
えば、1−メチル−2−ピロリドン)を加え、十分に混
練する。この操作により、負極材料濃度40wt%以上
の高濃度の負極材料スラリーを調製することができる。
この負極材料スラリーを、金属箔(例えば銅箔)からな
る集電体にドクターブレード等を用いて20〜100μ
mの厚みにコーティングする。これを乾燥させることに
より、負極材料粒子が金属箔集電体に密着する。必要が
あれば加圧して密着性を高め、またコーティング層の厚
みを均一化する。バインダーには公知の材料、例えば、
各種のピッチ、ラバー、合成樹脂等を用いることができ
る。これらの中でもPVDFやEPDM(エチレンプロ
ピレンジエンモノマー)やカルボキシメチルセルロース
(CMC)が好適である。なお、負極材料とバインダー
との混合比(重量比)は100:2〜100:20とす
ることが望ましい。 【0088】正極材料は特に限定されないが、当業者に
公知のLiCoO2、LiNiO2又はLiMn24等の
リチウム含有化合物、或はこれらの混合物が好適であ
る。粉末状の正極材料は、必要があれば導電材を加え、
バインダーを溶解した溶剤等と十分に混練後、集電体と
共に成形して調製できる。又、セパレーターについても
特に限定はなく、公知の材料を用いることができる。 【0089】電解液の主溶媒である非水溶媒としては、
リチウム塩を溶解する非プロトン性低誘電率の公知の溶
媒が挙げられる。例えば、エチレンカーボネート、ジメ
チルカーボネート(以下DMCと略す)、メチルエチル
カーボネート(以下MECと略す)、プロピレンカーボ
ネート、ジエチレンカーボネート、アセトニトリル、プ
ロピオニトリル、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラク
トン、2−メチルテトラヒドロフラン、1、3−ジオキ
ソラン、4−メチル−1、3−ジオキソラン、1、2−
ジメトキシエタン、1、2−ジエトキシエタン、ジエチ
ルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、ニトロメ
タン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド等の溶媒を単独で、又は2種以上の溶媒を混合し
て用いることができる。 【0090】電解質として用いるリチウム塩としては、
LiCiO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、L
iB(C654、LiCl、LiBr、CH3SO3
i、CF3SO3Li等があり、これらの塩を単独、又は
2種類以上の塩を混合して用いることができる。 【0091】なお、上記電解液の主溶媒である非水溶媒
と電解質とをゲル化したゲル電解質、又はポリエチエレ
ンオキサイド若しくはポリアクリロニトリル等の高分子
電解質等を用いてリチウムポリマー二次電池とすること
もできる。 【0092】更には、固体電解質を用いて全固体リチウ
ム二次電池を製造することもできる。 【0093】これら二次電池の構成自体は公知のもので
ある。 【0094】以下、実施例により本発明を更に具体的に
説明する。 【0095】 【実施例】以下の実施例1〜4、及び比較例1において
は、各物性値は以下の方法で測定した。 【0096】蒸着炭素量: 島津製作所製熱重量分析装
置GDT−50を用い、空気流中で重量の減少を測定
し、基材黒鉛と明確に異なる重量減少分を蒸着炭素量と
した。 【0097】平均粒子径: 島津製作所製レーザー回折
式粒度分布測定装置SALD1100を用いて測定し
た。 【0098】比表面積: 日本ベル製表面積測定装置を
用い、液体窒素温度で窒素吸着量を多点法で測定し、B
ET法で比表面積を求めた。 【0099】タップ密度: 100mlのガラス製メス
シリンダーに試料を入れてタッピングし、試料の容積が
変化しなくなったところで試料容積を測定し、試料重量
を試料容積で除した値をタップ密度とした。 【0100】平均面間隔d002: 東芝製X線回折装置
XC−40Hを用い、Cu−Kα線をNiで単色化し、
高純度シリコンを標準物質として学振法で測定した。 【0101】(実施例1〜4、比較例1)ブラジル産天
然黒鉛を振動ロッドミルで圧縮粉砕し、粒子径45μm
以下(平均粒子径18μm)の黒鉛粒子を得た。図3に
示す流動床反応器22を用いて、この黒鉛粒子を熱化学
蒸着処理した。 【0102】図3において、反応器42は直径100m
m、加熱部管長300mmのバッチ式竪型反応器であ
り、反応器42の外部を覆って取り付けた電気ヒーター
44により、反応器42の内部を加熱することができ
る。また反応器42の内部には攪拌機40を設けた。黒
鉛粒子500gをホッパー22から反応器42内に供給
した。黒鉛粒子を反応器42内に供給した後、反応器4
2の下部に設けた不活性ガスライン38を通して、反応
器42内に不活性ガス30として窒素を1L/minの
流量で供給した。この状態で反応器42内を昇温して反
応器42内が900℃に到達した後、定量液体ポンプ2
6を用いて炭素源24としてベンゼンを2mL/min
の流量で反応器42の下部に供給した。 【0103】下方から上方へ反応器42内を流れるガス
流により反応器42中の黒鉛粒子を流動化させると共
に、攪拌機40を攪拌羽根先端周速度1200cm/分
で作動させることにより反応器42中の黒鉛粒子を攪拌
した。これにより、反応器42内の黒鉛粒子(不図示)
の安定した流動化状態を形成した。この状態で黒鉛粒子
を所定の時間熱化学蒸着処理した。所定時間の1バッチ
の処理が終了した後、生成物は反応器42の下部に設け
た生成物取り出し孔46から排出させた。 【0104】得られた負極材料の45μm篩下試料につ
いて、表1の条件で、リチウムイオン二次電池用負極材
料としての評価試験を行った。その評価試験結果を表2
に示す。 【0105】 【表1】 *1 PVDF:ポリビニリデンフルオライド *2 PC:プロピレンカーボネート *3 MEC:メチルエチルカーボネート *4 EC:エチレンカーボネート *5 DMC:ジメチルカーボネート 【0106】 【表2】 *1 化学蒸着処理を行っていない黒鉛粒子 *2 黒鉛の平均面間隔の値である。 表2に示すように、実施例1〜4の負極材料は、炭素層
の平均面間隔d002が0.337nm未満であり、更に
NMR、電子顕微鏡の観察結果から、黒鉛粒子が結晶性
炭素層で被覆された負極材料であった。しかも、充放電
試験結果に示すように、これらの負極材料は、電解液溶
媒を分解することなく、高い放電容量及び高いクーロン
効率を有している。 【0107】また、実施例3の負極材料をポリエステル
樹脂に埋め込み、常法により研磨し、反射偏光顕微鏡下
に組織を観察した。その結果、図6に示すように負極材
料は全ての部分で光学的異方性を示し、蒸着した炭素層
が基材の黒鉛粒子と同じ分子配向を持って析出し、黒鉛
粒子を被覆していることが確認された。 【0108】(実施例5) 実電池の製作 正極活物質(LiCoO2)と、導電材(人造黒鉛)と
を9:1(重量基準)で混合した。これをPVDFを5
wt%含有する1−メチル−2−ピロリドン溶液に分散
させてLiCoO2スラリーを調製した。同スラリーを
ドクターブレードを用いてアルミニウム箔上に厚さ60
μmに塗布した後、130℃で2時間乾燥して正極を調
製した。 【0109】実施例3の負極材料を、PVDFを9wt
%含有する1−メチル−2−ピロリドン溶液に分散させ
て、負極材料濃度65wt%のスラリーを調製した。得
られた負極材料スラリーを、ドクターブレードを用いて
銅箔上に厚さ30μmに塗布し、130℃で2時間乾燥
して負極を調製した。 【0110】セパレーターとしてセラニーズ社製セルガ
ードを使用した。セパレーターを介して、正極と負極と
を積層して巻取り、これを負極を兼ねたステンレス缶に
入れた。電解質として濃度1M/LのLiPF6を溶解
した、PC/メチルカーボネート/EC(体積比1:
1:1.5)の溶液を負極缶に注入した後、正極蓋をし
て、リチウムイオン二次電池を製作した。 【0111】この電池を用いて、200mAで、4.2
Vと2.7Vの電位の間でこの電池の充放電をさせた。
その結果、本電池の容積エネルギー密度は377wh/
Lであった。又、1000回の充放電を行ったが、10
00回目の放電量は初回の放電量の92%であった。
又、25℃放電容量と比較して、60℃放電容量は10
2%、0℃放電容量は98%であった。以下の実施例
6、並びに比較例2及び3においては、各物性値は、以
下の方法で測定した。 【0112】蒸着炭素量: 島津製作所製熱重量分析装
置GDT−50を用い、空気流下で重量減少を測定し、
基材黒鉛と明確に異なる重量減少分を蒸着炭素量とし
た。 【0113】平均粒子径: 島津製作所製レーザー回折
式粒度分布測定装置SALD1100を用いて測定し
た。 【0114】比表面積: 日本ベル製表面積測定装置B
ELSORB28を用い、液体窒素温度で窒素吸着量を
多点法で測定し、BET法で比表面積を求めた。 【0115】タップ密度: 100mlのガラス製メス
シリンダーに試料を入れてタッピングし、試料の容積が
変化しなくなったところで試料容積を測定し、試料重量
を試料容積で除した値をタップ密度とした。 【0116】平均面間隔d002: 理学製X線回折装置
LINT1111を用い、Cu−Kα線をNiで単色化
し、高純度シリコンを標準物質として学振法で測定し
た。 【0117】透過型電子顕微鏡及び電子線回折:日本電
子製透過型電子顕微鏡2000FXを用い、明視野像撮
影及び電子線回折測定を行った。 【0118】7Li固体NMR:ブルカー製固体核磁気
共鳴装置DSX300wbに多核種広幅プローブヘッド
を装着し、塩化リチウム水溶液を標準として測定を行っ
た。 【0119】(実施例6)ブラジル産天然黒鉛を振動ロ
ッドミルで圧縮粉砕した後、53μmで篩分けをし、そ
の篩下であるタップ密度0.800g/cm3の黒鉛粒
子を得た。次いで、寸法等は異なるが、形状は同一の図
3に示す流動床反応器42を用いて、上記の黒鉛粒子を
熱化学蒸着処理した。 【0120】図3において、反応器42は直径500m
m、加熱部管長1500mmのバッチ式竪型反応器であ
り、反応器42の外部を覆って取り付けた電気ヒーター
44により反応器42の内部を加熱することができる。
また反応器42の内部には攪拌機40を設けた。黒鉛粒
子60kgはホッパー22から反応器42内に供給され
た。 【0121】黒鉛粒子を反応器42内に供給し、反応器
42の下部に設けた不活性ガスライン38を通して反応
器42内に不活性ガスとして窒素30を50L/min
の流量で供給した。この状態で反応器42内を昇温し
た。反応器42内が1000℃に到達した後、炭素源2
4としてトルエンを定量液体ポンプ26を用いて158
mL/minの流量で反応器42の下部に供給した(ト
ルエン−窒素混合ガス中のトルエンのモル濃度:40
%)。下方から上方へ反応器42内を流れるガス流によ
り反応器42中の黒鉛粒子を流動化させた。更に、攪拌
機40を攪拌羽根先端周速度1200cm/分で作動さ
せ、これにより反応器42中の黒鉛粒子を攪拌した。こ
れにより、反応器42内の黒鉛粒子(不図示)の安定し
た流動化状態を形成した。この状態で黒鉛粒子を120
分間化学蒸着処理した。この1バッチの処理が終了した
後、生成物は反応器42の下部に設けた生成物取り出し
孔46から排出させた。 【0122】得られた負極材料の53μm篩下試料につ
いて、表3の条件で、リチウムイオン二次電池用負極材
料としての評価試験を行った。その評価試験結果を表4
に示す。 【0123】 【表3】 *1 PVDF:ポリビニリデンフルオライド *2 PC:プロピレンカーボネート *3 EC:エチレンカーボネート *4 MEC:メチルエチルカーボネート 【0124】 【表4】 *1 被覆ピッチ炭化のための熱処理時間 *2 ピークがブロードで測定不能 実施例6の負極材料の炭素層を、透過型電子顕微鏡を用
いる電子線回折法により構造解析した。負極材料は図1
に示す平板状の形状である。この負極材料の透過型電子
顕微鏡写真を図7に示す。図7の透過型電子顕微鏡写真
に示すように、負極材料の炭素層には明瞭な炭素002
面の格子縞が認められた。この格子縞間隔、即ち炭素0
02面の平均面間隔は0.33645nmであった。ま
た、この側面炭素層14の面方向(図2のY方向)に電
子線を照射して得た電子線回折写真を図8に示す。図8
は、結晶性炭素の炭素002面を示している。 【0125】なお、この負極材料の上面の平板状部に形
成された上面炭素層16についても、上面炭素層の面に
垂直方向(図2のX方向)に透過型電子顕微鏡の電子線
を照射して電子線回折写真を得た。その写真は、結晶性
炭素の炭素002面を示していた。 【0126】次に、充電状態(負極材料にリチウムイオ
ンをインターカレーションした状態)の負極材料の7
i−NMRの測定結果を図9に示す。42.9ppm
に、天然黒鉛にインターカレーションしたリチウムイオ
ンが観察された。また、15.1ppmに、結晶性炭素
にインターカレーションした或は吸蔵されたリチウムイ
オンが観察された。 【0127】以上の結果から、黒鉛粒子は、黒鉛粒子の
表面と炭素層の炭素002面とを平行にして炭素層で被
覆され、且つ被覆炭素層は結晶性であることが明らかで
ある。 【0128】(比較例2)実施例6で用いた黒鉛粒子1
0gを固定床化学蒸着反応器に仕込み、実施例6と同一
濃度(40モル%)のトルエン−窒素混合ガスを用いて
化学蒸着処理を行った。得られた負極材料について、表
3の条件でリチウムイオン二次電池用負極材料としての
評価試験を行った。その評価試験結果を表4に示す。表
4に示すように、固定床化学蒸着法で製造した負極材料
は、黒鉛粒子表面の炭素被覆が不完全であることが明ら
かである。 【0129】なお、固定床化学蒸着反応器は、石英製円
筒状反応器内に黒鉛板を取付けたものである。前記黒鉛
板状に黒鉛粒子を盛上げ、反応器外部から加熱しながら
混合ガスを供給した。反応器は直径95mm、長さ80
0mm、黒鉛板は95mm×120mmの平板状であっ
た。蒸着温度は1000℃であった。 【0130】(比較例3)実施例6で用いた黒鉛粒子1
00gと、コールタールピッチ由来のメソフェースピッ
チ(軟化点295℃、固定炭素量82wt%)25gと
を320℃で混練後冷却し、次いで粉砕した。これを3
30℃で30分間空気流通下に加熱し、被覆ピッチの不
融化を行った。その後、昇温速度10℃/minで10
00℃まで昇温した。次いで、同温度で120分間熱処
理を行い、負極材料を調製した。得られた負極材料につ
いて、表3の条件でリチウムイオン二次電池用負極材料
としての評価試験を行った。その評価試験結果を表4に
示す。表4に示すように、黒鉛粒子とピッチとを混練後
炭化して製造した負極材料は、黒鉛粒子表面の炭素被覆
が不完全であることが明らかである。 【0131】図10は、充電状態(負極材料にリチウム
イオンをインターカレーションした状態)の比較例3の
負極材料の7Li−NMRの吸収スペクトルを示す。こ
の吸収スペクトルによれば、15ppmの位置に結晶性
炭素にインターカレーションしたリチウムイオンに由来
する吸収スペクトルが、また110ppmの位置に等方
性炭素にインターカレーションしたリチウムイオンに由
来する吸収スペクトルが認められる。 【0132】上述したように、実施例6の黒鉛粒子を流
動床化学蒸着法で被覆した蒸着炭素層は、炭素110面
で黒鉛粒子の全表面を被覆している結晶性炭素層であ
る。 【0133】一方、比較例2の黒鉛粒子を固定床化学蒸
着法で被覆した蒸着炭素、及び比較例3の黒鉛粒子とピ
ッチとを混練後炭化した被覆炭素は、黒鉛粒子表面の炭
素による被覆が不完全である。 【0134】以上の事実は、低結晶性炭素層で被覆した
黒鉛粒子をリチウムイオン二次電池用負極材料とする従
来の負極材料からは、全く予想されなかった知見であ
る。 【0135】一方、流動床を採用する化学蒸着処理法に
よると、黒鉛粒子は、炭素源となる有機物と、必要によ
り共存させる不活性ガスと、更には前記有機物の分解ガ
スとによって浮遊状態におかれているため、常にその全
表面が、これらのガスで均一に覆われている。このた
め、黒鉛粒子の全表面を少量の炭素で均一にかつ完全に
被覆することが出来る。 【0136】更に、上記流動床化学蒸着処理法において
諸条件を適切に設定して得られた負極材料は、この炭素
層が結晶性であることに加えて、この炭素層は黒鉛粒子
の全表面を炭素層の炭素002面で被覆した構造であ
る。しかも、炭素層を従来よりも薄く形成しても黒鉛粒
子の全表面を均一にかつ完全に被覆することができるも
のである。その結果として、 (1)被覆炭素量が少ないため、更に高い充放電速度が
得られる (2)被覆炭素量が少ないため、負極材料中の黒鉛の占
める割合が高い。このため高い放電容量を有する (3)黒鉛粒子の全表面を炭素層で均一にかつ完全に被
覆するため、クーロン効率が高い (4)黒鉛粒子の全表面を炭素層で均一にかつ完全に被
覆するため、PC等の溶媒の分解を抑制する。このため
この負極材料を用いて形成した電池は溶媒の分解ガスに
基づく爆発の危険を防止する等の利点がある。 【0137】以上のような利点は、低結晶性炭素で被覆
した黒鉛をリチウムイオン二次電池用負極材料とする従
来の知見からばかりでなく、黒鉛粒子と、この黒鉛粒子
を固定床化学蒸着法で被覆した蒸着炭素とからなる負極
材料からも、黒鉛粒子とピッチとを混練後炭化すること
により得られる負極材料からも全く予想されないことで
ある。 【0138】 【発明の効果】本発明のリチウム二次電池用負極材料
は、黒鉛粒子と、化学蒸着処理法を用いて黒鉛粒子の表
面を炭素002面で結晶性炭素で被覆した炭素層からな
るので、これを用いて製造したリチウム二次電池は、高
速充放電が可能であり、放電容量が大きく、クーロン効
率が高く、低温特性並びに高温特性等に優れており、更
にPC等の溶媒の分解を抑制して電池を爆発から守り安
全なものにするという利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウム二次電池用負極材料の一例を
示す模式的断面図である。
【図2】図1に示す負極材料の部分Aの拡大図である。
【図3】本発明のリチウム二次電池用負極材料製造用化
学蒸着処理装置の一例を示す概略図である。
【図4】本発明のリチウム二次電池用負極材料製造用化
学蒸着処理装置の別の例を示す概略図である。
【図5】本発明のリチウム二次電池用負極材料製造用化
学蒸着処理装置の更に別の例を示す概略図である。
【図6】本発明のリチウム二次電池用負極材料の一例を
示す偏光電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明のリチウム二次電池用負極材料の一例を
示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図8】本発明のリチウム二次電池用負極材料の一例を
示す電子線回折写真である。
【図9】リチウムイオンをインターカレーションした本
発明のリチウム二次電池用負極材料の一例を示す7Li
−NMRスペクトルである。
【図10】リチウムイオンをインターカレーションした
比較例3のリチウム二次電池用負極材料を示す7Li−
NMRスペクトルである。
【符号の説明】
2 黒鉛粒子 4 被覆炭素層 6 負極材料 14 側面炭素層 16 上面炭素層 22 黒鉛ホッパー 24 炭素源 26 定量液体ポンプ 28 炭素源送液ライン 30 不活性ガス 32 ガス流量計 34 不活性ガス−炭素源混合ライン 36 ガス流量計 38 不活性ガスライン 40 攪拌機 41 攪拌羽根 42 反応器 44 電気ヒーター 46 負極材料取り出し孔 48 バグフィルター 50 排気ライン 62 タンク 64 定量フィーダー 66 炭素源 68 定量液体ポンプ 70 炭素源送液ライン 72 不活性ガス 74 ガス流量計 76 不活性ガス−炭素源混合ライン 78 ガス流量計 80 不活性ガスライン 82 電気振動機 84 反応器 86 電気ヒーター 88 生成物取り出しライン 90 生成物受け器 92 バグフィルター 94 排気ライン 102 タンク 104 定量フィーダー 106 炭素源 108 定量液体ポンプ 110 炭素源送液ライン 112 不活性ガス 114 ガス流量計 116 不活性ガス−炭素源混合ライン 118 ガス流量計 120 不活性ガスライン 122 電気振動機 124 反応器 126 電気ヒーター 128 生成物取り出しフィーダー 130 生成物受け器 132 バグフィルター 134 排気ライン
フロントページの続き (72)発明者 蛭田 孝士 福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社 総合研究所内 (72)発明者 安元 義徳 福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社 総合研究所内 (72)発明者 綱分 忠則 福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社 総合研究所内 (72)発明者 松長 修 福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社 総合研究所内 (72)発明者 岩永 勝介 栃木県栃木市国府町1番地 三井鉱山マ テリアル株式会社 栃木プレシジョン内 (56)参考文献 特開 平9−320597(JP,A) 特開 平10−233206(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/58 H01M 10/40

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均面間隔d 002 が0.336nm以下
    である黒鉛粒子と、前記黒鉛粒子の全表面を被覆する結
    晶性炭素層とからなり、リチウムイオンをインターカレ
    ーションした負極材料の7Li−NMRスペクトルが、
    塩化リチウム基準ケミカルシフトの40〜50ppm
    と、10〜20ppmとに吸収スペクトルを有すること
    を特徴とするリチウム二次電池用負極材料。
  2. 【請求項2】 平均面間隔d 002 が0.336nm以下
    である黒鉛粒子と、前記黒鉛粒子の全表面を被覆する結
    晶性炭素層とからなり、前記結晶性炭素層が偏光顕微鏡
    下に光学的異方性を示すことを特徴とするリチウム二次
    電池用負極材料。
  3. 【請求項3】 炭素層の炭素002面を黒鉛粒子表面に
    平行にして黒鉛粒子の全表面が炭素層で被覆された請求
    項1又は2に記載のリチウム二次電池用負極材料。
  4. 【請求項4】 炭素層の平均面間隔d0020.335
    2〜0.3369nmである請求項1又は2に記載のリ
    チウム二次電池用負極材料。
  5. 【請求項5】 黒鉛粒子として天然黒鉛を用いる請求項
    又は2に記載のリチウム二次電池用負極材料。
  6. 【請求項6】 黒鉛粒子を流動床式反応炉中で有機物ガ
    ス又は有機物と不活性ガスとの混合ガスを用いて化学蒸
    着処理することにより、黒鉛粒子の表面に炭素層を形成
    することを特徴とする、黒鉛粒子と前記黒鉛粒子の
    面を被覆する結晶性炭素層とからなる請求項1又は2に
    記載のリチウム二次電池用負極材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 混合ガス中の有機物のモル濃度が2〜5
    0%で、化学蒸着処理温度が900〜1200℃である
    請求項に記載のリチウム二次電池用負極材料の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 黒鉛粒子として天然黒鉛を用いる請求項
    に記載のリチウム二次電池用負極材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項6乃至8の何れかに記載の製造方
    法により製造したリチウム二次電池用負極材料。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至5及び請求項9の何れか
    に記載の負極材料を用いて形成したリチウム二次電池。
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