JP3597099B2 - 圧密化黒鉛粒子、その製造方法、及びリチウム二次電池用負極材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、嵩密度が高い高結晶性の黒鉛粒子、及びその製造方法に関する。この黒鉛粒子は、リチウムイオン二次電池や燃料電池セパレーター等のフィラーとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来から黒鉛粒子は電極材料として重用されてきた。近年、リチウムイオン二次電池用負極や燃料電池セパレーター等の成型品のフィラーとしても用いられている。しかし、従来の黒鉛粒子を上記材料やフィラーとして用いる場合は、黒鉛粒子の嵩密度が低いこと、黒鉛粒子が形状的に大きなアスペクト比を有すること等に由来する多くの使用上の欠点が指摘されている。
【0003】
例えば上記黒鉛粒子は嵩密度が低いために、リチウムイオン二次電池用負極を製造する際に用いる黒鉛スラリー中の黒鉛濃度を高くすることができない。そのため、得られる負極の黒鉛密度が低くなり、負極の容積当たりのエネルギー密度が低くなる問題がある。また、上記黒鉛粒子はアスペクト比が大きいために、この黒鉛粒子を用いて製造する電極やセパレーターは電気抵抗に大きな異方性を有する等の問題がある。
【0004】
これらの問題を解決するために、黒鉛粒子を有機バインダーを用いて成型する方法、黒鉛粒子をローラーで展圧する方法、黒鉛を回転式ディスクミルで粉砕する方法等が提案されている。
【0005】
しかしながら有機バインダーを用いて黒鉛粒子を成型する方法は処理コストに難がある。しかも黒鉛粒子に加えられる有機バインダーの炭素化から生成する炭素は、その物性を考慮する必要がある。即ち有機バインダーの種類や炭素化の条件等によっては生成炭素の物性に悪影響を与え、惹いては電極やセパレーターの性能に悪影響を与えるという問題がある。
【0006】
黒鉛粒子をローラーで展圧する方法は簡便である。また、この展圧中のある時点においては高い嵩密度になる形状をした黒鉛粒子が得られることもある。しかし、この形状の黒鉛粒子は、篩分けや混練時に外力が加わると破壊され、再び元の低い嵩密度になる形状をした黒鉛粒子に戻り易いという問題がある。
【0007】
一方、従来行われている黒鉛を回転式ディスクミルで粉砕して黒鉛粒子を製造する方法では、その大きいアスペクト比を改善して小さくすることは難しいという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、リチウムイオン二次電池用負極材料や燃料電池セパレーターのフィラーとして適した炭素材料を種々検討した結果、リチウムイオン二次電池用負極材料としては放電容量が大きく、充放電速度が大きく、かつサイクル寿命の長い炭素材料は黒鉛の理論格子定数に近い格子定数を持った高結晶性であり、かつ50μm以下、好ましくは20μm以下の平均粒子径を持った微粒子であることを知得した。しかしながら高結晶性であり、かつ微粒子化された黒鉛は、黒鉛の基礎物性評価の段階では十分な性能を発現するが、実際に電池を製造する段階ではその嵩高さに起因して低濃度黒鉛スラリーしか得ることができない。この結果、電池缶中に負極材料としての黒鉛量を高密度に充填することができず、電池としての高エネルギー密度化を更に高めることができなかった。即ち負極材料としての黒鉛には高結晶性、微粒子であることに加え、高い嵩密度を有することが不可欠である。負極調製用の黒鉛スラリーの高濃度化はスラリー調製装置の改良によっても達成できるが、最も工程的に容易かつ低コストな方法は嵩密度の高い黒鉛を用いることによって達成される。
【0009】
また、燃料電池セパレーターに用いられる黒鉛粒子は、高結晶性、高導電性であることが望まれると同時に、リチウムイオン二次電池用負極材料に用いられる場合と同様に、高い嵩密度を有することが必要であり、またアスペクト比が小さいことが必要である。
【0010】
本発明者らは、高密度成型品のフィラーとして適した黒鉛粒子について種々検討した結果、黒鉛粒子を、衝撃を加えて粉砕する振動ミル等の粉砕機で圧密化することにより、タップ密度0.7〜1.3g/cm3の高い嵩密度が得られるのみならず、得られた黒鉛粒子はアスペクト比が小さくなり、かつ円盤状の形状ないし紡錘状の形状を有する事を見出した。
【0011】
そして、所定範囲のアスペクト比であり、且つ所定形状の粒子を所定量以上含有する黒鉛粒子であって、しかも嵩密度が所定範囲である圧密化黒鉛粒子を、上記フィラーとして用いることによって、上記問題を解決することができ、高密度成型品を得ることができることを見出した。
【0012】
また、所定の圧密化方法を用いることによって、上記圧密化黒鉛粒子を得ることができることを見出した。
【0013】
その結果、上記圧密化黒鉛粒子を用いたリチウムイオン二次電池負極は、本来通常の黒鉛粒子を用いた負極が有している黒鉛粒子個々の体積当たりの放電容量が高いのみならず、負極そのものの体積当たりの放電容量が高いという特性も有するものである。
【0014】
また、上記圧密化黒鉛粒子の低いアスペクト比に起因して、負極の成型時において黒鉛の選択的配向を防止することができ、黒鉛の配向の均一性は極めて高いものである。そのため、上記圧密化黒鉛粒子を用いたリチウムイオン二次電池負極は、負極厚み方向にも高い導電性を有するものである。
【0015】
従って、上記圧密化黒鉛粒子、若しくは上記製造方法によって得られる圧密化黒鉛粒子、又は、これらの圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で被覆した圧密化黒鉛粒子からなるリチウムイオン二次電池用負極材料は、高いエネルギー密度を有し、電気抵抗に大きな異方性を生ずることの無い負極材料を得ることができる。
【0016】
一方、上記圧密化黒鉛粒子を燃料電池用セパレーターに用いる場合は、セパレーターの黒鉛密度が高いことに起因してガス透過性が低く、同時にセパレーターの厚み方向にも導電性が高い燃料電池用セパレーターを得ることができる。
【0017】
本発明は上記知見に基づきなされたもので、その目的とするところは、その黒鉛粒子を用いて成型品を成型する時は、黒鉛スラリー中の黒鉛濃度を高くすることができ、成型後の成型品としては、黒鉛密度が高く、等方性が高い成型品を得ることができる圧密化黒鉛粒子、及びその製造方法を提供することにある。更に、負極そのものの密度が高く、負極の容積当たりのエネルギー密度が高いリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下のことを提案するのものである。
【0019】
〔1〕 アスペクト比が1〜5の紡錘状をなす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の円盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若しくは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3である事を特徴とする圧密化黒鉛粒子。
【0020】
〔2〕 アスペクト比が1〜5の紡錘状をなす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の円盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若しくは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以上であり、且つ前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量と前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量との合計が60体積%以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3である事を特徴とする圧密化黒鉛粒子。
【0021】
〔3〕 原料黒鉛粒子に衝撃力を加えて圧密化することを特徴とする、アスペクト比が1〜5の紡錘状をなす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の円盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若しくは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3である圧密化黒鉛粒子の製造方法。
【0022】
〔4〕 原料黒鉛粒子に衝撃力を加えて圧密化することを、振動ミルを用いて行う〔3〕に記載の圧密化黒鉛粒子の製造方法。
【0023】
〔5〕 原料黒鉛粒子がタップ密度0.6g/cm3以下の黒鉛粒子である〔3〕又は〔4〕に記載の圧密化黒鉛粒子の製造方法。
【0024】
〔6〕 振動ミルの、片振幅が5〜10mm、振動周波数が10〜25ヘルツである〔4〕に記載の圧密化黒鉛粒子の製造方法。
【0025】
〔7〕 振動ミルが、振動ロッドミル、又は振動ボールミルである〔4〕に記載の圧密化黒鉛粒子の製造方法。
【0026】
〔8〕 〔1〕又は〔2〕に記載の圧密化黒鉛粒子を製造するに当たって、原料黒鉛粒子を振動ミルで圧密化して、第一次圧密化黒鉛粒子を得、前記第一次圧密化黒鉛粒子を篩に掛けて、第一次篩上圧密化黒鉛粒子と第一次篩下圧密化黒鉛粒子とを得、前記第一次篩上圧密化黒鉛粒子を振動ミルに戻して再び圧密化して、第二次圧密化黒鉛粒子を得、前記第二次圧密化黒鉛粒子を再び篩に掛けることを繰り返し、各篩下圧密化黒鉛粒子を併せて圧密化黒鉛粒子を得ることを特徴とする圧密化黒鉛粒子の製造方法。
【0027】
〔9〕 〔3〕乃至〔8〕の何れかに記載の製造方法によって得られる圧密化黒鉛粒子。
【0028】
〔10〕 〔1〕、〔2〕又は〔9〕に記載の圧密化黒鉛粒子、あるいは前記圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で被覆した圧密化黒鉛粒子からなるリチウムイオン二次電池用負極材料。
【0029】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0030】
【発明の実施の形態】
(本発明の圧密化黒鉛粒子)
本発明の圧密化黒鉛粒子は、紡錘状をなす黒鉛粒子、若しくは円盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、アスペクト比が1〜5の前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若しくはアスペクト比が1〜10の前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3である。
【0031】
ここで、アスペクト比とは、粒子の最大長さを厚みで除した値である。更に詳述すると、粒子の形状が円盤状の場合のアスペクト比は、粒子の径を厚みで除した値であり、粒子の形状が紡錘状の場合のアスペクト比は、粒子の軸長を径(厚み)で除した値である。
【0032】
なお、本発明の圧密化黒鉛粒子において、圧密化とは嵩密度を大きくすることをいい、具体的には、タップ密度で0.7〜1.3g/cm3の嵩密度にすることをいう。
【0033】
本発明の圧密化黒鉛粒子は、アスペクト比が1〜5の紡錘状をなす黒鉛粒子を10体積%以上含むか、若しくはアスペクト比が1〜10の円盤状をなす黒鉛粒子を50体積%以上含むか、又は何れの所定範囲のアスペクト比の黒鉛粒子をもそれぞれ所定量以上含む圧密化黒鉛粒子である。
【0034】
ここで、前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量と前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量との合計は、60体積%以上であることが好ましく、75体積%以上であることがより好ましく、特に90体積%以上であることが望ましい。
【0035】
前記紡錘状をなす黒鉛粒子でもなく、前記円盤状をなす黒鉛粒子でもない、残りの黒鉛粒子には、例えば、アスペクト比が5を超える紡錘状をなす黒鉛粒子、及びアスペクト比が10を超える円盤状をなす黒鉛粒子を始め、アスペクト比が10を超える鱗片状の黒鉛粒子などが挙げられる。
【0036】
本発明の圧密化黒鉛粒子は、これをリチウムイオン二次電池や燃料電池セパレーター等の成型品のフィラーとして用いてこれら成型品を成型する場合、黒鉛スラリー中の黒鉛濃度を高くすることができ、成型後の成型品は、黒鉛の密度が高く、等方性が高い。
【0037】
特に、リチウムイオン二次電池負極のフィラーとして本発明の圧密化黒鉛粒子を用いる場合は、負極中の黒鉛の密度が通常の黒鉛を用いた負極よりも高くなる。
【0038】
(本発明の圧密化黒鉛粒子の製造方法)
本発明の圧密化黒鉛粒子は、原料黒鉛粒子を圧密化することによって製造することができる。
【0039】
原料として用いる黒鉛粒子の002面の結晶格子定数C0(002)は0.670〜0.673nmであることが望ましい。例えば、リチウムイオン二次電池の負極材料として用いる場合、結晶格子定数C0(002)が0.673nmを超えると、リチウムイオンのドーピング量が低下し、十分な充電量が得られない結果、リチウムイオン二次電池の放電電気容量が低下する。また導電性が低下する。
【0040】
また、本発明に用いる原料黒鉛粒子としては、天然黒鉛、人造黒鉛のいずれを用いても良いが、結晶性の高さと、入手の容易さとから、天然黒鉛が好ましい。黒鉛はそのまま粉砕して原料黒鉛粒子にすることができるが、公知の方法で一旦膨張黒鉛としてから、これを粉砕して原料黒鉛粒子とすることもできる。
【0041】
圧密化に供する黒鉛粒子は、平均粒子径3mm以下程度の比較的大きな黒鉛粒子も用いることができるが、既に平均粒径が50μm以下に粉砕された黒鉛粒子がより好ましい。
【0042】
このための粉砕方法としては振動ボールミル等の振動ミル、ボールミル、ハンマーミルのように黒鉛に衝撃を加えて粉砕する方法がある。
【0043】
また、ジェットミル、回転式円盤状砥石を粉砕メディアとするマイクロミル、回転体を粉砕メディアとするターボミル等の如く黒鉛にシェアストレスを与えながら粉砕する方法がある。
【0044】
粉砕は乾式、湿式を問わず実施することができる。また膨張黒鉛を湿式で超音波を用いて粉砕する方法も有効なものである。
【0045】
本発明の圧密化処理は、原料黒鉛粒子に衝撃を加えることにより行う。
【0046】
この圧密化処理のうちでも、振動ミルを用いる圧密化処理は、特に圧密化を高くでき、より好ましいものである。振動ミルの例としては、振動ボールミル、振動ディスクミル、振動ロッドミル等が挙げられる。
【0047】
圧密化処理により得られる黒鉛粒子の形状は、振動ボールミルを用いて圧密化処理する場合は、円盤状の圧密化黒鉛粒子が製造されやすい。一方、振動ロッドミルを用いて圧密化処理する場合は、紡錘状の圧密化黒鉛粒子が製造されやすい。
【0048】
圧密化時間は、0.1〜10分間が好ましい。
【0049】
振動ミルは回分式でも連続式でも行う事ができる。
【0050】
振動ミルのメディア、並びに、ポット若しくは本体の内張りの材質には、鉄、耐摩耗鋼、各種ステンレス合金、アルミナ、ジルコニア等を用いることができる。
【0051】
振動ロッドミルの場合、ロッドの径は10〜30mm、ロッドの体積占有率は40〜80%、片振幅は5〜10mm、振動周波数は10〜25ヘルツに設定する事が好ましい。
【0052】
振動ボールミルの場合、ボールの径は5〜40mm、ロッドの体積占有率は40〜80%、片振幅は5〜10mm、振動周波数は10〜25ヘルツに設定する事が好ましい。
【0053】
上述したように、圧密化処理は回分式でも連続式でも行う事ができる。なお、圧密化処理をより効率的に行うには連続式圧密化が好ましい。
【0054】
図1は本発明の圧密化黒鉛粒子を製造する際に用いる連続式圧密化装置の一例を示すものである。
【0055】
図1において、原料黒鉛粒子は、ホッパー2より定量供給機4で振動ミル6に供給される。振動ミル6の中では黒鉛粒子の圧縮化と粉砕が同時に進行し圧密化処理が行われる。振動ミル6を出た圧密化黒鉛粒子は、所定の大きさの篩8で粒度別に分けられる。10は篩下の圧密化黒鉛粒子であり、12は篩上の圧密化黒鉛粒子である。
【0056】
篩上の圧密化黒鉛粒子12即ち第一次篩上圧密化黒鉛粒子は、ホッパー2に戻して再び圧密化処理して、第二次圧密化黒鉛粒子を得ることができる。また、第一次篩上圧密化黒鉛粒子を原料黒鉛粒子に混ぜて圧密化処理してもよい。
【0057】
多くの場合、例えばリチウムイオン二次電池用負極材料や燃料電池用フィラーとして本発明の圧密化黒鉛粒子を用いる場合、所定の粒子径以下の黒鉛粒子のみ即ち所定の大きさの篩下の黒鉛粒子のみを用いる。
【0058】
なお、原料黒鉛粒子から第一次篩下圧密化黒鉛粒子への変換率は、圧密化条件により異なるが、第一次篩上圧密化黒鉛粒子から第二次篩下圧密化黒鉛粒子への変換率とほぼ等しい。
【0059】
図2は本発明の圧密化黒鉛粒子を製造する際に用いる連続式圧密化装置の他の例を示すものである。
【0060】
図2において、原料黒鉛粒子は、ホッパー22より定量供給機24で振動ミル26に供給される。振動ミル26の中では黒鉛粒子の圧縮化と粉砕が同時に進行し圧密化処理が行われる。振動ミル26を出た圧密化黒鉛粒子は、所定の大きさの篩28で粒度別に分けられる。30は篩下の圧密化黒鉛粒子であり、32は篩上の圧密化黒鉛粒子である。
【0061】
振動ミル26を1回通過させた後の篩上の圧密化黒鉛粒子32即ち第一次篩上圧密化黒鉛粒子を粉体搬送機34で振動ミル26に戻し、新たに供給する原料黒鉛粒子とともに再び圧密化する。この再圧密化処理によって、新たに供給する原料黒鉛粒子は第一次圧密化黒鉛粒子となり、2回目の圧密化となる篩上第一次圧密化黒鉛粒子は第二次圧密化黒鉛粒子となる。これらの圧密化黒鉛粒子は、互いに併さって新たな圧密化黒鉛粒子となる。この新たな圧密化黒鉛粒子は、所定の大きさの篩28で粒度別に分けられる圧密化処理が繰り返される。
【0062】
なお、上述したように、原料黒鉛粒子から第一次篩下圧密化黒鉛粒子への変換率は、圧密化条件により異なるが、第一次篩上圧密化黒鉛粒子から第二次篩下圧密化黒鉛粒子への変換率とほぼ等しい。
【0063】
ここで、繰り返し圧密化される黒鉛粒子のみを考慮に入れ、新たに供給する原料黒鉛粒子は圧密化処理の考慮から外すと、上記の原料黒鉛粒子から第一次篩下圧密化黒鉛粒子への変換率を50%以上に条件設定する事により、繰り返し圧密化される黒鉛粒子は5〜6回以下の圧密化処理で篩上の圧密化黒鉛粒子32の原料黒鉛粒子からの変換率は、ほぼ0%に収斂する。
【0064】
通常、原料黒鉛粒子から第一次篩下圧密化黒鉛粒子への変換率は60〜80%に設定することが好ましい。例えば、原料黒鉛粒子から第一次篩下圧密化黒鉛粒子への変換率を70%とした場合、振動ミル26を1回通過させた後の篩上の圧密化黒鉛粒子32即ち第一次篩上圧密化黒鉛粒子は、原料黒鉛粒子に対して30%、振動ミル26を2回通過させた後の篩上の圧密化黒鉛粒子32即ち第二次篩上圧密化黒鉛粒子は、原料黒鉛粒子に対して9%、振動ミル26を3回通過させた後の篩上の圧密化黒鉛粒子32即ち第三次篩上圧密化黒鉛粒子は、原料黒鉛粒子に対して2.7%となる。
【0065】
このように、振動ミル26に供給した原料黒鉛粒子は、5〜6回以内の振動ミル26の通過で、ほぼ全量篩下圧密化黒鉛粒子30即ち所定粒度以下の圧密化黒鉛粒子として回収する事が出来る。
【0066】
さらには、分級機を用いて篩下圧密化黒鉛粒子30を分級し、所定粒度の黒鉛粒子のみをリチウムイオン二次電池や燃料電池セパレーター等のフィラーとして用いることもできる。また振動ミル26中での黒鉛の滞留時間は1回の振動ミル26の通過当たり1〜5分である。よって、黒鉛が振動ミル26をたとえ5〜6回通過したとしても篩下圧密化黒鉛粒子30のX線回折分析(XRD)による結晶性が損なわれることはない。そのため、この篩下圧密化黒鉛粒子30は、リチウムイオン二次電池用負極材料としての性能も変化しないものである。
【0067】
本発明の圧密化黒鉛粒子の製造方法により、アスペクト比の大きな鱗片状の原料黒鉛粒子を圧密化処理すると、原料黒鉛粒子は主に黒鉛のベーサルプレーン(基礎面)で積層しながら二次粒子化し、同時に積層した二次粒子の端部は丸く削られて厚みのある円盤状、或は紡錘状に変化し、アスペクト比の小さな黒鉛粒子に変換される。
【0068】
このようにして黒鉛粒子をアスペクト比の小さなものに変換した結果、黒鉛粒子は高結晶性であるにもかかわらず、タップ密度が高いのみならず、スラリーの流動性も良好なものが得られる。
【0069】
アスペクト比が大きい黒鉛粒子を成型品の芯材等に塗布する場合、黒鉛粒子のベーサルプレーンが塗布時のシェア方向に配向する。
【0070】
また、プレス時にはベーサルプレーンが受圧面に沿って配向する。
【0071】
このようなことから、黒鉛粒子のアスペクト比が10を超える場合は、黒鉛粒子の塗布時、若しくはプレス時において、配向が大きくなり、厚み方向の電気抵抗が増大する等の不都合を生ずる。
【0072】
これに対して、圧密化処理してアスペクト比を10以下にした黒鉛粒子を成型品の芯材等に塗布する場合、又はプレスする場合には、配向する黒鉛粒子の割合が減少して厚み方向の導電性を高める効果がある。
【0073】
図3及び4は、それぞれ円盤状圧密化黒鉛粒子、及び紡錘状圧密化黒鉛粒子の一例を示す電子顕微鏡写真である。
【0074】
圧密化黒鉛粒子をリチウムイオン二次電池用負極材料とする場合には、圧密化黒鉛粒子に表面処理を施すか、又は圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で被覆することが特に好ましい。
【0075】
圧密化黒鉛粒子に表面処理を施す方法としては、スチレン、沃素、過酸化ベンゾイル等のラヂカル反応性試薬を黒鉛粒子表面の活性ラヂカルと反応させる方法等がある。
【0076】
また、圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で被覆する方法としては、化学蒸着処理法(CVD法)、ピッチ又は樹脂で黒鉛粒子表面を被覆した後、これらを炭化させる方法などが挙げられる。
【0077】
化学蒸着処理法としては、圧密化黒鉛粒子を流動床式反応炉中で有機物ガス又は有機物と不活性ガスとの混合ガスを用いて化学蒸着処理することにより、圧密化黒鉛粒子の表面に炭素層を形成することが挙げられる。
【0078】
化学蒸着処理条件としては、混合ガス中の有機物のモル濃度が2〜50%で、化学蒸着処理温度が900〜1200℃であることが好ましい。
【0079】
このような製造方法で製造したリチウムイオン二次電池用負極材料は、圧密化黒鉛粒子と、前記圧密化黒鉛粒子の全表面を被覆する結晶性炭素層とからなり、炭素層の炭素002面を圧密化黒鉛粒子表面に平行にして圧密化黒鉛粒子の全表面が炭素層で被覆されている。
【0080】
また、この負極材料は、リチウムイオンをインターカレーションした負極材料の7Li−NMRスペクトルが、塩化リチウム基準ケミカルシフトの40〜50ppmと、10〜30ppmとに吸収スペクトルを有するものである。
【0081】
更に、この負極材料は、炭素層が偏向顕微鏡下に光学異方性を示す。
【0082】
上記の化学蒸着処理法は、電解液溶媒の分解を抑制すると共に、放電容量が高く、高速充放電が可能なリチウム二次電池を実現できる負極材料、その製造方法、同負極材料を用いて形成したリチウム二次電池を提供することができるので、好ましい。
【0083】
以上のようにして製造した本発明の圧密化黒鉛粒子、あるいは、この圧密化黒鉛粒子に表面処理、若しくは炭素被覆を施した圧密化黒鉛粒子を用いて、リチウムイオン二次電池の負極を調製する方法は特に限定されないが、その調製方法の一例を以下に示す。
【0084】
圧密化黒鉛粒子に、バインダー(例えば、PVDF:ポリビニリデンフルオライド)を溶解した溶剤(例えば、1−メチル−2−ピロリドン)を加え、十分に混練する。この操作により、黒鉛粒子濃度40wt%以上の高濃度の黒鉛粒子スラリーを調製することができる。
【0085】
バインダーには公知の材料、例えばポリテトラフルオロエチレン等の各種のフッ素樹脂などを用いることができる。これらの中でもPVDFが最適である。
またカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)のような水溶性樹脂、あるいはこれらの水溶性樹脂とスチレンブタジエンラバー(SBR)等のラテックスとの混合物なども用いることができる。なお、黒鉛粒子とバインダーとの混合比(重量比)は100:2〜100:10となるように黒鉛粒子スラリーを調製することが望ましい。
【0086】
この黒鉛粒子スラリーを、例えば銅箔等の金属箔からなる集電体にドクターブレード等を用いて20〜100μmの厚みにコーティングする。これを乾燥させることにより、黒鉛粒子が金属箔集電体に密着する。必要があれば加圧して密着性を高め、且つコーティング層の厚みを均一化し、コーティング層を高密度化する。
【0087】
正極材料は特に限定されないが、当業者に公知のLiCoO2、LiNiO2又はLiMn2O4等のリチウム含有化合物、或はこれらの混合物が好適である。粉末状の正極材料は、必要があれば導電材を加え、バインダーを溶解した溶剤等と十分に混練後、集電体と共に成型して調製できる。又、セパレーターについても特に限定はなく、公知の材料を用いることができる。
【0088】
電解液の主溶媒である非水溶媒としては、リチウム塩を溶解する非プロトン性低誘電率の公知の溶媒が挙げられる。例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート(以下DMCと略す)、メチルエチルカーボネート(以下MECと略す)、プロピレンカーボネート、ジエチレンカーボネート、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン、1、3−ジオキソラン、4−メチル−1、3−ジオキソラン、1、2−ジメトキシエタン、1、2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒を単独で、又は2種以上の溶媒を混合して用いることができる。
【0089】
電解質として用いるリチウム塩としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCl、L iBr、CH3SO3Li、CF3SO3Li等があり、これらの塩を単独、又は2種類以上の塩を混合して用いることができる。
【0090】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0091】
【実施例】
以下の実施例1〜9においては、各物性値は以下の方法で測定した。
【0092】
タップ密度: 10mlのガラス製メスシリンダーに試料を入れてタッピングし、試料の容積が変化しなくなったところで試料容積を測定し、試料重量を試料容積で除した値をタップ密度とした。
【0093】
結晶格子定数C0(002)及びC軸方向の結晶の大きさLC(002):東芝製X線回折装置XC−40Hを用い、Cu−Kα線をNiで単色化し、高純度シリコンを標準物質として学振法で測定した。
【0094】
アスペクト比:日本電子製走査型電子顕微鏡JSM−5300での撮影画面から試料粒子を、円盤状の形状の粒子と、紡錘状の形状の粒子とに類別した。これらの形状の粒子それぞれについて、最大粒子径と厚みを測定し、最大粒子径を厚みで除した値をアスペクト比とした。即ち粒子の形状が円盤状の場合は、粒子の径を厚みで除した値をアスペクト比とし、粒子の形状が紡錘状の場合は、粒子の軸長を径(厚み)で除した値をアスペクト比とした。更に上記顕微鏡撮影画面からニコレ製画像解析装置LUZEXIIIUを用い、上記の円盤状の形状の粒子、及び紡錘状の形状の粒子のそれぞれについて、粒子全体に対する存在割合を算出した。
【0095】
比表面積: 日本ベル製表面積測定装置を用い、液体窒素温度で窒素吸着量を多点法で測定し、BET法で比表面積を求めた。
【0096】
(実施例1〜4)
タップ密度0.42g/cm3の鱗片状天然黒鉛を原料黒鉛として用い、内容積3リットルのバッチ式振動ロッドミル又は振動ボールミルで圧密化処理試験を行った。圧密化処理の試験条件、及び圧密化処理の試験結果を表1に示す。なお、振動ロッドミル又は振動ボールミルの何れの振動ミルについても、振動数は16.5Hz、片振幅は7.4mmとした。
【0097】
【表1】
(実施例5〜6)
タップ密度0.42g/cm3の鱗片状天然黒鉛を原料黒鉛として用い、排出部に開孔率3%の堰を設けた内容積100リットル(上下の粉砕ドラムの内容積は各50リットル)の連続式式振動ロッドミルで圧密化処理試験を行った。圧密化処理の試験条件、及び圧密化処理の試験結果を表2に示す。なお、実施例5及び6の何れについても、メディアであるロッドの直径は32mm、占有率は60体積%とした。
【0098】
【表2】
(実施例7)
タップ密度0.56g/cm3の人造黒鉛を原料黒鉛として用い、排出部に開孔率3%の堰を設けた内容積100リットル(上下の粉砕ドラムの内容積は各50リットル)の連続式式振動ロッドミルで圧密化処理試験を行った。圧密化処理の試験条件、及び圧密化処理の試験結果を表3に示す。なお、メディアであるロッドの直径は32mm、占有率は60体積%とした。
【0099】
【表3】
(実施例8)
タップ密度0.35g/cm3の鱗片状天然黒鉛を原料黒鉛として用い、排出部に開孔率3%の堰を設けた内容積100リットル(上下の粉砕ドラムの内容積は各50リットル)の連続式式振動ロッドミルで圧密化処理試験を行った。この際、53μm篩上黒鉛粒子は再び連続式式振動ロッドミルに返す循環回路を設けて圧密化処理試験を行った。圧密化処理の試験条件、及び圧密化処理の試験結果を表4に示す。なお、メディアであるロッドの直径は32mm、占有率は70体積%とした。
【0100】
【表4】
表1、2、3、及び4から明らかなように、圧密化処理後の黒鉛粒子は、圧密化処理前の黒鉛粒子と比較して、タップ密度が極めて高いことがわかる。また、圧密化処理後の黒鉛粒子は、53μm篩下粒子の割合が多く、低いアスペクト比の粒子の割合が多いにもかかわらず、結晶格子定数C0(002)は小さく、C軸方向の結晶の大きさLC(002)は大きいことがわかる。
【0101】
(実施例9)
実施例8で得られた圧密化黒鉛粒子を基材として、流動床反応器において熱化学蒸着処理して炭素被覆圧密化黒鉛粒子を得た。
【0102】
具体的には、前記基材60kgを前記流動床反応器に仕込み、窒素を50L/分の流量で供給した。この状態で反応器内を昇温して反応器内が1000℃に到達した後、炭素源としてトルエンを40モル%含む窒素とトルエンとの混合ガスを50mL/分の流量で反応器内に供給した。この状態で黒鉛粒子を120分間熱化学蒸着処理した。
【0103】
上記の熱化学蒸着処理して得られた炭素被覆圧密化黒鉛粒子を負極材料として用いて、表5の条件で、評価試験用のリチウムイオン二次電池を作製した。この電池を用い、上記炭素被覆圧密化黒鉛粒子について、表5の条件でリチウムイオン二次電池用負極材料としての評価試験を行った。その評価試験結果を、上記炭素被覆圧密化黒鉛粒子の比表面積、タップ密度と共に表6に示す。
【0104】
【表5】
【0105】
【表6】
表6に示すように、実施例9の炭素被覆圧密化黒鉛粒子は、タップ密度は1.24g/cm3と極めて高いものであった。
【0106】
リチウムイオン二次電池負極の作製に際しては、所定量の黒鉛粒子を少量の溶剤で濡らすことができ、スラリー調製時の作業性は極めて良好であった。
【0107】
リチウムイオン二次電池用負極材料としての評価試験においては、表6に示すように、充電容量、放電容量、及び効率とも極めて高いものであった。
【0108】
【発明の効果】
本発明の圧密化黒鉛粒子は、アスペクト比が低い粒子を所定量以上含み、且つ嵩密度が高い黒鉛粒子であるため、黒鉛密度が高く、等方性が高い成型品を得ることができる、成型品のフィラーとして適した黒鉛粒子である。特に、上記の高密度成型品の作製に際しては、所定量の黒鉛粒子を少量の溶剤で濡らすことができ、高濃度のスラリーを容易に調製時することができる。
【0109】
本発明の圧密化黒鉛粒子の製造方法は、原料黒鉛粒子に例えば振動ミルを用いて行うように衝撃を加えて前記黒鉛を圧密化することにより、上記の圧密化黒鉛粒子の実用的な規模で経済的な製造を可能にしている。
【0110】
上記の圧密化黒鉛粒子の製造方法は、原料としての黒鉛の結晶性を低下させずに圧密化することができるので、圧密化黒鉛粒子の製造方法として、より好ましいものである。
【0111】
上記の黒鉛粒子の圧密化に際して、圧密化された粒子を粒度別に分けること、圧密化を連続式にすること、粒度別に分けた粗粒分の再圧密化を繰り返すこと等によって、上記の黒鉛粒子の圧密化を更に高くすることができる。
【0112】
ところで、通常の炭素が低結晶性であり真密度が低いのに対して、黒鉛は高結晶性であり真密度が高いものである。そのため、フィラーとして黒鉛を用いたリチウムイオン二次電池負極は、黒鉛粒子個々の体積当たりの放電容量は高いものである。
【0113】
その結果、本発明の圧密化黒鉛粒子を用いたリチウムイオン二次電池負極は、本来通常の黒鉛粒子を用いた負極が有している黒鉛粒子個々の体積当たりの放電容量が高いのみならず、負極そのものの体積当たりの放電容量が高いという特性も有するものである。
【0114】
また、本発明の圧密化黒鉛粒子の低いアスペクト比に起因して、負極の成型時において黒鉛の選択的配向を防止することができ、黒鉛の配向の均一性は極めて高いものである。そのため、本発明の圧密化黒鉛粒子を用いたリチウムイオン二次電池負極は、負極厚み方向にも高い導電性を有するものである。
【0115】
更に、前記圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で被覆した圧密化黒鉛粒子を用いてリチウムイオン二次電池を形成する場合は、負極そのものの密度が高く、負極の容積当たりの放電容量が高いばかりでなく、充放電時における電解液溶媒の分解を抑制するリチウムイオン二次電池を得ることができる。
【0116】
一方、本発明の圧密化黒鉛粒子を燃料電池用セパレーターに用いる場合は、セパレーターの黒鉛密度が高いことに起因してガス透過性が低く、同時にセパレーターの厚み方向にも導電性が高い燃料電池用セパレーターを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧密化黒鉛粒子を製造する際に用いる連続式圧密化装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の圧密化黒鉛粒子を製造する際に用いる連続式圧密化装置の他の例を示す概略図である。
【図3】円盤状圧密化黒鉛粒子の一例を示す電子顕微鏡写真である。
【図4】紡錘状圧密化黒鉛粒子の一例を示す電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
2 ホッパー
4 定量供給機
6 振動ミル
8 篩
10 篩下の圧密化黒鉛粒子
12 篩上の圧密化黒鉛粒子
22 ホッパー
24 定量供給機
26 振動ミル
28 篩
30 篩下の圧密化黒鉛粒子
32 篩上の圧密化黒鉛粒子
34 粉体搬送機
Claims (7)
- アスペクト比が1〜5の、ベーサルプレーンで積層した紡錘状をなす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の、ベーサルプレーンで積層した円盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若しくは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3である事を特徴とする圧密化黒鉛粒子。
- アスペクト比が1〜5の、ベーサルプレーンで積層した紡錘状をなす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の、ベーサルプレーンで積層した円盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若しくは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以上であり、且つ前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量と前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量との合計が60体積%以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3である事を特徴とする圧密化黒鉛粒子。
- 直径10〜30mmのロッドを用いる振動ロッドミル又は直径5〜40mmのボールを用いる振動ボールミルを用いて、原料黒鉛粒子に片振幅が5〜10mmで振動周波数が10〜25ヘルツの衝撃力を加えて圧密化することを特徴とする、アスペクト比が1〜5の、ベーサルプレーンで積層した紡錘状をなす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の、ベーサルプレーンで積層した円盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若しくは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3である圧密化黒鉛粒子の製造方法。
- 原料黒鉛粒子がタップ密度0.6g/cm3以下の黒鉛粒子 である請求項3に記載の圧密化黒鉛粒子の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の圧密化黒鉛粒子を製造するに当たって、原料黒鉛粒子を直径10〜30mmのロッドを用いる振動ロッドミル又は直径5〜40mmのボールを用いる振動ボールミルを用いて原料黒鉛粒子に片振幅が5〜10mmで振動周波数が10〜25ヘルツの衝撃力を加えて圧密化して、第一次圧密化黒鉛粒子を得、前記第一次圧密化黒鉛粒子を篩に掛けて、第一次篩上圧密化黒鉛粒子と第一次篩下圧密化黒鉛粒子とを得、前記第一次篩上圧密化黒鉛粒子を前記振動ロッドミル又は振動ボールミルに戻して再び圧密化して、第二次圧密化黒鉛粒子を得、前記第二次圧密化黒鉛粒子を再び篩に掛けることを繰り返し、各篩下圧密化黒鉛粒子を併せて圧密化黒鉛粒子を得ることを特徴とする圧密化黒鉛粒子の製造方法。
- 請求項3乃至5の何れかに記載の製造方法によって得られる圧密化黒鉛粒子。
- 請求項1、2又は6に記載の圧密化黒鉛粒子、あるいは前記圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で被覆した圧密化黒鉛粒子からなるリチウムイオン二次電池用負極材料。
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