JP3100201B2 - サフランのプロトプラストの培養方法 - Google Patents

サフランのプロトプラストの培養方法

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JP3100201B2 JP03296650A JP29665091A JP3100201B2 JP 3100201 B2 JP3100201 B2 JP 3100201B2 JP 03296650 A JP03296650 A JP 03296650A JP 29665091 A JP29665091 A JP 29665091A JP 3100201 B2 JP3100201 B2 JP 3100201B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はサフランのプロトプラス
トを培養する方法に関する。更に詳しくは、遺伝的修飾
を加えるのに最も適した細胞であるプロトプラストを培
養することにより、サフラン中の有効成分の1つである
色素について、色素生産性がよく、且つ増殖率の高い細
胞開発への道を拓く培養方法に関する。
【0002】
【従来の技術】サフランはアヤメ科の多年生草本クロッ
カス・サティバス L.(Crocus Sativus L.)であり、
柱頭部を乾燥したものを生薬として用いる。スペイン、
フランス、イタリア、わが国では広島、香川、大分、岩
手の各県で生産されている。成分としては、カロチノイ
ド色素約2%を含み、その成分はクロシン(クロセチン
の配糖体)で、また苦味配糖体ピクロクロシン(Picroc
rocin )約2%、精油0.4〜1.3%を含む。精油の
主成分はサフラナール(生薬特有の芳香成分)である。
【0003】このサフランは香辛料、食品用着色料とし
て、或いは薬用として利用されているが、そのメシベの
乾燥物を利用するので天然物では、取れる量が少なく、
その単価も非常に高い。また、天然品では気候の変化を
受け、一定の品質のものが得られにくい。そこで、組織
培養が各種試みられている。
【0004】例えば、特開昭62−275617号公報
には、クロッカス・サティバス L.すなわちサフラン
の雌ずい又はそれに相当する器官をサイトカイニン又は
サイトカイニン及びオーキシンを含有する人工培養基に
て生長、肥大成熟させる方法が開示されている。サイト
カイニンは古くより植物培養細胞の細胞分裂を誘起する
物質として知られており、又オーキシンと併用すること
で、カルスの誘導や細胞増殖が促進されることも知られ
ている。
【0005】特開昭63−109788号公報には、ク
ロッカス・サティバス L.の雌性器官を摘出してサイ
トカイニンを含有する人工培養基で培養し、サフラナー
ル、ピクロクロシン及びそれらの類似体、クロシン、ク
ロセチン及びそれらの類似体よりなる群より選ばれた1
以上の物質を生産するものである。しかし、サフランの
雌ずいに、これらの物質が含まれていることは古くより
知られていることである。
【0006】特開昭63−160580号公報には、ク
ロッカス属植物のカルスを植物ホルモン添加のMS培地
で培養するものである。植物組織の培養にオーキシンや
サイトカイニン等の植物ホルモンを使用することは古く
よりよく知られており、ムラシゲ・スクーグ培地も通常
用いられている培地である。
【0007】特開昭63−258574号公報には、サ
フランの柱頭、花柱、子房、胚珠、花弁の部分を摘出
し、これを切り分けた組織をサイトカイニンとオーキシ
ンを添加したLS培地又はB5培地に移植し、継代培養
するものである。植物の部分を摘出、切り分けて培養す
ることは古くより行なわれ、サイトカイニンやオーキシ
ンの植物ホルモンも通常使用され、リンスマイヤー・ス
クーグの培地、ガンボルグ培地なども通常用いられてい
る培地である。
【0008】これらの何れの方法を試験しても、それほ
どサフランの有効成分の増殖の速度が増すことはない
し、有効成分が飛躍的に増産されるわけではない。これ
らの方法は、植物体の一部を切りとり、適当な条件下で
培養して得られる、いわゆるカルス誘導法に関するもの
である。サフランに遺伝的修飾を加えるのに最も適した
細胞であるプロトプラストの培養については、何らの報
告もされていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、サフ
ランの有効成分の一つであるクロシン、クロセチンの色
素をより効率的に得るために、遺伝的修飾を加えるのに
最も適した細胞であるサフランのプロトプラストの培養
方法を提供することにより、細胞融合、形質転換への道
を拓くことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】本発明者は、前記課題を解決するため鋭意
研究を行った結果、サフランの細胞をプロトプラストに
し、このプロトプラストを特定の条件で培養することに
よりはじめて効率的に培養し得ることを見い出し、本発
明を完成した。これによって、細胞融合、形質転換への
道が拓け、色素生産性がよく、且つ増殖率の高いサフラ
ン細胞を得る見通しができた。
【0011】すなわち本発明は、サフランのプロトプラ
ストをアガロースに埋め込んだ状態で固体培養すること
を特徴とするサフランのプロトプラストの培養方法であ
る。
【0012】先づサフランのプロトプラストの作成方法
について述べる。用いる細胞は培養したものでも植物体
から切り出したものでも差し支えない。植物体から切り
出したものを利用する場合は常法で滅菌したサフランの
切片を用い、培養したものを用いる場合は例えば本出願
人による特願平3−179053号の方法も用いること
ができる。
【0013】これに用いる培地としては、特に限定され
ずムラシゲ・スクーグ(Murashigeand Skoog)の培地、
ホワイト(White) の培地、ガンボルグ(Gamborg) らの培
地、ニッチュ(Nitsch)の培地、ヘラー(Heller)の培地、
シェンク・ヒルデブランド(Schenk and Hildebrandt)の
培地、ニッチュ・ニッチュ(Nitsch and Nitsch) の培
地、ノップ(Knop)の培地、リンスマイヤー・スクーグ(L
insmaier and Skoog) の培地などの培地がある。
【0014】これらの培地に、必要により、植物生長調
節物質として知られるサイトカイニン、オーキシンを添
加してもよい。サイトカイニンとしては、ベンジルアデ
ニン、ゼアチン、カイネチン等が例示でき、これらをそ
の種類によって異なるが、添加するときは、0.01〜
20ppm 添加する。オーキシンにはナフタレン酢酸、イ
ンドール酢酸、2,4‐ジクロロフェノキシ酢酸等が例
示でき、これらをその種類によって異なるが添加すると
きは0.01〜20ppm 添加する。
【0015】また、必要により、他の培地用薬剤も添加
することができる。また、温度は20〜25℃で暗所で
培養する。
【0016】これに浸透圧調整用としてグルコース、サ
ッカロース、マンニトール、ソルビトール、フィコー
ル、パコール等を0.3〜0.7モル、PHは4.5〜
6.5に調整した溶液の中で所定の酵素を作用させる。
酵素として細胞壁溶解酵素のセルラーゼ、ドリセラー
ゼ、マセロザイム、ペクトリアーゼ等をそれぞれ0.0
5〜2.0%を好ましくは2種類以上を合計0.1〜
6.0%、温度は25〜35℃で作用時間は条件によっ
て異なるが1〜5時間作用させる。
【0017】このような方法で得たサフランのプロトプ
ラストを培養することになるが、この培養方法として、
サフランの場合、アガロースゲルに埋め込んだ状態で培
養しなければ、コロニーとして発育しないか、発育が悪
い。その方法は液体培地にアガロースが0.3〜0.7
%になるように加えた培地にプロトプラストを包埋され
るように入れる。例えばプロトプラストの懸濁液をピペ
ットで吸い上げた後、アガロースゲルの培地に突き刺
し、その後中身を押し出してゲル中にプロトプラストを
包埋する。
【0018】アガロースは市販のものでよく、できれば
低融点アガロースがよい。アガロースは、寒天をピリジ
ン中で無水酢酸でアセチル化したアセテートのクロロホ
ルム可溶部を脱アセチルして得られ、〔C1214
5 (OH)4 n の式で表わされる多糖類で、ほとんど
D‐ガラクトースと、3,6‐アンヒドロ‐L‐ガラク
トースのみから成り、その存在比は1:1である。これ
に用いる培地としては、特に限定されずムラシゲ・スク
ーグ(Murashigeand Skoog)の培地、ホワイト(White)
の培地、ガンボルグ(Gamborg) らの培地、ニッチュ(Nit
sch)の培地、ヘラー(Heller)の培地、シェンク・ヒル
デブランド(Schenk and Hildebrandt)の培地、ニッチュ
・ニッチュ(Nitsch and Nitsch) の培地、ノップ(Knop)
の培地、リンスマイヤー・スクーグ(Linsmaier and Sko
og)の培地などの培地がある。
【0019】これらの培地に、必要により、植物生成調
節物質として知られるサイトカイニン、オーキシンを添
加してもよい。サイトカイニンとしては、ベンジルアデ
ニン、ゼアチン、カイネチン等が例示でき、これらをそ
の種類によって異なるが、添加するときは0.01〜2
0ppm添加する。オーキシンにはナフタレン酢酸、イン
ドール酢酸、2,4‐ジクロロフェノキシ酢酸等が例示
でき、これらをその種類によって異なるが添加するとき
は0.01〜20ppm 添加する。
【0020】また、必要により、他の培地用薬剤も添加
することができる。また、温度は20〜25℃で暗所で
培養する。
【0021】
【実施例】以下に実施例によって本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれに限定されるものではい。 (実施例1) a、細胞の選択 花芽が10cm位に伸びたサフランの球根の外皮を剥き変
色した部分を除去した後、流水で3時間洗浄した。10
%塩化ベンザルコニウムに3〜4秒、70%エタノール
に1〜2秒、5%次亜塩素酸ナトリウムに20〜40分
浸漬した。そののちは無菌的に行った。花芽を球根の部
分を残して切り取り滅菌水で3回洗浄した。次に花芽か
ら蕾を取り出して切開しメシベを花柱を長くつけた状態
で取り出し培地に接種した。培地はMurashige
and Skoogの培地にサッカロース4%、寒天
末0.9%、PH5.8に調整した。これにナフタレン
酢酸10ppm 、ベンジルアデニン1ppm を加えた。
【0022】b、プロトプラスト化 この条件で培養したサフランカルスをセルラーゼ1.0
%、ドリセラーゼ2.0%、マセロザイム0.5%、マ
ンニトール0.6モル、pH5.8の酵素液中で30℃
1時間振とうさせ検鏡で確認後、200メッシュのナイ
ロンメッシュで濾過後、メッシュを通過する部分を60
0rpm で遠心分離を行いプロトプラストを得た。これを
密度5×104 cell/mlになるように0.6モルマンニ
トール水溶液に懸濁した。
【0023】c、培養方法 MS培地にサッカロース4%と2,4‐ジクロロフェノ
キシ酢酸0.5ppm 、カイネチン0.1ppm をpH5.
8に調製し、アガロース0.6%を添加し加熱撹拌後ガ
ラスシャーレに分注し固化した。これにプロトプラスト
0.6モルマンニトール水溶液懸濁液をガラス管で吸い
上げゲルに突き刺し中身を押し出しサフランプロトプラ
ストをアガロースゲルに包埋した。これをパラフィルム
で密封し23℃暗所で2か月培養した。
【0024】(比較例1)実施例1と同様にa、細胞の
選択b、プロトプラスト化したものを以下の如く培養し
た。MS培地にサッカロース4%と2,4‐ジクロロフ
ェノキシ酢酸0.5ppm 、カイネチン0.1mmp をpH
5.8に調整し、アガロース0.6%を添加し加熱撹拌
後ガラスシャーレに分注し固化した。これにプロトプラ
スト0.6モルマンニトール水溶液懸濁液を滴下し、こ
れをパラフィルムで密封し23℃暗所で2か月培養し
た。
【0025】(比較例2)実施例1と同様にa、細胞の
選択b、プロトプラスト化したものを以下の如く培養し
た。MS培地にサッカロース4%と2,4‐ジクロロフ
ェノキシ酢酸0.5ppm 、カイネチン0.1mmp をpH
5.8に調整し、寒天末0.6%を添加し加熱撹拌後ガ
ラスシャーレに分注し固化した。これにプロトプラスト
0.6モルマンニトール水溶液懸濁液をガラス管で吸い
上げゲルに突き刺し中身を押し出しサフランプロトプラ
ストを寒天ゲルに包埋した。これをパラフィルムで密封
し23℃暗所で2か月培養した。実施例、比較例とも同
量のプロトプラストを培養した。
【0026】培養結果を表1に示す。
【表1】
【0027】
【発明の効果】このようにアガロースにプロトプラスト
を包埋することによって、プロトプラストの培養が容易
になり、その中から有効なコロニーを選択することによ
って、サフランの中の有効成分を大量に生産することが
可能となる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サフランのプロトプラストをアガロース
    に埋め込んだ状態で固体培養することを特徴とするサフ
    ランのプロトプラストの培養方法。
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