JP2702201B2 - ファイトエクダイステロイドの製法とファイトエクダイステロイド含有誘発根及びカルス - Google Patents
ファイトエクダイステロイドの製法とファイトエクダイステロイド含有誘発根及びカルスInfo
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- JP2702201B2 JP2702201B2 JP63332352A JP33235288A JP2702201B2 JP 2702201 B2 JP2702201 B2 JP 2702201B2 JP 63332352 A JP63332352 A JP 63332352A JP 33235288 A JP33235288 A JP 33235288A JP 2702201 B2 JP2702201 B2 JP 2702201B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、有害生物の防除及び有用生物の生育制御等
に有用なファイトエクダイステロイドの製法と、ファイ
トエクダイステロイド含有誘発根及びカルスに関する。
に有用なファイトエクダイステロイドの製法と、ファイ
トエクダイステロイド含有誘発根及びカルスに関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] ファイトエクダイステロイドは、昆虫の脱皮変態ホル
モンであり、全ての節足動物に含まれ、脱皮変態の制御
を行なう生理活性物質である。従って、ファイトエクダ
イステロイドを散布し、害虫の過剰脱皮、異常変態や脱
皮阻害を誘引することによる殺虫剤としての利用、カイ
コへの投与による吐糸の誘導、エビ・カニ類等の甲殻類
の海産養殖業において脱皮を制御する薬剤としての利用
の他、神経痛、リューマチの鎮痛剤等としての利用が期
待されている。これらの利用分野においては多量のファ
イトエクダイステロイドが必要となる。
モンであり、全ての節足動物に含まれ、脱皮変態の制御
を行なう生理活性物質である。従って、ファイトエクダ
イステロイドを散布し、害虫の過剰脱皮、異常変態や脱
皮阻害を誘引することによる殺虫剤としての利用、カイ
コへの投与による吐糸の誘導、エビ・カニ類等の甲殻類
の海産養殖業において脱皮を制御する薬剤としての利用
の他、神経痛、リューマチの鎮痛剤等としての利用が期
待されている。これらの利用分野においては多量のファ
イトエクダイステロイドが必要となる。
従来、β−エクダイソンで代表されるファイトエクダ
イステロイドの製法としては、β−エクダイソンを含有
する昆虫、例えば、カイコ(Bombyxmori)から抽出する
方法が知られている。しかしながら、昆虫のβ−エクダ
イソン含量は極めて微量であるため、多量の昆虫から極
少量のβ−エクダイソンしか抽出できない。一方、1968
年以来、昆虫の含有するβ−エクダイソン及びそれと同
様の構造と活性を持つエクダイステロイドが、植物から
次々と発見された。これらはファイトエクダイステロイ
ドと総称されている。これらの植物におけるファイトエ
クダイステロイド含有量は、昆虫のそれと比較して高
く、現在では、専ら植物、例えば、ウラボシ属のポリポ
ディウム・ブルガレ(Polypodoum vulgare)から抽出さ
れている。しかしながら、ファイトエクダイステロイド
含有植物の多くは、シダ植物や木本類の雑草もしくは熱
帯地方の植物であるため、国内で必要量採集もしくは栽
培しファイトエクダイステロイドの抽出材料として用い
ることは困難である。また適当な栽培法が明らかでない
だけでなく、季節、土質、病害、虫害等の自然条件に大
きく左右され、あるいは生育が遅い等の理由により、常
時一定量供給することが困難である。さらにはファイト
エクダイステロイド含量も一定せず、品質のばらつきが
生じるという問題もある。従って、上記の方法は、ファ
イトエクダイステロイドの大量生産に適当でない。
イステロイドの製法としては、β−エクダイソンを含有
する昆虫、例えば、カイコ(Bombyxmori)から抽出する
方法が知られている。しかしながら、昆虫のβ−エクダ
イソン含量は極めて微量であるため、多量の昆虫から極
少量のβ−エクダイソンしか抽出できない。一方、1968
年以来、昆虫の含有するβ−エクダイソン及びそれと同
様の構造と活性を持つエクダイステロイドが、植物から
次々と発見された。これらはファイトエクダイステロイ
ドと総称されている。これらの植物におけるファイトエ
クダイステロイド含有量は、昆虫のそれと比較して高
く、現在では、専ら植物、例えば、ウラボシ属のポリポ
ディウム・ブルガレ(Polypodoum vulgare)から抽出さ
れている。しかしながら、ファイトエクダイステロイド
含有植物の多くは、シダ植物や木本類の雑草もしくは熱
帯地方の植物であるため、国内で必要量採集もしくは栽
培しファイトエクダイステロイドの抽出材料として用い
ることは困難である。また適当な栽培法が明らかでない
だけでなく、季節、土質、病害、虫害等の自然条件に大
きく左右され、あるいは生育が遅い等の理由により、常
時一定量供給することが困難である。さらにはファイト
エクダイステロイド含量も一定せず、品質のばらつきが
生じるという問題もある。従って、上記の方法は、ファ
イトエクダイステロイドの大量生産に適当でない。
一方、植物組織培養技術を応用することにより、一定
品質の植物原料及び有用物質を大量生産する試みがなさ
れている。例えば、ファイトエクダイステロイド含有植
物を脱分化させて得られる細胞塊(カルス)を培養し、
ファイトエクダイステロイドを抽出する方法が報告され
ている。しかしながら、イノコヅチ(Achyranthes)属
のヒナタイノコズチ(A.fauriei)では、ファイトエク
ダイステロイドの含有量が、新鮮重量に対して0.002%
以下である「ケミカル・アンド・ファーマシューティカ
ル・バレティン(Chemical and Pharmaceutical Bullet
in),19,438−439,(1971)、および薬学雑誌,95,
(5),581−589,(1975)参照]。このように、植物組
織培養技術を用いて誘発根やカルスを誘導しても、起源
植物と比較してファイトエクダイステロイドの含有量が
極めて少量であり、ファイトエクダイステロイドを効率
的かつ多量に得ることが困難である。またこれらの方法
では、誘発根やカルスの誘導に際して植物ホルモンを必
要とする。
品質の植物原料及び有用物質を大量生産する試みがなさ
れている。例えば、ファイトエクダイステロイド含有植
物を脱分化させて得られる細胞塊(カルス)を培養し、
ファイトエクダイステロイドを抽出する方法が報告され
ている。しかしながら、イノコヅチ(Achyranthes)属
のヒナタイノコズチ(A.fauriei)では、ファイトエク
ダイステロイドの含有量が、新鮮重量に対して0.002%
以下である「ケミカル・アンド・ファーマシューティカ
ル・バレティン(Chemical and Pharmaceutical Bullet
in),19,438−439,(1971)、および薬学雑誌,95,
(5),581−589,(1975)参照]。このように、植物組
織培養技術を用いて誘発根やカルスを誘導しても、起源
植物と比較してファイトエクダイステロイドの含有量が
極めて少量であり、ファイトエクダイステロイドを効率
的かつ多量に得ることが困難である。またこれらの方法
では、誘発根やカルスの誘導に際して植物ホルモンを必
要とする。
従って、本発明の目的は、ファイトエクダイステロイ
ド含有量の多い培養細胞を得、その細胞によりファイト
エクダイステロイドを生産させることによって、自然条
件に左右されることなく、一定品質のファイトエクダイ
ステロイドを安定供給するファイトエクダイステロイド
の製法を確立することにある。
ド含有量の多い培養細胞を得、その細胞によりファイト
エクダイステロイドを生産させることによって、自然条
件に左右されることなく、一定品質のファイトエクダイ
ステロイドを安定供給するファイトエクダイステロイド
の製法を確立することにある。
本発明の他の目的は、組織培養により多量のファイト
エクダイステロイドを効率的に得ることができるファイ
トエクダイステロイドの製法を提供することにある。
エクダイステロイドを効率的に得ることができるファイ
トエクダイステロイドの製法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、植物ホルモンがなくて
も、ファイトエクダイステロイド含有量の多い細胞を増
殖でき、多量のファイトエクダイステロイドを効率的に
得ることができるファイトエクダイステロイドの製法を
提供することにある。
も、ファイトエクダイステロイド含有量の多い細胞を増
殖でき、多量のファイトエクダイステロイドを効率的に
得ることができるファイトエクダイステロイドの製法を
提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ファイトエクダイステロ
イド生産能の高いファイトエクダイステロイド含有誘発
根及びカルスを提供することにある。
イド生産能の高いファイトエクダイステロイド含有誘発
根及びカルスを提供することにある。
[発明の構成] 本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重
ねた結果、ファイトエクダイステロイド含有植物に特定
のアグロバクテリウム属細菌を感染させたり、特定の植
物では、アグロバクテリウム属細菌で感染させなくと
も、組織培養により、多量のファイトエクダイステロイ
ドを含有する培養物が得られることを見い出した。すな
わち、本発明は、ファイトエクダイステロイド含有植物
にアグロバクテリウム(Agrobacterium)属に属するメ
ロン毛根病菌を感染させて組織培養し、生成した培養物
からファイトエクダイステロイドを抽出したり、バイテ
ックス・ストリッケリ(Vitex strickeri)、バイテッ
クス・ドニアナ(Vitex doniana)およびバイテックス
・ミクランタ(Vitex micrantha)から選択されたバイ
テックス属植物を組織培養し、生成した培養物からファ
イトエクダイステロイドを抽出するファイトエクダイス
テロイドの製法により、上記課題を解決するものであ
る。なお、上記各培養物としては、誘発根の培養物、カ
ルスもしくはそれから再生した植物体が好ましい。
ねた結果、ファイトエクダイステロイド含有植物に特定
のアグロバクテリウム属細菌を感染させたり、特定の植
物では、アグロバクテリウム属細菌で感染させなくと
も、組織培養により、多量のファイトエクダイステロイ
ドを含有する培養物が得られることを見い出した。すな
わち、本発明は、ファイトエクダイステロイド含有植物
にアグロバクテリウム(Agrobacterium)属に属するメ
ロン毛根病菌を感染させて組織培養し、生成した培養物
からファイトエクダイステロイドを抽出したり、バイテ
ックス・ストリッケリ(Vitex strickeri)、バイテッ
クス・ドニアナ(Vitex doniana)およびバイテックス
・ミクランタ(Vitex micrantha)から選択されたバイ
テックス属植物を組織培養し、生成した培養物からファ
イトエクダイステロイドを抽出するファイトエクダイス
テロイドの製法により、上記課題を解決するものであ
る。なお、上記各培養物としては、誘発根の培養物、カ
ルスもしくはそれから再生した植物体が好ましい。
さらには、本発明は、ファイトエクダイステロイド含
有植物にアグロバクテリウム属に属するメロン毛根病菌
を感染させたファイトエクダイステロイド含有誘発根や
カルスにより、上記課題を解決するものである。
有植物にアグロバクテリウム属に属するメロン毛根病菌
を感染させたファイトエクダイステロイド含有誘発根や
カルスにより、上記課題を解決するものである。
本発明では、昆虫の脱皮ホルモンであるβ−エクダイ
ソンで代表されるファイトエクダイステロイドを含む植
物を用いる。ファイトエクダイステロイドとしては、β
−エクダイソンの他に、α−エクダイソン、シダステロ
ン、ポナステロンA−C、イノコステロン、プテロステ
ロン、アジュガステロン、マキステロン、サイアステロ
ン、センゴステロン等、50種近くが知られている。
ソンで代表されるファイトエクダイステロイドを含む植
物を用いる。ファイトエクダイステロイドとしては、β
−エクダイソンの他に、α−エクダイソン、シダステロ
ン、ポナステロンA−C、イノコステロン、プテロステ
ロン、アジュガステロン、マキステロン、サイアステロ
ン、センゴステロン等、50種近くが知られている。
これらのファイトエクダイステロイドを含む植物とし
ては、ゼンマイ属(Osmunda)の例えばゼンマイ(O.jap
onica)等;シシガシラ属(Blechnum)の例えばシシガ
シラ(B.niponicum)やオキシダ(B.amabile)等;ヒメ
ウラジロ属(Cheilanthes)の例えばヒメウラジロ(C.a
rgentea)やミヤマウラジロ(C.brandtii)等;マメヅ
タ属(Lemmaphyllum)の例えばマロヅタ(L.microphyll
us)等;ヒメシダ属(Lastrea)の例えばヒメシダ(L.t
helypteris)等;マキ属(Podocarpus)の例えばイヌマ
キ(P.macrophyllum)やナギ(P.nagi)等;ラウボシ属
(Polypodium)の例えばミヤマウラボシ(P.veitchii)
等;ワラビ属(Pteridium)の例えばワラビ(P.aquilin
um)やオシャグジデンダ(P.japonicum)等;イチイ属
(Taxus)の例えばイチイ(T.cuspidata)等;タムラソ
ウ属(Serratula)の例えばタムラソウ(S.coronata)
等;ダクリジウム属(Dcrydium)の例えばダクリジウム
・インターメジウム(C.intermedium)等;アブタ属(A
buta)の例えばアブタ・ベルチナ(A.velutina)等;セ
スビウム属(Sesuvium)の例えばセスビウム・ポルチェ
ラカストラム(S.portulacastrum)等;パフィア属(Pf
affia)の例えばブラジルニンジン(P.iresinoides)
等;;イノコズチ属(Achyranthes)の例えばイノコズチ
(A.japonica)やヒナタイノコズチ(A.fauriei)等;
キランソウ属(Ajuga)の例えばアジュガ・レプタンス
・バー・アトロプアプレア(A.reptans var. atropurpu
rea)、キランソウ(A.decumbens)やヒメキランソウ
(A.pygmaea)等;バイテックス属(Vitex)の例えばバ
イテックス・セレチ(V.sereti)、バイテックス・レマ
ンニ(V.rehmanni)、バイテックス・マディエンシス
(V.madiensis)、バイテックス・チルシフロラ(V.thy
rsiflora)、バイテックス・グラブラタ(V.glabrat
a)、バイテックス・ミクランタ(V.micrantha)、バイ
テックス・ドニアナ(V.doniana)、バイテックス・ス
トリッケリ(V.strickeri)、バイテックス・モンバサ
エ(V.mombasae)、バイテックス・ブキャナニ(V.buch
ananii)、バイテックス・フェルギネア(V.ferrugine
a)等、33科250種以上に及んでいる[ジャーナル・オブ
ブ・サイエンティフィック・アンド・インダストリアル
・リサーチ(Journal of Scientific and Industrial R
esearch),38,632−647(1979)]。上記ファイトエク
ダイステロイド含有植物はいずれも使用できる。
ては、ゼンマイ属(Osmunda)の例えばゼンマイ(O.jap
onica)等;シシガシラ属(Blechnum)の例えばシシガ
シラ(B.niponicum)やオキシダ(B.amabile)等;ヒメ
ウラジロ属(Cheilanthes)の例えばヒメウラジロ(C.a
rgentea)やミヤマウラジロ(C.brandtii)等;マメヅ
タ属(Lemmaphyllum)の例えばマロヅタ(L.microphyll
us)等;ヒメシダ属(Lastrea)の例えばヒメシダ(L.t
helypteris)等;マキ属(Podocarpus)の例えばイヌマ
キ(P.macrophyllum)やナギ(P.nagi)等;ラウボシ属
(Polypodium)の例えばミヤマウラボシ(P.veitchii)
等;ワラビ属(Pteridium)の例えばワラビ(P.aquilin
um)やオシャグジデンダ(P.japonicum)等;イチイ属
(Taxus)の例えばイチイ(T.cuspidata)等;タムラソ
ウ属(Serratula)の例えばタムラソウ(S.coronata)
等;ダクリジウム属(Dcrydium)の例えばダクリジウム
・インターメジウム(C.intermedium)等;アブタ属(A
buta)の例えばアブタ・ベルチナ(A.velutina)等;セ
スビウム属(Sesuvium)の例えばセスビウム・ポルチェ
ラカストラム(S.portulacastrum)等;パフィア属(Pf
affia)の例えばブラジルニンジン(P.iresinoides)
等;;イノコズチ属(Achyranthes)の例えばイノコズチ
(A.japonica)やヒナタイノコズチ(A.fauriei)等;
キランソウ属(Ajuga)の例えばアジュガ・レプタンス
・バー・アトロプアプレア(A.reptans var. atropurpu
rea)、キランソウ(A.decumbens)やヒメキランソウ
(A.pygmaea)等;バイテックス属(Vitex)の例えばバ
イテックス・セレチ(V.sereti)、バイテックス・レマ
ンニ(V.rehmanni)、バイテックス・マディエンシス
(V.madiensis)、バイテックス・チルシフロラ(V.thy
rsiflora)、バイテックス・グラブラタ(V.glabrat
a)、バイテックス・ミクランタ(V.micrantha)、バイ
テックス・ドニアナ(V.doniana)、バイテックス・ス
トリッケリ(V.strickeri)、バイテックス・モンバサ
エ(V.mombasae)、バイテックス・ブキャナニ(V.buch
ananii)、バイテックス・フェルギネア(V.ferrugine
a)等、33科250種以上に及んでいる[ジャーナル・オブ
ブ・サイエンティフィック・アンド・インダストリアル
・リサーチ(Journal of Scientific and Industrial R
esearch),38,632−647(1979)]。上記ファイトエク
ダイステロイド含有植物はいずれも使用できる。
なお、上記ファイトエクダイステロイド含有植物のう
ち、バイテックス・ストリッケリ、バイテックス・ドニ
アナおよびバイテックス・ミクランタの3種のバイテッ
クス属植物はアグロバクテリウム属細菌で感染させなく
ても、組織培養により多量のファイトエクダイステロイ
ドを産生する。アグロバクテリウム属細菌で感染させな
い場合、バイテックス属植物の組織培養により生成した
培養物としては、誘発根、カルスあるいはこれらから再
生した植物体であってもよいが、カルスが好ましい。バ
イテックス属植物、特にバイテックス・ストリッケリ、
バイテックス・ドニアナ、バイテックス・マディエンシ
スやバイテックス・ミクランタ等はファイトエクダイス
テロイドを多量に含有する。特にバイテックス・ストリ
ッケリは、根の皮に乾重量当り約5重量%のβ−エクダ
イソンを含有する高含有植物である。これらのバイテッ
クス属植物は、アフリカ東部に自生する木本草物であ
り、その果実は、アフリカ等で薬用としても用いられて
いる。
ち、バイテックス・ストリッケリ、バイテックス・ドニ
アナおよびバイテックス・ミクランタの3種のバイテッ
クス属植物はアグロバクテリウム属細菌で感染させなく
ても、組織培養により多量のファイトエクダイステロイ
ドを産生する。アグロバクテリウム属細菌で感染させな
い場合、バイテックス属植物の組織培養により生成した
培養物としては、誘発根、カルスあるいはこれらから再
生した植物体であってもよいが、カルスが好ましい。バ
イテックス属植物、特にバイテックス・ストリッケリ、
バイテックス・ドニアナ、バイテックス・マディエンシ
スやバイテックス・ミクランタ等はファイトエクダイス
テロイドを多量に含有する。特にバイテックス・ストリ
ッケリは、根の皮に乾重量当り約5重量%のβ−エクダ
イソンを含有する高含有植物である。これらのバイテッ
クス属植物は、アフリカ東部に自生する木本草物であ
り、その果実は、アフリカ等で薬用としても用いられて
いる。
前記ファイトエクダイステロイド含有植物の組織培養
に供される器官は、葉、茎、根等のいずれであってもよ
い。特に表面殺菌の点から、葉や茎が好ましい。上記バ
イテックス属植物の器官を殺菌剤、例えば、1〜10重量
%次亜鉛素酸ナトリウム液、塩化水銀溶液やさらし粉溶
液等に浸漬後、殺菌水で十分に洗浄し、適当な大きさに
切断する。葉では例えば1cm×1cm程度、茎では例えば1c
m程度に切断するのが好ましい。
に供される器官は、葉、茎、根等のいずれであってもよ
い。特に表面殺菌の点から、葉や茎が好ましい。上記バ
イテックス属植物の器官を殺菌剤、例えば、1〜10重量
%次亜鉛素酸ナトリウム液、塩化水銀溶液やさらし粉溶
液等に浸漬後、殺菌水で十分に洗浄し、適当な大きさに
切断する。葉では例えば1cm×1cm程度、茎では例えば1c
m程度に切断するのが好ましい。
上記切片は、前記特定の3種のバイテックス属植物で
はそのまま組織培養してもよいが、効率的にファイトエ
クダイステロイドを産生させるため、アグロバクテリウ
ム属細菌を感染させるのが好ましい。
はそのまま組織培養してもよいが、効率的にファイトエ
クダイステロイドを産生させるため、アグロバクテリウ
ム属細菌を感染させるのが好ましい。
本発明では、アグロバクテリウム属細菌のうち後述の
メロン毛根病菌を用いるが、前記特定の3種のバイテッ
クス属植物に感染させる場合には、ファイトエクダイス
テロイド含有量の高い培養物の生成するアグロバクテリ
ウム属細菌であればいかなる菌株も使用できる。このよ
うなアグロバクテリウム属細菌としては、アグロバクテ
リウム・ツメファシンス(A.tumefaciens)やアグロバ
クテリウム・リゾゲネス(A.rhizogenes)が好ましい。
これらのバクテリアのうち、前者はTiプラスミド、後者
はRiプラスミドと呼ばれる巨大プラスミドを有してお
り、その一部のT−DNAが植物染色体に組込まれること
により形質転換が起こる。その際、T−DNA中にオーキ
シン類及びサイトカイニン類の合成に関与する遺伝子が
含まれているため、形質転換された植物細胞は、植物ホ
ルモンを含まない培地上で増殖でき、ファイトエクダイ
ステロイドの生産能が高い。
メロン毛根病菌を用いるが、前記特定の3種のバイテッ
クス属植物に感染させる場合には、ファイトエクダイス
テロイド含有量の高い培養物の生成するアグロバクテリ
ウム属細菌であればいかなる菌株も使用できる。このよ
うなアグロバクテリウム属細菌としては、アグロバクテ
リウム・ツメファシンス(A.tumefaciens)やアグロバ
クテリウム・リゾゲネス(A.rhizogenes)が好ましい。
これらのバクテリアのうち、前者はTiプラスミド、後者
はRiプラスミドと呼ばれる巨大プラスミドを有してお
り、その一部のT−DNAが植物染色体に組込まれること
により形質転換が起こる。その際、T−DNA中にオーキ
シン類及びサイトカイニン類の合成に関与する遺伝子が
含まれているため、形質転換された植物細胞は、植物ホ
ルモンを含まない培地上で増殖でき、ファイトエクダイ
ステロイドの生産能が高い。
アグロバクテリウム属細菌の菌株のうちアグロバクテ
リウム・ツメファシンスの菌株としては、C58、T37等の
ノパリン型Tiプラスミドを有する菌株、A6、B6、1595
5、Ach5等のオクトピン型Tiプラスミドを有する菌株、B
o542等のアグロピン型Tiプラスミドを有する菌株等が例
示される。またアグロバクテリウム・リゾゲネスの菌株
としては、アグロバクテリウム・リゾゲネスATCC1583
4、A4、8196、NCPPB2659、MAFF−03−01724、MAFF−03
−01725、MAFF−03−01726、MAFF−03−01727等のアグ
ロピン型、マンノピン型、ククモピン型等のRiプラスミ
ドを有する菌株が例示される。これらのアグロバクテリ
ウム属細菌は、一般に、菌の防除が容易でなく、外国産
の菌株のものが多く、しかも農業上重大な被害を与える
有害な植物病原菌である。従って、我国での使用に際し
ては、植物防疫法に基づく有害微生物の輸入許可が必要
であり、また許可された実験施設内外に飛散させないよ
う十分に注意して取扱わなければならない等、使用に際
して種々の制約を受ける。一方、アグロバクテリウム・
リゾゲネスMAFF03−01724、MAFF03−01725、MAFF03−01
726、MAFF03−01727等は、日本国内で発見されたメロン
毛根病菌と呼ばれる菌株であり(塩見ら、日本植物病理
学会報,53,454−459,(1987))、使用に際して何ら制
約を受けることがなく、植物防疫上好ましい。なお、メ
ロン毛根病菌は、根を誘発するプラスミドを有している
が、人為的に改変したプラスミドを有するメロン毛根病
菌を用いてもよい。上記アグロバクテリウム属細菌は少
なくとも一種使用できる。
リウム・ツメファシンスの菌株としては、C58、T37等の
ノパリン型Tiプラスミドを有する菌株、A6、B6、1595
5、Ach5等のオクトピン型Tiプラスミドを有する菌株、B
o542等のアグロピン型Tiプラスミドを有する菌株等が例
示される。またアグロバクテリウム・リゾゲネスの菌株
としては、アグロバクテリウム・リゾゲネスATCC1583
4、A4、8196、NCPPB2659、MAFF−03−01724、MAFF−03
−01725、MAFF−03−01726、MAFF−03−01727等のアグ
ロピン型、マンノピン型、ククモピン型等のRiプラスミ
ドを有する菌株が例示される。これらのアグロバクテリ
ウム属細菌は、一般に、菌の防除が容易でなく、外国産
の菌株のものが多く、しかも農業上重大な被害を与える
有害な植物病原菌である。従って、我国での使用に際し
ては、植物防疫法に基づく有害微生物の輸入許可が必要
であり、また許可された実験施設内外に飛散させないよ
う十分に注意して取扱わなければならない等、使用に際
して種々の制約を受ける。一方、アグロバクテリウム・
リゾゲネスMAFF03−01724、MAFF03−01725、MAFF03−01
726、MAFF03−01727等は、日本国内で発見されたメロン
毛根病菌と呼ばれる菌株であり(塩見ら、日本植物病理
学会報,53,454−459,(1987))、使用に際して何ら制
約を受けることがなく、植物防疫上好ましい。なお、メ
ロン毛根病菌は、根を誘発するプラスミドを有している
が、人為的に改変したプラスミドを有するメロン毛根病
菌を用いてもよい。上記アグロバクテリウム属細菌は少
なくとも一種使用できる。
アグロバクテリウム属細菌の菌液は、アグロバクテリ
ウム属細菌を、慣用の培地、例えば、ポテト・デキスト
ロース培地、ニュートリエント・ブロース培地、ルリア
・ブロース培地、YEB培地、AB培地、YM培地等で培養す
ることにより調製することができる。上記培地のうちニ
ュートリエント・ブロース培地、ルリア・ブロース培地
等が好ましい。なお、培地には固形培地及び液体培地を
用いることができる。より具体的には、菌液は、アグロ
バクテリウム属細菌を、例えば1.5重量%寒天で固化し
たルリア・ブロース培地で1ケ月毎等の所定間隔毎に継
代培養し、適宜量の液体培地、例えば20mlの液体ルリア
・ブロース培地に移植し、適宜の条件、例えば温度30℃
で一晩培養することにより調製できる。
ウム属細菌を、慣用の培地、例えば、ポテト・デキスト
ロース培地、ニュートリエント・ブロース培地、ルリア
・ブロース培地、YEB培地、AB培地、YM培地等で培養す
ることにより調製することができる。上記培地のうちニ
ュートリエント・ブロース培地、ルリア・ブロース培地
等が好ましい。なお、培地には固形培地及び液体培地を
用いることができる。より具体的には、菌液は、アグロ
バクテリウム属細菌を、例えば1.5重量%寒天で固化し
たルリア・ブロース培地で1ケ月毎等の所定間隔毎に継
代培養し、適宜量の液体培地、例えば20mlの液体ルリア
・ブロース培地に移植し、適宜の条件、例えば温度30℃
で一晩培養することにより調製できる。
これらの細菌でバイテックス属植物を感染させる方法
は、バクテリアのT−DNAを植物染色体に組込み形質転
換する方法であれば特に限定されない。簡便な接種方法
としては、例えば、ファイトエクダイステロイド含有植
物の種子から発芽した幼植物、あるいは茎頂を切り取り
培地上に植え込むことにより得られた幼植物の茎に細菌
の付着した針を穿刺する方法、茎に傷を付け菌液を塗布
する方法、茎の切断面に菌液を塗布する方法、葉や茎の
切断片を菌液に浸漬する方法等の植物体接種法;リーフ
ディスク法;ファイトエクダイステロイド含有植物の懸
濁細胞、カルス又はプロトプラストと細菌とを共存培養
する方法等が挙げられる。またファイトエクダイステロ
イド含有植物のプロトプラストとアグロバクテリウム属
細菌のスフェロプラストとを融合条件下で混合処理する
方法や、プロトプラストを、ポリエチレングリコールと
カルシウムイオンを含む培地で、アグロバクテリウムの
プラスミドT−DNAと混合する方法等で形質転換しても
よい。このようにしてアグロバクテリウム属細菌で形質
転換した細胞は、前記のように、増殖の際、植物ホルモ
ンを必要としないので、無ホルモン培地で培養し、増殖
したものだけを移植して継代培養できる。その際、抗生
物質を添加し、除菌するのが好ましい。抗生物質として
は、例えばカルベニシリン、バンコマイシン、セフォタ
キシム等、種々の抗生物質が、一種又は二種以上組合せ
て使用できる。抗生物質は適宜の濃度、例えば、500μg
/ml程度の濃度で十分である。
は、バクテリアのT−DNAを植物染色体に組込み形質転
換する方法であれば特に限定されない。簡便な接種方法
としては、例えば、ファイトエクダイステロイド含有植
物の種子から発芽した幼植物、あるいは茎頂を切り取り
培地上に植え込むことにより得られた幼植物の茎に細菌
の付着した針を穿刺する方法、茎に傷を付け菌液を塗布
する方法、茎の切断面に菌液を塗布する方法、葉や茎の
切断片を菌液に浸漬する方法等の植物体接種法;リーフ
ディスク法;ファイトエクダイステロイド含有植物の懸
濁細胞、カルス又はプロトプラストと細菌とを共存培養
する方法等が挙げられる。またファイトエクダイステロ
イド含有植物のプロトプラストとアグロバクテリウム属
細菌のスフェロプラストとを融合条件下で混合処理する
方法や、プロトプラストを、ポリエチレングリコールと
カルシウムイオンを含む培地で、アグロバクテリウムの
プラスミドT−DNAと混合する方法等で形質転換しても
よい。このようにしてアグロバクテリウム属細菌で形質
転換した細胞は、前記のように、増殖の際、植物ホルモ
ンを必要としないので、無ホルモン培地で培養し、増殖
したものだけを移植して継代培養できる。その際、抗生
物質を添加し、除菌するのが好ましい。抗生物質として
は、例えばカルベニシリン、バンコマイシン、セフォタ
キシム等、種々の抗生物質が、一種又は二種以上組合せ
て使用できる。抗生物質は適宜の濃度、例えば、500μg
/ml程度の濃度で十分である。
なお、アグロバクテリウム属細菌によりファイトエク
ダイステロイド含有植物が感染して形質転換しているか
否かは、Ti、RiプラスミドT−DNAで形質転換した植物
細胞が特異的に合成する非蛋白態アミノ酸の総称である
オパインを検出することにより行なうことができる。す
なわち、培養物の一部を超音波処理したり摩砕し、遠心
分離した上清を紙上にスポットし、紙電気泳動した
後、呈色試薬で呈色することにより検出することができ
る。
ダイステロイド含有植物が感染して形質転換しているか
否かは、Ti、RiプラスミドT−DNAで形質転換した植物
細胞が特異的に合成する非蛋白態アミノ酸の総称である
オパインを検出することにより行なうことができる。す
なわち、培養物の一部を超音波処理したり摩砕し、遠心
分離した上清を紙上にスポットし、紙電気泳動した
後、呈色試薬で呈色することにより検出することができ
る。
アクロバクテリウム属細菌で形質転換した細胞からの
誘発根とその培養や、カルス誘導とその培養に用いられ
る培地としては、植物の組織培養に用いられ、無機成
分、有機成分等を含有する種々の培地が使用できる。例
えば慣用されているムラシゲ・スクーグ(Murashige−S
koog、MS)培地、リンスマイヤー・スクーグ(Linsmaie
r−Skoog、LS)培地、ホワイト(White、W)培地、ヘ
ラー(Heller、H)培地、ニッチ・ニッチ(Nitsch−Ni
tsch、NN)培地、ガンボルグB5(B5)培地等や、これら
を基本培地として種々の改変を加えた培地のいずれであ
ってもよい。培地は、液体培地、固形培地のいずれの形
態でも使用できる。固形培地では、ゲル化剤、例えば、
寒天、アガロース、カラギーナン、ゲランガム等を用い
て固化してもよい。上記固形培地は、適宜濃度の寒天、
例えば1重量%程度の寒天等を用いて固化してもよい
が、ゲランガム、特に0.2重量%程度のゲランガムで固
化するのが好ましい。
誘発根とその培養や、カルス誘導とその培養に用いられ
る培地としては、植物の組織培養に用いられ、無機成
分、有機成分等を含有する種々の培地が使用できる。例
えば慣用されているムラシゲ・スクーグ(Murashige−S
koog、MS)培地、リンスマイヤー・スクーグ(Linsmaie
r−Skoog、LS)培地、ホワイト(White、W)培地、ヘ
ラー(Heller、H)培地、ニッチ・ニッチ(Nitsch−Ni
tsch、NN)培地、ガンボルグB5(B5)培地等や、これら
を基本培地として種々の改変を加えた培地のいずれであ
ってもよい。培地は、液体培地、固形培地のいずれの形
態でも使用できる。固形培地では、ゲル化剤、例えば、
寒天、アガロース、カラギーナン、ゲランガム等を用い
て固化してもよい。上記固形培地は、適宜濃度の寒天、
例えば1重量%程度の寒天等を用いて固化してもよい
が、ゲランガム、特に0.2重量%程度のゲランガムで固
化するのが好ましい。
アグロバクテリウム属細菌により形質転換したバイテ
ックス属植物は、植物ホルモンを必ずしも必要としない
が、形質転換されていないバイテックス属植物は植物ホ
ルモンを要求する。植物ホルモンとしては慣用のホルモ
ンが使用でき、植物ホルモンのオーキシン類としては、
天然及び合成オーキシン、例えば、2,4−ジクロロフェ
ノキシ酢酸(2,4−D)、インドール酢酸(IAA)、イン
ドール酪酸(IBA)、β−ナフタレン酢酸(NAA)、2,3,
4−トリヨード安息香酸、フェニル酢酸等が例示され
る。これらオーキシン類のうち2,4−D、IAA、IBA及びN
AA等が好ましい。オーキシン類は、適宜の濃度、例え
ば、0.01〜10mg/程度、特に0.05〜5mg/程度の濃度
で使用するのが好ましい。サイトカイニン類としては、
カイネチン、ベンジルアミノプリン(BAP)、ゼアチ
ン、2−イソペンテニルアデニン等が例示される。サイ
トカイニン類のうちカイネチン、BAP等が好ましい。サ
イトカイニン類は、適宜の濃度、例えば0.01〜10mg/
程度、特に0.001〜5mg/程度の濃度で使用するのが好
ましい。ジベレリン類としては、ジベレリンA1〜A13、
アブシジン酸等を用いてもよい。ジベレリン類のうちジ
ベレリン酸(GA3)が好ましい。ジベレリン類は通常0.0
01〜5mg/程度の濃度で使用される。上記植物ホルモン
は単独又は組合せて使用される。
ックス属植物は、植物ホルモンを必ずしも必要としない
が、形質転換されていないバイテックス属植物は植物ホ
ルモンを要求する。植物ホルモンとしては慣用のホルモ
ンが使用でき、植物ホルモンのオーキシン類としては、
天然及び合成オーキシン、例えば、2,4−ジクロロフェ
ノキシ酢酸(2,4−D)、インドール酢酸(IAA)、イン
ドール酪酸(IBA)、β−ナフタレン酢酸(NAA)、2,3,
4−トリヨード安息香酸、フェニル酢酸等が例示され
る。これらオーキシン類のうち2,4−D、IAA、IBA及びN
AA等が好ましい。オーキシン類は、適宜の濃度、例え
ば、0.01〜10mg/程度、特に0.05〜5mg/程度の濃度
で使用するのが好ましい。サイトカイニン類としては、
カイネチン、ベンジルアミノプリン(BAP)、ゼアチ
ン、2−イソペンテニルアデニン等が例示される。サイ
トカイニン類のうちカイネチン、BAP等が好ましい。サ
イトカイニン類は、適宜の濃度、例えば0.01〜10mg/
程度、特に0.001〜5mg/程度の濃度で使用するのが好
ましい。ジベレリン類としては、ジベレリンA1〜A13、
アブシジン酸等を用いてもよい。ジベレリン類のうちジ
ベレリン酸(GA3)が好ましい。ジベレリン類は通常0.0
01〜5mg/程度の濃度で使用される。上記植物ホルモン
は単独又は組合せて使用される。
これらの植物ホルモンを添加した培地で培養すると、
アグロバクテリウム属細菌による形質転換の有無に拘ら
ず、誘発根やカルスの育成が良好となるばかりでなく、
増殖が増大し、ファイトエクダイステロイドの産生量も
多くなる。
アグロバクテリウム属細菌による形質転換の有無に拘ら
ず、誘発根やカルスの育成が良好となるばかりでなく、
増殖が増大し、ファイトエクダイステロイドの産生量も
多くなる。
また培地には、エネルギー源、炭素源、ビタミンやア
ミノ酸等を添加してもよい。エネルギー源、炭素源とし
ては、例えば、ブドウ糖、フルクトース、ショ糖等が例
示され、特にショ糖が好ましい。エネルギー源、炭素源
は適宜の濃度、例えば1〜5重量%、好ましくは3重量
%程度の濃度で使用できる。ビタミンとしては、例えば
イノシトール、チアミン塩酸塩、ピリドキシン、ニコチ
ン酸アミド、アスコルビン酸、パントテン酸カルシウ
ム、塩化コリン、葉酸、p−アミノ安息香酸、ビタミン
A、ビタミンB12等が例示され、アミノ酸としては、例
えばグリシン、アラニン等が例示される。さらには、コ
コナッツ・ミルク、カザミノ酸や、ピルビン酸ナトリウ
ム、クエン酸、マレイン酸等の有機酸、イーストエキ
ス、カゼイン加水分解物、酵母エキス、麦芽エキス、ト
マトやポテトの抽出液等を添加してもよい。なお、ココ
ナッツ・ミルクを約0.5〜10重量%含有する培地では、
アグロバクテリウム属細菌により形質転換していないバ
イテックス属植物であってもカルス等の育成が良好であ
り、ファイトエクダイステロイドの産生量も多くなる。
ミノ酸等を添加してもよい。エネルギー源、炭素源とし
ては、例えば、ブドウ糖、フルクトース、ショ糖等が例
示され、特にショ糖が好ましい。エネルギー源、炭素源
は適宜の濃度、例えば1〜5重量%、好ましくは3重量
%程度の濃度で使用できる。ビタミンとしては、例えば
イノシトール、チアミン塩酸塩、ピリドキシン、ニコチ
ン酸アミド、アスコルビン酸、パントテン酸カルシウ
ム、塩化コリン、葉酸、p−アミノ安息香酸、ビタミン
A、ビタミンB12等が例示され、アミノ酸としては、例
えばグリシン、アラニン等が例示される。さらには、コ
コナッツ・ミルク、カザミノ酸や、ピルビン酸ナトリウ
ム、クエン酸、マレイン酸等の有機酸、イーストエキ
ス、カゼイン加水分解物、酵母エキス、麦芽エキス、ト
マトやポテトの抽出液等を添加してもよい。なお、ココ
ナッツ・ミルクを約0.5〜10重量%含有する培地では、
アグロバクテリウム属細菌により形質転換していないバ
イテックス属植物であってもカルス等の育成が良好であ
り、ファイトエクダイステロイドの産生量も多くなる。
液体培地は、例えばゲル化剤を除く成分の水溶液を、
水酸化ナトリウムや塩酸などを用いてpHを5.7〜5.8程度
に調整し、オートクレーブ等による高圧蒸気滅菌法や、
メンブランフィルタ等による過滅菌法で滅菌すること
により作製することができる。なお、高圧蒸気滅菌法で
はpHが低下することがあるが、そのまま使用しても特に
支障はない。また固形培地は、滅菌液にゲル化剤を添加
することにより調製でき、この固形培地は斜面培地であ
ってもよい。
水酸化ナトリウムや塩酸などを用いてpHを5.7〜5.8程度
に調整し、オートクレーブ等による高圧蒸気滅菌法や、
メンブランフィルタ等による過滅菌法で滅菌すること
により作製することができる。なお、高圧蒸気滅菌法で
はpHが低下することがあるが、そのまま使用しても特に
支障はない。また固形培地は、滅菌液にゲル化剤を添加
することにより調製でき、この固形培地は斜面培地であ
ってもよい。
上記切片及び細胞から発生した誘発根の培養は、例え
ば、誘発根を、細胞の育成や代謝活性に悪影響を及ぼさ
ない条件下、抗生物質を含み、細胞の増殖率や代謝活性
等に応じた適切な培地で適宜回数継代培養し、最終的に
抗生物質を含まない培地で培養することにより無菌の誘
発根を育成させ、誘発根のうちの分岐が多く育成速度の
早い誘発根を培養することにより行なうことができる。
より具体的には、誘発根を先端から5〜10mm程度切取
り、前記抗生物質を含む固形培地に置床する。次いで、
適当な条件、例えば、温度25〜28℃、照度500〜3000ル
クス程度の照明下、又は暗黒下で、適宜期間、例えば約
2週間程度培養すると、5cm以上伸長した誘発根が生成
するから、伸長した誘発根の先端から5〜10mm程度切取
り、新鮮な別の固形培地に植え継ぐ。約2週間後に、再
び5cm以上伸長した誘発根の先端から5〜10mm程度切取
り、新鮮な他の固形培地に植え継ぐ。さらに2週間後に
5cm状に伸長した根の先端を、抗生物質を含まない固形
培地に植え継ぐことにより、アグロバクテリウム属細菌
が完全に除去され、無菌の誘発値のみが生育する。これ
らの誘発根を、上記と同様の条件下で1ケ月程度培養
し、育成速度が速く、かつ分岐の多いものを選択し、新
鮮な他の固形培地で育成させる。次いで、分岐が多く生
育速度の速い高増殖性誘発根を次のようにして培養す
る。すなわち、20〜40mg程度の高増殖性誘発根を液体培
地中で振盪培養する。根の形態保護のため、回転数は、
150rpm以下の範囲で回転振盪するのが望ましい。その
際、光照明下で培養してもよい。このようにして2〜4
週間程度培養すると、ファイトエクダイステロイド含有
量の大きな誘発根が得られる。その際、得られた各誘発
根からファイトエクダイステロイドを抽出してファイト
エクダイステロイドの生産能の高い誘発根を選択するの
が好ましい。なお、液体培地中に、ファイトエクダイス
テロイドを誘導する物質、例えば、前記糖や酵母エキス
等を添加したり、光や温度等の条件を変化させる等の手
段によりストレスを与え、ファイトエクダイステロイド
含量を増加させることもできる。そして、これらの高増
殖性ファイトエクダイステロイド高産生誘発根を大量培
養すると、多量のファイトエクダイステロイドを効率的
に得ることができる。
ば、誘発根を、細胞の育成や代謝活性に悪影響を及ぼさ
ない条件下、抗生物質を含み、細胞の増殖率や代謝活性
等に応じた適切な培地で適宜回数継代培養し、最終的に
抗生物質を含まない培地で培養することにより無菌の誘
発根を育成させ、誘発根のうちの分岐が多く育成速度の
早い誘発根を培養することにより行なうことができる。
より具体的には、誘発根を先端から5〜10mm程度切取
り、前記抗生物質を含む固形培地に置床する。次いで、
適当な条件、例えば、温度25〜28℃、照度500〜3000ル
クス程度の照明下、又は暗黒下で、適宜期間、例えば約
2週間程度培養すると、5cm以上伸長した誘発根が生成
するから、伸長した誘発根の先端から5〜10mm程度切取
り、新鮮な別の固形培地に植え継ぐ。約2週間後に、再
び5cm以上伸長した誘発根の先端から5〜10mm程度切取
り、新鮮な他の固形培地に植え継ぐ。さらに2週間後に
5cm状に伸長した根の先端を、抗生物質を含まない固形
培地に植え継ぐことにより、アグロバクテリウム属細菌
が完全に除去され、無菌の誘発値のみが生育する。これ
らの誘発根を、上記と同様の条件下で1ケ月程度培養
し、育成速度が速く、かつ分岐の多いものを選択し、新
鮮な他の固形培地で育成させる。次いで、分岐が多く生
育速度の速い高増殖性誘発根を次のようにして培養す
る。すなわち、20〜40mg程度の高増殖性誘発根を液体培
地中で振盪培養する。根の形態保護のため、回転数は、
150rpm以下の範囲で回転振盪するのが望ましい。その
際、光照明下で培養してもよい。このようにして2〜4
週間程度培養すると、ファイトエクダイステロイド含有
量の大きな誘発根が得られる。その際、得られた各誘発
根からファイトエクダイステロイドを抽出してファイト
エクダイステロイドの生産能の高い誘発根を選択するの
が好ましい。なお、液体培地中に、ファイトエクダイス
テロイドを誘導する物質、例えば、前記糖や酵母エキス
等を添加したり、光や温度等の条件を変化させる等の手
段によりストレスを与え、ファイトエクダイステロイド
含量を増加させることもできる。そして、これらの高増
殖性ファイトエクダイステロイド高産生誘発根を大量培
養すると、多量のファイトエクダイステロイドを効率的
に得ることができる。
また切片及び細胞からのカルス誘導は、例えば、切片
等を固形培地に置床し、又は液体培地に懸濁して、前記
と同様の条件下で、適宜期間、例えば約1ケ月程度間培
養することにより行なうことができる。誘導されたカル
スは、カルス誘導と同じ培地、又は細胞の増殖率や代謝
活性等に応じた適切な培地で適宜回数継代培養すること
ができる。この継代培養は、細胞の育成や代謝活性に悪
影響を及ぼさない条件、例えば、上記と同様な条件下で
行なうことができる。
等を固形培地に置床し、又は液体培地に懸濁して、前記
と同様の条件下で、適宜期間、例えば約1ケ月程度間培
養することにより行なうことができる。誘導されたカル
スは、カルス誘導と同じ培地、又は細胞の増殖率や代謝
活性等に応じた適切な培地で適宜回数継代培養すること
ができる。この継代培養は、細胞の育成や代謝活性に悪
影響を及ぼさない条件、例えば、上記と同様な条件下で
行なうことができる。
また前記誘発根やカルスから再生させた植物体もフォ
イトエクダイストライド等の含有量が高い。従って、高
増殖性ファイトエクダイステロイド高産生誘発根等の誘
発根やカルスを器官分化させ、土壌又は培養器内で育成
させ、成長した植物体からファイトエクダイステロイド
を抽出してもよい。植物体の再生は、従来慣用の種々の
方法で行なうことができる。例えば、誘発根やカルス
を、植物ホルモンを含む培地で培養して不定芽を分化さ
せた後、該不定芽から発根させ、土壌等に移植すること
により植物再生体が得られる。より具体的には、誘発根
やカルスを、植物ホルモン、例えばNAA0〜5mg/、BAP1
〜10mg/等を含む固形培地、例えばMS寒天培地に置床
する。これを例えば5000〜20000ルクス程度の光照明下
で12時間、暗黒下で12時間のサイクルで2週間以上培養
すると、不定芽が分化してくる。なお、植物ホルモンを
含まないMS寒天培地等の固形培地上に移植し、暗黒下で
2週間以上培養することによっても不定芽が分化するこ
とがある。また抗生物質を含む固形培地、例えばMS寒天
培地に移植し、20000ルクス程度の光照明下で2〜3日
培養することによっても不定芽が分化することがある。
このようにして得られた不定芽を切取り、植物ホルモン
を含まない培地、例えばMS寒天培地に植え込むと、数日
で発根する。得られた再生植物を土壌に移植し、栽培す
ると、再生植物体は、起源植物に比較して速やかに育成
するので、多量のファイトエクダイステロイドを産生
し、一定量のファイトエクダイステロイドを生産する時
間が短縮される。特に前記高増殖性ファイトエクダイス
テロイド誘発根由来の再生植物体は、起源植物と比較し
て育成速度が大きい。また再生植物体の生育は、培養器
内では、一般に土壌と比較して劣るので、液体培地、例
えば、MS液体培地中で光照明下、例えば5000ルクス程度
の光照明下で振盪培養することにより、生育速度が上昇
する。
イトエクダイストライド等の含有量が高い。従って、高
増殖性ファイトエクダイステロイド高産生誘発根等の誘
発根やカルスを器官分化させ、土壌又は培養器内で育成
させ、成長した植物体からファイトエクダイステロイド
を抽出してもよい。植物体の再生は、従来慣用の種々の
方法で行なうことができる。例えば、誘発根やカルス
を、植物ホルモンを含む培地で培養して不定芽を分化さ
せた後、該不定芽から発根させ、土壌等に移植すること
により植物再生体が得られる。より具体的には、誘発根
やカルスを、植物ホルモン、例えばNAA0〜5mg/、BAP1
〜10mg/等を含む固形培地、例えばMS寒天培地に置床
する。これを例えば5000〜20000ルクス程度の光照明下
で12時間、暗黒下で12時間のサイクルで2週間以上培養
すると、不定芽が分化してくる。なお、植物ホルモンを
含まないMS寒天培地等の固形培地上に移植し、暗黒下で
2週間以上培養することによっても不定芽が分化するこ
とがある。また抗生物質を含む固形培地、例えばMS寒天
培地に移植し、20000ルクス程度の光照明下で2〜3日
培養することによっても不定芽が分化することがある。
このようにして得られた不定芽を切取り、植物ホルモン
を含まない培地、例えばMS寒天培地に植え込むと、数日
で発根する。得られた再生植物を土壌に移植し、栽培す
ると、再生植物体は、起源植物に比較して速やかに育成
するので、多量のファイトエクダイステロイドを産生
し、一定量のファイトエクダイステロイドを生産する時
間が短縮される。特に前記高増殖性ファイトエクダイス
テロイド誘発根由来の再生植物体は、起源植物と比較し
て育成速度が大きい。また再生植物体の生育は、培養器
内では、一般に土壌と比較して劣るので、液体培地、例
えば、MS液体培地中で光照明下、例えば5000ルクス程度
の光照明下で振盪培養することにより、生育速度が上昇
する。
なお、培養物は、上記誘発根、カルスや植物体に限ら
ず、カルス等を茎葉分化培地等で培養して誘導した器官
分化体であってもよい。
ず、カルス等を茎葉分化培地等で培養して誘導した器官
分化体であってもよい。
上記のようにして得られた培養物からファイトエクダ
イステロイドを抽出することにより、ファイトエクダイ
ステロイドを得ることができる。抽出溶媒としては、例
えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプ
ロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、クロロ
ホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭
化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエス
テル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、
ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等
のエーテル類やこれらの混合溶媒等が使用できる。ファ
イトエクダイステロイドの抽出は、培養物を摩砕し、上
記抽出溶媒で抽出を繰返し、カラムクロマトグラフィ等
の分離精製手段で分離することにより高純度のファイト
エクダイステロイドを得ることができる。
イステロイドを抽出することにより、ファイトエクダイ
ステロイドを得ることができる。抽出溶媒としては、例
えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプ
ロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、クロロ
ホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭
化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエス
テル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、
ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等
のエーテル類やこれらの混合溶媒等が使用できる。ファ
イトエクダイステロイドの抽出は、培養物を摩砕し、上
記抽出溶媒で抽出を繰返し、カラムクロマトグラフィ等
の分離精製手段で分離することにより高純度のファイト
エクダイステロイドを得ることができる。
[発明の効果] 以上のように、本発明によれば、ファイトエクダイス
テロイド含有植物に特定のアグロバクテリウム属細菌を
感染させて組織培養し、生成した培養物からファイトエ
クダイステロイドを抽出したり、特定のバイテックス属
植物を組織培養し、生成した培養物からファイトエクダ
イステロイドを抽出するので、自然条件に左右されるこ
となく、培養物から多量のファイトエクダイステロイド
を効率的に得ることができる。
テロイド含有植物に特定のアグロバクテリウム属細菌を
感染させて組織培養し、生成した培養物からファイトエ
クダイステロイドを抽出したり、特定のバイテックス属
植物を組織培養し、生成した培養物からファイトエクダ
イステロイドを抽出するので、自然条件に左右されるこ
となく、培養物から多量のファイトエクダイステロイド
を効率的に得ることができる。
またファイトエクダイステロイド含有植物に特定のア
グロバクテリウム属細菌を感染させて組織培養し、生成
した培養物からファイトエクダイステロイドを抽出する
方法では、植物ホルモンがなくても、ファイトエクダイ
ステロイド生産能の高い細胞を増殖でき、より一層多量
のファイトエクダイステロイドを効率的に得ることがで
きる。なお、培養物が誘発根、特に速やかに育成する高
増殖性誘発根である場合、高増殖性誘発根から、ファイ
トエクダイステロイド含有植物由来のカルスの10〜100
倍もの含有量を有する誘発根を選択することができ、そ
のファイトエクダイステロイド含有量は、起源植物のそ
れに匹敵又は上回る量である。これらの高増殖性誘発根
を培養し、その培養物からファイトエクダイステロイド
を抽出することにより、ファイトエクダイステロイドを
多量に、しかも短時間内に製造することができる。また
培養物がカルスである場合、従来の方法によるカルスに
比べて多量のファイトエクダイステロイドを効率的に製
造することができる。さらには、形質転換した細胞由来
の誘発根やカルスを用いて再生した植物体からファイト
エクダイステロイドを抽出することにより、ファイトエ
クダイステロイドを多量に製造することができる。
グロバクテリウム属細菌を感染させて組織培養し、生成
した培養物からファイトエクダイステロイドを抽出する
方法では、植物ホルモンがなくても、ファイトエクダイ
ステロイド生産能の高い細胞を増殖でき、より一層多量
のファイトエクダイステロイドを効率的に得ることがで
きる。なお、培養物が誘発根、特に速やかに育成する高
増殖性誘発根である場合、高増殖性誘発根から、ファイ
トエクダイステロイド含有植物由来のカルスの10〜100
倍もの含有量を有する誘発根を選択することができ、そ
のファイトエクダイステロイド含有量は、起源植物のそ
れに匹敵又は上回る量である。これらの高増殖性誘発根
を培養し、その培養物からファイトエクダイステロイド
を抽出することにより、ファイトエクダイステロイドを
多量に、しかも短時間内に製造することができる。また
培養物がカルスである場合、従来の方法によるカルスに
比べて多量のファイトエクダイステロイドを効率的に製
造することができる。さらには、形質転換した細胞由来
の誘発根やカルスを用いて再生した植物体からファイト
エクダイステロイドを抽出することにより、ファイトエ
クダイステロイドを多量に製造することができる。
また、本発明により得られた誘発根及びカルスは、フ
ァイトエクダイステロイドの生産能が著しく高い。
ァイトエクダイステロイドの生産能が著しく高い。
[実施例] 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明す
る。
る。
実施例1 アグロバクテリウム属細菌のメロン毛根病菌(アグロ
バクテリウム・リゾゲネスMAFF−03−01724株)を、ニ
ュートリエント・ブロース寒天培地(ニュートリエント
・ブロース25g、寒天15g及び水1、pH7.5)上で継代
培養した。また本菌使用前夜に、トリプトン10g、酵母
エキス5g及び塩化ナトリウム5gを水で1としたルリア
・ブロース液体培地(pH7.2)20〜30mlを用い、温度25
℃で一晩振盪培養した。
バクテリウム・リゾゲネスMAFF−03−01724株)を、ニ
ュートリエント・ブロース寒天培地(ニュートリエント
・ブロース25g、寒天15g及び水1、pH7.5)上で継代
培養した。また本菌使用前夜に、トリプトン10g、酵母
エキス5g及び塩化ナトリウム5gを水で1としたルリア
・ブロース液体培地(pH7.2)20〜30mlを用い、温度25
℃で一晩振盪培養した。
温室内で栽培したアジュガ・レプタンス・バー・アト
ロプアプレア(Ajuga reptans var.atropurpurea)の葉
を水洗後、塩素濃度0.5%の次亜鉛素酸ナトリウム溶液
に7分間浸漬し、多量の滅菌水で洗浄した。葉を1cm×1
cm角に切断し、メロン毛根病菌液に5分間浸漬して接種
し、滅菌紙で余分な菌液を吸い取り、1重量%素寒天
上に置床して温度25℃、照明下で3日間培養した。
ロプアプレア(Ajuga reptans var.atropurpurea)の葉
を水洗後、塩素濃度0.5%の次亜鉛素酸ナトリウム溶液
に7分間浸漬し、多量の滅菌水で洗浄した。葉を1cm×1
cm角に切断し、メロン毛根病菌液に5分間浸漬して接種
し、滅菌紙で余分な菌液を吸い取り、1重量%素寒天
上に置床して温度25℃、照明下で3日間培養した。
次いで、抗生物質として500μg/mlのカルベニシリン
と500μg/mlのバンコマイシンを含み、0.2重量%ゲラン
ガムで固化したMS培地上に移植し、温度25℃、照明下で
培養した。約10日後に出現した誘発根の先端10mmを切取
って、上記の培地に移植し、温度25℃、照明下で培養を
続けた。この操作を2回繰返した後、特に生長がよく、
分岐の多い誘発根のみを選び出し、抗生物質を含まず、
0.2重量%ゲランガムで固化したMS培地上に移植して、
培養した。生長の速い誘発根では1日で約5mm伸長し
た。
と500μg/mlのバンコマイシンを含み、0.2重量%ゲラン
ガムで固化したMS培地上に移植し、温度25℃、照明下で
培養した。約10日後に出現した誘発根の先端10mmを切取
って、上記の培地に移植し、温度25℃、照明下で培養を
続けた。この操作を2回繰返した後、特に生長がよく、
分岐の多い誘発根のみを選び出し、抗生物質を含まず、
0.2重量%ゲランガムで固化したMS培地上に移植して、
培養した。生長の速い誘発根では1日で約5mm伸長し
た。
特に伸長の速かった誘発根の先端を20〜40mg切取っ
て、250mlのMS液体培地中で、温度25℃、照明下で、回
転速度150rpmで撹拌しながら、回転振盪培養した。4週
間培養した後、その新鮮重量から誘発根の増殖率を計算
したところ、増殖率500倍に達するものも認められた。
て、250mlのMS液体培地中で、温度25℃、照明下で、回
転速度150rpmで撹拌しながら、回転振盪培養した。4週
間培養した後、その新鮮重量から誘発根の増殖率を計算
したところ、増殖率500倍に達するものも認められた。
これらの誘発根からファイトエクダイステロイドを抽
出した。抽出操作手順は次の通りである。すなわち、振
盪培養した誘発根100〜200mgを5mlのメタノール中で2
時間超音波処理する。メタノール分画を蒸発乾固し、5m
lの水に溶解後、等量の酢酸ブチルで二層分配を2回行
ない、水層をブタノールで2回抽出する。ブタノール層
を蒸発乾固し、500μのメタノールに溶解後、この10
μを高速液体クロマトグラフィ(HPLC)に供し、β−
エクダイソンの定量を行なった。定量の結果を表1に示
す。
出した。抽出操作手順は次の通りである。すなわち、振
盪培養した誘発根100〜200mgを5mlのメタノール中で2
時間超音波処理する。メタノール分画を蒸発乾固し、5m
lの水に溶解後、等量の酢酸ブチルで二層分配を2回行
ない、水層をブタノールで2回抽出する。ブタノール層
を蒸発乾固し、500μのメタノールに溶解後、この10
μを高速液体クロマトグラフィ(HPLC)に供し、β−
エクダイソンの定量を行なった。定量の結果を表1に示
す。
なお、β−エクダイソン以外のファイトエクダイステ
ロイドとして、アジュガラクトン、サイアステロン、ノ
ルセンゴステロンの生成も確認した。
ロイドとして、アジュガラクトン、サイアステロン、ノ
ルセンゴステロンの生成も確認した。
表1より、アグロバクテリウム属細菌で感染させて培
養すると、誘発根は多量のファイトエクダイステロイド
を含有することが判明した。
養すると、誘発根は多量のファイトエクダイステロイド
を含有することが判明した。
実施例2 温室内で栽培したヒナタイノコズチ(Achyranthes fa
uriei)の葉を実施例1と同じ手法で滅菌し、1cm×1cm
角に切断後、実施例1のアグロバクテリウム属細菌のメ
ロン毛根病菌液に浸漬接種した。次いで、実施例1と同
じ手法で培養し、出現した誘発根のうち生長速度の速い
ものを選抜して実施例1と同じ手法で液体培養に供し
た。4週間培養後、その新鮮重量から誘発根の増殖率を
計算したところ、180倍に達するものも認められた。
uriei)の葉を実施例1と同じ手法で滅菌し、1cm×1cm
角に切断後、実施例1のアグロバクテリウム属細菌のメ
ロン毛根病菌液に浸漬接種した。次いで、実施例1と同
じ手法で培養し、出現した誘発根のうち生長速度の速い
ものを選抜して実施例1と同じ手法で液体培養に供し
た。4週間培養後、その新鮮重量から誘発根の増殖率を
計算したところ、180倍に達するものも認められた。
実施例3 実施例1のアジュガ・レプタンス・バー・アトロプア
プレアの誘発根を、500μg/mlのカルベニシリンと500μ
g/mlのバンコマイシンを含み、0.2重量%ゲランガムで
固化したMS培地上で、20000ルクスの照明下で培養した
ところ、しばしば不定芽が分化し、これを切取って前記
の培地上で、20000ルクスの照明下で培養したところ、
完全な植物体が再生した。この植物体から実施例1の操
作手順でβ−エクダイソンを抽出し、HPLCで定量した。
定量の結果を表2に示す。
プレアの誘発根を、500μg/mlのカルベニシリンと500μ
g/mlのバンコマイシンを含み、0.2重量%ゲランガムで
固化したMS培地上で、20000ルクスの照明下で培養した
ところ、しばしば不定芽が分化し、これを切取って前記
の培地上で、20000ルクスの照明下で培養したところ、
完全な植物体が再生した。この植物体から実施例1の操
作手順でβ−エクダイソンを抽出し、HPLCで定量した。
定量の結果を表2に示す。
なお、β−エクダイソン以外のファイトエクダイステ
ロイドとして、アジュガラクトン、サイアステロン、ノ
ルセンゴステロンの生成も確認した。
ロイドとして、アジュガラクトン、サイアステロン、ノ
ルセンゴステロンの生成も確認した。
表2より、植物再生体もファイトエクダイステロイド
を多量に含有することが判明した。
を多量に含有することが判明した。
比較例1 温室内で栽培したアジュガ・レプタンス・バー・アト
ロプアプレアの葉を実施例1と同じ手法で滅菌し、1cm
×1cm角に切断した。次いで、実施例1と同様にして調
製したアグロバクテリウム・リゾゲネスATCC15834株の
菌液をリーフディスクに接種し、出現した誘発根を実施
例1と同じ手法で培養したところ、1日当り約1mm程度
伸長した。この誘発根から、実施例3と同様にして完全
な植物体を再生させた。また誘発根中にオパインである
アグロピンとマンノピンとが検出された。なお、アグロ
ピン及びマンノピンは、後述する方法で同定した。
ロプアプレアの葉を実施例1と同じ手法で滅菌し、1cm
×1cm角に切断した。次いで、実施例1と同様にして調
製したアグロバクテリウム・リゾゲネスATCC15834株の
菌液をリーフディスクに接種し、出現した誘発根を実施
例1と同じ手法で培養したところ、1日当り約1mm程度
伸長した。この誘発根から、実施例3と同様にして完全
な植物体を再生させた。また誘発根中にオパインである
アグロピンとマンノピンとが検出された。なお、アグロ
ピン及びマンノピンは、後述する方法で同定した。
実施例4 温室内で栽培したバイテックス・ストリッケリ(Vite
x strickeri)、バイテックス・ドニアナ(V.donian
a)、バイテックス・ミクランタ(V.micrantha)、及び
バイテックス・マディエンシス(V.madiensis)の葉を
実施例1と同じ手法で滅菌し、1cm×1cm角に切断後、実
施例1のアグロバクテリウム属細菌のメロン毛根病菌液
に浸漬して接種した。次いで、実施例1と同じ手法で培
養し、出現した誘発根のうち生長速度の速いものを選抜
して実施例1と同じ手法で液体培養に供した。4週間培
養後、その新鮮重量から誘発根の増殖率を計算したとこ
ろ、増殖率100倍に達するものも認められた。これらの
誘発根から実施例1の操作手順でβ−エクダイソンを抽
出し、HPLCで定量した。定量の結果を表3に示す。
x strickeri)、バイテックス・ドニアナ(V.donian
a)、バイテックス・ミクランタ(V.micrantha)、及び
バイテックス・マディエンシス(V.madiensis)の葉を
実施例1と同じ手法で滅菌し、1cm×1cm角に切断後、実
施例1のアグロバクテリウム属細菌のメロン毛根病菌液
に浸漬して接種した。次いで、実施例1と同じ手法で培
養し、出現した誘発根のうち生長速度の速いものを選抜
して実施例1と同じ手法で液体培養に供した。4週間培
養後、その新鮮重量から誘発根の増殖率を計算したとこ
ろ、増殖率100倍に達するものも認められた。これらの
誘発根から実施例1の操作手順でβ−エクダイソンを抽
出し、HPLCで定量した。定量の結果を表3に示す。
バイテックス属植物をアグロバクテリウム属細菌で感
染させて培養すると、誘発根は多量のファイトエクダイ
ステロイドを含有することが判明した。
染させて培養すると、誘発根は多量のファイトエクダイ
ステロイドを含有することが判明した。
実施例5 実施例1と同様にしてメロン毛根病菌であるアグロバ
クテリウム・リゾゲネスMAFF−03−01725株、MAFF−03
−01726株、MAFF−03−01727株の菌液をそれぞれ調製し
た。実施例4の菌液に代えて、上記各メロン毛根病菌の
菌液を用いる以外、実施例4と同様にして、バイテック
ス属植物を感染させて培養したところ、実施例4と同様
な結果を得た。
クテリウム・リゾゲネスMAFF−03−01725株、MAFF−03
−01726株、MAFF−03−01727株の菌液をそれぞれ調製し
た。実施例4の菌液に代えて、上記各メロン毛根病菌の
菌液を用いる以外、実施例4と同様にして、バイテック
ス属植物を感染させて培養したところ、実施例4と同様
な結果を得た。
実施例6 室温で栽培したバイテックス・ストリッケリの葉を切
り取り、市販の洗剤で表面の汚染を除去し、十分に水洗
した後、10重量%次亜塩素酸ナトリウム溶液に7分間浸
漬し、表面殺菌した。殺菌した葉を多量の殺菌水で十分
に洗浄した後、1cm×1cm角に切断し、1mg/のIAAと3
重量%ショ糖とを含み、0.2重量%ゲランガムで固化し
たMS培地上に置床し、温度25℃、照明下で1ケ月間培養
した。出現したカルス1gを切断し、新鮮な上記MS培地上
に移植し、1ケ月毎に継代培養した。
り取り、市販の洗剤で表面の汚染を除去し、十分に水洗
した後、10重量%次亜塩素酸ナトリウム溶液に7分間浸
漬し、表面殺菌した。殺菌した葉を多量の殺菌水で十分
に洗浄した後、1cm×1cm角に切断し、1mg/のIAAと3
重量%ショ糖とを含み、0.2重量%ゲランガムで固化し
たMS培地上に置床し、温度25℃、照明下で1ケ月間培養
した。出現したカルス1gを切断し、新鮮な上記MS培地上
に移植し、1ケ月毎に継代培養した。
そして、最終的に、1gのカルスを植物ホルモンを含ま
ないMS培地、IBAを0.001〜1mg/を含むMS培地、カイネ
チンを0.001〜1mg/含むMS培地及びGA3を0.001〜1mg/
含むMS培地にそれぞれ移植し、1ケ月間培養した後、
カルスの新鮮重量とβ−エクダイソン含量を測定した。
なお、β−エクダイソン含量は、カルス中のβ−エクダ
イソンをメタノールで抽出した後、酢酸ブチル、n−ブ
タノールで順次抽出し、カラムクロマトグラフィにより
定量した。結果を表4に示す。
ないMS培地、IBAを0.001〜1mg/を含むMS培地、カイネ
チンを0.001〜1mg/含むMS培地及びGA3を0.001〜1mg/
含むMS培地にそれぞれ移植し、1ケ月間培養した後、
カルスの新鮮重量とβ−エクダイソン含量を測定した。
なお、β−エクダイソン含量は、カルス中のβ−エクダ
イソンをメタノールで抽出した後、酢酸ブチル、n−ブ
タノールで順次抽出し、カラムクロマトグラフィにより
定量した。結果を表4に示す。
表4により、バイテックス属植物では、アグロバクテ
リウム属細菌を感染させなくとも植物ホルモンの存在下
で多量のβ−エクダイソンが産生することが判明した。
リウム属細菌を感染させなくとも植物ホルモンの存在下
で多量のβ−エクダイソンが産生することが判明した。
実施例7 実施例6で得たカルス1gを最終的にココナッツミルク
を0.1〜10重量%含むMS培地に移植し、上記実施例6と
同様にして1カ月間培養した後、カルスの新鮮重とβ−
エクダイソン含量を測定した。結果を表5に示す。
を0.1〜10重量%含むMS培地に移植し、上記実施例6と
同様にして1カ月間培養した後、カルスの新鮮重とβ−
エクダイソン含量を測定した。結果を表5に示す。
表5より、バイテックス属植物では、アグロバクテリ
ウム属細菌を感染させなくともココナッツ・ミルクの存
在下で多量のβ−エクダイソンが産生することが判明し
た。
ウム属細菌を感染させなくともココナッツ・ミルクの存
在下で多量のβ−エクダイソンが産生することが判明し
た。
実施例8 温室内で栽培したバイテックス・ストリッケリの葉を
切り取り、実施例6と同様にして表面殺菌した後、1cm
×1cm角に切断した。またアグロバクテリウム属細菌の
うちメロン毛根病菌であるアグロバクテリウム・リゾゲ
ネスMAFF−03−01724を、ルリア・ブロース培地で温度2
5℃で1晩培養し、菌液を調製した。各菌液に葉の切断
片を5分間浸漬した後、1重量%素寒天上で温度25℃、
照明下、2日間培養することにより菌を感染させた。次
いで、500μg/mlのカルベニシリン及び500μg/mlのバレ
コマイシンを添加すると共に、3重量%のショ糖を含
み、0.2重量%ゲランガムで固化したMS培地上に移植
し、25℃、暗室下で培養することにより、無ホルモン培
地上で増殖する形質転換由来のカルスを選択した。生成
したカルス1gを、植物ホルモン未添加のMS培地、B5培
地、H培地、NN培地及びW培地上に移植し、1ケ月間培
養した後、実施例6と同様にしてカルスの新鮮重量とβ
−エクダイソン含量を測定した。なお、上記細菌でバイ
テックス属植物が形質転換されているか否かの同定は、
Ti、RiプラスミドT−DNAで形質転換した植物細胞が特
異的に合成する非蛋白態アミノ酸の総称であるオパイン
を検出することにより行なった。すなわち、カルスを十
分に摩砕した後、10000回転の遠心分離器で5分間分離
し上清を回収する。次いで上清を5μずつクロマトグ
ラフ用紙にスポットし、風乾する。そして、オクトピ
ン、ノパリンの場合、酢酸/ギ酸/水=15/5/80(重量
%)からなる泳動用バッファーを用い、印加電圧500Vの
条件で1〜2時間電気泳動し、風乾後、呈色試薬である
フェナントラキン(2%の水酸化ナトリウムを含む80%
エタノール溶液)で呈色させ、短波長紫外線で検出し
た。またアグロピン、マンノピンの場合、上記の泳動用
バッファーを用い、上記と同様にして電気泳動し、風乾
後、呈色試薬であるアルカリ硝酸銀をスプレーすること
により生成する黒色スポットにより検出した。結果を表
6に示す。
切り取り、実施例6と同様にして表面殺菌した後、1cm
×1cm角に切断した。またアグロバクテリウム属細菌の
うちメロン毛根病菌であるアグロバクテリウム・リゾゲ
ネスMAFF−03−01724を、ルリア・ブロース培地で温度2
5℃で1晩培養し、菌液を調製した。各菌液に葉の切断
片を5分間浸漬した後、1重量%素寒天上で温度25℃、
照明下、2日間培養することにより菌を感染させた。次
いで、500μg/mlのカルベニシリン及び500μg/mlのバレ
コマイシンを添加すると共に、3重量%のショ糖を含
み、0.2重量%ゲランガムで固化したMS培地上に移植
し、25℃、暗室下で培養することにより、無ホルモン培
地上で増殖する形質転換由来のカルスを選択した。生成
したカルス1gを、植物ホルモン未添加のMS培地、B5培
地、H培地、NN培地及びW培地上に移植し、1ケ月間培
養した後、実施例6と同様にしてカルスの新鮮重量とβ
−エクダイソン含量を測定した。なお、上記細菌でバイ
テックス属植物が形質転換されているか否かの同定は、
Ti、RiプラスミドT−DNAで形質転換した植物細胞が特
異的に合成する非蛋白態アミノ酸の総称であるオパイン
を検出することにより行なった。すなわち、カルスを十
分に摩砕した後、10000回転の遠心分離器で5分間分離
し上清を回収する。次いで上清を5μずつクロマトグ
ラフ用紙にスポットし、風乾する。そして、オクトピ
ン、ノパリンの場合、酢酸/ギ酸/水=15/5/80(重量
%)からなる泳動用バッファーを用い、印加電圧500Vの
条件で1〜2時間電気泳動し、風乾後、呈色試薬である
フェナントラキン(2%の水酸化ナトリウムを含む80%
エタノール溶液)で呈色させ、短波長紫外線で検出し
た。またアグロピン、マンノピンの場合、上記の泳動用
バッファーを用い、上記と同様にして電気泳動し、風乾
後、呈色試薬であるアルカリ硝酸銀をスプレーすること
により生成する黒色スポットにより検出した。結果を表
6に示す。
表6から明らかなように、アグロバクテリウム属細菌
で形質転換すると、植物ホルモンがなくても著しく増殖
し、β−エクダイソンの産生量が多いことが判明した。
で形質転換すると、植物ホルモンがなくても著しく増殖
し、β−エクダイソンの産生量が多いことが判明した。
実施例9 実施例8の菌液に代えて、実施例5で調製したアグロ
バクテリウム・リゾゲネスMAFF−03−01725株、MAFF−0
3−01726株、MAFF−03−01727株の菌液をそれぞれ用い
る以外、実施例8と同様にしてバイテックス属植物を感
染させて培養したところ、実施例8と同様な結果を得
た。
バクテリウム・リゾゲネスMAFF−03−01725株、MAFF−0
3−01726株、MAFF−03−01727株の菌液をそれぞれ用い
る以外、実施例8と同様にしてバイテックス属植物を感
染させて培養したところ、実施例8と同様な結果を得
た。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91)
Claims (9)
- 【請求項1】ファイトエクダイステロイド含有植物にア
グロバクテリウム(Agrobacterium)属に属するメロン
毛根病菌を感染させて組織培養し、生成した培養物から
ファイトエクダイステロイドを抽出することを特徴とす
るファイトエクダイステロイドの製法。 - 【請求項2】メロン毛根病菌が、アグロバクテリウム・
リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)MAFF03−0172
4、アグロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03−01725、ア
グロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03−01726またはア
グロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03−01727である請
求項1記載のファイトエクダイステロイドの製法。 - 【請求項3】培養物が誘発根の培養物である請求項1記
載のファイトエクダイステロイドの製法。 - 【請求項4】培養物がカルスである請求項1記載のファ
イトエクダイステロイドの製法。 - 【請求項5】培養物が、誘発根又はカルスから再生させ
た植物体である請求項1記載のファイトエクダイステロ
イドの製法。 - 【請求項6】バイテックス・ストリッケリ(Vitex stri
ckeri)、バイテックス・トニアナ(Vitex doniana)お
よびバイテックス・ミクランタ(Vitex micrantha)か
ら選択されたバイテックス属植物を組織培養し、生成し
た培養物からファイトエクダイステロイドを抽出するこ
とを特徴とするファイトエクダイステロイドの製法。 - 【請求項7】培養物がカルスである請求項6記載のファ
イトエクダイステロイドの製法。 - 【請求項8】ファイトエクダイステロイド含有植物にア
グロバクテリウム属に属するメロン毛根病菌を感染させ
たことを特徴とするファイトエクダイステロイド含有誘
発根。 - 【請求項9】ファイトエクダイステロイド含有植物にア
グロバクテリウム属に属するメロン毛根病菌を感染させ
たことを特徴とするファイトエクダイステロイド含有カ
ルス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63332352A JP2702201B2 (ja) | 1988-03-08 | 1988-12-29 | ファイトエクダイステロイドの製法とファイトエクダイステロイド含有誘発根及びカルス |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5462488 | 1988-03-08 | ||
JP63-54624 | 1988-03-08 | ||
JP63332352A JP2702201B2 (ja) | 1988-03-08 | 1988-12-29 | ファイトエクダイステロイドの製法とファイトエクダイステロイド含有誘発根及びカルス |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01317397A JPH01317397A (ja) | 1989-12-22 |
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CN111393318B (zh) * | 2020-04-13 | 2023-02-10 | 上海师范大学 | 一种粉背蕨酸酰胺衍生物的合成及其在抗肿瘤药物中的应用 |
-
1988
- 1988-12-29 JP JP63332352A patent/JP2702201B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Agric.Biol.Chem.,Vol.48 〔6〕 (1984) P.1683−1684 |
J.Nat.Prod.,Vol.49 〔2〕 (1986) P.365−366 |
Also Published As
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