JP2568660B2 - 新規なクローン植物の取得方法 - Google Patents

新規なクローン植物の取得方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はタバコ属植物の葉、茎や根等の器官から、オ
ーキシン、サイトカイニン等の植物ホルモンを使用する
ことなく、かつカルスを経ることなく、直接、短期間に
多数のクローン植物を取得する上で有用な新規なクロー
ン植物の取得方法に関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 従来、タバコ属植物、特にタバコ(Nicotiana tabacu
m)は喫煙用に用いられるだけでなく、植物組織培養技
術において、植物再生が特に容易な植物として知られて
いる。従って、植物体再生の基本技術や培地、ホルモン
等の添加等に関する研究は、タバコを基礎として展開さ
れてきた。
タバコ細胞からのタバコ再生クローン植物は、通常、
葉肉細胞プロトプラストや、カルス誘導後、懸濁培養し
て得られた単細胞やプロトプラストを経る方法で得られ
る。すなわち、単細胞にした後、その細胞由来の再生個
体を取得する方法、例えば、葉肉細胞プロトプラストか
ら細胞塊(コロニー)、カルス再生を経る方法、あるい
は植物組織からカルスを誘導し、液体培地中で懸濁培養
し、単細胞を得るか、プロトプラストを調製し、細胞
塊、カルスを再生させる方法で再生植物を取得してい
る。
上記プロトプラストは、葉肉細胞の場合、葉を次亜塩
素酸ナトリウム等で表面殺菌した後、酵素液、例えば1
%セルラーゼ、0.1%ペクチナーゼ又は0.1%ペクトリア
ーゼ、1%マセロザイム、5%ドリセラーゼ等の組合せ
からなる酵素液中に浸漬し、30℃程度の温度で1〜4時
間程度インキュベートする。その際、浸透圧の調整を0.
4〜0.8Mマニトールで行ない、同様の濃度のマニトール
で洗浄することにより調製できる。また懸濁培養細胞の
場合、表面殺菌することなく、上記と同様にしてプロト
プラストを調製できる。また懸濁培養細胞は、カルス
を、ゲル化剤を含まない液体培地、例えば、ムラシゲ・
スクーグ培地等に移植し、振盪培養し、継代培養を繰返
すことにより得られる。そして、プロトプラスト又は単
細胞を植物培養用培地、例えば、ムラシゲ・スグーグ培
地、リンスマイヤー・スクーグ培地、ホワイト培地等に
3重量%程度のショ糖とビタミン類を添加し、植物ホル
モンのオーキシン類として、例えば、インドール酢酸
(IAA)を1mg/、サイトカイニン類として、例えばベ
ンジルアミノプリン(BAP)やカイネチンを0.1mg/添
加し、0.8重量%寒天で固化した培地上に置床する。3
〜4週間程度培養すると、器官の周囲から脱分化した細
胞塊、すなわち、カルスが出現する。得られたカルスを
新鮮な同じ培地上で1ケ月程度培養し、カルスを増殖さ
せ、植物ホルモン、例えばIAA0.1mg/、BAP1mg/を添
加して培地上に移植すると、3〜4週間後に苗条、すな
わちシュートが出現する。このシュートを、植物ホルモ
ンを含まない前記培地上に移植することにより、2週間
前後で根が発現し、タバコ再生クローン植物が得られ
る。
しかしながら、この方法では、再生個体であるクロー
ン植物を得るには4〜6ケ月程度の日数を要し、短時間
で効率的にクローン植物を得ることが困難である。
また双子葉植物を、Tiプラスミドを有するアグロバク
テリウム・ツメファシンス(Agrobacterium tumefacien
s)と、Riプラスミドを有するアグロバクテリウム・リ
ゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)とで感染する
と、アグロバクテリウムのプラスミドの一部であるT−
DNAが宿主植物ゲノムDNA中に組込まれ、感染部位から、
それぞれ不定形の細胞の塊である癌種と毛状根とが発現
することも報告されている(「Riプラスミドと毛状根
最近の話題」、醗酵と工業、Vol.45,NO.9,865−873(19
87)参照)。さらには、アグロバクテリウム・ツメファ
シンスをタバコに接種すると、腫瘍が形成された後、シ
ュートが発現することも報告されている(Genetic Anal
ysis on Crown Gall:Fine Structure Map of the T−DN
A by Site−Directed Mutagenesis,Cell.Vol.27,143−1
53,Nov.,1981)参照)。しかしながら、これらの報文で
はアグロバクテリウム・リゾゲネスなとの感染部位から
直接シュートが発現することわ報告されていない。また
後者の例では、タバコの立ち木に接種しており、組織培
養条件下で苗条を発現させ、培養することにより、タバ
コ再生クローン植物を得ることが困難である。
またこれらの方法で生成した再生個体は、単一細胞由
来のクローンではなく、多数の細胞由来のキメラ植物で
あり、一個体が単一の遺伝形質で構成されないという問
題がある。またアグロバクテリウム・リゾゲネスのRiプ
ラスミドのT−DNAは、植物細胞の染色体中にランダム
に組込まれるため、その部位の遺伝子が失活する。従っ
て、遺伝的変異が生じ、形態的にも異なった植物が得ら
れることとなる。
一方、アグロバクテリウム・ツメファシンスの中で、
シュートを発現させるものが発見されているものの、こ
れらの菌の感染により発現したシュートは完全な奇型で
根が全く発現しない。
このように、タバコ属植物を従来のアグロバクテリウ
ム・リゾゲネスで形質転換した後、培養しても、感染部
位から直接シュートが発現せず、効率的にクローン植物
を取得するのが困難である。
さらには、アグロバクテリウム・リゾゲネスの使用に
際しては以下のような問題がある。アグロバクテリウム
・リゾゲネスは、菌の防除が容易でなく、一般に外国産
の菌株のものが多く、しかも農業上重大な被害を与える
有害微生物である。従って、我国での使用に際しては、
植物防疫法に基づく有害微生物の輸入許可が必要である
だけでなく、再生個体も許可なしに屋外へ出せない等、
使用に際して種々の制約を受ける。
本発明の目的は、安全で、使用に際し制約を受けるこ
とのないアグロバクテリウム・リゾゲネスを用い、植物
ホルモンを使用することなく、しかもカルス誘導を経る
ことなく、感染部位から直接シュートを発現させ、単一
の遺伝形質で構成された多数のクローン植物を短期間で
得ることができる新規なクローン植物の取得方法を提供
することにある。
[発明の構成] 本発明は、タバコ属植物の器官の切片をアグロバクテ
リウム・リゾゲネスMAFF03−01724、MAFF03−01725、MA
FF03−01726及びMAFF03−01727から選択された少なくと
も1種で形質転換した後、培養し、生成した苗条を培養
する新規なクローン植物の取得方法により、上記の課題
を解決するものである。
本発明で使用されるタバコ属植物は、ニコチアナ・タ
バカムであれば、全ての品種が使用できる。
タバコ属植物の器官は、特に限定されず、葉、茎、根
等の種々の器官が使用できるが、表面殺菌の点から、葉
や茎、特に葉が好ましい。またタバコ属植物は、表面殺
菌後、アグロバクテリウム・リゾゲネスを接種してもよ
く、予め作製した無菌植物を用いてもよい。殺菌剤とし
ては、慣用されている殺菌剤、例えば、1〜10重量%亜
塩素酸ナトリウム液、塩化水銀溶液やさらし粉溶液等が
使用でき、該殺菌剤にタバコ属植物の器官を浸漬後、殺
菌水で十分に洗浄すればよい。洗浄後、タバコ属植物の
器官を適当な大きさ、例えば、葉では1cm×1cm程度、茎
では1cm程度に切断する。
タバコ属植物の器官を、アグロバクテリウム属細菌の
うち特定のアグロバクテリウム・リゾゲネスで形質転換
する。アグロバクテリウム・リゾゲネスとしては、アグ
ロバクテリウム・リゾゲネスMAFF03−01724、MAFF03−0
1725、MAFF03−01726、MAFF03−01727から選択された少
なくとも一種が使用できる。これらの菌株は、日本国内
で発見されたメロン毛根病菌と呼ばれる菌株である(塩
見ら、植物病理学会報、1988)。従って、使用に際して
何ら制約を受けることがない。なお、これらの菌株は、
農林水産省農業生物資源研究所発行の「微生物遺伝資源
配布目録」に上記各番号で記載されており、微生物の保
存機関である農林水産省遺伝資源センター(茨城県つく
ば市観音台2丁目1−2)から容易に入手できる。
前記メロン毛根病菌でタバコ属植物を形質転換する
と、Riプラスミドと呼ばれる巨大プラスミドの一部のT
−DNA中にオーキシン類及びサイトカイニン類の合成に
関与する遺伝子が含まれているため、形質転換された植
物細胞は、植物ホルモンを含まない培地上で増殖でき
る。
メロン毛根病菌の菌液は、メロン毛根病菌を、例え
ば、YM培地、ニュートリエント・ブロース培地、AB培
地、ルリア・ブロース培地等の培地で培養することによ
り調製することができる。上記培地のうちルリア・ブロ
ース培地が好ましい。より具体的には、菌液は、前記メ
ロン毛根病菌を、例えば、1.5重量%寒天で固化したル
リア・ブロース培地で1ケ月毎等の所定間隔毎に継代培
養し、適宜量の液体培地、例えば20mlの液体ルリア・ブ
ロース培地に移植し、適宜の条件、例えば温度30℃で一
晩培養することにより調製できる。
タバコ属植物の前記メロン毛根病菌による形質転換
は、メロン毛根病菌のRiプラスミドT−DNAをタバコ属
植物染色体に組込む方法であれば特に限定されない。簡
便な方法としては、例えば、植物の茎に菌液を付けた針
を穿刺する方法、茎に傷を付け菌液を塗布する方法、茎
の切断面に菌液を塗布する方法、リーフディスク法のよ
うに葉や茎の切断片を菌液に浸漬する方法、カーボラン
ダムやセライト等を用いて葉や茎へ菌液を塗布する方法
等が挙げられる。上記方法のうち、葉の切断片を菌液に
浸漬する方法が簡便で効率がよい。その際、葉脈部分を
含むようにするのが好ましい。なお、メロン毛根病菌を
タバコ属植物の切片に接種する場合、必要に応じて、適
宜の培地、例えば、0.8重量%素寒天上で2〜3日間培
養することにより感染させることができる。
また前記メロン毛根病菌のRiプラスミドT−DNAに有
用な外来遺伝子を導入した組換え体RiプラスミドT−DN
Aを用い、タバコ属植物染色体に外来遺伝子を挿入する
ことにより形質転換してもよい。外来遺伝子を導入する
ことにより、耐寒性、耐塩性、耐乾燥性、農薬抵抗性、
ウィルス抵抗性、除草剤抵抗性等の有用な特性を発現さ
せることができる。メロン毛根病菌のRiプラスミドT−
DNAへの外来遺伝子の挿入は、中間ベクターを用いてT
−DNAの必須でない領域に外来遺伝子を導入する方法、
バイナリーベクターシステムを用い、クローニングする
方法などが挙げられる。前者の場合、RiプラスミドのT
−DNAを制限酵素で切り出し、pBR322等のクローニング
ベクターに導入し、所望の外来植物遺伝子をT−DNA領
域に挿入することにより、ハイブリッドプラスミドを得
る。次いで、ハイブリッドプラスミドのT−DNAとメロ
ン毛根病気菌のT−DNAとの組換えにより外来遺伝子を
T−DNAに移入できる。後者の場合、T−DNAとvir領域
とが分離していてもよいことを利用して、T−DNA境界
配列を有するプラスミドに外来遺伝子をクローニング
し、vir領域を有し、かつT−DNA領域を有しないRi欠失
変異体を宿すメロン毛根病気菌に導入することにより、
外来遺伝子をメロン毛根病菌のT−DNAに導入できる。
このようにして形質転換したタバコ属植物の細胞を培
地で培養する。形質転換したタバコ属植物の細胞は、前
記のように、増殖の際、植物ホルモンを必要としないの
で、無ホルモン培地上で培養し、増殖したものだけを移
植して培養できる。その際、抗生物質を添加して除菌す
るのが好ましい。抗生物質としては、例えばカルベニシ
リン、バンコマイシン、セフォタキシム等、種々の抗生
物質が単独又は組合せて使用できる。上記抗生物質は適
宜の濃度で使用でき、例えば500μg/ml程度の濃度で十
分である。
培地としては、植物の組織培養に用いられ、無機成
分、有機成分等を含有する種々の培地が使用できる。例
えば、ムラシゲ・スクーグ(MS)培地、リンスマイヤー
・スクーグ(LS)培地、ニッチ(N)培地、ニッチとニ
ッチ(NN)培地、ヘラー(H)培地、ホワイト(W)培
地、ガンボルグB5(B5)培地等が挙げられる。上記培地
のうちMS培地が好ましい。
培地は、液体培地、固形培地のいずれの形態でも使用
できる。固形培地では、ゲル化剤、例えば、寒天、アガ
ロース、カラギーナン、ゲランガム等を用いて固化して
もよい。上記固形培地は、適宜濃度の寒天、例えば1重
量%程度の寒天等を用いて固化してもよいが、ゲランガ
ム、特に0.2重量%程度のゲランガムで固化するのが好
ましい。
培地には、慣用の植物ホルモンを添加してもよい。植
物ホルモンのオーキシン類としては、天然及び合成オー
キシン、例えば、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−
D)、インドール酢酸(IAA)、インドール酪酸(IB
A)、β−ナフタレン酢酸(NAA)、2,3,4−トリヨード
安息香酸、フェニル酢酸等が例示される。これらオーキ
シン類のうち2,4−D、IAA、IBA及びNAAが好ましい。オ
ーキシン類は、適宜の濃度、例えば、0.01〜10mg/程
度、特に0.1〜5mg/程度の濃度で使用するのが好まし
い。サイトカイニン類としては、カイネチン、ベンジル
アミノプリン(BAP)、ゼアチン、2−イソペンテニル
アデニン等が例示される。サイトカイニン類のうちカイ
ネチン、BAP等が好ましい。サイトカイニン類は、適宜
の濃度、例えば0.01〜10mg/程度、特に0.1〜5mg/程
度の濃度で使用するのが好ましい。ジベレリン類として
は、ジベレリンA1〜A13、アブシジン酸等を用いてもよ
い。ジベレリン類のうちジベレリン酸(GA3)が好まし
い。ジベレリン類は通常0.001〜1mg/程度の濃度で使
用される。これらの植物ホルモンは単独又は組合せて使
用される。
また培地には、エネルギー源、炭素源、ビタミンやア
ミノ酸等を添加してもよい。エネルギー源、炭素源とし
ては、例えば、ブドウ糖、フルクトース、ショ糖等が例
示され、特にショ等が好ましい。エネルギー源、炭素源
は適宜の濃度、例えば1〜5重量%、好ましくは3重量
%程度の濃度で使用できる。ビタミンとしては、例え
ば、イノシトール、チアミン塩酸塩、ピリドキシン、ニ
コチン酸アミド、アスコルビン酸、パントテン酸カルシ
ウム、塩化コリン、葉酸、p−アミノ安息香酸、ビタミ
ンA、ビタミンB12等が例示され、アミノ酸としては、
例えば、グリシン、アラニン等が例示される。さらに
は、ココナッツ・ミルク、カザミノ酸や、ピルビン酸ナ
トリウム、クエン酸、マレイン酸等の有機酸、イースト
エキス、カゼイン加水分解物、酵母エキス、麦芽エキ
ス、トマトやポテトの抽出液等を添加してもよい。
培地は、例えば、ゲル化剤を除く成分の水溶液を、水
酸化ナトリウムや塩酸などを用いてpHを5.7〜5.8程度に
調製し、オートクレーブ等による高圧蒸気減菌法や、メ
ンブランフィルタ等による過減菌法で減菌することに
より作製することができる。なお、高圧蒸気減菌法で
は、pHが低下することがあるが、そのまま使用しても特
に支障はない。また固形培地は減菌液にゲル化剤を添加
することにより調製することができ、この固形培地は斜
面培地であってもよい。
タバコ属植物の器官の培養は、例えば、切片を固形培
地に置床して適当な条件、例えば温度25〜28℃、必要に
応じて照度500〜3000ルックス程度の照明下又は暗室下
で行なうことができる。上記の条件で培養すると、通
常、約2週間程度で接種部位から多数のシュートが発現
する。その際、形質転換した器官を培養すると、従来の
アグロバクテリウム・リゾゲネスやアグロバクテリウム
・ツメファシンスと異なり、癌種や毛状根が発生するこ
となく、カルスを経ずして、短時間内に感染部位から形
態的に同じ苗条、すなわちクローン化したシュートが発
現する。なお、アグロバクテリウム・リゾゲネスの接種
で得られた毛状根がクローンと考えられるため、本発明
において発現したシュートもクローンと考えられる。
発現したシュートを切り取り、新鮮な上記と同様の培
地、又は細胞の増殖率や代謝活性等に応じた適切な培地
に移植し、細胞の増殖や代謝活性に悪影響を及ぼさない
条件、例えば、上記と同様な条件下で発根させる。シュ
ートからの発根は、通常、約1時間程度で起る。上記の
ようにして培養することにより、通常、1ケ月半以内で
完全なタバコ再生個体であるクローン植物が得られる。
従って、従来のプロトプラスト調製及びカルス誘導を経
る培養方法では、クローン植物を得るのに4〜6ケ月程
度の長期間を要するのに対して、本発明の方法では、そ
の約半分の期間である1ケ月半程度でクローン植物を得
ることができる。
また発根したシュートを、抗生物質を含まない培地に
移植し、生育させ、必要に応じて馴化後、鉢出しするこ
とができる。
なお、アグロバクテリウム・リゾゲネスの前記メロン
毛根病菌により感染したシュートであるか否かは、得ら
れたシュートの一部を摩砕し、遠心分離した上清を紙
上にスポットし、紙電気泳動した後、ポーリー(Paul
y)試薬で呈色することにより検出することができる。
すなわち、RiプラスミドT−DNAで形質転換した植物細
胞が特異的に合成する非蛋白態アミノ酸の総称であるオ
パインをポーリー試薬で呈色すると桃ないし赤色のスポ
ットが出現する。
[発明の効果] 以上のように、本発明によれば、タバコ属植物の器官
の切片をアグロバクテリウム・リゾゲネスに属する特定
の菌株で形質転換した後、培養するので、無植物ホルモ
ン培地で癌腫等を発生させることなく、しかもカルス誘
導を経ることなく、感染部位から直接多数のシュートを
短期間に発現させ、クローン植物を得ることができる。
またアグロバクテリウム・リゾゲネスのメロン毛根病菌
を用いるので、安全で、使用に際し制約を受けることが
ない。
[実施例] 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明す
る。
実施例1 ニコチアナ・タバカムをMS基本培地で培養した無菌植
物の葉を1cm×1cm角に切断した。
一方、メロン毛根病菌(Agrobacterium rhizogenes M
AFF−03−01724)をルリア・ブロース(LB)培地で25℃
の温度で一晩振盪培養し、菌液を調製すると共に、減菌
水で2〜4倍に希釈した後、上記植物片を5分間浸漬し
た。
蒸留水を1重量%寒天で固化した素寒天培地上に植物
片を置床し、25℃の温度で照明下、3日間培養した後、
500μg/mlのカルベニシリン及び500μg/mlのバンコマイ
シンを含み、0.2重量%のゲランガムで固化したMS培地
上に移植し、25℃の温度で照明下、2週間培養したとこ
ろ、植物片の感染部位から多数のシュートが出現した。
シュートを切り取り、上記抗生物質を含む培地に移植
し、2週間程度培養すると発根した。次いで、馴化する
ため、減菌した土に移植し、照明下、多湿条件下で栽培
し、屋内で鉢に植えて栽培することによりタバコ再生ク
ローン植物を得た。なお、タバコ再生クローン植物は、
その後、屋外に出して栽培することができた。
実施例2 Agrobacterium rhizogenes MAFF−03−01724に代え
て、Agrobacterium rhizogenes MAFF−03−01726を用い
る以外、実施例1と同様にして培養したところ、癌腫等
を発現することなく、植物片の感染部位から多数のシュ
ートが出現した。またシュートを実施例1と同様にして
培養したところ、発根し、減菌した土に移植し、照明
下、多湿条件下で栽培し、屋内で鉢に植えて栽培するこ
とによりタバコ再生クローン植物を得た。
比較例 メロン毛根病菌に代えて、アグロバクテリウム属細菌
の菌株であるA.rhizogenes 15834を用いる以外、上記実
施例と同様にして培養したところ、植物片の感染部位か
ら多数の毛状根が出現し、シュートは出現しなかった。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タバコ属植物の器官の切片をアグロバクテ
    リウム・リゾゲネスMAFF03−01724、MAFF03−01725、MA
    FF03−01726及びMAFF03−01727から選択された少なくと
    も1種で形質転換した後、培養し、生成した苗条を培養
    することを特徴とする新規なクローン植物の取得方法。
  2. 【請求項2】タバコ属植物が、ニコチアナ・タバカムで
    ある請求項1記載の新規なクローン植物の取得方法。
  3. 【請求項3】ムラシゲ・スクーグの培地で培養する請求
    項1記載の新規なクローン植物の取得方法。
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Zeitschrift fuer Pflanzenphysiologie,106〔1〕(1982)P.87−92

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