JP2623320B2 - 木本性植物のプロトプラストから植物体を再生する方法 - Google Patents

木本性植物のプロトプラストから植物体を再生する方法

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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、基本性植物のプロトプラストから植物体を
再生する方法に関し、さらに詳しくは、これまでに行わ
れている通常のプロトプラストの培養法では植物体に再
生することが困難な、あるいは不可能な種類の木本性植
物であつてもそのプロトプラストから植物体を再生する
ことを可能にする方法に関するものである。
従つて、変異体作出技術として重要な遺伝子組み換え
あるいは細胞融合によつて得られたプロトプラストか
ら、新規で有用な植物体を創成する方法に関するもので
ある。
〔従来の技術〕
植物細胞より作出したプロトプラストは細胞壁を有し
ないために、細胞融合あるいは有用な遺伝子等の導入が
可能である。このようなプロトプラストから植物体を再
生することが可能になれば、これまでになかつた全く新
しい植物を作り出すことが可能になるだけでなく、我々
人類の使用目的に合致した、例えば農作物の場合には、
収量の高い、味の良い、さらには病虫害や気象的な被害
にも耐えることが可能な品種あるいは植物を作り出すこ
とが出来るようになる。
これまでに、葉、胚軸、根等の植物の組織を酵素液等
で処理して得たプロトプラストから植物体を再生する技
術は、タバコやベチユニアその他多くの草本性植物で確
立されつつある。しかしながら、木本性植物においては
トロビタオレンジ(小林省蔵等「育種学雑誌」34巻(別
2)、32〜33、1984)、コウゾ(岡成美)、大山勝夫
「育種学雑誌」34巻(別2)26〜27、1984)、本発明者
等その他のポプラ(伊藤一弥他、特開昭62−224224号、
Russell,J.A.and B.H.McCown,Plant,Sci.,46,133−142,
1986)、Sandalwood(Rao,P.S.and P.Ozias−Akina,Pro
toplasma,124,80−86,1985)、ニレ(Sticklen,M.B.et
al.,Plant sci,47,29−34,1986)など少数しか例がな
い。
その原因として、プロトプラストの培養過程で培養物
から培地の中に排出されるポリフエノール等の物質や細
胞の凝集がプロトプラストの生存、分裂に阻害的に働い
て、植物体の再生にまで至らなかつたことがあげられ
る。このために最近では、細胞の凝集回避のために液体
培地に代わつて固形培地を使用したり、未熟胚、花序、
若い葉等を材料に用いて、より分化能の高いカルスを作
出した後、これからプロトプラストを単離して培養して
いる。
さらに、旺盛に成育しているカルスの上に濾紙を置い
て、その上で培養するナースカルチヤー法、あるいはX
線や紫外線等で不活性化したプロトプラスマを寒天に埋
め込んでその上で培養するフイーダーレーヤー法、さら
には一定期間培養に用いられた培地を使うコンデイシヨ
ン培地法等が報告されている。しかしながら、木本性植
物の場合、これらの手法によつてもプロトプラストから
植物体を再生させることは極めて困難である。
本発明者らはすでに木本性植物のプロトプラストと草
本性植物のプロトプラストとを細胞融合処理することに
よつて、木本性植物のプロトプラストから植物体を再生
する方法を完成した(特願昭62−224224)。さらに、木
本性植物のプロトプラストの草本性植物のプロトプラス
トとを1つの容器に共存させて培養することによつて、
木本性植物のプロトプラストから植物体を再生する方法
も完成している。さらに、ポプラの場合には苗条原基か
ら単離されたプロトプラストを培養することによりプロ
トプラストの培養系の確立に成功している(特願昭62−
204269、昭和62年8月19日)。また、木本性植物のプロ
トプラストから植物体を再生する方法についても先に出
願した(特願昭62−199147、昭和62年8月11日)。
しかしながら、これらの新規で有効な方法によつて
も、ユーカリ等の樹種の場合にはコロニーあるいはカル
スの段階で成長が停止して、植物体を再生することが不
可能であつた。
一方、本発明者等は木本性植物の茎頂部を回転培養し
て苗条原基を作出し、これから大量に植物体を得る方法
を発明した(特願昭62−55020、特開昭63−7720)。そ
して、本方法によつて、ポプラあるいはユーカリ等を大
量に苗化させることが可能である。
本発明者等はこれらの問題点を解決して、プロトプラ
ストから容易に木本性の植物体を再生する方法について
研究を重ねた結果、本発明を完成するに至つた。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、プロトプラストを培養して植物体を再生さ
せる場合に、これまで試みられてきた方法では困難な、
あるいは不可能な種類の木本性植物のプロトプラストか
ら植物体を再生させることを目的とする方法に関するも
のである。
すなわち、再生させることを目的とする木本性植物の
プロトプラストに、プロトプラストの分裂能の高い種類
の草本性植物のプロトプラストを培養の初期に共存させ
て木本性植物のコロニーあるいはカルスを形成させ、形
成されたコロニーあるいはカルスを次には回転培養して
苗条原基を作出し、さらに得られた苗条原基から木本性
の植物体を再生することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、再生を目的とする木本性植物のプロトプラ
ストを分裂能の高い草本性植物のプロトプラストと1つ
の容器の中で共存させて培養し、コロニーあるいはカル
スを得た後、回転培養器に移して苗条原基を作出し、さ
らに植物体を再生することを特徴とする木本性植物のプ
ロトプラストから植物体を再生する方法である。
本発明に使用する植物の種類は特に限定されるもので
はないが、プロトプラストの分裂能の高い草本性植物の
種類としてケナフ、タバコ、ペチユニア等、一方再生を
目的とする木本性植物として、ユーカリ、マングロー
ブ、アカシア、パラゴムノキ、コーヒー等の常緑広葉樹
類、ポプラ、キリ、コナラ、クヌギ、ウルシ等の落葉広
葉樹類、マツ、スギ、ヒノキ、モミ、トウヒ、カラマツ
等の針葉樹類、さらにミカン、ブドウ、イチジク、アー
モンド、マンゴウ等の果樹類やバラ、ウメ、ツバキ、サ
クラさらにはキヨウチクトウ等の花木類等である。
以下、本発明に用いる、プロトプラストを単離するた
めに使用するカルス、苗条原基および苗条の作出方法、
プロトプラストの単離・調整方法、そしてプロトプラス
トの培養方法、苗条原基の作出方法、さらに植物体の再
生方法等について詳しく説明する。
本発明で用いるプロトプラストを単離するためのカル
ス、苗条原基および苗条の作出方法 再生させることを目的とする木本性植物と、これと共
存させて培養するのに用いる草本性植物の種子を殺菌し
た後、植物の組織培養培地、例えばガンボーグ(Gambor
g)のB5培地、あるいはムラシゲ・スクーグ(Murashige
・Skoog)のMS培地等の寒天培地上にそれぞれに置床し
て発芽させる。
次に、生長した茎頂を含む長さ0.5〜2cmの茎を切り取
つてB5培地あるいはMS培地等に植物ホルモン類、例えば
ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフエノキシ酢酸
(2,4−D)あるいはインドール酢酸(IAA)等のオーキ
シン類およびベンジルアデニン(BA)、カイネチン、KT
−30あるいはゼアチン等のサイトカイニン類を添加した
寒天培地に置床、あるいは挿し木をする。これを20〜30
℃の温度、2,000〜5,000ルクスの照度で培養を行つて、
カルスあるいは苗条を得る。
また、苗条原基の作出は本発明者等が提案した方法に
よつて可能である(特開昭62−55020、特開昭63−772
0)。
なお、木本性植物の場合には、茎を滅菌した後形成層
に達するまで環状剥皮をして、前記同様に寒天培地に挿
し木を行い苗条を得る方法も可能である。
プロトプラストの単離・調整方法 上記の方法で得たカルス、苗条原基あるいは苗条を材
料にして、細胞間物質であるペクチンを分解するペクチ
ン分解酵素、細胞壁を分解するセルロース分解酵素、そ
してマニトールを含む酵素液を加えて、20〜30℃の温度
で6〜24時間、20〜30rpmの振盪速度で振盪処理をして
プロトプラストを単離する。次に、酵素液を除いてプロ
トプラストを洗浄、遠心処理をしてプロトプラストを調
整する。
プロトプラストの混合 酵素処理後、単離・調整して得た木本性植物のプロト
プラストと草本性植物のプロトプラストをそれぞれ104
ないし105個/mlの濃度に調整する。そして、両プロトプ
ラストの混合割合を1:5〜5:1として混合し、植物の組織
培養培地、例えばガンボーグのB5培地、ムラシゲ・スク
ーグのMS培地等に植物ホルモン類、例えばナフタレン酢
酸(NAA)、2,4−ジクロロフエノキシ酢酸(2,4−
D)、インドール酢酸(IAA)等のオーキシン類および
ベンジルアデニル(BA)、1−(2−クロル−4−ピリ
ジル)−3−フエニル尿素(KT−30)、カイネチン、ゼ
アチン等のサイトカイニン類を添加した液体培地で培養
する。支持体剤としては、寒天、アガロースまたはGelr
ite(Kelco division,Merck)などを用いうる。この際
支持体剤を低濃度で含有させることも可能である。
プロトプラストの培養方法 培養条件は、初期には暗所で培養し、プロトプラスト
の生育に伴つて徐々に明るくするのが好適である。ま
た、培養期間中の温度としては20℃ないしは30℃が好ま
しいが、特に25℃ないし28℃の間の温度が好ましい。
プロトプラストの培養は、溶解した寒天培地に流し込
む方法や液体培地に懸濁する方法等で行うことによつ
て、植物体の再生を目的とする木本性植物のコロニーあ
るいはカルスが形成される。
回転培養による苗条原基の形成方法 得られたコロニーあるいはカルスをガンボーグのB5培
地あるいはムラシゲ・スクーグのMS培地にオーキシンお
よびサイトカイニンさらにシヨ糖を添加した液体培地の
中で回転培養する。培養条件は1〜10rpmの回転速度、
最高2,000〜20,000ルクスの照度、そして20〜30℃の温
度とする。14〜40日間隔で新鮮培地へ継代して培養を継
続する。回転培養をはじめてから40〜120日で苗条原基
が得られる。
植物体の再生方法 回転培養装置で培養して得られた苗条原基を、苗条を
再生するための培地、例えば、ガンボーグのB5培地、ム
ラシゲ、スクーグのMS培地等に植物ホルモン類として、
例えばナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフエノキ
シ酢酸(2,4−D)、インドール酢酸(IAA)等のオーキ
シン類およびベンジルアデニン(BA)、KT−30、カイネ
チン、ゼアチン等のサイトカイニン類を添加したもので
培養する。培養は20〜30℃の温度、2,000〜3,000ルクス
の照度で約60日間行つて苗条を再生させ、さらに、発根
させて完全な植物体をプロトプラストから再生させる。
以下、実施例によつて本発明を更に詳しく説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
〔実施例1〕 供試植物 木本性植物としてユーカリ・サリグナ(Eucalyptus s
aligna)を、またこれと共存させて培養する草本性植物
としてケナフ(Hibiscus cannabinus)を使用した。
プロトプラストを単離するためのユーカリの苗条の作出
方法 ユーカリの種子を有菌状態において10倍に希釈したア
ンチホルミンで1時間殺菌し、さらに、無菌的に70%の
濃度のエタノールに15秒間、および5倍に希釈したアン
チホルミンに20分間浸漬して殺菌した。これを表−1に
示す植物の組織培養培地であるガンボーグのB5培地にシ
ヨ糖3%を加えた寒天培地上で無菌的に発芽させた。茎
頂を含む茎を長さ約1cmに切断し、これをB5培地に植物
ホルモンとしてナフタレン酢酸0.5mg/とベンジルアデ
ニンを0.01mg/の割合で添加し、pHを5.6に調整した寒
天培地(寒天0.6%添加)に挿し木をした。これを28℃
の温度、3,000ルクスの照度で培養した結果、培養開始
後約60日で発根した幼植物を形成した。これをユーカリ
のプロトプラスト単離用の材料とした。なお、この挿し
木をした茎は、新鮮な培地に植え継ぎ(挿し木)をする
ことで幼植物の再生を繰り返し行うことが可能である。
プロトプラストを単離するためのケナフのカルスの誘導
方法 ケナフの種子を70%の濃度のエタノールで30秒、およ
び10倍に希釈したアンチホルミン液で10分間殺菌した
後、無菌的に植物の組織培養培地であるガンボーグのB5
培地にシヨ糖3%を加えた寒天培地上で発芽させた。約
30日間培養して得られた苗条の茎を先端から長さ約1cm
に切断し、これをB5培地に植物ホルモンとして2,4−ジ
クロロフエノキシ酢酸2mg/、ベンジルアデニンを0.01
mg/の割合で添加した寒天培地上に置床した。これを2
8℃の温度、3,000ルクスの照度で培養した。
培養開始後、約40日で黄白色のカルスを得、これをプ
ロトプラストの単離・調整用の材料とした。このカルス
は、1カ月ごとに同一組成の新鮮培地に植え継いでおく
とよい。
プロトプラストの単離・調整方法 上記の方法で得られたユーカリの苗条およびケナフの
カルス各1gに対して、夫々各20mlの酵素液(1%セルラ
ーゼ・オノズカRS,0.1%ペクトリアーゼY−23,13%マ
ニトール,pH5.6)を加えて28℃の温度、20rpmの振盪回
数で6時間の酵素処理を行つて、両植物のプロトプラス
トを別々に単離した。得られたプロトプラスト懸濁液を
ナイロンメツシユ(225メツシユ)で濾過して未消化の
細胞塊等を除き、さらに750rpmで3分間の遠心分離処理
をして酵素液とプロトプラストを分離し、洗い液(13%
マニトール、50mM塩化カルシウム)で2回洗浄した後に
培養に供した。
プロトプラストの培養と植物体の再生方法 プロトプラストの培養培地は、表−1に示したガンボ
ーグのB5培地にNAA5mg/、BA0.5mg/、シヨ糖1%、
マニトール9%を加えたものを使用した。この培地にユ
ーカリとケナフのプロトプラストを3:1(ユーカリ3、
ケナフ1)の割合で、また5×104個/mlの濃度になるよ
うに混合して直径6cmのシヤーレにプレートした。な
お、プレート量は1シヤーレ当たり3mlとした。
プレートしたプロトプラストを28℃の温度条件で、最
初は暗条件で、約10日目からは3,000ルクスの明条件で
培養した。また、マニトールの濃度を培養開始後20日に
6%、40日に3%、そして60日に0%に下げた。
そして、約95日目にはユーカリのコロニーを、表−1
に示すガンボーグのB5培地にNAA0.02mg/、KT−30 0.
2mg/、シヨ糖1%を加えた液体培地25mlを入れた直径
30mm、長さ200mmの試験管に移した。そして、回転培養
装置で2rpmで回転しながら28℃の温度で、10,000〜3,00
0ルクスの範囲の光を照射して培養した。約30日間隔で
継代しながら回転培養で継続した結果、移植後約120日
で苗条原基が作出されたので、次にこれを苗条再生培地
に移植して、28℃で16時間の日長条件で培養した。
苗条再生培地(ガンボーグのB5培地にNAA0.02mg/、
BA0.2mg/、シヨ糖3%、寒天0.6%を添加した培地)
に移植して約30日後に苗条が再生した。この再生した苗
条の状態を第1図に示す。これをさらに表−2に示す発
根用の培地に移植して同様の条件で培養したところ、発
根して植物体が再生された。
〔実施例2〕 供試植物 再生させることを目的とする木本性植物としてユーリ
・テグルプタ(Eucalyptus deglupta)を、またこれと
共存させて培養する草本性植物としてケナフ(Hibiscus
cannabinus)を使用した。
プロトプラストを単離するためのユーカリの苗条原基の
作出方法 本発明者等が先に提案した木本性植物の茎頂部を回転
培養して苗条原基を作出する方法(特開昭62−55020、
特開昭63−7720)を用いてユーカリの苗条原基の作出を
行つた。
播種してガラス室の中で養成している3年生苗の活発
に生長している枝条先端部分から約10mmを切り取つて70
%エタノールで30秒、10倍希釈のアンチホルミンで20分
殺菌したあと、滅菌水で十分に洗浄した。次いでピンセ
ツトおよびメスにより、生長点を含む茎頂部を0.5〜1mm
摘出して、表−1に示す植物の組織培養培地であるガン
ボーグのB5培地にシヨ糖を30g/加え、植物ホルモンと
してナフタレン酢酸を0.02mg/、ベンジルアデニンを
0.2mg/の割合で添加し、pHを5.6に調整した液体培地2
5mlを入れた直径30mm、長さ200mmの試験管に植えつけ
た。これを28℃の温度、2,000〜15,000ルクスの照度、2
rpmの回転数で回転培養した結果、培養開始後約6カ月
目に苗条原基が得られた。これを、約3週間ごとに直径
約5〜10mmの大きさに分割して、前記の新鮮な培地に植
え継ぎを行い苗条原基を維持した。そして植え継ぎ後約
2週間目の苗条原基をプロトプラスト単離用の材料とし
て用いた。
プロトプラストを単離するためのケナフのカルス誘導方
法 実施例1に示すのと同様の方法によつてケナフのカル
スを得、これをプロトプラストの単離・調整用の材料と
した。
プロトプラストの単離・調整方法 上記の方法で得られたユーカリの苗条原基および実施
例1と同じ方法で得られたケナフカルス各1gに対してそ
れぞれ各20mlの酵素液(1%セルラーゼ・オノズカRS、
0.05%ペクトリアーゼY−23、13%マニトール、pH5.
6)を加えて28℃の温度、20rpmの振盪回数で15時間の酵
素処理を行つて両植物のプロトプラストを別々に単離し
た。なお、ユーカリの苗条原基については酵素処理する
前にピンセツトで2〜5mm程度の大きさにほぐしたあ
と、目のあらいメツシユでゴミを取り除きそのあと13%
マニトールで2回洗浄を行つた。
得られたプロトプラスト懸濁液をナイロンメツシユ
(225メツシユ)で濾過して未消化の細胞塊等を除き、
さらに750rpmで3分間の遠心分離処理をして酵素液とプ
ロトプラストを分離し、洗浄液(13%マニトール)で2
回洗浄した。
プロトプラストの培養と植物体の再生方法 プロトプラストの培養培地は表−1に示したがガンボ
ーグのB5培地にNAA 5mg/、2,4−D 0.1mg/、KT−
30 0.2mg/、シヨ糖1%、マニトール9%を添加した
ものを使用した。この培地にユーカリとケナフのプロト
プラストを3:1(ユーカリ3、ケナフ1)の割合で、ま
た5×104個の濃度になるように混合して直径6cmのシヤ
ーレにプレートした。なお、プレート量は1シヤーレ当
り3mlとした。
プレートしたプロトプラストを28℃の温度条件で、最
初は暗条件で、約10日目からは3,000ルクスの明条件で
培養した。また、マニトールの濃度を培養開始後20日目
に6%、40日目に3%、そして60日目に0%に下げた。
そして、約95日目にはユーカリのコロニーを表−1に
示すガンボーグのB5培地にNAA 0.2mg/、KT−30 0.2
mg/、シヨ糖1%を加えた液体培地25mlを入れた直径3
0mm、長さ200mmの試験管に移した。そして、回転培養し
ながら28℃の温度で、3,000〜10,000ルクスの範囲の光
を照射して培養した。約30日間隔で継代しながら回転培
養を継続した結果、移植後約120日で苗条原基が作出さ
れたので、次にこれを苗条再生培地に移植して、28℃で
16時間の日長条件で培養した。
苗条再生培地(ガンボーグのB5倍地にNAA0.02mg/、
BA0.2mg/、シヨ糖1%、寒天0.6%を添加した培地)
に移植して約30日後に苗条が再生した。さらに苗条の伸
長促進培地(ガンボーグのB5培地にNAA 0.02mg/、BA
0.02mg/、シヨ糖1%、寒天0.6%を添加した培地)
に移植して苗条を伸長させた。この再生した苗条の形態
を第2図に示す。これをさらに表−2に示す発根用の培
地に移植して同様の条件で培養したところ、発根して植
物体が再生された。
〔実施例3〕 供試植物 再生させることを目的とする木本性植物としてポプラ
(Populus charkowiensis × P.caudina,OP−20)を、
またこれと共存させて培養する草本性植物としてケナフ
(Hibiscus cannabinua)を使用した。
プロトプラストを単離するためのポプラの苗条作出方法 ポプラの成木の茎を70%の濃度のエタノールで5分間
殺菌した後、無菌的に先端から長さ2cmに切断し、形成
層に達するまで表皮を剥ぎ取つた。そして、表−1に示
す植物の組織培養培地であるガンボーグのB5倍地に植物
ホルモンとしてナフタレン酢酸を0.01mg/、KT−30を
0.02mg/の割合で添加し、pH5.6に調整した寒天培地
(寒天0.6%添加)に挿し木をした。これを28℃の温
度、3,000ルクスの照度で培養した。
培養開始後、約40日で多数の不定芽形成を認め、さら
に培養して約1〜2cmの長さの苗条を得た。なお、この
挿し木をした茎は、新鮮な培地に植え継ぎをすることで
苗条の再生を繰り返し行うことが可能である。
プロトプラストを単離するためのケナフのカルス誘導方
法 実施例1に示すのと同様の方法によつてケナフのカル
スを得、これをプロトプラストの単離・調整用の材料と
した。
プロトプラストの単離・調整方法 上記の方法で得られたポプラの苗条およびケナフのカ
ルスから、実施例1に示す方法と同様の方法によつてプ
ロトプラストを単離すると共に調整した。
プロトプラストの培養と植物体の再生方法 プロトプラストの培養培地は、表−1に示すガンボー
グのB5培地にNAA5mg/、BA0.5mg/、シヨ糖1%、マ
チノール9%を加えた培地においてポプラとケナフのプ
ロトプラストを3:1(ポプラ3、ケナフ1)の割合で混
合したものを5×104個/mlの濃度で直径6cmのシヤーレ
にプレートした。
プレートしたプロトプラストを28℃の温度で、最初は
暗条件で培養し、プロトプラストの分裂に合わせて30日
からは3,000ルクスの明条件で培養した。また、マニト
ールの濃度を培養開始後15日で6%、40日で3%、50日
で0%の順に下げ、一方シヨ糖は培養開始後15日で3%
に上げて培養してカルスを得た。約90日目に表−1に示
すガンボーグのB5培地にNAA0.02mg/、BA0.2mg/、シ
ヨ糖3%を加えた液体培地25mlを入れた試験管(直径30
mm、長さ200mm)にポプラのコロニーを移して、2rpmの
回転速度、最高10,000ルクスの照度、そして28℃で回転
培養した。その後30日目に継代し、さらに20日間培養を
継続して苗条原基を作出した。
この苗条原基を苗条再生培地(表−1に示すガンボー
グのB5培地にNAA0.02mg/、BA0.2mg/あるいはBAのみ
0.2mg/及びシヨ糖3%、寒天0.6%を添加した培地)
に移植し、これを28℃で16時間の日長条件で培養した。
苗条再生培地に移植して約30日後に苗条が再生し、これ
をさらに表−2に示した発根用の培地に移植して同様の
条件で培養したところ、発根して植物体が再生された。
この発根した植物体の状態を第3図に示す。
〔発明の効果〕
以上説明したように、これまで行つてきた方法では、
木本性植物の組織から単離、調整したプロトプラストか
ら植物体を再生することは極めて困難であつた。しかし
ながら、本発明によつて、再生を目的とする木本性植物
のプロトプラストと、プロトプラストの分裂能の高い草
本性植物のプロトプラストとを1つの容器中に混合、共
存させて培養することによつて木本性植物のコロニーあ
るいはカルスを形成させ、さらにこれを回転培養するこ
とによつて苗条原基を作出し、これから容易に植物体を
再生させることが可能になり、植物の新品種の創成に極
めて有力な方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法により再生したユーカリ・サリグナ
の苗条の状態を示す写真、第2図は本発明方法により再
生したユーカリ・デグルプタの苗条の状態を示す写真、
第3図は本発明方法により得られた発根したポプラの状
態を示す写真である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】木本性植物のプロトプラストを草本性植物
    のプロトプラストと共存させて培養し、木本性植物のコ
    ロニーあるいはカルスを得た後、回転培養して苗条原基
    を作出し、さらにこの苗条原基から植物体を再生するこ
    とを特徴とする木本性植物のプロトプラストから植物体
    を再生する方法。
  2. 【請求項2】木本性植物および草本性植物から得られた
    カルスあるいは苗条原基あるいは苗条をそれぞれ単独に
    酸素処理してプロトプラストを単離し、単離された両種
    類のプロトプラストを一定の割合で混合して無機塩類組
    成物および植物ホルモンを含む人工体培地の中で、一定
    の温度条件で培養し、プロトプラストを生育分裂せしめ
    てコロニーあるいはカルスを形成させ、該コロニーある
    いはカルスのうち、木本性植物のコロニーあるいはカル
    スのみを前記培地条件で回転培養して苗条原基を形成さ
    せ、得られた苗条原基をさらに再分化培地に移して苗条
    を再生させ、かつ発根させて植物体を再生する特許請求
    の範囲第1項記載の木本性植物のプロトプラストから植
    物体を再生する方法。
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