JP3099506B2 - 液晶封止体及びそれを用いた液晶ディスプレイ - Google Patents

液晶封止体及びそれを用いた液晶ディスプレイ

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JP3099506B2
JP3099506B2 JP04080358A JP8035892A JP3099506B2 JP 3099506 B2 JP3099506 B2 JP 3099506B2 JP 04080358 A JP04080358 A JP 04080358A JP 8035892 A JP8035892 A JP 8035892A JP 3099506 B2 JP3099506 B2 JP 3099506B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶封止体及びそれを用
いた液晶ディスプレイに関し、さらに詳しくは、熱可塑
性飽和ノルボルネン系樹脂からなる液晶基板とスペーサ
ーの接着に熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂溶液を用い
た液晶封止体及びそれを用いた液晶ディスプレイに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から光学材料に用いられる樹脂とし
てポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリカーボ
ネート(PC)が知られている。この内、PMMAは透
明性に優れているが、耐熱性、耐湿性などの点で問題が
あった。また、PCは耐熱性、耐湿性はPMMAよりも
優れているが、複屈折が大きいなどの問題があった。
【0003】近時、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は
耐熱性、耐湿性、低複屈折性に優れた光学材料として注
目されており、また、耐薬品性にも優れていることか
ら、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂のシートを液晶基
板として使用することが検討されている。
【0004】しかし、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂
からなる液晶基板を用いた液晶ディスプレイにおいて
は、過酷な使用条件下において、液晶封止体のスペーサ
ーと液晶基板の接着に用いた接着剤の接着性が低下し、
剥離することがあった。
【0005】熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂溶液を接
着剤として用いることが知られている(特開平3−95
286号)が、液晶は有機溶媒の影響で変質しやすいの
で液晶封止体の製造に用いられるかどうか、その液晶封
止体を液晶ディスプレイに使用した場合に、過酷な使用
環境下で液晶ディスプレイが使用に耐えられるかどうか
は知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、鋭意研
究の結果、液晶封止体の製造に接着剤として熱可塑性飽
和ノルボルネン系樹脂溶液を用いれば、過酷な使用環境
下でも、液晶基板が剥離せず、また、液晶が残留する溶
媒の影響を受けずに液晶ディスプレイとして機能するこ
とを見いだし、本発明を完成させた。
【0007】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、液晶基板とスペーサーが、それぞれ熱可塑性飽和ノ
ルボルネン系樹脂からなり、該液晶基板とスペーサーと
を熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を有効成分とする接
着剤で接着し、その内部の空間を液晶で満たしてなる液
晶封止体及びそれを用いた液晶ディスプレイが提供され
る。
【0008】(熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂)本発
明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、特開平3−148
82号や特開平3−122137号などで公知の樹脂で
あり、具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合
体、その水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重
合体、ノルボルネン系単量体とオレフィンの付加型重合
体などが挙げられる。
【0009】ノルボルネン系単量体も、上記公報や特開
平2−227424号、特開平2−276842号など
で公知の単量体であって、例えば、ノルボルネン、その
アルキル、アルキリデン、芳香族置換誘導体およびこれ
ら置換または非置換のオレフィンのハロゲン、水酸基、
エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミ
ド基、シリル基等の極性基置換体、例えば、2−ノルボ
ルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメ
チル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネ
ン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−
2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノル
ボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル
−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フ
ェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル
−2−ノルボルネン等;ノルボルネンに一つ以上のシク
ロペンタジエンが付加した単量体、その上記と同様の誘
導体や置換体、例えば、1,4:5,8−ジメタノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a−2,3−シクロ
ペンタジエノナフタレン、6−メチル−1,4:5,8
−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オ
クタヒドロナフタレン、1,4:5,10:6,9−ト
リメタノ−1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,
9a,10,10a−ドデカヒドロ−2,3−シクロペ
ンタジエノアントラセン等;シクロペンタジエンの多量
体である多環構造の単量体、その上記と同様の誘導体や
置換体、例えば、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒ
ドロジシクロペンタジエン等;シクロペンタジエンとテ
トラヒドロインデン等との付加物、その上記と同様の誘
導体や置換体、例えば、1,4−メタノ−1,4,4
a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレ
ン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,
8a−オクタヒドロ−2,3−シクロペンタジエノナフ
タレン等;等が挙げられる。
【0010】ノルボルネン系単量体の重合は公知の方法
でよく、必要に応じて、水素添加することにより、熱可
塑性ノルボルネン系樹脂水素添加物とすることができ
る。
【0011】なお、本発明においてはノルボルネン系モ
ノマーを公知の方法で開環重合させる場合には、本発明
の効果を実質的に妨げない範囲において開環重合可能な
他のシクロオレフィン類を併用することができる。この
ようなシクロオレフィンの具体例としては、例えば、シ
クロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシ
クロペンタジエンなどのごとき反応性の二重結合を1個
以上有する化合物が例示される。
【0012】本発明で使用する熱可塑性飽和ノルボルネ
ン系樹脂の数平均分子量は、トルエン溶媒によるGPC
(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)法で測
定して、10,000〜200,000、好ましくは2
0,000〜150,000、より好ましくは25,0
00〜120,000である。数平均分子量が小さすぎ
ると機械的強度が劣り、大きすぎると成形性が悪くな
る。
【0013】また、ノルボルネン系モノマーの開環重合
体を水素添加する場合、水素添加率は耐熱劣化性、耐光
劣化性などの観点から、90%以上、好ましくは95%
以上、より好ましくは、99%以上とする。
【0014】なお、液晶基板として、後述のように耐水
性、耐湿性がよいものが好ましく、特に耐水性、耐湿性
がよいものが必要な場合は、極性基を有さない熱可塑性
飽和ノルボルネン系樹脂が好ましい。
【0015】(添加物)本発明で用いる熱可塑性飽和ノ
ルボルネン系樹脂には、所望により、フェノール系やリ
ン系などの老化防止剤、耐電防止剤、紫外線吸収剤など
の各種添加剤を添加してもよい。液晶は紫外線によって
変質するので、紫外線吸収剤を添加することは好まし
い。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸
収剤、ベンゾトリアゾル系紫外線吸収剤、アクリルニト
リル系紫外線吸収剤などを用いることができ、添加量
は、通常10〜100,000ppm、好ましくは10
0〜10,000ppmである。溶液流延法で基板を成
形する場合には、表面粗さを小さくするため、レベリン
グ剤の添加も好ましい。レベリング剤は、例えば、フッ
素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリン
グ剤、シリコーン系レベリング剤など塗料用レベリング
剤を用いることができ、それらの中でも溶媒との相溶性
の良いものが好ましく、添加量は、通常は5〜50,0
00ppm、好ましくは10〜20,000ppmであ
る。
【0016】(成形加工)本発明の熱可塑性ノルボルネ
ン系重合体水素添加物は常法に従ってシートである液晶
基板に成形する。しかし、液晶基板は、厚さムラが大き
い、または表面の平滑性に劣ると液晶ディスプレイの画
像の歪みが大きく、実用上問題がある場合がある。厚さ
ムラは全面で±50μm以下、Rmax値が0.2μm
以下でなくては、画像の判別が困難であるなどの不都合
がある。厚さムラが全面で±25μm以下、Rmax値
が0.1μm以下が好ましく、特に厚さムラが全面で±
20μm以下、Rmax値が0.08μm以下のものが
好ましい。厚さムラの小さな成形法としては、充分に研
磨した金型を用いる射出成形法などがある。
【0017】さらに、精度の高い正確な画像を得るため
には厚さムラ、Rmax値は小さいほど好ましく、厚さ
ムラが全面で±10μm以下、好ましくは±5μm以
下、より好ましくは±2μm以下、Rmax値は0.0
7μm以下、好ましくは0.05μm以下、より好まし
くは0.03μm以下の液晶基板が必要である。しか
し、充分に研磨した金型を用いる射出成形法でも、Rm
ax値が0.06μm以下の液晶基板を得ることは困難
である。
【0018】Rmax値が0.06μm以下の液晶基板
を得るためには、成形後にさらに研磨すればよく、研磨
の効率の点からは金型を充分に研磨した射出成形法が好
ましいが、他の成形方法、例えば、通常の射出成形法、
押出成形法、圧縮成形法、溶液流延法など、通常の樹脂
に用いられる成形法であっても構わない。
【0019】研磨する方法は、熱硬化性樹脂の平面を研
磨する際に通常用いられている方法であればよく、例え
ば、遊離砥粒によるラッピング加工、同じくポリシング
加工、研磨布紙加工、鏡面切削、バレル加工などが採用
でき、中でも遊離砥粒によるポリシング加工などが好ま
しい。また、研磨前の成形品の表面の最大高さが大きい
場合は、遊離砥粒によるラッピング加工を行ってある程
度研磨した後、遊離砥粒によるポリシング加工により研
磨することが好ましい。遊離砥粒としては、アルミナ、
炭化ケイ素、シリカなどが好ましく、粒径は0.1〜2
0μmのもの、特に0.5〜10μmのものが好まし
い。粒径が小さすぎると研磨の効率が悪く、粒径が大き
すぎると研磨面の最大高さが大きくなる。
【0020】(液晶基板)本発明の液晶基板は基本的に
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂のシートである。表面
を十分に平滑にすることで、画像の歪みが少なく、ま
た、本発明の液晶基板は透明性に優れ、明暗の差がはっ
きりした画像が得られる。さらに、本発明は液晶基板は
光弾性係数が小さいため、光学的に均一であり、曲面の
液晶ディスプレイのために曲げて使用することもでき
る。光弾性係数が小さいほど好ましく、9×10ー13
2/dyne、特に7×10ー13cm2/dyneのシ
ートを用いることが好ましい。
【0021】さらに、本発明の液晶基板は熱可塑性飽和
ノルボルネン系樹脂のシートであることにより、耐湿
性、耐水性に優れている。液晶基板を水分が透過すると
液晶や透明電極層が劣化することがあるので、吸湿性が
0.05%以下、特に0.01%以下のシートを用いる
ことが好ましい。また、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹
脂の酸素透過速度は100μmの厚さのシートで約1m
l/m2・24hrs程度と小さいので、本願の液晶基
板は酸素の透過も充分に阻害し、酸素による液晶の劣化
も少ない。
【0022】そのほか、本発明の液晶基板は熱可塑性飽
和ノルボルネン系樹脂の成形品であることにより、低複
屈折性、耐熱性、耐溶剤、酸やアルカリ等への耐薬品
性、重量に対する強度などに優れている。
【0023】本発明の液晶基板は基本的に熱可塑性飽和
ノルボルネン系樹脂から成るシートであるが、実際の使
用にあたっては、使用目的などに応じて、透明電極層、
液晶配向層、ガスバリア性膜、偏光子、位相フィルムな
どが積層される。なお、酸素の透過による劣化をより小
さくし耐久性をあげるなどの目的のためには、液晶基板
と透明電極層の間、または、基板と透明電極層の接着面
と反対側に接着剤層等を介して、ポリビニリデンクロラ
イド、ポリビニルアルコールなどのガスバリア性材料を
積層することが望ましい。これらを積層したものも液晶
基板という場合がある。
【0024】(透明電極層)液晶ディスプレイの構成部
品として使用される時点で液晶基板には透明電極層が積
層されていなければならない。透明電極層は、可視光線
のある程度以上の光透過率が必要であり、通常50%以
上、好ましくは70%以上、比抵抗が100Ωcm以下、
好ましくは50Ωcm以下のものである。具体的には、A
u、Ag、Cu、Pt、Al、Cr、Phなどの金属薄
膜、In23(Sn)、SnO2(Sb)、SnO2(F
e)、CdO、Cd23、CdSnO4、TiO2、Zr
2、CuIなどの半導体及び酸化物半導体薄膜、Ti
x/Ag/TiOx(x≦2)などの多層薄膜、ポリビ
ニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、オリ
ゴ(ポリ)スチレンスルホン酸塩などの高分子電解質薄
膜系、ポリアニリン類、ポリチオフェン類、ポリピロー
ル類などの導電性高分子等を挙げることができる。これ
らの導電膜は、スプレー法、プラズマ法、気相反応系
(CVD)、塗布法(CLD)、真空蒸着法、RFまた
はDCスパッタリング法、イオンプレーティング法、電
解重合法などの周知の方法でもって液晶基板上に積層さ
れるが、後述のように、先に薄い膜状に成形しておき、
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂溶液を接着剤として用
いて液晶基板の表面に接着してもよい。また、導電性高
分子は電解重合法または気相法によってフィルム中内部
に形成することもできる。また、TTF−TCNQ(テ
トラチオフルバレン−テトラシアノキシジメタン)など
の錯体を含浸させることによって導電性をもたせること
もできる。
【0025】(スペーサー)液晶封止体においては、2
枚の液晶基板が通常、1〜20μm程度の間隔で平行に
保持されている。スペーサーは、2枚の液晶基板を平行
に保持すると共に液晶基板の間に液晶を満たした場合
に、液晶がこぼれることのないように封じ込める役割を
する枠組みである。この機能を果たす限り、その構成は
特に限定されない。最も単純な構造は、液晶基板と同じ
面積を有し、液晶基板の間隔を厚さとするシートの中央
部を切り抜いた外側部分である。
【0026】本発明のスペーサーは熱可塑性飽和ノルボ
ルネン系樹脂からなるものである。他の素材のスペーサ
ーを後述の本願の接着剤で接着した液晶封止体と比較し
て、本発明の液晶封止体は、スペーサーと接着剤層との
接着性に優れ、本発明に用いる液晶基板とスペーサーの
熱膨張係数が近いため、液晶基板とスペーサーが熱変化
によって剥離しにくいという効果がある。特に、液晶基
板を構成する熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂と同一の
樹脂であることが好ましい。
【0027】(接着)本発明では、熱可塑性飽和ノルボ
ルネン系樹脂からなる液晶基板とスペーサーの接着に、
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂溶液を接着剤として用
いる。液晶基板に用いられる樹脂と接着剤に用いられる
樹脂、スペーサーに用いられる樹脂と接着剤に用いられ
る樹脂は、互いに相溶性のよいものであることが好まし
く、特に、線膨張係数も同じである、すなわち、液晶基
板、スペーサー、及び接着剤に用いる熱可塑性飽和ノル
ボルネン系樹脂が同一の樹脂であることが好ましい。
【0028】熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂からなる
液晶基板、またはスペーサーの接着面に、熱可塑性飽和
ノルボルネン系樹脂溶液を塗布し、被着体の接着面を貼
り合わせ、溶剤を蒸散させて用いる。この際、接着面の
表層の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂が溶剤に溶解す
るため、貼り合わせて溶剤を揮発させると、接着剤と接
着面の表層の樹脂が混ざりあって強固に接着される。特
に、樹脂同士の相溶性がよいと、接着面と接着剤が界面
を形成することなく、一体に接着される。
【0029】溶剤は、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂
を溶解するものであれば、特に限定されず、例えば、芳
香族溶剤やハロゲン化芳香族溶媒等が挙げられ、具体的
には、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベ
ンゼン、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソ
プロピルベンゼン等が挙げられる。特にトルエン、キシ
レンなどのように揮発しやすく、残留しにくく、析出す
る樹脂が発泡しにくい溶媒が好ましい。これは、液晶は
有機溶媒により変性しやすいので溶媒が残留しにくいこ
とが好ましいためであり、また、発泡すると接着強度が
弱くなるためである。
【0030】溶液粘度は特に限定されないが、塗布工程
において均一に効率よく塗るために実用上、6000〜
15000cps、好ましくは8000〜13000c
psである。なお、溶剤を直接塗る場合は、溶剤に接着
面の樹脂が溶解した樹脂溶液の濃度がこの程度の内に処
理する。
【0031】接着面への塗布量は1〜10g/m2、好
ましくは2〜8g/m2、特に好ましくは3〜6g/m2
である。貼り合わせる両方の接着面に塗布する場合は、
両面を合わせた塗布量が上記の範囲になるようにする。
塗布方法は特に限定されない。
【0032】塗布後、溶液粘度が15000cps以
下、好ましくは13000cps以下の内に、接着面を
貼り合わせ、0.1〜10kg/cm2、好ましくは
0.2〜1kg/cm2の圧力をかけた上で、溶剤を揮
発させる。溶剤を揮発させる方法は特に限定されない
が、急激に揮発させる方法は発泡により強度が問題とな
ることがあり、また、時間をかけて揮発させる方法は作
業効率の点で問題がある。溶剤を揮発させるには、通
常、加熱するが、100℃以下で残留溶媒濃度が10重
量%以下、好ましくは5重量%以下になるまで乾燥した
後、110℃以上、好ましくは110℃〜250℃で残
留溶媒が0.5重量%以下になるまで乾燥する方法が発
泡の抑制と作業効率の点から好ましい。そのような乾燥
操作の温度、時間等の条件は予備実験により決定してお
けばよい。例えば、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の10
000cpsに調製したキシレン溶液を20mg/cm
2塗布して接着する場合であれば、接着面同士を合わせ
て、0.5kg/cm2の圧をかけ、80℃で3時間放
置し、さらに140℃で1時間放置すればよい。
【0033】また、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂か
らなる液晶基板、またはスペーサーに溶剤を塗布するこ
とにより、表層の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂が溶
解して、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂溶液になり、
実質的に本願の接着方法が可能となる。
【0034】さらに、液晶基板間の距離が2μm以下の
場合は、スペーサーを部品として製造しなくても、溶媒
が揮発した後の接着剤由来の熱可塑性飽和ノルボルネン
系樹脂をスペーサーとして利用できる場合もある。
【0035】なお、他の液晶ディスプレイの部品、特に
透明電極層など液晶封止体の内部にあり、液晶と接触す
る可能性のある部品は、本発明の接着方法で接着するこ
とが好ましい。
【0036】(液晶封止体)液晶封止体は、上記のよう
に液晶基板とスペーサーによって空間を封じたものであ
り、液晶ディスプレイの部品としては、内部の空間を液
晶で満たして用いる。
【0037】液晶を液晶封止体の内部空間に満たす方法
は特に限定されない。例えば、1枚目の液晶基板とスペ
ーサーを接着したものをスペーサー側を上部にして水平
に保ち、液晶を満たし、その後、空気が内部に残らない
ように2枚目の液晶基板を接着してもよいが、液晶は有
機溶媒によって劣化するがため、できるだけ有機溶媒と
の接触を小さくする方法が好ましく、例えば、後述の実
施例のように2枚目の液晶基板とスペーサーを接着した
後に、注射器等を利用して液晶を封入する方法が好まし
い。
【0038】(液晶ディスプレイ)さらに、用途、必要
に応じて、偏向子、移相フィルム、保護フィルム、反射
膜またはバックライトなどと液晶封止体を組み合わせ
て、液晶ディスプレイとする。
【0039】
【実施例】以下に参考例、実施例、及び比較例を挙げて
本発明をさらに具体的に説明する。
【0040】参考例1 6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4
a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン
に、重合触媒としてトリエチルアルミニウムの15%シ
クロヘキサン溶液10重量部、トリエチルアミン5重量
部、及び四塩化チタンの20%シクロヘキサン溶液10
重量部を添加して、シクロヘキサン中で開環重合し、得
られた開環重合体をニッケル触媒で水素添加してポリマ
ー溶液を得た。このポリマー溶液をイソプロピルアルコ
ール中で凝固させ、乾燥し、粉末状の樹脂を得た。この
樹脂の数平均分子量は40,000、水素添加率は9
9.8%以上、Tgは142℃、残留溶媒濃度は0.0
5%であった。
【0041】参考例2 参考例1の樹脂15重量部をクロロベンゼン85重量部
に溶解して樹脂溶液を調製した。さらにレベリング剤
(フロラード FC−430、住友スリーエム製)と紫
外線安定剤(Viosorb 80、共同製薬製)をそ
れぞれ、500ppm、300ppmになるように添加
した。この溶液を表面研磨されたガラス板上にたらし、
これをバーコーターにより幅約300mm、長さ約50
0mmに流延した。これを第1段階の乾燥としてガラス
板ごとホットプレート上に移し、55℃で30分間、さ
らに90℃で30分間乾燥させた。室温まで冷却後、シ
ートの一部を切取り、残留溶媒濃度を測定したところ、
2.0重量%であった。ついで、第2段階の乾燥として
ホットプレート上で110℃で30分間、さらに140
℃で60分間乾燥した。室温に冷却後、樹脂膜をガラス
板から剥離し、周囲10mm幅を切り落としてシートを
得た。このシートの残留溶媒濃度は0.11重量%であ
った。
【0042】このシートの表面を目視および光学顕微鏡
で観察したが、発泡、スジ、傷などは観察されなかっ
た。Tgは140℃、平均厚さは約100μmで厚さの
ばらつきは最大でも±2μm以下、両面ともRmax値
は、0.10μm以下、光線透過率は90.5%、複屈
折の絶対値の最大値は全面で2nm以下であった。
【0043】鋳鉄製の5インチの定盤を設置したホフマ
ン型ラップ盤(スピードファム社製、DSM 5B−8
L)を用い、またキャリア(スピードファム社製、EG
キャリア)を治具として用いてこのシートをラッピング
加工した。
【0044】このシートの成形品の表面への荷重を0.
04〜0.08kg/cm2に調節しながら、上下定盤
を20〜50rpmで回転するように調節し、平均粒子
径12.3μmのホワイトアルミナ製の研磨剤(スピー
ドファム社製、A−1200)300gと水1lとの割
合の混合溶液を600〜1000cm3/分でフィード
して10分かけて研磨した。
【0045】ポリウレタン製のポリシャ(スピードファ
ム社製、SURFIN 018−3)を設置した定盤サ
イズ5インチのホフマン型ポリシュ盤(スピードファム
社製、DSM 5B−8P)を用い、またキャリア(ス
ピードファム社製、EGキャリア)を治具として用いて
ラッピング加工したシートをポリッシング加工した。
【0046】シートの表面への荷重を0.04〜0.0
8kg/cm2に調整しながら、上下定盤を20〜50
rpmで回転するように調整して、平均粒子径1.3μ
mのホワイトアルミナ製の研磨剤と水を重量比1:1と
の混合溶液(スピードファム社製、POLIPLA 1
03)を200〜400cm3/分でフィードして40
分かけて研磨した。
【0047】この結果、成形品の最大高さRmax値は
全面で最高0.042μmであった。
【0048】このシートをから、一辺20mmの正方形
を2枚切り出し、2枚とも片面にIn23(Sn)を真
空蒸着して透明電極層を積層して、液晶基板を得た。
【0049】参考例3 キシレン85重量部に参考例1の樹脂15重量部を溶解
した樹脂溶液を用いて、参考例2と同様に流延した。こ
れを第1段階の乾燥としてガラス板ごと空気還流型のオ
ーブン中で25℃から80℃まで30分かけて昇温させ
て乾燥させた。室温まで冷却後、シートの一部を切取
り、残留溶媒濃度を測定したところ、1.6重量%であ
った。ついで、第2段階の乾燥として130℃のオーブ
ンで90分乾燥し、室温に冷却後、樹脂膜をガラス板か
ら剥離し、周囲10mm幅を切り落としてシートを得
た。このシートの残留溶媒濃度は0.04重量%であっ
た。
【0050】このシートの表面を目視および光学顕微鏡
で観察したが、発泡、スジ、傷などは観察されなかっ
た。Tgは141℃、平均厚さは10μmで厚さのばら
つきは最大でも±0.3μm以下、両面ともRmax値
は、0.12μm以下、複屈折の絶対値の最大値は全面
で2nm以下であった。
【0051】このシートを一辺20mmの正方形に切り
出し、さらにその正方形のシートの内部、外周から2m
mの位置の一辺16mmの正方形の部分を切り抜き、ス
ペーサーを作成した。
【0052】実施例1 参考例3で得たスペーサーの片面に10000cpsに
調製した参考例1で得た樹脂のキシレン溶液を20mg
/cm2塗布し、参考例2で得た液晶基板の内の1枚の
透明電極層側に、積層し、0.5kg/cm2の圧をか
け、80℃で3時間放置し、さらに140℃で1時間放
置した。この接着の際、液晶基板の外周から1mmのと
ころ1ヶ所から外方向への導電線を透明電極層に取り付
けた。
【0053】スペーサーのもう一面に同様にもう一枚、
参考例2で得た液晶基板を接着した。ただし、2枚目の
液晶基板の接着の際には、接着後に液晶基板とスペーサ
ーの間に注射針を通して内部の空間に液晶を注入できる
よう、幅1mmの未接着部分を残した。
【0054】接着後、注射器を用いて、注射針を通して
内部に30℃にして液状になったメトキシベンジリデン
−ブチルアニリンを空気が残らないように注入し、針を
抜いた後、外部から、12000cpsに調製した参考
例1で得た樹脂のキシレン溶液を1滴、未接着部分の外
側から塗布し、80℃で5時間放置し、液晶を完全に封
入した。
【0055】この液晶封止体を30℃に保持して、2本
の導電線間に1400〜2400V/cmの直流電圧を
引加すると、電圧が高くなるに従い、光の散乱が高くな
り、すりガラスのように曇った。これにより、本発明の
液晶封止体は、液晶ディスプレイとして用いることがで
きることが判った。
【0056】また、この液晶封止体を80℃、90%R
H1時間と−40℃1時間を200サイクル繰り返すヒ
ートサイクル試験にかけたが、剥離や液晶もれなどの異
常は認められなかった。電圧による曇り具合いも、ヒー
トサイクル試験前との差は認められなかった。
【0057】比較例1 参考例3で得たスペーサーの片面にDH 597A(ノ
ガワケミカル製、ホットメルト接着剤)の10重量%ト
ルエン溶液を20mg/cm2塗布し、80℃で2分放
置し、参考例2で得た液晶基板の内の1枚の透明電極層
側に積層し、3kg/cm2の圧をかけ、室温で3時間
放置して接着した。
【0058】スペーサーのもう一面に同様にもう一枚、
参考例2で得た液晶基板を接着した。ただし、2枚目の
液晶基板の接着の際には、接着後に液晶基板とスペーサ
ーの間に注射針を通して内部の空間に液晶を注入できる
よう、幅1mmの未接着部分を残した。
【0059】接着後、注射器を用いて、注射針を通して
内部に30℃にして液化したメトキシベンジリデン−ブ
チルアニリンを空気が残らないように注入し、針を抜い
た後、外部から、12000cpsに調製した参考例1
で得た樹脂のキシレン溶液を未接着部分の外側から塗布
し、80℃で5時間放置し、液晶を完全に封入した。
【0060】また、この液晶封止体を80℃、90%R
H1時間と−40℃1時間をヒートサイクル試験にかけ
たが、50サイクル目から100サイクル目の間に液晶
基板が剥離し、液晶が漏れた。
【0061】比較例2 DH 597A(ノガワケミカル製、ホットメルト接着
剤)の10重量%トルエン溶液の代わりに2液硬化型エ
ポキシ接着剤(アラルダイト 昭和高分子株式会社製)
を用いるほかは比較例1と同様にして得た液晶ディスプ
レイを、同様のヒートサイクル試験にかけたところ、5
0サイクル目までに液晶基板が剥離し、液晶が漏れた。
【0062】
【発明の効果】液晶に対する接着剤の影響が少なく、ま
た、液晶ディスプレイの使用環境下での剥離が少ない液
晶封止体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−281404(JP,A) 特開 平3−95286(JP,A) 特開 平4−288342(JP,A) 特開 平5−61026(JP,A) 特開 昭62−206704(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1333 500 G02F 1/1339 500 G02F 1/1339 505

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶基板とスペーサーが、それぞれ熱可
    塑性飽和ノルボルネン系樹脂からなり、液晶基板とスペ
    ーサーとを熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を有効成分
    とする接着剤で接着した液晶封止体。
  2. 【請求項2】 液晶基板とスペーサーによって封じられ
    た空間に液晶を満たしてなる請求項1記載の液晶封止
    体。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の液晶封止体を用いた液晶
    ディスプレイ。
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