JP2011151388A - 太陽電池封止材及びそれを用いて作製された太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽電池モジュールの形成が比較的容易で、封止の際の流動性、透明性、さらに水蒸気バリア性に優れた太陽電池封止材及びそれを用いて作製された太陽電池モジュールを得る。
【解決手段】環状オレフィン系重合体を含有し、レオメーターを用いて、周波数1Hzで測定した150℃における溶融粘度が2000Pa・s以上、15000Pa・s未満である樹脂組成物からなることを特徴とする太陽電池封止材。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池モジュールにおける光発電素子の封止材及びそれを用いて作製された太陽電池モジュールに関し、さらに詳細には、封止性、透明性、水蒸気バリア性等に優れた太陽電池封止材及びそれを用いて作製された太陽電池モジュールに関する。
地球温暖化防止のために二酸化炭素を排出しないエネルギーの開発が急務である。特に、太陽光発電は二酸化炭素を排出しないこと以外にも、騒音を発生させない、有害な物質を使用しないなどさまざまなメリットがあり注目されている。太陽光発電には太陽光を収束させてその熱エネルギーを使用するタイプも存在するが、現在の主流と考えられるのは各種半導体(有機・無機関わらず)を用いたいわゆる「太陽電池」である。その構造としては一般的に、複数枚の光発電素子(以下、太陽電池セルともいう)を直列又は並列に配線し、セルを保護するために各種パッケージングが行われ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼び、一般的に太陽光が当たる面を上部保護材として透明基材(フロントシート、たとえば、ガラス又は透光性樹脂シート)で覆い、熱可塑性樹脂(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体)からなる封止材(封止樹脂層)で間隙を埋め、裏面を下部保護材として裏面封止用シート(バックシート、たとえば、ポリフッ化ビニル樹脂フィルム)で保護された構成になっている。
これらの太陽電池モジュールは主に屋外で使用されるため、その構成や材質構造等には種々の特性が必要である。上記の封止材では、光発電素子を保護するための柔軟性や耐衝撃性、太陽の輻射熱に加えてモジュールが発熱した場合の耐熱性、光発電素子に太陽光が効率的に届くための透明性、耐候性、寸法安定性などの特性が必要とされる。
現在、太陽電池モジュールにおける光発電素子の封止材としては、柔軟性・透明性の観点から、材料として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと省略することがある)が広く用いられている(たとえば、特許文献1参照)。また、EVAに耐熱性を付与することを主な目的として、架橋剤として有機過酸化物を用いた架橋が行われる。そのため架橋剤(有機過酸化物)や架橋助剤を添加したEVAシートをあらかじめ作製し、得られたシートを用いて光発電素子を封止するという工程が採用されている。
該EVAシートの製造段階では、有機過酸化物が分解しないような低い温度(通常、80〜100℃)での成形が必要であるため、押出成形の速度があげにくく、また光発電素子の封止段階では、ラミネーターにおいて数分〜数十分かけてエア抜きや仮接着を行う工程と、オーブン内において有機過酸化物が分解する高い温度(通常、130℃〜150℃程度)で十数分〜60分程度かけて本接着(架橋)する工程とからなる2段階の工程を経る必要があった。そのため太陽電池モジュールの製造には手間と時間を要し、その製造コストを上昇させるという問題点があった。
また、EVAシートを用いる光発電素子の封止材は、長期間における使用に際して、EVAの加水分解等により発生する酢酸により、太陽電池の回路腐食やその懸念があり、さらには、架橋剤や架橋助剤、あるいは発生した酢酸などが原因となり、光発電素子との界面やフロントシートとの界面、バックシートとの界面で剥離が発生することがある等の問題点があった。
さらに、EVAはその分子構造上、水蒸気や各種ガスなどを透過させやすい。これは太陽電池モジュールにおいては、現在最もよく実用化されている結晶シリコン系光発電素子においてはあまり問題にはならないが、例えば、銅・インジウム・ガリウム・セレン(CIGS)系光発電素子や有機系発電素子においては大きな問題となりやすい。
そこで、このような発電素子にも適用可能な、EVAより高性能、高機能な封止材が求められている。例えば、分子鎖中に環状オレフィンを導入した環状オレフィン系重合体は一般的に耐熱性があり、透明性が高く、また環状オレフィン系重合体のシートは単位面積あたりの水蒸気透過率が低く、水蒸気バリア性に優れていることが知られている。このような環状オレフィン系重合体を用いた太陽電池封止材として、特許文献2には、2−ノルボルネン、又は2−ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体からなる単量体混合物を開環重合して得られる開環重合体の、炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する樹脂組成物からなる太陽電池封止材が開示されている。
特開昭58−60579号公報 特開2009−79101号公報
しかし、特許文献2には、各種素子を封止する際の封止性に関する記載や示唆はなく、特に、光発電素子を封止する際の最も一般的な温度領域である150℃付近での樹脂組成物の流動性や好適な溶融粘度などに関する記載は全くみられない。太陽電池封止材において、封止の際の溶融粘度は重要な特性の一つである。例えば、150℃における溶融粘度が高すぎると、封止工程において、光発電素子の細部にまで樹脂がまわりきらず、光発電素子を十分に封止できない恐れがある。より高温で封止したり、封止圧力を高めれば流動性が高まり、封止性の問題は解決するが、その反面、光発電素子やハンダ付けされた配線が高温で変質したり、封止する際の圧力で破壊されるなどの問題が発生することがある。一方、該溶融粘度が低すぎると、封止工程において、樹脂がモジュールの周辺に流れ出てしまい、所望の厚みが得られず、歩留まりが低下するなどの問題が発生しやすくなる。
すなわち、従来の技術においては、太陽電池モジュールの形成が比較的容易で、封止の際の流動性、透明性、さらに水蒸気バリア性に優れた太陽電池封止材及びそれを用いて作製された太陽電池モジュールは提供されていなかった。
そこで、本発明の目的は、太陽電池モジュールの形成が比較的容易で、封止の際の流動性、透明性、さらに水蒸気バリア性に優れた太陽電池封止材及びそれを用いて作製された太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明者らは、検討を重ねた結果、環状オレフィン系重合体を含有し、特定の範囲内の溶融粘度である樹脂組成物を用いることにより、封止の際の流動性、透明性、さらに水蒸気バリア性を同時に満足できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、環状オレフィン系重合体を含有し、レオメーターを用いて、周波数1Hzで測定した150℃における溶融粘度が2000Pa・s以上、15000Pa・s未満である樹脂組成物からなることを特徴とする太陽電池封止材、に関する。
また、本発明は、上記太陽電池封止材を用いて作製された太陽電池モジュールに存する。
本発明によれば、太陽電池モジュールの形成が比較的容易で、封止の際の流動性、透明性、さらに水蒸気バリア性に優れた太陽電池封止材及びそれを用いて作製された太陽電池モジュールが提供できる。また、酢酸発生による回路腐食、水蒸気浸透による光発電素子の劣化などの問題もなく、架橋工程も省略可能であるため、太陽電池モジュール製造工程における生産性を向上させることができる。製造設備についてもバッチ式の製造設備に加えて、ロール・ツー・ロール式の製造設備にも適用可能である。どちらの製造設備を用いた場合でも、単位時間当たりに生産できる太陽電池モジュールの量が増加し、結果、太陽電池モジュールの製造コストを低減することが期待できる。
また、本発明による太陽電池封止材は水蒸気バリア性が非常に優れるため、発電効率や耐久性などが水分に影響されやすい光発電素子、例えば、CIGS系や有機系などの発電素子を用いた太陽電池の封止材として好適に用いることができる。
本発明の太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の封止材及びそれを用いて作製された太陽電池モジュールの実施形態の一例について詳しく説明する。
<樹脂組成物>
[環状オレフィン系重合体]
本発明で用いる環状オレフィン系重合体としては、主として以下の(A)〜(C)にかかる3通りの構成を挙げることが出来る。
(A):直鎖状オレフィン成分と下記一般式(1)で表される環状オレフィン成分とからなる環状オレフィン系ランダム共重合体
(B):下記一般式(1)で表される環状オレフィンから選ばれる1種以上の環状オレフィン成分からなる開環重合体もしくはその水素化物
(C):(A)と(B)との混合物
Figure 2011151388
(上記一般式(1)中、それぞれR1〜R12は水素原子又は炭化水素基であって、同一であっても異なっていても良い。また、R5とR10、又はR11とR12とは一体化して2価の炭化水素基を形成しても良い。また、R3又はR10と、R11又はR12とは互いに環を形成しても良い。nは0又は正の整数であって、nが2以上のとき、R5〜R8の各々が複数ある場合には、これらはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
ここで、上記一般式(1)で表される環状オレフィンの例としては、下記式(2)のビシクロヘプト−2−エン(2−ノルボルネン)及びその誘導体、例えば、ノルボルネン、6−メチルノルボルネン、6−エチルノルボルネン、6−n−ブチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン等を挙げることができる。
Figure 2011151388
また、一般式(1)で表される環状オレフィンの例として下記式(3)のテトラシクロ−3−ドデセン及びその誘導体、例えば、8−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−ヘキシルテトラシクロ−3−ドデセン、10−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン、5,10−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン等を挙げることができる。
Figure 2011151388
前記構成(A)の環状オレフィン系ランダム共重合体は、直鎖状オレフィン成分と上記一般式(1)で表される環状オレフィン成分との共重合体であり、流動性、透明性、及び水蒸気バリア性などの点で、本発明において好適に用いられる。前記環状オレフィン成分に共重合させる直鎖状オレフィン成分としては、炭素数2〜20のα−オレフィンが好適に用いられ、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1などがあげられる。本発明においては、工業的な入手しやすさや諸特性、経済性の観点から直鎖状オレフィン成分としては、エチレンが好適に用いられ、環状オレフィン成分としては、ノルボルネンあるいは、テトラシクロドデセンが好適に用いられる。共重合する環状オレフィン成分と直鎖状オレフィン成分はそれぞれ1種を単独で、又は2種以上を組み合わせても構わない。
前記環状オレフィン系ランダム共重合体における環状オレフィン成分の含有量(モル%)は特に限定されるものではないが、エチレン―ノルボルネンランダム共重合体を例に挙げると、ノルボルネン成分は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上であり、かつ、好ましくは60モル%以下、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下である。該範囲にあれば、太陽電池封止材として適用する際の溶融粘度や力学特性、経済性などに優れるため好ましい。
本発明に用いる環状オレフィン系重合体としては、前記構成(B)にかかる一般式(1)で表される環状オレフィンから選ばれる1種以上の環状オレフィン成分からなる開環重合体もしくはその水素化物を用いることも出来る。環状オレフィン開環重合体は、環内の二重結合に水添することで、熱に対してより安定になり、押出機によるシート化などの加熱成形が容易になる。また、側鎖に嵩高い官能基(例えばシクロヘキサン)を付与することで、非晶性となり、透明性などの物性を示すようになる。
さらに、本発明に用いる環状オレフィン系重合体としては、前記構成(C)にかかる混合物、すなわち(A)前記環状オレフィン系ランダム共重合体と、(B)前記一般式(1)で表される環状オレフィンから選ばれる1種以上の環状オレフィン成分からなる開環重合体もしくはその水素化物を混合した混合物を用いることが出来る。この場合、前記環状オレフィン系ランダム共重合体と前記環状オレフィン開環重合体又はその水素化物との混合質量比率は特に限定されるものではない。
前記環状オレフィン系重合体の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、特開昭60−168708号公報、特開昭61−120816号公報、特開昭61−115912号公報、特開昭61−115916号公報、特開昭61−271308号公報、特開昭61−272216号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報等に記載されている公知の方法に準じて製造することができる。
[樹脂組成物の溶融粘度]
次に、本発明に用いられる環状オレフィン系重合体を含有する樹脂組成物の150℃における溶融粘度は、2000Pa・s以上、15000Pa・s未満であることが重要である。ここで、該溶融粘度は次の方法により測定した値である。すなわち、レオメーターを用いて、周波数:1Hz、歪:0.5%、降温速度:3℃/分の条件で、φ18mmパラレルプレート上にのせた試料(厚み0.3mm)の溶融粘度(η*)の温度分散を230℃から120℃まで測定し、得られたデータから150℃における溶融粘度を求めることができる。
環状オレフィン系重合体を含有する樹脂組成物の150℃における溶融粘度が上記範囲内にあれば、通常用いられる封止圧力、すなわち、大気圧(約0.1MPa)程度の圧力で光発電素子の細部にまで樹脂が回り込み十分封止でき、また、封止工程において、樹脂がモジュールの周辺に流れ出てしまうなどの問題が発生し難く、良好な太陽電池モジュールを得ることができるため好ましい。
これらのことから、本発明に用いられる環状オレフィン系重合体を含有する樹脂組成物の150℃における溶融粘度は、好ましくは3000Pa・s以上、より好ましくは4000Pa・s以上、さらに好ましくは5000Pa・s以上であって、かつ、好ましくは14000Pa・s未満、より好ましくは13000Pa・s未満、さらに好ましくは12000Pa・s未満である。
該溶融粘度は、用いる樹脂組成物の分子量や分岐構造などが強く影響する。すなわち、分子量を例に挙げると、分子量が高いものほど該溶融粘度も高くなり、逆に、分子量が低いものほど該溶融粘度も低くなる傾向にある。樹脂組成物の樹脂としては前記溶融粘度範囲内の樹脂を使用すればよく、単独でも2種以上組み合わせて使用することもできる。しかしながら、工業的には環状オレフィン系重合体の市販グレード数は限られており、必ずしも所望の分子量、言い換えれば、所望の溶融粘度を有するグレードが入手できるわけではない。そこで、本発明においては、溶融粘度の異なる2種以上の環状オレフィン系重合体を混合して、前記溶融粘度の範囲内として用いることができる。例えば、実施例で示すように、150℃における溶融粘度が本発明で規定する範囲外の環状オレフィン系重合体を混合することにより、所望の溶融粘度になるように調整したものも使用できる。具体的には、150℃における溶融粘度が、15000Pa・s以上の環状オレフィン系重合体に溶融粘度がより低い環状オレフィン系重合体を混合して、本発明で規定する範囲内の樹脂組成物を得ることができる。150℃における溶融粘度が17000Pa・sである環状オレフィン系重合体と、150℃における溶融粘度が100Pa・s以下である環状オレフィン系重合体を用いる場合であれば、前者の樹脂組成物における質量百分率が99〜55質量%であることが好ましく、95〜60質量%であることがより好ましい。
[各種添加剤]
本発明の太陽電池封止材を構成する樹脂組成物は、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。該添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、光拡散剤、造核剤、顔料、難燃剤、変色防止剤などが挙げられる。本発明では、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤が添加されていることが好ましい。また、本発明においては、樹脂組成物に架橋剤や架橋助剤を添加する必要はないが、添加することを排除するものではなく、例えば、高度の耐熱性を要求される場合は、架橋剤及び/又は架橋助剤を配合しても良い。
シランカップリング剤は、封止材の保護材(ガラス、樹脂製のフロントシート、バックシートなど)や光発電素子等に対する接着性を向上させるのに有用であり、その例としては、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基、アミノ基、エポキシ基など共に、アルコキシ基のような加水分解可能な基を有する化合物をあげることができる。シランカップリング剤の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを例示することができる。本発明においては、接着性が良好であり、黄変などの変色が少ないことなどからγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく用いられる。該シランカップリング剤の添加量は、樹脂組成物100質量%に対し、通常0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上であり、かつ、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下添加するのが良い。また、シランカップリング剤と同様に、有機チタネート化合物などのカップリング剤も有効に活用できる。
酸化防止剤としては、種々の市販品が適用でき、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子フェノール系、硫黄系、ホスファイト系など各種タイプの酸化防止剤を挙げることができる。モノフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ‐tert‐ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールなどを挙げることができる。ビスフェノール系としては、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’ −チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ]5,5−ウンデカンなどを挙げることができる。
高分子フェノール系酸化防止剤としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3’−ビス−4’−ヒドロキシ−3’tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジーtert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トリフェノール(ビタミンE)などを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウロイルチオジプロピネート、ジリミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネートなどを挙げることができる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノ及び/又はジ)フェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどを挙げることができる。本発明においては、酸化防止剤の効果、熱安定性、経済性等からフェノール系及びホスファイト系の酸化防止剤が好ましく用いられ、両者を組み合わせて用いることがさらに好ましい。該酸化防止剤の添加量は、樹脂組成物100質量%に対し、通常0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上であり、かつ、通常1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下添加する。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができ、種々の市販品が適用できる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。またトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどを挙げることができる。サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどを挙げることができる。
該紫外線吸収剤の添加量は、樹脂組成物の100質量%に対し、通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上であり、かつ通常2.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下添加する。
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって、著しい相乗効果を示す。ヒンダードアミン系以外にも光安定化剤として機能するものはあるが、着色している場合が多く本発明の太陽電池封止材には好ましくない。
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパレート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などを挙げることができる。該ヒンダードアミン系光安定化剤の添加量は、樹脂組成物100質量%に対し、通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上であり、かつ、通常0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下添加する。
<太陽電池封止材及びその製造方法>
本発明の太陽電池封止材は上述の樹脂組成物からなる。
本発明の太陽電池封止材の全光線透過率は、太陽電池の光電変換効率や各種部材を重ね合わせるときのハンドリング性を考慮し、通常、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
本発明の太陽電池封止材の水蒸気透過率は、CIGS系光発電素子や有機系発電素子のように、発電効率や耐久性などが水分に影響されやすい光発電素子を用いた太陽電池モジュールの場合は、例えば厚さ0.3mm、温度40℃、湿度90%における水蒸気透過率が、1g/(m2・day)以下であることが好ましく、0.6g/(m2・day)以下であることがさらに好ましい。ここで、現在最もよく用いられているEVAでは、上記水蒸気透過率は25〜35g/(m2・day)程度、エチレン−α−オレフィン共重合体では、3〜5g/(m2・day)程度である。
太陽電池封止材の厚みは、特に限定されるものではないが、通常、0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、かつ、通常1mm以下、好ましくは0.7mm以下のシート状で用いられる。
シート状の太陽電池封止材の製膜方法としては、公知の方法、例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法等を採用することができ、特に限定されるものではないが、本発明においては、ハンドリング性や生産性等の面からTダイを用いる押出キャスト法が好適に用いられる。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって、適宜調整されるが、概ね180℃以上、好ましくは220℃以上であり、かつ、概ね300℃以下、好ましくは280℃以下である。シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤等の前記各種添加剤は、予め樹脂とともにドライブレンドしてから供給しても良いし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給しても構わない。また、シート状で得られた本発明の太陽電池封止材の表面及び/又は裏面には、必要に応じて、シートを巻物とした場合のシート同士のブロッキング防止や光発電素子の封止工程でのハンドリング性やエア抜きのし易さ向上などの目的のためエンボス加工や種々の凹凸(円錐や角錐や半球形状など)加工を行なって構わない。さらに、シートに製膜する際に、別の基材フィルム(延伸ポリエステルフィルム(OPET)や延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)など)と押出ラミやサンドラミなどの方法で積層しても構わない。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池封止材を用い、太陽電池を上下の保護材であるフロントシート及びバックシートで固定することにより、太陽電池モジュールを製作することができる。このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができる。例えば上部保護材/封止材(封止樹脂層)/光発電素子(太陽電池セル)/封止材(封止樹脂層)/下部保護材のように太陽電池セルの両側から封止材で挟む構成のもの(図1参照)、下部保護材の内周面上に形成させた太陽電池セルの上に封止材と上部保護材を形成させる構成のもの、上部保護材の内周面上に形成させた太陽電池セル、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス光発電素子をスパッタリング等で作製したものの上に封止材として下部保護材を形成させる構成のものなどを挙げることができる。なお、本発明の太陽電池封止材を用いた太陽電池モジュールにおいて、封止材が2箇所以上の部位に使用される場合、すべての部位に本発明の太陽電池封止材を用いても構わないし、1箇所のみの部位に本発明の太陽電池封止材を用いても構わない。また、封止材が2箇所以上の部位に使用される場合、各々の部位に使用される本発明の太陽電池封止材を構成する樹脂組成は同一であっても良いし、異なっていても良い。
光発電素子は、封止樹脂層間に配置され配線される。例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、ガリウム−ヒ素、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルルなどのIII−V族やII−VI族化合物半導体型、色素増感型、有機薄膜型などが挙げられる。
本発明の太陽電池封止材を用いて作製された太陽電池モジュールを構成する各部材については、特に限定されるものではないが、上部保護材としては、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂などの板材やフィルムの単層又は多層の保護材を挙げることができる。下部保護材としては、金属や各種熱可塑性樹脂フィルムなどの単層もしくは多層のシートであり、例えば、スズ、アルミ、ステンレスなどの金属、ガラスなどの無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィンなどの単層もしくは多層の保護材を挙げることができる。
これらの上部及び下部の保護材の表面には、本発明の太陽電池封止材やその他の部材との接着性を向上させるためにプライマー処理やコロナ処理など公知の表面処理を施すことができる。
本発明の太陽電池封止材を用いて作製された太陽電池モジュールを記述した上部保護材/封止材/太陽電池セル/封止材/下部保護材のように太陽電池セルの両側から封止材で挟む構成の物を例として説明する。図1に示すように、太陽光受光側から順に、透明基板10、本発明の太陽電池封止材を用いた封止樹脂層12A、太陽電池セル14A、14B、本発明の太陽電池封止材を用いた封止樹脂層12B、バックシート16が積層されてなり、さらに、バックシート16の下面にジャンクションボックス18(光発電素子から発電した電気を外部に取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる。太陽電池セル14A及び14Bは、発電電流を外部に電導するため配線20により連結されている。配線20は、バックシート16に設けられた貫通孔(不図示)を通じて外部に取り出され、ジャンクションボックス18に接続されている。
太陽電池モジュールの製造方法としては、公知の方法が適用でき、特に限定されるものではないが、一般的には、上部保護材、封止樹脂層、太陽電池セル、封止樹脂層、下部保護材の順に積層する工程と、それらを真空吸引し加熱圧着する工程を有する。また、バッチ式の製造設備やロール・ツー・ロール式の製造設備なども適用することができる。
本発明の太陽電池封止材を用いて作製された太陽電池モジュールは、適用される太陽電池のタイプとモジュールの形状により、モバイル機器に代表される小型太陽電池、屋根や屋上に設置される大型太陽電池など屋内・屋外関わらずに各種用途に適用することができる。
また、本発明の太陽電池封止材は、光発電素子の封止材として好適に用いられるが、例えば、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ等の発光装置の表示素子の封止材として用いることも可能である。
以下の実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明はなんら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示されるシートについての種々の測定及び測定値の評価は次のようにして行なった。ここで、シートの押出機からの流れ方向を縦方向、その直交方向を横方向と呼ぶ。
(1)封止時の流動性(溶融粘度)
レオメーター(Rheology社製、型式:レオメーターMR−300T)を用いて、周波数:1Hz、歪:0.5%、降温速度:3℃/分の条件で、φ18mmパラレルプレート上にのせた試料(厚み0.3mm)の溶融粘度(η*)の温度分散を230℃から120℃まで測定し、得られたデータから150℃における溶融粘度を求め、下記の基準で評価した。
(○)溶融粘度が2000Pa・s以上、15000Pa・s未満
(×)溶融粘度が2000Pa・s未満、又は15000Pa・s以上
(2)封止適性
厚み3mmの白板ガラス(サイズ:150mm×150mm)2枚の間に厚みが0.5mmのシート状の封止材2枚にはさまれた太陽電池セル(フランスフォトワット社製、商品名:101×101MM)を配置し、これを真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、商品名:LM30×30)を用いて、150℃、30分、圧力0.1MPaの条件で積層プレスした試料を作製し、その外観を観察し、以下の評価基準に従って評価した。
(○)封止樹脂が太陽電池セルの周辺に十分回り込み、樹脂抜け等がなく、良好な太陽電池モジュールが得られた場合
(×)封止樹脂が太陽電池セルの周辺に回り込みきらず、封止が不十分である、あるいは、封止樹脂がガラスの周囲から流れ出し、ガラス板と太陽電池セルの間の封止樹脂の厚みが非常に薄い(0.05mm以下)状態の場合
(3)全光線透過率
厚み3mmの白板ガラス(サイズ:75mm×25mm)と2枚の間に厚みが0.5mmのシート状の封止材を重ね、真空プレス機を用いて、150℃、30分、圧力0.1MPaの条件で積層プレスした試料を作製し、該試料をJIS K7105に準じて全光線透過率を測定し、その値を記載すると共に、下記の基準で評価した結果も併記した。
(○)全光線透過率が85%以上
(×)全光線透過率が85%未満、又は明らかに白濁しているもの
(4)水蒸気透過率
水蒸気透過試験機(MOCON社製、型式:PERMATRAN W3/33)を用い、厚さ0.3mmのシート状の封止材をサンプルとして、40℃、湿度90%における水蒸気透過率を測定した。その結果を下記の基準で評価した
(○)水蒸気透過率が1g/(m2・day)以下
(×)水蒸気透過率が1g/(m2・day)を超える
(実施例1)
表1に示すように、環状オレフィン系重合体として、エチレン−ノルボルネンランダム共重合体(ポリプラスチックス(株)製、商品名:TOPAS 9506X1、150℃における溶融粘度:16600Pa・s、ノルボルネン含有量:22モル%、以下P−1と略す)を81質量%と、P−1とは溶融粘度が異なるエチレン−ノルボルネンランダム共重合体(ポリプラスチックス(株)製、商品名:TOPAS TM、150℃における溶融粘度:100Pa・s以下、ノルボルネン含有量:28モル%、以下P−2と略す)を19質量%からなる樹脂組成物をあらかじめ二軸押出機で混合し、次いで、Tダイを備えた32mm単軸押出機を用いて設定温度260℃で溶融混練し、20℃のキャストロールで急冷製膜することにより厚みが0.5mmと0.3mmのシート状の太陽電池封止材(以下、シートと略する)を得た。得られたシートを用いて評価した結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、エチレン−ノルボルネンランダム共重合体(P−1)を93質量%と、エチレン−ノルボルネンランダム共重合体(P−2)を7質量%からなる樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.5mmと0.3mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、環状オレフィン系重合体として、ノルボルネン開環重合体の水素化物(日本ゼオン(株)製、商品名:ZEONOR1060R、150℃における溶融粘度:35800Pa・s、以下Q−1と略す)を80質量%と、エチレン−ノルボルネンランダム共重合体(P−2)を20質量%からなる樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.5mmと0.3mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、ノルボルネン開環重合体の水素化物(Q−1)を70質量%と、エチレン−ノルボルネンランダム共重合体(P−2)を30質量%からなる樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.5mmと0.3mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、エチレン−ノルボルネンランダム共重合体(P−1)を100質量%含む樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.5mmと0.3mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、エチレン−ノルボルネンランダム共重合体(P−1)を40質量%と、エチレン−ノルボルネンランダム共重合体(P−2)を60質量%からなる樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.5mmと0.3mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、ノルボルネン開環重合体の水素化物(Q−1)を50質量%と、エチレン−ノルボルネンランダム共重合体(P−2)を50質量%からなる樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.5mmと0.3mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。しかしながら、得られたシートは非常に脆く、太陽電池封止材としての実用的な力学的特性を有していないものであった。
(比較例4)
実施例1において、エチレン―酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル(株)製、商品名:EVAFLEX EV150、酢酸ビニル含有量:33質量%、以下EVAと略する)を100質量部と、過酸化物架橋剤1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(アルケマ吉冨(株)製、商品名ルペロックス331)を1.25質量部からなる樹脂組成物とし、押出温度を95℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.5mmと0.3mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。当該シートは粘度を測定する際、熱架橋が進行するため、粘度が安定せず、溶融粘度を定めることが困難であった。
Figure 2011151388
表1より、本発明で規定した溶融粘度の範囲内にある環状オレフィン系重合体を含む樹脂組成物からなる太陽電池封止材は、封止性、透明性、水蒸気バリア性のすべてに優れていることが確認できる(実施例1〜4)。これに対して、本発明で規定した溶融粘度の範囲外の樹脂組成物からなる太陽電池封止材は、透明性や水蒸気バリア性は良好であるが、封止樹脂が太陽電池セルの周辺に回り込みきらず、封止が不十分であったり(比較例1)、封止樹脂がガラスの周囲から流れ出し、ガラス板と太陽電池セルの間の封止樹脂の厚みが非常に薄くなったり(比較例2、比較例3)、封止性に劣ることが確認できる。架橋剤を含有するEVAからなる太陽電池封止材は、封止性や透明性は良好であるが、水蒸気透過率が大きく水蒸気バリア性に劣ることが確認できる(比較例4)。
10・・・透明基板
12A,12B・・・封止樹脂層
14A,14B・・・太陽電池セル
16・・・バックシート
18・・・ジャンクションボックス
20・・・配線

Claims (4)

  1. 環状オレフィン系重合体を含有し、レオメーターを用いて、周波数1Hzで測定した150℃における溶融粘度が2000Pa・s以上、15000Pa・s未満である樹脂組成物からなることを特徴とする太陽電池封止材。
  2. 前記環状オレフィン系重合体が直鎖状オレフィン成分と環状オレフィン成分とからなる環状オレフィン系ランダム共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池封止材。
  3. 厚さ0.3mm、温度40℃、湿度90%における水蒸気透過率が1g/(m2・day)以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の太陽電池封止材。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の太陽電池封止材を用いて作製された太陽電池モジュール。
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