JP3098169B2

JP3098169B2 - 溶接継手用部材

Info

Publication number: JP3098169B2
Application number: JP07074837A
Authority: JP
Inventors: 常雄原頭
Original assignee: 原頭工業株式会社
Priority date: 1995-03-31
Filing date: 1995-03-31
Publication date: 2000-10-16
Anticipated expiration: 2015-10-16
Also published as: JPH08267291A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は２本の鉄筋を突合わせ溶
接する際に、溶接金属の溶け落ちを防止してルート間隔
に確実に溶接金属を充満させ、強度的に信頼性の高い溶
接継手を構成できる溶接継手用部材に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、筒周面の略中央部に溶接用の開口
部を開設した溶接継手用筒体が提案されている(特開昭
６２ー４９０６号)。これは、筒体の両端から鉄筋を挿入
し、鉄筋の先端間にルート間隔を確保し、周面開口部か
ら溶接ワイヤーを挿入して、炭酸ガスシールド溶接によ
りルート間隔を溶接金属によって埋めて鉄筋を強固に接
続するものである。

【０００３】上記の溶接継手用筒体は、鉄筋を横にした
下向き姿勢の溶接では、溶接金属はルート間隔の底から
埋まり、該間隔全体が溶接金属で充満される。しかし、
鉄筋の突合せ部に筒体を被せるには、筒体の両端から鉄
筋を挿入せねばならず、即ち、突合せ状態の鉄筋に筒体
を被せることは出来ず、作業性が悪い問題があった。

【０００４】又、多層の肉盛り溶接により、ルート間隔
を溶接金属で充満させる時、一般的に最下層は溶接欠陥
が生じ易くなり、溶接継手の信頼性及び強度の低下を招
来する問題があった。本発明は、上記問題を解決できる
溶接継手用部材を明らかにするものである。

【０００５】

【課題を解決する手段】本発明の溶接継手用部材(１)
は、２本の鉄筋(５)(５)を突き合わせて溶接する際に、
突合わせ部の外側に被せ、鉄筋(５)(５)と一緒に溶接す
る継手用部材(１)であって、該継手用部材(１)は鉄筋の
外周を略半周する円弧状に湾曲形成され、且つ軸方向の
中央部内面に、湾曲した継手用部材の底部から両側縁に
繋がり、周方向の全長に亘って溶接金属を充満させる溝
条(２)が形成されている。

【０００６】

【作用及び効果】本発明の溶接継手用部材(１)は、鉄筋
(５)(５)の外周を略半周する円弧状に形成されているた
め、鉄筋の突合わせ部に跨がって、外側から溶接継手用
部材(１)を被せることができ、作業性がよい。

【０００７】又、多層の肉盛り溶接時に溶接欠陥の生じ
易い最下層は、ルート間隙部分に対応して溶接継手用部
材(１)に形成された溝条(２)内に位置するため、最下層
の溶接欠陥部は該溝条(２)に吸収され、鉄筋(５)(５)の
端面間の全域は溶接良好部となり、信頼性の高い強固な
溶接が望める。

【０００８】

【実施例】以下、図面に示す実施例に基づき、本発明を
説明するが、実施例は本発明を説明するためのものであ
って、特許請求の範囲を限定し、或は減縮する様に解す
べきではない。

【０００９】本発明で使用する溶接継手用部材(１)は、
厚み3.2〜6mm、長さ25〜60mmの略長方形の板を、幅方向
を略１／２円弧に湾曲して形成されており、曲率半径は
溶接すべき鉄筋の呼び径の１／２よりも少し大である。
図３に２点鎖線で示す如く、溶接継手用部材(１)の幅方
向の両端は、該部材(１)の直径線を越えて、少し平行に
延ばしてもよい。

【００１０】溶接継手用部材(１)は、長手方向の略中央
部内面に、周方向の全長に延びる溝条(２)を形成し、溝
条(２)の一端に切欠(３)を開設している。又、溝条(２)
の長さ方向の中央部及び両端側に溶接検査用の貫通孔
(４)を開設している。貫通孔(４)は直径２〜３mmであっ
て、溶接時の溶接金属が流れ出ない。

【００１１】上記、溝条(２)、切欠(３)、貫通孔(４)
は、溶接継手用部材(１)がフラットな板体の時に、プレ
ス装置によって加工され、その後、曲げ加工して図１に
示す溶接継手用部材(１)が完成する。

【００１２】然して、図２の如く、溶接継手用部材(１)
の内面上にて溶接すべき２本の鉄筋を対向させる。この
時、鉄筋間の間隔を切欠(３)の幅に合わせて設定し、溶
接継手用部材(１)を溶接により鉄筋に仮付けする。

【００１３】次に、鉄筋間の間隔、即ち、ルート間隔に
炭酸ガスシールド半自動溶接を施し、ルート間隔と溝条
(２)を溶接金属で充満させる。溶接は、溶接継手用部材
(１)の底側から溶接金属を多重に盛って行うが、最下層
に生じ易い溶接欠陥は、溶接継手用部材(１)の溝条(２)
に吸収され、また溶接金属は、ルート間隙部分に対応し
ている溝条(２)を充満し（図４を参照）、鉄筋の端面が
対向する領域は全体に良好な溶接部分となり、溶接強度
及び信頼性が向上する。

【００１４】溶接完了後、貫通孔(４)からルート間隔の
底側の溶接金属の埋まり状態が目視でき、非破壊検査の
様に大掛かりな装置や手間を必要とせず、簡単に溶接継
手の検査を行なうことができる。

【００１５】図５は、溶接継手用部材(１)の他の実施例
を示しており、一方の側縁の中央部寄りに、２箇所に切
欠(３)(３)を開設している。切欠(３)(３)間の幅は、ル
ート間隔に対応しており、又、両切欠(３)の幅は、該ル
ート間隔と同じ或いはそれよりも広く、又は狭く開設さ
れている。溝条(２)の幅は、両切欠(３)の外端間に対応
している。

【００１６】図５の場合、鉄筋間の間隔を切欠(３)(３)
間の幅に対応させるか、或いは切欠(３)自体の幅に対応
させるかによって、２種類のルート間隔を選択できる。
２つの切欠(３)(３)の幅長さを互いに違えれば、３種類
のルート間隔を選択できる。

【００１７】上記の如く、本発明の溶接継手用部材(１)
は、ルート間隔部分に対応して溝条(２)が形成されてい
るため、最下層の溶接欠陥部は、該溝条(２)に吸収さ
れ、鉄筋(５)(５)の端面間の全域は溶接良好部となり、
信頼性の高い、強固な溶接が望める。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例の溶接継手用部材の斜面図である。

【図２】ルート間隔を決める説明図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図４】溶接継手部の断面図である。

【図５】第２実施例の斜面図である。

【符号の説明】

(１) 溶接継手用部材 (２) 溝条 (３) 切欠 (４) 孔

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】２本の鉄筋(５)(５)を突き合わせて溶接
する際に、突合わせ部の外側に被せ、鉄筋(５)(５)と一
緒に溶接する継手用部材(１)であって、該継手用部材
(１)は鉄筋の外周を略半周する円弧状に湾曲形成され、
且つ軸方向の中央部内面に、湾曲した継手用部材の底部
から両側縁に繋がり、周方向の全長に亘って溝条(２)が
形成され、該周方向の全長に亘って形成されている溝条
(２)と鉄筋との間へ、溶接金属を充満させる溶接継手用
部材。