JP2002361473A - クラッド鋼接続方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラッド鋼相互の接続を容易に且つ確実に行
なえるようにする。 【解決手段】 クラッド鋼１の接続端寄り部分の耐食層
２、並びに母材３の耐食層２に隣接する部分を切除して
母材３表面を露出させ、耐食層２端部を切除して母材３
表面露出部分に連なり且つクラッド鋼１の板幅方向へ延
びる凹陥部１１を形成し、クラッド鋼１の接続端を対峙
させて母材３を突合溶接継手４により相互に固着し、耐
食層２と同材質で且つ突合溶接継手４と母材３表面露出
部分を被覆する嵌入材１２の形状を、耐食層２端間に嵌
入材１２を配置したときに、凹陥部１１に連通する空隙
１３が形成されるように設定し、嵌入材１２を耐食層２
端部に嵌め込み、嵌入材１２と耐食層２を突合溶接継手
１４により相互に固着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はクラッド鋼接続方法
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、部材強度を確保できる炭素鋼や低
合金鋼などの板状の母材の一側面に、耐食層を形成する
ステンレス鋼、またはチタンなどの薄板を重ね合わて圧
延し、母材と耐食層とを一体化したクラッド鋼が、構造
物の材料に適用されている。

【０００３】図２は従来実施されているクラッド鋼接続
方法の一例を示すもので、当該接続方法では、まず、ク
ラッド鋼１の接続端寄り部分の耐食層２（チタン）を、
機械加工で切除して母材３（炭素鋼）表面を露出させ、
クラッド鋼１の接続端を対峙させたうえ、母材３を突合
溶接継手４を介して相互に固着する。

【０００４】次いで、耐食層２と同材質で同一厚さの素
材から切り出した嵌入材５を、突合溶接継手４と母材３
表面露出部分を覆うように、クラッド鋼１の接続端の耐
食層２間に嵌め込む。

【０００５】更に、耐食層２と同材質の素材から切り出
した外装材６によって、嵌入材５と耐食層２の嵌入材５
隣接部分を覆い、外装材６の縁部を隅肉溶接継手７を介
して耐食層２表面に固着している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図２に
示すクラッド鋼接続方法では、耐食層２に対して外装材
６を、溶接トーチの角度調整が複雑で自動化が難しい隅
肉溶接継手７で固着しているため、耐食層２と外装材６
の溶接は、熟練した溶接工の手作業に頼らざるを得ず、
クラッド鋼１の接続を効率よく行なえない。

【０００７】また、外装材６を用いずに、耐食層２に対
して嵌入材５を突合溶接したとすると、チタンが炭素鋼
中に溶け込んで、亀裂の要因になる。

【０００８】本発明は上述した実情に鑑みてなしたもの
で、クラッド鋼相互の接続を容易に且つ確実に行なえる
ようにすることを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の請求項１に記載のクラッド鋼接続方法で
は、クラッド鋼の接続端寄り部分の耐食層、並びに母材
の耐食層に隣接する部分を切除して母材表面を露出させ
たうえ、更に、耐食層端部を切除して母材表面露出部分
に連なり且つクラッド鋼の板幅方向へ延びる凹陥部を形
成し、クラッド鋼の接続端を対峙させて母材を突合溶接
継手により相互に固着し、耐食層と同材質で且つ突合溶
接継手と母材表面露出部分を被覆する嵌入材の母材対峙
部分の形状を、耐食層端間に嵌入材を配置したときに、
前記の凹陥部に連通する空隙が形成されるように設定
し、嵌入材を耐食層端部に嵌め込んで、嵌入材と耐食層
を突合溶接継手により相互に固着する。

【００１０】本発明の請求項２に記載のクラッド鋼接続
方法では、母材の構成素材が炭素鋼で且つ耐食層の構成
素材がチタンであるクラッド鋼を用いる。

【００１１】本発明の請求項３に記載のクラッド鋼接続
方法では、各突合溶接継手をレーザ溶接により形成す
る。

【００１２】本発明の請求項１乃至請求項３に記載のク
ラッド鋼接続方法のいずれにおいても、嵌入材を耐食層
端間に嵌め込んだ際に、耐食層端部に形成した凹陥部、
及び嵌入材と母材表面露出部分との間に形成される空隙
によって、耐食層と嵌入材の溶接対象箇所が母材に接し
ないようにする。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
示例とともに説明する。

【００１４】図１は本発明のクラッド鋼接続方法の実施
の形態の一例を示すもので、図中、図２と同一の符号を
付した部分は同一物を表わしている。

【００１５】まず、クラッド鋼１の接続端寄り部分の耐
食層２（チタン）を機械加工で切除して母材３（炭素
鋼）表面を露出させ、引き続き、露出した母材３を機械
加工で所定厚さ切除する。

【００１６】更に、耐食層２の端部を機械加工で切除し
て母材３表面露出部分に連なり且つクラッド鋼１板幅方
向に延びる凹陥部１１を形成し、クラッド鋼１接続端を
対峙させて、母材３をレーザ溶接による突合溶接継手４
を介して相互に固着する。

【００１７】また、突合溶接継手４と母材３表面露出部
分を被覆する嵌入材１２を、耐食層２と同材質の素材か
ら切り出し、嵌入材１２の母材３対峙部分を機械加工で
切除して、耐食層２端間に嵌入材１２を配置したとき
に、凹陥部１１に連通する空隙１３が形成されるように
する。

【００１８】嵌入材１２が切り出される素材は、先に述
べた機械加工による耐食層２と母材３の切除量に応じた
厚さを有しており、嵌入材１２を耐食層２端間に嵌め込
むと、耐食層２及び嵌入材１２の外側面が段差を形成せ
ずに連なるようになる。

【００１９】この嵌入材１２を、耐食層２端間に嵌め込
んだうえ、嵌入材１２と耐食層２をレーザ溶接による突
合溶接継手１４を介して接続する。

【００２０】このように、図１に示すクラッド鋼接続方
法では、嵌入材１２を耐食層２端間に嵌め込んだ際に、
耐食層２端部に形成した凹陥部１１、及び嵌入材１２と
母材３表面露出部分との間に形成される空隙１３によっ
て、耐食層２と嵌入材１２の溶接対象箇所が母材３に接
しないので、耐食層２に対して嵌入材１２を突合溶接す
ることが可能になり、また、チタンが炭素鋼中に溶け込
むことに起因した亀裂の発生を回避できる。

【００２１】よって、嵌入材１２と耐食層２とを固着す
る作業に自動溶接機を用いることが可能になり、クラッ
ド鋼１相互の接続を容易に且つ確実に行なえる。

【００２２】なお、本発明のクラッド鋼接続方法は、上
述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発
明の要旨を逸脱しない範囲内において変更を加え得るこ
とは勿論である。

【００２３】

【発明の効果】以上述べたように、本発明のクラッド鋼
接続方法によれば、下記のような種々の優れた効果を奏
し得る。

【００２４】（１）嵌入材を耐食層端間に嵌め込んだ際
に、耐食層端部に形成した凹陥部、及び嵌入材と母材表
面露出部分との間に形成される空隙によって、耐食層と
嵌入材の溶接対象箇所が母材に接しないので、耐食層に
対して嵌入材を突合溶接することが可能になり、また、
耐食層の構成物質が母材中に溶け込むことに起因した亀
裂の発生を回避できる。

【００２５】（２）よって、嵌入材と耐食層とを固着す
る作業に自動溶接機を用いることが可能になり、クラッ
ド鋼相互の接続を容易に且つ確実に行なえる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のクラッド鋼接続方法の実施の形態の一
例を示す概念図である。

【図２】従来のクラッド鋼接続方法の一例を示す概念図
である。

【符号の説明】

１ クラッド鋼 ２ 耐食層 ３ 母材 ４ 突合溶接継手 １１ 凹陥部 １２ 嵌入材 １３ 空隙 １４ 突合溶接継手

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クラッド鋼の接続端寄り部分の耐食層、
   並びに母材の耐食層に隣接する部分を切除して母材表面
   を露出させたうえ、更に、耐食層端部を切除して母材表
   面露出部分に連なり且つクラッド鋼の板幅方向へ延びる
   凹陥部を形成し、クラッド鋼の接続端を対峙させて母材
   を突合溶接継手により相互に固着し、耐食層と同材質で
   且つ突合溶接継手と母材表面露出部分を被覆する嵌入材
   の母材対峙部分の形状を、耐食層端間に嵌入材を配置し
   たときに、前記の凹陥部に連通する空隙が形成されるよ
   うに設定し、嵌入材を耐食層端部に嵌め込んで、嵌入材
   と耐食層を突合溶接継手により相互に固着することを特
   徴とするクラッド鋼接続方法。
2. 【請求項２】 母材の構成素材が炭素鋼で且つ耐食層の
   構成素材がチタンであるクラッド鋼を用いる請求項１に
   記載のクラッド鋼接続方法。
3. 【請求項３】 各突合溶接継手をレーザ溶接により形成
   する請求項１あるいは請求項２に記載のクラッド鋼接続
   方法。