JP3607808B2 - チタンクラッド鋼板の溶接方法及び防食構造体 - Google Patents

チタンクラッド鋼板の溶接方法及び防食構造体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶・海洋構造物・浮体構造物・橋梁などの産業分野において、従来よりも高い疲労強度が要求される防食構造体およびその溶接方法を対象としたものである。
【0002】
【従来の技術】
海浜・海洋地域で使用される鋼構造物には、その長期耐用の必要性から防食部材が使用され、特に長期耐久性を要求される部材にはチタンクラッド鋼板が適用される。チタンクラッド鋼板は構造体基材の一部と溶接、あるいは構造体基材の機能を併せ持つチタンクラッド鋼板の場合には構造基材として使用されるため、チタンクラッド鋼板同士の溶接、およびその溶接部の端部の施工が重要である。
チタンクラッド鋼板は炭素鋼とチタンという材質の違いから、炭素鋼板同士およびチタン層同士を共通に溶接することが出来ないため、接合部の構造は複雑なものとなる。特に接合部端部は耐食性確保の観点から、チタンクラッド鋼板の炭素鋼板を露出させず被覆されている必要がある。また海洋波浪などの外荷重を長期に受けるため、耐食性のみならず耐疲労破壊特性、すなわち疲労強度も十分に確保されなければならず、これらの両立が重要となることから、種々の方法が検討された。
【0003】
これらのうち、チタンクラッド鋼板を用いた耐食性の高い構造物として特開平7−11661号公報、および特開平7−34480号公報、チタンクラッド鋼板同士の溶接部の端部溶接方法として特開平5−185237号公報、特公平8−302号公報、特開平7−34480号公報などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術のうち、チタンクラッド鋼板を用いた耐食性の高い構造物である特開平7−11661号公報および特開平7−34480号公報では、最も重要となるチタンクラッド溶接端部は、同様のチタンクラッドをスライスしたものを塞ぎ材として、これを端部に当てて周囲を溶接する方法を採用しており、塞ぎ板の内面は図7(a)に示すように未溶着部12になっている。従って、特に図7(a)に矢印で示す方向の応力が作用する場合には、未溶着部12は切り欠きとなって容易に疲労亀裂を発生し、大幅な疲労強度の低下を招く。また、塞ぎ板は相対的に微小なものになるため、溶接の際の操作性に劣るのみならず、周囲を溶接すると極めて大きな残留応力が発生し、疲労亀裂の発生をさらに容易にする。
【0005】
次に、特開平5−185237号公報および特公平8−302号公報では、端部に切り込みにより設けた間隙部にチタンクラッド鋼板をスペーサー材として挿入して、チタンと炭素鋼の溶接部をAg−Cu系の溶接材料を用いてTIG溶接もしくはプラズマ溶接する方法を提案している。しかし、このように端部に切り込みを設けてスペーサー材を挿入すると、スペーサー材は表面のみ溶接されるため、図7(b)に示すようにスペーサー側面および底面に未溶着部12′を残留させることになる。残留した未溶着部12′は切り欠きとして疲労亀裂の発生を容易にし、特に図7(b)に示す方向の応力が作用する場合に、大幅な疲労強度の低下を招く。
【0006】
本発明の主たる目的は、特別な処理を必要とすることなく、疲労強度を高めたチタンクラッド鋼板による防食構造体およびその溶接方法を得ようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決してチタンクラッド鋼板による防食構造体の疲労強度を向上させるために、本発明は、チタンクラッド鋼板の接合端部を肉盛りろう材により密閉することにより未溶着部の残留を無くして疲労強度を高めるという全く新しい思想によるものである。
【0008】
すなわち、本発明の要旨とするところは、次の通りである。
(1) 表面にチタン層を有するチタンクラッド鋼板同士を突合せ溶接する方法において、突合せ部分のチタン層を欠落させたチタンクラッド鋼板同士を突き合わせ、突合せ部の端部にろう材を肉盛りしてろう材層を形成し、少なくともチタンクラッド鋼のチタン層を欠落させたことによって露出した炭素鋼表面及びチタン層端面の端部をろう材層で覆い、かつ該ろう材層表面をチタンクラッド鋼表面と同じ高さに形成し、次いで突き合わせたチタンクラッド鋼板のチタン層間をチタン板によって架橋した後、チタン板とチタンクラッド鋼板表面のチタン層とを溶接することを特徴とするチタンクラッド鋼板の溶接方法。
【0009】
(2) 表面にチタン層を有するチタンクラッド鋼板同士を突合せ溶接する方法において、突合せ部分のチタン層を欠落させたチタンクラッド鋼板同士を突き合わせ、突合せ部の端部にスペーサーを配置すると共にろう材を肉盛りしてろう材層を形成して、少なくともチタンクラッド鋼のチタン層を欠落させたことによって露出した炭素鋼表面及びチタン層端面の端部をろう材層で覆い、かつ該ろう材層表面をチタンクラッド鋼表面と同じ高さに形成し、次いで突き合わせたチタンクラッド鋼板のチタン層間をチタン板によって架橋した後、チタン板とチタンクラッド鋼板表面のチタン層とを溶接することを特徴とするチタンクラッド鋼板の溶接方法。
【0010】
(3) 突合せ部において露出している炭素鋼同士を溶接することを特徴とする前記(1)又は(2)記載のチタンクラッド鋼板の溶接方法。
【0011】
(4) ろう材にAg−Cu系ろう材を用いることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のチタンクラッド鋼板の溶接方法。
【0012】
(5) 突き合わせたチタンクラッド鋼板同士を架橋するチタン板のコーナーに半径5mm以上15mm以下の丸みをつけたことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のチタンクラッド鋼板の溶接方法。
【0013】
(6) 構造体基材表面にチタンクラッド鋼板からなる部材を複数配置した防食構造体であって、少なくともチタンクラッド鋼板からなる部材同士の溶接の一部が前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法によって行われていることを特徴とする防食構造体。
【0014】
(7) 複数のチタンクラッド鋼板部材からなる防食構造体であって、少なくともチタンクラッド鋼板部材同士の溶接の一部が前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法によって行われていることを特徴とする防食構造体。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の溶接方法は、例えば図3に示すように、角柱状に組み立てた橋脚などの海洋構造体について、周囲にチタンクラッド鋼板を連設して耐食化を図った構造体におけるチタンクラッド鋼板1同士の接合部の端部13に適用するものである。
【0016】
本発明の溶接方法に先立ち、チタンクラッド鋼板1同士を溶接する側面は、図1(a)に示すように、炭素鋼板3同士を突き合わせた状態とする。すなわち、本発明では突合せ部分のチタン層2を欠落させたチタンクラッド鋼板同士を突き合わせることとしているが、これは同図に示すように、突合せ部から所定の幅にわたってチタン層を欠落させたチタンクラッド鋼板同士を突き合わせることをいう。図1(a)には、チタン層を欠落させたことによって露出した炭素鋼表面の端部を2aとして示す。また、同図には同じくチタン層を欠落させたことによって露出したチタン層端面の端部を2bとして示す。
【0017】
後に実施するろう材肉盛りの作業性および品質確保のためには、突合せ部に開先5をとることが望ましい。開先形状は、片面からのろう付けが可能なV型、U型、レ型もしくはI型が望ましいが、両面からの溶接が可能な場合には特に開先形状を限定しなくてもよい。
【0018】
次に本発明の溶接方法を述べる。
この状態において、本発明では図1(b)に示すように突合せ部の端部にろう材を肉盛りしてろう材層7を形成する。ここで、ろう材層7の一部にはスペーサーを含んだものとしてもよい。その際に、ろう材層が、少なくとも露出した炭素鋼表面の端部2a及び露出したチタン層端面の端部2bを覆うようにする。また、ろう材層7とチタン層2との継ぎ目ではろう材層とチタン層とが同じ高さになるようにする。なお、図1にはチタン層の高さよりも高く肉盛りした後に機械研削を行う場合を示しているが、このような場合には機械研削を行った後にろう材層とチタン層とを同じ高さにすればよい。
【0019】
なお、ここで端部とは、チタンクラッド鋼板の突き合わせ線方向の端部であって、チタンクラッド鋼板の端からろう材層の幅程度の範囲をいうものとする。ろう材層の幅は、後に架橋するチタン板と重ねてすみ肉溶接が可能な程度に広いことが望ましく、10mm程度とする。ただしチタン板8のコーナーの半径を大きくする場合には、10mmに半径を加えた幅とするのが望ましい。
【0020】
肉盛りままでも本発明の目的である高い疲労強度は得られるが、さらに高い疲労強度を得るためには、チタン層の高さよりも高くろう材層を肉盛りした後に機械研削を行うとよい。このように機械研削によってろう材層の表面を平坦にしてチタンクラッド鋼板のチタン層2の高さ未満になる部分が無いようにするためには、ろう材層表面の凹凸を考えると、肉盛りした際のろう材層の最大高さはチタン層2より1mm以上は必要である。しかし、あまり高く肉盛りすることはコスト高となるため、3mmを上限の目安とする。
【0021】
肉盛りするろう材の種類は、作業性および品質の観点からAg−Cu系のろう材が望ましいが、純Ag、Co系、V系のろう材でも同様の性能が得られる。さらに、Ag−Cu系では、Ni,Sn,Li,B等を添加したものでもよい。ろう材を用いるのはチタンが活性金属であり、チタンと炭素鋼とを直接溶接すると極めて脆弱な金属化合物を生成するためである。
【0022】
機械研削を行う場合には、図1(c)に示すように、肉盛りしたろう材をチタンクラッド鋼板のチタン層2と同じ高さになるまで、グラインダー等で機械研削して表面を滑らかな状態7′にする。これは、次に図1(d)に示すようにチタン板8を架橋させて溶接する際に、チタン板8と肉盛りろう材7′の密着度を向上させてろう付けの品質を向上させるためであり、ろう材の加工仕上げの程度は、通常の機械加工で得られる粗さの条件として100−S(100μm以下の粗さ)程度とする。
【0023】
本発明の溶接方法の後は、図1(d)に示すようにチタンクラッド鋼板1のチタン層2間をチタン板8によって架橋した後、図1(e)に示すようにチタンクラッド鋼板1のチタン層2とチタン板8との接合をTIG溶接10で行い、さらに図1(f)に示すようにチタン板8と滑らかにしたろう材層7′との接合をろう付け9により行って、端部の空隙部を完全に被覆することにより、防食機能を有する構造体を形成する。
【0024】
上記の溶接方法で、チタンクラッド鋼板の炭素鋼板3同士の溶接は防食機能の観点からは必ずしも必要ない。しかし強度設計上必要とする場合には、図2に示すようにろう付け肉盛りの前に炭素鋼板3同士の溶接を行う。このような場合には炭素鋼板3に機械加工もしくはガス加工などにより開先を設けるとともに、開先部の溶接によりチタン層2が溶融しないように、溶接入熱によっても異なるが長さ5〜10mm程度の開先部分のチタン層を機械加工により削除して欠落部分を設ける必要がある。
【0025】
炭素鋼板3同士の溶接は被覆アーク溶接、ガスシールドアーク溶接、サブマージアーク溶接などのアーク溶接、またはレーザー溶接、電子ビーム溶接等により溶接部6を形成する。この溶接は、炭素鋼板用の溶接材料にてアークの安定する通常の溶接条件で行う。溶接は強度設計上の理由に応じて必要なだけ行えば良く、端部密閉のためにはチタンクラッド鋼板が図1の施工のために固定されていれば良いので、例えば断続溶接を行っても、終始端を炭素鋼板3の端部まで開先面を残すことなく溶接しても良い。
【0026】
ここで、構造体基材表面にチタンクラッド鋼板からなる部材を複数配置した防食構造体に本発明の溶接方法を適用する場合には、図4に示すようにガスシールドアーク溶接・被覆アーク溶接・サブマージアーク溶接などのアーク溶接によりすみ肉溶接11を行い、チタンクラッド鋼板1と構造体基材4との隙間を被覆する必要がある。このすみ肉溶接11において用いる溶接材料は前述の炭素鋼板同士を溶接する場合と同じく炭素鋼板用の溶接材料でよく、溶接条件はアークの安定する通常の溶接条件でよい。
【0027】
また、構造体基材を用いずチタンクラッド鋼板の炭素鋼が構造体基材の機能を持つ場合、すなわちチタンクラッド鋼板を組み合わせた構造の防食構造体場合には、図2(a)のように構造上まずチタンクラッド鋼板の炭素鋼同士が片面あるいは両面から溶接された状態にある。このような状態でも、図1の(b)〜(d)に示した通りに本発明の溶接方法を適用することができる。
【0028】
さらにスペーサーを用いる場合は、図2(c)に示すように突合せ部の端部におけるチタン層とチタン層との間にスペーサー14を配置し、図2(d)のようにろう材を肉盛りしてろう材層を形成して、必要に応じて機械研削を行う。スペーサー14の材質は、ろう材層と接着可能なものであればよく、例えば炭素鋼、チタン、チタンクラッド鋼板、ろう材と同等の材質のもの等が望ましい。ろう材として広範囲に用いられるAg−Cu系を用いれば、スペーサーの材質は上記以外にCuおよびその合金、ステンレス鋼、Ni及びその合金、Be、Zr、Va、W、Mo、Ta、Nb及びその合金等でもよい。
【0029】
以上のように本発明の溶接方法で製作された防食構造体は、チタンクラッド鋼板の溶接部の端面において、チタン層を欠落させた部分を塞ぐために図7に示したように塞ぎ板等を用いることなく、ろう材層を用いているため疲労破壊の起点となる未溶着部が無く優れた耐疲労特性を有する。また、本発明の溶接方法は防食構造体の一部に用いても十分効果を発揮する。
【0030】
次にチタン板の形状について述べる。
チタン板8のコーナー部は半径5mm以上、15mm以下とし、弧状に形成するのがよい。本発明では応力に直角方向の未溶着部は無いが、チタン板8が架橋されたカバープレートであることから、その溶接部にも応力集中が生じる。図5(a)に応力の流れを示すように、チタン板を伝達する応力もあるが、端部近傍を伝達する応力は、コーナーの溶接部を伝達する。このとき、コーナーの半径が小さいとその溶接部で応力が集中し、他に大きな応力集中部が無いことから、疲労き裂が発生しやすくなる。
【0031】
従って図5(b)に示すようにコーナーに丸みをつけることが疲労強度向上に有効であり、種々の半径のコーナーをもつチタン板の応力集中を検討した結果、5mm以上の半径が応力集中の低減に特に効果的であることを見出した。しかし半径が15mmを超えると、図1(b)におけるろう材7の肉盛り幅を増やさなければ十分なシールが出来ないことから、極端なコスト高を招く。このような理由から、チタン板コーナーの半径を5mm以上、15mm以下とした。ただし、チタン板コーナーの半径を5mm以下としても、未溶着部が無いことから高い疲労強度は得られる。
【0032】
【実施例】
12mm厚の構造用鋼基板に、4mm厚の炭素鋼を母材とし1mm厚のチタンを合わせ材とした5mm厚のチタンクラッド鋼板、および2mm厚のチタン板を用いて、端部の溶接を行った。炭素鋼の開先は60°のV開先とし、ルートギャップは3mmとした。炭素鋼同士の溶接には1.6mm径のソリッドワイヤー(JIS Z3312 YGW11)を添加したTIG溶接を行った。溶接条件は電流120A、電圧12V、溶接速度15cm/minとし、2パスで溶接を行った。
【0033】
次に、Ag−Cu系、純Ag、Co系およびV系のろう材を用いて、ろう付けにより端部の肉盛りを行い、ろう材層を形成した。熱源には電流を極端に落としたTIGを用いた。その条件は電流50A、速度15cm/minとした。
【0034】
肉盛り方法は、チタンクラッド鋼板のチタン層と同じ高さになるまで肉盛りした場合(表1でのろう付け肉盛り高さが0の場合)と、チタンクラッド鋼板のチタン層より最大で約2mm高く肉盛りを行ったのち、グラインダー研削によりチタン層と同じ高さになるように仕上げたものの2種類を製作した。また、No.17〜20においては、ろう材と共にスペーサーを用いてろう材層を形成した。
【0035】
この上に厚さ2mmのチタン板を被せて、チタン層とTIG溶接にて接合した。2mm径のチタンを溶加材に用い、溶接条件は電流115A、電圧11V、溶接速度15cm/minとした。また、ろう材層とチタン板との接合部に対しては、肉盛りろう付けと同じ方法を用いた。チタン板はコーナーの半径を1mm以下から15mmまで変化させて加工したものを用いた。
【0036】
この端部溶接方法と同じ方法で製作した端部をもう1箇所製作し、図6(a)〜(c)に示す形状・寸法の疲労試験片を製作して疲労試験を行った。疲労試験は荷重制御で荷重範囲を300kN、応力比0.1で室温・大気中で実施した。
比較のため、従来方法として特開平5−185237号公報に示す方法にて図6(d),(e)に示す形状・寸法の試験片も製作して、同様に疲労試験を行った。
【0037】
疲労試験結果を表1に示す。本発明方法による継手のうち、Ag−Cu系のろう材を用い、チタン板コーナーの半径を大きくしたもの(No.4,5)は、従来方法(No.21〜24)による継手に比べて10倍近い破断寿命の向上が認められる。チタン板のコーナー半径を特に大きくしなくても本発明継手(No.1〜16)は従来方法による継手の3倍以上の破断寿命を示している。また、スペーサーを用いた継手(No.17〜20)も、スペーサーを用いない継手と同等の破断寿命を示している。
【0038】
この溶接継手の結果から、本発明の防食構造体においても、同じ強度設計条件の場合、従来方法で製作された防食構造体よりも少なくとも3倍以上の疲労寿命を有するとともに、疲労き裂の発生に伴う防食機能の損失も3倍以上の期間防止することが可能である。
【0039】
【表1】
Figure 0003607808
【0040】
【発明の効果】
本発明の溶接方法および防食構造体は、チタンクラッド溶接端部における未溶着部を無くすことができるため、チタンクラッド鋼板および構造用鋼板の化学組成および機械的性質、および溶接条件の影響を全く受けず、広範囲に高い疲労強度を得ることが出来る。従って、疲労破壊が問題となる浮体構造物での使用に際し、設計・施工面で特別な配慮を必要とせず高い疲労強度を安定して得ることが可能であり、工業的にその効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は本発明の溶接方法を工程順に示す説明図である。
【図2】(a)は本発明の溶接方法におけるチタンクラッド鋼板の炭素鋼同士の溶接状況を、(b)は炭素鋼同士が溶接された場合のろう付け方法を、(c)及び(d)はスペーサーを含む場合のろう付け方法を示す説明図である。
【図3】本発明の溶接方法の適用カ所を示す防食構造体の例を示す斜視図である。
【図4】チタンクラッド鋼板の炭素鋼と構造体基材の溶接状況を示す斜視図である。
【図5】(a),(b)はチタン板コーナーの応力集中状況を示す溶接端部の平面説明図である。
【図6】実施例における疲労試験片の説明図であり、(a)〜(c)は本発明の平面、側面、A−A断面図、(d),(e)は従来例の平面、側面図である。
【図7】(a),(b)は従来方法の未溶着部を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 チタンクラッド鋼板
2 チタン層
2a,2c 露出した炭素鋼表面の端部
2b 露出したチタン層の端部
3 炭素鋼板
4 構造体基材
5 開先
6 突き合わせ溶接部
7 ろう材層
7′ 研削されたろう材層
8 チタン板
9 ろう付け肉盛り部
10 TIG溶接部
11 すみ肉溶接
12、12′ 未溶着部
13 チタンクラッド鋼板同士の溶接部の端部
14 スペーサー

Claims (7)

  1. 表面にチタン層を有するチタンクラッド鋼板同士を突合せ溶接する方法において、突合せ部分のチタン層を欠落させたチタンクラッド鋼板同士を突き合わせ、突合せ部の端部にろう材を肉盛りしてろう材層を形成し、少なくともチタンクラッド鋼のチタン層を欠落させたことによって露出した炭素鋼表面及びチタン層端面の端部をろう材層で覆い、かつ該ろう材層表面をチタンクラッド鋼表面と同じ高さに形成し、次いで突き合わせたチタンクラッド鋼板のチタン層間をチタン板によって架橋した後、チタン板とチタンクラッド鋼板表面のチタン層とを溶接することを特徴とするチタンクラッド鋼板の溶接方法。
  2. 表面にチタン層を有するチタンクラッド鋼板同士を突合せ溶接する方法において、突合せ部分のチタン層を欠落させたチタンクラッド鋼板同士を突き合わせ、突合せ部の端部にスペーサーを配置すると共にろう材を肉盛りしてろう材層を形成して、少なくともチタンクラッド鋼のチタン層を欠落させたことによって露出した炭素鋼表面及びチタン層端面の端部をろう材層で覆い、かつ該ろう材層をチタンクラッド鋼表面と同じ高さに形成し、次いで突き合わせたチタンクラッド鋼板のチタン層間をチタン板によって架橋した後、チタン板とチタンクラッド鋼板表面のチタン層とを溶接することを特徴とするチタンクラッド鋼板の溶接方法。
  3. 突合せ部において露出している炭素鋼同士を溶接することを特徴とする請求項1又は2記載のチタンクラッド鋼板の溶接方法。
  4. ろう材にAg−Cu系ろう材を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のチタンクラッド鋼板の溶接方法。
  5. 突き合わせたチタンクラッド鋼板同士を架橋するチタン板のコーナーに半径5mm以上15mm以下の丸みをつけたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のチタンクラッド鋼板の溶接方法。
  6. 構造体基材表面にチタンクラッド鋼板からなる部材を複数配置した防食構造体であって、少なくともチタンクラッド鋼板からなる部材同士の溶接の一部が請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法によって行われていることを特徴とする防食構造体。
  7. 複数のチタンクラッド鋼板部材からなる防食構造体であって、少なくともチタンクラッド鋼板部材同士の溶接の一部が請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法によって行われていることを特徴とする防食構造体。
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