JP3096917B2 - 圧電磁器組成物 - Google Patents
圧電磁器組成物Info
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Landscapes
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧電磁器組成物に係り,
特に結晶粒径が小さく且つ均一て高い電気機械結合係数
を有し,更に比誘電率の温度依存性も小さく,超音波振
動子として好適な圧電磁器組成物に関する。
特に結晶粒径が小さく且つ均一て高い電気機械結合係数
を有し,更に比誘電率の温度依存性も小さく,超音波振
動子として好適な圧電磁器組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電セラミックスは超音波振動子,アク
チュエータ,超音波モータ,セラミックスフィルター等
の広範囲の用途に利用されている。超音波振動子につい
て更に言えば,近年,家庭用小型洗浄機,車載用の雨滴
除去装置等その需用が増々高まっている。この種超音波
振動子としての圧電磁器に対して望まれる特性として
は,エネルギー変換効率が高い事(径方向振動での電
気機械結合係数Kp が高い事),振動子駆動回路との
整合上,比誘電率の温度依存性が小さい事,入金電力
に対し高信頼性を維持する上で圧電磁器の微細構造が均
一な事(結晶粒径が小さく且つ均一な事)等が挙げられ
る。
チュエータ,超音波モータ,セラミックスフィルター等
の広範囲の用途に利用されている。超音波振動子につい
て更に言えば,近年,家庭用小型洗浄機,車載用の雨滴
除去装置等その需用が増々高まっている。この種超音波
振動子としての圧電磁器に対して望まれる特性として
は,エネルギー変換効率が高い事(径方向振動での電
気機械結合係数Kp が高い事),振動子駆動回路との
整合上,比誘電率の温度依存性が小さい事,入金電力
に対し高信頼性を維持する上で圧電磁器の微細構造が均
一な事(結晶粒径が小さく且つ均一な事)等が挙げられ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来,この種超音波振
動子として用いる圧電磁器としては,例えばPb(Mn
1/3 Nb2/3 )O3 −PbZrO3 −PbTiO3 系等
の比較的機械的品質係数Qm の高い3成分系のものが知
られている。しかしながら,上記従来の組成物の場合,
電気機械結合係数,例えばKp が必ずしも高いとは言え
ず,超音波振動子として搭載した機器或は装置に於いて
機能上限度があり,この対策手段として振動子に対し入
力電力を大きくする方法もあるが,消費電力が大きくな
ると共に,振動子の信頼性が低下する等の不都合が生じ
る。更に,雰囲気温度が高くなるに従って,或はサイク
ル駆動等による振動子自体の発熱によって,電気機械結
合係数が更に低下し,それに伴なって機器或は装置の機
能低下を招く恐れも生じる。一方,高い電気機械結合係
数を得る目的で組成物に於いてZr/Ti比をMPB
(モルフォトロピック相境界)に持ってくると組成上,
電気機械結合係数が高くなる反面,比誘電率の温度依存
性が大きくなり,雰囲気温度の上昇,振動子自体の発熱
等によって比誘電率が著しく増加し,駆動回路との整合
がとれず機器或は装置本来の機能が失なわれるという事
態にもなりかねない。更に比誘電率の増加に伴なう共張
インピーダンスの低下もさけられず,回路を流れる電流
値も増大し,振動子の発熱と共に,駆動回路を構成する
部材にも悪影響を及ぼす結果となる。そこで,本発明の
技術的課題は高い電気機械結合係数を有し,比誘電率の
温度依存性も小さく,更に結晶粒径が小さく均一で高信
頼性が維持できる等,径方向振動を利用する超音波振動
子として好適な圧電磁器組成物を提供することにある。
動子として用いる圧電磁器としては,例えばPb(Mn
1/3 Nb2/3 )O3 −PbZrO3 −PbTiO3 系等
の比較的機械的品質係数Qm の高い3成分系のものが知
られている。しかしながら,上記従来の組成物の場合,
電気機械結合係数,例えばKp が必ずしも高いとは言え
ず,超音波振動子として搭載した機器或は装置に於いて
機能上限度があり,この対策手段として振動子に対し入
力電力を大きくする方法もあるが,消費電力が大きくな
ると共に,振動子の信頼性が低下する等の不都合が生じ
る。更に,雰囲気温度が高くなるに従って,或はサイク
ル駆動等による振動子自体の発熱によって,電気機械結
合係数が更に低下し,それに伴なって機器或は装置の機
能低下を招く恐れも生じる。一方,高い電気機械結合係
数を得る目的で組成物に於いてZr/Ti比をMPB
(モルフォトロピック相境界)に持ってくると組成上,
電気機械結合係数が高くなる反面,比誘電率の温度依存
性が大きくなり,雰囲気温度の上昇,振動子自体の発熱
等によって比誘電率が著しく増加し,駆動回路との整合
がとれず機器或は装置本来の機能が失なわれるという事
態にもなりかねない。更に比誘電率の増加に伴なう共張
インピーダンスの低下もさけられず,回路を流れる電流
値も増大し,振動子の発熱と共に,駆動回路を構成する
部材にも悪影響を及ぼす結果となる。そこで,本発明の
技術的課題は高い電気機械結合係数を有し,比誘電率の
温度依存性も小さく,更に結晶粒径が小さく均一で高信
頼性が維持できる等,径方向振動を利用する超音波振動
子として好適な圧電磁器組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の圧電磁
器組成物は,一般式Pb1-A Ba A (Zr B Ti C )O
3 (但しB+C=1)で示され,0.05≦A≦0.1
5,B/C比=1.01〜1.07を満足する基本組成
に対し,副成分として,MnO 0.03〜0.20重
量%, NiO 0.05〜0.20重量%及びCo
2 O3 を0.03〜0.15重量%添加含有してなるこ
とを特徴とする。尚,本発明において,0.05>A,
1.01>B/Cおよ副成分であるMnOが0.03重
量%,NiOが0.05重量%,Co2 O3 が0.03
重量%より少ない組成物のものでは特に電気機械結合係
数の改善効果が認められず,又所望する比誘電率が得ら
れない等好ましくなく,A>0.15の組成物では磁器
としての緻密性が欠なわれ,電気機械結合係数の低下を
招き,B/C>1.07では比誘電率の温度依存性が大
きく目的とする超音波振動子としては好ましくない。更
に,本発明において,副成分であるMnOが0.20重
量%,NiOが0.20重量%,Co2 O3 が0.15
重量%より多い組成物のものでは電気機械結合係数が低
下すると共に結晶粒径も大きくなる傾向のため,いずれ
も本発明の範囲から除外した。
器組成物は,一般式Pb1-A Ba A (Zr B Ti C )O
3 (但しB+C=1)で示され,0.05≦A≦0.1
5,B/C比=1.01〜1.07を満足する基本組成
に対し,副成分として,MnO 0.03〜0.20重
量%, NiO 0.05〜0.20重量%及びCo
2 O3 を0.03〜0.15重量%添加含有してなるこ
とを特徴とする。尚,本発明において,0.05>A,
1.01>B/Cおよ副成分であるMnOが0.03重
量%,NiOが0.05重量%,Co2 O3 が0.03
重量%より少ない組成物のものでは特に電気機械結合係
数の改善効果が認められず,又所望する比誘電率が得ら
れない等好ましくなく,A>0.15の組成物では磁器
としての緻密性が欠なわれ,電気機械結合係数の低下を
招き,B/C>1.07では比誘電率の温度依存性が大
きく目的とする超音波振動子としては好ましくない。更
に,本発明において,副成分であるMnOが0.20重
量%,NiOが0.20重量%,Co2 O3 が0.15
重量%より多い組成物のものでは電気機械結合係数が低
下すると共に結晶粒径も大きくなる傾向のため,いずれ
も本発明の範囲から除外した。
【0005】
【実施例】以下本発明の実施例について,参考例と比較
しながら詳細に説明する。出発原料として化学的純度9
9%以上のPbO,BaCO3 ,ZrO2 ,TiO2 ,
Nb2 O5 ,MnO及び所定の副成分を選び,表1乃至
表4に示す組成になる様に精秤した。次にこれら原料を
ボールミルで混合した後,乾燥し,850〜900℃で
仮焼成した。次いでボールミルによって粉砕して得られ
た粉末に有機バインダを適量加えて造粒した後,1ton
/cm2 の圧力で加圧成形し,1200℃〜1280℃の
温度で数時間焼成した。得られた焼結体をφ17.5厚
さ1mmに切断,研磨した後,Ag蒸着電極を付与し,シ
リコーン油中で温度140〜180℃の条件下で直流電
場40〜60kV/cmを30分間印加し,分極処理を施し
て圧電的に活性化せしめた。次に,通常の測定方法によ
り電気機械結合係数Kp 及び比誘電率の温度依存性を調
べた。尚,電気機械結合係数Kp は数1式により算出し
て求めた。ここで,数1式中fr は共振周波数,fa は
反共振周波数である。
しながら詳細に説明する。出発原料として化学的純度9
9%以上のPbO,BaCO3 ,ZrO2 ,TiO2 ,
Nb2 O5 ,MnO及び所定の副成分を選び,表1乃至
表4に示す組成になる様に精秤した。次にこれら原料を
ボールミルで混合した後,乾燥し,850〜900℃で
仮焼成した。次いでボールミルによって粉砕して得られ
た粉末に有機バインダを適量加えて造粒した後,1ton
/cm2 の圧力で加圧成形し,1200℃〜1280℃の
温度で数時間焼成した。得られた焼結体をφ17.5厚
さ1mmに切断,研磨した後,Ag蒸着電極を付与し,シ
リコーン油中で温度140〜180℃の条件下で直流電
場40〜60kV/cmを30分間印加し,分極処理を施し
て圧電的に活性化せしめた。次に,通常の測定方法によ
り電気機械結合係数Kp 及び比誘電率の温度依存性を調
べた。尚,電気機械結合係数Kp は数1式により算出し
て求めた。ここで,数1式中fr は共振周波数,fa は
反共振周波数である。
【0006】
【数1】
【0007】比誘電率の温度依存性は恒温槽中に試料を
セットし20℃及び100℃での比誘電率を求め,数2
式により温度変化率として算出し比較した。
セットし20℃及び100℃での比誘電率を求め,数2
式により温度変化率として算出し比較した。
【0008】
【数2】
【0009】結晶粒径は焼結体を鏡面研磨し,エッチン
グ後,SEMを用いn=30の結晶粒径から最大粒径,
平均粒径で評価した。表1乃至表2に結果を示す。尚,
表1乃至表4に於いて,*印の試料No.は本発明の実
施例に係る圧電磁器組成物に該当する。表1乃至表4か
らも明らかな様に,本発明の実施例に係る圧電磁器組成
物から成る試料は参考例と比較して電気機械結合係数K
p が大きく,比誘電率の温度変化率も少なく,更に結晶
粒径も小さく均一であり,径方向振動を利用する超音波
振動子として好都合な特性を有する事が判明した。
グ後,SEMを用いn=30の結晶粒径から最大粒径,
平均粒径で評価した。表1乃至表2に結果を示す。尚,
表1乃至表4に於いて,*印の試料No.は本発明の実
施例に係る圧電磁器組成物に該当する。表1乃至表4か
らも明らかな様に,本発明の実施例に係る圧電磁器組成
物から成る試料は参考例と比較して電気機械結合係数K
p が大きく,比誘電率の温度変化率も少なく,更に結晶
粒径も小さく均一であり,径方向振動を利用する超音波
振動子として好都合な特性を有する事が判明した。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】
【表3】
【0013】
【表4】
【0014】以上の説明から明らかな様に,本発明の実
施例においては,Pb1-A Ba A (Zr B Ti C )O3
(但しB+C=1)を基本組成としA及びB/C比を各
々適度な範囲に設定し,且つ副成分としてMnO,Ni
O,Co2 O3 を各々適度な範囲で同時に添加含有した
ものであり,特に基本組成物と副成分の相乗効果によ
り,従来組成では成し得なかった電気機械結合係数が高
いと同時に比誘電率の温度依存性が小さく更に磁器の結
晶粒径が小さく且つ均一で良好な微細構造を有するとい
う高出力超音波振動子として好適な圧電磁器組成物を実
現することができる。
施例においては,Pb1-A Ba A (Zr B Ti C )O3
(但しB+C=1)を基本組成としA及びB/C比を各
々適度な範囲に設定し,且つ副成分としてMnO,Ni
O,Co2 O3 を各々適度な範囲で同時に添加含有した
ものであり,特に基本組成物と副成分の相乗効果によ
り,従来組成では成し得なかった電気機械結合係数が高
いと同時に比誘電率の温度依存性が小さく更に磁器の結
晶粒径が小さく且つ均一で良好な微細構造を有するとい
う高出力超音波振動子として好適な圧電磁器組成物を実
現することができる。
【0015】
【発明の効果】以上詳述した様に,本発明の圧電磁器組
成物は広範囲な用途に利用できる高出力超音波振動子に
好適なものであり,産業上極めて価値大なるものであ
る。
成物は広範囲な用途に利用できる高出力超音波振動子に
好適なものであり,産業上極めて価値大なるものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−111725(JP,A) 特開 平4−331770(JP,A) 特開 平4−331772(JP,A) 特開 平3−357166(JP,A) 特公 昭51−23717(JP,B1) 特公 昭49−14316(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/42 - 35/49 CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)
Claims (1)
- 【請求項1】 一般式Pb1-A Ba A (Zr BTi C )
O3 (但しB+C=1)で示され,0.05≦A≦0.
15,B/C比=1.01〜1.07を満足する基本組
成に対し,副成分として,MnO 0.03〜0.20
重量%,NiO 0.05〜0.20重量%及びCo2
O3 を0.03〜0.15重量%添加含有してなること
を特徴とする圧電磁器組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03126459A JP3096917B2 (ja) | 1991-05-01 | 1991-05-01 | 圧電磁器組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03126459A JP3096917B2 (ja) | 1991-05-01 | 1991-05-01 | 圧電磁器組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04331769A JPH04331769A (ja) | 1992-11-19 |
JP3096917B2 true JP3096917B2 (ja) | 2000-10-10 |
Family
ID=14935750
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03126459A Expired - Fee Related JP3096917B2 (ja) | 1991-05-01 | 1991-05-01 | 圧電磁器組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3096917B2 (ja) |
-
1991
- 1991-05-01 JP JP03126459A patent/JP3096917B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04331769A (ja) | 1992-11-19 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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