JP3095938B2 - 通電加熱装置 - Google Patents

通電加熱装置

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JP3095938B2
JP3095938B2 JP06001307A JP130794A JP3095938B2 JP 3095938 B2 JP3095938 B2 JP 3095938B2 JP 06001307 A JP06001307 A JP 06001307A JP 130794 A JP130794 A JP 130794A JP 3095938 B2 JP3095938 B2 JP 3095938B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通電加熱装置に関す
る。さらに詳しくは、たとえば帯状鋼板などの被加熱材
に焼入れ、焼なましなどの熱処理を施す際に用いられる
通電加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、帯状鋼板などに焼入れ、焼なまし
などの熱処理を施すための通電加熱装置として、連続送
給される帯状鋼板をその送給路に沿って所定間隔を隔て
て配置された通電ロールに接触させ、これら両通電ロー
ル間に電圧を印加して帯状鋼板を通電加熱するための通
電加熱装置が知られている。
【0003】前記通電加熱装置において、加熱出側の通
電ロールは、通電加熱によって高温になった帯状鋼板に
よって加熱されるが、このとき、通電ロールの軸方向の
長さは、帯状鋼板の幅よりも長いので、通電ロールの中
央近傍の接触部分が直接かつ集中的に加熱され、該通電
ロールの両末端近傍の非接触部分は、それほど加熱され
ない。したがって、通電ロールには、その製造時の直径
寸法が完全であっても、稼働中に軸方向に温度偏差が生
じ、直径偏差(以下、サーマルクラウンという)が発生
する。
【0004】このように、通電ロールにサーマルクラウ
ンが発生したばあいには、通電ロールと帯状鋼板とのあ
いだ、とくに両者の間隙が大きくなる帯状鋼板のエッジ
部分で接触不良が生じ、両者間でスパークが発生し、通
電ロールの表面および帯状鋼板の表面にスパーク疵が入
り、とくに通電ロールのスパーク疵は、以降継続的に帯
状鋼板に転写疵を生じさせてしまうという問題がある。
そしてこの結果、通電ロールの寿命の低下や帯状鋼板の
品質低下などがひきおこされる原因となっていた。
【0005】そこで、前記通電ロールのサーマルクラウ
ンに起因する通電ロールと被加熱材との間でのスパーク
の発生を防止するために、通電ロール内にヒートパイプ
が装着された均温ロールが用いられた通電加熱装置が提
案されている(特開平5−62762号公報)。
【0006】前記均温ロールを用いたばあいには、確か
に帯状鋼板からの入熱が少ないばあいには、該均温ロー
ル上で発生するサーマルクラウンの発生を防止すること
ができるが、入熱が多くなるとヒートパイプ内の熱媒の
熱移送能力が不足し、スパークの発生につながるような
サーマルクラウンが発生するといった問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、通電加熱装置に用いら
れる通電ロールのプロフィルの悪化を防止しうるように
した通電加熱装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、連
続送給される被加熱材を加熱するための通電加熱装置で
あって、通電ロールと押えロールの対ロールを有し、通
電ロールの被加熱材と接触しない部分に誘導加熱装置が
配置され、前記被加熱材と誘導加熱装置との水平方向に
おけるギャップが、当該被加熱材のエッジ部よりも外側
または内側で150mm以内の範囲内にあり、前記誘導
加熱装置によって加熱される通電ロールの被加熱材と接
触しない部分の加熱温度が、通電ロールの被加熱材の温
度に対して−10℃〜+10℃の温度幅の範囲内となる
ように調整されてなることを特徴とする通電加熱装置、
および通電ロールと押えロールの対ロールを有し、通電
ロールが胴長方向にヒートパイプを内蔵したものであ
り、押えロールの被加熱材と接触しない部分に誘導加熱
装置が配置され、該誘導加熱装置で、押えロールの被加
熱材と接触しない部分を、被加熱材よりも膨張するよう
に加熱することを特徴とする通電加熱装置に関する。
【0009】
【作用および実施例】本発明の通電加熱装置は、前記し
たように、連続送給される被加熱材を加熱するための装
置であり、通電ロールと押えロールの対ロールを有し、
通電ロールの被加熱材と接触しない部分に誘導加熱装置
が配置されたこと、または通電ロールが胴長方向にヒー
トパイプを内蔵したものであり、押えロールの被加熱材
と接触しない部分に誘導加熱装置が配置されたことを特
徴とするものである。
【0010】本発明の通電加熱装置は、前記したよう
に、通電ロールと押えロールの対ロールを有し、通電ロ
ールの被加熱材と接触しない部分に誘導加熱装置が配置
されており、通電ロールの被加熱材と接触しない部分
は、該誘導加熱装置によって通電ロールの被加熱材と接
触した部分と同程度の入熱が与えられるので、通電ロー
ルの軸方向における温度偏差がごくわずかに抑えられ、
その結果、通電ロールのサーマルクラウンの発生が効果
的に防止される。
【0011】また、本発明の通電加熱装置において、通
電ロールが胴長方向にヒートパイプを内蔵したものであ
り、押えロールの被加熱材と接触しない部分に誘導加熱
装置が配置されたものは、高温の被加熱材によって該通
電ロールの接触部分が直接的かつ集中的に加熱されたば
あいであっても、該ヒートパイプによって熱が通電ロー
ルの非接触部分に実質的に移動し、通電ロールの軸方向
における温度偏差がごくわずかに抑えられ、その結果、
悪影響を及ぼすようなロールのサーマルクラウンの発生
が効果的に抑制される。また、押えロールの被加熱材と
接触しない部分には、誘導加熱装置が配置されており、
該誘導加熱装置で押えロールの被加熱材と接触しない部
分を被加熱材と接触する部分よりも多くの入熱を与える
ことにより、被加熱材が接触していない部分が被加熱材
よりも膨張し、中央部分よりも両端部分の外径が大きい
押えロールが形成される。したがって、被加熱材と接触
することにより、中央部分がやや膨張し、中央部分より
も両端部分の外径が小さくなった通電ロールの形状に、
前記押えロールの形状が対応し、とくに被加熱材の両端
付近での通電ロールとのあいだの接触圧力の低下による
スパークの発生が防止される。
【0012】以下、本発明の通電加熱装置を図面にもと
づいて説明する。
【0013】図1は、本発明の通電加熱装置の一実施態
様を示す概略説明図である。
【0014】図1において、被加熱材である帯状鋼板1
の下面には、通電ロール2、3が配置されている。通電
ロール2、3の上部には、帯状鋼板1を介してそれぞれ
押えロール4、5が配置されている。
【0015】押えロール4は、ゴム材などがライニング
された非導電性のロールであり、また押えロール5は、
軸9の外周に断熱層が積層され、該断熱層上に金属製ま
たは非金属性のシェルが積層された非導電性のロールで
ある。通電ロール2、3は、導電性のロールである。
【0016】通電ロール2、3および押えロール4、5
は、それぞれ軸6、7、8、9を中心に回転自在であ
り、通電ロール2、3は、帯状鋼板1の矢印A方向への
連続送給に同調してモータにより回転駆動されるばあい
もある。また、押えロール4、5は、たとえばそれぞれ
シリンダ10、11などからなる加圧手段によってそれ
ぞれ軸8、9が加圧され、帯状鋼板1に圧着されてい
る。
【0017】通電ロール2と通電ロール3のあいだに
は、帯状鋼板1の外周囲に環状トランス12が配置され
ている。該環状トランス12は、たとえば磁路として好
適な性質を有するケイ素鋼板を矩形環状に形成して所定
の長さに積層した環状鉄心13と、該環状鉄心13の内
外周に沿って巻回させた一次コイル14とによって構成
されている。該環状鉄心13の環内に、帯状鋼板1が挿
通されている。また、環状トランス12の一次コイル1
4は、パワーコントロールスイッチを有する交流電源1
5に接続されている。
【0018】通電ロール2、3には、たとえばそれぞれ
軸6、7などに受電部を有し、該受電部にそれぞれ摺動
子16、17が摺接されている。摺動子16と摺動子1
7の間には、導電部材(ブスバー)18が架設され、通
電ロール2と通電ロール3とが電気的に接続されてい
る。
【0019】導電部材18には、所定の幅および厚さを
有する銅材などの良導電材が用いられる。
【0020】通電ロール2と通電ロール3のあいだにお
ける帯状鋼板1の電気抵抗R1 と導電部材18の電気抵
抗R2 との関係は、R1 >>R2 となるように設定され
る。導電部材18は、環状トランス12および帯状鋼板
1の上下にほぼ等間隔で近接して配置され、通電ロール
2、3の近傍で一体に結合され、摺動子16、17に接
続されている。
【0021】以上、帯状鋼板1の外周囲に環状トランス
12を配置し、給電する方法について説明したが、本発
明においては、通電ロール2、3間に直接外部より電気
を供給してもよい。
【0022】なお、通電ロール、押えロール、または通
電ロールと押えロールの双方には、後述するように、帯
状鋼板(被加熱材)と接触しない部分で誘導加熱装置が
配置される。
【0023】図2は、通電ロール3と押えロール5の対
ロールを有し、通電ロール3と押えロール5のあいだに
被加熱材として帯状鋼板1が搬入され、通電ロール3の
帯状鋼板1と接触しない部分に誘導加熱装置19が配置
されたばあいの通電加熱装置の概略説明図である。
【0024】誘導加熱装置19は、通電ロール3の帯状
鋼板1と接触しない部分を加熱するために用いられる。
【0025】誘導加熱装置19の代表例としては、たと
えば誘導加熱用コイルなどがあげられる。かかる誘導加
熱用コイルを用いるばあいには、電力供給制御は、図外
の制御部によって行なわれ、設備の運転開始が指示され
ると、コイルに電流が一定時間供給される。このコイル
により発生する磁界によって通電ロール3が誘導加熱さ
れる。
【0026】前記誘導加熱装置19の大きさは、とくに
限定がなく、たとえば誘導加熱用コイルを用いるばあい
には、通常50〜300mm程度であることが好まし
い。
【0027】なお、誘導加熱装置19が配置される位置
は、とくに限定がない。
【0028】帯状鋼板1と誘導加熱装置19とのギャッ
プ(図2中のt)は、あまりにも大きいばあいには、鋼
板のエッジ部と誘導加熱装置とのあいだ、すなわちギャ
ップの範囲内で温度偏差が大きくなる傾向があるので、
±150mm以内、すなわち鋼板のエッジ部よりも外側
または内側で150mm以内の範囲にあることが好まし
い。
【0029】誘導加熱装置19によって加熱される通電
ロール3の帯状鋼板1と接触しない部分の加熱温度は、
通常、通電ロール3の帯状鋼板1の温度に対して−10
℃〜+10℃、なかんづく−5℃〜+5℃の温度幅の範
囲内となるように調整することが好ましい。かかる加熱
温度があまりにも低いばあいには、帯状鋼板1と接触す
る部分の通電ロール3に発生するサーマルクラウンを充
分に抑制することが困難となる傾向があり、またあまり
にも高いばあいには、帯状鋼板1と接触する部分が接触
しない部分に対して凹形状になりすぎ、帯状鋼板1の端
部付近で通電ロール3とのあいだの接触が不充分となる
傾向がある。
【0030】前記温度の調整は、誘導加熱装置19の投
入電力を調整することによって行なうことができる。
【0031】また、本発明においては、連続送給される
被加熱材である帯状鋼板1の幅が稼動中に変更されるこ
とがあるばあいには、誘導加熱装置19が被加熱材の側
端部に追随して移動し、通電ロールの被加熱材と接触し
ない部分のみに配置されるようにするために、誘導加熱
装置19には、該誘導加熱装置19を被加熱材の側端部
に追随して移動させるための移動装置が設けられている
ことが好ましい。
【0032】かかる移動装置としては、たとえば通電ロ
ールの軸方向に平行に設けた支持ガイドに沿ってエアシ
リンダーなどにより、加熱装置をスライドさせる機構な
どがあげられる。
【0033】また、前記加熱温度や加熱位置の微調整を
行なうばあいには、誘導加熱装置19を複数個、たとえ
ば4〜10個程度並列的に並べ、かかる誘導加熱装置1
9の数を調整したり、該誘導加熱装置19に移動装置を
設け、その位置を移動させればよい。
【0034】また、本発明においては、図3に示される
ように、押えロール5の被加熱材1と接触しない部分に
誘導加熱装置20を配置することができる。
【0035】このように前記誘導加熱装置20を用いた
ばあいには、前記誘導加熱装置19を用いたばあいと同
様に、押えロール5の軸方向における温度偏差がごくわ
ずかに抑えられ、その結果、押えロール5のサーマルク
ラウンの発生が効果的に防止される。
【0036】前記誘導加熱装置20としては、前記誘導
加熱装置19と同様のものが用いられ、かかる誘導加熱
装置19と同様にして用いることができる。
【0037】また、本発明においては、通電ロール3と
して、胴長方向にヒートパイプを内蔵したものを用いて
もよい。
【0038】前記ヒートパイプを用いたばあいには、高
温の被加熱材によって通電ロール3の接触部分が直接的
かつ集中的に加熱されたばあいであっても、該ヒートパ
イプによって熱が通電ロール3の非接触部分に実質的に
移動し、通電ロール3の胴長方向における温度偏差がご
くわずかに抑えられ、その結果、通電ロール3のサーマ
ルクラウンの発生がより一層効果的に防止される。
【0039】通電ロール3にヒートパイプを用いるばあ
い、該ヒートパイプは、胴長方向に複数本設けられる。
【0040】ヒートパイプは、密閉管体内に熱媒が封入
されたものであり、熱媒が密閉管体の高温側で蒸発し、
生成した蒸気が該密閉管体の低温側で冷却され、凝縮し
て液体に戻るという機能を有するものであり、凝縮液
は、毛細管作用または遠心力により、高温側に戻る。こ
のとき、高温側では、蒸発に必要な潜熱が熱媒に供給さ
れ、低温側でその熱が放出される。
【0041】なお、ヒートパイプに用いられる熱媒は、
帯状鋼板などの被加熱材の目的とする加熱温度によって
異なる。かかる熱媒の具体例としては、たとえば水、ナ
フタリン、ナトリウムなどがあげられる。前記熱媒に
は、最適な作動温度範囲があり、たとえば水のばあいで
300℃程度まで、ナフタリンのばあいで300〜40
0℃程度まで、ナトリウムのばあいで1000℃程度ま
でである。
【0042】通電ロール3に設けられるヒートパイプの
数は、該通電ロール3の外径などによって異なるので一
概には決定することができず、通常、サーマルクラウン
が発生しない範囲内で適宜選定されることが好ましい。
【0043】ヒートパイプの通電ロール3の表面からの
深さは、あまりにも浅いばあいには、通電に必要な通電
ロール3と被加熱材とのあいだの接触圧により、通常ロ
ール3の表面が塑性変形するようになり、またあまりに
も深いばあいには、幅方向の均温効果が大幅に低下し、
サーマルクラウンの発生、ひいてはスパークの発生を招
くようになるため、通常5〜30mm程度であることが
好ましい。
【0044】また、本発明においては、サーマルクラウ
ンの発生を効果的に防止するために、ヒートパイプの長
さは、通電ロール3の胴長と同一であるか、または該通
電ロール3の胴長に近い長さであることが好ましい。
【0045】図4は、通電ロール3と押えロール5の対
ロールを有し、通電ロール3と押えロール5のあいだに
帯状鋼板1が搬入され、押えロール5の帯状鋼板1と接
触しない部分に誘導加熱装置20が配置されたばあいの
通電加熱装置の概略説明図である。
【0046】誘導加熱装置20は、主として押えロール
5の帯状鋼板1と接触しない部分を加熱するために用い
られる。
【0047】前記誘導加熱装置20としては、前記誘導
加熱装置19と同様のものが例示される。
【0048】前記誘導加熱装置20を用いて押えロール
5の帯状鋼板1と接触しない部分を加熱するばあい、加
熱温度は、通電ロール3のサーマルクラウンの発生状況
に応じて押えロール5の帯状鋼板1と接触する部分の温
度に対し、高めに調整することが望ましい。
【0049】このように、押えロール5を加熱したばあ
いには、帯状鋼板1が接触していない部分が該帯状鋼板
1が接触した部分よりも膨張し、中央部分よりも両端部
分の外径が大きい押えロール5が形成される。このよう
な形状に押えロール5を形成させたばあいには、通電ロ
ール3にサーマルクラウンが発生したとしても、該サー
マルクラウンが発生した通電ロール3の形状に、前記押
えロール5の形状を対応させることができるので、稼動
中に帯状鋼板1の両端付近で通電ロールとのあいだの接
触圧力低下によるスパークの発生が防止される。
【0050】また、誘導加熱装置20による帯状鋼板1
の加熱温度および加熱位置の微調整を行なうばあいに
は、該誘導加熱装置20を複数個、たとえば4〜10個
程度並列的に並べ、かかる誘導加熱装置の数を調整した
り、その位置を移動させればよい。このように移動させ
るばあいには、該誘導加熱装置20には、移動装置を設
ければよい。
【0051】また、図4に示された通電加熱装置を用い
るばあいには、通電ロール3として、胴長方向にヒート
パイプを内蔵したものが用いられる。このようにヒート
パイプが用いられるのは、帯状鋼板1によって該通電ロ
ール3の接触部分が直接的かつ集中的に加熱されたばあ
いであっても、該ヒートパイプによって熱が通電ロール
3の非接触部分に実質的に移動し、通電ロール3の軸方
向における温度偏差がごくわずかに抑えられ、その結
果、悪影響を及ぼすような通電ロール3のサーマルクラ
ウンの発生が抑制されるからである。
【0052】ヒートパイプとしては、前記したものを用
いることができる。該ヒートパイプは、通常、胴長方向
に複数本設けられる。また、ヒートパイプの通電ロール
3の表面からの深さおよび長さは、前記と同様であれば
よい。
【0053】前記のように構成された本発明の通電加熱
装置においては、図1に示されるように、交流電源15
から環状トランス12の一次コイル14に一次電圧が印
加されると、一次コイル14の環内に挿入された帯状鋼
板1が二次コイルとして機能するので、該帯状鋼板1に
二次電圧が誘起される。
【0054】通電ロール2と通電ロール3の間は、導電
部材18によって電気的に接続されているので、通電ロ
ール2、3を介して帯状鋼板1および導電部材18によ
って短絡回路が形成され、帯状鋼板1に発生した二次電
流は、導電部材18を帰線として流れることになる。帯
状鋼板1に誘起された二次電圧は、帯状鋼板1における
電圧降下と導電部材18における電圧降下とによって消
費されるが、「帯状鋼板1の電気抵抗>>導電部材18
の電気抵抗」となるように設定されているので、二次電
圧のほとんどが帯状鋼板1の加熱のために消費され、導
電部材18における損失がきわめて少ない。したがっ
て、これにより、帯状鋼板1がきわめて効率よく通電加
熱される。
【0055】つぎに本発明の通電加熱装置を実施例にも
とづいて詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみ
に限定されるものではない。
【0056】実施例1 図2に示されるような通電加熱装置を用いた。通電ロー
ル3として、外径400mm、胴長1450mmの低合
金鋼製ロールを用いた。
【0057】また、押えロール5として、外径350m
m、胴長1400mmのカーボン製ロールを用いた。
【0058】誘導加熱装置19として、通電ロール3の
帯状鋼板と接触しない部分、すなわち板道外にそれぞれ
2個(出力20KW、周波数20KHz)計4個を設け
た。
【0059】つぎに、誘導加熱装置19の出力を11K
Wに調整し、板温が750℃の帯状鋼板(板厚0.24
mm、板幅850mm)1を走行速度40m/minで
10分間稼動させた。
【0060】つぎに、通電ロール3および押えロール5
の温度偏差(ロール幅方向の温度の最大差)とプロフィ
ル偏差(ロール幅方向の凹凸部分の最大差)を調べた。
その結果を表1に示す。
【0061】実施例2 実施例1において、通電ロール3として、外径400m
m、胴長1450mmの低合金鋼からなり、表面から深
さ15mmの位置に、熱媒がナフタリンである直径15
mmのヒートパイプを幅方向に等間隔で40本内蔵した
ものを用いた。また、誘導加熱装置19が常に帯状鋼板
1のエッジに追随して移動するように、該誘導加熱装置
19に移動装置を設けた。
【0062】つぎに、通電ロール3の板道の温度が板道
外の温度とほぼ同一となるように、誘導加熱装置19へ
の通電量を調整しつつ、実施例1と同様にして10分間
稼動させた。
【0063】つぎに、通電ロール3および押えロール5
の温度偏差とプロフィル偏差を調べた。その結果を表1
に示す。
【0064】実施例3 実施例1において、図3に示されるように、誘導加熱装
置20を押えロール5の板道外にそれぞれ2個(出力1
0KW、周波数20KHz)計4個を設け、該誘導加熱
装置20の出力を6KWに調整したほかは、実施例1と
同様にして稼動させた。
【0065】つぎに、通電ロール3および押えロール5
の温度偏差とプロフィル偏差を調べた。その結果を表1
に示す。
【0066】実施例4 実施例3において、通電ロール3として、実施例2で用
いたものと同様のものを用いたほかは、実施例3と同様
にして通電加熱装置を稼動させた。
【0067】つぎに、通電ロール3および押えロール5
の温度偏差とプロフィル偏差を調べた。その結果を表1
に示す。
【0068】比較例1 実施例1において、誘導加熱装置を用いなかったほか
は、実施例1と同様にして通電加熱装置を稼動させた。
【0069】つぎに、通電ロール3および押えロール5
の温度偏差とプロフィル偏差を調べた。その結果を表1
に示す。
【0070】比較例2 比較例1において、通電ロール3として、実施例2で用
いたものと同様のヒートパイプが内蔵されたロールを用
いたほかは、比較例1と同様にして通電加熱装置を稼動
させた。
【0071】つぎに、通電ロール3および押えロール5
の温度偏差とプロフィル偏差を調べた。その結果を表1
に示す。
【0072】
【表1】
【0073】表1に示された結果から、誘導加熱装置を
用いて通電ロールの温度調整を行なったばあいには、通
電ロールのプロフィル偏差を小さくすることができるこ
とがわかる(実施例1〜4)。
【0074】また、通電ロールとして、ヒートパイプが
内蔵されたものを用い、誘導加熱装置を用いて通電ロー
ルの温度調整を行なったばあいには、プロフィル偏差を
きわめて小さくすることができることがわかる(実施例
2、実施例4)。
【0075】また、押えロールの温度を誘導加熱装置を
用いて調整したばあいには、該押えロールのプロフィル
偏差を小さくすることができることがわかる(実施例
3、実施例4)。
【0076】実施例5 図4に示されるような通電加熱装置を用いた。通電ロー
ルとして、実施例2と同様のヒートパイプが内蔵された
ロールを用いた。
【0077】押えロールとして、実施例1と同様のロー
ルを用意し、該押えロールの帯状鋼板と接触しない部分
に、実施例3と同様にして誘導加熱装置を設けた。
【0078】つぎに、押えロール板道の温度を300
℃、板道外の温度を350℃に調整しつつ、板温が75
0℃の帯状鋼板(板厚0.24mm、板幅850mm)
を走行速度20m/minで10分間稼動させた。
【0079】つぎに、通電ロールおよび押えロールの温
度偏差とプロフィル偏差を実施例1と同様にして調べ
た。
【0080】その結果、通電ロールの温度偏差は23
℃、プロフィル偏差は42μmであり、凸状のサーマル
クラウンがやや発生していた。また、押えロールの温度
偏差は45℃、プロフィル偏差は40μmであり、凹状
のサーマルクラウンがやや発生していた。
【0081】通電ロールのサーマルクラウンの形状は、
押えロールのサーマルクラウンの形状に対応しており、
稼動中に通電ロールと帯状鋼板とのあいだでのスパーク
の発生を充分に阻止することができた。
【0082】
【発明の効果】本発明の通電加熱装置によれば、通電ロ
ールの被加熱材と接触しない部分に誘導加熱装置が配置
されているので、通電ロールの胴長方向のプロフィルを
均一化させることができるので、定常状態で安定な通電
を行なうことができる。また、押えロールにも被加熱材
と接触しない部分に誘導加熱装置を配置したばあいに
は、押えロールのサーマルクラウンを抑制することがで
きるので、定常状態でより安定した状態で通電を行なう
ことができる。さらに、通電ロールとしてヒートパイプ
が内蔵されたものを用いたばあいには、被加熱材の接触
部分が直接的かつ集中的に加熱されたばあいであって
も、該ヒートパイプによって熱が被加熱材の非接触部分
に速やかに移動するので、通電ロールの軸方向における
温度偏差をより一層抑制することができる。また、誘導
加熱装置に移動装置を設けたばあいには、被加熱材の側
端部に追随して該誘導加熱装置を適切な位置に移動させ
ることができる。
【0083】また、胴長方向にヒートパイプを内蔵した
通電ロールを用い、かつ押えロールの被加熱材と接触し
ない部分に誘導加熱装置が配置された通電加熱装置を用
いたばあいには、通電ロールの形状に応じた形状を有す
る押えロールを形成させることができるので、稼動中に
通電ロールと被加熱材とのあいだでのスパークの発生を
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の通電加熱装置の一実施態様を示す概略
説明図である。
【図2】本発明の通電加熱装置に用いられる通電ロー
ル、押えロールおよび誘導加熱装置の一実施態様を示す
概略説明図である。
【図3】本発明の通電加熱装置に用いられる通電ロー
ル、押えロールおよび誘導加熱装置の一実施態様を示す
概略説明図である。
【図4】本発明の通電加熱装置に用いられる通電ロー
ル、押えロールおよび誘導加熱装置の一実施態様を示す
概略説明図である。
【符号の説明】
1 帯状鋼板(被加熱材) 3 通電ロール 5 押えロール 19、20 誘導加熱装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松岡 英雄 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日 本製鐵株式会社広畑製鐵所内 (56)参考文献 特開 平5−62762(JP,A) 特開 昭59−76830(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 6/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続送給される被加熱材を加熱するため
    の通電加熱装置であって、通電ロールと押えロールの対
    ロールを有し、通電ロールの被加熱材と接触しない部分
    に誘導加熱装置が配置され 前記被加熱材と誘導加熱装置との水平方向におけるギャ
    ップが、当該被加熱材のエッジ部よりも外側または内側
    で150mm以内の範囲内にあり、 前記誘導加熱装置によって加熱される通電ロールの被加
    熱材と接触しない部分の加熱温度が、通電ロールの被加
    熱材の温度に対して−10℃〜+10℃の温度幅の範囲
    内となるように調整されてなる ことを特徴とする通電加
    熱装置。
  2. 【請求項2】 通電ロールが胴長方向にヒートパイプを
    内蔵したものである請求項1記載の通電加熱装置。
  3. 【請求項3】 押えロールの被加熱材と接触しない部分
    に誘導加熱装置が配置された請求項1または2記載の通
    電加熱装置。
  4. 【請求項4】 誘導加熱装置が、該誘導加熱装置を被加
    熱材の側端部に追随して移動させるための移動装置を有
    するものである請求項1、2または3記載の通電加熱装
    置。
  5. 【請求項5】 連続送給される被加熱材を加熱するため
    の通電加熱装置であって、通電ロールと押えロールの対
    ロールを有し、通電ロールが胴長方向にヒートパイプを
    内蔵したものであり、押えロールの被加熱材と接触しな
    い部分に誘導加熱装置が配置され 該誘導加熱装置で、押えロールの被加熱材と接触しない
    部分を、被加熱材よりも膨張するように加熱する ことを
    特徴とする通電加熱装置。
  6. 【請求項6】 誘導加熱装置が、該誘導加熱装置を被加
    熱材の側端部に追随して移動させるための移動装置を有
    するものである請求項5記載の通電加熱装置。
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