JP3217445B2 - 通電ロール - Google Patents

通電ロール

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JP3217445B2
JP3217445B2 JP12111892A JP12111892A JP3217445B2 JP 3217445 B2 JP3217445 B2 JP 3217445B2 JP 12111892 A JP12111892 A JP 12111892A JP 12111892 A JP12111892 A JP 12111892A JP 3217445 B2 JP3217445 B2 JP 3217445B2
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芳明 広田
裕之 内田
忠志 石元
晴雄 深沢
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼材、例えば鋼帯に通
電ロールを介して、電流を通じ、これを加熱又はメッキ
をする際に、該通電ロールと、該鋼帯間でのスパーク発
生を防止できる通電ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】通電ロールを用いて、鋼材例えば鋼板等
の直接通電を行なう際のスパーク発生防止方法として
は、例えば実開昭55−103252号公報の様にロー
ル間電圧を高くしたり、特開昭59−222535号公
報の様にロールの巻き付け角度により通電位置を制御す
るなどの方法がある。
【0003】しかし、前者は、鋼板を加熱するために
は、鋼帯に通じる電流をI〔A〕、抵抗をR〔Ω〕とす
ると、I2 Rの電流を通じなければならず、例えば鋼板
を焼鈍温度まで加熱する場合には数千〜数万〔A〕の電
流を必要とし、ロールを流れる電流を小さくすることは
できず、根本的にスパークの発生を防止する手段とはな
りえない。
【0004】また、後者ではロールが加熱された鋼板に
より膨張し、ロール幅方向に径の分布ができると鋼板の
エッジ方向を抑えることはできず、エッジ方向で鋼板と
ロールとの間で不安定接触が起こり、スパークが発生し
鋼板にスパーク疵が生じることは避けられない。
【0005】従来より通電ロールにより電流を通じる通
電加熱や、電気メッキなどにおいてはこのスパークによ
る損傷が起き易い。特に板材ではスパークが発生しやす
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以下に通電ロールのス
パーク発生現象について図面を用いて説明する。図5は
変圧器型の通電加熱装置の概念図を示したものである。
この通電加熱装置19において、各通電ロール15、1
6、17、18が搬送過程にある鋼板Sに対して前後に
2対配設され、この2対の通電ロールの間には鋼板Sの
通路27を有する環状トランス20が配置されている。
21、22はブスバーである。
【0007】各通電ロール、15、16、17、18は
鋼板Sと特定の圧力F以上で接触するようになってお
り、鋼板Sは上下に接する通電ロール15、16、通電
ロール17、18によって圧力Fを受けるようになって
いる。
【0008】図6(A)は低温の鋼板が接する側の圧力
分布を示し、図6(B)は電流により加熱された鋼板が
接する側の圧力分布を示す。
【0009】加熱された鋼板と接触する側の通電ロール
は、鋼板からの熱により膨張し、ロール中央部が膨ら
み、中央部の圧力が高くなり、鋼板のエッジの圧力分布
が下がりはじめる。これがさらに進むと鋼板とロールと
の間に隙間のできるほどまでになる。
【0010】このような部分的な圧力の低下が起きる
と、鋼板と通電ロールとは不安定接触状態となり、容易
にスパークが発生する。スパークは、レーザー変位計に
よる実測ならびにFEMによる解析から10〜50μm
のロールのサーマルクラウン発生領域で発生しているこ
とが判明している。このような、局部的な圧力低下の状
態は例えば悪化した板形状の鋼板との接触や通電ロール
の偏芯などでも発生する。
【0011】本発明者は、例えば、鋼板の熱処理、電気
メッキ処理等において該鋼板と、これに回転接触して通
電する通電ロールとの接触面圧分布を常に特定圧力以上
に保つ様にし、加熱された鋼板の熱により通電ロール自
身が熱膨張を続けても、該鋼板と該通電ロールとの間で
の不安定接触が生じないようにすることにより、スパー
クを防止し安定通電を行なうことを目的とするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、 (1)被加熱体に接触し、これに通電し加熱する通電ロ
ールを剛性の高いロールで構成し、該通電ロールに対向
して前記被加熱体を押圧する押しつけロールを前記通電
ロールより変形容易な金属薄シェルロールで構成してな
る通電ロール。 (2)被加熱体に接触し、これに通電し加熱する通電ロ
ールを剛性の高いロールで構成し、該通電ロールに対向
して前記被加熱体を押圧する押しつけロールを前記通電
ロールより変形容易なロールで構成し、更に押しつけロ
ールの両端近傍に剛性の高い2個のバックアップロール
を設けてなる通電ロールである。
【0013】
【作用】本発明をトランス型の通電加熱装置に適用し、
鋼板を被加熱体とした場合を例について図1、図2、図
3、図4を用いて説明する。図1は本発明の説明図で
1、2は剛性の高い通電ロール、3はブスバーである。
4はトランス型加熱装置である。5、6は通電ロール
1、2の軸である。7、8は通電ロール2より変形容易
な薄いシェルのロールでSは鋼板である。
【0014】図2は図1における薄シェルロール7、8
の拡大説明図で、図示しないが、両端を鏡板又はスポー
クを介して軸10で支持しロールを構成し、この軸に圧
力をかけることにより、通電ロール2との間で鋼板Sと
接するようになっている。
【0015】図3は図2の鋼板Sの横断面説明図で薄シ
ェルロール7、8の軸10を押圧し、変形させて通電ロ
ール1、2に鋼板Sを押つけ通電ロール1、2と鋼板S
との不安定接触を抑制する状態を示している。
【0016】この薄シェルロール7、8の薄シェル9は
鉄等の金属による導電性のものでこの薄シェルロールの
径が200〜300mmの場合、その厚さは10mm〜
20mmが適当であり、この薄シェルで形成される薄シ
ェルロールのヤング率は5000以上が好ましい。この
薄シェルロール7、8に加える圧力は0.5kg/mm
2 が適当である。すなわち本発明は薄シェルロールを変
形させて圧下分布を制御することである。
【0017】必らずしも全平坦でないストリップSに一
様に接触した給電能を一定に保つとともにアークの発生
を防止し、またストリップSのスリ疵等の発生を防止す
る効果がある。
【0018】第2の発明は第1の発明の薄シエルロール
7の両端近傍にバックアップロール11を設け、薄シェ
ルロールで偏平させて抑制する外に、さらにエッジ部で
発生する大きなクラウンに薄シエルロール7のバックア
ップロールの軸23、24に圧力を加えて変形させて圧
下力分布を制御するものである。この際軸23、24は
外部と電気的に絶縁されている。
【0019】以上薄シェルロールのみを使用する場合、
薄シエルロールとバックアップロールを使用する場合の
説明をしたが本ロールは、給電しても給電しなくても良
い。
【0020】
【実施例】
(実施例1)図1に示すような変圧器型の通電加熱装置
において、本発明を適用した例について以下に説明す
る。外径250mmのシェルの厚さ10mm、1つの抑
えロールを構成している。
【0021】また用いた通電ロールは、外径250m
m、胴長600mmの鋳鉄性ロールであり、850℃に
加熱した鋼板と接触することにより最大150ミクロン
の熱クラウンが生じる様にしてある。低温側のロール
は、上ロールに外径230mmのゴムロールを、下ロー
ルに外径250mmのロールを用いている。通電ロール
間隔は2.3mで150mm幅、0.4mm厚の冷延
板(0.06炭素)を使用し、通板速度を6〜60m/
minの範囲で実験を行った。実験では、平均圧下圧3
kg/mmで、通電電流は、最大6000〔A〕を通
電した。
【0022】その結果、鋼板板幅1mm当たりの通電電
流は、最大の20〔A〕を通じ、常温から1100℃ま
での加熱する間のどの温度でもスパークの発生は無く、
安定した加熱が可能であるばかりでなく、均一に鋼板と
通電ロールが接触することから、板からのロールへの抜
熱もほぼ均等に行なわれ、ロール通過後の鋼板幅方向温
度分布も±5℃以内と良好であり、温度差による鋼板の
変形も全く起きなかった。従来のロールを用いた場合の
鋼板幅方向1mm当たりの電流密度10〔A/mm〕を
大きく超えることが確認できた。
【0023】(実施例2)実施例1に使用した装置のロ
ールの両端近傍外径200m、胴長100mmバックア
ップロールに平均圧下力1kg/mm2 を加えた。その
結果、更に通電電流密度は流すことができ、40〔A/
mm〕までの通電が可能であった。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように薄シェルロールを使
用することにより通電ロールクラウン、板クラウンを薄
シェルロールに偏平させて押しつけ圧力を線でなく面圧
下接触して給電能を一定に保つとともにアークの発生を
防止する効果がある。更に、クラウンの大きな板エッジ
部もバックアップロールで押さえつけることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の側面説明図
【図2】本発明の押しつけロールの拡大説明図。
【図3】図2の進行方向横断面図
【図4】本発明の他バックアップロールの拡大説明図
【図5】通電ロール加熱装置の説明図
【図6】(A)通電ロール低温側のロールの圧力分布 (B)通電ロール高温側のロールの圧力分布
【符号の説明】
1 通電ロール(高温側) 2 通電ロール(低温側) 3、21、22 ブスバー 4、20 トランス 5、6、10、23、24 軸 7 薄シェルロール(押しつけロール) 8 ゴムロール 9 シェル 11 バックアップロール 12 電力供給用ブラシ 13 鏡板 15、16、17、18 ロール 19 加熱装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 深沢 晴雄 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日 本製鐵株式会社 広畑製鐵所内 (56)参考文献 実開 昭64−26375(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 1/40 C21D 9/62 101 H05B 3/00 335

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加熱体に接触し、これに通電し加熱す
    る通電ロールを剛性の高いロールで構成し、該通電ロー
    ルに対向して前記被加熱体を押圧する押しつけロールを
    前記通電ロールより変形容易な金属薄シェルロールで構
    成してなる通電ロール。
  2. 【請求項2】 被加熱体に接触し、これ通電加熱す
    る通電ロールを剛性の高いロールで構成し、該通電ロー
    ルに対向して前記被加熱体を押圧する押しつけロールを
    前記通電ロールより変形容易なロールで構成し、更に
    しつけロールの両端近傍に剛性の高い2個のバックアッ
    プロールを設けてなる通電ロール。
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