JP3095881B2 - 工具寿命予知装置 - Google Patents

工具寿命予知装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工作機械の加工負荷を
検出して加工負荷に顕著な変化が検出された時に工具寿
命の度合を報知する工具寿命予知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、工具寿命予知は、工具寿命を表現
するパラメータとして加工時間あるいは加工回数を用
い、作業者の経験により工具寿命を予測し、一定の加工
時間あるいは加工回数を越えると工具寿命であるとして
いた。表1は、同一ロットのドリルで穴加工を行った
際、ドリルが折損するまでに加工できた穴個数を示して
いる。
【0003】
【表1】 この表からわかるように、同じロットのドリルでも工具
寿命が互いに異なっており、従って、工具寿命の予知は
難しい。更に、加工負荷が工具が折損する前に上昇する
から、加工負荷監視装置の警報出力で機械を停止させ、
工具の状態を作業者に判断させ工具交換の時期を決める
ことも行われているが、この場合も作業者の経験に頼っ
ているため、往々にして工具を折損させてしまうことが
ある。これは最初に警報が出力された時、その工具が折
損するまでに、どのくらい加工ができるかが予測でき
ず、限界まで工具を利用しようとするためである。
【0004】図7は、従来の加工負荷監視装置の構成を
示すブロック図であり、図8(a)、(b)は、その信
号処理方法を説明する図である。加工負荷監視装置は、
工作機械において検出され信号出力される加工負荷(L
S、図8(a)参照)を一定のサンプリング周期でデジ
タルに変換するA/D変換部1を有している。A/D変
換部1は、サンプリング回数設定部4で設定された個数
の加工負荷データの平均を求める平均化処理部5、並び
に加工負荷が一定レベルに達したら監視開始信号を平均
化処理部5へ出力する監視開始決定部2に接続されてい
る。平均化処理部5は、求めた平均を平均値信号(M
S)として出力する。平均化処理部5は、異常信号判定
値設定部12により設定された異常信号判定値(LI
M)と平均値信号(MS)を比較し(図8(b)参
照)、平均化された加工負荷データが異常信号判定値
(LIM)を越えている場合に異常信号を出力する比較
部13に接続されている。比較部13には、異常信号を
連続して入力している期間(t、図8(b)参照))が
タイマ値設定部14により設定された期間を越えた場合
に、加工負荷に顕著な変化があったとして警報(AL)
を出力するタイマー部15が接続されている。
【0005】次に動作について説明する。工作機械にお
いて検出される加工負荷(LS)はA/D変換部1で一
定のサンプリング周期でデジタルに変換された後、平均
化処理部5において平均化される。サンプリング回数設
定部4で設定された個数の加工負荷データの平均が求め
られ、比較部13に平均値信号(MS)が供給される
と、比較部13では、平均値信号(MS)と異常信号判
定値設定部12に設定された異常信号判定値(LIM)
とが比較される。平均化された加工負荷データが異常信
号判定値(LIM)を越えていると判定された場合、比
較部13は異常信号をタイマー部15に出力する。タイ
マー部15では、異常信号を連続して入力している期間
(t)がタイマ値設定部14に設定された期間を越えた
場合、加工負荷に顕著な変化があったとして、警報(A
L)を出力する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の加工負荷監視装
置は、以上のように構成されていたため、加工負荷の顕
著な変化を警報により作業者へ報知するだけであった。
従って、工具寿命予知には作業者の経験が必要であり、
熟練度が必要とされていた。すなわち、未熟な作業員が
工具交換時期を判断できないという問題点があった。
【0007】本発明の目的は、加工負荷に顕著な変化が
検出された時、工具寿命の割合を作業者あるいは制御装
置に知らせることができる工具寿命予知装置を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明に係る工具寿命
予知装置は、工具寿命を表現するパラメータを積算する
加工量積算部と、加工負荷の顕著な変化を検出する加工
負荷監視部と、加工負荷に顕著な変化が現れる点での工
具の寿命割合の正規化値を設定する予測寿命設定部と、
加工負荷監視部により加工負荷の顕著な変化を検出した
際に加工量積算部のデータと予測寿命設定部のデータと
に基づき工具残寿命をパラメータ値として算出する予測
残加工量算出部と、予測残加工量算出部が算出したパラ
メータ値に基づき工具残寿命を報知する予測残加工量出
力部と、を備え、工作機械に取り付けられた工具の寿命
を予知することを特徴とするものである。
【0009】また、上記加工負荷監視は、工具の加工
負荷をデジタルデータとして指定された時点から必要数
だけ記憶しておくメモリ部と、メモリ部に記憶されたデ
ータの平均値を求める平均値化処理部と、平均値に対す
る加工負荷の変動の許容幅を設定するバンド幅設定部
と、平均値とメモリ部上のデータとの差がバンド幅設定
部に設定された許容幅内にあるか否かを判定し、許容幅
を越える場合に異常信号を出力する異常信号検出部と、
異常信号の個数をカウントするカウンタ部と、カウント
された異常信号の個数がメモリ部上のデータ数に占める
割合を計算し出力する正規化部と、正規化部の出力値が
設定値より大きい場合に加工負荷の顕著な変化として警
報を出力する比較部と、を備えることを特徴とするもの
である。
【0010】
【作用】この発明の工具寿命予知装置は、工具寿命を表
現するパラメータを加工量積算部により積算し、加工負
荷監視部により加工負荷の顕著な変化を検出する。加工
負荷の顕著な変化が現れる時点での工具の寿命割合の正
規化値は予測寿命設定部により設定され、加工負荷監視
部により加工負荷の顕著な変化が検出された際に、加工
量積算部のデータと予測寿命設定部のデータとに基づき
予測残加工量算出部により工具残寿命がパラメータ値と
して算出される。そして、このパラメータ値に基づき予
測残加工量出力部により工具残寿命が報知される。従っ
て、工具交換時期が正確に判断可能になる。
【0011】また、上記加工負荷監視においては、加
工負荷が、指定された時点から必要数だけメモリ部によ
り記憶される。メモリ部に記憶されたデータについて平
均値化処理部により加工負荷の平均値が求められる。一
方で、加工負荷の平均値からの変動の許容幅がバンド幅
設定部により設定される。異常信号検出部は、加工負荷
の平均値とメモリ部に記憶されたデータとの差がバンド
幅設定部に設定された許容幅にあるか否かを判定し、許
容幅を越える場合は異常信号を出力する。異常信号検出
部から出力された異常信号の個数は、カウンタ部により
カウントされ、カウントされた異常信号の個数がメモリ
部上のデータ数に占める割合が正規化部により計算され
る。これに基づき、加工負荷の顕著な変化の有無が判断
され、加工負荷の顕著な変化と判断された場合警報が出
力される。
【0012】
【実施例】図1は、本発明の一実施例に係る工具寿命予
知装置の構成を示すブロック図である。この工具寿命予
知装置は、工具寿命を表現するパラメータを積算する加
工量積算部20と、加工負荷の顕著な変化を検出する加
工負荷監視部21と、加工負荷の顕著な変化が現れる時
を示す正規化した工具の寿命割合を設定しておく予測寿
命設定部22とを備えている。加工量積算部20、加工
負荷監視部21、及び予測寿命設定部22は、加工負荷
監視部21により加工負荷の顕著な変化を検出した際、
加工量積算部20のデータと予測寿命設定部22のデー
タとに基づき工具寿命を前記パラメータ値として算出す
る予測残加工量算出部23に接続されており、予測残加
工量算出部23には、予測残加工量算出部23が算出し
たパラメータ値に基づき工具寿命の度合を報知する予測
残加工量出力部24が接続されている。
【0013】図2は、本実施例に係る加工負荷監視部2
1の構成を示すブロック図であり、図3(a),(b)
はその信号処理方法を説明する図である。加工負荷監視
部21は、工作機械において検出される加工負荷(L
S、図3(a)参照)を一定のサンプリング周期でデジ
タルに変換するA/D変換部1を有しており、A/D変
換部1は、メモリ部3及び監視開始決定部2に接続され
ている。従来例と同様に、監視開始決定部2より監視開
始信号が出力されると、メモリ部3は、サンプリング回
数設定部4で設定された個数分だけサンプリングデータ
を記憶する。メモリ部3には、メモリ部3に記憶された
データから、サンプリング回数設定部4で設定された個
数分の平均値(MN、図3(b)参照)を求める平均化
処理部5が接続されている。平均化処理部5には、平均
値化処理部5で求められた平均値(MN)とメモリ部3
に記憶されている加工負荷の各々との差を求め、その差
が予めバンド幅設定部7により設定されたバンド幅(B
S、図3(b)参照)を越えていた場合に異常信号が検
出された旨の信号を出力する異常信号検出部6が接続さ
れている。更に、異常信号検出部6には、異常信号の検
出出力をカウントするカウンタ部8が接続されており、
カウンタ部8には、サンプリング回数設定部4で設定さ
れた個数を100%としてカウンタ部8がカウントした
カウンタ値が何%にあたるかを演算する正規化部9が接
続されている。また、正規化部9には、予め判定値設定
部10により設定されている値と正規化部9で求めた正
規化されたカウンタ値を比較し、判定値設定部10によ
り設定された値より正規化部9で正規化されたカウンタ
値のほうが大きい場合に、加工負荷に顕著な変化があっ
たとして警報(AL)を出力する比較部11が接続され
ている。
【0014】次に、本実施例の動作について説明する。
加工負荷監視部21は工作機械からの加工負荷信号(L
S)を監視し、加工負荷の顕著な変化を検出すると警報
(AL)を出力する。また、加工量積算部20には工具
寿命を表現するパラメータの現在までの積算値が記憶さ
れている。予測寿命設定部22には、工具が折損するま
でに加工することができる量を100%とした場合、加
工負荷の顕著な変化を検出する時までに何%加工できる
かが設定されている。予測残加工量算出部23において
は、予測寿命設定部22に設定されているデータによ
り、加工負荷監視部21から警報(AL)を入力した時
点での正規化された工具寿命を求め、さらに正規化され
た工具寿命と加工量積算部20のデータにより、工具寿
命を表現するパラメータに換算した工具寿命値を出力す
る。そして、予測残加工量出力部24は予測残加工量算
出部23からの工具寿命値を、作業者あるいは制御装置
に報知する。
【0015】次に、加工負荷監視部21の動作について
説明する。工作機械において検出される加工負荷(L
S)はA/D変換部1でデジタルデータに変換され、監
視開始決定部2及びメモリ部3に出力される。また、監
視開始決定部2では加工負荷が一定レベル信号に達した
ら監視開始信号をメモリ部3に出力する。メモリ部3に
は、監視開始決定部2からの監視開始信号に応じ、サン
プリング回数設定部4により設定された個数のデータが
逐次記憶される。すなわち、図3(a)に示すデータ処
理期間のサンプリングデータが、メモリ部3に記憶され
る。メモリ部3に記憶されたデータについては、平均化
処理部5でサンプリング回数設定部4で設定された個数
分の平均値(MN)が求められ、異常信号検出部6にお
いては平均値化処理部5で求められた平均値(MN)と
メモリ3に記憶されている加工負荷の各々との差が求め
られる。その差が予めバンド幅設定部7により設定され
たバンド幅(BS)を越えていた場合、異常の検出出力
がカウンタ部8に出力され、カウンタ部8では異常の検
出出力がカウントされる。正規化部9では、サンプリン
グ回数設定部4で設定された個数を100%としてカウ
ント値が何%にあたるかが演算される。比較部11で
は、予め判定値設定部10により設定された値と正規化
部9により正規化されたカウンタ値が比較され、判定値
設定部10により設定された値より正規化されたカウン
タ値のほうが大きければ、加工負荷に顕著な変化があっ
たとして警報(AL)を出力する。
【0016】図4は、表1に示すドリルの加工負荷を切
削動力計を用いて計測し、図1に示す加工負荷監視部2
1に入力したときの正規化部9の出力を示す図である。
縦軸は正規化部9で正規化されたカウンタ値を示し、横
軸はドリルで加工した穴個数を示している。図3(a)
及び図4からわかるように、ドリルが折損する前に異常
信号検出部6で検出される異常信号が増加しているが、
ドリルが折損する前の加工負荷の顕著な変化を検出する
だけでは、このドリルであとどれだけの穴加工ができる
かが、判断できない。図5は、図4のデータの横軸の穴
加工個数を工具寿命を表現するパラメータとして用い、
工具が折損するときの穴加工個数を100%として正規
化した図である。穴加工数を正規化することにより、図
5に示されるように、90%付近で加工負荷の顕著な変
化が現れることがわかる。従って、正規化された残寿命
は、10%と予知できる。すなわち、加工負荷の顕著な
変化が検出されるまでに加工した穴個数の1/9倍程度
の穴個数を加工負荷の顕著な変化が検出された後に加工
すると、折損する可能性が高いといえる。
【0017】図6は、本実施例を利用した場合のデータ
の表示例を示す。積算加工量は今までに加工した穴個数
を示し、予測残加工量は加工負荷に顕著な変化が現れた
時出力され、その後穴加工する毎に1ずつ減っていく。
警報発生時加工量としては加工負荷に顕著な変化が現れ
た時の積算加工量が保持される。なお、「*」は加工負
荷に顕著な変化が現れていない旨のデータである。
【0018】ここで、工具寿命を表現するパラメータと
して、穴加工数を例にとり説明したが、加工品の個数、
工具毎の加工時間なども、工具寿命を表現するパラメー
タとして利用できるのはいうまでもない。また、加工負
荷を計測する手段として切削動力計の出力を用いている
が、主軸負荷電流を測定値やAE信号の測定値を用いる
ことも可能である。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
工具寿命を表現するパラメータを加工量積算部により積
算し、加工負荷監視部により加工負荷の顕著な変化を検
出し、加工負荷の顕著な変化が現れる時点での工具の寿
命割合の正規化値及び工具寿命を表現するパラメータの
積算値に基づき工具残寿命を算出して報知するようにし
たため、作業者が工具交換時期を適切に判断でき、また
制御装置に知らせることにより自動工具交換を行うな
ど、省力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る工具寿命予知装置の構
成を示すブロック図である。
【図2】本実施例に係る工具寿命予知装置に用いられる
加工負荷監視部の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は加工負荷監視部に入力される加工負荷
信号を示す図であり、(b)は本実施例の加工負荷監視
装置の処理を説明するための図である。
【図4】正規化部の出力を示す図である。
【図5】穴加工数を正規化した時に加工負荷信号の顕著
な変化が現れる位置を示す図である。
【図6】表示例を示す図である。
【図7】従来の加工負荷監視装置の構成を示すブロック
図である。
【図8】(a)は従来の加工負荷監視装置に入力される
加工負荷を示す図であり、(b)は従来の加工負荷監視
装置の処理を説明する図である。
【符号の説明】
1 A/D変換部 2 監視開始決定部 3 メモリ部 4 サンプリング回数設定部 5 平均化処理部 6 異常信号検出部 7 バンド幅設定部 8 カウンタ部 9 正規化部 10 判定値設定部 11 比較部 20 加工量積算部 21 加工負荷監視部 22 予測寿命設定部 23 予測残加工量算出部 24 予測残加工量出力部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−208343(JP,A) 特開 平4−53651(JP,A) 特開 平3−294149(JP,A) 実開 昭61−178655(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23Q 17/09

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工具寿命を表現するパラメータを積算す
    る加工量積算部と、 加工負荷の顕著な変化を検出する加工負荷監視部と、 加工負荷に顕著な変化が現れる時点での工具の寿命割合
    の正規化値を設定する予測寿命設定部と、 加工負荷監視部により加工負荷の顕著な変化を検出した
    際に加工量積算部のデータと予測寿命設定部のデータと
    に基づき工具残寿命をパラメータ値として算出する予測
    残加工量算出部と、 予測残加工量算出部が算出したパラメータ値に基づき工
    具残寿命を報知する予測残加工量出力部と、 を備え、工作機械に取り付けられた工具の寿命を予知す
    ることを特徴とする工具寿命予知装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の工具寿命予知装置におい
    て、 前記加工負荷監視部が、 工具の加工負荷をデジタルデータとして指定された時点
    から必要数だけ記憶しておくメモリ部と、 メモリ部に記憶されたデータの平均値を求める平均値化
    処理部と、 平均値に対する加工負荷の変動の許容幅を設定するバン
    ド幅設定部と、 平均値とメモリ部上のデータとの差がバンド幅設定部に
    設定された許容幅内にあるか否かを判定し、許容幅を越
    える場合に異常信号を出力する異常信号検出部と、 異常信号の個数をカウントするカウンタ部と、 カウントされた異常信号の個数がメモリ部上のデータ数
    に占める割合を計算し出力する正規化部と、 正規化部の出力値が設定値より大きい場合に加工負荷の
    顕著な変化として警報を出力する比較部と、 を備えることを特徴とする工具寿命予知装置
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