JP3095797B2 - 着色シリカ粒子を含むトナー組成物 - Google Patents

着色シリカ粒子を含むトナー組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は静電像の現像に適したト
ナー組成物に関する。特に、本発明は着色シリカ粒子と
少なくとも2つの異なるブロック又はセグメントを有す
る重合体とを含むトナー組成物に関する。本発明の1つ
の実施態様は樹脂、シランカップリング剤によって粒子
表面に染料が共有結合している親水性シリカ粒子、及び
シリカ粒子表面上に吸着することができる少なくとも1
つのセグメントと樹脂中へのシリカ粒子の分散性を増強
することができる少なくとも1つのセグメントとを有す
る重合体を含むトナー組成物に関する。本発明のもう1
つの実施態様に於ては、重合体の1つのセグメントがイ
オノフォリック(ionophoric)でかつ塩と錯体を形成する
ことができ、それによって組成物に電荷制御剤性を与え
ることができる。
【0002】
【従来の技術】静電的手段による光導電性物質表面上の
画像の形成及び現像は公知である。米国特許第2,297,69
1 号中でC. F. Carlson が教示しているような基礎的電
子写真画像形成方法は光導電体又は感光体として知られ
ている光導電性絶縁性層上に一様な静電荷を置く工程、
該感光体を光と影の画像へ露出して露光した感光体領域
上の電荷を消失させる工程及び得られた静電潜像を潜像
上にトナーとして知られている微粉砕検電性物質を付着
させることによって現像する工程を含む。トナーは、通
常、電荷を保持している感光体領域へ引きつけられ、そ
れによって静電潜像に対応するトナー画像を形成する。
この現像された画像を次に紙のような基体へ転写するこ
とができる。転写された画像を、次に、熱、圧力、熱と
圧力との併用、あるいは溶剤又はオーバーコーティング
処理のような他の適当な定着手段によって基体へ永久的
に定着させることができる。
【0003】電子写真方法はカラー画像の形成のために
用いることができる。例えば、2色以上の異なる色の別
個の画像領域を含む原稿をつくるハイライトカラー画像
形成は公知である。さらに、シアン、マゼンタ、黄色及
び随意に黒色トナーによる画像の逐次形成及び現像によ
って総カラー(full color)画像を含む原稿がつくられる
総カラー画像の形成は公知である。両方の用途にとって
高品質のカラートナーが望ましく、又、総カラー複写及
び印刷プロセスには高透明度を有するトナー及び良好な
カラー混合が特に望ましい。トナーで現像される画像中
を光が通るとき光散乱を最小にするカラートナーを意味
する透明なカラートナーは、一般に、トナー樹脂中に分
子状に分散された染料を着色剤として用いるかあるいは
トナー樹脂中に一様に分散された一般に約50nm以下の
平均粒径を有する極めて微細に粉砕された顔料粒子を着
色剤として用いるかのいずれかによって得られる。
【0004】着色シリカ粒子を含む電子写真トナーは知
られている。例えば、米国特許第4,566,908 号は10μ
m以下の粒径を有する微細シリカ粉末のコアとアミノシ
ランカップリング剤によってシリカコアの表面へ化学結
合したモノ−又はポリアゾ染料のコーティングを含むシ
リカコアを有する電子写真トナーに用いるのに適したア
ゾ顔料を記載している。これらの着色シリカ粒子の製造
法は該特許の第8〜第18欄に詳述されている。さら
に、米国特許第4,576,888 号は微細シリカ粉末コアとア
ミノシランカップリング剤によってシリカコア表面へ化
学結合したモノ−又はポリアゾ染料のコーティングとを
含む、シリカコアを有するアゾ顔料を着色成分として含
む電子写真トナーを記載している。さらに、R. Ledger
及びE. Stellwagen 〔“種々のスペーサー基によってシ
リカ結合したReactive Blue 2の製造及び分析(Prepara
tion and Analysis of Reactive Blue2 Bonded to Sil
icaVia Variable Spacer Groups)”, Journal of Chro
matography, vol. 299,175〜183頁(198
4)〕は種々のスペーサー基によってシリカ粒子へReac
tive Blue 2染料を共有結合させることによる着色シリ
カ粒子の製造法を記載している。この論文の記載は参照
文として全体として本明細書に含まれるものとする。
【0005】さらに、その記載が全体として参照文とし
て本明細書に含まれるものとする米国特許第4,592,989
号は樹脂粒子、顔料粒子、及びイオノフォリック(ionph
oric) 重合体に結合した双極性分子又は塩の錯体を含む
トナーを記載している。イオノフォリック(ionophoric)
重合体はスチレン/エチレンオキシドジブロック重合体
のようなポリエーテルジブロック共重合体であることが
できる。
【0006】その記載が全体として参照文として本明細
書に含まれるものとする米国特許第4,877,451 号は水と
溶剤とその表面にシランカップリング剤によって染料が
共有結合している親水性シリカ粒子を含む複数の着色粒
子とを含むインクジェットインクを記載している。さら
に、背景に関しては米国特許第2,876,119 号、第2,993,
809 号、第3,939,087 号、第4,179,537 号及び第4,204,
871 号に記載されている。
【0007】親水性着色シリカ粒子はポリビニルピロリ
ジノン又はポリビニルアルコールのような親水性樹脂中
には良く分散するが、ポリエステル樹脂、スチレン−ブ
タジエン樹脂、スチレン−アクリレート及びスチレン−
メタクリレート樹脂などのような典型的なトナー樹脂中
には分散が悪く、不可逆的に凝集する傾向があることが
観察された。しかし、ポリビニルピロリジノン又はポリ
ビニルアルコールのような樹脂は親水性でありかつその
摩擦帯電性が包囲相対湿度の変化と共に顕著に変化する
可能性があるので、典型的にはトナー樹脂として選ばれ
ない。これらの樹脂はかなりの水素結合を示すこともあ
り、メルトフロー特性に悪影響を与える可能性がある。
さらにポリビニルピロリジノンなどのような親水性樹脂
は一般にトナー樹脂として通常所望される物理的及びレ
オロジー的性質を示さない。又押出し及び摩砕のような
通常の処理方法でトナーにするのが困難なことがある。
従って、上述した組成物及び製造法はそれぞれの所期の
目的には適しているが、多種の色に使用できる電子写真
トナーに対する要望は依然として存在している。さら
に、電子写真トナーとして適当な着色粒子の簡単かつ経
済的な製造法に対する要望が依然として存在している。
その上、着色粒子の粒径及び粒径分布を充分に制御する
ことができるトナー組成物が要望されている。高度の透
明性を有する着色トナー組成物も、それによってカラー
品質を増強しかつ単一基体へ原色画像を、各逐次画像を
その前の画像の上へ適用するように、逐次適用すること
によって高品質の総カラー画像の形成を可能にするので
要望されている。トナー樹脂中に一様に分散された着色
シリカ粒子を含む着色トナー組成物も要望されている。
さらに、シリカ粒子上に吸着された重合体−塩錯体が電
荷制御剤として機能するシリカ粒子着色剤を含む着色ト
ナー組成物も要望されている。2色以上の異なる色のシ
リカ粒子の混合物を含み、それによって所望の色のトナ
ーを与える着色トナー組成物に対する要望も存在する。
又、低毒性の着色剤を有するトナー組成物も要望されて
いる。さらに、凝集が最小又は皆無の状態でシリカ粒子
が樹脂中によく分散され、それによって増強されたトナ
ー透明性及びカラー品質が得られる比較的小粒径のシリ
カ粒子着色剤を有するトナー組成物も要望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記の
利益を有する電子写真トナーを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的及び他
の目的は樹脂、シランカップリング剤によって粒子表面
へ染料が共有結合している親水性シリカ粒子、及びシリ
カ粒子表面上に吸着することができる少なくとも1つの
セグメントと樹脂中へのシリカ粒子の分散性を増強する
ことができる少なくとも1つのセグメントとを有する重
合体を含むトナー組成物を提供することによって達成さ
れる。本発明のもう1つの実施態様は樹脂、シランカッ
プリング剤によって粒子表面へ染料が共有結合している
親水性シリカ粒子、及び樹脂中への混和性を示す少なく
とも1つのセグメントと塩と錯体を形成することができ
かつシリカ粒子表面上に吸着することができる少なくと
も1つのイオノフォリック(ionophoric)セグメントとを
有する重合体を含むトナー組成物に関する。本発明のさ
らにもう1つの実施態様は、第1溶媒中でシランカップ
リング剤によって粒子表面に染料が共有結合している親
水性シリカ粒子の分散液を調製する工程、第2溶媒中で
樹脂中へのシリカ粒子の分散性を増強することができる
少なくとも1つのセグメントとシリカ粒子表面上へ吸着
することができる少なくとも1つのセグメントとを有す
る重合体の溶液を調製する工程、シリカ粒子懸濁液を重
合体溶液と混合し、それによってシリカ粒子表面上へ吸
着した重合体を生じさせる工程、粒子上に重合体が吸着
しているシリカ粒子を溶液から単離する工程、及び粒子
上に重合体が吸着しているシリカ粒子を樹脂と混合して
トナー組成物を生成する工程を含むトナーの製造法に関
する。本発明のもう1つの実施態様は、画像形成部材上
に潜像を形成する工程、本発明のトナーで潜像を現像す
る工程、現像された画像を紙又は透明画材料(transpare
ncy material) のような適当な基体へ転写する工程、及
び転写された画像を基体へ定着する工程を含む画像形成
方法に関する。
【0010】本発明のトナー組成物は一般的にトナー樹
脂、着色シリカ粒子、及びトナー樹脂に対して親和性を
有するブロック又はセグメントと着色シリカ粒子に対し
て親和性を有するブロック又はセグメントとを含む少な
くとも1種の重合体を含む。着色シリカ粒子とトナー樹
脂との混合前に着色シリカ粒子と重合体とを混合するこ
とが着色シリカ粒子のトナー樹脂中への非常に増強され
た分散をもたらす。
【0011】本発明の電子写真トナーは着色シリカ粒子
を含む。これらの着色粒子は親水性シリカから調製され
る。親水性シリカは一般に無色であり、多くの官能基と
反応して共有結合を生成するシラノールで被覆された表
面を有する。このシリカを着色するためには、最初にシ
リカをヒドロキシアルキルシラン又はアミノアルキルシ
ランカップリング剤と反応させてシリカ表面に結合剤(l
inking agent) を結合させる。次に、反応性染料を結合
剤と反応させてカップリング剤によって染料へ共有結合
したシリカ粒子を得る。カップリング剤へ共有結合して
いる染料は浸出すなわち粒子からの分離を受けにくく、
かつ結合染料組成物の毒性を減少又は除去する。典型的
な反応順序の概略を下に示す。
【0012】
【化1】 この反応順序は、シリカと3−アミノプロピルトリエト
キシシランとを反応させて3−アミノプロピルトリエト
キシシラン基が共有結合したシリカを得、これを次に反
応性染料と反応させて反応性染料が共有結合した3−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン基が共有結合している
シラン粒子を得ることを示す。
【0013】適当なシリカは性質が親水性であり、煙霧
状シリカ及びゾル−ゲル法で製造されたシリカを含む。
一般に、煙霧状シリカ粒子はE. Wagner 及びH. Brunne
r, Angew. Chem. vol. 72,744頁(1960)
(この記載は全体として参照文として本明細書に含まれ
るものとする)に記載されているように、テトラクロロ
シランと水素、酸素及び水との反応によって高温で工業
的に製造される種類の粒子である。これらの粒子は約1
30〜約380m2/gの高表面積及び約10〜約20nm
の一次粒子径を有する。これらの一次粒子は凝集して約
50〜約500nmの粒径範囲の凝集体になる。適当なシ
リカのもう1つの型は、W. Stober, A. Fink及びE. Bor
n, J Colloid. Int. Sci., vol. 20,62頁(196
8)(この文献の記載は全体として参照文として本明細
書に含まれるものとする)中に記載されているように、
可溶性テトラアルコキシシランを水/アルコール混合物
中の塩基で処理するゾル−ゲル法で得られるシリカであ
る。ゾル−ゲル法で製造された粒子は粒径が単分散であ
り、平均直径が約40nm〜約1μmの範囲でありかつ表
面積は40〜70m2 /gの範囲である。シリカの粒径
はカップリング剤及び染料との反応後も本質的に変化し
ないままである。適当なシリカの例には、表面積200
2 /gを有するアエロジル(Aerosil;登録商標)、表
面積380m2 /gを有するアエロジル380(両者と
もデグサから入手できる)、アエロジル90、アエロジ
ル130、アエロジル150、アエロジル300、アエ
ロジルOX50、アエロジルTT600、アエロジルM
OX80及びアエロジルMOX170(すべてDegussa
から発売)及びカボジル(Cabosil; 登録商標)L90、
カボジルLM130、カボジルLM5、カボジルM−
5、カボジルPTG、カボジルMS−55、カボジルH
S−5及びカボジルEH−5(すべてカボット社から発
売)が含まれる。カップリング剤との反応前に、シリカ
粒子を真空下で24時間100〜150℃で加熱しかつ
デシケーター中に貯蔵することによって処理して水を除
去する。
【0014】適当なカップリング剤の例には、ヒドロキ
シアルキルシラン及びアミノアルキルシランが含まれ
る。好ましくは、カップリング剤のアルキル部分は約2
〜約10個の炭素原子を有し、最も好ましくはプロピル
基又はブチル基である。又、ヒドロキシアルキルアリー
ルシラン、アミノアルキルアリールシラン、ヒドロキシ
アリールシランも適当であり、アミノアリールシランも
適当である。本明細書中で定義されるヒドロキシアルキ
ルシラン、アミノアルキルシラン、ヒドロキシアルキル
アリールシラン、アミノアルキルアリールシラン、ヒド
ロキシアリールシラン及びアミノアリールシランには、
分子のシラン部分に結合した1〜3個のアルコキシ置換
基を有する置換化合物も含まれる。
【0015】適当なカップリング剤の例はアミノプロピ
ルトリエトキシシラン、N,N−(2′−ヒドロキシエ
チル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−
アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチル)−
(アミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−
(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエト
キシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルト
リメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキ
シシランなどである。
【0016】適当な染料には、水溶性でありかつヒドロ
キシ又はアミノ基と迅速かつ高収率で反応する染料が含
まれる。一般に、本発明のために適当な染料は反応性染
料として知られかつ繊維工業に於て広く用いられている
種類の染料である。染料はジクロロトリアジン、モノク
ロロトリアジン、ジクロロキノキサリン、アミノエポキ
シド、モノ−(m−カルボキシピリジニウム)トリアジ
ン、2,4,5−トリハロゲノピリミジン、2,4−ジ
クロロピリミジン、2,3−ジクロロキノキサリン、モ
ノフルオロトリアジン、4,5−ジクロロ−6−メチル
−2−メチルスルホニルピリミジン、1,4−ジクロロ
フタラジン、クロロベンゾチアゾール、スルファトエチ
ルスルホン、β−クロロエチルスルホン、4,5−ジク
ロロ−6−ピリダゾン、α−ブロモアクリロイルアミ
ド、α,β−ジブロモプロピオニルアミドなどのような
反応性基が共有結合しているアントラキノン、モノアゾ
染料、ジアゾ染料、フタロシアニン、アザ〔18〕アニ
ュレン、ホルマザン銅錯体、トリフェノジオキサジンな
どのような水溶性発色団を含む。適当な染料の例にはLe
vafix Brilliant Yellow E-GX, Levafix Yellow E2RA,
Levafix Black EB, Levafix Black E-2G, Levafix Blac
k P-36A, Levafix Black PN-L, Levafix Brilliant Red
E6BA 及びLevafix Brilliant Blue EFFA(バイエルから
発売),Procion Turquoise PA, Procion Turquoise H
A, Procion Turquoise H-5G, Procion Turquoise H-7G,
Procion Red MX-5B, Procion Red MX8B GNS, Procion
Red G,Procion Yellow MX-8G, Procion Black H-EXL,
Procion Black P-N, Procion BlueMX-R, Procion Blue
MX-4GD, Procion Blue MX-G 及びProcion Blue MX-2GN
(ICIから発売),Cibacron Red F-B, Cibacron Bla
ck BG, Lanasol Black B,Lanasol Red 5B, Lanasol Re
d B 及びLanasol Yellow 4G (チバガイギーから発
売), Basilen Black P-BR, Basilen Yellow EG, Basil
en Brilliant Yellow P-3GN,Basilen Yellow M-6GD, Ba
silen Brilliant Red P-3B, Basilen Scarlet E-2G, Ba
silen Red E-B, Basilen Red E-7B, Basilen Red M-5B,
Basilen Blue E-R, Basilen Brilliant Blue P-3R, Ba
silen Black P-BR, Basilen Turquoise Blue P-GR, Bas
ilen Turquoise M-2G, Basilen Turquoise E-G及びBasi
len GreenE-6B(BASFから発売),Sumifix Turquoi
se Blue G, Sumifix Turquoise Blue H-GF, Sumifix Bl
ack B, Sumifix Black H-BG, Sumifix Yellow 2GC, Sum
ifix Supra Scarlet 2GF 及び Sumifix Brilliant Red
5BF (住友化学社から発売)などが含まれる。
【0017】一般に、無色のシリカ粒子を初めに水の不
在下にシランカップリング剤と反応させ、次にカップリ
ング剤を染料と反応させる。約0.1〜約10重量%、好
ましくは約2〜約5重量%の相対量でカップリング剤を
含む乾燥トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン又は
他の同様な芳香族又は脂肪族溶媒のような溶媒を含む溶
液を調製する。次にこの溶液中に、約0.1〜約10重量
%、好ましくは約1〜約5重量%の相対量で乾燥シリカ
粒子を懸濁させ、次にこの懸濁液を一般に約111℃で
ある還流温度で2〜24時間、好ましくは4〜8時間加
熱する。この工程中、反応によって生成される水はディ
ーン−スターク(Dean−Stark)トラップで除去される。
この工程でカップリング剤が共有結合したシリカ粒子が
得られる。懸濁液を室温へ冷却した後、高速遠心分離
(10,000rpm 以上)又は濾過によってこれらの粒子
を懸濁液から分離し、粒子を初めにトルエン、次にメタ
ノールで洗浄し、乾燥する。粒子の染色は、粒子を約0.
1〜約20重量%、好ましくは約5〜約10重量%の相
対量で水に懸濁させ、次に染料を約0.5〜約10重量
%、好ましくは約1〜約4重量%の相対量で添加し、か
つ室温で約4〜48時間、好ましくは約6〜約24時間
撹拌して着色シリカ粒子を得ることによって行われる。
着色粒子は一般に約65〜約98重量%、好ましくは約
90〜約95重量%のシリカ、約1〜約20重量%、好
ましくは約5〜約10重量%のカップリング剤及び約1
〜約30重量%、好ましくは約5〜約15重量%の染料
を含む。一般に、生成した粒子は、Brookhaven B1−
90Particle Sizerで測定するとき、平均粒子直径が約
10〜約500nm、好ましくは約20〜約300nmであ
る。
【0018】着色シリカ粒子は、そのおのおのの記載が
全体として参照文として本明細書に含まれるものとする
米国特許第4,566,908 号及び第4,576,888 号記載のよう
にしても製造することができる。しかし、上記の方法で
製造された着色シリカ粒子を含む本発明のトナーは米国
特許第4,566,908 号及び第4,576,888 号に記載された方
法で製造された着色シリカ粒子を含むトナーより明らか
な利益を示す。例えば、本明細書に記載した合成方法は
本質的に2工程を含み、市販のシリカ及び染料を用いて
行うことができる。これに反して、米国特許第4,566,90
8 号及び第4,576,888 号に記載されている方法はシリカ
表面上に段階的に発色団を構築する工程を含みかつ有毒
であるかあるいは最終的に得られる粒子の色及び安全性
特性に悪影響を与える可能性のある汚染物質を確実に完
全に分離するためすべての中間体の注意深い精製が必要
である面倒な合成を含む。さら、本明細書に記載したシ
リカ粒子の製造法では約10〜約50nmの平均直径を有
するシリカ粒子が生成するが、米国特許第4,566,908 号
及び第4,576,888 号の方法で製造したシリカ粒子は典型
的に1μm(1,000nm)〜10μmの範囲の直径を有
する。シリカ粒子の粒径は色強度に影響を与える可能性
があり、粒子の直径が小さい程、着色粒子の光学濃度は
高くなる。この効果は染料とのカップリングのために有
効な単位シリカ重量当たりの部位数の差違からもたらさ
れる。従って、米国特許第4,566,908号及び第4,576,888
号で製造された粒子を含むトナーは一般に約3〜約2
0重量%の量のシリカを含むが、上述の方法で製造され
たシリカ粒子を含むトナーは一般に約1〜約5重量%の
量のシリカ粒子を含む。しばしば着色剤がトナーの中で
最も高価な成分であるので、着色剤濃度が低いと低価格
のトナーをもたらすことができる。さらに、着色剤の粒
子直径が小さければ小さい程、トナーの色はより透明に
なる。この効果は光散乱強度が粒径の関数として減少す
ることからもたらされる。上述の方法で製造された着色
粒子を含む本発明のトナーは一般に投影画像用透明画上
の複写に適しており、フルカラー画像形成に於けるすぐ
れた色混合を与える傾向もある。
【0019】着色シリカ粒子を、シリカ粒子に対して親
和性を有する少なくとも1つのブロック又はセグメント
とトナー樹脂に対して親和性を有する少なくとも1つの
ブロック又はセグメントとを含む重合体と混合する。重
合体はこれらの特性を有しかつシリカ粒子の表面上に吸
着することができるどんな重合体でもよい。一般に、ト
ナー中に用いるために適した樹脂は性質が疎水性である
傾向がある。しかし、着色シリカ粒子は一般に親水性で
あり、トナー用に最も適しているような疎水性樹脂とは
相容性でなく、凝集する傾向がある。かくして、重合体
の少なくとも1つのブロック又はセグメントは一般に疎
水性すなわち非極性でありかつ重合体の少なくとも1つ
のブロック又はセグメントは一般に親水性すなわち極性
である。重合体の親水性部分は親水性シリカ粒子の表面
上に吸着するようになり、重合体の疎水性部分はシリカ
粒子を疎水性樹脂中に一様に分散させることができる。
本明細書中で用いられる親水性及び疎水性という用語は
相対的であり、重合体は少なくとも2つのセグメントを
含み、一方のセグメントは他方のセグメントに関して親
水性である。例えば、セグメントAとセグメントBとを
含む重合体に於て、セグメントBがセグメントAに関し
て親水性であるとき、セグメントAは疎水性セグメント
として機能し、樹脂中へのシリカ粒子の溶解性を増強す
ることができる。しかし、この同じセグメントAとセグ
メントCとを含む別の重合体に於て、セグメントCがセ
グメントAに関して疎水性であるとき、セグメントAは
親水性セグメントとして機能し、シリカ粒子表面上に吸
着することができる。適当な重合体構造には、1つの極
性親水性セグメントと1つの非極性疎水性セグメントと
を有するジブロック共重合体、1つの極性親水性セグメ
ントと2つの非極性疎水性セグメントとを有するかある
いは2つの極性親水性セグメントと1つの非極性疎水性
セグメントとを有するかのいずれかのトリブロック共共
重合体、少なくとも1つの極性親水性セグメントと少な
くとも1つの非極性疎水性セグメントとを有するマルチ
ブロック共重合体、主鎖が一般に非極性疎水性でありか
つグラフト部分が一般に極性親水性であるかあるいは主
鎖が一般に極性親水性でありかつグラフト部分が一般に
非極性疎水性であるかのいずれかであるグラフト共重合
体が含まれる。本発明として特に好ましい重合体はジブ
ロック共重合体及びトリブロック共重合体である。
【0020】重合体の非極性疎水性ブロック又はセグメ
ントとして適当な単量体の例には、スチレン、アルキル
基が1〜約20個の炭素原子を有するアルキルスチレ
ン、p−クロロスチレンのようなハロゲン化スチレン、
ビニルナフタレンなどのようなスチレン誘導体及びコジ
ェナー(cogeners)、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニ
ルなどのようなハロゲン化ビニル、メチルビニルエーテ
ル、ビニルエチルエーテルなどのようなビニルエーテ
ル、ビニルメチルケトンなどのようなビニルケトン、N
−ビニルインドール及びN−ビニルピロリデン、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニ
ルなどのようなビニルエステルのようなビニル単量体;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−
ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、
アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチ
ル、アクリル酸フェニル、アルファクロロアクリル酸メ
チル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチルなどを含むアクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、メチルアクリル酸エステル、エタクリ
ル酸エステル、エチルアクリル酸エステルのような少な
くとも1個の炭素原子、一般に約1〜約12個の炭素原
子を有するアルキル基をもつアルキルアクリル酸エステ
ルやアクリル酸エステルのようなアクリル酸モノマー及
びモノカルボン酸のエステル;エチレン、プロピレン、
ブチレン、ブタジエン、イソブチル、シクロペンテンの
ようなシクロオレフィンのようなモノオレフィンやポリ
オレフィンを含むオレフィンが含まれる。非極性セグメ
ントは、二官能性単量体を縮重合してポリエチレンテレ
フタレート、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン
6,6)などのようなポリエステル、ポリアミド、ポリ
ウレタンなどを得ることによっても誘導され得る。2種
以上の単量体の混合物を非極性疎水性ブロック中に用い
ることもできる。
【0021】重合体の極性すなわち親水性ブロック又は
セグメントとして適当な単量体の例には式
【0022】
【化2】
【0023】(上記式中、環は約2〜約6個の炭素原子
を有し、R1 及びR2 は水素、1〜約12個の炭素原子
を有するアルキル基及び6〜約12個の炭素原子を有す
るアリール基からなる群から選ばれる)の環式エーテル
を含む環式エーテルが含まれる。R1 及びR2 の特別な
例にはメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、
トリル、ナフチルなどが含まれる。環中の炭素原子の任
意の1個以上がR1 及び(又は)R2 で置換されていて
もよい。環式エーテルの特別な例にはエチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド、テトラメチレンオキシドなど
が含まれる。
【0024】式
【0025】
【化3】
【0026】(上記式中、環はカルボニル炭素に加えて
約2〜約7個の炭素原子を有し、R1及びR2 は水素、
1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基及び6〜約
12個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選
ばれる)の環式エステルも適当な単量体である。R1
びR2 の特別な例にはメチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、フェニル、トリル、ナフチルなどが含まれる。環中
の炭素原子の任意の1個以上はR1 及び(又は)R2
置換されていてもよい。
【0027】式
【0028】
【化4】
【0029】(上記式中、環はカルボニル炭素に加えて
約2〜約12個の炭素原子を有し、R 1 及びR2 は水
素、1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基、6〜
約12個の炭素原子を有するアリール基からなる群から
選ばれる)の環式アミドも適当な単量体である。R1
びR2 の特別な例にはメチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、フェニル、トリル、ナフチルなどが含まれる。環中
の炭素原子の任意の1個以上はR1 及び(又は)R2
置換されていてもよい。
【0030】アクリル酸、メタクリル酸、パラカルボキ
シスチレンなどを含む式 CH2 =CR1 −CO−O−R2 (上記式中、R1 及びR2 は水素及び1〜約20個の炭
素原子を有するアルキル基から独立に選ばれる)のビニ
ルカルボン酸及びその対応するエステルも適当な単量体
である。
【0031】エチレンイミンなどを含む一般式
【0032】
【化5】
【0033】(上記一般式中、環は約2〜約10個の炭
素原子を有する)の環式アミンも適当な単量体である。
エチルオキサゾリンなどを含む一般式
【0034】
【化6】
【0035】(上記一般式中、Rは水素、1〜約6個の
炭素原子を有するアルキル基又はベンジルであり、環は
窒素原子と酸素原子との間にある炭素原子に加えて約2
〜約7個の炭素原子を有する)のオキサゾリンも適当な
単量体である。 一般式 CH2 =CR1 −CO−NR2 3 (上記一般式中、R1 は水素、メチル又はエチルであ
り、R2 及びR3 は水素及び1〜約4個の炭素原子を有
するアルキル基から独立に選ばれる)のアクリルアミド
なども適当な単量体である。適当な単量体のその他の例
はホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのようなア
ルデヒド;本発明のブロック共重合体が極性セグメント
としてポリウレタン又はポリ尿素セグメントを含む場
合、二官能性アルコール及びアミンと反応するときポリ
ウレタン及びポリ尿素を生成するトルエンジイソシアネ
ート、メチレンビスジイソシアネートのようなイソシア
ネート;及び同様な単量体である。さらに、重合体の極
性すなわち親水性ブロック又はセグメントがイオノフォ
リック(ionophoric)すなわちイオン結合性である本発明
の実施態様では、このセグメント又はブロックは、その
記載が全体として参照文として本明細書に含まれるもの
とする米国特許第4,592,989 号中に記載されているイオ
ノフォリック(ionophoric)重合体物質のいずれかを含む
ことができる。適当なイオノフォリック(ionophoric)重
合体セグメントの例には、ペンダントクラウンエーテル
基を有する炭素鎖重合体、4′−ビニルベンゾ10′ク
ラウン−6の重合体、鎖内(in-chain)環式ポリエーテ
ル、ジアザポリエーテル又はアザポリエーテル基を担持
する縮重合体、開鎖ポリエーテル、ポリエチレンオキシ
ド、加水分解ポリエチルオキサゾリンなどが含まれる。
適当なイオノフォリック(ionophoric)セグメントには、
アクリル酸、メタクリル酸、p−カルボキシスチレンな
どのようなカルボン酸の単量体、環式アミン単量体及び
オキサゾリン単量体から製造されたセグメントも含まれ
る。もう1つの適当なイオン結合性すなわちイオノフォ
リック(ionophoric)セグメントは一般式
【0036】
【化7】
【0037】を有するポリテトラヒドロフラン−2,5
−ジイルである。ブロック共重合体は、少なくとも1個
の疎水性ブロック又はセグメントと少なくとも1個の親
水性ブロック又はセグメントとが存在するならば、任意
の適当な疎水性及び親水性単量体を含むことができる。
適当なブロック共重合体の特別な例には、ポリスチレン
/ポリエチレンオキシドジブロック共重合体、ポリブタ
ジエン/ポリエチレンオキシドジブロック共重合体、ポ
リスチレン/ポリ(エチルオキサゾリン)ジブロック共
重合体、ポリブタジエン/ポリ(エチルオキサゾリン)
ジブロック共重合体、ポリスチレン/直鎖状ポリエチレ
ンイミンジブロック共重合体(ポリスチレン/ポリアル
キルオキサゾリンジブロック共重合体の加水分解によっ
て誘導されるような)、ポリスチレン/ポリテトラヒド
ロフラン−2,5−ジイルジブロック共重合体、ポリブ
タジエン/ポリテトラヒドロフラン−2,5−ジイルジ
ブロック共重合体、ポリエチレン/ポリエチレンオキシ
ドジブロック共重合体、カルボキシ又はヒドロキシ末端
ポリエステルとポリエチレンオキシドとのジブロック共
重合体、ポリエチレンオキシド/ポリスチレン/ポリエ
チレンオキシドトリブロック共重合体、ポリエチレンオ
キシド/ポリブタジエン/ポリエチレンオキシドトリブ
ロック共重合体、ポリテトラヒドロフラン−2,5−ジ
イル/ポリスチレン/ポリテトラヒドロフラン−2,5
−ジイルトリブロック共重合体、ポリスチレン/ポリテ
トラヒドロフラン−2,5−ジイル/ポリスチレントリ
ブロック共重合体などが含まれる。主鎖上のフェニル基
から懸垂されている、好ましくは約9〜約22個の反復
ポリエチレンオキシド単位を有するポリエチレンオキシ
ド基を有するポリスチレン主鎖、あるいは米国特許第4,
592,989 号に記載されているように、メタクリレート単
位がポリエチレンオキシドでエステル化されているスチ
レンポリエーテルメタクリレート共重合体のような適当
なグラフト共重合体も用いることができる。おのおのの
例に於て、好ましいブロック又はグラフト共重合体は選
ばれたトナー樹脂と相容性である非極性すなわち疎水性
セグメントを有する。相容性は非極性すなわち疎水性セ
グメントがトナー樹脂と類似又は同じであるときにしば
しば予想されるが、このことは相容性を保証するために
所要なことではない。
【0038】Wyandotte Chemical Companyから“Pluron
ics ”として市販されている界面活性剤のような界面活
性剤物質も本発明のトナー用のブロック共重合体として
適当である。典型的には、これらの物質はポリエチレン
オキシド及びポリプロピレンオキシドのジブロック及び
トリブロック共重合体であり、ポリプロピレンオキシド
部分の分子量は約1,000〜約3,000の範囲であり、
ポリエチレンオキシド部分は約3〜約300モルの量で
存在する。典型的な例には、ポリプロピレンオキシドセ
グメントが約1,000〜約2,000の分子量を有しかつ
共重合体が約20モルのエチレンオキシドを含むPluron
ics L44、ポリプロピレンオキシドセグメントが約
1,500〜約1,800の分子量を有しかつ共重合体が約
10モルのエチレンオキシドを含むPluronics L62、
及びポリプロピレンオキシドセグメントが約1,500〜
約1,800の分子量を有しかつ共重合体が約25モルの
エチレンオキシドを含むPluronics L64が含まれる。
【0039】本発明のトナー中のブロック共重合体とし
て機能することができる他の適当な界面活性剤には、G
AFから市販されているTergitolシリーズ、Union Carb
ideから市販されているIgepalシリーズ、及びRhom and
Haas から市販されているTritonシリーズのような一般
【0040】
【化8】
【0041】(上記一般式中、Rは1〜約20個の炭素
原子を有するアルキル基であり、nは1〜約20の数で
ある)のアルキル及びアルキルアリールエチレンオキシ
ド、並びにWitco Chemical CompanyからCHPシリーズ
として、又、Hall Chemical Company からEmcol シリー
ズとして市販されているようなポリエチレングリコール
長鎖アルキルエステルが含まれる。この型の適当な界面
活性剤又は分散剤の他の例は、その記載が全体として参
照文として本明細書に含まれるものとするRosen and Go
ldsmith, Systemic Analysic of Surface Active Age
nts, Wiley Interscience (1982)中に挙げられて
いる。これらの物質は、低融点極性ポリエステルのよう
に、選ばれたトナー樹脂が充分に極性であり、共重合体
のポリプロピレンオキシドブロックが樹脂中に混和性で
あるときに、本発明のトナー用のブロック共重合体とし
て適当である。
【0042】重合体の極性すなわち親水性ブロック又は
セグメントは大きな長さを必要としない。本発明の目的
には、親水性すなわち極性ブロック又はセグメントは重
合体が着色シリカ粒子の表面上に吸着するようになるこ
とができるよう充分に長くなければならない。例えば、
重合体の親水性ブロック又はセグメントが下記式 HO−(CH2−CH2 −) n のポリエチレンオキシドであるとき、最小約6個の反復
単位を有するポリエチレンオキシドセグメント(n=
6)がシリカ粒子表面上へ重合体を吸着させることがで
きる充分な長さであることができる。一般に、重合体の
極性すなわち親水性ブロック又はセグメントは少なくと
も2個又は3個の反復単位を有し、一般に分子量は約1
00,000までであるが、本発明の目的が達成されるな
らば、この部分の長さはこの範囲外でもよい。適当な極
性ブロックの典型的な分子量は約500〜約20,000
であり、好ましくは約2,000〜約4,000であるが、
本発明の目的が達成されるならば、極性ブロックの分子
量はこの範囲外でもよい。極性ブロックがイオノフォリ
ック(ionophoric)であって、塩が重合体と錯体形成する
ときには、極性ブロックは一般に少なくとも約6個の反
復単位を有するか、あるいは少なくとも約300の分子
量を有する。
【0043】重合体の非極性すなわち疎水性ブロック又
はセグメントは、一般に、重合体が吸着したシリカ粒子
を選ばれたトナー樹脂内への混和性を示すようにさせる
こと及びトナー樹脂内でのシリカ粒子の分散を増強する
ことができるように充分に長い。本明細書内で本発明の
トナーの共重合体の非極性すなわち疎水性部分に関して
用いられる“混和性”という用語は、共重合体の非極性
すなわち疎水性ブロックが、トナー樹脂中へ分散される
とき非極性すなわち疎水性種が実質的な寸法の別個の重
合体相を形成しない程度に選ばれたトナー樹脂中に可溶
又はトナー樹脂と混和することを意味する。“実質的な
寸法”とは、非極性すなわち疎水性種が100nmより大
きい直径のトナー重合体内の領域を形成しないことを意
味する。かくして、非極性すなわち疎水性種はトナー樹
脂中に可溶であるかあるいは100nm以下の領域サイズ
でトナー樹脂中に分散する。一般に、重合体の非極性す
なわち疎水性ブロック又はセグメントは約20,000〜
約150,000、好ましくは約20,000〜約40,00
0の分子量を有するが、本発明の目的が達成されるなら
ば、非極性ブロックの分子量はこの範囲外であってもよ
い。
【0044】非極性疎水性ブロック又はセグメント及び
極性親水性ブロック又はセグメントの両方のブロック又
はセグメントの長さも、一般にそれらが望ましい相対比
率になるように決められる。例えば、極性親水性ブロッ
ク又はセグメントが比較的短いとき、重合体の親水性部
分が疎水性部分内に“埋没”してしまわないように、極
度に長い非極性疎水性ブロック又はセグメントは一般に
避けられねばならない。一般に、重合体の最大鎖長、特
に重合体の非極性ブロックの鎖長は重合体の所望の分子
量及び粘弾性によってのみ限定される。
【0045】選ばれる重合体は任意の適当な方法で製造
することができる。本発明に適した共重合体の製造に用
いられる製造法の例は、そのおのおのの記載が参照文と
して本明細書に含まれるものとする JJ. O′Malley et.
al., “Synthesis and Thermal Transition Propertie
s of Styrene/Ethylene Oxide Block Copolymers,”Bl
ock Copolymers, Plenum Press(1970);W. I. Sc
hultz et al., J. Am.Chem. Soc., 102,7981
(1980);J. Appl. Polym. Sci., 20,773
(1976);J. Appl. Polym. Sci., 20,1665
(1976);Macromolecules, 12,1638(19
79);Makromol. Chem. Rapid Commun.,2,161
(1981): J. Polym. Sci., Polym. Chem.,17,
1573(1979);W. Dittmann 及び K. Hamann,
Chemiker, 96(1972);NouveauJonrnal de Chem
ie,6(12),623(1982);Macromolecules,
13,1339(1980);Z. Anal. Chem.31
3,407(1982);J. Polym. Sci., Polymer Ch
em. Ed.,21,855(1983); J. Polym. Sci.,
Polymer Chem. Ed., 21, 3101 (1983); Makromo
l. Chem., 184,535(1983);J. Polym. Sc
i., Pt. Al, 9,817(1974);Macromolecule
s, 12,1038(1979);Macromolecules,
6,133(1973);Pure Appl. Chem., 57,1
11(1979);及びD. C. Allport and W. H.Jame
s, Block Copolymers;1〜7章,Applied Science Publ
ishersLtd., London(1973)に記載されている。さ
らに、ポリスチレン−ブロック−ポリイソプレン、ポリ
スチレン−ブロック−ポリ(2−メチルテトラヒドロフ
ラン−2,5−ジイル)、ポリスチレン−ブロック−ポ
リエチレンオキシド、ポリスチレン−メトキシポリエチ
レングリコール1,000モノアクリレートなどのような
重合体の製造法は、その記載が全体として参照文として
本明細書中にすでに含まれている米国特許第4,592,989
号の実施例中に記載されている。
【0046】次に、着色シリカ粒子を水、エトキシセロ
ソルブのようなセロソルブ、メタノール又はエタノール
のようなアルコールなどのような適当な分散剤中に分散
し、重合体を重合体がその中に可溶でありかつシリカ粒
子の分散剤と少なくともある程度混和性であるテトラヒ
ドロフラン、アルコール、酢酸エチルのようなエステ
ル、アセトニトリルなどのような適当な溶媒中に溶解
し、シリカ粒子分散液を重合体溶液へ添加し混合するこ
とによって着色シリカ粒子と重合体とを一緒に混合し、
かつ次に、重合体が上に吸着している得られたシリカ粒
子を、ブロック共重合体がその中に不溶な溶媒の溶液へ
の添加、溶媒の蒸発、凍結乾燥などのような適当な単離
方法で溶液から単離する。理論によって限定されるもの
ではないが、シリカ粒子表面上のルイス酸部位と重合体
の極性親水性部分上のルイス塩基部位との間の吸引の結
果として重合体の極性親水性部分がシリカ粒子表面へ吸
着されるようになると思われる。シリカ粒子対共重合体
の比は一般に共重合体の極性部分の相対的大きさによっ
て選ばれ、シリカ粒子と混合される共重合体の最少量が
共重合体の極性部分によるシリカ粒子表面の被覆をもた
らすのに十分であるように選ばれる。適当な粒子対重合
体比の典型的な例には、それに限定されるわけではない
が、共重合体の極性親水性部分1重量部につきシリカ粒
子1重量部、共重合体の極性親水性部分1重量部につき
シリカ粒子10重量部、全共重合体2重量部つきシリカ
粒子1重量部などが含まれる。
【0047】選ばれた重合体がポリエチレンオキシド又
は米国特許第4,592,989号中に記載されちるイオノ
フォリック (ionophoric) 重合体のようなイオノフォリ
ック(ionophoric) ブロック又はセグメントを含むとき
には、電荷制御剤として働く塩を重合体中へ添加するこ
とができる。かくして、電荷制御剤は、着色シリカ粒子
を重合体中へ分散させると同時に重合体中へ添加するこ
とができる。
【0048】重合体を任意の適当な方法で塩と錯体形成
させることができる。例えば、重合体と塩とをおのおの
共通の溶媒に溶解し、次いで両溶液を混合する。1つの
特別な例では、最初に1gのチオシアン酸カリウム(K
SCN)を約20ml のメタノールに溶解し、次にこの
溶液を約20ml のメタノール中に溶解した4gの重合
体へ添加することによって錯体形成を達成することがで
きる。混合及び分離の後、示差走査熱量測定(DSC)
によって測定されるように、KSCNと100%錯体形
成した重合体が得られる。
【0049】本発明では、重合体のイオノフォリック
(ionophoric) 部分と塩とを錯体形成させようとすると
き、重合体を上記のような適当な溶媒に溶解し、この溶
液へ適当な溶媒中の所望の塩の溶液を添加する。重合体
と塩を混合した後、重合体へ上記のように着色シリカ粒
子懸濁液を添加して、重合体と錯体形成した塩を含んで
いる重合体が表面に吸着した着色シリカ粒子を生成させ
る。
【0050】イオノフォリック (ionophoric) 重合体中
へ添加することができる陽イオンの例には、本発明の目
的が達成されることを条件として、アルカリ金属塩、ア
ルカリ土類塩、遷移金属塩及び他の同様な塩が含まれ
る。適当な陽イオンの特別な例には、リチウム、ナトリ
ウム、カリウム、セシウム及びルビジウムのようなアル
カリ金属陽イオン;ベリリウム、カルシウム、ストロン
チウム、マグネシウム及びバリウムのようなアルカリ土
類金属陽イオン;ゲルマニウム、ガリウム、ランタン、
エルビウム、プラセオジムなどのような希土類金属陽イ
オン;及びチタン、クロム、鉄、銀、金、水銀、亜鉛、
アルミニウム、錫などのような遷移金属及びその他の陽
イオンが含まれる。式 NH4 + , NHR3 + , NH2R2 + , 又は
NH3R+ (上記式中、R基は1〜約24個の炭素原子のア
ルキル基である)のアンモニウム及びアルキルアンモニ
ウム塩のようなアンモニウム陽イオンも適当な陽イオン
である。
【0051】陽イオンは複合中性塩としてイオン結合性
重合体中に含まれる。複合塩中、塩の陰イオンは陽イオ
ンに近接して残る。典型的な陰イオンには、弗化物、塩
化物、臭化物又は沃化物のようなハロゲン化物;硝酸
塩、過塩素酸塩、チオシアン酸塩などのような電気陰性
陰イオン;クエン酸塩、酢酸塩、ピクリン酸塩、テトラ
フェニル硼化物、p−トルエンスルホン酸塩などのよう
な有機陰イオン;フェリシアン化物、フェロシアン化
物、ヘキサクロロアンチモン酸塩、ヘキサフルオロ燐酸
塩、テトラフルオロ硼酸塩などのような錯陰イオンが含
まれる。
【0052】陽イオンは、重合体の結合容量に依存する
量で、重合体上の可能錯体形成部位の約0.5〜約100
%の量でブロック共重合体のイオノフォリック (ionoph
oric) 部分へ錯体形成する。好ましくは、陽イオンは約
5〜約25モル%の量で、あるいは陽イオン1モルにつ
きイオノフォリック (ionophoric) 単量体約4〜約20
モルの量で、ブロック共重合体のイオノフォリック (io
nophoric) 部分ヘ錯体形成する。
【0053】着色シリカ粒子とジブロック共重合体とを
含む物質を次にトナー樹脂と混合して電子写真トナーを
製造する。本発明のトナー中に含まれる樹脂は、一般
に、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリウ
レタン、ジオレフィン、ポリオレフィン、ビニル樹脂、
ジカルボン酸とジフェノールを含むジオールとの重合体
エステル化生成物などのような、電子写真トナー用に適
した任意の樹脂であることができる。典型的なビニル単
量体には、スチレン、p−クロロスチレン、ビニルナフ
タレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレ
ンなどのような不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、臭
化ビニル、弗化ビニルのようなハロゲン化ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル及び酪酸
ビニル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ド
デシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロ
ロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸
メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸ブチルなどを含むモノカルボン酸のエステル
のようなビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、アクリルアミド;ビニルメチルエーテル、
ビニルイソブチルエーテル及びビニルエチルエーテルを
含むビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキ
シルケトン、及びメチルイソプロペニルケトンのような
ビニルケトン;N−ビニルインドール及びN−ビニルピ
ロリデン;スチレンブタジエン、特に Pliolitesとして
市販されているもののようなポリオレフィン;及びこれ
らの単量体の混合物が含まれる。樹脂は、本発明のトナ
ー中に有効量、一般にトナー組成物の約30〜約99重
量%の量で存在するが、本発明の目的が達成されるなら
ばより多量又はより少量で存在してもよい。 所望なら
ば、本発明のトナーは電荷制御添加剤を含むことができ
る。重合体がイオノフォリック (ionophoric) セグメン
トを含みかつ塩を重合体へ添加するときには、トナーは
付加的な電荷制御剤を含む必要はないが、所望であれば
含むことができる。典型的な電荷制御剤には、塩化セチ
ルピリジニウム、メチル硫酸ジステアリルジメチルアン
モニウム、テトラフェニル硼素酸カリウムなどが含まれ
る。適当な電荷制御添加剤の付加的な例は、そのおのお
のの記載が全体として参照文として本明細書中に含まれ
るものとする米国特許第4,560,635号及び第4,29
4,904号に記載されている。電荷制御剤が存在すると
き、有効量、一般に約0.1〜約4重量%、好ましくは約
0.5〜約1重量%の量で存在するが、量はこれらの範囲
外であってもよい。
【0054】トナー流動を助けようとするとき、あるい
は感光体のクリーニングのような機能を助けるため潤滑
が所望なときのような場合には、上記トナー中に外部添
加剤が存在することもできる。外部添加剤の量はトナー
組成物の重量%として測定される。例えば、樹脂、顔料
及び外部添加剤を含むトナー組成物は80重量%の樹脂
と20重量%の顔料とを含むことができ、かつ0.2重量
%の外部添加剤をも含むことができる。外部添加剤に
は、煙霧状シリカ、Degussa Inc.から市販されているア
エロジルR972(登録商標)のようなケイ素誘導体、
酸化第二鉄、Unilinのようなヒドロキシ末端ポリエチレ
ン、ポリオレフィンろう、ポリメタクリル酸メチル、ス
テアリン酸亜鉛、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化
チタン、ステアリン酸、 Kynar(登録商標)のようなポ
リ弗化ビニリデン、及び他の既知の又は適当な添加剤を
含む、電子写真トナーに用いるのに適した任意の添加剤
が含まれる。本発明の目的が達成されるならば、外部添
加剤は種々の有効量で存在することができる。好ましく
は、外部添加剤は約0.1〜約4重量%、より好ましくは
約0.5〜約1重量%の量で存在する。
【0055】トナー組成物の製造はいかなる適当な方法
でも行うことができる。例えば、噴霧乾燥として知られ
ている方法は適当な重合体又は樹脂をトルエン又はクロ
ロホルム、あるいは適当な溶媒混合物のような有機溶媒
中に溶解することを含む。トナー着色剤も溶媒へ添加す
る。ボールミル法によって得られるような激しい撹拌は
着色剤の良好な分散を確実にするのを助ける。この溶液
を、次に、窒素のような不活性気体を噴霧剤として用い
ながら噴霧ノズルを通して噴霧する。霧化中に溶媒は蒸
発し、着色樹脂のトナー粒子が得られ、これを摩砕し、
粒径によって分級する。得られたトナーの粒子直径はノ
ズルのサイズによって様々であり、一般に約0.1〜約1
00μmの間で変化する。
【0056】もう1つの適当な方法は Banbury法として
知られている。この方法はバッチ法で、乾燥トナー成分
を予めブレンドして Banburyミキサーに入れ、混合す
る。この時点で、混合過程で発生する熱エネルギーのた
めに混合物の溶融が起こる。この混合物を次に加熱ロー
ラー中へ落下し、ニップ中を強制的に通してさらに剪断
混合を与えてトナー物質の大きい薄いシートをつくる。
このトナー物質を次に小さくしてペレット状とし、摩砕
又はジェット粉砕によってさらにサイズを小さくし、そ
の後で、粒子を粒径によって分級する。
【0057】第3の適当なトナー製造法、押出し、は連
続法であり、トナー成分を乾燥混合し、混合物を押出機
に入れ、混合物を溶融しかつ混合し、押出し、かつ押出
し物を小さくしてペレット状にする。ペレットをさらに
摩砕又はジェット粉砕によってさらに粒径を小さくした
後、粒径によって分級する。他の同様な混合方法も用い
ることができる。トナー粒子の分級後、このトナー粒子
に外部添加剤を添加する。
【0058】本発明のトナーは一成分系現像剤として、
あるいはトナー粒子をキャリヤ粒子と混合して2成分系
現像剤として用いることができる。本発明の方法のため
に選ばれるキャリヤ粒子は、本発明の目的が達成される
ならば、多数の既知の物質から選ぶことができる。適当
なキャリヤ粒子の説明のための例には粒状ジルコン、
鋼、ニッケル、鉄、フェライトなどが含まれる。他の適
当なキャリヤ粒子には、その記載が全体として参照文と
して本明細書に含まれるものとする米国特許第3,847,
604号に記載されているようなニッケルベリーキャリ
ヤが含まれる。これらのキャリヤは粒子に比較的大きい
外部面積を与える反復凹凸表面を特徴とするニッケルの
ノジュラー(nodular)キャリヤビーズからなる。キャリ
ヤ粒子の直径は変わり得るが、一般に約50〜約1,00
0μmであり、かくして現像工程中に静電像へ付着しな
いように粒子に充分な密度と慣性とをもたせることがで
きる。
【0059】キャリヤ粒子はコーティング表面をもつこ
とができる。コーティング物質には、その記載が全体と
して参照文として本明細書に含まれるものとする米国特
許第3,526,533号、第3,849,186号及び第3,9
42,979号中に記載されているフルオロポリマーを含
む重合体及びターポリマーが含まれる。キャリヤコーテ
ィングの特別の例には、ポリ弗化ビニリデン、ポリメタ
クリル酸メチル及びこれらの混合物が含まれる。好まし
くは、キャリヤコーティングは未被覆キャリヤ粒子の約
0.1〜約1重量%の量で存在するが、本発明の目的が達
成されるならば他の量も適当である。
【0060】キャリヤ粒子のコーティングは、コーティ
ング物質の乾燥粉末をキャリヤ粒子表面へ適用し、熱に
よってコアへ融着させる粉末コーティング、コーティン
グ物質を溶媒に溶解し、得られた溶液をタンブリングに
よってキャリヤ表面へ適用する溶液コーティング、ある
いはキャリヤ粒子を空気流によって空中へ吹き出し、コ
ーティング物質と溶媒とを含む噴霧溶液を空中のキャリ
ヤ粒子上へ所望のコーティング重量が得られるまで噴霧
する流動床コーティングのような任意の適当な方法で可
能である。
【0061】トナー組成物とキャリヤ粒子とを、異なる
トナー対キャリヤ比を選ぶこともできるが、トナーが有
効量、一般にキャリヤーの約1〜約5重量%の量で存在
するように混合する。本発明のトナーが、塩がそれと錯
体形成しているイオノフォリック (ionophoric) セグメ
ントを有する重合体を含むとき、トナーは優れた混合
(admix)時間(一般に60秒以下)を示す。典型的に
は、2成分系現像剤を用いる複写機又はプリンターに於
て、トナーの供給が使い果たされると、新しいトナー粒
子が機械中のトナーキャリヤとの混合物へ添加されて現
像剤を補充する。混合 (admix)時間とは新たに添加され
たトナー粒子がこの新しいトナー粒子の添加前に現像剤
中に存在していたトナー粒子と同じ極性と大きさまで摩
擦帯電されるために所要な時間を言う。混合 (admix)時
間に関するこれ以上の詳細は、一般に、例えばその記載
が全体として参照文として本明細書に含まれるものとす
る米国特許第4,426,436号中に記載されている。
【0062】以下、本発明の特別な実施態様を詳細に説
明する。これらの実施例は説明のためのものであり、本
発明はこれらの実施態様中に示される物質、条件又はプ
ロセスパラメーターに限定されるものではない。すべて
の部及び%は特に断らない限り重量による。
【0063】
【実施例】カップリング剤のシリカ粒子への結合
【0064】
【実施例1】マグネチックスタラーと Dean-Stark トラ
ップとを備えた500ml の丸底フラスコ中で100℃
で24時間乾燥した9.6gのアエロジル200へ、予め
窒素下で共沸蒸留によって乾燥してあるトルエン300
ml 及びアミノプロピルトリエトキシシラン2.96gを
添加した。得られた懸濁液を111℃で5時間還流さ
せ、室温に冷却し、約10,000rpm で遠心分離した
後、上澄液を注ぎ出し、沈殿を500ml のジクロロメ
タンで洗浄した。次に、沈殿とジクロロメタンとの混合
物を遠心分離し、上澄液を除去し、残留物を40℃、約
200mmHgで2.5日間真空乾燥器中で乾燥し、そのおの
おのの記載が全体として参照文として本明細書に含まれ
るものとする、M. W. Urban and J. L. Koenigが“Dete
rmination ofthe Orientation of Silanes on Silica S
urfaces by Fourier Transform Infrared Photoacousti
c Spectroscopy”, Applied Spectroscopy, Vol.40,
No.4,513〜519頁(1986)中に、及び T.
G. Waddell, D. E. Layden andM. T. DeBelloが“The N
ature of Organosilane to Silica Surface Bonding”,
Journal of the American Chemical Society, Vol.1
03,5303〜5307頁(1981)中に記載して
いる技術によって測定したとき、アミノプロピルトリエ
トキシシランがそれに共有結合しているアエロジル20
0粒子を含む白色粉末状物質9.6g(収率76%)を得
た。
【0065】
【実施例2】機械的撹拌機と Dean-Stark トラップとを
備えた1,000ml の丸底フラスコ中で110℃で22
時間乾燥した49.38gのアエロジル380へ、予め窒
素下で共沸蒸留によって乾燥してあるトルエン900m
l とアミノプロピルトリエトキシシラン61.5ml とを
添加した。この反応混合物を111℃で5時間還流さ
せ、室温へ冷却し、約3,000rpm で遠心分離した後、
上澄液を注ぎ出し、沈殿を500ml のメタノールで洗
浄した。次に、沈殿とメタノールとの混合物を2回遠心
分離し、上澄液を除去し、残留物を再び500ml の水
で洗浄し、2回遠心分離した。残留物を水に再分散さ
せ、凍結乾燥して、M. W. Urban and J. L.Koenigが“D
etermination ofthe Orientation of Silanes on Silic
a Surfacesby Fourier Transform Infrared Photoacous
tic Spectroscopy”, Applied Spectroscopy, Vol.4
0, No.4,513〜519頁(1986)中に、及び
T. G.Waddell, D. E. Layden, and M. T. DeBello が
“The Nature of Organosilaneto Silica Surface Bond
ing”, Journal of the American Chemical Society,Vo
l.103,5303〜5307頁(1981)中に記載
している技術によって測定したとき、アミノプロピルト
リエトキシシラン基がそれに共有結合しているアエロジ
ル380を含む白色粉末状物質29.4g(収率37.5
%)を得た。
【0066】
【実施例3】マグネチックスタラー、還流冷却器及び温
度計を備えた2,000ml の丸底フラスコ中で100℃
で24時間乾燥させた38.61gのアエロジル380
へ、窒素下で共沸蒸留によって予め乾燥してあるトルエ
ン800ml とアミノプロピルトリエトキシシラン96.
1ml とを添加した。この反応混合物を111℃で6時
間還流させ、室温へ冷却し、Whatman GFF/A濾紙で
濾過した。次に、固体をメタノール中で約17時間撹拌
し、再び濾過し、得られた固体をポリトロン (polytro
n) と共にメタノール中に再分散させ、3回目の濾過を
した。得られた固体を真空乾燥器中で22時間乾燥し
て、M. W. Urban and J. L. Koenigが“Determination
ofthe Orientation of Silanes on Silica Surfaces by
Fourier Transform Infrared Photoacoustic Spectros
copy”, Applied Spectroscopy, Vol.40, No.4,5
13〜519頁(1986)中に、及び T. G. Waddel
l, D. E.Layden, and M. T. DeBello が“The Nature o
f Organosilane to Silica Surface Bonding”, Journa
l of the American Chemical Society, Vol.103,5
303〜5307頁(1981)中に記載している技術
によって測定したとき、アミノプロピルトリエトキシシ
ラン基がそれに共有結合しているアエロジル380粒子
を含む白色粉末状物質44.5g(収率75%)を得た。
【0067】
【実施例4】マグネチックスタラーと還流冷却器とを備
えた500ml の丸底フラスコ中で150℃で20時間
乾燥した10gのアエロジル380へ、エタノール27
3ml と62重量%のN,N−ビス−(2−ヒドロキシ
エチル)アミノプロピルトリエトキシシランを含むエタ
ノール溶液26.5ml とを添加した。反応混合物を11
1℃で20時間還流させ、室温へ冷却し、約8,000rp
m で遠心分離した後、上澄液を注ぎ出し、沈殿をエタノ
ール500ml で洗浄し、遠心分離した。次に、水で洗
浄しかつ2回遠心分離し、残留物を水に再分散し、凍結
乾燥してM. W.Urban and J. L. Koenigが“Determinati
on ofthe Orientation of Silanes onSilica Surfaces
by Fourier Transform Infrared Photoacoustic Spectr
oscopy”, Applied Spectroscopy, Vol.40, No.4,
513〜519頁(1986)中に、及び T. G. Wadde
ll, D. E. Layden, and M. T. DeBello が“The Nature
of Organosilane to Silica Surface Bonding”, Journ
al of the American Chemical Society, Vol.103,
5303〜5307頁(1981)中に記載している技
術によって測定したとき、N,N−ビス−(2−ヒドロ
キシエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン基がそ
れに共有結合しているアエロジル380粒子を含む白色
粉末状物質6.6g(収率36.2%)を得た。
【0068】
【実施例5】機械的撹拌機、温度計、還流冷却器及び D
ean-Stark トラップを備えた2,000ml の丸底フラス
コ中で100℃で24時間乾燥した19.86gのアエロ
ジル380へ、予め窒素下で共沸蒸留によって乾燥して
あるトルエン500ml と62重量%のN,N−ビス−
(2−ヒドロキシエチル)アミノプロピルトリエトキシ
シランを含むエタノール溶液52.5ml とを添加した。
反応混合物を加熱し、反応混合物が111℃に達するま
で Dean-Stark トラップ中の溜出液を捨てた後、反応混
合物を111℃で6時間還流させ、Whatman 濾紙で濾過
した。得られた沈殿を500ml のメタノールでスラリ
ーにし、Whatman 濾紙で濾過し、120℃で24時間乾
燥して、M. W. Urban and J. L. Koenigが“Determinat
ion ofthe Orientation of Silanes on Silica Surface
s by Fourier Transform Infrared Photoacoustic Spec
troscopy”, Applied Spectroscopy, Vol.40, No.
4,513〜519頁(1986)中に、及び T. G. W
addell, D. E. Layden, andM. T. DeBello が“The Nat
ure of Organosilane to Silica Surface Bonding”, J
ournal of the American Chemical Society, Vol.10
3,5303〜5307頁(1981)中に記載してい
る技術によって測定したとき、N,N−ビス−(2−ヒ
ドロキシエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン基
がそれに共有結合しているアエロジル380粒子を含む
白色粉末状物質21.87gを得た。
【0069】
【実施例6】マグネチックスタラー及び温度計を備えた
1,000ml の丸底フラスコ中の730ml の無水エタ
ノールと36ml の濃水酸化アンモニウム水溶液との混
合物へ、30ml のテトラエトキシシランを添加した。
反応器に直ちに栓をし、反応混合物を次に室温で24時
間撹拌した。その後で、不溶性白色シリカ粒子が生成
し、これを15℃で、10,000rpm で10分間遠心分
離した。次に、粒子を500ml の脱イオン水中に再分
散し、この懸濁液の pHを数滴の濃塩酸を加えて7.5に
調節した。次に粒子を、Milipore Inc. の Minitan Acr
ylic System による限外濾過によって脱イオン水で反復
洗浄した。次に、精製されたシリカ粒子の懸濁液を約3
00ml に濃縮し、48時間凍結乾燥することによって
粒子をこの懸濁液から単離した。その結果、粒子が透過
電子顕微鏡法で測定したとき45nmの平均直径を有する
白色粉末7.8g(収率96%)が得られた。機械的撹拌
機、Dean-Stark 冷却器及び温度計を備えた2,000ml
の丸底フラスコ中で100℃で24時間乾燥した単離
シリカ粒子5gへ、予め窒素下で共沸蒸留によって乾燥
してあるトルエン100ml とアミノプロピルトリエト
キシシラン0.65mlとを添加した。反応混合物を11
1℃で6時間還流させ、室温へ冷却し、Whatman GFF
/A濾紙で濾過した。次に、固体をメタノール中で17
時間撹拌し、再び濾過し、得られた固体をメタノールに
再分散し、3度目の濾過を行った。得られた固体を真空
乾燥器中で22時間乾燥して、その記載が全体として参
照文として本明細書に含まれるものとするM. W. Urban
and J. L. Koenigが“Determination ofthe Orientatio
n of Silanes on Silica Surfaces by Fourier Transfo
rmInfrared Photoacoustic Spectroscopy”, Applied S
pectroscopy, Vol.40,No.4,513〜519頁(1
986)中に、及び T. G. Waddell, D. E. Layden, an
d M. T. DeBello が“The Nature of Organosilane to
Silica Surface Bonding”, Journal of the American
Chemical Society, Vol.103,5303〜5307頁
(1981)中に記載している技術によって測定したと
き、アミノプロピルトリエトキシシラン基がそれに共有
結合しているシリカ粒子を含む白色粉末状物質4.8g
(収率75%)を得た。
【0070】
【シリカ粒子の着色】
【0071】
【実施例7】40ml の水中で実施例1の方法で調製さ
れたカップリング剤が結合しているシリカ粒子1.0gと
Levafix Brilliant Blue EFFA (バイエルから市販)1.
0gとの混合物をマグネチックスタラーを備えた丸底フ
ラスコ中で室温で18時間撹拌し、次に遠心分離した。
残留物を水に分散し、水中で上澄液が無色になるまで遠
心分離した後、残留物を水中に再分散し、FTS(登録
商標)Systems, StoneRidge, NYから市販されているDur
a-Dry(商標)凍結乾燥器で凍結乾燥して青色シリカ粒
子0.75gを得た。
【0072】
【実施例8】35ml の水中の実施例1の方法で調製さ
れたカップリング剤が結合しているシリカ粒子1.0gと
Levafix Brilliant Red E6BA(バイエルから市販)1.0
gとの混合物を、マグネチックスタラーを備えた丸底フ
ラスコ中で室温で18時間撹拌し、次に遠心分離した。
残留物を水中に分散し、水中で上澄液が無色になるまで
遠心分離した後、残留物を水中に再分散し、FTS Sys
tems, Stone Ridge, NY から市販されているDura-Dry凍
結乾燥器で凍結乾燥して赤色シリカ粒子0.60gを得
た。
【0073】
【実施例9】120ml の水中の実施例2の方法で調製
したカップリング剤が結合しているシリカ粒子3.0gと
3gの Levafix Brilliant Red E6BA(バイエルから市
販)との混合物をマグネチックスタラーを備えた丸底フ
ラスコ中で室温で22時間撹拌した。その後で、懸濁液
を Millipore Inc. の Minitan Acrylic System による
限外濾過によって上澄液が無色になるまで精製した。懸
濁液を20ml に濃縮し、FTS Systems, Stone Ridg
e, NY から市販されているDura-Dry凍結乾燥器で凍結乾
燥して2.3gの赤色シリカ粒子を得た。
【0074】
【実施例10】50ml の水中の実施例2の方法で調製
したカップリング剤が結合しているシリカ粒子1.0gと
2.0gの Procion Turquoise HA (ICIから発売)と
の混合物をマグネチックスタラーと冷却器とを備えた丸
底フラスコ中で還流温度で3.5時間撹拌した後、室温へ
冷却した。その後で、懸濁液を、 Millipore Inc. の M
initan Acrylic System による限外濾過によって上澄液
が無色になるまで精製した。懸濁液を20ml に濃縮
し、FTS Systems, Stone Ridge, NY から市販されて
いる Dura-Dry 凍結乾燥器で凍結乾燥してシアン色シリ
カ粒子1.0gを得た。
【0075】
【実施例11】120ml の水中の実施例2の方法で調
製されたカップリング剤が結合しているシリカ粒子3.0
gと3.0gの Levafix Brilliant Blue EFFA(バイエル
から市販)との混合物をマグネチックスタラーを備えた
丸底フラスコ中で室温で22時間撹拌した。その後で、
懸濁液を Millipore Inc. の Minitan Acrylic System
による限外濾過によって上澄液が無色になるまで精製し
た。懸濁液を20ml に濃縮し、FTS Systems, Ston
e Ridge, NY から市販されているDura-Dry凍結乾燥器で
凍結乾燥して2.4gの青色シリカ粒子を得た。
【0076】
【実施例12】300ml の水中の実施例3の方法で調
製されたカップリング剤が結合しているシリカ粒子3.0
gと13.0gの Levafix Brilliant Blue EFFA(バイエ
ルから市販)との混合物をマグネチックスタラーを備え
た丸底フラスコ中で室温で22時間撹拌した。その後
で、懸濁液を Millipore Inc. の Minitan Acrylic Sys
tem による限外濾過によって上澄液が無色になるまで精
製した。懸濁液を20mlに濃縮した。残留物を水中に
分散し、水中で上澄液が無色になるまで遠心分離した
後、残留物を水に再分散し、FTS Systems, Stone Ri
dge, NY から市販されているDura-Dry凍結乾燥器で凍結
乾燥して青色シリカ粒子2.2gを得た。
【0077】
【実施例13】実施例3の方法で調製しかつ100℃で
17時間乾燥したカップリング剤が結合しているシリカ
粒子31.0gと Levafix Brilliant Blue EFFA(バイエ
ル社から市販)との混合物へ1リットルの水を添加し
た。得られた混合物を室温で3日間ボールミル粉砕した
後、Whatman 濾紙で濾過した。得られた沈殿を1リット
ルの水で洗浄し、Whatman 濾紙で濾過した後、得られた
固体を水に分散した。この分散液を Canlab から市販さ
れている Spectrapor 4 メンブランを用いて水に対して
約3日間透析し、約3日後の時点で水は無色のままであ
った。次に懸濁液をFTS Systems, Stone Ridge, NY
から市販されているDura-Dry凍結乾燥器で凍結乾燥して
青色シリカ粒子10gを得た。
【0078】
【実施例14】実施例2の方法で調製しかつ100℃で
17時間乾燥したカップリング剤が結合しているシリカ
粒子5.0gと Procion Yellow MX−8G(ICIから
市販)5.0gとの混合物へ200ml の水を添加した。
この懸濁液を90℃で24時間撹拌した後、室温へ冷却
した。その後で、懸濁液を Millipore Inc. の Minitan
Acrylic System による限外濾過によって、上澄液が無
色になるまで精製した。次に、懸濁液を20ml に濃縮
し、FTS Systems, Stone Ridge, NY から市販されて
いるDura-Dry凍結乾燥器で凍結乾燥して4.3gの黄色シ
リカ粒子を得た。
【0079】
【実施例15】実施例2の方法で調製しかつ100℃で
17時間乾燥したカップリング剤が結合しているシリカ
粒子2.0gと Levafix Black EB(バイエルから市販)2.
0gとの混合物へ60ml の水を添加した。この懸濁液
を室温で24時間撹拌した後、Millipore Inc. の Mini
tan Acrylic System による限外濾過によって、上澄液
が無色になるまで精製した。次に、懸濁液を20ml に
濃縮し、FTS Systems, Stone Ridge, NY から市販さ
れているDura-Dry凍結乾燥器で凍結乾燥して1.9gの黒
色シリカ粒子を得た。
【0080】
【実施例16】実施例6の方法で調製しかつ100℃で
17時間乾燥したカップリング剤が結合しているシリカ
粒子3.0gと Procion TurquoiseHA(ICIから市
販)との混合物へ、100ml の水を添加した。この懸
濁液を室温で24時間撹拌した後、 Millipore Inc. の
Minitan Acrylic System による限外濾過によって上澄
液が無色になるまで精製した。次に、懸濁液を20ml
に濃縮し、FTS Systems, Stone Ridge, NY から市販
されているDura-Dry凍結乾燥器で凍結乾燥して2.8gの
シアン色シリカ粒子を得た。
【0081】
【着色トナーの製造】
【0082】
【実施例17】シアン色シリカ粒子及び分散剤としての
ジブロック共重合体/塩錯体及び電荷制御剤を含む正帯
電トナーを下記のようにして製造した。60モル%のポ
リスチレンと40モル%のポリエチレンオキシドとを含
むポリスチレン/ポリエチレンオキシドジブロック共重
合体(PS−b−POB)を米国特許第4,592,989
号の実施例V記載の方法と同様な方法で製造した。詳し
くは、合成を大規模でかつ真空下ではなく不活性雰囲気
下で行うこと以外は上記方法によって共重合体を製造し
た。60ml のテトラヒドロフランへ6.0gのポリスチ
レン/ポリエチレンオキシドジブロック共重合体を添加
した。撹拌しかつ約40℃に穏やかに加熱しながら溶解
して共重合体の濃稠なテトラヒドロフラン溶液を得た。
この溶液へ10ml のメタノール中の0.5gのチオシア
ン酸カリウム(KSCN)の溶液を添加し、濃稠ゲル
(PS−b−POE・KSCN)の生成をもたらした。
“湿潤ケーキ”シアン色シリカ粒子3gを50ml の水
/メタノール(1:4v/v)混合物へ添加することに
よってシアン色シリカ粒子の懸濁液を調製した。該シア
ン色シリカ粒子は、懸濁液を“湿潤ケーキ”にまで濃縮
し、凍結乾燥をしない以外は実施例10記載のようにし
て製造したものである。水/メタノール中の湿潤ケーキ
懸濁液を次に徐々にPS−b−POE・KSCNゲルへ
添加して濃シアン色粘稠懸濁液を得た。顔料懸濁液の重
合体/塩ゲルへの添加の速度はジブロック重合体の沈殿
を起こさせる程度の“衝撃”を系へ与えないように充分
に緩徐であった。詳しくは、少量の顔料懸濁液を重合体
/塩ゲルへ添加し、撹拌して重合体を溶解した後に次の
顔料を添加することによって、約3分間にわたって顔料
懸濁液を添加した。得られたシアン色懸濁液を約30分
間穏やかに撹拌し、肉眼で見える粒状物質のない一様に
着色した懸濁液を得た。さらに30分間撹拌後、PS−
b−POE・KSCN中に分散されたシアン色シリカ粒
子の複合体を下記のようにして単離した。撹拌している
懸濁液へ500ml のヘキサンを徐々に添加した。撹拌
を停止すると混合物から濃青色粘稠な重合体物質層が分
離した。上澄液を除去し、重合体物質を9容量部のヘキ
サンと1容量部のテトラヒドロフランとを含むヘキサン
/テトラヒドロフラン混合物400ml ずつで3回洗浄
した。この最初の抽出工程は重合体層から水を抽出し、
固化をひき起こした。得られた固体を、次に、500m
l ずつのヘキサンで2回洗浄した。約16時間風乾しか
つ40℃に於て48時間真空乾燥した後に得られた生成
物はPS−b−POE・KSCN中に分散されたシアン
色シリカ粒子7.85gであった。
【0083】上で製造されたPS−b−POE・KSC
N中に分散されたシアン色シリカ粒子4gを Goodyear
Tire and Rubber Company から Pliotone として市販さ
れている共重合(スチレン/ブタジエン)(スチレン8
9重量%、ブタジエン11重量%)25gと溶融混合す
ることによって、85重量%の量の共重合(スチレン/
ブタジエン)(89/11w/w)と5重量%の量のシ
アン色シリカ粒子と10重量%の量のPS−b−POE
・KSCNとを含むトナー組成物を調製した。この混合
物をCS1−Max押出機で140℃で溶融混合した。混
合物を3回押出機を通過させた。得られた組成物を次に
Trost空気衝撃式粉砕機(air impact pulverizer)でト
ナーサイズ粒子へジェット粉砕 (jetting)して平均粒子
直径10μmのトナー粒子を得た。
【0084】
【実施例18】実施例17のようにして製造したトナー
は正に帯電する傾向がある。実施例17で製造したトナ
ーを Pliotone (トナー中に用いられた樹脂)で被覆さ
れたフェライトコアからなるキャリヤとブレンドし現像
剤ハウジング中に於けるように撹拌する。トナー対キャ
リヤ重量比は約2:98である。かくして撹拌されたト
ナーは約0.5〜約0.8フェムトクーロン/mgの摩擦電荷
で正に帯電する。
【0085】実施例17で製造された別のトナーをフル
オロビニル及びクロロビニル単量体から誘導された共重
合体 (Firestone Plasticsから市販されているFPC4
01)で被覆されたフェライトコアからなるキャリヤと
ブレンドし、現像剤ハウジング中に於けるように撹拌す
る。トナー対キャリヤ重量比は約2:98である。かく
して撹拌されたトナーは約0.8〜約1.3フェムトクーロ
ン/mgの摩擦電荷で正に帯電する。このトナーも良好な
“混合(admix)”特性を示し、上記明細書に従って製造
されたトナーとキャリヤとのブレンドへ新しい帯電して
いないトナーを添加するとき、帯電していないトナーは
60秒以内に、時間零以来現像剤中にあったトナー粒子
と同じ電荷を得る。
【0086】実施例17のトナーの帯電特性はアエロジ
ルR972(Deggusa から市販)のようなシリカ粒子
(例えばトナー粒子の約1重量%の量で)、ステアリン
酸亜鉛(例えばトナー粒子の約0.5重量%の量で)、あ
るいはポリメタクリル酸メチルの微細粉末(例えばトナ
ー粒子の約2重量%の量で)のような表面添加剤の添加
によって変えることもできる。シリカ及びステアリン酸
亜鉛は負帯電特性を誘起する傾向があり、微細ポリメタ
クリル酸メチル粒子は正帯電特性を誘起する傾向があ
る。
【0087】実施例17の方法を用いて、実施例10で
得た着色シリカ粒子の代わりに実施例7〜16で製造さ
れた着色シリカ粒子のいずれかを用い、着色シリカ粒子
とジブロック/塩錯体分散剤と電荷制御剤とを有する付
加的なトナーを製造することもできる。PS−b−PO
E/KSCNの代わりに他のジブロック共重合体又はグ
ラフト共重合体/塩複合体についてこの一般的方法を用
いることもできる。米国特許第4,592,989号に記載
されているようにブロック共重合体と錯体形成する塩の
性質を変化させることによって帯電特性を変えることが
できる。
【0088】
【実施例19】比較のため、1.2gの“湿潤ケーキシア
ン色シリカ粒子”を Goodyear Tire and Rubber Compan
y から Pliotone として市販されている共重合(スチレ
ン/ブタジエン)(89/11w/w)25gと混合す
ることによって対照トナー組成物を製造する。これらの
物質をSC1−Max押出機中で140℃に於て溶融混合
する。この混合物を3回押出機中を通す。懸濁液を濃縮
して湿潤ケーキにしかつ凍結乾燥をしない以外は実施例
10記載のようにしてシアン色シリカ粒子を製造する。
得られた組成物を次に Trost空気衝撃式粉砕機でトナー
サイズ粒子へジェット粉砕して平均粒子直径10μmの
トナー粒子を製造する。
【0089】
【実施例20】実施例19のトナーをフルオロビニル及
びクロロビニル単量体から誘導される共重合体 (Firest
one Plasticsから市販されているFPC401)で被覆
されたフェライトコアからなるキャリヤとブレンドし、
現像剤ハウジング内に於けるように撹拌する。トナー対
キャリヤ重量比は約2:98である。かくして撹拌され
たトナーは約0.6〜約0.8フェムトクーロン/mgの摩擦
電荷で正に帯電するようになる。このトナーの“混合
(admix)”特性に関しては、上記明細に従って製造され
たトナーとキャリヤとのブレンドへ新しい帯電してない
トナーを添加するとき、帯電してないトナーは時間零以
来現像剤中にあるトナー粒子と同じ電荷を得るため典型
的に10分以上を要する。
【0090】
【実施例21】シアン色シリカ粒子と分散剤としてのジ
ブロック共重合体とを含む正帯電性トナーを下記のよう
にして製造した。米国特許第4,592,989号の実施例
Vに記載されている方法に類似した方法で、60モル%
のポリスチレンと40モル%のポリエチレンオキシドと
を含むポリスチレン/ポリエチレンオキシドジブロック
共重合体(PS−b−POE)を製造した。詳しくは、
合成を大規模でかつ真空下ではなく不活性雰囲気下で行
うこと以外は上記の方法で共重合体を製造した。60m
l のテトラヒドロフランへ6.0gのポリスチレン/ポリ
エチレンオキシドジブロック共重合体を添加した。撹拌
しかつ穏やかに約40℃に加熱しながら溶解して共重合
体の濃稠テトラヒドロフラン溶液を得た。3gの湿潤ケ
ーキシアン色シリカ粒子を50ml の水/メタノール
(1:4v/v)へ添加することによってシアン色シリ
カ粒子の懸濁液を調製した。該シアン色シリカ粒子は、
懸濁液を濃縮して“湿潤ケーキ”にし、凍結乾燥しなこ
と以外は実施例10記載のようにして製造したものであ
る。次に、湿潤ケーキの水/メタノール懸濁液をPS−
b−POEの濃稠溶液へ徐々に添加して濃シアン色懸濁
液を得る。顔料懸濁液の重合体溶液への添加速度はジブ
ロック重合体の沈殿を引き起こす程度に系を“衝撃”し
ないように充分に緩徐であった。詳しくは、撹拌されて
いる重合体溶液へ顔料懸濁液を少量ずつ添加し、顔料を
分散させた後に次の顔料を添加することによって、顔料
懸濁液を約3分間にわたって添加した。得られたシアン
色懸濁液を約30分間穏やかに撹拌し、肉眼で見える粒
状物質がない一様な着色懸濁液を得た。さらに30分間
撹拌後、PS−b−POE中に分散されたシアン色シリ
カ粒子の複合体を下記のようにして単離した。撹拌され
ている懸濁液へ500ml のヘキサンを徐々に添加し
た。撹拌を停止すると、濃青色粘稠な重合体物質層が混
合物から分離した。上澄液を除去し、重合体物質を、9
容量部のヘキサンと1容量部のテトラヒドロフランとを
含むヘキサン/テトラヒドロフラン混合物400ml ず
つで3回洗浄した。この最初の抽出工程は重合体層から
水を抽出し、固化を引き起こした。得られた固体を50
0ml ずつのヘキサンで2回洗浄し、40℃で48時間
真空乾燥して乾燥生成物、すなわちPS−b−POE中
に分散したシアン色シリカ粒子7.45gを得た。上で製
造したPS−b−POE中に分散されたシアン色シリカ
粒子4gを Goodyear Tire and Rubber Company からPl
iotoneとして市販されている共重合(スチレン/ブタジ
エン)(スチレン89重量%、ブタジエン11重量%)
25gと溶融混合することによって、85重量%の量の
共重合(スチレン/ブタジエン)と5重量%の量のシア
ン色シリカ粒子と10重量%の量のPS−b−POEと
を含むトナー組成物を製造した。これらの物質をCS1
−Max押出機中で140℃で溶融混合した。混合物を3
回押出機中を通した。得られた組成物を、次に、Trost
空気衝撃式粉砕機でトナーサイズ粒子へジェット粉砕し
て平均粒子直径10μmのトナー粒子を得た。
【0091】
【実施例22】実施例21のようにして製造したトナー
は正に帯電する傾向がある。実施例21で製造したトナ
ーを Pliotone (トナー中に用いられた樹脂)で被覆さ
れたフェライトコアからなるキャリヤとブレンドし、現
像剤ハウジング中に於けるように撹拌する。トナー対キ
ャリヤ重量比は約2:98である。かくして撹拌された
トナーは約0.3〜約0.5フェムトクーロン/mgの摩擦電
荷で正に帯電する。
【0092】実施例21で製造した別のトナーを、フル
オロビニル及びクロロビニル単量体から誘導される共重
合体 (Firestone Plasticsから市販されているFPC4
01)で被覆されたフェライトコアからなるキャリヤと
ブレンドする。トナー対キャリヤ重量比は約2:98で
ある。かくして撹拌されたトナーは約1.0〜約1.5フェ
ムトクーロン/mgの摩擦電荷で正に帯電するようにな
る。このトナーの“混合(admix)”特性に関しては、上
記明細に従って製造したトナーとキャリヤとのブレンド
へ新しい帯電していないトナーを添加するとき、帯電し
ていないトナーは時間零以来現像剤中にあるトナー粒子
の電荷と同じ電荷を得るのに典型的には10分以上を要
する。
【0093】アエロジルR972 (Degussa から市販)
のようなシリカ粒子(例えばトナー粒子の約1重量%の
量で)、ステアリン酸亜鉛(例えばトナー粒子の約0.5
重量%の量で)、又は微細ポリメタクリル酸メチル粒子
(例えばトナー粒子の約2重量%の量で)のような表面
添加剤の添加によって、実施例21のトナーの帯電特性
を変えることもできる。シリカ及びステアリン酸亜鉛の
負帯電特性を誘起する傾向があり、微細ポリメタクリル
酸メチル粒子は正帯電特性を誘起する傾向がある。
【0094】実施例10からの着色シリカ粒子の代わり
に実施例7〜16で製造した着色シリカ粒子のいずれか
を用いて、着色シリカ粒子とジブロック共重合体分散剤
とで付加的なトナーを製造するために実施例21の方法
を用いることができる。PS−b−POEの代わりに他
のジブロック共重合体又はグラフト共重合体についても
この方法を用いることができる。
【0095】
【実施例23】実施例17で製造したトナーの試料を M
ettler Microscope のホットステージ上の顕微鏡ガラス
スライド間で溶融した。溶融したトナー組成物は膜を形
成し、その膜は光学的に透明でありかつ一様に青色であ
った。本発明のこのトナーの光学的性質を下記のように
してジブロック共重合体を含まない同様なトナーの光学
的性質と比較した。実施例17記載のようにして製造し
たポリスチレン−ポリエチレンオキシドジブロック共重
合体中のシアン色シリカ粒子分散体60mgを10ml の
テトラヒドロフラン中に20分間音波処理によって分散
させた。得られた微細懸濁液へスチレン−ブタジエン
(89/11)共重合体1.0gを添加した。混合物を4
時間磁気撹拌し、得られた懸濁液を用いて、0.254mm
(10mil)ギャップで Gardnerドローコーター (draw c
oater)によって膜を形成し、膜を室温で風乾した。94.
3重量%のスチレン−ブタジエンと3.8重量%のポリス
チレン−ポリエチレンオキシドジブロック共重合体と1.
9重量%のシアン色シリカ粒子とを含む組成物のこの膜
は光学的に透明でかつ一様に青色である点で、トナーを
溶融して膜を形成させるときにみられる性質と同様な性
質を示した。
【0096】比較のため別の膜を下記のようにして調製
した。実施例10記載のようにして製造したシアン色シ
リカ粒子(20mg)を10ml のテトラヒドロフラン中
に20分間音波処理によって分散させた。得られた懸濁
液へ1.0gのスチレン−ブタジエン(89/11)共重
合体を添加した。混合物を4時間磁気的に撹拌し、得ら
れた懸濁液を用いて Gardnerドローコーターで0.254
mm(10mil)ギャップで膜を形成させ、膜を室温で風乾
した。98重量%のスチレン−ブタジエンと2重量%の
シアン色シリカ粒子とを含む組成物のこの膜は無色地中
に暗青色の領域を有する粒状の不均一膜を形成した。実
施例18のトナーを溶融して得られる膜は同様に悪い光
学特性を示すと思われる。
【0097】これらの結果は、1つのセグメントが極性
すなわち親水性であり、シリカ粒子表面に対して親和性
を有しかつ1つのセグメントが非極性であり、トナー樹
脂と混和性であるジブロック重合体又はグラフト重合体
を含むトナー組成物中で達成される着色シリカの増強さ
れた分散を実証している。本明細書中に示した情報を検
討した後、当業者には本発明の他の実施態様及び変更が
心に浮かぶかも知れない。これらの実施態様及び変更な
らびにこれらの等価物も本発明の範囲内に含まれる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 トーマス ダブリュー スミス アメリカ合衆国 ニューヨーク州 ペン フィールドヒデン メドー 22 (56)参考文献 米国特許4576888(US,A) 米国特許4566908(US,A) 米国特許4592989(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂、シランカップリング剤によって染
    料が粒子表面上に共有結合している親水性シリカ粒子、
    及びシリカ粒子表面上に吸着することができる少なくと
    も1つのセグメントと樹脂中へのシリカ粒子の分散性を
    増強することができる少なくとも1つのセグメントとを
    有する重合体を含むトナー組成物であって、該重合体に
    おいて、シリカ粒子表面上に吸着することができるセグ
    メントが、樹脂中へのシリカ粒子の分散性を増強するこ
    とができるセグメントとの関係で親水性であるか、又
    は、樹脂中へのシリカ粒子の分散性を増強することがで
    きるセグメントが、シリカ粒子表面上に吸着することが
    できるセグメントとの関係で疎水性であり、樹脂中への
    シリカ粒子の分散性を増強することができるセグメント
    がビニルモノマー、アクリル酸モノマー、オレフィンモ
    ノマー、エステルモノマー、アミドモノマー、ウレタン
    モノマー及びそれらの混合物からなる群から選ばれるモ
    ノマーを含み、シリカ粒子表面上に吸着することができ
    るセグメントが環式エーテル、環式エステル、環式アミ
    ド、ビニルカルボン酸、環式アミン、オキサゾリン、ア
    クリルアミド、アルデヒド、ウレタン及び尿素からなる
    群から選ばれるモノマーを含むか又はイオン結合性であ
    って塩と錯体形成することができる、トナー組成物。
  2. 【請求項2】 シランカップリング剤によって染料が粒
    子表面に共有結合している親水性シリカ粒子の溶媒中の
    分散液を調製する工程、シリカ粒子の樹脂中への分散性
    を増強することができる少なくとも1つのセグメントと
    シリカ粒子表面上へ吸着することができる少なくとも1
    つのセグメントとを有する重合体の溶媒中の溶液を調製
    する工程、シリカ粒子懸濁液と重合体溶液とを混合し、
    それによってシリカ粒子表面へ吸着する重合体を生ずる
    工程、粒子上に重合体が吸着しているシリカ粒子を溶液
    から沈澱させる工程及び粒子上に重合体が吸着している
    シリカ粒子を樹脂と混合してトナー組成物を生成する工
    程を含むトナー組成物の製造法であって、該重合体にお
    いて、シリカ粒子表面上に吸着することができるセグメ
    ントが、樹脂中へのシリカ粒子の分散性を増強すること
    ができるセグメントとの関係で親水性であるか、又は、
    樹脂中へのシリカ粒子の分散性を増強することができる
    セグメントが、シリカ粒子表面上に吸着することができ
    るセグメン トとの関係で疎水性であり、樹脂中へのシリ
    カ粒子の分散性を増強することができるセグメントがビ
    ニルモノマー、アクリル酸モノマー、オレフィンモノマ
    ー、エステルモノマー、アミドモノマー、ウレタンモノ
    マー及びそれらの混合物からなる群から選ばれるモノマ
    ーを含み、シリカ粒子表面上に吸着することができるセ
    グメントが環式エーテル、環式エステル、環式アミド、
    ビニルカルボン酸、環式アミン、オキサゾリン、アクリ
    ルアミド、アルデヒド、ウレタン及び尿素からなる群か
    ら選ばれるモノマーを含むか又はイオン結合性であって
    塩と錯体形成することができる、トナー組成物の製造
    法。
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