JP3094949B2 - 圧縮方式永久アンカー - Google Patents

圧縮方式永久アンカー

Info

Publication number
JP3094949B2
JP3094949B2 JP09136623A JP13662397A JP3094949B2 JP 3094949 B2 JP3094949 B2 JP 3094949B2 JP 09136623 A JP09136623 A JP 09136623A JP 13662397 A JP13662397 A JP 13662397A JP 3094949 B2 JP3094949 B2 JP 3094949B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
unbonded
crimping
grip
sheath
crimping grip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP09136623A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10325142A (ja
Inventor
眞 金氏
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kajima Corp
Original Assignee
Kajima Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kajima Corp filed Critical Kajima Corp
Priority to JP09136623A priority Critical patent/JP3094949B2/ja
Publication of JPH10325142A publication Critical patent/JPH10325142A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3094949B2 publication Critical patent/JP3094949B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、崖等において、
その斜面表面が滑り落ちて崩れることを抑止する法面抑
止工法等に使用されるものであり、複数のアンボンドP
C鋼より線の先端に支圧体を設けることで構成されてい
る圧縮方式永久アンカーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の圧縮型アンカーにおける圧着グ
リップは、緊張作業の際にアンボンドPC鋼より線が抜
けたりスリップを起こしてはならないと共に、定着効率
がアンボンドPC鋼より線の規格引張荷重の95%以上な
ければならない。しかも、この圧着グリップの疲労強度
は、アンボンドPC鋼より線と同等でなければならない
という特性が重要となる。
【0003】そこで、従来のこの圧縮型アンカーにおけ
る圧着グリップとしては、図9に示すように、アンボン
ドPC鋼より線31と接触する内面に、摩擦抵抗を上げる
ためのインサート32を組み込んでいるものが一般的に知
られている。この圧着グリップ30をアンボンドPC鋼よ
り線31へ取付けるには、ダイスの中に圧着グリップを通
すダイス引抜き法(図6参照)のような塑性加工によっ
て、圧着加工することで行われる。
【0004】一方、この圧縮型アンカーにおける各PC
鋼より線の緊張力は、アンカーにおけるテンドン(アン
ボンドPC鋼より線)の先端に固定された支圧体からグ
ラウトへ圧縮力として伝達されると共に、グラウトの周
面摩擦によって地山に伝えられる。そして、このPC緊
張力の伝達を確実にするためには、各アンボンドPC鋼
より線およびこの各アンボンドPC鋼より線を支圧体へ
固定する各圧着グリップが、支圧体に対して垂直に保た
れていることと、PC鋼線および圧着グリップと支圧体
との取付け部の防錆処理が確実になされていることとが
不可欠なものとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】防食処理が施されたア
ンボンドPC鋼より線に圧着グリップを取付ける時に
は、図9に示したように、アンボンドPC鋼より線31の
圧着グリップ30を取付ける部分において、アンボンドシ
ース33を圧着グリップ30の長さ分だけ切除する。その
後、圧着グリップ30を挿入すると共に、圧着加工(図6
参照)することで、圧着グリップ30のアンボンドPC鋼
より線31へ取付けが行われる。
【0006】ところが、従来では、このアンボンドPC
鋼より線31へ圧着グリップ30を取付けた後において、ア
ンボンドシース33に有する特性によって問題が生じてい
た。
【0007】即ち、アンボンドシース33には切除後にお
いて収縮する特性が有ることから、図9に示したよう
に、圧着グリップ30とアンボンドシース33との間に、空
隙ΔLが開くこととなる。そして、この空隙ΔLが、防
食処理に対して非防食に近い状態となってしまう。この
空隙ΔLの部分は、例えば、腐食性ガスや酸等の接触は
もとより、長時間にわたり空気や水等が接触すること
で、腐食を起こしやすくなる。そして、この空隙ΔLの
部分が腐食を起こした場合には、応力腐食または疲労強
度の低下により、緊張材が断線する危険性を高めること
となる。
【0008】一方、アンボンドPC鋼より線を組立てて
作られるテンドンは、組立て後に運搬されて、削孔内に
挿入されるまでの間に、比較的乱暴に取り扱われること
になる。そのため、アンボンドPC鋼より線および圧着
グリップが支圧体に対して垂直に保たれてなく防錆処理
が確実でないという状態になる可能性があり、アンボン
ドPC鋼より線を支圧体へ固定する圧着グリップと支圧
体との固定が不十分になることが考えられる。
【0009】そして、このように、アンボンドPC鋼よ
り線を支圧体へ固定する圧着グリップと支圧体との固定
が不十分になると、PC緊張力の地山への伝達が不十分
になる等、法面抑止工法等における事故の原因になる。
ところが、従来の圧縮型アンカーでは、アンボンドPC
鋼より線を支圧体へ固定する圧着グリップと支圧体との
固定を確実にする対策が十分に行われていなかった。
【0010】この発明は前述した事情に鑑みて創案され
たもので、その目的は圧着グリップをアンボンドPC鋼
より線へ取付けた後に、その取付け部近傍の部分におい
て、アンボンドPC鋼より線の防食処理を除去した部分
が露出して非防食状態となることを防止することができ
ると共に、PC鋼より線からのアンカー体における支圧
体への適正な応力伝達状態を確実に保持することがで
き、アンカー部分全体の品質向上を図ることのできる圧
縮方式永久アンカーを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】圧縮方式永久アンカーの
支圧板へテンドンであるアンボンドPC鋼より線を取付
ける時に用いる圧着グリップを、アンボンドPC鋼より
線へ取付ける場合には、前述したような腐食を起こす原
因となる空隙ΔL(図9参照)が生じないようにする必
要がある。そこで、この発明の圧縮方式永久アンカーに
おける圧着グリップ(請求項1に係る発明)では、アン
ボンドPC鋼より線における防食処理部分の一部を圧着
グリップ内に内包して圧着加工する方法を採用すること
とする。
【0012】詳述すると、この発明では、アンボンドP
C鋼より線における防食処理のアンボンドシースの一部
を圧着グリップ内に内包して圧着加工する、即ち、圧着
グリップにおける緊張材挿入側の内周面に摩擦抵抗増大
用インサートを装着していないインサート未装着部分を
形成して、そのインサート未装着部分にアンボンドシー
スの一部を挿入する。また、インサート未装着部分は、
その内周面が、圧着時に内包したアンボンドシース内へ
食込んだ状態となるように形成されている。
【0013】この発明の圧縮方式永久アンカーで用いる
圧着グリップを、図面に基いて具体的に説明すると、図
3の(b) および(c) に示すように、圧着グリップ4にお
ける摩擦抵抗増大用インサート12内に、アンボンドPC
鋼より線2におけるアンボンドシース13を除去したむき
出し部5aを内包すると共に、図3の(b) および(d) に示
すように、圧着グリップ4における先端のテーパR0
形成さている部分、即ち、摩擦抵抗増大用インサート12
が装着されていないインサート未装着部分4dにアンボン
ドシース13の一部を内包することである。このようにす
れば、圧着グリップ先端における緊張材挿入側のテーパ
部分はテーパの傾斜角度が緩くダイス(図6参照)での
圧着加工率が低いために、アンボンドPC鋼より線へ圧
着グリップを取付けるべく圧着加工しても、防食処理の
アンボンドシースを破損してしまうことがなくその防食
効果を確実に保持することができる。また、PC鋼線挿
入孔4bにおけるインサート未装着部分4dの内周面は、圧
着加工の完了後に、内包したアンボンドシース13内へ食
込んだ状態となるように形成している。例えば、図3の
(a) に示すように、圧着グリップ4のPC鋼線挿入孔4b
の内周面におけるインサート未装着部分4dに、シース押
さえ用溝4eを形成する。そして、このシース押さえ用溝
4eの開口縁部が圧着加工時にアンボンドシース13内へ食
込んだ状態となるようにすることで、圧着グリップ4を
アンボンドPC鋼より線2へ取付けるための圧着加工の
際にアンボンドシース13が押さえられ、圧着グリップ4
の圧着取付け後に収縮してもアンボンドシース13が圧着
グリップ4から抜けることがないようにする。
【0014】このように、この発明の圧縮方式永久アン
カーにおける圧着グリップでは、その内部に、アンボン
ドPC鋼より線のむき出し部分と共に防食処理部分の一
部をも内包することができるように構成したことで、ア
ンボンドPC鋼より線への取付け時に取付け部近傍にお
いて、防食処理のアンボンドシースが無くなってアンボ
ンドPC鋼より線がむき出しとなる部分が形成されてし
まうことを防止することができる。また、圧着加工の完
了後、インサート未装着部分の内周面が、内包したアン
ボンドシース内に食込んで状態となるように構成したこ
とで、アンボンドシースが圧着グリップから抜け出てし
まうことを防止することができる。
【0015】一方、この発明の圧縮方式永久アンカー
(請求項2に係る発明)によれば、支圧体と複数のPC
鋼より線およびその各圧着クリップとの垂直度を確実に
するために、各圧着グリップを支圧体におけるそれぞれ
別個の収納スペースに一つづつ収納する方法を採用した
ものとする。
【0016】詳述すると、この収納スペースは支圧体と
一体に形成されており、その内径は圧着グリップの外径
より僅かに大きい寸法に設定してある。また、この収納
スペース密閉用の蓋が取付けられるが、圧着グリップの
先端部と蓋との間にバネ部材を設置して圧着グリップを
常に支圧体の方向に押し付けるようにした。これによっ
て、圧着グリップを支圧体に対して常に垂直に押し付け
ることができる。さらに、蓋には防錆グリース注入用の
注入孔が設けられており、収納スペース内に防錆グリー
スが封入されている。そして、この防錆グリースが常温
で硬化または粘度が高くなることにより、収納スペース
内の圧着グリップは、収納スペース内で固定されて、支
圧体およびテンドンが多少乱暴に取り扱われても動かな
いようになる。
【0017】そして、このような、この発明の圧縮方式
永久アンカーでは、圧着グリップが支圧体に垂直に固定
されていると共に、その固定度は防錆グリースによって
非常に高いものとなっているので、支圧体およびPC鋼
より線(テンドン)が多少乱暴に取り扱われても圧着グ
リップは確実に支圧体に固定されて動くことはない。
【0018】また、圧着グリップが収納される収納スペ
ースには防錆グリースが充填されるので、圧着グリップ
およびPC鋼より線は錆びることがない。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の圧縮方式永久ア
ンカーを、図示する一実施形態によって説明する。
【0020】複数のアンボンドPC鋼より線2の先端に
支圧体3を設けてなる圧縮方式永久アンカー1(図1参
照)は、各アンボンドPC鋼より線2を支圧体3に固定
すべく各アンボンドPC鋼より線2の先端にそれぞれ設
けられている圧着クリップ4と、この各圧着クリップ4
を収納する収納スペース5が形成されている支圧体3と
を備えてなっている。また、収納スペース5には、収納
スペース密閉用の蓋6が設けられていると共に、この蓋
6に設けた注入孔8から防錆グリース9が封入されてい
る。そして、圧着グリップ4には、アンボンドPC鋼よ
り線2の先端部における防食処理のアンボンドシース13
を除去して形成したむき出し部2aに、摩擦抵抗増大用イ
ンサート12を介して圧着するPC鋼線挿入孔4bが形成さ
れていると共に、このPC鋼線挿入孔4bにおけるアンボ
ンドPC鋼より線2の挿入側端部4cの内周面に、アンボ
ンドシース13の一部を内包することができるように摩擦
抵抗増大用インサート12を装着していないインサート未
装着部分4dが形成されている。さらに、このインサート
未装着部分4dは、その内周面が、圧着時に内包したアン
ボンドシース13内へ食込んだ状態となるように形成され
ている。
【0021】この実施形態での支圧体3には、その内部
に形成されている収納スペース5を利用して、複数の圧
着グリップ4が収納されている。そして、この収納スペ
ース5内の各圧着グリップ4は、アンボンドPC鋼より
線2のむき出し部2aが貫通した時に、圧着グリップ4の
先端面に当接する固定用金具16によって固定されてい
る。なお、この固定用金具16は、支圧体3を貫通した固
定用ボルト17に螺合してて移動自在に支持されており、
固定用ボルト17を締めつけた時に圧着グリップ4の先端
面に押圧して、各圧着グリップ4を固定できるように構
成されている。
【0022】また、この支圧体3のアンボンドPC鋼よ
り線2の挿入側には、アンボンドPC鋼より線2の外径
より僅かに大きな直径に形成された、PC鋼より線用の
貫通孔10が設けられている。
【0023】さらに、この支圧体3には、図2に示すよ
うに、アンカーヘッド方向へ延びる応力伝達用コイル11
が取付けられている。この応力伝達用コイル11は、鋼製
の棒を螺旋状に巻いたもので、一端が支圧体3に固定さ
れて施工上可能な最大外径に形成されていると共に、ア
ンカーヘッド方向にいくにつれて径が小さくなり、他端
が、PC鋼線2および注入パイプ(図示せず)が中を通
る最小径に形成され、全体として略円錐形状に形成され
ているものとする。そして、この実施形態での応力伝達
用コイル11は、耐久性を向上させるために、亜鉛メッキ
やエポキシ樹脂コーティング等の防錆加工を施すか、あ
るいはステンレス鋼等の耐腐食性材料にて製作されてい
る。
【0024】なお、この支圧体3における収納スペース
5を密閉する蓋6には、防錆グリース注入用の注入孔8
が設けられており、収納スペース5内に防錆グリース9
を封入することができる。この防錆グリース9は、常温
で硬化または粘度が高くなることで、収納スペース5内
の圧着グリップ4を強固に固定することができる。その
ため、支圧体3およびアンボンドPC鋼より線(テンド
ン)2が多少乱暴に取り扱われても、圧着グリップ4は
収納スペース5内で固定されたまま動かないようにな
る。
【0025】この実施形態において永久アンカーのテン
ドンとして使用するアンボンドPC鋼より線2は、防錆
加工に対する信頼性が高いこと、および現場でのハンド
リングが容易なことから採用されている。このアンボン
ドPC鋼より線2は、所定の長さに切断した後、先端部
分のアンボンドシース13(図3参照)を外して圧着グリ
ップ4を取付ける、圧着グリップ加工を実施する。そし
て、この圧着グリップ加工を施したPC鋼線2は、図1
に示したように、圧着グリップ4によって、支圧体3内
(収納スペース5内)に固定する。なお、アンボンドシ
ース13(図3参照)を外した先端部分のアンボンドPC
鋼より線2と、圧着グリップ4とは、収納スペース5内
へ注入される防錆グリース9にて防錆処理が施される。
【0026】この実施形態での圧着グリップ4は、図3
の(a) に示すように、略円筒形状に形成されている圧着
グリップ本体4aと、この圧着グリップ本体4aを貫通して
おり、アンボンドPC鋼より線2が挿入されるPC鋼線
挿入孔4bと、このPC鋼線挿入孔4bの内周面に設けられ
ている摩擦抵抗増大用インサート12と、アンボンドPC
鋼より線2の挿入側端部4cにおけるPC鋼線挿入孔4bの
内周面に形成されており、摩擦抵抗増大用インサート12
が装着されていないインサート未装着部分4dとから構成
されている。
【0027】また、PC鋼線挿入孔4bにおけるインサー
ト未装着部分4dの内周面は、圧着加工の完了後に、内包
したアンボンドシース13内へ食込んだ状態となるように
形成されている。この実施形態では、図3の(a) に示す
ように、圧着グリップ4のPC鋼線挿入孔4bの内周面に
おけるインサート未装着部分4dに、シース押さえ用溝4e
を形成する。そして、このシース押さえ用溝4eの開口縁
部が圧着加工時にアンボンドシース13内へ食込んだ状態
となるようにすることで、圧着グリップ4をアンボンド
PC鋼より線2へ取付けるための圧着加工の際にアンボ
ンドシース13が押さえられ、圧着グリップ4の圧着取付
け後に収縮してもアンボンドシース13が圧着グリップ4
から抜けることがないようにする。このシース押さえ用
溝4eとしては、図3に示した形態の他に、図4に示すよ
うに、断面略ネジ山状とすることや、複数本形成するこ
とも考えられる。
【0028】なお、このインサート未装着部分4dの内周
面をアンボンドシース13内へ食込んだ状態とする手段と
しては、前述したシース押さえ用溝4eを形成するものの
他に、図5に示すように、インサート未装着部分4dの内
周面(内径)を、摩擦抵抗増大用インサート12側からア
ンボンドPC鋼より線2の挿入側端部に向かって小さく
して形成する、所謂、テーパ状に形成することも考えら
れる。このようにすれば、アンボンドPC鋼より線2の
挿入側端部である、内径の最小径部を、圧着グリップ4
の圧着加工時にアンボンドシース13内へ食込んだ状態と
することができる。
【0029】このような構成からなるこの発明の圧縮方
式永久アンカー1において、そのテンドンであるアンボ
ンドPC鋼より線2の圧着グリップ4への取付けは、図
6に示すように、ダイス14の中へ圧着グリップ4を通す
ことで実施されるダイス引抜き方法での圧着加工によっ
て行われる。なお、この図6における符号15は、圧着グ
リップ4をダイス14の中へ押圧する油圧プランジャーで
ある。
【0030】そして、このダイス引抜き方法で圧着加工
する時において、その圧着加工率φは、圧着グリップの
断面減少率として表され、φ=1−(A0 /A1)=1−
(D1 /D0)2 となる。ここで、φは断面減少率[1−
(A0 /A1)]および圧着加工率[1−(D1
0)2 ]で、A0 はクリップの断面積で、D0 は直径
で、A1 は引抜き後のグリップの断面積で、D1 は引抜
き後の直径である。
【0031】このことから、引抜き前の圧着グリップ4
の直径D0 と、引抜き後の圧着グリップ4の直径D1
の差が大きいほど、圧着グリップ4はアンボンドPC鋼
より線2に強く圧着加工されることとなるが、圧着グリ
ップ4自体が破損してしまう恐れも有る。そのため、圧
着加工を行うときには、一般的に、次に述べるような対
応をしている。即ち、圧着加工率φは13〜25%位が適度
である。また、圧着グリップ4のアンボンドPC鋼より
線2へ取付けは、図6に示したように、ダイス14に通し
て引抜き加工で行われるので、圧着グリップ4の先端
(アンボンドPC鋼より線2の挿入側端部4c)には、そ
の周表面に、図3の(a) および(b) に示すように、テー
パR0 を付ける。さらに、圧着グリップ4は引抜き加工
によって断面減少分だけ伸びるので、圧着グリップ4の
後端にも、その周表面に、図3の(a) および(b) に示し
たように、逃げテーパR1 を付ける。
【0032】そして、この発明のように、アンボンドP
C鋼より線2におけるアンボンドシース13の一部を圧着
グリップ4内に内包して圧着加工するということは、図
3の(b) および(c) に示すように、圧着グリップ4にお
ける摩擦抵抗増大用インサート12内に、アンボンドPC
鋼より線2におけるアンボンドシース13を除去したむき
出し部2aを内包すると共に、図3の(b) および(d) に示
すように、圧着グリップ4における先端のテーパR0
形成さている部分、即ち、摩擦抵抗増大用インサート12
が設けられていない部分4dにアンボンドシース13の一部
を内包することである。
【0033】このようにすれば、圧着グリップ4におけ
る先端のテーパR0 が成形されている部分、即ち、摩擦
抵抗増大用インサート12が設けられていない部分4dは圧
着加工率が低いため、アンボンドシース13を内包して圧
着加工しても、アンボンドシース13が破損してしまうよ
うなことがない。また、この摩擦抵抗増大用インサート
12が装着されていないインサート未装着部分4dである、
圧着グリップ4におけるPC鋼線挿入孔4bの内周面を、
圧着加工の完了後に内包したアンボンドシース13内へ食
込んだ状態となるように形成したことにより、圧着加工
の際に、インサート未装着部分4dの内周面がアンボンド
シース13内に入り込むことで押さえられて、圧着グリッ
プ4の取付け後もアンボンドシース13が圧着グリップ4
内から抜け出ることがない。
【0034】このようにこの発明によれば、従来の圧着
グリップにおいて、アンボンドPC鋼より線2に圧着加
工する際に生じる空隙ΔL(図9参照)の部分が、グリ
ースも除去された非防食に近い状態になるのに対して、
本発明の圧着グリップ4ではアンボンドPC鋼より線2
に取付けた状態でも完全な防食処理を図ることができ
る。なお、圧着グリップ4の先端部分は緊張力がかから
ないため、グラウトによる防食で充分であるが、必要で
あれば、樹脂キャップを被せる。
【0035】また、この発明の圧着グリップ4における
定着効率は、表1に示す引張試験結果から、規格効率で
105.2 %、実効率で98.8%であり、アンボンドPC鋼よ
り線2の規格引張荷重の95%以上を、充分にクリアーし
ている。なお、本発明の圧着グリップ4の定着性能は従
来品と同等である。
【0036】
【表1】
【0037】さらに、この発明の圧着グリップ4の取付
け方法による疲労強度は、図7のグラフに示す疲労試験
結果より、圧着グリップ4の付け根で破断することな
く、アンボンドPC鋼より線2の強度と同等である。従
って、本発明の圧着グリップ4は圧着グリップとして優
れていることとなるが、これは、圧着グリップ4に内包
されたアンボンドシース13が緩衝材となり、圧着グリッ
プ4の先端部にかかる集中応力が緩和されるためで、圧
着グリップ4(定着部)の疲労強度を向上させているか
らである。
【0038】図8は、この発明の圧縮方式永久アンカー
における支圧体の別形態を示すもので、請求項2に記載
した発明に係るものである。ここでの圧縮方式永久アン
カー1は、各アンボンドPC鋼より線2を支圧体3に固
定すべく各アンボンドPC鋼より線2の先端にそれぞれ
設けられている圧着クリップ4と、この各圧着クリップ
4をそれぞれ別個に収納する複数の収納スペース5が形
成されている支圧体3とを備えてなっている。また、各
収納スペース5には、収納スペース密閉用の蓋6と圧着
グリップ4の先端部との間に、圧着グリップ4を常に支
圧体3方向に押付けるバネ部材7が配設されていると共
に、先端部の蓋6に設けられている注入孔8から注入さ
れており、常温で硬化または粘度が高くなることで、収
納スペース5内の圧着グリップ4を固定して動かないよ
うにする防錆グリース9が封入されている。
【0039】そして、この別形態での支圧体3における
収納スペース5は、支圧体3と一体に形成されており、
その形状は円筒形で、その内径は圧着グリップ4の外径
より僅かに大きい寸法に設定してある。また、この円筒
形状の収納スペース5には、密閉用の蓋6が取付けられ
ているが、圧着グリップ4の先端部と蓋6との間にバネ
部材7を設置して圧着グリップ4を常に支圧体3の方向
に押し付けるようにした。これによって、圧着グリップ
4を支圧体3に対して常に垂直に押し付けることができ
る。
【0040】このような別形態の支圧体3を有する圧縮
方式永久アンカー1を使用して、アンカー部分を製作す
ると、支圧体3に形成されている、各アンボンドPC鋼
より線2の先端に設けられている圧着クリップ4をそれ
ぞれ別個に収納する収納スペース5と、収納スペース密
閉用の蓋6と圧着グリップ4の先端部との間に配設した
バネ部材7と、蓋6に設けられている注入孔8から収納
スペース5内へ注入されている防錆グリース9とによ
り、圧着グリップ4が支圧体3に垂直に固定されると共
に、防錆グリース9が常温で硬化または粘度が高くなる
ことにより収納スペース5内に確実に固定されることと
なる。
【0041】そのため、圧縮方式永久アンカー1におけ
る支圧体3とアンボンドPC鋼より線2との固定度は非
常に高いものにすることができる。このことにより、支
圧体3およびアンボンドPC鋼より線2(テンドン)が
多少乱暴に取り扱われても、圧着グリップ4は確実に支
圧体3に固定されて、アンボンドPC鋼より線2が動く
ことはない。また、圧着グリップ4が固定される支圧体
3の収納スペース5には、防錆グリース4が充填される
ので、圧着グリップ4およびアンボンドPC鋼より線2
が錆びることがない。
【0042】
【発明の効果】この発明の圧縮方式永久アンカーにおけ
る、支圧板へのアンボンドPC鋼より線の取付け時に用
いる圧着グリップは、その先端におけるPC鋼線挿入側
の部分(テーパ部分)に防食処理部分(アンボンドシー
ス)の一部を内包できるようにしている。このPC鋼線
挿入側の部分(テーパ部分)は、テーパの傾斜角度が緩
くダイスでの圧着加工率が低いために、アンボンドPC
鋼より線へ圧着グリップを取付けるべく圧着加工して
も、防食処理のアンボンドシースが破損することがなく
その防食効果を確実に保持することができる。また、圧
着グリップのPC鋼線挿入孔における摩擦抵抗増大用イ
ンサートが装着されていないインサート未装着部分の内
周面を、圧着加工の完了後に内包したアンボンドシース
内へ食込んだ状態となるように形成したことによって、
圧着グリップをアンボンドPC鋼より線へ取付けるため
の圧着加工の際にアンボンドシースが押さえられ、圧着
グリップの圧着取付け後に収縮してもアンボンドシース
が圧着グリップから抜けないようにすることができる。
【0043】そのため、これらのことから、この発明の
圧縮方式永久アンカーでの圧着グリップは、その内部
に、アンボンドPC鋼より線のむき出し部と共に防食処
理部分(アンボンドシース)の一部をも内包し固定する
ことができるように構成したことで、圧着グリップのア
ンボンドPC鋼より線への取付け時に取付け部近傍にお
いて、防食処理のアンボンドシースが無くなってアンボ
ンドPC鋼より線がむき出しとなる部分が形成されてし
まうことを防止することができる。
【0044】一方、圧縮方式永久アンカーのテンドンで
あるアンボンドPC鋼より線の先端に設けられている圧
着グリップは、収納スペースおよびバネ部材によって、
支圧体へ垂直に固定されている。しかもその固定度は収
納スペース内に封入される防錆グリースによって高いも
のとなっている。そのため、支圧体およびアンボンドP
C鋼より線(テンドン)が多少乱暴に取り扱われても、
圧着グリップは確実に支圧体に固定されて動くことはな
い。また、圧着グリップが収納される収納スペースには
防錆グリースが充填されているので、圧着グリップおよ
びアンボンドPC鋼より線は錆びることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の圧縮方式永久アンカーにおける支圧
体であり、図2のA部拡大断面図である。
【図2】この発明の圧縮方式永久アンカーを示す概略図
である。
【図3】(a) はこの発明の圧縮方式永久アンカーにおけ
る圧着グリップを示す概略断面図で、(b) は圧着グリッ
プ内へのアンボンドPC鋼より線の挿入状態を示す概略
断面図で、(c) は(b) のB−B線断面図で、(d) は(b)
のC−C線断面図である。
【図4】この発明の圧縮方式永久アンカーにおける圧着
グリップの別形態を示す概略図である。
【図5】この発明の圧縮方式永久アンカーにおける圧着
グリップの別形態を示す概略図である。
【図6】圧着グリップをアンボンドPC鋼より線へ取付
ける時に用いる、ダイスによる圧着加工(ダイス引抜き
方法)を示す概略図である。
【図7】この発明の圧着グリップにおける疲労強度を調
べた疲労試験結果を示すグラフである。
【図8】この発明の圧縮方式永久アンカーにおける支圧
体の別形態を示す概略図である。
【図9】従来の圧着グリップを示す概略図である。
【符号の説明】 1…圧縮方式永久アンカー、2…アンボンドPC鋼より
線、2a…むき出し部、3…支圧体、4…圧着クリップ、
4a…圧着グリップ本体、4b…PC鋼線挿入孔、4c…挿入
側端部、4d…インサート未装着部分、4e…シース押さえ
用溝、5…収納スペース、6…蓋、7…バネ部材、8…
注入孔、9…防錆グリース、10…貫通孔、11…応力伝達
用コイル、12…摩擦抵抗増大用インサート、13…アンボ
ンドシース、14…ダイス、15…油圧プランジャー、16…
固定用金具、17…固定用ボルト。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のアンボンドPC鋼より線の先端に
    支圧体を設けてなる圧縮方式永久アンカーであり、 前記各アンボンドPC鋼より線を支圧体に固定すべく、
    各アンボンドPC鋼より線の先端にそれぞれ設けられて
    いる圧着グリップと、この各圧着クリップを収納する収
    納スペースが形成されている支圧体とを備えてなり、 前記収納スペースには、収納スペース密閉用の蓋が設け
    られていると共に、この蓋に設けた注入孔から防錆グリ
    ースが封入されており、 前記圧着グリップには、前記アンボンドPC鋼より線の
    先端部における防食処理のアンボンドシースを除去して
    形成したむき出し部に、摩擦抵抗増大用インサートを介
    して圧着するPC鋼線挿入孔が形成されていると共に、
    このPC鋼線挿入孔における前記アンボンドPC鋼より
    線の挿入側端部の内周面に、前記アンボンドシースの一
    部を内包することができるように前記摩擦抵抗増大用イ
    ンサートを装着していないインサート未装着部分が形成
    されており、 前記インサート未装着部分は、その内周面が、圧着時に
    内包したアンボンドシース内へ食込んだ状態となるよう
    に形成されて いることを特徴とする圧縮方式永久アンカ
    ー。
  2. 【請求項2】 前記支圧体の収納スペースは、前記各圧
    着グリップをそれぞれ別個に収納できるように複数形成
    されていると共に、この各収納スペースの内部には、前
    記収納スペース密閉用の蓋と前記圧着グリップの先端部
    との間に、圧着グリップを常に支圧体方向へ押付けるバ
    ネ部材が配設されていると共に、前記蓋に設けた注入孔
    から防錆グリースが封入されていることを特徴とする請
    求項1記載の圧縮方式永久アンカー。
JP09136623A 1997-05-27 1997-05-27 圧縮方式永久アンカー Expired - Lifetime JP3094949B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09136623A JP3094949B2 (ja) 1997-05-27 1997-05-27 圧縮方式永久アンカー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09136623A JP3094949B2 (ja) 1997-05-27 1997-05-27 圧縮方式永久アンカー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10325142A JPH10325142A (ja) 1998-12-08
JP3094949B2 true JP3094949B2 (ja) 2000-10-03

Family

ID=15179636

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09136623A Expired - Lifetime JP3094949B2 (ja) 1997-05-27 1997-05-27 圧縮方式永久アンカー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3094949B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100413550B1 (ko) * 2000-11-28 2003-12-31 김지호 제거형 앵커정착장치
KR100403280B1 (ko) * 2000-12-02 2003-11-01 김 희 봉 스프링내장 제거형 어스앵커
KR100819536B1 (ko) 2007-02-02 2008-04-08 희 봉 김 영구형 앵커
KR101050895B1 (ko) * 2009-04-07 2011-07-20 (주)신성피씨 보강 앵커용 압착그립

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10325142A (ja) 1998-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6235041B2 (ja) ロープの端末定着方法および端末定着具付きロープ、ロープの端末定着方法に用いる端末金具
US8485758B2 (en) Yieldable cone bolt and method of manufacturing same
JPS5920615A (ja) プレストレストコンクリ−ト用束緊張材のための定着装置及び接続装置
JP3094949B2 (ja) 圧縮方式永久アンカー
US3422501A (en) End anchorage for prestressing steel strands for use in prestressed concrete structures
JP3179731B2 (ja) 緊張材用定着具
JP3330107B2 (ja) Pc鋼材の定着部構造およびpc鋼材の定着部における緩衝材の注入方法
KR100742532B1 (ko) 원형 강관으로 섬유긴장재를 보호한 정착장치
JP2924930B2 (ja) Pc鋼より線の定着端部
KR100454636B1 (ko) Pc강재의 압착클립
JP6779551B1 (ja) 圧着グリップ及びそれを用いたショートアンカー
JP2787286B2 (ja) 鋼製引張材端部定着装置及びその組立方法
JP2002242437A (ja) 緊張材の定着方法
JP2787288B2 (ja) 鋼製引張材定着装置の製造方法
JP3827609B2 (ja) Pc鋼線定着具のグラウト用カバー
JPH031520Y2 (ja)
JP2780614B2 (ja) 圧縮方式永久アンカー
JPH06272384A (ja) 緊張材の定着構造
JPH0412775B2 (ja)
JP3130441B2 (ja) 圧縮型引留クランプ
JPS58553B2 (ja) 緊張用鋼材の端部定着方法
CN114135059A (zh) 用于后浇带内连接无粘结预应力钢绞线的连接器及方法
JP3831817B2 (ja) 防錆被覆pc鋼材の端部定着方法
JPH0853837A (ja) アンボンドpc鋼より線
JPH0721163B2 (ja) エクスターナルpcケーブル定着装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20000704

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120804

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150804

Year of fee payment: 15

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term