JP3093821B2 - 銅アンモニア法再生セルロース多孔性中空糸膜の製造方法 - Google Patents

銅アンモニア法再生セルロース多孔性中空糸膜の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平均孔径が10〜50
0nmである銅アンモニア法再生セルロース多孔性中空
糸膜の製造方法に関する。さらに詳しくは、血漿や血漿
分画製剤あるいは培地などの蛋白質共存溶液から、ウィ
ルスやバクテリアなどの微生物粒子を除去するのに好適
な、銅アンモニア法再生セルロース多孔性中空糸膜の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】血漿あるいは血漿分画製剤などの血液製
剤の使用により血液由来のウィルス、例えばエイズウィ
ルス(HIV)、B型肝炎ウィルス(HBV)、nAn
B型肝炎ウィルス(NANBHV或いはHCV)などに
感染することが、大きな社会問題となっている。血液製
剤に混入するおそれのあるウィルスの不活化方法として
は、加熱処理や化学薬品による処理などが行なわれてい
るが、それら単独の処理だけではウィルスの不活化は充
分でなく、またこれらの方法では血液製剤中の有用蛋白
質そのものも変性するおそれがある。このような背景か
ら、化学的な変性を伴わない物理的なウィルス除去手段
として、膜によるウィルスの分離除去技術への要求が高
まってきている。
【0003】この用途に使用する多孔性中空糸膜の平均
孔径は、除去すべきウィルスの大きさとの関係から10
〜500nmの範囲のものが必要である。また、血液製
剤のような蛋白質共存溶液からウィルスは除去して有用
な蛋白質を実用上充分回収するためには、孔径の分布が
シャープであるとともに、蛋白質が膜素材に吸着してろ
過性能を低下させないことが重要である。このような要
件を充たす中空糸膜としては、現在、銅アンモニア法再
生セルロース多孔性中空糸膜が知られている(特開昭5
9−204912号公報、特開昭59−204911号
公報)。
【0004】従来、この種の中空糸膜の製造方法として
は、セルロース銅アンモニア溶液(以下紡糸原液と称
す)を環状二重紡口の外側紡出口より、上記紡糸原液に
対するミクロ相分離兼凝固液である内部凝固液(以下、
内液と称す)を環状二重紡口の中央紡出口より、同時に
吐出させた後、ミクロ相分離兼凝固液である外部凝固液
いわゆる凝固液(以下、外液と称す)で満たされた紡糸
用ろ斗内を流下、落下させながら凝固を進行させる。次
いで、変更装置を経て、同じく外液で満たされた凝固浴
中を水平方向に走行させながら追加凝固を行なった後、
枠に巻取る方法が採用されていた(図2参照)。
【0005】この方法で製造された銅アンモニア法再生
セルロース多孔性中空糸膜は、エイズウィルス(大きさ
約100nm)を高い除去率で除去することができ、血
漿中の有用蛋白質も高い透過率で回収できる優れた能力
を有していることが確認されている。しかしながら、本
発明者らの検討によれば、該多孔性中空糸膜は、B型肝
炎ウィルス(大きさ約42nm)、nAnB型肝炎ウィ
ルス(同30〜60nm)などの比較的小さいウィルス
に対しては必ずしも充分な除去性能を有しているとは言
えなかった。
【0006】例えば、上述した従来の製造方法で得られ
た平均孔径30nmの膜において、日本脳炎ウィルス
(粒子径約45nm、このウィルスはnAnB型肝炎ウ
ィルスと同じ種類と考えられている)を用いてろ過試験
を行なったところ、ウィルスの対数阻止係数LRVは、
約2.4であり、実用上満足なものではなかった。ここ
で、LRVは、以下のように定義される値である。
【0007】 LRV=log10(No /Nf ) No ;ろ過前の元液中のウィルス濃度 Nf ;ろ過後の濾液中のウィルス濃度 血漿分画製剤製造時に適用されている加熱処理法やSo
lvent/Detergent法などのウィルス不活
化技術のウィルス除去レベルは、通常、LRVで表すと
3〜4と言われており、上記で述べた従来法で得られた
膜では、これらの技術を上回るものが得られなかった。
【0008】従来法の膜でも、より小さな平均孔径をも
つ膜ならば、ウィルス阻止性能は向上するが、相反し
て、蛋白質透過性能が低下して有用な蛋白質の回収率が
低下する問題があった。実用上は、高い蛋白質透過性を
有し、かつ高いウィルス阻止性能をもつ膜が望ましい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、比較
的小さなウィルスについてそのLRVが高い銅アンモニ
ア法再生セルロース多孔性中空糸膜の製造方法を提供し
ようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
用上の問題を解決すべく鋭意努力した結果、実用上充分
な蛋白質透過性を有しながら、B型肝炎ウィルス、nA
nB型肝炎ウィルスなどの比較的小さいウィルスについ
てもそのLRVが5以上であるような、銅アンモニア法
再生セルロース多孔性中空糸膜の製造方法を発明するに
至った。
【0011】即ち、本発明は、セルロース銅アンモニア
溶液からなる紡糸原液と上記紡糸原液に対してミクロ相
分離を生起させる溶液を凝固液として用いて中空糸膜を
製造するに際し、凝固浴としてU字型細管を用いること
を特徴とする銅アンモニア法再生セルロース多孔性中空
糸膜の製造方法、である。本発明の銅アンモニア法再生
セルロース多孔性中空糸膜の製造方法は、水酸基をもた
ず、28重量%のアンモニア水溶液への溶解度が10重
量%以上で、かつセルロースを膨潤させない有機溶媒を
少なくとも1種含み、しかもセルロース銅アンモニア溶
液に対してミクロ相分離を生起させる組成を有する混合
溶液を凝固液(外液、内液の両方)として用いることを
特徴としている。
【0012】上記の凝固液を採用することによって、初
めて銅アンモニア法再生セルロース多孔性中空糸膜の製
造が可能になるのであるが、この凝固は、例えば水酸化
ナトリウムなどのアルカリ水溶液あるいは硫酸などの酸
水溶液による凝固に比べて、はるかに凝固速度が遅いこ
とが一つの特徴である。そのために、従来の紡糸方法
は、通常、図2のように、まず環状二重紡口の外側紡出
口より紡糸原液、該環状二重紡口の中央部紡出口より内
液を、同時に吐出させる。その吐出された紡糸原液を外
液で満たされた1m以上の長さを有する紡糸ろ斗内を流
下延伸させつつ凝固を進めた後、変向装置を介して横方
向に変向することが可能な凝固状態に達した時点で変向
し、同じく外液で満たされた凝固浴中を水平方向にさら
に走行させて追加凝固を行なった後、巻取っていた。
【0013】この紡糸方法では、いかなる紡糸条件をと
っても、あるいは中空糸膜の寸法をどのように変えて
も、本発明の目的とする、蛋白質の透過性が良好で、か
つB型肝炎ウィルスやnAnB型肝炎ウィルスなどの比
較的小さいウィルスのLRVが5以上のものは得られな
かったのである。本発明による銅アンモニア法再生セル
ロース多孔性中空糸膜の膜構造形成過程は、下記のごと
きものであると考えられている。
【0014】即ち、紡糸原液が、ミクロ相分離を生起さ
せる凝固液中に吐出されると、セルロースの濃厚なる相
が直径0.01〜数μmの粒子として分散した、いわゆ
るミクロ相分離状態が形成される。ミクロ相分離状態の
生起は、紡糸中の中空糸膜の失透現象によって直接肉眼
観察するか、あるいは紡糸後の中空糸膜の電子顕微鏡観
察により直径0.02μm以上、1μm以下の粒子の存
在により確認できる。
【0015】ミクロ相分離により形成されたこれらの粒
子は、衝突、融合しつつ更に大きな粒子として成長しな
がら、同時に凝固液の凝固作用によりこれらの粒子が次
第に液体状態から固化しはじめ、ついには粒子が三次元
的につながった膜構造が固定されて多孔膜構造が完成さ
れる。このようにして形成された膜中の微細孔によって
ウィルスなどの微小粒子を捕捉し除去するのであるが、
本発明者らは、鋭意研究の結果、ミクロ相分離法による
多孔性中空糸膜の製造方法においては、ミクロ相分離の
生起から膜構造の固定化に至る段階(いわゆる凝固段
階)で、ミクロ相分離粒子の成長と融合によって形作ら
れる膜構造を、可能な限り破壊しないように維持するこ
とが、ウィルスなどの微小粒子の除去性能の高い膜を得
るための必須条件であることを見いだした。
【0016】特に、従来法による中空糸の紡糸方法で
は、中空糸の走行に伴い必然的に発生する各種の抵抗
(凝固浴の浴抵抗、糸条支持物と糸との接触による摩擦
抵抗など)により、中空糸を引き伸ばそうとする延伸力
が、常に中空糸に作用し、形成されつつある、あるいは
既に形成された膜構造を破壊し、不均一なボイド構造を
生じさせていることに気づき、本発明を着想するに至っ
た。
【0017】従来、通常の湿式紡糸繊維の製造において
は、紡糸過程(凝固過程を含む)の延伸は糸条強度を向
上させるものとして、一般的には好ましいものと考えら
れてきた。しかしながら、ミクロ相分離による多孔性中
空糸膜の製造においては、上述したような理由によっ
て、このような延伸は可能な限り避けるべきである。本
発明者らは、これを実現する具体的手段として、凝固浴
にU字型細管を用いることが最も効果的であり、また効
率的であることを見いだした。
【0018】次に、本発明を図面に基づき具体的に説明
する。図1は、本発明の製造方法の一例を示す模式図で
ある。本発明で用いられるU字型細管4とは、図1のよ
うに実質的に鉛直に立てられた二本のろ斗細管の下部が
U字型の管ないしは内部流路がU字管形状を有する接続
装置によって液密に連結された装置を意味する。
【0019】まず、環状二重紡口1の外側紡出口より紡
糸原液Aを、該環状二重紡口の中央紡出口より上記紡糸
原液に対するミクロ相分離兼凝固液である内液Bを、同
時に吐出し、紡出筒2、さらに、ろ斗細管の一方の管
(以下、下行管と呼ぶ)4aに導入する。このとき、紡
糸原液に対してミクロ相分離兼凝固液である外液Cは紡
出筒に設けられた入口より供給される。紡出筒の大部分
あるいは全体、U字型細管には、外液が満たされた状態
で、定常的に送液され、紡糸原液とともに、下行管中を
流下する。
【0020】紡糸原液を紡出筒に導入する場合、エアギ
ャップ長(エア中の走行長さ)を設けて外液中に導入し
ても、あるいは直接外液に導入してもよい。エアギャッ
プ長は、紡糸原液が真っすぐに進入する長さが好まし
い。本発明の場合は、好ましくは10cm以内である。
下行管中を流下している段階で、紡糸原液は、中空糸膜
の形状を有するようになり、この中空糸膜は、U字型細
管の下端のU字部において変向され、紡糸ろ斗細管のも
う一方の管(以下、上行管と呼ぶ)4b中を外液ととも
に上昇し、上行管の開口部より引き出され巻取枠10に
巻取られる。
【0021】このようにして、紡糸原液は、U字型細管
中で、内液、外液の作用により、ミクロ相分離を生じつ
つ、引き続き凝固が進行する。このようなU字型細管を
用いて紡糸を行なえば、中空糸膜は下行管および上昇管
のいずれにおいても管壁に接触することなく凝固浴中を
走行させることができる。さらに、このとき、U字型細
管の下端に、中空糸膜に対して駆動力を及ぼす回転体
(以下、駆動変向ロールと呼ぶ)5を設ければ、下端の
U字部における中空糸膜とU字管壁との接触抵抗により
必然的に中空糸膜に作用する延伸力も実質的にゼロにす
ることができる。
【0022】このとき、駆動変向ロールの速度が、巻取
速度より極端に遅い場合は、上行管中で、当然延伸がか
かるようになり、好ましくない。本発明では、駆動変向
ロール速度と巻取速度の関係は、その速度差が20%以
下にあることが望ましい。さらに、本発明では、凝固浴
中の浴抵抗を抑えることに大きな長所がある。この浴抵
抗は、U字型細管中の凝固液(外液)の流速を、可能な
限り大きくすることによって最小限に抑えることができ
る。しかし、この時、外液流速が速くなりすぎると、下
行管中での中空糸膜の糸揺れが激しくなり紡糸が困難に
なるので、適切な値に設定する必要がある。最も好まし
くは、下行管で中空糸膜の糸揺れが生じない範囲での最
大流速を選ぶことである。
【0023】本発明は、上記のようにして、凝固段階に
おいて中空糸膜に対して実質的に糸長方向の延伸がかか
らないように紡糸することを特徴とする銅アンモニア法
再生セルロース多孔性中空糸膜の製造方法を提供するも
のである。U字型細管の径は、大きい方が紡出作業は容
易であるが、凝固液量を多量に必要とするために小さい
方が望ましく、3mm〜20mmの間が好適である。よ
り望ましくは、5mm〜10mmの間である。
【0024】U字型細管の長さは、中空糸膜構造の形成
に対応して適切な凝固時間を与え得るものでなければな
らないために、中空糸膜の紡糸速度に対応して適切な長
さに設定されることが好ましい。U字型細管の材質は、
凝固液に対して耐久性のある素材であればどのような素
材でも使用することが可能であるが、紡糸状態を観察す
ることのできる透明の材質が望ましく、例えば、ガラ
ス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオ
ロエチレン等が使用できる。U字型細管の、紡糸ろ斗細
管および下部のU字型の管は、紡糸原液が付着しにくい
ため紡出作業が容易であるという特徴をもつポリテトラ
フルオロエチレンが最も好適な材質である。
【0025】本発明の方法によって実用上充分な蛋白質
透過性を有しかつB型肝炎ウィルスやnAnB型肝炎ウ
ィルス等の比較的小さなウィルスについてのLRVが5
以上である性能を有する銅アンモニア法再生セルロース
多孔性中空糸膜が得られる。なお、本発明における銅ア
ンモニア溶液とは、銅とアンモニアを主成分とする溶液
つまりシュバイツアー試薬と呼ばれる濃紺色の溶液であ
り、実質的にセルロースを溶解することのできる溶媒系
を意味するものであり、銅以外の陽イオンあるいはアン
モニア以外の溶媒を一部混入したものも含む。また、セ
ルロース濃度とは、セルロースの銅アンモニア溶液中で
の重量濃度を意味する。
【0026】本発明でいう、平均分子量は、特開昭59
−204912号公報に記載の方法と同一の方法で測定
した。空孔率Pr は、以下の方法で算出する。中空糸膜
の内径、膜厚、長さ、絶乾重量より、見掛け密度ρa
求め、式(1)より空孔率を求めた。 ρa =Wd /Vw =4Wd /π・l(Do 2 −Di 2 ) Pr =(1−ρa /ρp )×100 ……………… (1) Pr ;空孔率 ( % ) Wd ;中空糸膜の絶乾重量 ( g ) Vw ;中空糸膜の体積 (cm3 ) l ;中空糸膜の長さ (cm ) Do ;中空糸膜の外径 (cm ) Di ;中空糸膜の内径 (cm ) ρp ;セルロースの密度 (g/cm3 ) 平均孔径は、以下の方法で算出する。10本の中空糸膜
を束ね、1本毎の有効長さが16cmになるようにモジ
ュールを作成する。このモジュールの一端を閉じ、反対
の多端から200mmHgの圧力をかけ、温度37℃の
水を通す。このとき、この中空糸膜モジュールを通して
出てくる水の量を透水量として測定する。そうして、式
(2)より平均孔径2γを算出する。
【0027】
【数1】
【0028】 2r ;平均孔径 (nm) Kw ;定数(2.0) V ;透水量 (ml/min) d ;中空糸膜の膜厚 (μm) μ ;水の粘度 (cp) p ;圧力差 (mmHg) A ;膜面積 (cm2 ) Pr ;空孔率 ( % ) 日本脳炎ウィルスは、Perkin株から調整し、ろ過
前とろ過後のその力価は、BHK−21細胞を用いてT
CID50で測定した。元液の力価は、1010.5TCID
50(ml-1)であった。ここで、TCID50(50%感
染終末点)法とは、ウィルスの感染量の測定法である。
【0029】まず、測定するウィルス液を10倍段階希
釈し、各希釈液を一定数以上の細胞に接種し、一定期間
培養し、ウィルスによる細胞変性効果(CPE)が認め
られる細胞を陽性とし、認められないものを陰性とす
る。各希釈液における陽性細胞の出現率を、対数プロッ
トし、50%陽性を示す希釈率をTCID50とする。こ
の計算には、Reed−Muenchの方法を用いた。
LRVは、以下の式で計算した。二本脳炎ウィルスをウ
ィルス除去性能の指標として用いた理由は、nAnB型
ウィルスがこの日本脳炎ウィルスと同じ種類と考えられ
ており、また両者の粒子径も同じような大きさにあるか
らである。
【0030】 LRV=1og10(No /Nf ) No ;ろ過前の元液中のウィルスの力価 Nf ;ろ過後のろ液中のウィルスの力価 蛋白質透過率は以下のようにして求めた。まず、ヒヒ新
鮮血液400mlを用意し、これを、4000G、4℃
で10分間遠心分離し、約250mlのヒト新鮮血漿を
得た。ろ過前とろ過後の蛋白質濃度は、次の方法で測定
した。総蛋白、アルブミンの濃度は、自動分析計を用い
て測定した。IgA、IgG、IgMの濃度は、tur
bidimetric免疫測定試薬で測定した。蛋白質
透過率は、以下の式で計算した。
【0031】 SC=(Cf /Co )×100 SC;蛋白質透過率 Cr ;ろ過後の蛋白質濃度 Co ;ろ過前の蛋白質濃度
【0032】
【実施例】以下、本発明の銅アンモニア法再生セルロー
ス多孔性中空糸膜の製造方法を実施例によって具体的に
説明する。
【0033】
【実施例1】コットンリンター(平均分子量1.44×
105 )を公知の方法で調製した銅アンモニア溶液中に
溶解せしめ、ろ過脱泡を行ない、セルロース濃度が5.
7重量%、アンモニア濃度が4.0重量%、銅濃度が
2.1重量%の紡糸原液とした。該紡糸原液を環状二重
紡口の外側紡出口より2.0cc/minで吐出し、同
時に表1に示す条件のアセトン/アンモニア/水より成
る内液を該紡口の中央紡出口より0.7cc/minで
吐出した。
【0034】表1に示した条件のアセトン/アンモニア
/水より成る外液で満たされた、図1に示すU字型細管
を備えた装置に、吐出した紡糸原液を導入して、ミクロ
相分離を生起させるとともに引き続き凝固させ、紡速5
m/minで平枠に巻取った。このとき、ろ斗細管径は
7mm、外液流速は1.0m/min、駆動変向ロール
速度は4.7m/min、律速ロール速度は5m/mi
n、平枠速度は5m/minであった。巻取浴成分は、
30℃の水を用い、40分間巻取った後、さらに巻取浴
と同じ30℃の水に60分間浸漬した。
【0035】しかる後に、3重量%の硫酸水溶液で再生
し、さらに水洗した。得られた中空糸膜をメタノールで
水分を置換し、その後、緊張状態で、50℃、2Tor
rの条件下で真空乾燥させた。こうして得られた中空糸
膜の製造条件と物性を表1に示す。
【0036】
【比較例1】コットンリンター(平均分子量1.44×
105 )を公知の方法で調製した銅アンモニア溶液中に
溶解せしめ、ろ過脱泡を行ない、セルロース濃度が6.
7重量%、アンモニア濃度が4.7重量%、銅濃度が
2.4重量%の紡糸原液とした。
【0037】該紡糸原液を環状二重紡口の外側紡出口よ
り、表2に示した内液を該紡口の中央紡出口より、同時
に吐出せしめ、図2に示す装置を用いて、表1に示す外
液中に導入し、1.6mの長さのろ斗(管径16mm)
を経て、変向棒を用いて変向させ、4.4mの長さの凝
固浴を走行させ、紡速10m/minで巻取った。この
とき、凝固浴の外液は、ろ斗から流れこむようになって
いる。巻取浴成分は、外液と同じ組成の液を用い、40
分間巻取った後、さらに外液と同じ組成の液(浸漬液)
に60分間浸漬した。しかる後に、3重量%の硫酸水溶
液で再生し、さらに水洗した。
【0038】得られた中空糸膜をメタノールで水分を置
換し、その後、緊張状態で、50℃、2Torrの条件
下で真空乾燥させた。こうして得られた中空糸膜の製造
条件と物性を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明の製造方法によると、実用上充分
な蛋白質透過性を有し、かつB型肝炎ウィルス、nAn
B型肝炎ウィルスなどの比較的小さなウィルスについて
そのLRVが5以上である銅アンモニア法再生セルロー
ス多孔性中空糸膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多孔性中空糸膜の製造法を行なう
ための装置の一実施例を示す概略断面図。
【図2】比較例1に使用した装置の概略断面図。
【符号の説明】
1 環状二重紡口 2 紡出筒 3 整流板 4 U字型細管 4a 下行管 4b 上行管 5 駆動変向ロール 6 変向ロールカバー 7 律速ロール 8 排出筒 9 巻取浴 10 巻取平枠 11 巻取水 12 変向棒 13 凝固浴 14 巻取液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−250408(JP,A) 特開 平1−148305(JP,A) 特開 平1−245809(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 71/06 - 71/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース銅アンモニア溶液からなる紡
    糸原液と上記紡糸原液に対してミクロ相分離を生起させ
    る溶液を凝固液として用いて中空糸膜を製造するに際
    し、凝固浴としてU字型細管を用いることを特徴とする
    銅アンモニア法再生セルロース多孔性中空糸膜の製造方
    法。
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