JP2707274B2 - 多孔性再生セルロース中空糸の製造方法 - Google Patents

多孔性再生セルロース中空糸の製造方法

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【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、平均孔径が0.01〜5μmの範囲である多孔
性再生セルロース中空糸の製造方法に関する。さらに詳
しくは、全糸長方向にわたる平均孔径の変動を当該中空
糸の使用目的上問題にならない程度におさえることを目
的とする製造方法に関する。
(従来技術とその問題点) 最近輸血時、血漿製剤投与時においてエイズウイル
ス、B型肝炎ウイルス等に感染するという例が多く、血
漿ないし血漿製剤から膜を用いてこのようなウイルスを
除去しようという要求が強まっている。この用途に使用
する多孔膜としては、有用蛋白質を透過し、かつ、ウイ
ルスを除去するという機能を果たすために蛋白質の吸着
が少ない再生セルロース多孔膜が望ましく、孔径は0.01
〜5μmの範囲であり、さらに透過効率の高い中空糸型
が望ましい。この種の多孔性中空糸の製造方法としては
例えば、特公昭59−204912等が知られている。この方法
によれば、環状紡出口から吐出された銅アンモニアセル
ロース溶液はアセトンとアンモニアを主成分とする凝固
性の水溶液によって凝固された後、硫酸水溶液で再生さ
れる。ところが、その後の検討によれば、アセトンとア
ンモニアを主成分とする水溶液による凝固は、従来から
銅アンモニアセルロース溶液の凝固に用いられている温
水ないし苛性ソーダ水溶液等に比して著しく緩慢であ
り、中空糸の全壁厚方向にわたって充分に凝固が進行
し、所望の平均孔径を有する多孔膜が形成されるために
は数分以上、好ましくは10分以上の凝固時間を必要とす
ることが判明した。一方、このような多孔性中空糸は凝
固段階では糸状が脆弱であり、数分ないし10分以上にわ
たって糸状で走行させながら凝固を行うことはできな
い。そのため、従来は一定長の凝固浴を走行させた後、
凝固浴に浸漬した状態のロールに糸状を巻取、ロール上
で凝固を進行させる方式を採用していた。ところが、こ
の方法では糸長方向に凝固時間が異なるため、糸長方向
に平均孔径の変動が生じる傾向がある上、ロール上で凝
固段階の糸状が扁平化してしまうという問題があった。
この問題を解決するために、一定長の凝固浴を走行し
た後、ただちに硫酸水溶液ないし硫安水溶液によって再
生し、しかる後に巻取を行うという方法を検討した所、
中空糸の壁厚の中に孔径0.01〜5μmの多孔の存在しな
い、いわゆるスキン層が発生するという問題が生じるこ
とがわかった。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は上述のような問題を解決し、糸長方向の
平均孔径の変動が少ない、真円横断面を有する平均孔径
が0.01〜5μmの多孔性再生セルロース中空糸を安定に
製造できる方法を開発すべく、鋭意検討を進めた結果、
本発明に至った。
本発明にかかる多孔性再生セルロース中空糸の製造方
法は、セルロース銅アンモニア溶液を環状紡出口から押
出し、アセトン水溶液からなる凝固浴に浸漬して凝固を
行った後、実質的にアセトン及びアンモニアを含まない
水浴で処理し、次いで硫酸再生浴等で再生を行うことを
特徴とする。
本発明においては、セルロース銅アンモニア溶液を環
状紡出口から押出し、アセトン水溶液からなる凝固浴に
浸漬して凝固を行った後、実質的にアセトン及びアンモ
ニアを含まない水浴で処理を行う。水浴による処理に先
立って行われる凝固処理は一定時間以上行うことが必要
であり、短すぎると、中空糸の壁内にスキンを発生させ
たり、糸状が脆弱になる。最低必要時間は紡糸条件によ
って異なり、一概に決めることはできないが少なくとも
数十秒以上である。
水浴は実質的にアセトン及びアンモニアを含まないも
のであることが必要であり、凝固浴から持ち込まれるア
セトン濃度が高すぎたり、糸状から拡散するアンモニア
濃度が高すぎると所望の効果が得られないため、一定量
以上の新水の供給が必要である。水浴による処理を行っ
た後、糸状は再生され巻取られる。再生は常法の通り、
硫酸水溶液等によって行われる。再生は糸状を再生浴中
に一定時間走行せしめて行うこともできるし、ネツトコ
ンベア上に糸状を振り落してネットコンベア上で行うこ
ともできる。糸状をいったん枠ないしロールに巻取った
後、シャワー等により硫酸水溶液で処理し、しかる後に
水洗することも可能である。本発明の方法で凝固再生さ
れた中空糸は、従来法の中空糸にくらべて、糸長方向の
平均孔径の変動がなく、かつ、真円横断面形状が良く保
持されたものであった。さらに驚くべきことに、本発明
の中空糸は従来法の中空糸に比べて、平均孔径が大き
く、かつ、空孔率が高いという特長を有していた。この
傾向は紡糸条件によるが一般に水浴の温度を高くする程
大きくなる。しかし、水浴の温度が高すぎると糸状中の
水酸化銅が脱水して酸化銅にかわり、その後の脱銅処理
が困難となる。水浴温度は水浴での処理時間(即ち、水
浴長)との関係で適宜設定すべきであるが、20〜95℃の
範囲で設定可能であり、好ましくは35〜70℃の範囲であ
る。後者の範囲であれば比較的短い水浴長で所望の効果
を得ることができる。第1図は本発明の製造方法の1例
を示す模式図である。1は環状紡出口、2は紡糸ロ斗、
3は凝固浴、4は温水浴、5は再生浴、6は酸を水洗す
るための水洗浴である。7、8、9、10は律速ロール、
11は巻取ロールである。
なお、本発明方法における銅アンモニア溶液とは、銅
とアンモニアを主成分とする溶液で、シュバイツアー試
薬と呼ばれる濃紺色の溶液であり、実質的にセルロース
を溶解することのできる溶媒系を意味するものであり、
銅以外の陽イオンあるいはアンモニア以外の溶媒を一部
混入したものも含む。
本明細書中に用いられる技術用語(物性値)の定義と
その測定方法を以下に示す。
平均分子量は特公昭59−204912に示す方法と同一の方
法で測定した。空孔率Prは以下の方法で算出する。膜
厚、面積、重量測定から中空糸の見掛け密度ρaを求
め、空孔率を式(1)で求める。
ρa=Wd/Vw=4Wd/πl(Do2−Di2) Pr(%)=(1−ρa/ρp)×100 (1) ρp;セルロースの密度(g/cm3) Wd;中空糸の絶乾重量(g) l;中空糸の長さ(cm) Di;中空糸の内径(cm) ρp;中空糸の見掛け密度(g/cm3) Vw;中空糸の見掛け体積(cm3) Do;中空糸の外径(cm) 平均孔径は以下の方法で算出する。10本の糸を束ね、
16cmの有効長さになるようにモジュールを作成する。こ
のモジュールの一端を閉とし、多端に200mmHgの圧力を
かけ、37℃で水を通す。このとき膜を通して出てくる水
の量を透水量として測定する。あらかじめ、乾燥状態で
内径と膜厚を測定する。この値から膜面積を算出する。
平均孔径(nm)は式(2)で算出される。
2=2×(Kw・V・d・μ/P・A・Pr) (2) 2r;平均孔径(nm) V;透水量(ml/分) d;膜厚(mm) Pr;空孔率(%) Kw;常数(2.0) A;膜面積(cm2) P;圧力差(mmHg) μ;水の粘度(cp) 本発明方法で得られた多孔性再生セルロース中空糸が
利用できる分離対象は、水を含む液体または気体混合物
中の目的とする成分の分離除去、例えば、血液からのウ
イルス、血漿分離用中空糸などである。その他限外濾過
膜としても利用できる。
以下、本発明方法を実施例により具体的に説明する。
(実施例1〜12) セルロースリンター(平均分子量1.44×105)を公知
の方法で調整した銅アンモニア溶液中に溶解せしめ、濾
過脱泡を行ない、セルロース濃度8.0重量%、アンモニ
ア濃度6.1重量%、銅濃度2.9重量%の紡糸原液とした。
また、同一のセルロースリンターを用い、同一の方法で
セルロース濃度7.0重量%、アンモニア濃度5.32重量
%、銅濃度2.52重量%の銅アンモニア溶液中に溶解せし
め、濾過脱泡を行ない、紡糸原液とした。紡糸機として
第2図に示すような装置を使用した。第2図の装置にお
いて21は環状紡出口であり、ロ斗(22)の長さは2.5m、
凝固浴(23)の長さは4.2m、水浴(24)の長さは0.7mの
ものを用いた。25は律速ロールであり、26は巻取ロー
ル、27は巻取浴である。
第1表に示す条件で、紡糸原液を環状二重紡口の外側
環状紡出口(外径2.0mm)より凝固液中に吐出させ、中
空剤を環状二重紡口の内側紡出口(内径0.6mm)より吐
出させた。、その後、実質的にアセトン及びアンモニア
を含まない状態に保持した水浴(24)を通し、硫酸水溶
液の入った巻取浴(27)中で紡速10〜20m/分で巻とっ
た。その後、2重量%硫酸水溶液で充分再生し、しかる
後水洗した。得られた中空糸をアセトン又はメタノール
で水分を置換し、その後緊張状態で風乾して各物性を測
定した。結果を一括して第1表に示す。
(比較例1〜4) 紡糸原液を第2表に示す条件で実施例と同一の環状二
重紡口から吐出させ、アセトンとアンモニアからなる水
溶液の入った巻取浴中で紡速10〜20m/分で巻とった。そ
の後、2重量%硫酸水溶液で再生し、しかる後水洗し
た。得られた中空糸をアセトン又はメタノールで水分を
置換し、その後緊張状態で風乾して各物性を測定した。
結果を一括して第2表に示す。
比較例では、ロール巻取では10分以上巻けないし、先
に巻かれた糸は後から巻かれた糸に押されて真円状態を
保てなかった。また、第3図及び第3表に示すように、
アセトンとアンモニアからなる巻取浴での浸漬時間を変
化させると平均孔径の変化が大きく、糸長方向に平均孔
径の変動の少ない多孔膜中空糸が得られない。第3図
は、第2図の装置において水浴(24)ならびに巻取浴27
に第2表の比較例2に示す条件でアセトンとアンモニア
からなる凝固液を入れ、短時間巻取、巻取浴での浸漬時
間を変化させたときの平均孔径の変化を示す図である。
第4図〜第7図は、実施例の結果と比較例の結果をま
とめて示したもので、第4図、第5図はセルロース濃度
8重量%(実施例1〜4、比較例1)の結果であり、水
浴に流した水の温度により平均孔径が大きく変化し、か
つ、空孔率の向上が見られる。第6図、第7図はセルロ
ース濃度7重量%(実施例5〜8、比較例3)の結果で
あるが、同様の傾向が見られる。
(発明の効果) 第4図〜第7図からも明らかなように、水溶が実質的
にアセトン及びアンモニアを含まない本発明の方法によ
れば、平均孔径が大きく、空孔率が高く、糸長方向の平
均孔径の変動のない優れた中空糸が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の製造方法の1例を示す模式図。第2図
は実施例で使用した紡糸装置の模式図。第3図は比較例
2における浸漬時間を変化させたときの平均孔径の変化
を示した図。 第4図〜第7図は、実施例と比較例を対比した図で、第
4図はセルロース濃度8%の場合の空孔率、第5図はセ
ルロース濃度8%の場合の平均孔径、第6図はセルロー
ス濃度7%の場合の空孔率、第7図はセルロース濃度7
%の場合の平均孔径を示す。 121……環状紡出口、8……律速ロール 2,22……ロ斗、9……律速ロール 4,24……水浴、10……律速ロール 5……再生浴、11,26……巻取ロール 6……水洗浴、3,23……凝固浴 7……律速ロール、27巻取浴 25……律速ロール

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔性再生セルロース中空糸の製造方法に
    おいて、セルロース銅アンモニア溶液を環状紡出口より
    押出し、アセトン水溶液からなる凝固浴に浸漬して凝固
    を行った後、実質的にアセトン及びアンモニアを含まな
    い水浴で処理し、次いで、再生を行うことを特徴とする
    平均孔径が0.01〜5μmであり、全繊維長にわたって連
    続貫通した中空部を有し、かつスキンのない多孔性再生
    セルロース中空糸の製造方法。
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