JP3093478B2 - タイヤ滑り止め装置の締付具 - Google Patents

タイヤ滑り止め装置の締付具

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JP3093478B2
JP3093478B2 JP04262059A JP26205992A JP3093478B2 JP 3093478 B2 JP3093478 B2 JP 3093478B2 JP 04262059 A JP04262059 A JP 04262059A JP 26205992 A JP26205992 A JP 26205992A JP 3093478 B2 JP3093478 B2 JP 3093478B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、タイヤ滑り止め装置
の滑り止め本体のタイヤ外側における幅方向端部に取り
付けられる締付具に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のタイヤ滑り止め装置の締付具と
しては、たとえば特開昭63−227410号公報に開
示された機構のものが提案されている。この締付具の一
例を挙げると、カムクリートを回動自在に軸支するボデ
ーの貫通孔に、可撓性を有するロープの中間部を出入自
在に挿通し、このロープの一端はボデーに連結してルー
プ状に形成するとともに、ロープの両端にゴムバンドの
両端を連結することにより、ゴムバンドをループ状に形
成し、ボデーのカムクリートは、ロープの長手方向の一
方向に付勢されたばねでロープを貫通孔の内壁との間に
挟持し、カムクリートをばねの付勢力の方向とは反対方
向に回動させることにより、ロープの挟持状態を解除す
る構造になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のタイヤ滑り止め
装置の締付具は、車両の走行時においては、ゴムバンド
の引張力によってロープが一方向にのみ移動可能に引張
られ、これは反対方向の移動はカムクリートに作用する
ばねの付勢力によって阻止されるため、ロープは常に所
定張力を維持してタイヤ滑り止め装置をタイヤ外周に確
実に保持するという機能を有している。
【0004】しかしながら、この締付具のカムクリート
は、ばねの付勢力を利用しているため、カムクリートの
作動がばねの耐久寿命によって影響を受け、長期間使用
すると作動が不確実になるのを免れないという問題があ
る。この発明は、上記のような問題を解決して、作動機
構が部品の耐久寿命による影響をほとんど受けることな
く、長期間にわたって信頼性の高い作動が保証されるタ
イヤ滑り止め装置の締付具を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明は、無端状のループを2重に形成した2重
ループ状バンドと、この2重ループ状バンドを係止する
バックルとを備え、タイヤ滑り止め装置の滑り止め本体
のタイヤ外側に配置される幅方向端部に掛け止めてタイ
ヤに装着する締付具において、可撓性を有する非伸長バ
ンド部に、この非伸長バンド部より短くて可撓性を有す
る伸長バンド部を無端状に結着して1つの輪としたバン
ド部材を、両端に非伸長バンド部の一部を位置させて
重に折り畳んで、非伸長バンド部の一部と伸長バンド部
とで形成される第1のループと、非伸長バンド部の他部
のみにより形成される第2のループとからなる2重ルー
プ状バンドと、該2重ループ状バンドの両端の前記非伸
長バンド部の一部により形成される折返し部を係止する
バックルとを備え、前記バックルは、2重ループ状バン
ドの少なくとも一端の折返し部が掛け回され、且つ非伸
長バンド部の張力により回転自在に軸支されたクリート
と、一方の回転位置におけるクリートの周りに非伸長バ
ンド部が周回可能なスペースをもって形成されたバンド
通路とを有し、前記クリートはバンド通路に対向する2
面のうち少なくとも第2のループの非伸長バンド部が掛
け回される面に、タイヤ外面を含む平面にクリートを投
影した外形線からクリートの回転中心軸までの距離が非
伸長バンド部の外周り方向に向かって順次増大する凸状
部を形成した六面体であって、他方の回転位置において
該凸状部とバンド通路の壁面との間に非伸長バンド部を
圧接してクリートの周りの内周りを阻止するロック機構
を有するとともに、クリートの正面側に突設されてクリ
ートをロック位置とは反対位置に回転させるロック解除
ピンを有する構成としてある。
【0006】
【作用】この発明の締付具は、2重ループ状バンドの
2のループの非伸長バンド部をクリートの周りに第2の
ループの大きさが拡大する方向に周回させるときは、ロ
ック解除ピンを回転してクリートをロック解除位置に保
持した状態で周回させる。タイヤに装着されたタイヤ滑
り止め装置の滑り止め本体に、この発明の締付具を取り
付けるときは、2重ループ状バンドの第2のループを滑
り止め本体の幅方向に止着されているフックへ掛けるに
十分な径となるように、第2のループを当該第2のルー
プの大きさが拡大する方向に引っ張り、非伸長バンド部
をクリートの周りに周回させてループ径を調整したの
ち、まず、第2のループの非伸長バンド部を滑り止め本
体の幅方向端部に止着されているフックに順次掛け止め
し、第1のループの非伸長バンド部を、第2のループ
大きさが縮小する方向に引っ張り、次いで、第1のルー
プの非伸長バンド部及び伸長バンド部を同様に掛け止め
する。
【0007】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は、この発明の締付具を用いてタイヤに装
着されたタイヤ滑り止め装置を示した斜視図である。同
図のタイヤ滑り止め装置40は、いわゆるネットタイプ
の非金属製の滑り止め本体41とその付属部品とからな
り、滑り止め本体41はタイヤコード等の芯材にゴム、
合成樹脂等を被覆して長手方向(タイヤ周方向)に連続
する網目構造に成形した網目部42と、網目部42の長
手方向両端の幅方向に直線状に成形した継手部43,4
4とを備えている。滑り止め本体41の幅方向端部に
は、長手方向に一定間隔をおいて幅方向外側へ延出する
屈曲部分45が形成され、各屈曲部分45には金属製フ
ック46を加締めにより止着してある。滑り止め本体4
1の図示しないタイヤ内側の幅方向端部の屈曲部分にも
同様にフックが止着されており、このフックには両端に
ループ部を有する非伸長性のサイドロープが加締めてあ
る。サイドロープの一端のループ部は滑り止め本体41
の継手部の屈曲部分に連結具(図示せず)を介して取り
付けられており、この連結具がサイドロープの他端のル
ープ部に結着されている。
【0008】上記滑り止め本体41のタイヤ外側に配置
された継手部43,44の各屈曲部分は、この発明の締
付具10のバックル30に設けてある掛止め具39によ
り結合されるとともに、継手部43,44以外の各屈曲
部分のフック46には、締付具10の2重ループ状バン
ド20が掛け止めされている。図2は締付具10の全体
図である。
【0009】締付具10の2重ループ状バンド20は、
可撓性を有する非伸長バンド部21の長さ方向両端に、
可撓性を有する伸長バンド部22を無端状に結着して得
られるバンド部材を非伸長バンド部21が両端側に位置
するように2重に折り畳み、折り畳まれたバンド部材の
非伸長バンド部21のみが第2のループを構成し、伸長
バンド部22は第1のループの一部に含まれるように、
両端の折返し部23,24をつき合わせて2重のループ
状に形成したものである。非伸長バンド部21の素材と
しては、たとえばポリエステル繊維の糸を編成してベル
ト状とした組紐を用い、伸長バンド部22の素材はゴム
紐を用いるのが好ましい。
【0010】上記の2重ループ状バンド20の両端の折
り返し部23,24を係止するバックル30は図3およ
び図4に示すようにナイロン等の合成樹脂を素材として
成形された細長直方体の本体30aと底蓋30cとをね
じ(図示せず)により結合してある。バックル30の本
体30aは、幅方向の一方の側に2重ループ状バンド2
0の折返し部23,24と後述するクリート36とを収
容する室31aが形成され、幅方向の他方の側に掛止め
具39を取り付ける溝31bが形成されている。図4
(a)はバックル30の本体30aに2重ループ状バン
ド20の折返し部23,24とクリトー36とを収容し
た状態を底蓋30cを除去して示す裏面図であり、クリ
ート36はバックル30の長手方向の一方の端部側にお
いて、本体30aの正面壁30bと底蓋30cとに挿通
された軸37に回転可能に支承され、クリート36の正
面側に設けてあるロック解除ピン38を本体30aの正
面壁30bの弧状穴32から外部に突出させてある。
【0011】2重ループ状バンド20の一端の折返し部
23は、バックル30の長手方向一方の側の開口部から
室31aに突設されたサポート34を迂回してクリート
36に周回可能に掛け回し、該バンド20の他端の折返
し部24は、バックル30の長手方向他方の側の開口部
を通して室31aに設けてあるブロック35に周回不能
に掛け止めてある。
【0012】上記クリート36は、平行な平滑面をもつ
表裏面と、この表裏面上に中心をおく直交軸の一軸に対
して同一角度の傾斜をもって対向する平滑な側面と、他
の軸に対して所定の曲率をもって対向する凸曲面36a
とを有する対称六面体である。クリート36の凸曲面3
6aは、図5に示すようにクリート36の表面(正面)
に対する投影線の中心距離、すなわち、タイヤ外面を含
む平面にクリートを投影した外形線からクリートの回転
中心軸までの距離一方の対角部位Pから他方の対角
部位Sに至る間にRmin からRmax に増大する曲線で表
される面をクリート36の中心に関して対称に形成し、
非伸長バンド部21の外周り方向(後述)に向かって曲
率が小さくなるようにしてある。
【0013】同図に破線で示す曲線は、一方の対角部位
Pにおける最小中心距離Rmin を半径とする円を、クリ
ート36の中心を中心として描いたものである。上記の
凸曲面36aは、これと同様に中心距離が順次増大する
基線をもつ多角面、歯形面等からなる凸状部に代えても
よい。バックル30の本体30aの溝31bには、一対
のフック部39aを有する掛止め具39が取り付けてあ
る。
【0014】上記構成の締付具10は、クリート36に
掛け回された2重ループ状バンド20の第2のループの
非伸長バンド部21aをバンド拡径方向Aに引張ると、
この力によりクリート36が軸37を支点として図4
(b)に示すロック位置に回転してクリート36の凸曲
面36aとこれに対向するバンド通路33の壁面との間
に最小幅W1 のすき間が形成され、これと反対に2重ル
ープ状バンド20の第1のループの非伸長バンド21b
をバンド拡径方向Aに引張ると、クリート36は図4
(c)に示すロック解除位置に回転して、クリート36
の凸曲面36Aとこれに対向するバンド通路33の壁面
との間に最大幅W2 のすき間が形成されるように、バン
ド通路33の大きさ・形状、クリート36の凸曲面36
aの中心距離およびクリート36の回転角度と非伸長バ
ンド部21の厚さとの間の関係を調整してある。
【0015】このため、両内第1のループの非伸長バン
ド部21a,21bは、クリート36がロック位置に回
転したときは、クリート36によりバンド通路33の壁
面に圧接されるロック機構が作用するので、クリート3
6の周りの内周りが阻止されるけれども、クリート36
がロック解除位置に回転すると、バンド通路33の幅が
大きくなるので、クリート36の周りを内周りすること
ができるようになっている。
【0016】クリート36の凸曲面36aの最大中心距
離Rmax については、バンド通路33に形成される最小
幅W1 のすき間が非伸長バンド部21の厚さの1/2以
下、好ましくは零となるように設定し、裁断中心距離R
min については、バンド通路33に形成される最大幅W2
のすき間が非伸長バンド部21の厚さよりも少なくとも
1mm程度大きくなるように設定することが必要である。
【0017】また、クリート36の凸曲面36aの中心
距離のRmin からRmax までの変位は、クリート36が
110°程度回転することによって得られるように設定
するのが好ましい。クリート36の回転角が過小である
と、回転角に対応する凸曲面36aの中心距離が急激に
変化するため、非伸長バンド部21がロックされたとき
にすべりが発生する確率が高くなる。クリート36の回
転角については、図5においてロック位置Rとロック解
除位置Qとの間の角度θが50〜60°となるように凸
曲面36aの形状・寸法を設定すべきである。
【0018】上記の締付具10を用いてタイヤ滑り止め
装置40をタイヤ50に装着するに際しては、前もって
2重ループ状バンド20の一端の折返し部23における
第2のループの非伸長バンド部21aをクリート36の
周りに周回させて第2のループ径が第1のループ径より
大きくなるように調整した締付具10を用意する。この
合、第2のループの非伸長バンド部21aを拡径方向
に引っ張るには、バックル30の弧状穴32から突出し
ているロック解除ピンを図6(b)に示す矢印方向Bに
回転させてクリート36をロック解除位置に保持する。
【0019】タイヤ滑り止め装置40の滑り止め本体4
1をタイヤ50の外周に被せ、タイヤ50の外側に配置
された滑り止め本体41のフック46に締付具10の2
重ループ状バンド20の第2のループの非伸長バンド部
21aを掛け止め、第1のループの非伸長バンド部21
bを第2のループ径の縮小方向に引っ張り、タイヤ滑り
止め装置40をタイヤ50に仮掛け止めする。次いでタ
イヤ50をおよそ1/4回転したところで締付具10を
取り外し、タイヤ50の外側に隣接して配置された滑り
止め本体41の継手部43,44の屈曲部分の係止穴に
締付具10のバックル30の掛け止め具39の各フック
部39aを掛け止めして継手部43,44を結合する。
【0020】ここでもう一度締付具10の2重ループ状
バンド20の第2のループ径が第1のループ径より
大きくなるように調整し、タイヤ50の外側に円環状に
配列された滑り止め本体41フック46に締付具10の
2重ループ状バンド20の第2のループの非伸長バンド
部21aを掛け止めした後、第1のループの非伸長バン
ド部21bを第2のループ径の縮小方向に引っ張り、
第1のループの非伸長バンド部21bと伸長バンド部2
2とを掛け止めする。
【0021】これにより、2重ループ状バンド20の非
伸長バンド部21による所定の締付力が、タイヤ50に
装着された滑り止め本体41に与えられる。車両の走行
中に、タイヤ滑り止め装置40に取り付けられた締付具
10の2重ループ状バンド20の第2のループの非伸長
バンド部21aが拡径方向Aの力を受けた場合には、ク
リート36はロック位置に回転し、凸曲面36aが非伸
長バンド部21をバンド通路33の壁面に圧接するロッ
ク機構が作用するから、非伸長バンド部21はクリート
36の周りの内周りが阻止される。このため、第2の
ープは拡径することなく、滑り止め本体41に与えてい
る締付力を維持する。
【0022】また、タイヤ滑り止め装置40に取り付け
られた締付具10の2重ループ状バンド20の第2の
ープの径が過大で緩くなっている場合には、第1のルー
プの非伸長バンド部21bに伸長バンド部22の引張力
による拡径方向Aの力が作用して、クリート36はロッ
ク解除位置に回転し、非伸長バンド部21はクリート3
6の周りを外周りして第1のループの径が拡大し、第2
ループの径は相対的に縮小する。これにより第2の
ープの非伸長バンド部21aは所定の締付力を滑り止め
本体41に与えることになる。
【0023】したがって、車両の走行中に、滑り止め本
体41に与えられている締付具10の締付力に緩みを生
じるような事態が発生した場合においても、2重ループ
状バンド20の第1のループの伸長バンド部22がその
緩みを吸収して非伸長バンド部21の締付力を適正な強
さとなるように調節するから、増締めの必要がなく、タ
イヤ滑り止め装置40に締付具10を取り付けた後は、
締付状態の良否、弛緩の有無等を点検する手間を必要と
しない。
【0024】また、車両が高速で走行しても、締付具1
0の2重ループ状バンド20の非伸長バンド部21によ
り必要な締付力が得られるから、タイヤ滑り止め装置4
0の滑り止め本体41が、タイヤ50の高速回転に伴っ
て発生する遠心力によってタイヤ50の半径方向外側に
拡がるのを完全に抑制し、タイヤ滑り止め装置40の性
能を阻害することはない。
【0025】締付具10のクリート36は、軸37を支
点として回転可能に軸支されているため、2重ループ状
バンド20の張力によりクリート36がロック及びロッ
ク解除の各位置に回転するときに応答性の良い作動が保
証される。さらに、この実施例では、2重ループ状バン
ド20の非伸長バンド部21をサポート34を迂回して
クリート36に掛け回す構成としてあるため、クリート
36の周りの非伸長バンド部21の周回が円滑になるだ
けでなく、クリート36によるロック機構の作動がより
確実になる利点が得られるが、このサポート34は省略
してもよい。
【0026】タイヤ滑り止め装置40に取り付けられた
締付具10を取り外すときは、滑り止め本体41のフッ
ク46に掛け止めてある2重ループ状バンド20の第1
ループの非伸長バンド部21bと伸長バンド部22と
を伸長バンド部22の復元力に抗してフック46から掛
け外したのち、ロック解除ピン38によりクリート36
をロック解除位置に回転した状態を保持し、第2のルー
プの非伸長バンド部21aをクリート36の周りに内周
りさせて拡径することにより、容易に第2のループの非
伸長バンド部21aをフック46から掛け外すことがで
きる。
【0027】タイヤ50に装着されたタイヤ滑り止め装
置40の滑り止め本体41に締付具10を取り付けると
き、2重ループ状バンド20の第1のループの伸長バン
ド部22は長さが長く、タイヤ50の外側に円環状に配
列された滑り止め本体41のフック46に掛け止める際
の伸張率が小さい程作業性が良くなるが、第1のループ
の伸長バンド部22が長すぎると、締付具10を取り付
ける際に第2のループ径を十分に大きくすることができ
ず、滑り止め本体41のフック46に掛け止めることが
できなくなるおそれがある。また、第1のループの伸長
バンド部22の伸張率があまり低すぎると、第2のルー
プの非伸長バンド部21aに常に所定張力を維持するた
めの締付力が不測するおそれがある。逆に第1のループ
の伸長バンド部22の伸張率が高すぎると着脱作業性が
低下する。
【0028】そこで、この発明の締付具10において
は、装着時の第1のループの伸長バンド部22の伸長率
は15〜60%、好ましくは25〜50%、第1のルー
プの円周に対する伸長バンド部22の長さの割合は、5
0〜85%、好ましくは60〜75%に設定するのが良
い。前記実施例では、クリート36の凸曲面36aを対
称2面の双方に形成した場合について説明したが、この
凸曲面36aはクリート36の対称2面のうち、第2の
ループの非伸長バンド部21aが掛け回される面のみに
形成してもよい。
【0029】また前記実施例のバックル30に取り付け
た掛止め具39は、滑り止め本体41の継手部43,4
4の何れか一方のタイヤ外側の屈曲部分に係止させてお
くこともできる。このように掛止め具39を省略したバ
ックル30を用いる場合は、タイヤ50に装着した滑り
止め本体41のタイヤ表側の継手部43,44を前記掛
止め具により結合した後、締付具10のバックル30
は、滑り止め本体41のフック46相互間の任意の位置
に配置された状態で2重ループ状バンド20の掛け止め
が行われることになる。
【0030】なお、この発明の締付具10は、前記実施
例のように2重ループ状バンド20の一端の折返し部2
3のみをバックル30のクリート36に掛け回す場合に
限らず、バックル30の長手方向両端側にそれぞれクリ
ートを軸支し、この一対のクリートに2重ループ状バン
ド20の両端の折返し部23,24を周回可能に掛け回
す構成とすることもできる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の締付具
は、可撓性を有する非伸長バンド部と、この非伸長バン
ド部よりも短い伸長バンド部とからなるバンド部材を
伸長バンド部が第1のループに含まれるように折り畳ん
で2重ループ状バンドを形成し、この2重ループ状バン
ドの少なくとも一端の折り返し部を、バックル内で回転
自在に軸支されたクリートの周りに掛け回し、2重ルー
プ状バンドの非伸長バンド部の張力によってロック位置
となったクリートにより、非伸長バンド部をバックルの
バンド通路の壁面に圧接させるロック機構を設けている
ので、タイヤ滑り止め装置に締付具を取り付けた場合
に、2重ループ状バンドの第1のループの非伸長バンド
部は当該第1のループの大きさが拡大する方向にのみク
リートの周りを周回し、これと反対方向、すなわち前記
第1のループが縮小する方向への周回が阻止され、伸長
バンド部が2重ループ状バンドの緩みを吸収し、非伸長
バンド部が所定の締付力をタイヤ滑り止め装置の滑り止
め本体に与えてタイヤ半径方向外側への拡がりを防止す
る機能が確実に果たされる。
【0032】また、この発明の締付具は、ロック位置の
クリートを回動してロック解除位置に保持するロック解
除ピンが設けてあるので、2重ループ状バンドの非伸長
バンド部に対するロック機構を容易に、かつ確実に解除
することができ、滑り止め本体に装着された締付具の取
り外す操作を簡便、迅速に行うことができる。しかも、
この発明によれば、ばねを使用しないため、締付具の使
用寿命に対してばねの耐久寿命による悪影響がない。さ
らに、締付具を構成する部品が破損するおそれや、使用
寿命に限界のあるものとは異なり、それ自体に可動部を
有しない耐久性にすぐれた部品のみにより構成されたき
わめて平易なロック機構及びロック解除機構を採用して
いるため、保守点検や部品交換の手間が省け、長期間に
わたって信頼性の高い機能を発揮する締付具が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の締付具をタイヤ滑り止め装置に取り
付けた状態を示す斜視図。
【図2】この発明の締付具の実施例を示す正面図。
【図3】この発明の締付具のバックル本体を示す斜視
図。
【図4】図3のバックル本体と2重ループ状バンドの折
返し部との係止状態(a)、バックル本体に軸支された
クリートのロック位置(b)及びロック解除位置(c)
を示す裏面図、同図(b)の左側面図(d)、クリート
の斜視図(e)。
【図5】クリートの正面拡大図。
【図6】図3(a)のバックルと2重ループ状バンドと
の係止状態をクリートのロック位置(a)とロック解除
位置(b)とで示す正面図。
【符号の説明】
10 締付具 20 2重ループ状バンド 21 非伸長バンド部 21a 第2のループの非伸長バンド部 21b 第1のループの非伸長バンド部 22 伸長バンド部 23,24 折返し部 30 バックル 33 バンド通路 36 クリート 36a 凸曲面(凸状部) 38 ロック解除ピン 40 タイヤ滑り止め装置 41 滑り止め本体 50 タイヤ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−227410(JP,A) 特開 昭64−78904(JP,A) 特開 平5−4506(JP,A) 特開 平5−262108(JP,A) 特開 平6−106928(JP,A) 特開 平5−319045(JP,A) 実開 平1−99705(JP,U) 実開 平5−65612(JP,U) 実開 平5−65611(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60C 27/00 - 27/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無端状のループを2重に形成した2重ル
    ープ状バンドと、この2重ループ状バンドを係止するバ
    ックルとを備え、タイヤ滑り止め装置の滑り止め本体の
    タイヤ外側に配置される幅方向端部に掛け止めてタイヤ
    に装着する締付具において、 可撓性を有する非伸長バンド部に、この非伸長バンド部
    より短くて可撓性を有する伸長バンド部を無端状に結着
    して1つの輪としたバンド部材を、両端に非伸長バンド
    部の一部を位置させて2重に折り畳んで、非伸長バンド
    部の一部と伸長バンド部とで形成される第1のループ
    と、非伸長バンド部の他部のみにより形成される第2の
    ループとからなる2重ループ状バンドと、 該2重ループ状バンドの両端の前記非伸長バンド部の一
    部により形成される折返し部を係止するバックルとを備
    え、 前記バックルは、2重ループ状バンドの少なくとも一端
    の折返し部が掛け回され、且つ非伸長バンド部の張力に
    より回転自在に軸支されたクリートと、一方の回転位置
    におけるクリートの周りに非伸長バンド部が周回可能な
    スペースをもって形成されたバンド通路とを有し、 前記クリートはバンド通路に対向する2面のうち少なく
    とも第2のループの非伸長バンド部が掛け回される面
    に、タイヤ外面を含む平面にクリートを投影した外形線
    からクリートの回転中心軸までの距離が非伸長バンド部
    の外周り方向に向かって順次増大する凸状部を形成した
    六面体であって、他方の回転位置において該凸状部とバ
    ンド通路の壁面との間に非伸長バンド部を圧接してクリ
    ートの周りの内周りを阻止するロック機構を有するとと
    もに、 クリートの正面側に突設されてクリートをロック位置と
    は反対位置に回転させるロック解除ピンを有しているこ
    とを特徴とするタイヤ滑り止め装置の締付具。
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