JP3092339B2 - スリーブ包装用熱収縮性積層フィルム - Google Patents

スリーブ包装用熱収縮性積層フィルム

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JP3092339B2
JP3092339B2 JP04217179A JP21717992A JP3092339B2 JP 3092339 B2 JP3092339 B2 JP 3092339B2 JP 04217179 A JP04217179 A JP 04217179A JP 21717992 A JP21717992 A JP 21717992A JP 3092339 B2 JP3092339 B2 JP 3092339B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動包装時に切り離し
用のパーフォレーション部で自己切断されるスリーブ包
装に用いられるスリーブ包装用熱収縮性積層フィルムに
関するものである。特に、缶、瓶、乾電池等の集積包装
におけるスリーブ包装に好適に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、長さ方向の一定間隔毎に幅方向に
断続する切り離し用のパーフォレーションが設けられた
熱収縮性フィルムを、長さ方向に連続する筒状体に形成
し、各パーフォレーション部間に被包装体を挿入させた
後、その被包装体が挿入された筒状体の熱収縮性フィル
ムをそのまま熱収縮トンネル内で加熱収縮させて各被包
装体間のパーフォレーション部を加熱とフィルム自体の
熱収縮応力によって自己切断させると共に、該フィルム
を被包装体の周囲に密着させ、しかも、フィルムの切断
端部も被包装体に密着するように熱収縮させるスリーブ
包装方法が知られている(例えば、特公昭56−125
33号公報等)。
【0003】上記スリーブ包装方法に用いるフィルムと
しては、縦方向よりも横方向に大きな熱収縮性を有する
塩化ビニル樹脂フィルムが好適に用いられている。しか
し、該フィルムは高価で、しかも、廃棄焼却時に有毒ガ
ス等を発生すると云う問題を有している。そこで、安価
でしかも廃棄焼却時に有毒ガス等を発生しない、ポリエ
チレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂から
なる単層又は多層の熱収縮性フィルムの使用が望まれて
いる。しかし、該フィルムは、耐熱性に劣り熱収縮トン
ネル内で白化現象を生じ易いばかりか、上記スリーブ包
装方法における最大の特徴である、熱収縮トンネル内で
の加熱とフィルム自体の熱収縮応力によるパーフォレー
ション部での自動切断性が不十分であり、しかも、切断
端と切断端の間に樹脂が糸状に連なると云うトラブルを
生じていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、自動包装時
に切り離し用パーフォレーション部で自己決断されるス
リーブ包装に用いられる熱収縮性フィルムにおいて、熱
収縮トンネル内での白化現象を押さえ、しかも、パーフ
ォレーション部での自動切断性が良好で、切断端部同士
が糸状の樹脂で連なることもない、ポリオレフィン系樹
脂からなるスリーブ包装用熱収縮性積層フィルムを提供
することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、両表面
層がポリエチレン系樹脂であって、しかも、ゲル分率が
20乃至90%に架橋されたポリエチレン系樹脂からな
り、芯層がポリプロピレン系樹脂であって、しかも、芯
層のプロピレン単位含有量がフィルム全構成樹脂の35
乃至85wt%であるポリプロピレン系樹脂からなるこ
とを特徴とするスリーブ包装用熱収縮性積層フィルムが
提供される。
【0006】即ち、ポリエチレン系樹脂からなる両表面
層を特定の範囲内に架橋させ、しかも、芯層に用いるポ
リプロピレン系樹脂のプロピレン含有量を特定させるこ
とにより、耐熱性とパーフォレーション部での自己切断
性のいずれもが良好になることを見出し、本発明を完成
するに至ったものである。
【0007】本発明におけるポリエチレン系樹脂として
は、低密度ポリエチレンや、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、或は、直鎖状低密度ポリエチレンや直鎖状超低密
度ポリエチレン等のエチレン−α−オレフィン共重合体
等の、エチレン単独重合体や、エチレン単位を主成分と
するエチレン共重合体から選ばれた1種又は2種以上を
混合した樹脂組成物が挙げられる。中で、α−オレフィ
ンが炭素数4乃至6のエチレン−α−オレフィン共重合
体が特に好ましい。
【0008】そして、本発明のスリーブ包装用熱収縮性
積層フィルムにおいては、該ポリエチレン系樹脂からな
る両表面層の架橋度は、ゲル分率が20乃至90%の範
囲内であることが必要である。しかし、両表面層の架橋
度は同じである必要はなく両表面層で異なっていてもよ
い。ゲル分率が20wt%未満では、熱収縮トンネル内
での加熱収縮時に白化現象を生じやすいので、熱収縮ト
ンネル温度を低下させる必要があるため、包装仕上がり
が悪くなるばかりかフィルムの熱収縮応力が弱くなりパ
ーフォレーション部の自動切断性が低下する。しかも、
パーフォレーション部が切り離された際に、切断部に糸
引きを生じ易くなり切断端部同士が糸状の樹脂によって
連なり易い。又、ゲル分率が90wt%を越えると、耐
熱性は更に向上し、しかも、熱収縮応力が向上し、包装
仕上がりは良好になるが、それに合わせてフィルム強度
が強くなり過ぎるためにパーフォレーション部での自己
切断性が低下する。又、筒状体を成形する際のヒートシ
ール性が悪くなったり、パーフォレーションの形成性が
困難になる。
【0009】尚、本発明におけるゲル分率は架橋度を表
わすものであり、次のような方法によって測定されたも
のである。即ち、80メッシュの金網の容器に試料約
0.3gを入れ、100℃、1時間の条件でトルエン抽
出し、残留量を計測したものである。
【0010】両表面層のポリエチレン系樹脂を架橋させ
る方法としては特に限定されるものではないが、一般的
には電子線照射により架橋させる方法が簡単で、しか
も、ゲル分率を容易に特定させることが出来るので有用
な方法である。
【0011】尚、ポリエチレン系樹脂からなる両表面層
の厚みの和は、全体厚みに対し25乃至70%の範囲内
が良好であり、しかも、両表面層は得られるフィルムの
カール発生防止等の面からほぼ同程度の厚みであるのが
好ましい。又、表面層には必要に応じてコロナ放電処理
等の表面活性化処理を施し、印刷や金属蒸着等の加工を
施すことも出来る。
【0012】ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレ
ン単位を主成分とするプロピレン−α−オレフィン共重
合体の単体、或は、該共重合体やポリプロピレンと、ポ
リエチレン系樹脂との混合物等が挙げられる。尚、前記
プロピレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピ
レン−エチレン共重合体やプロピレン−ブテン共重合体
或はプロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体等が挙
げられる。又、ポリエチレン系樹脂としては、前記した
ポリエチレン系樹脂が用いられる。
【0013】そして、該ポリプロピレン系樹脂は、芯層
のプロピレン含有量が全構成の樹脂に対して、35乃至
85wt%の範囲内になるようなプロピレン含有率を有
する樹脂を選ぶことが必要である。プロピレン含有量が
全構成の樹脂に対して35wt%未満になるようなポリ
プロピレン系樹脂を用いると、熱収縮応力が弱くなり、
パーフォレーション部の自己切断性が困難になる。又、
フィルムの腰が弱くなり包装機械適性やパーフォレーシ
ョンの形成性に劣る。逆に、プロピレン含有量が全構成
の樹脂に対して85wt%を越えるようなポリプロピレ
ン系樹脂を用いると、加熱によるパーフォレーション部
の強度低下よりもフィルムの熱収縮応力が強くなり過ぎ
て、フィルムの熱収縮と共に被包装物も引き寄せられて
被包装物間が狭まり、パーフォレーション部の自己切断
性が不良になる。又、熱収縮包装適正温度範囲が高温側
に片寄り、しかも、狭くなるので、包装仕上がりが悪く
なる。
【0014】尚、本発明のスリーブ包装用熱収縮性積層
フィルムには、架橋されたポリエチレン系樹脂からなる
両表面層とポリプロピレン系樹脂からなる芯層から構成
される三層構造のフィルムは勿論、前記三層の他に表面
層と芯層の間に他の樹脂層を含む四層以上の多層構造の
フィルムも含まれる。
【0015】本発明のスリーブ包装用熱収縮性積層フィ
ルムを製造する方法としては、特に限定されるものでは
ないが、次のような方法によって製造するのが好まし
い。即ち、所定の樹脂組成物を所定の厚み構成になる様
に共押出法により積層させ、未延伸積層原反シートを得
る。得られた該原反シートに電子線を照射させて両表面
層が所定のゲル分率になるように架橋を施す。そして、
架橋処理の施された未延伸積層原反シートを再加熱して
延伸加工処理を行なう。延伸方法としては、ロール延伸
方式とテンター延伸方式を組み合わせた逐次二軸延伸方
法、或は、インフレーション方式やテンター方式等によ
る同時二軸延伸方法等、従来一般に用いられている方法
が用いられる。尚、本発明のスリーブ包装用熱収縮性積
層フィルムは、縦方向よりも横方向の熱収縮率が高いも
のが好ましいので、ロール延伸方式によって縦方向に延
伸させた後、テンター方式によって横方向に延伸させる
のが好ましい。又、インフレーション方式によって延伸
させる場合には、未延伸原反シートはチューブ状である
ことが必要であるので、共押出する際の多層ダイは多層
環状ダイを用いることが必要である。
【0016】本発明のスリーブ包装用熱収縮性積層フィ
ルムを用いるスリーブ包装方法としては、前記した特公
昭56−12533号公報に記載されているような方法
で行なわれる。即ち、まず初めに、フィルムの長さ方向
の一定間隔毎に幅方向に断続する切り離し用のパーフォ
レーション部を設ける。次に該フィルムを長さ方向に連
続する筒状体に形成し、各パーフォレーション部間に被
包装体を挿入させる。そして、その被包装体が挿入され
た筒状体の熱収縮性フィルムをそのまま熱収縮トンネル
内に導き、該フィルムを加熱収縮させて各被包装体間の
パーフォレーション部を加熱とフィルムの熱収縮応力に
よって自己切断させる。しかも、該フィルムを被包装体
の周囲に密着するように熱収縮させる。
【0017】
【作用】本発明のスリーブ包装用熱収縮性積層フィルム
は、芯層がポリプロピレン系樹脂からなるので、熱収縮
応力が強く、しかも、両表面層が架橋されたポリエチレ
ン系樹脂からなるので、耐熱性が良好である。そのた
め、パーフォレーション部を高温に加熱することができ
るので、該パーフォレーション部に強い引き裂き応力を
掛けることが出来、その結果、容易に切断させることが
出来る。更に、該ポリエチレン系樹脂は架橋処理が施さ
れているので切断部の糸引きがなく、良好なる切断性を
示す。
【0018】
【実施例及び比較例】以下、実施例及び比較例を示し、
本発明の内容をより具体的に説明する。尚、本発明は、
実施例に記載された事項によってのみ限定されるもので
ないことは当然である。本発明における物性評価、各種
包装適正評価は次のような方法によって評価した。 引張強度、伸び ASTM D882に準拠して測定した。 熱収縮応力 縦横各々幅10mm幅の試料を、チャック間が30mm
のチャックに無負荷でしかも弛みの無いように取り付
け、120℃のグリセリンバスに浸漬させてチャック間
に生じる初期の最大収縮応力を測定した。 パーフォレーション部の形成性 パーフォレーション成形用回転刃によるパーフォレーシ
ョンの形成性を評価した。 ○:パーフォレーションが良好に形成される。 ×:フィルムが硬過ぎたり軟らか過ぎたりして、パーフ
ォレーションの形成性が困難である。 パーフォレーション部の自己切断性 単三乾電池4個の自動包装時における熱収縮トンネル通
過時でのパーフォレーション部の自己切断性を評価し
た。 ○:切断性が良好である。 糸:切断部が糸状の樹脂で連なっている。 ×:被包装体が引き寄せられて切断不良である。 耐熱性 自動包装時における熱収縮トンネル通過時にフィルムが
溶融のため白化しているかどうかを目視で判断した。 ○:白化なし。 ×:白化あり。 ヒートシール性 溶断シール機により最適条件でヒートシールを行ない、
該ヒートシール強度を測定した。 ○:800g/10mm以上を示すもの ×:800g/10mmに満たないもの
【0019】実施例1〜2及び比較例1〜2 両表面層のエチレン系樹脂として、エチレン−ブテン共
重合体(ブテン含有量:15.0wt%、密度:0.9
05g/cm3)を、芯層のプロピレン系樹脂としてプ
ロピレン−エチレン共重合体(プロピレン含有率:95
wt%、)とエチレン−ブテン共重合体(ブテン含有
量:15.0wt%、密度:0.905g/cm3)を
8:2に混合させた樹脂組成物を使用し、厚み構成比が
1:3:1の積層未延伸原反シートを共押出法によって
得た。得られたシートの両面に電子線を照射してゲル分
率が85wt%(実施例1)、76wt%(実施例
2)、95wt%(比較例1)、10wt%(比較例
2)を有するように架橋処理を行なった。得られた各種
シートをロール延伸方式により縦方向に3.0倍の延伸
を行ない、次に、テンター方式により横方向に7.0倍
の延伸を行ない、厚みが25μmのスリーブ包装用熱収
縮性積層フィルムを得た。尚、各フィルムは、芯層のプ
ロピレン含有量がフィルム全構成の樹脂に対し、57w
t%であった。得られた各フィルムの長さ方向に一定間
隔毎に幅方向に断続するような切り離し用のパーフォレ
ーション加工を施し、前記した自動包装時に切り離し用
パーフォレーション部で自己切断されるスリーブ包装方
法によって単三乾電池4個のスリーブ包装を行なった。
その結果を、各フィルムの物性と共に表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】両表面層のポリエチレン系樹脂のゲル分率
が本発明の範囲内にある実施例1及び実施例2のフィル
ムを用いたスリーブ包装体は、耐熱性が良好でトンネル
内で白化現象を生じるようなこともなく、しかも、パー
フォレーション部での自己切断性が良好で、糸引き現象
も生じなかった。両表面層のポリエチレン系樹脂のゲル
分率が本発明の範囲を越える比較例1のフィルムを用い
たスリーブ包装体は、フィルム強度が強すぎるためパー
フォレーション部の自己切断性が劣り、回転刃によるパ
ーフォレーションの成形性も不良であった。又、自動包
装時のヒートシール性も悪かった。両表面層のポリエチ
レン系樹脂のゲル分率が本発明の範囲に満たない比較例
2のスリーブ包装用熱収縮性積層フィルムは、熱収縮応
力が弱くパーフォレーション部の自己切断性が不良であ
った。しかも、フィルムの腰が弱く、包装機械適性やパ
ーフォレーションの形成性に劣っていた。
【0022】比較例3〜4 両表面層のエチレン系樹脂として、実施例1と同じエチ
レン−ブテン共重合体を、芯層のプロピレン系樹脂とし
てプロピレン−ブテン共重合体(プロピレン含有量76
wt%)とエチレン−ブテン共重合体(ブテン含有量:
15.0wt%、密度:0.905g/cm3)を2:
8の割合に混合させた樹脂組成物(比較例3)、又は該
プロピレン−ブテン共重合体単体(比較例4)を使用
し、各種厚み構成比が1:1:1(比較例3)、又は
1:6:1(比較例4)の積層未延伸原反シートを共押
出法によって得た。尚、各フィルムの全構成樹脂に対す
るプロピレン含有量は26wt%(比較例3)及び90
wt%(比較例4)であった。得られた各シートに電子
線を照射して両表面層のゲル分率が85wt%の架橋処
理を行ない、実施例1及び2と同様、ロール延伸方式に
より縦方向に3.0倍の延伸を行ない、次に、テンター
方式により横方向に7.0倍の延伸を行ない、厚みが2
5μmのスリーブ包装用熱収縮性積層フィルムを得た。
得られた各フィルムを用い、実施例1等と同様、単三乾
電池4個のスリーブ包装を行なった。その結果を、各フ
ィルムの物性と共に表2に示す。
【0023】
【表2】 PB:プロピレン−ブテン共重合体 EB:エチレン−ブテン共重合体
【0024】フィルムの全構成樹脂に対するプロピレン
含有率が35wt%未満の比較例3のフィルムを用いた
スリーブ包装体は、熱収縮応力が弱く、パーフォレーシ
ョン部での自己切断性が悪かった。又、フィルムの全構
成樹脂に対するプロピレン含有率が85wt%を越える
比較例4のフィルムを用いたスリーブ包装体は、熱収縮
応力が強く、被包装体である単三乾電池が引き寄せられ
てパーフォレーション部間隔が狭くなり、パーフォレー
ション部の自己切断性が悪かった。
【0025】
【発明の効果】本発明のスリーブ包装用熱収縮性積層フ
ィルムは、熱収縮トンネル内での白化現象がなく、パー
フォレーション部での自己切断性が良好で、切断端部同
士が糸状の樹脂で連なることもないので、高速で自動ス
リーブ包装することが出来る。しかも、包装仕上がりが
良好であるので、缶、瓶、乾電池等の集積スリーブ包装
に好適に使用出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B65D 65/00 - 65/46

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両表面層がポリエチレン系樹脂であっ
    て、しかも、ゲル分率が20乃至90%に架橋されたポ
    リエチレン系樹脂からなり、芯層がポリプロピレン系樹
    脂であって、しかも、芯層のプロピレン単位含有量がフ
    ィルム全構成樹脂の35乃至85wt%であるポリプロ
    ピレン系樹脂からなることを特徴とするスリーブ包装用
    熱収縮性積層フィルム。
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