JP3089618B2 - 上部ランナー - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、家具，家屋内装等
に使用される下荷重タイプの上部側の開閉を案内する上
部ランナーに係る技術分野に属する。

【０００２】

【従来の技術】従来、上部ランナーとしては、戸板の上
部に固定される支持部材と、上部レールに沿って移動す
るガイド部材と、支持部材，ガイド部材を連結する支持
軸とからなるもの知られている。

【０００３】この従来の上部ランナーでは、支持部材，
支持軸の間の組付構造またはガイド部材，支持軸の間の
組付構造に可動調整構造を備えて、戸板の建込みを前後
方向（戸板の厚み方向）に位置調整できるようにする傾
向がある。

【０００４】この位置調整は、戸板の製造段階，運搬段
階での寸法くるいや、建込み後の空調による温度変化に
伴う寸法くるいに対応して、戸板を正確に建込むことが
できる。従って、戸板の建込みが不正確であると戸板同
士の擦過，衝突を引起こす引戸では、位置調整が特に有
効である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前述の従来の上部ラン
ナーでは、支持部材，支持軸の間の組付構造またはガイ
ド部材，支持軸の間の組付構造に可動調整構造を備えな
ければならないため、構造が複雑化するという問題点が
ある。

【０００６】本発明は、このような問題点を考慮してな
されたもので、構造を複雑化することなく戸板の建込み
を前後方向に位置調整することのできる上部ランナーを
提供することを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、本発明に係る上部ランナーは、次のような手段を採
用する。

【０００８】即ち、請求項１では、戸板の上部に固定さ
れる支持部材と、上部レールに沿って移動するガイド部
材と、支持部材，ガイド部材を連結する支持軸とからな
る上部ランナーにおいて、支持軸は回動強制力の付与に
よってのみ段階的に回転可能となる規則的な凹凸構造を
有する円形の嵌合面から支持部材に組付けられ、ガイド
部材は支持軸の回転中心を避けて支持軸に回転可能に組
付けられていることを特徴とする。

【０００９】この手段では、支持軸を回動強制力の付与
で回転させると、ガイド部材が支持軸の回転軸を中心と
して公転し戸板の前後方向へ移動して、戸板の建込みを
前後方向に位置調整する。支持軸への回動強制力の付与
を解除すると、支持軸の回転が阻止されて位置調整が保
持される。ガイド部材の移動が支持部材に対する支持軸
の凹凸構造を有する円形の嵌合面の回転によることか
ら、可動調整域が小さくてすみ構造の複雑化が避けられ
る。

【００１０】また、請求項２では、請求項１の上部ラン
ナーにおいて、支持軸の上部に回動強制力が付与される
溝形の回転操作部が設けられていることを特徴とする。

【００１１】この手段では、溝形の回転操作部に差込ま
れる工具等により回動強制力が付与される。

【００１２】また、請求項３では、請求項１の上部ラン
ナーにおいて、支持部材と支持軸との一方または双方の
嵌合面の周囲に嵌合面に弾性を付与して弾性変形を吸収
する空隙が設けられていることを特徴とする。

【００１３】この手段では、嵌合面の弾性で支持軸が円
滑に回転する。

【００１４】また、請求項４では、請求項１または２の
上部ランナーにおいて、支持部材と支持軸との一方また
は双方に支持軸の回転位置を確認可能な目印を設けたこ
とを特徴とする。

【００１５】この手段では、戸板の建込みの位置調整が
視覚的に確認される。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る上部ランナー
の実施の形態を図面に基いて説明する。

【００１７】この実施の形態は、前述の従来例と同様の
支持部材１，ガイド部材２，支持軸３の３部材からなる
基本構造が採用されている。

【００１８】この実施の形態の支持部材１は、ポリカー
ボネイト等の合成樹脂材の成形により、円筒形の本体部
１１の上部にフランジ１２が設けられた側面Ｔ字形に形
成されている。

【００１９】本体部１１の外周面には、軸方向へ複数条
の楔条１３が設けられている。本体部の内部には、支持
軸３を抜止めする小径段部形の抜止孔１４が設けられて
いる。本体部１１の内周面の上端部寄りには、円形の嵌
合面１５が設けられている。嵌合面１５は、６０度の間
隔を介して本体部１１の軸方向へ刻設された１２条の細
三角溝１５１と、細三角溝１５１によって区画された円
弧形の１２面の平滑面１５２とからなる。本体部１１の
上端部の嵌合面１５の外側には、円環形の空隙１６が刻
設されている。

【００２０】フランジ１２の上面には、本体部１１の嵌
合面１５を２分割するような直線状の目印１７が設けら
れている。フランジ１２の下面には、補強リブ１８が設
けられている。

【００２１】この実施の形態のガイド部材２は、６ナイ
ロン等の合成樹脂材の成形により、支持部材１のフラン
ジ１２の幅よりも少し大きな径のローラ形に形成されて
いる。

【００２２】ガイド部材２の上端面の外縁には、曲形の
面取部２１が設けられている。ガイド部材２の内周面に
は、支持軸３に組付けられる環状突起２２が設けられて
いる。

【００２３】この実施の形態の支持軸３は、ポリアセタ
ール等の合成樹脂材の成形により、円盤形の頭部３１の
下部に偏心した足部３２が設けられたネジ形に形成され
ている。

【００２４】頭部３１の上面には、湾曲して掘込まれた
溝形の回転操作部３３が設けられている。頭部３１の周
面には、ガイド部材２の環状突起２２に対応した環状溝
３４が設けられている。

【００２５】足部３２の周面の頭部３１寄りには、支持
部材１の嵌合面１５に対応した嵌合面３５が設けられて
いる。嵌合面３５は、６０度の間隔を介して軸方向へ刻
設された１２条の細三角突起３５１と、細三角突起３５
１によって区画された円弧形の１２面の平滑面３５２と
からなる。足部３２の中心部には、芯抜き構造の空隙３
６が設けられている。足部３２の下端には、支持部材１
の抜止孔１４に抜止め嵌合する２つ割り構造の弾性突起
３７が設けられている。

【００２６】この実施の形態は、合成樹脂材の成形によ
る支持部材１，ガイド部材２，支持軸３の３部材を組付
けてなるものであるから、安価，容易に製造することが
できる。

【００２７】この実施の形態は、図７に示すように、戸
板Ｄの上端面（上木口面）に掘込まれた取付穴Ｈに支持
部材１の本体部１１を打込み、戸板Ｄの上端面に支持部
材１のフランジ１２を当接させることにより、戸板Ｄに
取付け装着される。戸板Ｄに取付け装着された状態で
は、支持部材１の楔条１３が取付穴Ｈの内壁に食込ん
で、支持部材１が回止めされる。なお、戸板Ｄへの取付
け装着の基本位置は、図５に示すように、支持軸３の回
転操作部３３と支持部材１の目印１７とが一直線にな
て、ガイド部材２の支持部材１のフランジ１２からの両
側の突出長ａ，ｂが同じになるように設定しておく。

【００２８】この実施の形態によると、戸板Ｄの上部レ
ールＲへの建込みを前後方向に位置調整するには、支持
軸３の回転操作部３３にコイン，ドライバ等を差込ん
で、強制的に支持軸３を回転させればよい。

【００２９】支持軸３の回転操作部３３にコイン，ドラ
イバ等で回動強制力を付与すると、支持軸３の嵌合面３
５の細三角突起３５１が支持部材１の嵌合面１５の細三
角溝１５１から外れて平滑面１５２を滑って隣接する細
三角溝１５１に係合することになって、支持軸３の回転
がもたらされる。この回動強制力の付与が継続される
と、支持軸３がさらに回転することになる。しかし、回
動強制力の付与が解除されると、支持軸３の嵌合面３５
の細三角突起３５１と支持部材１の嵌合面１５の細三角
溝１５１との係合により、支持軸３の回転が阻止される
ことになる。なお、支持軸３の嵌合面３５の細三角突起
３５１が支持部材１の嵌合面１５の細三角溝１５１から
外れて平滑面１５２を滑ることによる支持軸３の回転
は、支持部材１の空隙１６と支持軸３の空隙３６とによ
って嵌合面１５，３５にそれぞれの弾性が備えられ弾性
変形するスペースが確保されているため、円滑に奏され
るとともに摩耗が低減される。

【００３０】回転する支持軸３の回転中心Ｙは、ガイド
部材２の回転（自転）中心から偏心している。従って、
支持軸３の回転によって、ガイド部材２が支持軸３の回
転中心Ｙを回転（公転）することになる。従って、図６
に示すように、ガイド部材２の支持部材１のフランジ１
２からの両側の突出長ａ’ｂ’が異なって、戸板Ｄの上
部レールＲへの建込みが前後方向に位置調整されること
になる。

【００３１】この実施の形態では、戸板Ｄの上部レール
Ｒへの建込みの前後方向への位置調整が偏心した回転の
組合わせによって奏され、位置調整のための可動調整域
が小さくなるため、構造が複雑化せず製造コストが低減
される全体の小型化が可能になる。

【００３２】図９，図１０は、この実施の形態の取付け
装着の変形例を示してある。

【００３３】この変形例では、戸板Ｄの上端面の取付穴
Ｈに加えて、戸板Ｄの上端面に着脱可能にした桟形の戸
首Ａにも取付溝Ｂを設けてある。この取付溝Ｂは、支持
部材１の本体部１１，フランジ１２が嵌合可能でガイド
部材２が一部突出する形状からなる。

【００３４】この変形例によると、襖戸の走行性能を性
を高めるのに有効である。特に、小型化が可能なこの実
施の形態は、小さな戸首Ａへの取付けに好適である。

【００３５】

【発明の効果】以上のように、本発明に係る上部ランナ
ーは、可動調整域の小さい支持軸を凹凸構造を有する円
形の嵌合面とした回転でガイド部材を公転させ、戸板の
建込みを前後方向に位置調整することから、構造を複雑
化することなくコンパクト化することができ、戸板の建
込みを前後方向に位置調整することができる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る上部ランナーの実施の形態（１）
を示す斜視図である。

【図２】図１の分解斜視図である。

【図３】図１の拡大縦断面図である。

【図４】図３のＸ−Ｘ線拡大断面図である。

【図５】図１の拡大平面図である。

【図６】図５の動作図である。

【図７】図１の取付例を示す斜視図である。

【図８】図７の建込み状態の断面図である。

【図９】図１の他の取付例を示す斜視図である。

【図１０】図９の建込み状態の断面図である。

【符号の説明】

１ 支持部材 １５ 嵌合面 １６ 空隙 １７ 目印 ２ ガイド部材 ３ 支持軸 ３３ 回転操作部 ３５ 嵌合面 ３６ 空隙 Ｄ 戸板 Ｒ 上部レール Ｙ 回転中心（支持軸の）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅田 淳 広島県廿日市市下平良１丁目８番10号 204 (56)参考文献 特開 平10−102886（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E05D 15/06 - 15/06 125 E05D 13/00

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 戸板の上部に固定される支持部材と、上
   部レールに沿って移動するガイド部材と、支持部材，ガ
   イド部材を連結する支持軸とからなる上部ランナーにお
   いて、支持軸は回動強制力の付与によってのみ段階的に
   回転可能となる規則的な凹凸構造を有する円形の嵌合面
   から支持部材に組付けられ、ガイド部材は支持軸の回転
   中心を避けて支持軸に回転可能に組付けられていること
   を特徴とする上部ランナー。
2. 【請求項２】 請求項１の上部ランナーにおいて、支持
   軸の上部に回動強制力が付与される溝形の回転操作部が
   設けられていることを特徴とする上部ランナー。
3. 【請求項３】 請求項１の上部ランナーにおいて、支持
   部材と支持軸との一方または双方の嵌合面の周囲に嵌合
   面に弾性を付与して弾性変形を吸収する空隙が設けられ
   ていることを特徴とする上部ランナー。
4. 【請求項４】 請求項１または２の上部ランナーにおい
   て、支持部材と支持軸との一方または双方に支持軸の回
   転位置を確認可能な目印を設けたことを特徴とする上部
   ランナー。