JP3088820B2 - 連続焼鈍炉用のハースロール - Google Patents

連続焼鈍炉用のハースロール

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JP3088820B2
JP3088820B2 JP04044807A JP4480792A JP3088820B2 JP 3088820 B2 JP3088820 B2 JP 3088820B2 JP 04044807 A JP04044807 A JP 04044807A JP 4480792 A JP4480792 A JP 4480792A JP 3088820 B2 JP3088820 B2 JP 3088820B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、連続焼鈍炉内に配さ
れ、鋼帯(ストリップ)を連続的に通板するハースロー
ルに関するものであり、鋼帯にヒートバックル(塑性変
形によるシワ疵)が発生することを防止するようにし
た、連続焼鈍炉用のハースロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼帯を焼鈍する連続焼鈍炉においては、
炉内上下部に多数のハースロールを配置し、長尺の鋼帯
をこれらのハースロール間で折り返し走行させながら前
方に送ることにより滞炉時間を確保するようにしてい
る。このような連続焼鈍炉内に配されるハースロールと
しては、鋼帯の蛇行を防ぐ目的で、図5に示すように、
ロール平行部RSとその左右に形成され軸端に行くに従っ
て径縮小するロールテーパ部RTとを有してなる中高形タ
イプのロール形状をしたものが一般に用いられている。
【0003】このような中高クラウンが付与されたハー
スロールによると、ハースロールに巻きついた鋼帯は、
ロールテーパ部RTによる軸方向中心部へ向かう力が作用
することから、蛇行が生じようとするとハースロールの
中心部方向へ戻される。これにより、鋼帯の蛇行が防が
れるようになっている。この場合、ハースロールのクラ
ウンが大きいほど鋼帯の蛇行防止には有効である。
【0004】ところが、ハースロールのクラウンが大き
くなると、図5にその一例を示すように、ハースロール
を通過するときに鋼帯にヒートバックルと呼ばれる塑性
変形によるシワ疵(皺疵)が発生し易くなる。このヒー
トバックルは、鋼帯が薄肉で広幅なものにおいて、ま
た、最近その生産量が増加している自動車用などの軟質
材料からなるものにおいて発生し易いものである。
【0005】ヒートバックルの発生メカニズムは、現在
のところ必ずしも明確になっていない点もあるが、ハー
スロールの鋼帯入側において、ハースロールにより鋼帯
に板幅両端部分から板幅中央方向に働く圧縮応力が生じ
ることが、ヒートバックル発生の主因であると確認され
ている。鋼帯に生じる上記圧縮応力により、図5に示す
ように、鋼帯にヒートバックルの前兆としての凸状の弾
性座屈部であるタワミ部(たわみ部)が生じる。このタ
ワミ部がハースロールの作用により解消されない場合
に、ヒートバックルが発生することになる。なお、図5
において、Rはハースロール、Sは鋼帯、Aはタワミ
部、をそれぞれ示す。
【0006】
【0007】従来、連続焼鈍炉における鋼帯のヒートバ
ックル発生を防止すべく、通板される鋼帯に見合ったク
ラウンが得られるように、その円筒外壁のクラウンを調
整できるようにした、いわゆるクラウン可変ハースロー
ルが種々提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし前述した従来の
クラウン可変ハースロールでは、鋼帯ごとの最適なクラ
ウンの把握が容易でないことなどから、ヒートバックル
の発生を確実に防止できない場合があるという欠点があ
った。
【0009】そこでこの発明の目的は、鋼帯のヒートバ
ックルの発生を確実に防止することができる、連続焼鈍
炉用のハースロールを提供することにある。
【0010】
【0011】
【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するた
めに、 この発明による連続焼鈍炉用のハースロールは、
連続焼鈍炉内に配され、鋼帯を連続的に通板するための
連続焼鈍炉用のハースロールにおいて、非磁性金属材料
からなり、回転自在に支持されるハースロール本体と、
一次側巻線が施された一次側鉄心を有し、前記ハースロ
ール本体の内部の、ハースロール本体の平行部における
軸方向両端寄りの各部位に対応する位置に、前記一次側
鉄心が、その磁極がハースロール本体が回転された際に
常に鋼帯入側に位置するようにハースロール本体とは独
立して固定支持され、ハースロール本体を磁束が貫通し
て二次側導体としての鋼帯との間にハースロール本体の
両端方向へ進行する移動磁界を形成するリニア誘導モー
タ装置と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0012】
【0013】
【作用】 この発明による連続焼鈍炉用のハースロールに
おいては、回転自在に支持されるハースロール本体の内
部にこのハースロール本体とは独立して固定支持された
リニア誘導モータ装置により、非磁性金属材料からなる
ハースロール本体を磁束が貫通して、ハースロール本体
に対して鋼帯入側における二次側導体としての鋼帯との
間にハースロール本体の両端方向、つまり鋼帯の板幅両
端方向へ進行する移動磁界が形成される。このハースロ
ール本体内のリニア誘導モータ装置による移動磁界によ
り鋼帯に渦電流が生じ、移動磁界から鋼帯に発生する渦
電流に鋼帯の板幅両端方向への力が加わり、鋼帯入側に
おけるこのハースロールに巻き付く鋼帯に板幅両端方向
へ働く張力が付与される。その結果、鋼帯に生じる板幅
方向の圧縮応力による、ヒートバックルの前兆としての
凸状のタワミ部を消滅させることができ、ロールクラウ
が最適でない場合においても、ヒートバックルの発生
を確実に防止することができる。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【実施例】 以下、実施例に基づいてこの発明を説明す
る。図1 はこの発明による連続焼鈍炉用のハースロール
の一実施例を示す全体構成図、図2図1に示すハース
ロールの要部構成説明図、図3図1に示すハースロー
ルのリニア誘導モータ装置の磁極の位置を説明するため
の図である。
【0019】図1及び図2において、21はオーステナイ
ト系ステンレス鋼よりなる内部中空のハースロール本体
(ハースロール・シェル)である。このハースロール本
体21は、ロール平行部RSとロールテーパ部RTを有してお
り、その両端がベアリング装置23a,23bを介して鍔部
付きの円柱状の軸受け部材22a,22bにそれぞれ支持さ
れることにより、回転自在とされている。軸受け部材22
a,22bは、図示しない固定部材により固定されるよう
になっている。そして、ハースロール本体21の内部の、
ハースロール本体21のロール平行部RSにおける軸方向両
端寄りの各部位に対応する位置に、図に示すように、リ
ニア誘導モータ装置24,25がそれぞれ配設されている。
図1における右側のリニア誘導モータ装置24は、一次側
鉄心241に三相巻線である一次側巻線242 が施されてな
るものである。
【0020】上記リニア誘導モータ装置24は、その一次
側鉄心241 の磁極241aが、ハースロール本体21の内周面
に対してわずかに間隔を有する状態で、ハースロール本
体21が回転された際に常に鋼帯入側に位置するようにモ
ータ装置支持部材26aを介して軸受け部材22に固定され
ている(図3参照)。一次側鉄心に三相巻線である一次
側巻線が施されてなり、連結部材27により上記リニア誘
導モータ装置24に連結された図1における左側のリニア
誘導モータ装置25も、同様にして、モータ装置支持部材
26bを介して他方の軸受け部材22bに固定されている。
【0021】また、ハースロール本体21の内部に配設さ
れたリニア誘導モータ装置24,25を水冷するために、軸
受け部材22a,22b及びモータ装置支持部材26a,26b
の内部には冷却水流通孔が設けられるとともに、図1
おける右側の軸受け部材22aには冷却水供給管28が接続
され、左側の軸受け部材22bには冷却水排水管29が接続
されている。なお、ハースロール本体21は、そのロール
平行部RSとロールテーパ部RTとが円周溶接されて組み立
てられるものである。また、リニア誘導モータ装置24,
25の各一次側巻線は、図示しないリード線を介して励磁
電流供給装置(図示省略)に接続されるようになってい
る。
【0022】次にこのように構成される連続焼鈍炉用の
ハースロールの動作について説明すると、ハースロール
本体21の内部にこのハースロール本体21とは独立して固
定支持されたリニア誘導モータ装置24,25により、ハー
スロール本体21を磁束が貫通して、ハースロール本体21
に対して鋼帯入側における二次側導体としての鋼帯Sと
の間にハースロール本体21の両端方向、つまり鋼帯Sの
板幅両端方向へ進行する移動磁界が形成される。この移
動磁界により鋼帯Sに渦電流が生じ、移動磁界から鋼帯
Sに発生する渦電流に鋼帯Sの板幅両端方向への力が加
わり、図4に矢印Tで示すように、鋼帯入側におけるハ
ースロール本体21に巻き付く鋼帯Sに板幅両端方向へ働
く張力が付与される。その結果、鋼帯Sに生じる板幅方
向の圧縮応力による、ヒートバックルの前兆としての凸
状のタワミ部を消滅させることができ、ハースロールの
クラウンが最適でない場合においても、ヒートバックル
の発生を確実に防止することができる。なお、焼鈍ライ
ンで鋼帯Sを巻き取った後、鋼帯Sの残留磁気の消磁処
理が行われる。
【0023】
【0024】
【発明の効果】 この発明による 連続焼鈍炉用のハースロ
ールによると、回転自在に支持されるハースロール本体
の内部に、このハースロール本体とは独立して固定支持
されたリニア誘導モータ装置を配設し、非磁性金属材料
からなるハースロール本体を磁束が貫通して、ハースロ
ール本体に対して鋼帯入側における二次側導体としての
鋼帯との間にハースロール本体の両端方向、つまり鋼帯
の板幅両端方向へ進行する移動磁界を形成するようにし
たものであるから、鋼帯入側におけるこのハースロール
に巻き付く鋼帯に板幅両端方向へ働く張力が付与され、
鋼帯に生じる板幅方向の圧縮応力による、ヒートバック
ルの前兆としての凸状のタワミ部を消滅させることがで
き、ハースロールのクラウンが最適でない場合において
も、ヒートバックルの発生を確実に防止することができ
る。さらに、上記移動磁界による鋼帯に発生する渦電流
が加熱作用を持つことから、鋼帯にその板幅中央部より
も板幅両端部の温度が高くなるように温度差が付与され
ることにもなり、上記圧縮応力が緩和されてヒートバッ
クルの防止作用が副次的に高められるという効果もあ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による連続焼鈍炉用のハースロールの
一実施例を示す全体構成図である
【図2】図1に示すハースロールの要部構成説明図であ
【図3】図1に示すハースロールのリニア誘導モータ装
置の磁極の位置を説明するための図である
【図4】図1に示すハースロールのリニア誘導モータ装
置により鋼帯に付与される張力の様子を説明するための
図である
【図5】鋼帯にヒートバックルが発生する様子を説明す
るための図である
【符号の説明】
21…ハースロール本体 22a,22b…軸受け部材 23
a,23b…ベアリング装置 24,25…リニア誘導モータ
装置 241 …一次側鉄心 241a…一次側鉄心の磁極 24
2 …一次側巻線 26a,26b…モータ装置支持部材 27
…連結部材 28…冷却水供給管 29…冷却水排水管 R
…ハースロール S…鋼帯 RS…ロール平行部 RT…ロ
ールテーパ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 1/00,9/52,9/56 B65H 27/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続焼鈍炉内に配され、鋼帯を連続的に
    通板するための連続焼鈍炉用のハースロールにおいて、
    非磁性金属材料からなり、回転自在に支持されるハース
    ロール本体と、一次側巻線が施された一次側鉄心を有
    し、前記ハースロール本体の内部の、ハースロール本体
    の平行部における軸方向両端寄りの各部位に対応する位
    置に、前記一次側鉄心が、その磁極がハースロール本体
    が回転された際に常に鋼帯入側に位置するようにハース
    ロール本体とは独立して固定支持され、ハースロール本
    体を磁束が貫通して二次側導体としての鋼帯との間にハ
    ースロール本体の両端方向へ進行する移動磁界を形成す
    るリニア誘導モータ装置と、を備えてなることを特徴と
    する連続焼鈍炉用のハースロール。
JP04044807A 1992-03-02 1992-03-02 連続焼鈍炉用のハースロール Expired - Lifetime JP3088820B2 (ja)

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