JPH0313996Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、誘導加熱装置のコイルに係り、特
に、長尺のの被加熱物の部分加熱を行うに最適な
誘導加熱装置に関する。

高周波電流が流される矩形断面を有したコイル
に長尺鋼材の一部を挿入し、該鋼材をその径方向
に沿つてコイル内を移動させて部分加熱を行う誘
導加熱装置がある。

従来の誘導加熱装置用コイルの一例を示したの
が第１図ａ，ｂ，ｃである。コイルは、コイル銅
管１を第１図ａのように矩形状断面を有するよう
にし、第１図ｂのように複数回を巻回して構成さ
れる。通常、コイルは３辺が平行に配置され、長
手方向の上、下は第１図ｃのように重なるように
配置されている。

このような構成において、コイルの中に被加熱
物２の先頭部（部分加熱を必要とする部分）を第
１図ｂのように挿入し、図示矢印方向に移動させ
ながら引き続き次の被加熱物を挿入し、多量の被
加熱物を連続的に部分加熱することができる。

ところで、従来のコイルにおいては、第２図ａ
のように挿入した被加熱物の先端部は、一例とし
て被加熱物が120φ×6.2t、加熱周波数が3000Hzの
場合、第２図ｂのように他の部分に比べ加熱温度
が上昇する。これは被加熱物の先端に磁束の乱れ
が発生するために生ずるものであり、このような
加熱温度のばらつきは熱処理後の品質を低下させ
る要因となる。加熱温度のばらつきを無くすた
め、従来においてはコイルの高温側端に水冷によ
る冷却器を設置していたが、設備費がコストアツ
プする不都合がある。

本考案の目的は、被加熱物の部分加熱域におけ
る加熱温度のばらつきを減少しうるようにした誘
導加熱装置を提供するものである。

本考案は、銅管をほぼ矩形状に複数回巻回し
て、該銅管内周側に被加熱物の径方向への移動が
可能な被加熱物加熱用領域を形成し、かつ該領域
のうち低温領域を形成する銅管を、被加熱物の加
熱用領域への入出方向に対してほぼ直角となるよ
うに形成し、さらに高温領域を形成する銅管のう
ち少なくとも一部の銅管の短辺側を、被加熱物の
加熱用領域への入出方向に直交する方向に対して
所定の角度傾斜するように形成し、前記銅管の一
方の短辺の傾斜側端に接続される長辺側銅管の所
定長さを、前記被加熱物の加熱用領域への入出方
向に対し所定角度有するように形成してなる誘導
加熱装置のコイルを構成したものである。

第３図ａ，ｂ，ｃ，ｄは本考案の実施例を示す
平面図、正面図、Ａ−ＡおよびＢ−Ｂ面の端面図
である。第３図において、本考案の対象となる高
温領域におけるコイル３のみを示している。コイ
ル銅管４は長手方向の中央部（第３図の実施例で
は上面の一辺のみ）で配列を距離ｘだけずらして
平行配置すると共に、この位置ずれに応じて側面
のコイル部を第３図ｄのように角度θだけ傾斜さ
せる。即ち、コイル３の1/4の部分が他の部分に
対し位置のずれた形状となる。

このような構成により、コイル３の傾斜部で
は、被加熱物に生じる誘導電流がコイル銅管４の
傾斜角度とほぼ同じ角度で流れる。従つて、被加
熱物２の高温領域では、誘導電流が従来のように
集中して流れることは無く、第２図ｂに示したよ
うなオーバーヒート現象を減少させることができ
る。

なお、低温領域を含むコイル全体に本考案を適
用しないのは、被加熱物の先端部が低温領域で冷
却傾向になると、及びコイル銅管を被加熱物と一
定の角度θで配置した場合に漏れ磁束が多くな
り、効率の良い加熱ができなくなる為である。

第４図は本考案の第２の実施例を示す平面図で
あり、高温領域のコイル部のコイル銅管４の長辺
の１つは1/2の部分を角度αだけ傾斜させたもの
であり、この傾斜に応じて側面のコイル銅管も傾
斜させる。

さらに第５図は本考案の第３の実施例を示す平
面図であり、高温領域のコイル部のコイル銅管４
の長辺の１つの1/2の部分を角度βだけ傾斜させ
たものであり、この傾斜に応じて側面のコイル銅
管も傾斜させる。本実施例は、前記各実施例に比
べ効率は落ちるものの、製作が容易となる利点が
ある。

なお、以上の説明では矩形状断面を有するコイ
ルについて説明したが、断面形状に限定されるも
のではなく、例えば円筒形の断面形状を有するコ
イルに対しても適用可能である。また、被加熱材
としては、金属材の総てに適用可能であるが、先
端部での温度変化が顕著な鋼管の適用に対し最も
効果がある。

以上より明らかなように本考案によれば、被加
熱物の高温領域に位置するコイルの１部を水平面
及び垂直面に対し所定の角度を持たせたことによ
り、被加熱物をその径方向に沿つてコイル内を移
動させて部分加熱するようにした誘導加熱装置に
おいて、高温領域における加熱温度のばらつきを
減少させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ，ｃは従来の誘導加熱装置の正面
図、平面図およびＡ−Ａ面断面図、第２図ａ，ｂ
は従来のコイルにおける部分加熱説明図および加
熱温度特性図、第３図ａ，ｂ，ｃ，ｄは本考案の
平面図、正面図、、Ｂ−Ｂ面端面図およびＡ−Ａ
面端面図、第４図は本考案の第２の実施例の平面
図、第５図は本考案の第３の実施例の平面図であ
る。 ２……被加熱物、３……コイル、４……コイル
銅管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 銅管をほぼ矩形状に複数回巻回して、該銅管内
   周側に被加熱物の径方向への移動が可能な被加熱
   物加熱用領域を形成し、かつ該領域のうち低温領
   域を形成する銅管を、被加熱物の加熱用領域への
   入出方向に対してほぼ直角となるように形成し、
   さらに高温領域を形成する銅管のうち少なくとも
   一部の銅管の短辺側を、被加熱物の加熱用領域へ
   の入出方向に直交する方向に対して所定の角度傾
   斜するように形成し、前記銅管の一方の短辺の傾
   斜側端に接続される長辺側銅管の所定長を、前記
   被加熱物の加熱用領域への入出方向に対し所定角
   度有するように形成してなることを特徴とする誘
   導加熱装置のコイル。