JP3087386B2 - 熱可塑性樹脂組成物および電子部品封止成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および電子部品封止成形品

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JP3087386B2
JP3087386B2 JP26965191A JP26965191A JP3087386B2 JP 3087386 B2 JP3087386 B2 JP 3087386B2 JP 26965191 A JP26965191 A JP 26965191A JP 26965191 A JP26965191 A JP 26965191A JP 3087386 B2 JP3087386 B2 JP 3087386B2
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JP
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acid
resin composition
thermoplastic resin
liquid crystalline
polymer
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浩史 鎌田
日出子 赤井
修 木代
時生 山室
吉隆 金沢
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Mitsubishi Chemical Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成物に
関するものであり、詳しくは射出成形法による電子部品
等の封止に好適に用いられる熱可塑性の樹脂組成物及び
それよりなる電子部品封止成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハイブリッドIC等の電子部品の封止に
関しては、現在は、その全生産量の90%もしくはそれ
以上がフェノール系樹脂あるいはエポキシ系樹脂等のい
わゆる熱硬化性樹脂を使用している。しかしながら、か
かる熱硬化性樹脂は、セラミックあるいは金属との接着
性、耐熱性及び耐薬品性が良好であり、封止材料として
は優れた性能をもっているが、硬化時間が長く、硬化過
程における体積変化が大きく、又線膨張係数も大きいた
め、そのままではLSIあるいはセラミック基板などの
電子部品との熱膨張差が大きく、ヒートサイクル等の試
験により、樹脂内部に歪みが発生し導通部の断裂等のト
ラブルが発生する。
【0003】かかる問題を解決するためにガラスビーズ
等を混入することにより線膨張係数を下げたり、エラス
トマーを混合することにより樹脂内部に発生する歪みを
低減させるなどの様々な技術的努力が払われ、その封止
材料としての性能は、現在ほぼ極限にまで到達している
と言っても過言ではない。また、封止加工技術について
言えば、例えばトランスファー成形法あるいは粉体コー
ティング法等が開発され、製造技術としても極限まで洗
練されていると考えられる。しかしながら、かかる技術
に用いられる樹脂が熱硬化性樹脂である以上、熱硬化性
樹脂の本来の性質、即ち硬化時間が長いこと、原料樹脂
を保存している間の変質、成形時間が長いこと等の問題
点から逃れることができず、量産化の面から言えば膨大
な需要をまかなうためには過大な投資が必要であり、コ
ストの上昇という問題点を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この生産性の問題を解
決する手段として、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、
液晶性ポリマー等の熱可塑性樹脂を用いた電子部品の封
止が報告されている。例えば、特開昭62−7495
5、特開昭62−112652では、ポリエチレンテレ
フタレートを用いた封止用樹脂が報告されている。しか
しながら、ポリエチレンテレフタレートは溶融粘度が高
いため、射出成形時に電子部品の位置ずれ、破損等の問
題を引き起こす。また、電子部品の破損しない程度の溶
融粘度となるような高い温度では、電子部品上の導通部
分の接続に用いているハンダが再溶融してしまい、導通
の不良を生じるといった新たな問題が生ずる。
【0005】また、特開昭62−549、特開昭62−
141064、特開昭64−74265等において、ポ
リフェニレンスルフィドを用いた封止用樹脂が報告され
ている。しかしながら、ポリフェニレンスルフィドは、
融点が高いため、電子部品上のハンダの再溶融をおこさ
ずに射出成形をすることは実質上不可能であり、アロイ
化等によって成形温度を下げても、電子部品の破損、ハ
ンダの再溶融のいずれも起こらない組成物を得るのは困
難であった。
【0006】電子部品の破損を起こさない良好な流動性
を、ハンダ再溶融の起こらない温度で達成する樹脂とし
て、液晶性ポリマーを用いた封止用樹脂が報告されてい
る。例えば、特開昭60−44521、特開昭62−1
64725、特開昭63−227041、特開昭64−
29424、特開昭64−37045、特開昭64−3
8432、特開昭64−74222等に、液晶性ポリマ
ーを用いた封止材料が報告されている。
【0007】液晶性ポリマーは、線膨張係数が比較的小
さい材料として知られているが、寸法安定性の良好な液
晶性ポリマーでも、アルミナ等のセラミックや鉄等の金
属の線膨張係数の数倍〜10倍以上の線膨張係数を示
し、ヒートショック時、加熱時、湿熱時等の寸法変化に
よる電子部品の破壊及び成形品内部への水分の浸入を完
全に防ぎ得ず、その結果電子部品の性能不良を引き起こ
すという問題があった。
【0008】液晶性ポリマーの線膨張係数をさらに下げ
る方法として、特開平1−92263、特開平1−11
5953、特開平1−163257等に、液晶性ポリマ
ーに、シリカ粉を混合する方法が報告されている。しか
し、この方法では、樹脂組成物の溶融粘度が上昇(流動
性が低下)し、射出成形中に電子部品が破損し、また、
流動性を向上させるために温度を上げると、ハンダが再
溶融するという問題があった。また、シリカの混合によ
り、樹脂組成物成形品の強度が大巾に低下し、使用時の
割れ、折れ等を引き起こす原因となっていた。
【0009】また、液晶性ポリマーにシリカ、ガラス繊
維等のフィラーを複合して高強度、高流動性、かつ低線
膨張係数のものを得たとしても、金属、セラミック等の
線膨張係数と同等のレベルまでは達成しえず、ヒートシ
ョック等の温度変化による界面への剪断力によって、界
面剥離を生じ、成形品内部への水分の浸入を防ぎ得ない
という問題点があった。
【0010】このように、電子部品の樹脂による封止
を、熱可塑性樹脂で行なう場合、ヒートショック時、加
熱時、湿熱時における樹脂と電子部品の接着性、また、
これらの条件下での水分の浸入のない(止水性の高い)
樹脂、又は樹脂組成物は現在の所、報告されていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる状
況にあって、電子部品上のハンダの再溶融をおこさない
温度で、電子部品のずれ、破壊をおこさない良好な流動
性を示し、さらに、ヒートショック時、加熱時、湿熱時
に樹脂と金属、セラミックとの界面に剥離を生じず、ま
た、成形品内部への水分の浸入のないような、接着性、
止水性の良好な熱可塑性樹脂組成物について鋭意検討し
た結果、驚くべきことに、液晶性ポリマーに特定の割合
で、ガラス繊維、ポリエステル系のホットメルト接着
剤、さらに必要に応じてシリカを混合した組成物が上記
目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
【0012】すなわち、本発明の要旨は、 (A)溶融状態で光学的異方性を示す熱可塑性ポリマー; 20〜75wt% (B)ガラス繊維; 10〜50wt% (C)シリカ; 0〜60wt% (D)ポリエステル系ホットメルト接着剤; 0.1〜50wt% よりなり、樹脂温度250℃において、せん断速度10
00sec-1で測定した時の溶融粘度が50〜5000
ポイズであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に存
する。
【0013】本発明で用いられる溶融状態で光学的異方
性を示す熱可塑性ポリマー(以下、液晶性ポリマーとい
う。)は、特に限定されないが例えば主鎖に芳香環を含
む液晶性ポリマーが良好に用いられる。具体例として
は、例えばジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス、
ポリマー・ケミストリー・エデション第14巻、204
3ページ(1976年)、特公昭56−18016、特
開昭60−186527、特開昭60−229921等
に記載された主としてポリエチレンテレフタレート単位
及びp−ヒドロキシ安息香酸単位から構成される液晶性
ポリマー、特開昭54−77691等に記載された主と
してp−ヒドロキシ安息香酸単位及び6−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸単位から構成される液晶性ポリマー、西
独特許2025971、特開平1−152123等に記
載された主として4,4′−ビフェノール、テレフタル
酸、イソフタル酸及びp−ヒドロキシ安息香酸単位から
構成される液晶性ポリマー等が挙げられる。
【0014】これらの液晶性ポリマーは、従来のエンジ
ニアリングプラスチックス、例えばポリエチレンテレフ
タレートの5倍以上の剛性、4倍以上の強度、25倍以
上の衝撃強さをもつことが報告されている。また、これ
らの液晶性ポリマーは溶融状態での粘度がきわめて低
く、そのために流動性に優れ、比較的低温で、かつ低圧
力で射出成形することができ、その場合でも成形片のヒ
ケ、バリ等の発生しにくい成形性のきわめて良好なポリ
マーであることが知られている。
【0015】本発明における液晶性ポリマーはそれらの
中でも特に、下記式(I)、(II)、および(III )で
示される単位より主として構成されるものが好ましい。
【0016】
【化2】
【0017】かかる系を選択した場合、各単位の含有割
合はモル比で(I)/(II)が45/55〜55/45
であり、(I)/(III )は60/40〜15/85、
特に好ましくは50/50〜17/83である。また、
上記3種の単位以外に他のジオール単位、ジカルボン酸
単位等共重合可能な他の単位を共重合することも可能で
ある。例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノ
ン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノ
ン、4,4′−ビフェノール、3,5,3′,5′−テ
トラメチル−4,4′−ビフェノール、レゾルシノール
等のジオール、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、3,3′−ビフェニルジカルボン酸、4,
4′−ビフェニルジカルボン酸等のジカルボン酸、4−
(4′−ヒドロキシフェニル)安息香酸、6−ヒドロキ
シ−2−ナフトエ酸等のオキシカルボン酸が挙げられる
が、これらに限定されない。
【0018】本発明の樹脂組成物における上記液晶性ポ
リマーの含有割合は、20〜75wt%であり、25〜
70wt%がさらに好ましく、35〜70wt%が特に
好ましい。75wt%をこえると、線膨張率が高くなる
ため、成形品のヒートショック時、加熱時等に電子部品
の割れ等をおこし、好ましくない。また、20wt%未
満では、溶融粘度が高く、成形時の電子部品の位置ずれ
又は破損を起こすのみならず、成形品が極端にもろくな
り、好ましくない。
【0019】また、本発明の(B)成分であるガラス繊
維は、特に制限はないが、強度を上げるという意味で、
アスペクト比が高い方が好ましく、好ましくはアスペク
ト比が10以上、さらに好ましくは100以上、特に好
ましくは200以上のものが用いられる。本発明の樹脂
組成物におけるガラス繊維の含有割合は、10〜50w
t%、好ましくは10〜40wt%、さらに好ましくは
15〜35wt%である。50wt%を超えると、溶融
粘度が上昇し、成形時の電子部品の位置ずれ又は破損を
おこすのみならず、成形品がもろくなるため、好ましく
ない。10wt%未満では、成形品の強度が不十分とな
り、好ましくない。
【0020】また、本発明の(C)成分であるシリカと
しては、溶融シリカ、合成シリカ等が用いられる。シリ
カの平均粒径に特に制限はないが、平均粒径40μm以
下のものが好適である。40μm以上であると、成形品
の強度が低くなるのみならず、表面外観が悪くなり、好
ましくない。本発明においては、シリカは配合されなく
てもよいが、配合される場合は、その含有割合は、60
wt%以下、好ましくは40wt%以下、更に好ましく
は3〜35wt%である。60wt%を超えると、溶融
粘度が上昇し、成形時に電子部品の位置ずれ又は破壊を
起こし、好ましくない。
【0021】本発明の(D)成分であるポリエステル系
ホットメルト接着剤は、通常、ジカルボン酸とジオール
とからなる、共重合ポリエステルである。ジカルボン酸
としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、シク
ロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、1,2−ポリブ
タジエンジカルボン酸等が挙げられる。
【0022】ジオールとしては、エチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,9−ノナンジオール、ネオペンチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
シクロヘキサンジメタノール、1,2−ポリブタジエン
グリコール、ポリオレフイングリコール、ポリエチレン
グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、
ビスフェノールA−ビス−2−ヒドロキシエチルエーテ
ル等が挙げられる。
【0023】また、かかる共重合ポリエステルには、ト
リメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンテトラ
カルボン酸、ブタンテトラカルボン酸や、これらの酸無
水物等の、多価カルボン酸を含んでいても良い。本発明
で用いるホットメルト接着剤は、上記の成分を組合せた
共重合体であればいずれも良好に用いられるが、ホット
メルト接着剤を構成するジカルボン酸中、4つ以上のメ
チレン鎖の連結を主鎖にもつジカルボン酸を5〜50モ
ル%含むものがさらに良好であり、7〜40モル%含む
ものが特に良好である。かかるジカルボン酸としては、
アジピン酸等が挙げられる。
【0024】また、本発明のホットメルト接着剤は、そ
の分子の分子鎖末端及び/又は側鎖にヒドロキシル基、
カルボキシル基、スルホン酸基、またはこれらの金属塩
が含まれていてもよく、その中でも、スルホン酸基及び
/又はその金属塩(特に好ましくはLi,Na,K塩)
が好ましい。但し、ホットメルト接着剤を構成するジカ
ルボン酸として4つ以上のメチレン鎖の連結を主鎖にも
つジカルボン酸を5〜50モル%含む場合、スルホン酸
基等は含まれていてもいなくてもよく、含まれる場合
は、スルホン酸基等の含有量は、ホットメルト接着剤中
の硫黄の重量として2%以下、好ましくは1%以下であ
る。一方、4つ以上のメチレン鎖の連結を主鎖にもつジ
カルボン酸が5モル%未満の時は、スルホン酸基等の含
有量は、ホットメルト接着剤中の硫黄の重量として0.
2〜2.0%となることが好ましく、0.3〜1.5%
が特に好ましい。
【0025】本発明におけるポリエステル系ホットメル
ト接着剤の含有割合は、0.1〜50wt%、好ましく
は、1〜45wt%、さらに好ましくは、5〜40wt
%である。0.1wt%未満では、樹脂組成物と金属、
セラミックとの接着性が十分でなく、ヒットショック、
加熱等により、界面剥離を生じ、好ましくない。50w
t%以上では、樹脂組成物の力学強度が低下するので好
ましくない。
【0026】ホットメルト接着剤は、特開平3−157
473等にもある通り、通常、接着剤単独又は、溶液と
して被着体に塗工又は、フィルム状のものを被着体間に
はさみ、加熱接着する。本発明のように、組成物とする
ことにより、金属、セラミックスとの接着性が良好で、
ヒートショック時、加熱時、湿熱時にも電子部品の破
壊、被着体間の界面剥離、水分の浸入等のない熱可塑性
樹脂組成物が得られることは、驚くべきことであった。
【0027】液晶性ポリマーに、ポリエステル系樹脂を
混合した組成物としては、特開昭55−82150、特
開昭57−25354、特開昭62−59662、特開
昭62−169848、特開昭62−220556、特
開昭63−241068、特開昭63−317549、
特開平1−144450、特開平1−190750、特
開平2−103257等に記載があるが、これらはいず
れも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート等のポリアルキレンテレフタレートを主とし
て混合するものであり、ポリエステル系のホットメルト
接着剤を混合した例はなく、また、組成物の物性につい
ても、力学物性、耐熱性等についての記載しかなく、金
属、セラミックとの接着性やヒートショック時、加熱
時、湿熱時における接着性、止水性に関しては、全く期
待できないものであることは明らかである。
【0028】また、特開昭63−317549のように
液晶性ポリマーに熱可塑性樹脂を混合した組成物としか
記載のないものは、本発明の電子部品との接着性や止水
性の効果を予測することはできなかった。本発明の樹脂
組成物は、250℃、せん断速度1000sec-1で測
定した時の溶融粘度が50〜5000ポイズ、好ましく
は100〜4000ポイズ、さらに好ましくは、100
〜3000ポイズのものが用いられる。
【0029】50ポイズ未満であると、成形品の力学強
度が不十分であり、好ましくない。5000ポイズをこ
えると、成形時にショートショットになってしまい、そ
れを防ぐために射出圧力を上げると、電子部品の位置ず
れ、破損等がおこり、好ましくない。本発明の樹脂組成
物は、上記のほかに、実用上問題ない程度の各種添加
剤、例えば、熱安定剤、光安定剤、滑剤等を含んでいて
も差し支えない。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、実施
例によって何ら限定されるものではない。尚、実施例
中、溶融粘度は、島津フローテスターCFT500型を
用い、温度250℃、剪断速度1000sec-1、キャ
ピラリー1mm(直径)×10mm(長さ)を用いて測
定した。成形時の電子部品のずれ及び割れは、成形品の
X線写真をとり、確認した。ヒケは、目視により判断し
た。
【0031】空気中におけるヒートショックテストは、
−40℃/120℃で各40分、100サイクルの条件
で処理を行ない、処理後、成形品の外観を観察し、かつ
X線写真より、成形品(基板)の割れの有無を確認し
た。また、液体中でのヒートショックテストは、100
℃/0℃の赤インク水溶液中に、各々15分づつ成形片
を浸漬することを10回くり返し、その後、内部への赤
インクの浸透度合を確認した。
【0032】耐湿熱試験は、赤インク中に成形品を浸漬
し、プレッシャークッカーテスター中、120℃、2a
tmで100時間処理後、成形品を切断し、内部への赤
インクの浸透度合を確認した。引張強度は、射出成形に
て250℃で成形したダンベル片を5mm/分で引っ張
り、破断時の強度を測定した。
【0033】尚、ポリマーの対数粘度は、フェノール/
テトラクロロエタン(50/50重量比)中、30℃に
て、又はペンタフロロフェノール中60℃にて、濃度
0.5g/dlで測定した。
【0034】本実施例で使用する液晶性ポリマーA、B
は、エチレングリコール単位、テレフタル酸単位、P−
ヒドロキシ安息香酸単位より主としてなる共重合ポリエ
ステルであり、エチレングリコール単位、テレフタル酸
単位、P−ヒドロキシ安息香酸単位のモル数をそれぞれ
〔E〕,〔T〕,〔O〕とすると、以下に示す組成を有
するポリマーである。 液晶性ポリマーA;〔E〕/〔T〕/〔O〕=20/2
0/80(モル比) 液晶性ポリマーB;〔E〕/〔T〕/〔O〕=50/5
0/50(モル比)
【0035】また、液晶性ポリマーCは、エチレングリ
コール単位、4,4′−ビフェノール単位、テレフタル
酸単位、及びP−ヒドロキシ安息香酸単位とよりなる共
重合ポリエステルであり、そのモル比率は、4,4′−
ビフェノール単位のモル数を〔B〕とすると、〔E〕/
〔B〕/〔T〕/〔O〕=18/7/25/75(モル
比)である。液晶性ポリマーA、B、Cはそれぞれ参考
例1、2、3に従って製造した。
【0036】〔参考例1〕 液晶性ポリマーAの製造 ポリエチレンテレフタレートオリゴマー(ηinh=
0.10dl/g)384g(2.0モル)とP−ヒド
ロキシ安息香酸1104g(8.0モル)とを攪拌機の
ついた反応釜に仕込み、N2 で3回パージした後、24
0℃に加熱し、N 2 気流下で1時間攪拌した。次いで、
無水酢酸1020g(10モル)を添加し、N2 シール
下で1時間攪拌した。その後、酢酸を留出させながらN
2 気流下で浴温を275℃に上げた後、酢酸亜鉛2水和
物0.82gを投入した。その後、0.3torrの減
圧を適用し、4時間攪拌をつづけ、重合を完了した。こ
のポリマーの対数粘度は、フェノール/テトラクロロエ
タン中、ηinh=1.28(dl/g)であった。こ
のポリマーは、ホットステージ付偏光顕微鏡で250℃
において観察したところ、溶融状態で光学的異方性を示
した。
【0037】〔参考例2〕 液晶性ポリマーBの製造 ポリエチレンテレフタレートオリゴマーを960g(5
モル)、P−ヒドロキシ安息香酸を690g(5モ
ル)、無水酢酸を638g(6.25モル)、酢酸亜鉛
2水和物を0.91gとした以外は、参考例1と同様に
して行ない、ポリマーを得た。このポリマーの対数粘度
はフェノール/テトラクロロエタン中、ηinh=0.
64(dl/g)であった。このポリマーは、ホットス
テージ付偏光顕微鏡で250℃において観察したとこ
ろ、溶融状態で光学的異方性を示した。
【0038】〔参考例3〕 液晶性ポリマーCの製造 初期仕込原料を、ポリエチレンテレフタレート(ηin
h=0.64dl/g)323g(1.68モル)、
4,4′−ビフェノール122g(0.66モル)、テ
レフタル酸109g(0.66モル)、及びP−ヒドロ
キシ安息香酸967g(7.01モル)とし、反応中に
投入する無水酢酸を、1062g(10.4モル)とし
た他は、参考例1と同様に行ない、重合を完了した。こ
のポリマーの対数粘度は、ペンタフロロフェノール中6
0℃で、ηinh=1.40(dl/g)であった。こ
のポリマーは、ホットステージ付偏光顕微鏡で250℃
において観察したところ、溶融状態で光学的異方性を示
した。
【0039】実施例1 液晶性ポリマーA; 4.0kg ガラス繊維(アスペクト比300); 3.0kg ポリエステル系ホットメルト接着剤(バイロン103); 3.0kg をドライブレンドし、2軸スクリュー押出機にて275
℃で混練、造粒した。得られた熱可塑性樹脂組成物で、
ハイブリッドIC基板を、250℃、射出圧力300k
g/cm2 で、射出成形によって封止した。
【0040】実施例2〜20 液晶性ポリマー、ガラス繊維、溶融シリカ、及びポリエ
ステル系ホットメルト接着剤の種及び組成比を表1に示
すように配合した以外は、実施例1と同様に行なった。
実施例1〜20について、各種物性の測定結果を表2に
示す。
【0041】尚、実施例1〜20に用いたポリエステル
系ホットメルト接着剤は、以下のものである。 バイロン103、バイロン200、バイロン280、バ
イロン290:東洋紡績製 TP249、T9491:日本合成化学製、「ポリエス
ター」 PE6300 :エーシーアイ・ジャパン社
製、「エバーグリップ」 PES231 :東亜合成化学(株)製、「ア
ロンメルト」 D2210 :旭化成(株)製、「ハーデッ
ク」
【0042】比較例1〜9 表3に示したようなポリマー、ガラス繊維、溶融シリ
カ、ホットメルト接着剤、およびそれらの組成比にした
他は実施例1と同様に行なった。ただし、比較例8の混
練及び成形の温度は300℃にて行なったものである。
(250℃では混練、成形は不可能であった。)測定結
果を表4に示す。
【0043】尚、比較例において用いた原料は以下の通
りである。 ベクトラA950 :ポリプラスチックス(株)製、液
晶性ポリマー PET :ポリエチレンテレフタレート PBT :ポリブチレンテレフタレート PPS :ポリフェニレンスルフィド
【0044】比較例10 液晶性ポリマーA 4.0kg ガラス繊維(アスペクト比300) 2.0kg 溶融シリカ(粒径17μm) 3.0kg テルペン系ホットメルト接着剤 1.0kg をドライブレンドし、2軸スクリュー押出機にて275
℃で混練したところ、テルペン系ホットメルト接着剤が
分解し、ダイスから発煙し、造粒不能であった。
【0045】比較例11 テルペン系ホットメルト接着剤の代りに、エチレン−酢
酸ビニル系のホットメルト接着剤を用いた以外は、比較
例10と同様に行なったところダイスから発煙し、造粒
不能であった。
【0046】比較例12 テルペン系ホットメルト接着剤の代りにダイマー酸ポリ
アミド系のホットメルト接着剤を用いた以外は比較例1
0と同様に行なったところ、ダイスから発煙し、造粒不
能であった。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電子部
品上のハンダの再溶融を起こさない温度で、電子部品の
ずれや破壊を起こさない良好な流動性を示し、かつ、ヒ
ートショック時、加熱時、湿熱時に樹脂と電子部品との
界面で剥離を起こさず、良好な接着性及び止水性を示
す。
【0052】従って、低温・低圧の射出成形により、優
れた電子部品封止成形品を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山室 時生 神奈川県茅ヶ崎市円蔵370番地 三菱化 成株式会社茅ヶ崎事業所内 (72)発明者 金沢 吉隆 神奈川県茅ヶ崎市円蔵370番地 三菱化 成株式会社茅ヶ崎事業所内 (56)参考文献 特開 平2−145642(JP,A) 特開 平1−29424(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)溶融状態で光学的異方性を示す熱
    可塑性ポリマー; 20〜75wt% (B)ガラス繊維; 10〜50wt% (C)シリカ; 0〜60wt% (D)ポリエステル系ホットメルト接着剤; 0.1〜50wt% よりなり、樹脂温度250℃において、せん断速度10
    00sec-1で測定した時の溶融粘度が50〜5000
    ポイズであることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 溶融状態で光学的異方性を示す熱可塑性
    ポリマーが、下記(I)、(II)、および(III )式で
    示される構成単位を含むポリマーである、請求項1記載
    の熱可塑性樹脂組成物。 【化1】
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の熱可塑性樹脂組成物を
    用いて射出封止成形して得られる電子部品封止成形品。
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