JPH0578556A - 熱可塑性樹脂組成物および電子部品封止成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および電子部品封止成形品

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JPH0578556A
JPH0578556A JP23814491A JP23814491A JPH0578556A JP H0578556 A JPH0578556 A JP H0578556A JP 23814491 A JP23814491 A JP 23814491A JP 23814491 A JP23814491 A JP 23814491A JP H0578556 A JPH0578556 A JP H0578556A
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JP
Japan
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resin composition
electronic component
polymer
silica
thermoplastic resin
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JP23814491A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kamata
浩史 鎌田
Hideko Akai
日出子 赤井
Tokio Yamamuro
時生 山室
Yoshitaka Kanazawa
吉隆 金沢
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Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Mitsubishi Kasei Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒートショック時や加熱時においても金属、
セラミック等との接着性が良好な電子部品封止成形品
を、ハンダ再溶融を起こさない温度で、かつ電子部品の
ずれや破壊を起こさないで射出成形により得ることので
きる樹脂組成物を提供する。 【構成】(A)−(O−CH2 CH2 −O)−、−(C
O−Ar−CO)−及び−(O−Ar−CO)−で表わ
される構成単位からなる液晶性ポリマー;20〜75w
t%、(B)ガラス繊維;10〜50wt%、(C)シ
リカ;0〜60wt%、(D)エポキシ基を1個/分子
以上含む化合物;0.1〜40wt%、よりなり、樹脂
温度250℃において剪断速度1000sec-1で測定
した溶融粘度が50〜5000ポイズであることを特徴
とする、熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成物に
関するものであり、詳しくは射出成形法による電子部品
等の封止に好適に用いられる熱可塑性の樹脂組成物及び
それよりなる電子部品封止成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハイブリッドIC等の電子部品の封止に
関しては、現在は、その全生産量の90%もしくはそれ
以上がフェノール系樹脂あるいはエポキシ系樹脂等のい
わゆる熱硬化性樹脂を使用している。かかる熱硬化性樹
脂は、セラミックあるいは金属との接着性、耐熱性及び
耐薬品性が良好であり、封止材料としては優れた性能を
もっている。しかしながら、硬化時間が長く、硬化過程
における体積変化が大きく、又線膨張係数も大きいた
め、そのままではLSIあるいはセラミック基板などの
電子部品との熱膨張差が大きく、ヒートサイクル等の試
験により、樹脂内部に歪みが発生し導通部の断裂等のト
ラブルが発生する。
【0003】かかる問題を解決するためにガラスビーズ
等を混入することにより線膨張係数を下げたり、エラス
トマーを混合することにより樹脂内部に発生する歪みを
低減させるなどの様々な技術的努力が払われ、その封止
材料としての性能は、現在ほぼ極限にまで到達している
と言っても過言ではない。また、封止加工技術について
言えば、例えばトランスファー成形法あるいは粉体コー
ティング法等が開発され、製造技術としても極限まで洗
練されていると考えられる。しかしながら、かかる技術
に用いられる樹脂が熱硬化性樹脂である以上、熱硬化性
樹脂の本来の性質、即ち硬化時間が長いこと、原料樹脂
を保存している間の変質、成形時間が長いこと等の問題
点から逃れることができず、量産化の面から言えば膨大
な需要をまかなうためには過大な投資が必要であり、コ
ストの上昇という問題点を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この生産性の問題を解
決する手段として、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、
液晶性ポリマー等の熱可塑性樹脂を用いた電子部品の封
止が報告されている。例えば、特開昭62−7495
5、特開昭62−112652では、ポリエチレンテレ
フタレートを用いた封止用樹脂が報告されている。しか
しながら、ポリエチレンテレフタレートは溶融粘度が高
いため、射出成形時に電子部品の位置ずれ、破損等の問
題を引き起こす。また、電子部品の破損しない程度の溶
融粘度となるような高い温度では、電子部品上の導通部
分の接続に用いているハンダが再溶融してしまい、導通
の不良を生じるといった新たな問題が生ずる。
【0005】また、特開昭62−549、特開昭62−
141064、特開昭64−74265等において、ポ
リフェニレンスルフィドを用いた封止用樹脂が報告され
ている。しかしながら、ポリフェニレンスルフィドは、
融点が高いため、電子部品上のハンダの再溶融をおこさ
ずに射出成形をすることは実質上不可能であり、アロイ
化等によって成形温度を下げても、電子部品の破損、ハ
ンダの再溶融のいずれも起こらない組成物を得るのは困
難であった。
【0006】電子部品の破損を起こさない良好な流動性
を、ハンダ再溶融の起こらない温度で達成する樹脂とし
て、液晶性ポリマーを用いた封止用樹脂が報告されてい
る。例えば、特開昭60−44521、特開昭62−1
64725、特開昭63−227041、特開昭64−
29424、特開昭64−37045、特開昭64−3
8432、特開昭64−74222等に、液晶性ポリマ
ーを用いた封止材料が報告されている。
【0007】液晶性ポリマーは、線膨張係数が比較的小
さい材料として知られているが、寸法安定性の良好な液
晶性ポリマーでも、アルミナ等のセラミックや鉄等の金
属の線膨張係数の数倍〜10倍以上の線膨張係数を示
し、ヒートショック時、加熱時等の寸法変化による電子
部品の破壊や湿熱時の成形品内部への水分の浸入を完全
に防ぎ得ず、その結果電子部品の性能不良を引き起こす
という問題があった。
【0008】液晶性ポリマーの線膨張係数をさらに下げ
る方法として、特開平1−92263、特開平1−11
5953、特開平1−163257等に、液晶性ポリマ
ーに、シリカ粉を混合する方法が報告されている。しか
し、この方法では、樹脂組成物の溶融粘度が上昇(流動
性が低下)し、射出成形中に電子部品が破損し、また、
流動性を向上させるために温度を上げると、ハンダが再
溶融するという問題があった。また、シリカの混合によ
り、樹脂組成物成形品の強度が大巾に低下し、使用時の
割れ、折れ等を引き起こす原因となっていた。
【0009】また、液晶性ポリマーにシリカ、ガラス繊
維等のフィラーを複合して高強度、高流動性、かつ低線
膨張係数のものを得たとしても、金属、セラミック等の
線膨張係数と同等のレベルまでは達成しえず、ヒートシ
ョック等の温度変化による界面への剪断力によって、界
面剥離を生じるという問題点があった。また、ポリエス
テルにエポキシ基含有化合物を添加した樹脂組成物は、
特開昭60−99157、特開昭60−112850、
特開昭62−143964、特開平2−67366、特
開平2−142849、特開平2−245068、特開
平3−2261、特開平3−14863等に記載があ
る。
【0010】このうち、特開昭60−99157には、
芳香族ポリエステルとあるのみで、そのポリマーが光学
的異方性を示すかどうかについては何ら記載されておら
ず、実施例も、ビスフェノールA/テレフタル酸/イソ
フタル酸からなるポリエステルのみであり、このポリマ
ーが光学的異方性を示さないことは明らかである。ま
た、金属等との接着性、ヒートショック時の水の浸入に
対する止水性などについては全く言及されていない。
【0011】特開昭60−112850は、本願とは全
く異なるポリマーの構造が特定されており、この特定さ
れたポリマーは、特開昭59−223719の比較実施
例4にある通り、融点が272℃であり、250℃で溶
融成形できないことは明らかである。また、該公報に
は、その特定されたポリマーの耐衝撃性、耐候性、耐熱
性、及び耐加水分解性の改善しか記されておらず、金属
等との接着性や止水性については全く言及されていな
い。
【0012】特開昭62−143964は、液晶性ポリ
マーの加熱時の分解防止のためのものであり、接着性、
止水性、流動性(溶融粘度)についての記載は全くな
い。また、式(I), (II), および(III )で表わさ
れる構成単位を含むポリマーについての実施例は全くな
い。更に、ここで例示されたポリマーは、いずれも、明
らかに250℃での溶融成形は不可能である。
【0013】特開平2−67366は、スチレン系樹脂
の改質に関するものであり、接着性、止水性については
何ら言及されていない。また、例示された成形温度は2
60℃以上であり、この温度では、ハンダの再溶融が起
こり、導通不良を生じるという問題点がある。
【0014】特開平2−142849は、ポリカーボネ
ートの成形性改良のためのものであるから、ポリカーボ
ネートの存在が必須であり、この点で本願とは異なる
上、接着性及び止水性に関しては、全く記載がない。
【0015】特開平2−245068は、液晶性ポリマ
ーを、エポキシによって架橋させ、粉体塗料にすること
に関するものであるが、架橋された液晶性ポリマーが、
250℃で射出成形できるだけの溶融粘度(50〜50
00ポイズ)を示さないことは明らかである。また、接
着性、止水性についての記載もない。また、上述の既知
の文献においても、ガラス繊維やシリカを含むものは記
載されていないか、または、例えば特開平2−6736
6のように、ガラス繊維を含むものはむしろ加工性が低
下すると記載されている。
【0016】特開平3−2261、特開平3−1486
3については、耐加水分解性、及び長期エージング性に
ついてのデータしか示されておらず、接着性や止水性に
ついては何ら言及されていないのみならず、実施例に用
いられている液晶性ポリマーの液晶開始温度は272℃
であり、250℃での射出成形は、明らかに不可能であ
る。
【0017】また、特開平3−14863の参考例2に
示された液晶性ポリマーは、本発明で使用する液晶性ポ
リマーに含まれると考えられるが、当該文献には、接着
性、止水性についての記載がないばかりか、当該文献の
特徴である、耐加水分解性、長期エージング性にも劣る
ことが記載されており、工業的有用性を否定されたポリ
マーとして記載されている。また、この例に示されてい
るエポキシ化合物は、分子量が低く、ヒートショック時
に成形片破壊を起こすという問題点がある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる状
況にあって、電子部品上のハンダの再溶融を起こさない
温度で、電子部品のずれや破壊を起こさない良好な流動
性を示し、更に、ヒートショック時や加熱時に樹脂と金
属、セラミック等との界面で剥離を生じないような、金
属、セラミック等との接着性の良好な熱可塑性樹脂組成
物について鋭意検討した結果、驚くべきことに、液晶ポ
リマーに特定の割合でガラス繊維、特定のエポキシ化合
物、さらに必要に応じてシリカを混合した組成物が上記
目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
【0019】すなわち、本発明は、(A)主として、下
記(I), (II), および(III )式で示される構成単
位よりなる、溶融状態で光学的異方性を示す、熱可塑性
ポリマー;20〜75wt%、
【0020】
【化2】
【0021】(B)ガラス繊維;10〜50wt%、 (C)シリカ;0〜60wt%、 (D)分子鎖末端及び/又は側鎖にエポキシ基を1個/
分子以上含み、かつ数平均分子量が3000以上である
化合物;0.1〜40wt%、 よりなり、樹脂温度250℃において、剪断速度100
0sec-1で測定した溶融粘度が50〜5000ポイズ
であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物、及びそ
れよりなる電子部品封止成形品に存する。
【0022】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
(A)成分である溶融状態で光学異方性を示す熱可塑性
ポリマー(以下、液晶性ポリマーという。)は、例え
ば、ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス、ポリマ
ー・ケミストリー・エディション第14巻、2043ペ
ージ(1976年)、特公昭56−18016、特開昭
60−186527、特開昭60−229921等に示
された、主としてエチレングリコール単位、テレフタル
酸単位、及びP−ヒドロキシ安息香酸単位よりなる液晶
性ポリマーである。
【0023】これらの液晶性ポリマーは、従来のエンジ
ニアリングプラスチックス(例えばポリエチレンテレフ
タレート)の5倍以上の剛性、4倍以上の強度、25倍
以上の衝撃強さをもつことが報告されている。また、こ
れらの液晶性ポリマーは、溶融状態での粘度がきわめて
低く、そのために流動性に優れ、比較的低温かつ低圧力
で射出成形することができ、その場合でも、成形片のヒ
ケ、バリ等が発生しにくい、という成形性のきわめて良
好なポリマーであることが知られている。
【0024】本発明における液晶性ポリマーは、下記式
(I), (II), および(III )で示される単位より主
として構成される。
【0025】
【化3】
【0026】上記(I), (II), (III )の含有割合
をそれぞれ〔I〕, 〔II〕, 〔III〕とすると、〔I〕
/〔II〕=45/55〜55/45(モル比)が良好で
あり、〔I〕/〔III 〕=60/40〜15/85、特
に好ましくは50/50〜17/83(モル比)が良好
である。〔I〕/〔III 〕が60/40(モル比)より
も大きいと液晶性が低下し、粘度が急激に増加するばか
りでなく、PET成分の結晶化が進行するためにヒケも
大きくなり好ましくない。また、〔I〕/〔III 〕が1
5/85(モル比)よりも小さいと粘度が急激に上昇
し、本発明の条件を満たすためには大幅に重合度を低下
せざるを得ず極めて脆くなり好ましくない。かかる系を
選択した場合、エチレングリコール単位、テレフタル酸
単位とP−ヒドロキシ安息香酸単位以外に第三成分が共
重合されていてもよい。
【0027】本発明の樹脂組成物における上記液晶性ポ
リマーの含有割合は、20〜75wt%であり、25〜
70wt%がさらに好ましく、35〜70wt%が特に
好ましい。75wt%をこえると、線膨張率が高くなる
ため、成形品のヒートショック時や加熱時に電子部品の
割れ等をおこし、好ましくない。また、20wt%未満
では、溶融粘度が高く、成形時の電子部品の位置ずれ又
は破損を起こすのみならず、成形品が極端にもろくな
り、好ましくない。
【0028】また、本発明の(B)成分であるガラス繊
維は、特に制限はないが、強度を上げるという意味で、
アスペクト比が高い方が好ましく、好ましくはアスペク
ト比が10以上、さらに好ましくは100以上、特に好
ましくは200以上のものが用いられる。本発明の樹脂
組成物におけるガラス繊維の含有割合は、10〜50w
t%であり、好ましくは10〜40wt%、さらに好ま
しくは15〜35wt%である。50wt%を超える
と、溶融粘度が上昇し、成形時の電子部品の位置ずれ又
は破損をおこすのみならず、成形品がもろくなるため、
好ましくない。10wt%未満では、成形品の強度が不
十分となり、好ましくない。
【0029】また、本発明の(C)成分であるシリカ
は、溶融シリカ、合成シリカ等が挙げられる。シリカの
平均粒径に特に制限はないが、平均粒径が3〜40μm
のものが好適である。3μm未満であると、溶融粘度が
上昇し、成形時に電子部品の位置ずれ又は破壊を起こ
し、好ましくない。40μm以上であると、成形品の強
度が低くなるのみならず、表面外観が悪くなり、好まし
くない。
【0030】本発明においては、シリカは配合されなく
てもよいが、配合される場合は、その含有割合は、60
wt%以下、好ましくは50wt%以下、更に好ましく
は3〜40wt%である。60wt%を超えると、溶融
粘度が上昇し、成形時に電子部品の位置ずれ又は破壊を
起こし、好ましくない。本発明の(D)成分である化合
物は、分子鎖末端及び/又は側鎖にエポキシ基をもつエ
ポキシ化合物であり、エポキシ基数は1個/分子以上、
好ましくは2個/分子以上である。エポキシ基数が1個
/分子未満であると、組成物と金属、セラミックとの接
着性が不十分であり、ヒートショック時や加熱時に、界
面剥離等を生じ、好ましくない。
【0031】また、本発明で用いられるエポキシ化合物
は、蒸気圧浸透法で求めた数平均分子量が3000以
上、好ましくは4500〜200000のものである。
数平均分子量が3000未満であると、組成物の強度が
小さくなり、ヒートショック時等に成形片の破壊等が起
こり、好ましくない。ここで用いられるエポキシ化合物
の例としては、グリシジルメタクリレートのホモポリマ
ー、グリシジルメタクリレートとエチレン、プロピレ
ン、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、アクリロニトリル等の不飽和化合物のうち1種以上
とのブロックおよび/又はグラフトコポリマー、末端エ
ポキシ停止のエピクロルヒドリン/ビスフェノールA共
重合体等が良好であるが、これらに限定されない。
【0032】本発明におけるエポキシ化合物の含有割合
は、0.1〜40wt%、好ましくは0.3〜35wt
%、さらに好ましくは0.5〜30wt%である。0.
1wt%未満では、樹脂組成物と金属、セラミックとの
接着性が十分でなく、ヒートショック、加熱等により、
界面剥離を生じるので好ましくない。40wt%以上で
は、樹脂組成物の流動性が低下し、成形時の電子部品の
位置ずれ又は破損を起こすため、好ましくない。
【0033】エポキシ化合物は、接着剤等としても用い
られることからも、金属、セラミックとの接着性が良い
ことが知られている。しかし、エポキシ化合物を、アミ
ン等の硬化剤と反応させたり、加熱したりして架橋、硬
化させて用いた場合、硬化後は、不溶・不融となり、熱
可塑性ではなくなる。一方、熱可塑性樹脂に低分子量の
エポキシ化合物を混合すると、組成物の強度が低くなっ
たり、接着性が不足する。
【0034】液晶性ポリマーにガラス繊維と共に高分子
量のエポキシ化合物を混合し、さらに必要に応じてシリ
カを混合することにより、セラミック基板上のハンダを
再溶融させない温度で、かつ基板の破壊の起こらない低
圧力で射出成形によって電子部品等の封止が可能で、か
つ、金属、セラミック等の電子部品との接着性が良好で
ある熱可塑性樹脂組成物が得られることは、驚くべきこ
とである。
【0035】本発明の樹脂組成物は、250℃、剪断速
度1000sec-1において50〜5000ポイズ、好
ましくは100〜4000ポイズ、さらに好ましくは、
100〜3000ポイズのものが用いられる。50ポイ
ズ未満であると、成形品の力学強度が不十分であり、好
ましくない。5000ポイズを超えると、成形時にショ
ートショットになってしまい、それを防ぐために射出圧
力を上げると、電子部品の位置ずれ、破損等が起こり、
好ましくない。
【0036】本発明の樹脂組成物は、上記のほかに、実
用上問題ない程度の各種添加剤、例えば、熱安定剤、光
安定剤、滑剤等を含んでいても差し支えない。本発明の
電子部品封止成形品は、本発明の樹脂組成物を用い、通
常の方法による射出成形、すなわち例えば、樹脂温度2
20〜300℃、好ましくは230〜280℃、射出圧
力50〜12000kg/cm2 、好ましくは100〜
800kg/cm2 の条件で射出成形を行なうことによ
り、得ることができる。
【0037】かかる射出成形により封止しうる電子部品
としては、特に制限はなく、例えば、ハイブリッドIC
基板等が挙げられる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、実施
例によって何ら限定されるものではない。尚、実施例
中、溶融粘度は、島津フローテスターCFT500型を
用い、温度250℃、剪断速度1000sec-1、キャ
ピラリー1mm(直径)×10mm(長さ)を用いて測
定した。成形時の電子部品のずれ及び割れは、成形品の
X線写真をとり、確認した。ヒケは、目視により判断し
た。
【0039】空気中におけるヒートショックテストは、
−40℃/120℃で各40分、100サイクルの条件
で行ない、処理後、成形品の外観及びX線写真より、成
形品、基板の割れの有無を確認した。また、液体中での
ヒートショックテストは、100℃/0℃の赤インク水
溶液中に、各々15分づつ成形片を浸漬することを10
回くり返し、その後、内部への赤インクの浸透度合を確
認した。
【0040】耐湿熱試験は、赤インク中に成形品を浸漬
し、プレッシャークッカーテスター中、120℃、2a
tmで100時間処理後、成形品を切断し、内部への赤
インクの浸透度合を確認した。引張強度は、射出成形に
て成形したダンベル片を5mm/分で引っ張り、破断時
の強度を測定した。
【0041】尚、ポリマーの対数粘度は、フェノール/
テトラクロロエタン(50/50重量比)中、30℃に
て、濃度0.5g/dlで測定した。本実施例で使用す
る液晶性ポリマーA, Bは、エチレングリコール単位、
テレフタル酸単位、P−ヒドロキシ安息香酸単位より主
としてなる共重合ポリエステルであり、エチレングリコ
ール単位、テレフタル酸単位、P−ヒドロキシ安息香酸
単位のモル数をそれぞれ〔E〕, 〔T〕, 〔O〕とする
と、以下に示す組成を有するポリマーである。 液晶性ポリマーA;〔E〕/〔T〕/〔O〕=20/2
0/80(モル比) 液晶性ポリマーB;〔E〕/〔T〕/〔O〕=50/5
0/50(モル比) 液晶性ポリマーA, Bは、それぞれ参考例1, 2に従っ
て製造した。
【0042】〔参考例1〕 液晶性ポリマーAの製造 ポリエチレンテレフタレートオリゴマー(ηinh=
0.10dl/g)384g(2.0モル)とP−ヒド
ロキシ安息香酸1104g(8.0モル)とを撹拌機の
ついた反応釜に仕込み、N2 で3回パージした後、24
0℃に加熱し、N 2 気流下で1時間撹拌した。次いで、
無水酢酸1020g(10モル)を添加し、N2 シール
下で1時間撹拌した。その後、酢酸を留出させながらN
2 気流下で浴温を275℃に上げた後、酢酸亜鉛2水和
物0.82gを投入した。その後、0.3torrの減
圧を適用し、4時間撹拌をつづけ、重合を完了した。こ
のポリマーの対数粘度ηinh=1.28(dl/g)
であった。このポリマーは、ホットステージ付偏光顕微
鏡で250℃において観察したところ、溶融異方性を示
した。
【0043】〔参考例2〕 液晶性ポリマーBの製造 ポリエチレンテレフタレートオリゴマーを960g(5
モル)、P−ヒドロキシ安息香酸を690g(5モ
ル)、無水酢酸を638g(6.25モル)、酢酸亜鉛
2水和物を0.91gとした以外は、参考例1と同様に
して行ない、ポリマーを得た。このポリマーの対数粘度
はηinh=0.64(dl/g)であった。このポリ
マーは、ホットステージ付偏光顕微鏡で250℃におい
て観察したところ、溶融異方性を示した。
【0044】実施例1 液晶性ポリマーA 4.75kg ガラス繊維(アスペクト比230) 2.0kg 溶融シリカ(平均粒径17μ) 3.0kg エポキシ化合物A 0.25kg をドライブレンドし、2軸スクリュー押出機にて275
℃で混練、造粒した。得られた熱可塑性樹脂組成物で、
ハイブリッドIC基板を、250℃、射出圧力300k
g/cm2 で、射出成形によって封止した。尚、エポキ
シ化合物Aは、両末端にエポキシ基を有し、蒸気圧浸透
法によって求めた数平均分子量5000のポリマーで、
下記の構造をもつ。
【0045】
【化4】
【0046】各種、物性の測定結果を表1に示す。
【0047】実施例2〜20 液晶性ポリマー、ガラス繊維、溶融シリカ及びエポキシ
化合物の種類、並びにそれらの組成比を表1に示すよう
に変化させた以外は、実施例1と同様に行なった。測定
結果を表2に示す。
【0048】尚、実施例に用いたエポキシ化合物は以下
の通りである(Mnは数平均分子量) マープルーフG870S:日本油脂(株)製、グリシジ
ルメタクリレートコポリマー(Mn=80000) マープルーフG1505S:日本油脂(株)製、グリシ
ジルメタクリレートコポリマー(Mn=150000) タフテックZ513:旭化成工業(株)製、スチレン/
ブタジエンコポリマー水添物のエポキシ変性物(Mn>
10000) モディパーA4100:日本油脂(株)製、エチレン/
グリシジルメタクリレートコポリマーのポリスチレング
ラフト物(Mn>10000) モディパーA4200:日本油脂(株)製、エチレン/
グリシジルメタクリレートコポリマーのポリメチルメタ
クリレートグラフト物(Mn>10000) モディパーA4400:日本油脂(株)製、エチレン/
グリシジルメタクリレートコポリマーのポリアクリロニ
トリル/スチレングラフト物(Mn>10000) ボンドファスト2B:住友化学(株)製、エチレン/グ
リシジルメタクリレートコポリマー(Mn>1000
0) エポキシ化合物B:エポキシ化合物Aと同構造で数平均
分子量3500のもの。
【0049】比較例1〜9 ポリマー、ガラス繊維、溶融シリカ及びエポキシ化合物
の種類並びにそれらの組成比を表3に示すように変化さ
せた他は、実施例1と同様に行なった。
【0050】ただし、比較例7については混練及び成形
の温度を300℃にして行なった。測定結果を表4に示
す。尚、比較例において用いた原料は以下の通りであ
る。 ベクトラA950:ポリプラスチックス(株)製の液晶
性ポリマー PET:ポリエチレンテレフタレート PPS:ポリフェニレンスルフィド エポキシ化合物C:エポキシ化合物Aと同構造で、数平
均分子量2000のもの。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電子部
品上のハンダの再溶融を起こさない温度で、電子部品の
ずれや破壊を起こさない良好な流動性を示し、かつ、ヒ
ートショック時や加熱時に樹脂と金属、セラミック等と
の界面で剥離を起こさず、良好な接着性及び止水性を示
す。
【0056】従って、低温・低圧で射出成形して優れた
電子部品封止成形品を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 23/29 23/31 (72)発明者 金沢 吉隆 神奈川県茅ケ崎市円蔵370番地 三菱化成 株式会社茅ケ崎事業所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)主として、下記(I), (II),
    および(III )式で表わされる構成単位よりなる、溶融
    状態で光学的異方性を示す熱可塑性ポリマー;20〜7
    5wt%、 【化1】 (B)ガラス繊維;10〜50wt%、 (C)シリカ;0〜60wt%、 (D)分子鎖末端及び/又は側鎖にエポキシ基を1個/
    分子以上含み、かつ数平均分子量が3000以上である
    化合物;0.1〜40wt%、 よりなり、樹脂温度250℃において剪断速度1000
    sec-1で測定した溶融粘度が50〜5000ポイズで
    あることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 特許請求の範囲第1項記載の熱可塑性樹
    脂組成物を用いて射出封止成形してなる電子部品封止成
    形品。
JP23814491A 1991-09-18 1991-09-18 熱可塑性樹脂組成物および電子部品封止成形品 Pending JPH0578556A (ja)

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