JP2007238851A - 液晶性樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

液晶性樹脂成形品及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007238851A
JP2007238851A JP2006065645A JP2006065645A JP2007238851A JP 2007238851 A JP2007238851 A JP 2007238851A JP 2006065645 A JP2006065645 A JP 2006065645A JP 2006065645 A JP2006065645 A JP 2006065645A JP 2007238851 A JP2007238851 A JP 2007238851A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystalline
crystalline resin
molded article
weight
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006065645A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5132890B2 (ja
Inventor
Yoshiko Kumai
淑子 熊井
Kazufumi Watanabe
一史 渡辺
Toshio Shiaku
俊雄 塩飽
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Polyplastics Co Ltd
Original Assignee
Polyplastics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Polyplastics Co Ltd filed Critical Polyplastics Co Ltd
Priority to JP2006065645A priority Critical patent/JP5132890B2/ja
Publication of JP2007238851A publication Critical patent/JP2007238851A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5132890B2 publication Critical patent/JP5132890B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)

Abstract

【課題】液晶性樹脂が有する機械的物性、特に流動性、弾性率を保持し、面衝撃強度が改善された液晶性樹脂成形品を提供する。
【解決手段】(A) 液晶性樹脂に対して(B) 液晶性樹脂と反応性を有する官能基を持つ重量平均分子量が12000以上あるいはJIS K7210に従って測定したメルトフローレートが10g/10分以下の高分子化合物を2〜15重量%配合した樹脂組成物を射出成形し、成形品全厚みに対する成形品のコア層厚みを28%以下とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気・電子機器部品、携帯電話の筺体、自動車外板等として有用な優れた面衝撃強度を有する液晶性樹脂成形品及びその製造方法に関する。
液晶性ポリエステル樹脂に代表される液晶性樹脂は、優れた機械的強度、耐熱性、耐薬品性、電気的性質等をバランス良く有するため高機能エンジニアリングプラスチックとして広く利用されている。しかし、液晶性樹脂は、成形時の分子配向により、シャルピー試験においては高い衝撃強度を示すが、落錘衝撃等の面衝撃強度は低いことが知られている。
これまでに、液晶性樹脂の面衝撃強度を改良するためにはオレフィン系共重合体を配合する技術が各種提案されている。
例えば、特許文献1には、液晶性ポリエステル樹脂の面衝撃強度を改良するため、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンからなるオレフィン系共重合体に対し0.01〜10重量%の不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトして得た変性エチレン系共重合体、またはエチレン、炭素数3以上のα−オレフィン及び非共役ジエンからなる共重合体に対し0.01〜10重量%の不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトして得た変性エチレン系共重合体を配合した液晶性ポリエステル樹脂組成物が開示されている。
同様に、特許文献2には、α−オレフィン類とα,β−不飽和酸のグリシジルエステルとからなるオレフィン系共重合体を配合した液晶性ポリエステル樹脂組成物が開示されている。
しかし、何れの組成物も液晶性ポリエステル樹脂の面衝撃強度を十分に改善するものではなく、また反応性オレフィン系共重合体の過度の添加により本来液晶性ポリエステル樹脂の持つ流動性、弾性率が損なわれ、薄肉射出成形品へは使用が困難である。
特開平8−12862号公報 特開平7−316402号公報
本発明は、上記従来技術の課題を解決するものであり、液晶性樹脂が有する機械的物性、特に流動性、弾性率を保持し、面衝撃強度が改善された液晶性樹脂成形品の提供を目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、(A) 液晶性樹脂に対して(B) 特定の化合物を適量配合した樹脂組成物を射出成形し、成形品のコア層厚みを小さくすることにより、面衝撃強度の改善された液晶性樹脂成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、(A) 液晶性樹脂に対して(B) 液晶性樹脂と反応性を有する官能基を持つ重量平均分子量が12000以上あるいはJIS K7210に従って測定したメルトフローレートが10g/10分以下の高分子化合物を2〜15重量%配合した樹脂組成物を射出成形してなり、成形品全厚みに対する成形品のコア層厚みを28%以下とした液晶性樹脂成形品である。
本発明の液晶性樹脂成形品は、従来の液晶性樹脂成形品に比べて飛躍的に面衝撃強度が向上し、且つ剛性、流動性に優れるため、携帯電話、デジタルカメラ等の外装部品等、各種分野で使用可能である。
以下、本発明組成物の構成成分について詳しく説明する。本発明に使用する液晶性樹脂(A) は溶融時に光学的異方性を示すネマチック液晶性樹脂であり、本発明において耐熱性と易加工性を併せ持つ上で不可欠な要素である。溶融異方性の性質は直交偏光子を利用した慣用の偏光検査方法により確認することができる。具体的にはLeitz 偏光顕微鏡を使用しLeitz ホットステージにのせた試料を溶融し、窒素雰囲気下で約40倍の倍率で観察することにより確認できる。上記光学的に異方性のポリマーは直交偏光子間に挿入したとき溶融静止液状態であっても偏光は透過する。
本発明に用いられる液晶性樹脂(A) は、好ましくは下記一般式(1) よりなる芳香族ヒドロキシカルボン酸基を少なくとも30モル%以上含有する芳香族ポリエステルであり、他の一般式(2) で示すジカルボン酸基と一般式(3) で示すジオールからなる繰り返し単位を夫々35モル%以下で含有した芳香族ポリエテスルも含まれる。
本発明に好ましく使用される液晶性ポリエステルの主たる繰り返し単位を構成する(1) 式の-Ar1- はフェニレン基及び/又はナフタレン基より成り、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル形成性化合物の重縮合によって得られる。かかる芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物の例を示せば、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−(4−ヒドロキシフェニル)安息香酸の如き芳香族ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル形成性化合物が挙げられ、1種又は2種以上の混合物であってもよい。特に(1) 式構成単位としては4−ヒドロキシ安息香酸基を主とし、一部ヒドロキシナフトエ酸基を含むものが好ましい。特に使用するポリエステルの構成単位として後述の(2) 式構成単位が不存在、又は極めて少ない場合には(1) 式構成単位が上記2種よりなることが特に成形性の点で好ましい。
次に本発明に好ましく使用されるポリエステル(A) を構成する(2) 式の-Ar2- はフェニレン基、ナフタレン基、ジフェニレン基であり、又液晶性を保持する範囲で脂肪族基であってもよい。又、(3) 式の-R- はフェニレン基、ナフタレン基、ビフェニレン基等であり、炭素数2〜8の脂肪族基であってもよい。(2) 式及び(3) 式構成単位は、原料としてジカルボン酸 (HOOC-Ar2-COOH)又はそのエステル形成性化合物及びジオール(HO-R-OH) より形成され、かかる酸成分とジオール成分を前記芳香族ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル形成性化合物と共に重縮合反応することにより導入される。(2) 式単位を構成するためのジカルボン酸成分としてはテレフタル酸、2,6 −ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、2,7 −ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルカルボン酸等、公知の芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性化合物が挙げられる。又、(3) 式単位を構成するためのジオールとしては、ハイドロキノン、核置換ハイドロキノン、4,4'−ビフェノール、2,6 −ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA等の公知の芳香族ジオール、或いは脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールから成る1種又は2種以上を用いることが出来る。
本発明に好ましく使用される液晶性ポリエステル(A) は(1) 式構成単位が少なくとも30モル%以上、(2) 式及び(3) 式単位が夫々35モル%以下であり、好ましくは(1) 式40%以上、(2) 式及び(3) 式単位が夫々30%以下、更に好ましくは(1)式50%以上、(2) 式及び(3) 式単位が夫々25%以下である。尚、本発明に使用される液晶性樹脂(A) は更に上記(1) 式及び(2) 、(3) 式以外に、溶融時に液晶性を示す範囲内でエーテル結合やアミド結合を持つコモノマー成分を導入してもよく、又、液晶性を保持する範囲内で、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、トリメシン酸、4−ヒドロキシイソフタル酸の様な多官能性エステル形成モノマーや、スルホイソフタル酸ナトリウム、パラヒドロキシエチルフェニルスルホン酸ナトリウムのようなイオン性基を持つエステル形成性モノマーを導入したものでもよい。特に好ましい液晶性ポリエステル樹脂(A) としては、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から成る共重合芳香族ポリエステル、及び更にこれ以外にテレフタル酸、イソフタル酸よりなる酸成分と、ハイドロキノン、4,4'−ビフェノール、エチレングリコールよりなるジオール成分との組合せモノマーを共重合して得られる芳香族コポリエステルである。
本発明に用いられる液晶性熱可塑性樹脂(A) の調製は、上記のモノマー化合物から直接重合法やエステル交換法を用いて公知の方法で行うことが出来るが、通常は溶融重合法やスラリー重合法等が用いられる。エステル形成能を有する上記化合物類はそのままの形で重合に用いても良く、又、重合の前段階で前駆体から該エステル形成能を有する誘導体に変性されたものでもよい。これらの重合に際しては種々の触媒の使用が可能であり、代表的なものはジアルキル錫酸化物、ジアリール錫酸化物、2酸化チタン、アルコキシチタンけい酸塩類、チタンアルコラート類、カルボン酸のアルカリ及びアルカリ土類金属塩類、BF3 の如きルイス酸塩等があげられる。触媒の使用量は一般にはモノマーの全重量に基いて約 0.001乃至1重量%、特に約0.01乃至 0.2重量%が好ましい。これらの重合方法により製造されたポリマーは更に必要があれば、減圧又は不活性ガス中で加熱する固相重合により分子量の増加を図ることができる。本発明で使用する液晶性樹脂(A) の溶融粘度は特に限定する必要はなく、射出成形可能なものであれば何れにても良い。一般には成形温度での溶融粘度が剪断速度1000sec-1で10Pa・s以上600Pa・s以下のものが使用可能である。しかし、それ自体あまり高粘度のものは流動性が非常に悪化するため好ましくない。尚、上記液晶性樹脂(A) は2種以上の液晶性樹脂の混合物であっても良い。
本発明は、上記のような液晶性樹脂の欠点である面衝撃強度の改善を図るものである。以下に、本発明における液晶性樹脂の面衝撃強度向上の作用機構について説明する。
一般に、高分子材料が面衝撃力を受けたときの変形パターンは、クレーズ変形(脆性タイプ)と剪断降伏変形(延性タイプ)の2通りに大別できるとされている。どちらの変形を起こすかは高分子材料の基本構造によりほぼ決まり、クレーズ変形は分子の絡み合い密度、剪断降伏変形は分子鎖の柔軟性を見ることで大別できるとされている。高分子材料の高靱性化を図るには、通常、エラストマーが添加されるが、このエラストマーの役割はそれぞれの変形パターンによって異なり、クレーズ変形型ではエラストマーは応力集中の場を提供するものであり、そのためエラストマー粒子径の最適化が重要なポイントであり、最適粒子径は高分子材料の絡み合い密度によって異なるとされている。一方、剪断降伏変形型では、衝撃力はエラストマー粒子の内部破壊、もしくはエラストマーと高分子材料の界面剥離によるボイドによって緩和されていくと考えられるため、エラストマー粒子の壁間距離の最適化が重要になるとされている。
しかし、液晶性樹脂の高靱性化においては、面衝撃強度とエラストマー粒子径、エラストマー粒子の壁間距離との間には相関はなく、液晶性樹脂の高靱性化メカニズムは、一般的な高分子の高靱性化理論とは異なる。
液晶性樹脂射出成形品の内部は、図1の偏光顕微鏡写真(後記する比較例1)に示すように、表面のスキン層、中心のコア層、スキン層とコア層との間の中間層という3種5層構造になっていることが知られている。一般的な液晶性樹脂射出成形品では、図1の偏光顕微鏡写真の如く、スキン層と中間層は高い分子配向度と大きな光学的異方性を持ち、強い干渉色を示すが、コア層は比較的変色が弱く、低い分子配向度を持つことがわかる。この層間の分子配向度の差により、液晶性樹脂は衝撃力を受けると層間に応力が集中し脆性破壊すると考えられる。
図2はエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体を5重量%配合した液晶性樹脂射出成形品(後記する実施例3)の偏光顕微鏡写真である。図2からわかるように、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体を添加すると、中間層とコア層の厚みが変化する。実験の結果、中間層の厚みが72%を超えると、つまりコア層の厚みが28%以下になると急激に衝撃強度が向上することが判明した。分子配向度の低くなった中間層が衝撃力を緩和していると考えられる。即ち、一般的な液晶性樹脂成形品のコア層の厚みは30%以上であるが、中間層の厚みを増加させ、コア層厚みを28%以下、好ましくは23%以下とすることにより、液晶性樹脂成形品は高靱性化するのである。
つまり、液晶性樹脂の高靱性化では、一般的な高分子材料の高靱性化と異なり、必ずしもエラストマー成分(ゴム成分)を必要とせず、液晶性樹脂の末端基と反応性を有する官能基を持つ重量平均分子量が12000以上あるいはJIS K7210に従って測定したメルトフローレートが10g/10分以下程度の長い分子鎖を持つ高分子化合物を配合し、架橋分子を導入することにより、液晶性樹脂の分子配向度の低下、および液晶性樹脂の絡み合い密度を増加させることにより達成され、液晶性樹脂の絡み合い密度が増加し、液晶性樹脂マトリックス自体がクレーズ変形型(脆性タイプ)から剪断降伏変形型(延性タイプ)に変化した結果と考えられる。その剪断降伏変形型に変化した成形品は、液晶性樹脂成形品の中間層とコア層の厚みが変化する(中間層の厚みが増加し、コア層厚みが成形品全厚みに対し28%以下となる)という形で示されるのである。
次に、液晶性樹脂成形品のコア層厚みを28%以下とするための(B) 重量平均分子量が12000以上あるいはJIS K7210に従って測定したメルトフローレートが10g/10分以下の高分子化合物は、エポキシ基、オキサゾリル基、イミド基、アミノ基、酸無水物基等の液晶性樹脂と反応性を有する官能基を持つものである。
これらの官能基は他の官能基の一部として存在していてもよく、例えばエポキシ基を有する官能基としては、グリシジル基が好ましく例示される。グリシジル基を有する単量体としては、不飽和カルボン酸グリシジルエステル、不飽和カルボン酸グリシジルエーテル等が好ましく用いられる。
また、液晶性樹脂の分子配向度低下効果、液晶性樹脂の絡み合い密度増加効果を考慮すると、(B) 高分子化合物の基体となる高分子の重量平均分子量は12000以上、あるいはJIS K7210に従って測定したメルトフローレートが10g/10分以下が好ましい。分子量が12000より小さい、あるいはJIS K7210に従って測定したメルトフローレートが10g/10分より大きいと、液晶性樹脂の分子配向度低下効果、液晶性樹脂の絡み合い密度増加効果が小さい。したがって、溶融粘度の上昇が少なく、射出成形した成形品のコア層厚みが28%以下にならず、十分な面衝撃強度が得られず好ましくない。但し、液晶性樹脂組成物の溶融粘度が上昇しすぎると、コア層厚みが28%より多くなり好ましくない。したがって、液晶性樹脂の溶融粘度(η)と液晶性樹脂組成物の溶融粘度(η)との比(η/η)は、2.0〜5.0が好ましく、特に2.0〜4.0が好ましい。溶融粘度は、液晶性樹脂の融点+20℃にて、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用い、剪断速度1000sec-1の条件のもとISO 11443に準拠して測定したものである。
液晶性樹脂と反応性を有する官能基を持つ高分子化合物の量としては、液晶性樹脂に対して2〜15重量%が好ましく、特に好ましくは2〜9重量%である。2重量%より少ないと液晶性樹脂と高分子化合物が十分反応せずに、十分な面衝撃強度が得られず、15重量%より多いと、コア層厚みが28%より多くなってしまうばかりか、流動性の悪化、ゲル化等、良好な成形品を得ることができず好ましくない。但し、(B) 高分子化合物の添加量は、面衝撃強度向上の重要な要素であるが、それだけではなく、高分子化合物の種類によっては、上記添加量の範囲であっても面衝撃強度向上が十分でない場合があり、十分な面衝撃強度を得るためには(B) 高分子化合物の添加量とコア層厚みの両者の規定を満足する必要がある。
(B) 高分子化合物の基体となる高分子は、特に限定するものではないが、オレフィン系樹脂或いはスチレン系樹脂が好ましく、上述した好ましい官能基であるグリシジル基と組み合わされた、α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルよりなるもの、スチレン類とα,β−不飽和酸のグリシジルエステルよりなるものが好ましい。
α−オレフィンとしては、具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン等が挙げられるが、中でもエチレンが好ましく用いられる。スチレン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられるが、スチレンが好ましい。
α,β−不飽和酸のグリシジルエステルは下記一般式(4) で示されるものである。
(式中、R' は水素又は炭素数1〜5の低級アルキル基である。)
α,β−不飽和酸のグリシジルエステルユニットは、例えばアクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、エタクリル酸グリシジルエステル、イタコン酸グリシジルエステル等であるが、特にメタクリル酸グリシジルエステルが好ましい。
また、本発明の目的を損なわない範囲で上記2成分以外に第3成分としてアクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、α−メチルスチレン、無水マレイン酸等のオレフィン系不飽和エステルの1種又は2種以上を、上記2成分100重量部に対し0〜48重量部含有しても良い。
また、本発明の液晶性樹脂には、シリカ、タルク等の各種フィラー、一般に合成樹脂に添加される公知の物質、すなわち酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、離型剤、および結晶化促進剤、結晶核剤等も要求性能に応じ適宜添加することができる。
本発明の組成物の調製は、上記(A) 、(B) 成分を添加配合して溶融混練処理し、場合によってはその他の所望成分をも配合して溶融混練し、次いで射出成形に供される。かかる各成分の溶融混練は1軸又は2軸押出機を使用して一旦ペレット化した後、射出成形に供するのが一般的である。
本発明の液晶性樹脂成形品は、電気・電子機器部品、携帯電話の筺体、自動車外板等の射出成形品に好適に利用される。特に、薄肉成形性に優れているので、筺体等の肉厚2mm以下の射出成形品に有効である。
以下に実施例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。使用した各成分は以下のものである。
製造例1(全芳香族ポリエステル液晶樹脂(成分(A) )の合成)
p−ヒドロキシ安息香酸345重量部(73モル%)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸175重量部(27モル%)、酢酸カリウム0.02重量部、無水酢酸350重量部を、攪拌機及び留出管を備えた反応器に仕込み、十分に窒素置換した後、常圧下で150℃まで温度を上げ、攪拌を開始した。150℃で30分攪拌し、更に徐々に温度を上昇させ、副生する酢酸を留去した。温度が300℃に達したところで、徐々に反応器を減圧し、5Torr(即ち665Pa)の圧力で1時間攪拌を続け、目標の攪拌トルクに達した時点で、反応器下部の排出孔を開け、窒素圧を使って樹脂をストランド状に取り出した。排出されたストランドをペレタイザーにより粒子状にした。この全芳香族ポリエステル液晶樹脂の融点は280℃、300℃での溶融粘度は50.1Pa・sであった。
(B) 成分の高分子化合物としては下記のものを使用した。
・(B-1) 日本油脂(株)製、マープルーフG1005S[スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(グリシジルメタクリレートを4.3重量%含有)、重量平均分子量98000]
・(B-2) 日本油脂(株)製、マープルーフG1010S[スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(グリシジルメタクリレートを8.4重量%含有)、重量平均分子量92000]
・(B-3) 住友化学(株)製、Bondfast 2C[エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(グリシジルメタクリレートを6重量%含有)、メルトフローレート=3g/10分]
・(B-4) 住友化学(株)製、Bondfast E[エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(グリシジルメタクリレートを12重量%含有)、メルトフローレート=3g/10分]
・(B-5) アトフィナジャパン(株)製、LOTADAR AX8900[エチレン−マレイン酸変性グリシジルメタクリレート共重合体(グリシジルメタクリレートを8重量%、マレイン酸を25重量%含有)、メルトフローレート=6g/10分]
・(B'-1) (比較品)日本油脂(株)製、マープルーフG0130S[スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(グリシジルメタクリレートを26.8重量%含有)、重量平均分子量10900]
実施例1〜5、比較例1〜3
上記(A) 、(B) 成分を表1に示す割合で二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α型)を用いてシリンダー温度300℃にて溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得て、射出成形に供し、評価した。試験片としては、ファナック社製Roboshot α−100iA成形機を用い、シリンダー温度300℃、金型温度80℃の条件で0.7mm厚の平板を成形した。
尚、特性値の評価に用いた測定法は以下の通りである。
[溶融粘度]
キャピラリー式レオメーター(東洋精機製キャピログラフ1B:ピストン径10mm)により、温度T1(樹脂の融点+20℃)、剪断速度1000sec-1の条件での見掛けの溶融粘度をISO 11443に準拠して測定した。測定には、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いた。
[コア層厚み]
0.7mm厚の平板について、偏光顕微鏡写真観察により成形品全厚みに対するコア層厚みの比率(%)を評価した。
[打ち抜き試験]
オリエンテック製テンシロンUTA-50kN試験機で0.7mm厚の平板試験片を用いて打ち抜き試験を行った。先端直径16mmの半球状打ち抜き治具を用い、試験速度100mm/minで試験を行った。
[落錘試験]
固定した平板試験片中央部に、図3に示す先端が半球状(球直径;9mm)の治具をのせ、この治具の上に任意の重さの重錘を任意の高さから落下させ、試験片が破壊するかを確認した。
以下の計算式に基づき、50%破壊エネルギーを算出した。
錘を落とす高さは1cm間隔で変化させ、50%の試験片が破壊する高さ(50%破壊高さ)を求めた。求められた50%破壊高さより下式により50%破壊エネルギーを求めた。
50%破壊エネルギー(E/(J))=(錘の質量(kg))×(重力加速度(9.80665m/s2))×(50%破壊高さ(m))
結果を表1に示す。
比較例1の液晶性樹脂射出成形品の偏光顕微鏡写真である。 実施例3の液晶性樹脂射出成形品の偏光顕微鏡写真である。 落錘試験に用いた先端が半球状の治具を示す図である。

Claims (4)

  1. (A) 液晶性樹脂に対して(B) 液晶性樹脂と反応性を有する官能基を持つ重量平均分子量が12000以上あるいはJIS K7210に従って測定したメルトフローレートが10g/10分以下の高分子化合物を2〜15重量%配合した樹脂組成物を射出成形してなり、成形品全厚みに対する成形品のコア層厚みを28%以下とした液晶性樹脂成形品。
  2. 成形品全厚みに対する成形品のコア層厚みが23%以下である請求項1記載の液晶性樹脂成形品。
  3. (B) 成分の液晶性樹脂と反応性を有する官能基が、エポキシ基である請求項1又は2記載の液晶性樹脂成形品。
  4. (A) 液晶性樹脂に対して(B) 液晶性樹脂と反応性を有する官能基を持つ重量平均分子量が12000以上あるいはJIS K7210に従って測定したメルトフローレートが10g/10分以下の高分子化合物を2〜15重量%配合した樹脂組成物を射出成形し、成形品全厚みに対する成形品のコア層厚みを28%以下とすることを特徴とする面衝撃強度の改善された液晶性樹脂成形品の製造方法。
JP2006065645A 2006-03-10 2006-03-10 液晶性樹脂成形品及びその製造方法 Active JP5132890B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006065645A JP5132890B2 (ja) 2006-03-10 2006-03-10 液晶性樹脂成形品及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006065645A JP5132890B2 (ja) 2006-03-10 2006-03-10 液晶性樹脂成形品及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007238851A true JP2007238851A (ja) 2007-09-20
JP5132890B2 JP5132890B2 (ja) 2013-01-30

Family

ID=38584699

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006065645A Active JP5132890B2 (ja) 2006-03-10 2006-03-10 液晶性樹脂成形品及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5132890B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11084925B2 (en) 2018-02-20 2021-08-10 Ticona Llc Thermally conductive polymer composition

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102627886B1 (ko) 2017-12-05 2024-01-19 티코나 엘엘씨 카메라 모듈에 사용하기 위한 방향족 중합체 조성물
JP7461959B2 (ja) 2019-03-20 2024-04-04 ティコナ・エルエルシー カメラモジュールのためのアクチュエータアセンブリ
KR20210148198A (ko) 2019-03-20 2021-12-07 티코나 엘엘씨 카메라 모듈에서 사용하기 위한 중합체 조성물

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0578556A (ja) * 1991-09-18 1993-03-30 Mitsubishi Kasei Corp 熱可塑性樹脂組成物および電子部品封止成形品
JPH07316402A (ja) * 1995-01-17 1995-12-05 Toray Ind Inc 芳香族ポリエステル組成物
JPH0812862A (ja) * 1995-01-17 1996-01-16 Toray Ind Inc 芳香族ポリエステル組成物
JPH08337710A (ja) * 1995-04-12 1996-12-24 Sumitomo Chem Co Ltd 液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムおよびその製造方法
JP2005290371A (ja) * 2004-03-10 2005-10-20 Matsushita Electric Works Ltd 低誘電正接を有する樹脂成形品およびその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0578556A (ja) * 1991-09-18 1993-03-30 Mitsubishi Kasei Corp 熱可塑性樹脂組成物および電子部品封止成形品
JPH07316402A (ja) * 1995-01-17 1995-12-05 Toray Ind Inc 芳香族ポリエステル組成物
JPH0812862A (ja) * 1995-01-17 1996-01-16 Toray Ind Inc 芳香族ポリエステル組成物
JPH08337710A (ja) * 1995-04-12 1996-12-24 Sumitomo Chem Co Ltd 液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムおよびその製造方法
JP2005290371A (ja) * 2004-03-10 2005-10-20 Matsushita Electric Works Ltd 低誘電正接を有する樹脂成形品およびその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11084925B2 (en) 2018-02-20 2021-08-10 Ticona Llc Thermally conductive polymer composition
US11725105B2 (en) 2018-02-20 2023-08-15 Ticona Llc Thermally conductive polymer composition

Also Published As

Publication number Publication date
JP5132890B2 (ja) 2013-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5107048B2 (ja) 射出成形用液晶性樹脂組成物
EP0672721B1 (en) Liquid crystal polyester resin composition
JP5895567B2 (ja) 無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
CN110997820B (zh) 耐滑动摩耗构件用液晶性树脂组合物和使用了其的耐滑动摩耗构件
JPWO2006025538A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP6667253B2 (ja) センターフェイシア用耐薬品性高分子樹脂組成物
KR20210035309A (ko) 내 볼베어링 접동 마모 부재용 액정성 수지 조성물 및 이를 이용한 내 볼베어링 접동 마모 부재
JP6545416B1 (ja) 耐摺動摩耗部材用液晶性樹脂組成物及びそれを用いた耐摺動摩耗部材
JP5132890B2 (ja) 液晶性樹脂成形品及びその製造方法
WO2008010259A1 (en) Polyamide composition
KR20130074607A (ko) 바이오 플라스틱 조성물
US20090137724A1 (en) Thermoplastic Resin Composition
JPH07304936A (ja) 液晶ポリエステル樹脂組成物
JP7016218B2 (ja) ポリエチレン樹脂組成物
JP2010018697A (ja) 熱可塑性エラストマ樹脂組成物およびその成形体
JP5360713B2 (ja) 熱可塑性エラストマ樹脂組成物および成形体
JP3399120B2 (ja) 液晶ポリエステル樹脂組成物
JPH06306261A (ja) ブロー成形用又は押出成形用液晶性ポリエステル樹脂組成物及びその成形品
JPH0768438B2 (ja) 芳香族ポリエステル組成物
JPWO2019059125A1 (ja) 無機強化熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
JP4498810B2 (ja) 液晶樹脂組成物
JP4869860B2 (ja) ブロー成形用液晶性樹脂組成物
JP2007204707A (ja) フィルム用液晶性樹脂組成物
CN116490572B (zh) 耐球轴承滑动磨损构件用液晶性树脂组合物和使用其的耐球轴承滑动磨损构件
JPH0912842A (ja) 液晶ポリエステル樹脂組成物とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090305

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120522

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120704

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120918

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121004

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121106

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121107

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151116

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5132890

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250