JP3024839B2 - 芳香族ポリエステル及びポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリエステル及びポリエステル樹脂組成物

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JP3024839B2
JP3024839B2 JP3281369A JP28136991A JP3024839B2 JP 3024839 B2 JP3024839 B2 JP 3024839B2 JP 3281369 A JP3281369 A JP 3281369A JP 28136991 A JP28136991 A JP 28136991A JP 3024839 B2 JP3024839 B2 JP 3024839B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、従来用いている装置に
て溶融加工が行うことが可能で、得られた成形物が優れ
た耐熱性、高い機械物性を与えることのできる新規な光
学的異方性を示す共重合ポリエステルに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】全芳香
族ポリエステルとして現在市販されているものはP−ヒ
ドロキシ安息香酸が主成分である。しかし、P−ヒドロ
キシ安息香酸のホモポリマーは、融点が分解点よりも高
くなってしまう為、種々の成分を共重合する事により、
低融点化する必要がある。共重合成分として1,4 −フェ
ニレンジカルボン酸、1,4 −ジヒドロキシベンゼン、4,
4'−ジヒドロキシビフェニル等を用いた全芳香族ポリエ
ステルは、融点が350 ℃以上と高く、汎用の装置にて溶
融加工を行うには高すぎる。一方、2−ヒドロキシ−6
−ナフトエ酸を用いた全芳香族ポリエステルは融点300
℃前後と低く、良い性能を持ち合せているが、高価な共
重合成分を用いなければならない。更に、P−ヒドロキ
シ安息香酸を用いない公知のものとしては特公昭62−92
52号公報等があるが、未だ充分(適度)な加工温度が得
られていない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記問題点
を解決する為、鋭意研究努力した結果、P−ヒドロキシ
安息香酸及び特殊な共重合成分を用いることなく、低融
点であり、且つ優れた機械的性質を持った光学的異方性
を有するポリエステルを見出し、本発明を完成するに至
った。即ち本発明は、下記一般式(I),(II),(II
I) ,(IV)で表される構成単位から成り、全構成単位
に対して(I)の構成単位が5〜45モル%、(II)の構
成単位が5〜45モル%、(III) の構成単位が2〜49モル
%、(IV)の構成単位が1〜48モル%であることを特徴
とする溶融時に光学的異方性を示す芳香族ポリエステル
に関する。
【0004】
【化2】
【0005】(ここで、Ar1 は2,6 −ナフタレン及び4,
4'−ビフェニレンより選ばれる少なくとも1種、Ar2
1,3 −フェニレン及び1,4 −フェニレン、Ar3 は1,3 −
フェニレン及び1,4 −フェニレンから選ばれる少なくと
も1種、Ar4 はパラ位でつながるフェニレン数2以上の
化合物の残基の少なくとも1種である。)上記(I) 〜(I
V)の構成単位を具現化するには通常のエステル形成能を
有する種々の化合物が使用される。以下に本発明を構成
する芳香族ポリエステルを形成するために必要な原料化
合物について順を追って詳しく説明する。ジカルボン酸
成分は(I)及び(II)の二種の構成単位からなる。そ
のうちの(I)は2,6 −ナフタレンジカルボン酸及び4,
4'−ビフェニレンジカルボン酸より選ばれる少なくとも
一種から導入され、特に2,6 −ナフタレンジカルボン酸
が好ましい。また、構成単位(I)はポリマー中の全構
成単位に対して5乃至45モル%であり、好ましくは7乃
至36モル%である。これらの範囲を逸脱すると生成ポリ
マーの融点が著しく上昇し、また充分な分子量を得るの
が困難になるため好ましくない。ジカルボン酸構成単位
(II)は、1,3 −フェニレンジカルボン酸及び1,4 −フ
ェニレンジカルボン酸から導入される。また、構成単位
(II)の量はポリマー中の全構成単位に対して5乃至45
モル%である。これらの範囲を逸脱すると生成ポリマー
の融点が著しく上昇し、分子量も小さくなるなので好ま
しくない。尚、この構成単位(II)のうちで1,4 −フェ
ニレンジカルボン酸は10乃至80モル%、その他のフェニ
レンジカルボン酸(1,3 −フェニレンジカルボン酸)
1乃至50モル%が好ましい。特に好ましくは、1,4 −フ
ェニレンジカルボン酸以外の成分として1,3 −フェニレ
ンジカルボン酸が全構成単位に対して0.5 乃至20モル%
の場合である。尚、以上のジカルボン酸単位をポリマー
中に導入するため、ジカルボン酸やそれ以外のジエステ
ル形成性誘導体を用いることができるが、ジカルボン酸
が好ましい。
【0006】一方、ジオール成分は(III) および(IV)
の二種の構成単位からなる。そのうちの(III) は1,3 −
フェニレンジオール及び1,4 −フェニレンジオールより
選ばれる少なくとも一種、好ましくは1,4 −フェニレン
ジオールより導入される。また、構成単位(III) の量は
ポリマー中の全構成単位に対して5乃至49モル%であ
り、好ましくは10乃至49モル%である。(III) が全構成
単位に対して5モル%未満であると融点が著しく上昇
し、分子量も小さくなるようなので好ましくない。ジオ
ール構成単位(IV)は、パラ位でつながるフェニレン数
2以上の化合物、例えば4,4'−ビフェニレンジオール、
4,4"−ターフェニレンジオール等のポリフェニレンジオ
ールより選ばれる少なくとも一種、好ましくは4,4'−ビ
フェニレンジオールより導入される。また、構成単位
(IV)の量は、全構成単位に対して1乃至48モル%であ
り、好ましくは10乃至40モル%である。これらの範囲を
逸脱すると生成ポリマーでの融点が著しく上昇し、分子
量も小さくなるなので好ましくない。尚、以上のジオー
ル単位をポリマー中に導入するため、ジオールやそれ以
外のジエステル形成性誘導体、例えばジアセテート、ジ
プロピオネート、ジベンゾエート等を用いる事ができ
る。
【0007】本発明の芳香族ポリエステルは、直接重合
法やエステル交換法を用いて重合され、重合に際して
は、通常溶媒重合法やスラリー重合法等が用いられる。
これらの重合に際しては種々の触媒の使用が可能であ
り、代表的なものはジアルキル錫酸化物、ジアリール錫
酸化物、二酸化チタン、アルコキシチタンけい酸塩類、
チタンアルコラート類、カルボン酸のアルカリ及びアル
カリ土類金属塩類、BF3 の如きルイス酸塩等が挙げられ
る。触媒の使用量は一般にはモノマーの全重量に基いて
約 0.001乃至1重量%、特に約0.01乃至 0.2重量%が好
ましい。これらの重合方法により製造されたポリマーは
更に減圧又は不活性ガス中で加熱する固相重合により分
子量の増加を図ることができる。
【0008】溶融時に光学的異方性を示す液晶性ポリマ
ーであることは、本発明において熱安定性と易加工性を
併せ持つ上で不可欠な要素である。溶融異方性の性質は
直交偏光子を利用した慣用の偏光検査方法により確認す
ることができる。より具体的には溶融異方性の確認はオ
リンパス社製偏光顕微鏡を使用しリンカム社製ホットス
テージにのせた試料を溶融し、窒素雰囲気下で150 倍の
倍率で観察することにより実施できる。上記ポリマーは
光学的に異方性であり、直交偏光子間に挿入したとき光
を透過させる。試料が光学的に異方性であると、例えば
溶融静止液状態であっても偏光は透過する。本発明の加
工性の指標としては液晶性及び融点(液晶性発現温度)
が考えられる。液晶性を示すか否かは溶融時の流動性に
深く係わり、本願のポリエステルは溶融状態で液晶性を
示すことが不可欠である。ネマチックな液晶性ポリマー
は融点以上で著しく粘性低下を生じるので、一般的に融
点またはそれ以上の温度で液晶性を示すことが加工性の
指標となる。融点(液晶性発現温度)は、出来得る限り
高い方が耐熱性の観点からは好ましいが、ポリマーの溶
融加工時の熱劣化や成形機の加熱能力等を考慮すると、
350 ℃以下であることが望ましい目安となる。更に好ま
しくは320℃以下が望ましい。又、少なくとも融点に10
℃を加えた温度以上で樹脂の溶融粘度が100sec-1の剪断
応力下で1×106 ポイズ以下であることが好ましい。更
に好ましくは104 ポイズ以下である。これらの溶融粘度
は液晶性を具備することで概ね実現される。
【0009】次に本発明のポリエステルは使用目的に応
じて各種の繊維状、粉粒状、板状の無機及び有機の充填
剤を配合することができる。繊維状充填剤としてはガラ
ス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミ
ナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊
維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、更に
ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属
の繊維状物などの無機質繊維状物質が挙げられる。特に
代表的な繊維状充填剤はガラス繊維である。尚、ポリア
ミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂な
どの高融点有機質繊維状物質も使用することが出来る。
一方、粉粒状充填剤としてはカーボンブラック、黒鉛、
シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミルドガラスファイ
バー、ガラスバルーン、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅
酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、硅藻土、
ウォラストナイトの如き硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、
酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナの如き金属の酸
化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き金属の
炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き金属の硫
酸塩、その他フェライト、炭化硅素、窒化硅素、窒化硼
素、各種金属粉末等が挙げられる。又、板状充填剤とし
てはマイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙げら
れる。有機充填剤の例を示せば芳香族ポリエステル繊
維、液晶性ポリマー繊維、芳香族ポリアミド、ポリイミ
ド繊維等の耐熱性高強度合成繊維等である。これらの無
機及び有機充填剤は一種又は二種以上併用することが出
来る。繊維状充填剤と粒状又は板状充填剤との併用は特
に機械的強度と寸法精度、電気的性質等を兼備する上で
好ましい組み合わせである。無機充填剤の配合量は、組
成物全量に対して95重量%以下、好ましくは1〜80重量
%である。これらの充填剤の使用にあたっては必要なら
ば収束剤又は表面処理剤を使用することが望ましい。
【0010】更に本発明のポリエステルには、本発明の
企図する目的を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂を補
助的に添加してもよい。この場合に使用する熱可塑性樹
脂の例を示すと、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート等の芳香族ジカルボン酸とジオール等
からなる芳香族ポリエステル、ポリアセタール(ホモ又
はコポリマー)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
アミド、ポリカーボネート、ABS、ポリフェニレンオ
キシド、ポリフェニレンスルフィド、フッ素樹脂等を挙
げることができる。またこれらの熱可塑性樹脂は2種以
上混合して使用することができる。
【0011】
【発明の効果】本発明で得られる特定の構成単位よりな
る溶融時に異方性を示す芳香族ポリエステル及びその組
成物は、溶融時の流動性が良好でなおかつ熱安定性に優
れているおり、また成形可能温度があまり高くないため
に、特殊な構造を持った成形機で用いずとも射出成形や
押出成形、圧縮成形が可能であり、種々の立体成形品、
繊維、フィルム等に加工出来る。又、熱安定性のバラン
スも良好なことから精密な部品、特にピッチ間隔の狭い
コネクターや、薄肉部品、電線被覆材等に好適である。
【0012】
【実施例】以下に実施例をもって本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0013】実施例1 表1に示す如く、2,6 −ナフタレンジカルボン酸91.64g
(20モル%) 、テレフタル酸70.42g(20モル%)、イソ
フタル酸35.21g(10モル%) 、1,4 −ジヒドロキシベン
ゼン81.68g(35モル%) 、4,4'−ジヒドロキシビフェニ
ル59.20g(15モル%) 、無水酢酸216.37g 、及び全仕込
み量に対し0.05重量%の酢酸カリウムを各々、攪拌機、
窒素導入管及び留出管を備えた反応器中に仕込み、反応
器内を窒素にて置換した後、窒素気流下で、この混合物
を 140℃にて1時間反応させる。この後 1.5時間で 250
℃まで加熱した。この時酢酸が約110g留出した。次に
1.5時間で 250から 300℃へ加熱し更に1時間で 340℃
まで加熱し、更に 340℃にて0.5時間攪拌した。この時
までに理論酢酸留出量の90%以上が留出した。次いで34
0℃にて反応器内を徐々に減圧し、 0.5時間で20mmHgま
で減圧し、更に 0.2時間で1mmHg以下に減圧しこの圧力
にて1時間反応を行った。この減圧中に少量の酢酸が留
出した。反応終了後窒素を導入し内容物を取出した。得
られた重合物は、淡黄乳白色であり、パーキンエルマー
社製DSC にて測定した融点は 280℃であった。オリンパ
ス社製偏光顕微鏡にてリンカム社製ホットステージ上
で、重合物をクロスニコル下で加熱観察したところ、融
点以上ではネマチック性の液晶パターンを示した。又こ
の重合体の溶融粘度を東洋精機社製キャピログラフにて
測定したところ、280 ポイズ(320 ℃、1000秒-1)であ
った。次に横浜ケミックス社製ミニショット2型機を用
いてこの重合体より引張試験片を作成し、この重合体よ
り引張試験片を作成し、東洋ボールドウィン社製引張試
験機を用い測定した結果、引張強度1610kg/cm2、引張伸
度 2.1%、引張弾性率8.7×104kg/cm2 であった。
【0014】実施例2〜 実施例1と同様の方法で表1に記載の構成比率にて重合
を行い、得られた重合体を同様の手法で評価した。但
し、融点はDSC の測定によると、構成比率により熱移動
量が小さくデータの信頼性に欠ける為、柳本社製融点測
定装置により測定した値を記す。 比較例1〜4 実施例1と同様の方法により表1に記載の構成比率によ
り重合を行った。しかし 300℃前後より著しく増粘し、
最終的に 390℃まで加熱したが固化してしまい、反応容
器から取出すことができなくなった。比較例5 実施例1と同様の方法で表1に記載の構成比率にて重合
を行い、得られた重合体を同様の手法で評価した。但
し、融点はDSC の測定によると、構成比率により熱移動
量が小さくデータの信頼性に欠ける為、柳本社製融点測
定装置により測定した値を記す。 実施例 実施例1で得た重合体をハーケ社製押出機にてガラス繊
維30重量%と混合押出し、同様の手法で試験片を作成し
評価した。以上の測定結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】(表1の注) * NDA ; 2,6−ナフタレンジカルボン酸 TPA ;テレフタル酸 IPA ;イソフタル酸 HQ ;1,4 −ジヒドロキシベンゼン(1,4 −フェニレン
ジオール) BP ;4,4'−ジヒドロキシビフェニル(4,4'−ビフェニ
レンジオール) N/A ;固化して反応容器から取り出せず
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−48722(JP,A) 特開 平2−235924(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/18 C08G 63/185 C08G 63/189

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】記一般式(I),(II),(III) ,
    (IV)で表される構成単位から成り、全構成単位に対し
    て(I)の構成単位が5〜45モル%、(II)の構成単位
    が5〜45モル%、(III) の構成単位が2〜49モル%、
    (IV)の構成単位が1〜48モル%であることを特徴とす
    る溶融時に光学的異方性を示す芳香族ポリエステル。 【化1】 (ここで、Ar1 は2,6 −ナフタレン及び4,4'−ビフェニ
    レンより選ばれる少なくとも1種、Ar2 は1,3 −フェニ
    レン及び1,4 −フェニレン、Ar3 は1,3 −フェニレン及
    び1,4 −フェニレンから選ばれる少なくとも1種、Ar4
    はパラ位でつながるフェニレン数2以上の化合物の残基
    の少なくとも1種である。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の芳香族ポリエステルに無
    機充填剤を95重量%以下(対組成物全量)配合してなる
    ポリエステル樹脂組成物。
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WO2023176816A1 (ja) * 2022-03-16 2023-09-21 ポリプラスチックス株式会社 全芳香族ポリエステル、樹脂組成物、成形品及び全芳香族ポリエステルの製造方法

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