JP3084077B2 - 皮膚化粧料用の添加材および皮膚化粧料 - Google Patents
皮膚化粧料用の添加材および皮膚化粧料Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、皮膚化粧料用の添加
材および皮膚化粧料に関し、詳しくは、ファンデーショ
ン等のメークアップ化粧料、あるいは、シェービングロ
ーション等の基礎化粧料など、皮膚に使用する化粧料に
おいて、滑り性やブルーミング性あるいは保湿性等の諸
性質を付与するために含有させる粉体成分である添加材
と、このような添加材を含有させた皮膚化粧料に関する
ものである。
材および皮膚化粧料に関し、詳しくは、ファンデーショ
ン等のメークアップ化粧料、あるいは、シェービングロ
ーション等の基礎化粧料など、皮膚に使用する化粧料に
おいて、滑り性やブルーミング性あるいは保湿性等の諸
性質を付与するために含有させる粉体成分である添加材
と、このような添加材を含有させた皮膚化粧料に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ファンデーションやシェービングローシ
ョン等の皮膚化粧料に要求される特性として、皮膚に使
用したときに、べとつかずに滑りが良いこと、滑らかな
ベルベット状の外観を与える、いわゆるブルーミング性
に優れていること、さらには、水分や汗を吸収して化粧
崩れを防ぎ、しっとりとした質感があること等である。
ョン等の皮膚化粧料に要求される特性として、皮膚に使
用したときに、べとつかずに滑りが良いこと、滑らかな
ベルベット状の外観を与える、いわゆるブルーミング性
に優れていること、さらには、水分や汗を吸収して化粧
崩れを防ぎ、しっとりとした質感があること等である。
【0003】上記のような特性を発揮させるために、皮
膚化粧料に含有させる成分として、タルクやナイロンパ
ウダーあるいはゼラチン等の粉体成分からなる添加材が
利用されている。タルクやナイロンパウダーは、極めて
微粉末でしかも球状をなし、皮膚化粧料の滑りやブルー
ミング性を良好にする作用がある。ゼラチンは、保湿性
があるので、水分や汗を吸収してしっとりとした質感を
与える作用がある。なお、水分や汗を吸収させる保湿材
としては、ゼラチンのほかに、カオリンやデンプン等も
使用されている。
膚化粧料に含有させる成分として、タルクやナイロンパ
ウダーあるいはゼラチン等の粉体成分からなる添加材が
利用されている。タルクやナイロンパウダーは、極めて
微粉末でしかも球状をなし、皮膚化粧料の滑りやブルー
ミング性を良好にする作用がある。ゼラチンは、保湿性
があるので、水分や汗を吸収してしっとりとした質感を
与える作用がある。なお、水分や汗を吸収させる保湿材
としては、ゼラチンのほかに、カオリンやデンプン等も
使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来、皮膚
化粧料に保湿材として利用されていたゼラチンは、環境
温度が上昇すると、べとついたり、化粧料の性能を損な
うという問題があった。これは、ゼラチンには、温度が
上昇すると、水分を吸収して増粘化やゲル化を起こす性
質があるので、べとついた感じになったり、性状が変化
してしまうのである。前記したデンプンなども水分の吸
収によりべとつく現象を起こす。また、ゼラチンの粉末
は、比較的粒径が大きいため、皮膚化粧料の滑りやブル
ーミング性を損ない、ざらついた感じを与えることにな
る。前記カオリンも、滑らかさに欠ける欠点がある。
化粧料に保湿材として利用されていたゼラチンは、環境
温度が上昇すると、べとついたり、化粧料の性能を損な
うという問題があった。これは、ゼラチンには、温度が
上昇すると、水分を吸収して増粘化やゲル化を起こす性
質があるので、べとついた感じになったり、性状が変化
してしまうのである。前記したデンプンなども水分の吸
収によりべとつく現象を起こす。また、ゼラチンの粉末
は、比較的粒径が大きいため、皮膚化粧料の滑りやブル
ーミング性を損ない、ざらついた感じを与えることにな
る。前記カオリンも、滑らかさに欠ける欠点がある。
【0005】これに対し、タルクやナイロンパウダー等
は、滑りやブルーミング性はあるが、保湿性が全くない
ため、しっとりとした質感を与えることがてきず、かさ
ついた感じになってしまうという欠点がある。そこで、
この発明の課題は、皮膚化粧料の添加材として従来使用
されているゼラチンやタルク等の欠点を解消し、保湿性
と滑り性やブルーミング性の両方を兼ね備えた皮膚化粧
料用の添加材および皮膚化粧料を提供することにある。
は、滑りやブルーミング性はあるが、保湿性が全くない
ため、しっとりとした質感を与えることがてきず、かさ
ついた感じになってしまうという欠点がある。そこで、
この発明の課題は、皮膚化粧料の添加材として従来使用
されているゼラチンやタルク等の欠点を解消し、保湿性
と滑り性やブルーミング性の両方を兼ね備えた皮膚化粧
料用の添加材および皮膚化粧料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する、こ
の発明にかかる皮膚化粧料用の添加材は、粒径40μm
以下の保湿性を有する不溶性天然高分子微粉末からな
る。皮膚化粧料としては、前記したファンデーションや
シェービングローションのほか、各種の基礎化粧料ある
いはメークアップ化粧料その他、滑り性やブルーミング
性と同時に保湿性を要求される任意の用途に用いる皮膚
化粧料に適用することができる。皮膚化粧料は、溶媒や
香料、乳化剤等となる水や有機溶媒、油等の液体成分
と、滑り材やブルーミング材、保湿材あるいは着色材等
の添加材からなる粉体成分とで構成されている。
の発明にかかる皮膚化粧料用の添加材は、粒径40μm
以下の保湿性を有する不溶性天然高分子微粉末からな
る。皮膚化粧料としては、前記したファンデーションや
シェービングローションのほか、各種の基礎化粧料ある
いはメークアップ化粧料その他、滑り性やブルーミング
性と同時に保湿性を要求される任意の用途に用いる皮膚
化粧料に適用することができる。皮膚化粧料は、溶媒や
香料、乳化剤等となる水や有機溶媒、油等の液体成分
と、滑り材やブルーミング材、保湿材あるいは着色材等
の添加材からなる粉体成分とで構成されている。
【0007】不溶性天然高分子とは、通常は水に溶ける
性質を有する天然高分子材料を、化学的・物理的手段
で、水に溶けないように変化させたもの、あるいは、も
ともと水に溶けない性質を有する天然高分子を用いる。
水に溶けないとは、皮膚化粧料の製造工程における各種
処理あるいは皮膚化粧料の使用状態における温度条件な
どにおいて、実質的に水に溶けないものであればよく、
特別な条件下では水に溶けたり、通常の条件でも極めて
わずかには水に溶ける可能性のあるものであっても、こ
の発明における不溶性天然高分子に含まれるものであ
る。
性質を有する天然高分子材料を、化学的・物理的手段
で、水に溶けないように変化させたもの、あるいは、も
ともと水に溶けない性質を有する天然高分子を用いる。
水に溶けないとは、皮膚化粧料の製造工程における各種
処理あるいは皮膚化粧料の使用状態における温度条件な
どにおいて、実質的に水に溶けないものであればよく、
特別な条件下では水に溶けたり、通常の条件でも極めて
わずかには水に溶ける可能性のあるものであっても、こ
の発明における不溶性天然高分子に含まれるものであ
る。
【0008】不溶性天然高分子には、水には溶けない
が、湿気や水分を吸収する吸湿性と、吸湿した水分を保
持しておける保湿性を有している必要がある。また、不
溶性天然高分子材料は、製造状態で、あるいは、製造後
に粉砕することによって、粒径40μm以下の微粉末に
できる必要がある。上記のような条件を満たす不溶性天
然高分子としては、不溶性コラーゲン、平均分子量10
万以下の低分子量キトサン、キトサン/ゼラチン複合
体、多孔性キトサン、可溶性高分子コーティングキトサ
ン、キトサン/酸性多糖類複合体、ゼラチン/酸性多糖
類複合体、キトサン・ゼラチン/酸性多糖類複合体など
が挙げられる。
が、湿気や水分を吸収する吸湿性と、吸湿した水分を保
持しておける保湿性を有している必要がある。また、不
溶性天然高分子材料は、製造状態で、あるいは、製造後
に粉砕することによって、粒径40μm以下の微粉末に
できる必要がある。上記のような条件を満たす不溶性天
然高分子としては、不溶性コラーゲン、平均分子量10
万以下の低分子量キトサン、キトサン/ゼラチン複合
体、多孔性キトサン、可溶性高分子コーティングキトサ
ン、キトサン/酸性多糖類複合体、ゼラチン/酸性多糖
類複合体、キトサン・ゼラチン/酸性多糖類複合体など
が挙げられる。
【0009】不溶性コラーゲンは、動物の皮や骨などの
生体組織に含まれるコラーゲンを抽出したものが使用さ
れ、抽出された状態で不溶性のコラーゲンであれば、そ
のまま粉砕すればよい。製造段階で脱脂のために行う石
灰処理等により、一部に可溶性部分を含んでいるコラー
ゲンの場合には、アルデヒド化合物等による化学的処理
やトランスグルタミナーゼによる酵素処理、あるいは、
コラーゲン乾燥物の加熱や紫外線照射等による物理的処
理によって、不溶化させたものが用いられる。可溶性コ
ラーゲンのままでは、粗粉砕時の発熱で熔融するので、
前記のような微粉末が得られない。
生体組織に含まれるコラーゲンを抽出したものが使用さ
れ、抽出された状態で不溶性のコラーゲンであれば、そ
のまま粉砕すればよい。製造段階で脱脂のために行う石
灰処理等により、一部に可溶性部分を含んでいるコラー
ゲンの場合には、アルデヒド化合物等による化学的処理
やトランスグルタミナーゼによる酵素処理、あるいは、
コラーゲン乾燥物の加熱や紫外線照射等による物理的処
理によって、不溶化させたものが用いられる。可溶性コ
ラーゲンのままでは、粗粉砕時の発熱で熔融するので、
前記のような微粉末が得られない。
【0010】平均分子量10万以下の低分子量キトサン
とは、通常のキトサンは平均分子量が20万以上程度の
ものであるので、このような高分子量のキトサンを加水
分解することによって、低分子量化したものである。分
子量が小さいほど、吸湿性が良好になり、微粉末への粉
砕性も向上する。平均分子量が10万以上では、吸湿性
が劣り、40μm以下の微粉末を製造するのも極めて困
難である。好ましくは、平均分子量5万以下のものを用
いる。キトサンを加水分解する手段としては、蛋白質分
解酵素やセルロース分解酵素、キトサナーゼ等の酵素処
理、あるいは、過酸化水素等の酸化剤による化学処理が
適用できる。
とは、通常のキトサンは平均分子量が20万以上程度の
ものであるので、このような高分子量のキトサンを加水
分解することによって、低分子量化したものである。分
子量が小さいほど、吸湿性が良好になり、微粉末への粉
砕性も向上する。平均分子量が10万以上では、吸湿性
が劣り、40μm以下の微粉末を製造するのも極めて困
難である。好ましくは、平均分子量5万以下のものを用
いる。キトサンを加水分解する手段としては、蛋白質分
解酵素やセルロース分解酵素、キトサナーゼ等の酵素処
理、あるいは、過酸化水素等の酸化剤による化学処理が
適用できる。
【0011】キトサン/ゼラチン複合体は、キトサンと
ゼラチンを液体中に溶解させ、液体中で両者を凝固一体
化させる、いわゆる湿式凝固法によって、不溶性のキト
サン/ゼラチン複合体を得るものである。キトサン/ゼ
ラチン複合体を含む溶液を噴霧乾燥させれば、粉砕しな
くても、キトサン/ゼラチン複合体の微粉末が得られ
る。このとき用いるキトサンは、前記のような平均分子
量の小さな低分子量キトサンが好ましい。以下の説明に
おいても、キトサンを用いる場合には、前記低分子量キ
トサンを用いるのが望ましい。ゼラチンは、酸処理ゼラ
チン、アルカリ処理ゼラチンその他の通常の可溶性ゼラ
チンが用いられる。キトサンとゼラチンの組合せ以外に
も、上記のような湿式凝固法で複合化させることによっ
て不溶性となる天然高分子を組み合わせて使用すること
も可能である。
ゼラチンを液体中に溶解させ、液体中で両者を凝固一体
化させる、いわゆる湿式凝固法によって、不溶性のキト
サン/ゼラチン複合体を得るものである。キトサン/ゼ
ラチン複合体を含む溶液を噴霧乾燥させれば、粉砕しな
くても、キトサン/ゼラチン複合体の微粉末が得られ
る。このとき用いるキトサンは、前記のような平均分子
量の小さな低分子量キトサンが好ましい。以下の説明に
おいても、キトサンを用いる場合には、前記低分子量キ
トサンを用いるのが望ましい。ゼラチンは、酸処理ゼラ
チン、アルカリ処理ゼラチンその他の通常の可溶性ゼラ
チンが用いられる。キトサンとゼラチンの組合せ以外に
も、上記のような湿式凝固法で複合化させることによっ
て不溶性となる天然高分子を組み合わせて使用すること
も可能である。
【0012】多孔性キトサンは、上記キトサン/ゼラチ
ン複合体のような、キトサンと可溶性成分との複合体か
ら、水や温水あるいは熱水の作用で、可溶性成分のみを
除去することによって、可溶性成分が除去された跡に空
隙を残した多孔質のキトサンである。可溶性成分として
は、ゼラチン以外の水溶性蛋白質や水溶性多糖類等も用
いられる。キトサン/可溶性成分複合体が、既に微粉末
であれば、得られた多孔性キトサンを粉砕しなくても、
微粉末が得られる。また、必要であれば、多孔性キトサ
ンを製造した後、さらに粉砕してもよい。
ン複合体のような、キトサンと可溶性成分との複合体か
ら、水や温水あるいは熱水の作用で、可溶性成分のみを
除去することによって、可溶性成分が除去された跡に空
隙を残した多孔質のキトサンである。可溶性成分として
は、ゼラチン以外の水溶性蛋白質や水溶性多糖類等も用
いられる。キトサン/可溶性成分複合体が、既に微粉末
であれば、得られた多孔性キトサンを粉砕しなくても、
微粉末が得られる。また、必要であれば、多孔性キトサ
ンを製造した後、さらに粉砕してもよい。
【0013】可溶性高分子コーティングキトサンは、キ
トサンの微粉末に、可溶性高分子液を塗布したり、可溶
性高分子液にキトサン微粉末を浸漬したりして、キトサ
ン微粉末の表面に可溶性高分子のコーティング層を形成
したものである。可溶性高分子としては、吸湿性あるい
は保湿性の良好な材料が好ましく、具体的には、可溶性
コラーゲンやヒアルロン酸ソーダなどが用いられる。キ
トサンの微粉末として前記多孔性キトサンを用いれば、
キトサンの空隙内に可溶性高分子溶液が侵入して保持さ
れるので、良好な性能が発揮できる。
トサンの微粉末に、可溶性高分子液を塗布したり、可溶
性高分子液にキトサン微粉末を浸漬したりして、キトサ
ン微粉末の表面に可溶性高分子のコーティング層を形成
したものである。可溶性高分子としては、吸湿性あるい
は保湿性の良好な材料が好ましく、具体的には、可溶性
コラーゲンやヒアルロン酸ソーダなどが用いられる。キ
トサンの微粉末として前記多孔性キトサンを用いれば、
キトサンの空隙内に可溶性高分子溶液が侵入して保持さ
れるので、良好な性能が発揮できる。
【0014】キトサン/酸性多糖類複合体は、アラビア
ガムやHM−ペクチン、LM−ペクチン、カラギーナン
等の酸性多糖類と前記キトサンとを、いわゆるコアセル
ベートにより、液中で複合一体化させたものである。キ
トサン/酸性多糖類複合体を含む溶液を噴霧乾燥させれ
ば、そのままで微粉末が得られる。また、必要であれ
ば、得られたキトサン/酸性多糖類複合体粉末を空気分
級することによって、前記規定粒径以下の微粉末を得る
ようにしてもよい。
ガムやHM−ペクチン、LM−ペクチン、カラギーナン
等の酸性多糖類と前記キトサンとを、いわゆるコアセル
ベートにより、液中で複合一体化させたものである。キ
トサン/酸性多糖類複合体を含む溶液を噴霧乾燥させれ
ば、そのままで微粉末が得られる。また、必要であれ
ば、得られたキトサン/酸性多糖類複合体粉末を空気分
級することによって、前記規定粒径以下の微粉末を得る
ようにしてもよい。
【0015】ゼラチン/酸性多糖類複合体は、前記キト
サン/酸性多糖類複合体において、キトサンの代わりに
ゼラチンを用いるものである。製造方法は、前記と同様
である。キトサン・ゼラチン/酸性多糖類複合体は、キ
トサンとゼラチンの両方を併用して、前記酸性多糖類と
の複合体を製造するものである。
サン/酸性多糖類複合体において、キトサンの代わりに
ゼラチンを用いるものである。製造方法は、前記と同様
である。キトサン・ゼラチン/酸性多糖類複合体は、キ
トサンとゼラチンの両方を併用して、前記酸性多糖類と
の複合体を製造するものである。
【0016】なお、キトサンやゼラチンと酸性多糖類と
の複合体を用いる場合、酸性多糖類として、アラビアガ
ムを用いると、球状の複合体が得られ、ペクチンやカラ
ギーナンを用いると、繊維状の複合体が得られる。Na
塩を除くカラギーナンの金属塩、例えば、κ−カラギー
ナンのK塩またはCa塩、ι−カラギーナンのK塩また
はCa塩のようなカラギーナン類も、通常の使用環境下
では、不溶性であるか、極めてわずかに水に溶ける程度
なので、使用することができる。なお、カラギーナンの
Na塩やλ−カラギーナンは、常温で水に溶けるため、
本願発明の目的には不適当である。
の複合体を用いる場合、酸性多糖類として、アラビアガ
ムを用いると、球状の複合体が得られ、ペクチンやカラ
ギーナンを用いると、繊維状の複合体が得られる。Na
塩を除くカラギーナンの金属塩、例えば、κ−カラギー
ナンのK塩またはCa塩、ι−カラギーナンのK塩また
はCa塩のようなカラギーナン類も、通常の使用環境下
では、不溶性であるか、極めてわずかに水に溶ける程度
なので、使用することができる。なお、カラギーナンの
Na塩やλ−カラギーナンは、常温で水に溶けるため、
本願発明の目的には不適当である。
【0017】さらに、上記した各不溶性天然高分子のほ
か、同様の機能あるいは特性を発揮できれば、寒天やロ
ーカストビーンガム、アルギン酸カルシウム、カゼイ
ン、カゼインカルシウム等の微粉砕物、前記湿式凝固法
あるいはコアセルベートによって得られる各種天然高分
子複合体を用いることも可能である。得られた不溶性天
然高分子微粉末を、各種の染料で着色したり、もともと
色のついた不溶性天然高分子を用いれば、着色材として
利用することもできる。
か、同様の機能あるいは特性を発揮できれば、寒天やロ
ーカストビーンガム、アルギン酸カルシウム、カゼイ
ン、カゼインカルシウム等の微粉砕物、前記湿式凝固法
あるいはコアセルベートによって得られる各種天然高分
子複合体を用いることも可能である。得られた不溶性天
然高分子微粉末を、各種の染料で着色したり、もともと
色のついた不溶性天然高分子を用いれば、着色材として
利用することもできる。
【0018】不溶性天然高分子からなる微粉末を得る方
法としては、前記のような各種製造方法によって得られ
た不溶性天然高分子の固形物を、通常の微粉砕装置で粉
砕する方法や、噴霧乾燥などで直接に微粉末を得る方法
が採用できる。微粉砕装置としては、ジェットミル、ジ
ェットアトマイザなどと呼ばれている超微粉砕装置が好
ましく使用される。
法としては、前記のような各種製造方法によって得られ
た不溶性天然高分子の固形物を、通常の微粉砕装置で粉
砕する方法や、噴霧乾燥などで直接に微粉末を得る方法
が採用できる。微粉砕装置としては、ジェットミル、ジ
ェットアトマイザなどと呼ばれている超微粉砕装置が好
ましく使用される。
【0019】不溶性天然高分子微粉末の粒径は、製造可
能であれば、出来るだけ微細なほうが好ましく、具体的
には約10μm以下のものが好ましく、より望ましく
は、約1〜5μmのものが使用される。粒径が40μm
を超えると、滑らかさやブルーミング性を損うので、皮
膚化粧料用の添加材としては不適当である。微粉末の粒
形状は、滑らかな球状のものや柔軟な繊維状のものであ
れば、皮膚に滑らかさを与えることができ、好ましいも
のとなる。
能であれば、出来るだけ微細なほうが好ましく、具体的
には約10μm以下のものが好ましく、より望ましく
は、約1〜5μmのものが使用される。粒径が40μm
を超えると、滑らかさやブルーミング性を損うので、皮
膚化粧料用の添加材としては不適当である。微粉末の粒
形状は、滑らかな球状のものや柔軟な繊維状のものであ
れば、皮膚に滑らかさを与えることができ、好ましいも
のとなる。
【0020】不溶性天然高分子微粉末は、通常の保湿材
その他の添加材と同様の工程あるいは手段で、皮膚化粧
料に配合される。この発明にかかる添加材は、保湿材と
して使用するだけでなく、滑りやブルーミングを改善す
る滑り材あるいはブルーミング材として使用することも
できる。不溶性天然高分子微粉末を、保湿材および滑り
材あるいはブルーミング材に兼用させた場合には、他の
保湿材や滑り材を加える必要がない。但し、皮膚化粧料
には、この発明の不溶性天然高分子微粉末以外にも、こ
の発明の作用効果に悪影響のない範囲で、別の保湿材や
滑り材などを併用することは可能である。
その他の添加材と同様の工程あるいは手段で、皮膚化粧
料に配合される。この発明にかかる添加材は、保湿材と
して使用するだけでなく、滑りやブルーミングを改善す
る滑り材あるいはブルーミング材として使用することも
できる。不溶性天然高分子微粉末を、保湿材および滑り
材あるいはブルーミング材に兼用させた場合には、他の
保湿材や滑り材を加える必要がない。但し、皮膚化粧料
には、この発明の不溶性天然高分子微粉末以外にも、こ
の発明の作用効果に悪影響のない範囲で、別の保湿材や
滑り材などを併用することは可能である。
【0021】また、不溶性天然高分子微粉末のうち、ゼ
ラチンやキトサンを含むものの場合、アルデヒド化合物
で処理して不溶化度を調整することができるので、皮膚
化粧料用添加材としての目的や要求性能に合わせて、吸
湿性あるいは保湿性を調整することができる。
ラチンやキトサンを含むものの場合、アルデヒド化合物
で処理して不溶化度を調整することができるので、皮膚
化粧料用添加材としての目的や要求性能に合わせて、吸
湿性あるいは保湿性を調整することができる。
【0022】
【作用】不溶性天然高分子微粉末は、水に溶けないの
で、環境温度が上昇しても、増粘化やゲル化を起こさ
ず、べとつくことがない。しかも、不溶性天然高分子自
体は、天然高分子に特有の適度な吸湿性あるいは保湿性
を備えているので、水分や汗を吸収する保湿材としての
機能を良好に果たすことができる。
で、環境温度が上昇しても、増粘化やゲル化を起こさ
ず、べとつくことがない。しかも、不溶性天然高分子自
体は、天然高分子に特有の適度な吸湿性あるいは保湿性
を備えているので、水分や汗を吸収する保湿材としての
機能を良好に果たすことができる。
【0023】不溶性天然高分子は、ゼラチンなどの可溶
性高分子に比べて、硬くて粘弾性が少ないなど、粉砕性
が向上しているとともに、湿式凝固法やコアセルベート
などの生成手段と噴霧乾燥を組合せることによっても、
非常に細かい微粉末が得られる。その結果、粒径の大き
な従来のゼラチン粉末等のように、皮膚化粧料の滑りや
ブルーミング性を損なうことがなく、逆に、滑りやブル
ーミング性を向上させる作用がある。
性高分子に比べて、硬くて粘弾性が少ないなど、粉砕性
が向上しているとともに、湿式凝固法やコアセルベート
などの生成手段と噴霧乾燥を組合せることによっても、
非常に細かい微粉末が得られる。その結果、粒径の大き
な従来のゼラチン粉末等のように、皮膚化粧料の滑りや
ブルーミング性を損なうことがなく、逆に、滑りやブル
ーミング性を向上させる作用がある。
【0024】したがって、この発明の不溶性天然高分子
微粉末は、保湿材として使用するだけでなく、滑り材や
ブルーミング材としても使用できる。
微粉末は、保湿材として使用するだけでなく、滑り材や
ブルーミング材としても使用できる。
【0025】
【実施例】以下に述べる各種方法によって不溶性天然高
分子微粉末を製造し、その性能を比較した。但し、実施
例1、実施例2および実施例12は、本発明の技術的範
囲からは外れる参考技術である。 −添加材の製造− <不溶性コラーゲン> 脱毛した牛皮を、約2〜10cm角に裁断し、洗浄した
後、石灰乳中に15日間浸漬した。その後、塩酸で中和
してから1%塩化アンモニウム水溶液中に5時間浸漬
し、水洗した。水洗後、細孔プレートを有する肉挽機に
よりミンチ状の不溶性コラーゲンを得た。これを凍結乾
燥した後、超音速ジェットミルIDS−2型(日本ニュ
ーマチック工業株式会社製)を用いて粉砕し、粒径20
μm以下、平均粒径5μmの不溶性コラーゲン微粉末を
得た。(実施例1) <低分子量キトサン> 市販のキトサン(平均分子量26万)に過酸化水素処理
を行って、平均分子量3万の低分子量キトサンを得た。
この低分子量キトサンを、前記超音速ジェットミルID
S−2型で粉砕し、粒径15μm以下、平均粒径5μm
の低分子量キトサン微粉末を得た。(実施例2) <キトサン/ゼラチン複合体> 低分子量キトサン(平均分子量5万、脱アセチル化度9
0%)5g、ゼラチン2.5gを水に分散させた後、加
熱してゼラチンを溶解させた。ついで、20mlの酢酸を
添加してキトサンを溶解させ、水を加えて全重量が20
0gのキトサン酢酸塩/ゼラチン水溶液を調製した。こ
の溶液を、5%水酸化ナトリウム水溶液2l中に攪拌下
で徐々に投入し、25℃で1時間攪拌しながら維持し
た。ついで、濾過および水洗を数回繰り返した後、噴霧
乾燥させることによって、粒径30μm以下、平均粒径
10μmのキトサン/ゼラチン複合体微粉末を得た。
(実施例3) <多孔性キトサン> 上記で得られたキトサン/ゼラチン複合体微粉末を、6
0℃の温水中で60分間洗浄して可溶性のゼラチンを除
去した後、乾燥させることによって、粒径30μm以
下、平均粒径10μmの多孔性キトサン微粉末を得た。
(実施例4) <可溶性高分子コーティングキトサン> 上記で得られた多孔性キトサンを、下記可溶性高分子の
0.5%水溶液に浸漬した後、乾燥することによって、
粒径30μm以下、平均粒径10μmの可溶性高分子コ
ーティングキトサン微粉末を得た。
分子微粉末を製造し、その性能を比較した。但し、実施
例1、実施例2および実施例12は、本発明の技術的範
囲からは外れる参考技術である。 −添加材の製造− <不溶性コラーゲン> 脱毛した牛皮を、約2〜10cm角に裁断し、洗浄した
後、石灰乳中に15日間浸漬した。その後、塩酸で中和
してから1%塩化アンモニウム水溶液中に5時間浸漬
し、水洗した。水洗後、細孔プレートを有する肉挽機に
よりミンチ状の不溶性コラーゲンを得た。これを凍結乾
燥した後、超音速ジェットミルIDS−2型(日本ニュ
ーマチック工業株式会社製)を用いて粉砕し、粒径20
μm以下、平均粒径5μmの不溶性コラーゲン微粉末を
得た。(実施例1) <低分子量キトサン> 市販のキトサン(平均分子量26万)に過酸化水素処理
を行って、平均分子量3万の低分子量キトサンを得た。
この低分子量キトサンを、前記超音速ジェットミルID
S−2型で粉砕し、粒径15μm以下、平均粒径5μm
の低分子量キトサン微粉末を得た。(実施例2) <キトサン/ゼラチン複合体> 低分子量キトサン(平均分子量5万、脱アセチル化度9
0%)5g、ゼラチン2.5gを水に分散させた後、加
熱してゼラチンを溶解させた。ついで、20mlの酢酸を
添加してキトサンを溶解させ、水を加えて全重量が20
0gのキトサン酢酸塩/ゼラチン水溶液を調製した。こ
の溶液を、5%水酸化ナトリウム水溶液2l中に攪拌下
で徐々に投入し、25℃で1時間攪拌しながら維持し
た。ついで、濾過および水洗を数回繰り返した後、噴霧
乾燥させることによって、粒径30μm以下、平均粒径
10μmのキトサン/ゼラチン複合体微粉末を得た。
(実施例3) <多孔性キトサン> 上記で得られたキトサン/ゼラチン複合体微粉末を、6
0℃の温水中で60分間洗浄して可溶性のゼラチンを除
去した後、乾燥させることによって、粒径30μm以
下、平均粒径10μmの多孔性キトサン微粉末を得た。
(実施例4) <可溶性高分子コーティングキトサン> 上記で得られた多孔性キトサンを、下記可溶性高分子の
0.5%水溶液に浸漬した後、乾燥することによって、
粒径30μm以下、平均粒径10μmの可溶性高分子コ
ーティングキトサン微粉末を得た。
【0026】 可溶性コラーゲン(実施例5) ヒアルロン酸ソーダ(実施例6) <キトサン/酸性多糖類複合体>低分子量キトサン(平
均分子量5万、脱アセチル化度90%)10g、酢酸2
0mlを水に加え全重量を500gにして攪拌溶解させ、
キトサン濃度2%の調液Aを500g得た。アラビック
コール(アラビアガム、三栄薬品貿易)10gを水に加
え全重量を500gにして攪拌溶解させ、アラビアガム
濃度2%の調液Bを500g得た。調液Aを調液Bに攪
拌下で徐々に投入し、25℃で攪拌しながら1時間維持
した。ついで、濾過および水洗を数回繰り返した後、噴
霧乾燥することによって、キトサン/アラビアガム複合
体微粉末を得た。これを空気分級して粒径を調整し、粒
径40μm以下、平均粒径10μmのキトサン/アラビ
アガム複合体微粉末を得た。(実施例7) また、前記調液Bの製造の際に、アラビックコールの代
わりにX−92(HMペクチン、Mero-Rousselot-Satia
製)を用いて同様の工程を行い、キトサン/HMペクチ
ン複合体微粉末を得た。これを、前記超音速ジェットミ
ルIDS−2型で粉砕し、粒径40μm以下、平均粒径
20μmの繊維状をなすキトサン/HMペクチン複合体
微粉末を得た。(実施例10) さらに、上記X−92の代わりに、LM−94AS(L
Mペクチン、Mero-Rousselot-Satia製)を用いて同様の
工程を行い、粒径40μm以下、平均粒径12μmの繊
維状をなすキトサン/LMペクチン複合体微粉末を得
た。(実施例11) <ゼラチン/酸性多糖類複合体>ゼラチン(酸処理20
0ブルーム)10gを50℃の温水に加えて全重量が5
00gとなるようにして攪拌溶解させ、ゼラチン濃度2
%の調液Cを500g得た。この調液Cと前記アラビア
ガム濃度2%の調液Bを混合し、攪拌下で50%クエン
酸溶液を加えてpH4以下に調整し、25℃で攪拌しな
がら1時間維持した。ついで、濾過および水洗を数回繰
り返した後、噴霧乾燥することによって、ゼラチン/ア
ラビアガム複合体微粉末を得た。これを空気分級して粒
径を調整し、粒径40μm以下、平均粒径14μmのゼ
ラチン/アラビアガム複合体微粉末を得た。(実施例
8) <キトサン・ゼラチン/酸性多糖類複合体>前記ゼラチ
ン濃度2%の調液Cを250gとアラビアガム濃度2%
の調液Bを500gとを混合し、攪拌下で50%クエン
酸溶液を加えてpH4以下に調整し、さらに攪拌下で前
記キトサン濃度2%の調液Aを100g加えて、25℃
で攪拌しながら1時間維持した。ついで、濾過および水
洗を数回繰り返した後、噴霧乾燥することによって、キ
トサン・ゼラチン/アラビアガム複合体微粉末を得た。
これを空気分級して粒径を調整し、粒径40μm以下、
平均粒径15μmのキトサン・ゼラチン/アラビアガム
複合体微粉末を得た。(実施例9) <カラギーナンの金属塩>市販のカラギーナン(κ−タ
イプ、K塩)HGE(商品名、明新化成工業株式会社
製)を、前記超音速ジェットミルIDS−2型で粉砕
し、粒径30μm以下、平均粒径5μmのカラギーナン
のK塩微粉末を得た。(実施例12)以上に説明した、
各実施例の微粉末に対して、皮膚化粧料用添加材として
の性能を比較するために、下記の比較例となる粉末を用
意した。
均分子量5万、脱アセチル化度90%)10g、酢酸2
0mlを水に加え全重量を500gにして攪拌溶解させ、
キトサン濃度2%の調液Aを500g得た。アラビック
コール(アラビアガム、三栄薬品貿易)10gを水に加
え全重量を500gにして攪拌溶解させ、アラビアガム
濃度2%の調液Bを500g得た。調液Aを調液Bに攪
拌下で徐々に投入し、25℃で攪拌しながら1時間維持
した。ついで、濾過および水洗を数回繰り返した後、噴
霧乾燥することによって、キトサン/アラビアガム複合
体微粉末を得た。これを空気分級して粒径を調整し、粒
径40μm以下、平均粒径10μmのキトサン/アラビ
アガム複合体微粉末を得た。(実施例7) また、前記調液Bの製造の際に、アラビックコールの代
わりにX−92(HMペクチン、Mero-Rousselot-Satia
製)を用いて同様の工程を行い、キトサン/HMペクチ
ン複合体微粉末を得た。これを、前記超音速ジェットミ
ルIDS−2型で粉砕し、粒径40μm以下、平均粒径
20μmの繊維状をなすキトサン/HMペクチン複合体
微粉末を得た。(実施例10) さらに、上記X−92の代わりに、LM−94AS(L
Mペクチン、Mero-Rousselot-Satia製)を用いて同様の
工程を行い、粒径40μm以下、平均粒径12μmの繊
維状をなすキトサン/LMペクチン複合体微粉末を得
た。(実施例11) <ゼラチン/酸性多糖類複合体>ゼラチン(酸処理20
0ブルーム)10gを50℃の温水に加えて全重量が5
00gとなるようにして攪拌溶解させ、ゼラチン濃度2
%の調液Cを500g得た。この調液Cと前記アラビア
ガム濃度2%の調液Bを混合し、攪拌下で50%クエン
酸溶液を加えてpH4以下に調整し、25℃で攪拌しな
がら1時間維持した。ついで、濾過および水洗を数回繰
り返した後、噴霧乾燥することによって、ゼラチン/ア
ラビアガム複合体微粉末を得た。これを空気分級して粒
径を調整し、粒径40μm以下、平均粒径14μmのゼ
ラチン/アラビアガム複合体微粉末を得た。(実施例
8) <キトサン・ゼラチン/酸性多糖類複合体>前記ゼラチ
ン濃度2%の調液Cを250gとアラビアガム濃度2%
の調液Bを500gとを混合し、攪拌下で50%クエン
酸溶液を加えてpH4以下に調整し、さらに攪拌下で前
記キトサン濃度2%の調液Aを100g加えて、25℃
で攪拌しながら1時間維持した。ついで、濾過および水
洗を数回繰り返した後、噴霧乾燥することによって、キ
トサン・ゼラチン/アラビアガム複合体微粉末を得た。
これを空気分級して粒径を調整し、粒径40μm以下、
平均粒径15μmのキトサン・ゼラチン/アラビアガム
複合体微粉末を得た。(実施例9) <カラギーナンの金属塩>市販のカラギーナン(κ−タ
イプ、K塩)HGE(商品名、明新化成工業株式会社
製)を、前記超音速ジェットミルIDS−2型で粉砕
し、粒径30μm以下、平均粒径5μmのカラギーナン
のK塩微粉末を得た。(実施例12)以上に説明した、
各実施例の微粉末に対して、皮膚化粧料用添加材として
の性能を比較するために、下記の比較例となる粉末を用
意した。
【0027】比較例1:ナイロンパウダー(粒径10μ
m以下) 比較例2:タルク(粒径10μm以下) 比較例3:球状化キトサン(平均分子量26万、粒径4
0μm以下、平均粒径15μm) 比較例4:キトサン粉砕物(平均分子量26万、粒径6
0μm以下、平均粒径55μm) 比較例5:ゼラチン(アルカリ100ブルーム、粒径5
0μm以下、平均粒径14μm) 比較例6:可溶性コラーゲン(粒径70μm以下、平均
粒径60μm)なお、球状化キトサンは下記の工程で製
造されたものである。 <球状化キトサン>市販のキトサン(商品名フロナック
N、共和油脂工業株式会社製)10g、酢酸20mlに水
を加えて全重量を200gとし、攪拌溶解させてキトサ
ン濃度5%の溶液を200g調製した。この溶液を、5
%水酸化ナトリウム水溶液2l中に攪拌下で徐々に投入
し、25℃で攪拌しながら1時間維持した。ついで、濾
過と水洗を数回繰り返した後、噴霧乾燥させることによ
って、粒径40μm以下、平均粒径15μmの球状化キ
トサンを得た。
m以下) 比較例2:タルク(粒径10μm以下) 比較例3:球状化キトサン(平均分子量26万、粒径4
0μm以下、平均粒径15μm) 比較例4:キトサン粉砕物(平均分子量26万、粒径6
0μm以下、平均粒径55μm) 比較例5:ゼラチン(アルカリ100ブルーム、粒径5
0μm以下、平均粒径14μm) 比較例6:可溶性コラーゲン(粒径70μm以下、平均
粒径60μm)なお、球状化キトサンは下記の工程で製
造されたものである。 <球状化キトサン>市販のキトサン(商品名フロナック
N、共和油脂工業株式会社製)10g、酢酸20mlに水
を加えて全重量を200gとし、攪拌溶解させてキトサ
ン濃度5%の溶液を200g調製した。この溶液を、5
%水酸化ナトリウム水溶液2l中に攪拌下で徐々に投入
し、25℃で攪拌しながら1時間維持した。ついで、濾
過と水洗を数回繰り返した後、噴霧乾燥させることによ
って、粒径40μm以下、平均粒径15μmの球状化キ
トサンを得た。
【0028】−性能比較試験− 以上に説明した各実施例および比較例の粉末材料につい
て、吸湿性能を評価した。試験方法は、105℃で1時
間乾燥させた各試料2.00gを、20℃・RH60%
の恒温恒湿器内に18時間保持した後、重量測定を行っ
て、吸湿した水分量を算出した。その結果を表1に示し
ている。
て、吸湿性能を評価した。試験方法は、105℃で1時
間乾燥させた各試料2.00gを、20℃・RH60%
の恒温恒湿器内に18時間保持した後、重量測定を行っ
て、吸湿した水分量を算出した。その結果を表1に示し
ている。
【0029】
【表1】
【0030】上記試験の結果から、比較例1および2の
ように、従来滑り材やブルーミング材として使用されて
いた粉末材料は、吸湿性が極めて少ないことが判る。ま
た、キトサンは分子量が大きくなると吸湿性が悪くなる
ことも判る。つぎに、各粉末材料を添加材として加えた
皮膚化粧料として粉白粉を製造した。 <粉白粉の配合> 添加材 70重量% 二酸化チタン 7重量% ステアリン酸鉛 5重量% 炭酸カルシウム 15重量% 香料 3重量% 製造された粉白粉を実際に使用し、その使用感を官能テ
ストにより評価した。表2に試験結果を示している。
ように、従来滑り材やブルーミング材として使用されて
いた粉末材料は、吸湿性が極めて少ないことが判る。ま
た、キトサンは分子量が大きくなると吸湿性が悪くなる
ことも判る。つぎに、各粉末材料を添加材として加えた
皮膚化粧料として粉白粉を製造した。 <粉白粉の配合> 添加材 70重量% 二酸化チタン 7重量% ステアリン酸鉛 5重量% 炭酸カルシウム 15重量% 香料 3重量% 製造された粉白粉を実際に使用し、その使用感を官能テ
ストにより評価した。表2に試験結果を示している。
【0031】
【表2】
【0032】以上の結果をみれば、比較例1〜4のよう
に、吸湿性の少ない材料では、しっとり感に劣り、比較
例5、6では、吸湿性があるのでしっとり感は良好であ
るが、水に溶けやすく、べとつき感があるので、皮膚化
粧料としては好ましくない。これらに比べ、各実施例は
何れも、しっとり感があると同時にべとつき感はなく、
皮膚化粧料として非常に優れた特性を有していることが
判る。
に、吸湿性の少ない材料では、しっとり感に劣り、比較
例5、6では、吸湿性があるのでしっとり感は良好であ
るが、水に溶けやすく、べとつき感があるので、皮膚化
粧料としては好ましくない。これらに比べ、各実施例は
何れも、しっとり感があると同時にべとつき感はなく、
皮膚化粧料として非常に優れた特性を有していることが
判る。
【0033】つぎに、皮膚化粧料として、アフターシェ
ービングローションおよびメイクアップクリームを製造
して、同様の試験を行った。 <アフターシェービングローションの配合> 添加材 5.0重量% エチルアルコール 60.0重量% プロピレングリコール 1.0重量% ポリオキシエチレン硬化 ヒマシ油(20 E.O.) 0.6重量% スルホ石炭酸亜鉛 0.3重量% 香料 0.5重量% <メイクアップクリームの配合> 添加材 20.0重量% ステアリン酸 15.0重量% モノステアリン酸ソルビット 2.5重量% パルミチン酸イソプロピル 2.0重量% 流動パラフィン 10.0重量% モノステアリン酸ポリオキシエチレン 1.5重量% ソルビタン(20 E.O.) プロピレングリコール 5.0重量% トリエタノールアミン 2.0重量% 顔料/香料/防腐剤 適量 精製水を加えて100重量%とする。
ービングローションおよびメイクアップクリームを製造
して、同様の試験を行った。 <アフターシェービングローションの配合> 添加材 5.0重量% エチルアルコール 60.0重量% プロピレングリコール 1.0重量% ポリオキシエチレン硬化 ヒマシ油(20 E.O.) 0.6重量% スルホ石炭酸亜鉛 0.3重量% 香料 0.5重量% <メイクアップクリームの配合> 添加材 20.0重量% ステアリン酸 15.0重量% モノステアリン酸ソルビット 2.5重量% パルミチン酸イソプロピル 2.0重量% 流動パラフィン 10.0重量% モノステアリン酸ポリオキシエチレン 1.5重量% ソルビタン(20 E.O.) プロピレングリコール 5.0重量% トリエタノールアミン 2.0重量% 顔料/香料/防腐剤 適量 精製水を加えて100重量%とする。
【0034】表3、4に試験結果を示している。表中の
評価基準はつぎのとおりである。◎…良好、○…普通、
△…少し悪い、×…悪い、─…未評価 但し、べとつき感については、べとつき感の無いものを
良好とする。
評価基準はつぎのとおりである。◎…良好、○…普通、
△…少し悪い、×…悪い、─…未評価 但し、べとつき感については、べとつき感の無いものを
良好とする。
【0035】
【表3】
【0036】以上の結果を見ても、各比較例の場合に
は、滑り感あるいはしっとり感、べとつき感の何れかが
劣っているのに対し、各実施例の場合には、滑り感、し
っとり感およびべとつき感の何れの点においても、良好
な性能を発揮している。
は、滑り感あるいはしっとり感、べとつき感の何れかが
劣っているのに対し、各実施例の場合には、滑り感、し
っとり感およびべとつき感の何れの点においても、良好
な性能を発揮している。
【0037】
【発明の効果】以上に述べた、この発明にかかる皮膚化
粧料用の添加材によれば、粒径40μm以下の保湿性を
有する不溶性天然高分子微粉末を用いることによって、
皮膚化粧料にとって重要な性能である、しっとり感を向
上させ得るとともに、べとつき感がなく、滑り性やブル
ーミング性を良好に出来るという極めて優れた特性を発
揮することができる。すなわち、従来の添加材では、保
湿性が良く、しっとり感のあるものは滑り性やブルーミ
ング性が悪く、べとつき感があり、滑り性やブルーミン
グ性の良いものは保湿性がないという問題があったのに
対し、この発明では、両方の性質を同時に満足させるこ
とが可能になるのである。
粧料用の添加材によれば、粒径40μm以下の保湿性を
有する不溶性天然高分子微粉末を用いることによって、
皮膚化粧料にとって重要な性能である、しっとり感を向
上させ得るとともに、べとつき感がなく、滑り性やブル
ーミング性を良好に出来るという極めて優れた特性を発
揮することができる。すなわち、従来の添加材では、保
湿性が良く、しっとり感のあるものは滑り性やブルーミ
ング性が悪く、べとつき感があり、滑り性やブルーミン
グ性の良いものは保湿性がないという問題があったのに
対し、この発明では、両方の性質を同時に満足させるこ
とが可能になるのである。
【0038】しかも、従来、保湿材と滑り材あるいはブ
ルーミング材を併用した場合、それぞれの相反する特性
が相殺されて、何れの特性をも十分に発揮できない場合
があったが、この発明の添加材であれば、ひとつの添加
材で上記全ての特性を向上させることが可能になる。ひ
とつの添加材で、前記保湿材、滑り材、ブルーミング材
の全てを兼用できれば、皮膚化粧料の製造の手間を省
け、製造コストを削減することができる。
ルーミング材を併用した場合、それぞれの相反する特性
が相殺されて、何れの特性をも十分に発揮できない場合
があったが、この発明の添加材であれば、ひとつの添加
材で上記全ての特性を向上させることが可能になる。ひ
とつの添加材で、前記保湿材、滑り材、ブルーミング材
の全てを兼用できれば、皮膚化粧料の製造の手間を省
け、製造コストを削減することができる。
【0039】さらに、その原料として天然高分子を用い
ているので、人間の皮膚に直接つける皮膚化粧料に用い
たときに、皮膚に悪影響を与える可能性が少なく、安全
性にも優れたものとなる。
ているので、人間の皮膚に直接つける皮膚化粧料に用い
たときに、皮膚に悪影響を与える可能性が少なく、安全
性にも優れたものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−41012(JP,A) 特開 昭62−190110(JP,A) 特開 昭63−10715(JP,A) 特開 平4−13609(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/48
Claims (2)
- 【請求項1】 キトサン/ゼラチン複合体、多孔性キト
サン、可溶性高分子コーティングキトサン、キトサン/
酸性多糖類複合体、ゼラチン/酸性多糖類複合体、キト
サン・ゼラチン/酸性多糖類複合体のうちの、少なくと
も1種であって、粒径40μm以下の保湿性を有する不
溶性天然高分子微粉末からなる皮膚化粧料用の添加材。 - 【請求項2】 請求項1に記載の添加材を含有する皮膚
化粧料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03037135A JP3084077B2 (ja) | 1991-03-04 | 1991-03-04 | 皮膚化粧料用の添加材および皮膚化粧料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03037135A JP3084077B2 (ja) | 1991-03-04 | 1991-03-04 | 皮膚化粧料用の添加材および皮膚化粧料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04275207A JPH04275207A (ja) | 1992-09-30 |
JP3084077B2 true JP3084077B2 (ja) | 2000-09-04 |
Family
ID=12489176
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03037135A Expired - Fee Related JP3084077B2 (ja) | 1991-03-04 | 1991-03-04 | 皮膚化粧料用の添加材および皮膚化粧料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3084077B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
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DE19710369A1 (de) * | 1997-03-13 | 1998-09-17 | Henkel Kgaa | Verfahren zur Herstellung von vernetzten Biopolymeren |
DE19920557B4 (de) * | 1999-05-05 | 2004-09-09 | Biotec Asa | Verfahren zur Herstellung von Kollagenfreien kosmetischen Zubereitungen |
EP1106168A1 (en) * | 1999-12-07 | 2001-06-13 | Cognis Corporation | Use of chitosan for making shaving compositions |
KR20010060436A (ko) * | 1999-12-24 | 2001-07-07 | 장태순 | 고분자 수용성 키토산(분자량 1만∼150만단위)이 함유된화장품 |
JP6292655B2 (ja) * | 2012-10-11 | 2018-03-14 | ポーラ化成工業株式会社 | キトサン及びヒアルロナンを含むナノ粒子 |
US20210084953A1 (en) * | 2017-07-27 | 2021-03-25 | Firmenich Sa | Gum arabic/chitosan coacervate system |
-
1991
- 1991-03-04 JP JP03037135A patent/JP3084077B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04275207A (ja) | 1992-09-30 |
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