JP2611956B2

JP2611956B2 - 皮膚化粧料

Info

Publication number: JP2611956B2
Application number: JP25028088A
Authority: JP
Inventors: 憲治森; 正憲橋本
Original assignee: Kurita Water Industries Ltd
Current assignee: Kurita Water Industries Ltd
Priority date: 1988-10-04
Filing date: 1988-10-04
Publication date: 1997-05-21
Anticipated expiration: 2012-05-21
Also published as: JPH02101008A

Description

【発明の詳細な説明】（技術分野）本発明は、老化防止効果（荒肌改善効果、角質改善効
果、保湿効果等），美肌効果に優れ、かつ外観（肌目，
透明性）にも優れた皮膚化粧料に関する。

（従来技術）従来より、乾燥した老化皮膚を改善する為に、皮膚に
適度な水分と油分を与える親水性の皮膚保湿剤と油性の
皮膚柔軟剤とを皮膚化粧料に配合することが知られてい
る。しかしながらグリセリン、プロピレングリコール等
の皮膚保湿剤は皮膚の最外層である角質層の水分を吸収
して、かえって皮膚の水分を損失する原因となることが
ある。また、流動パラフィン、ワセリン等の皮膚柔軟剤
は、表皮からの水分蒸散を充分に防ぐ程度に皮膚化粧料
に含有せしめる時には、皮膚の正常な新陳代謝を阻害
し、またべとつくなどの違和感を与えるなど、必ずしも
満足出来るものではなかった。

即ち、これらの配合剤の物理的作用による表皮への水
分補給あるいは表皮よりの水分蒸散防止では、皮膚の水
分保持機能を亢進するまでには至らなかった。

又、最近ではキチンの誘導体であるキトサンを皮膚化
粧料に配合する試みがなされているが、キトサンを高分
子でかつpH5以下の酸性水溶液にしか溶解しない為、肌
なじみ，刺激の面で好ましいものではなかった。更に高
分子のキトサンは次に述べる酸性ムコ多糖類と併用する
と、アニオンとカチオンが反応し高分子同志が凝集して
均一、外観美麗な化粧料を得る事ができなかった。高分
子キトサンのこの様な欠点を改良する為近年特開昭60−
186504号公報，特開昭61−21102号公報，特開昭62−184
002号公報，特開昭63−63701号公報等でキトサンの低分
子化する方法及びそれの化粧料への配合が提案されてい
る。しかし低分子キトサン単独を配合した皮膚化粧料で
は老化防止効果，美肌効果が十分ではなかった。

また、ヒアルロン酸を始めとする酸性ムコ多糖類は、
特開昭51−11178号公報、特開昭54−52733号公報にみら
れるように保湿剤として皮膚化粧料の成分として応用さ
れているが、酸性ムコ多糖類単独を配合した皮膚化粧料
では皮膚の表面の水分量を調節するのみであり、皮膚内
部の水分保持機能を亢進し、美肌効果を発現する程には
至らなかった。

（発明の開示）そこで本発明者等は、上記現状に鑑み、種々検討した
結果、平均分子量1,000〜10,000の範囲内にあるキトサ
ンと、酸性ムコ多糖類及びその塩の群より選択された少
なくとも一種とを含有した皮膚化粧料は、本発明が目的
としている老化防止効果（荒肌改善効果、角質改善効
果、保湿効果等）と美肌効果を顕著に発現することを見
出し、本発明を完成するに至った。

即ち平均分子量1,000〜10,000の範囲内にあるキトサ
ンは水中で酸性ムコ多糖類と均一に混溶し、その水溶液
を配合した皮膚化粧料を皮膚に適用した時には、皮膚の
表面及び皮膚の最外層である角質層に強い親和性を示
し、老化皮膚を改善する事を見出した。

また、キトサンは、皮膚内部の水分機能を調節し、皮
膚の保湿機能を亢進させる機能を発揮するものである。
本発明の皮膚化粧料は、皮膚それ自体の水分保持機能を
亢進することにより、乾燥皮膚を改善し、あるいは皮膚
を健常な状態に保持してその老化を防ぎ、皮膚に湿潤性
（しっとり感）、柔軟性（滑らか感）、弾力性及び艶を
与える美肌効果を有することを見出し本発明を完成する
に至った。本発明の皮膚化粧料の場合、従来の皮膚化粧
料のごとく前記の皮膚湿潤剤、皮膚柔軟剤を多量に配合
する必要がなく、皮膚の正常な生理機能が防げられる虞
れがない。

（発明の目的）即ち、本発明の目的は、荒肌改善効果、角質改善効
果、保湿効果等の皮膚老化防止効果と美肌効果に優れた
皮膚化粧料を提供することにある。

（発明の構成）本発明は、平均分子量が1.000〜10,000の範囲内にあ
るキトサンと、酸性ムコ多糖類及びその塩の群より選択
された少なくとも一種とを含有してなる皮膚化粧料に関
するものである。

（構成の具体的な説明）本発明に用いるキトサンは分子量が1,000〜10,000の
キトサンであり、酸を添加しなくても水に溶解するキト
サンである。

キトサンはえびやかにの外殻などに存在するキチン
を、希塩酸による脱炭酸カルシウムおよび希アルカリに
より脱蛋白質を行ない、ついで、濃厚アルカリによる脱
アセチル化を行なって得ることができる。本発明に用い
るキトサンは、キチンを脱アセチル化して得られるキト
サンを化学的処理あるいは酵素による分解によって得ら
れるものであるが、原料キチンの種類、キトサンの製造
方法、キトサンの低分子化方法については特に限定され
るものではない。

キトサンの分子量はゲル・パーミエーション・クロマ
トグラフィーにより求めたもので、ポリエチレングリコ
ール相当の重量平均分子量である。これは固有粘度（30
℃、0.2N酢酸＋0.1N−酢酸ナトリウム）にすると、0.03
〜0.5（dl/gキトサン）である。

本発明に用いる低分子量キトサンの具体的な製造法の
一例を以下に示す。紅ずわいがにから常法によりキトサ
ンを得、このキトサンを水に懸濁させ70℃、pH8にて過
酸化水素水を添加することにより、低分子化した。低分
子化キトサンの分子量は過酸化水素水の添加量によって
調製できる。低分子化した後濾過あるいは遠心分離によ
り固形物を除き、ついでUF膜（分画分子量約1,000）を
使用してキトサンオリゴマーおよび極めて低分子量のキ
トサンおよび塩類を除き、この液から粉末キトサンを得
る場合には、この液を凍結真空乾燥するかあるいはアセ
トンを添加して沈澱させ減圧乾燥することによって得ら
れる。

その平均分子量は1,000〜10,000、好ましくは2,000〜
6,000である。

平均分子量が1,000未満であると老化防止効果、美肌
効果に劣り、10,000を越えると、水溶解性が低下した
り、酸性ムコ多糖類と凝集したりして好ましくない。

又その配合量は皮膚化粧料（組成物）の総量を基準と
して0.001〜1.0重量％（以下、Wt％と略記する）の範囲
が好適である。0.001Wt％未満では老化防止効果等が不
十分であり、1.0Wt％を越えてもその増量に見合うだけ
の効果は期待できない。

本発明に用いる酸性ムコ多糖類としては、ヒアルロン
酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン４硫酸、コンドロ
イチン６硫酸、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸等が使用可
能であり、それらはいずれもは公知の物質であって、軟
骨、関節、眼球、皮膚その他の結合組織に基質成分とな
って、蛋白質と結合して動物体内に広く分布している。

本発明に用いる酸性ムコ多糖類の塩としては、前記ム
コ多糖類のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など
のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩など
のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノー
ルアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩等のアルカノ
ールアミン塩、リジン塩、アルギニン塩、ヒスチジン塩
等の塩基性アミノ酸塩が好ましいものとして挙げられ
る。また、これらの酸性ムコ多糖類は遊離状の酸として
も使用できる。

本発明に用いる酸性ムコ多糖類又はその塩の分子量は
1,000〜10,000である事が好ましい。分子量が1,000未満
であると、老化防止効果等に劣り、分子量が10,000を越
えるとべたついたり、皮膚化粧料の外観がザラついたり
する傾向がある。

その配合量は皮膚化粧料（組成物）の総量を基準とし
て0.001〜1.0Wt％の範囲が好適である。0.001Wt％未満
では老化防止効果等が不十分であり、1.0Wt％を越えて
もその増量に見合うだけの効果は期待できない。

本発明の皮膚化粧料は、例えばローション類、乳液
類、クリーム類、パック類等に適用することができる。

尚、本発明の皮膚化粧料には上記の他に色素、香料、
防腐剤、界面活性剤、顔料、抗酸化剤等を本発明の目的
を達成する範囲内で適宜配合することができる。

次に本発明の実施例を掲げるが、本発明の皮膚化粧料
の皮膚老化防止効果を評価するために用いた荒肌改善効
果試験、角質改善効果試験、保湿効果試験（TWL値低減
率）、美肌効果試験（官能テスト）、外観は下記の通り
である。

（１）荒肌改善効果試験荒れ肌、乾燥皮膚及び老人性乾皮症状を訴える中高年
被験者20名の下脚を対象として４週間連続塗布効果を調
べた。被験者の左側下脚試験部位に１日１回約1gの試料
を塗布し、試験開始前及び終了後の皮膚の状態を下記の
判定基準により肉眼判定した。右側下脚は試料を塗布せ
ず対象とした。皮膚乾燥度の判定基準 − ：正常 ± ：軽微乾燥、落屑なし＋：乾燥、落屑軽度＋＋：乾燥、落屑中等度＋＋＋：乾燥、落屑顕著試験前後の試験部位と対照部位の判定結果を比較し、
皮膚乾燥度が２段階以上改善された場合（例えば、＋→
−、＋＋→±）を有効、１段階改善された場合をやや有
効、変化がなかった場合を無効とした。試験結果は有
効、やや有効となった被験者の人数で示した。

（２）角質層改善効果試験前述の荒肌改善効果試験開始前及び終了後の被験者皮
膚にスコッチテープ（ニチバンメディングテープ）を接
着し、これを剥離した時テープに付着した角質細胞の状
態を走査型電子顕微鏡によって詳細に調べ、下記の基準
によって皮膚角質細胞抗剥離性を解析し、角質層改善効
果（角質細胞抗剥離性増大効果）を求めた。角質改善効果の判定基準評価点1:スケールを認めず 2:小スケール点在 3:小〜中スケール顕著 4:大スケール顕著評価は、４週間連続塗布後の試験部位の評価点と対照
部位のそれとの差が２点以上の場合を有効、１点の場合
をやや有効、０点の場合を無効とした。試験結果は、20
人中有効、やや有効となった被験者の人数で示した。

（３）保湿効果試験（TWL値低減率）前述の荒肌改善効果試験開始前及び終了後の被験者皮
膚を対照として４週間連続塗布前及び塗布後のTWL値及
びTWL値の低減率（水分保持機能亢進効果）を下記の如
く算出し、保湿効果を調べた。

TWL値密閉した皮表上の空気の一定時間内の湿度変化を電気
抵抗にて測定する方法を用いた。

即ち、被試験者の皮表を測定用セルで密閉し、セルに
強制乾燥した空気を通気してセル内を乾燥空気で充分置
換した後、乾燥空気の通気を停止してその時点でのセル
内の相対湿度RHs（％）を求め、次いで10分間放置して
再びセル内の相対湿度RH₁₀（％）を測定し、この時の湿
度変化から下記の式によりTWL値（mg/cm²/hr）を算出し
た。

但し、Dt:測定温度下（ｔ℃）での空気中の飽和水蒸気
の密度（mg/） V:セルの容積（） S:測定面積（cm²） TWL値の低減率 TWL値の低減率は、試料塗布前後のTWL値、TWL_A及びTW
L_Bを下記の式に代入して算出した。

TWL値低減率＝（１−TEL_B/TEL_A）×100（％） TEL_A:試料塗布前のTWL値 TEL_B:試料塗布後のTWL値 TWL値の低減率が20％以上の場合を「有効」、低減率
が20％未満の場合を「無効」とした。試験結果は、20人
中の「有効」であった被験者の人数で表示した。

（４）美肌効果試験（実用テスト）荒れ肌、乾燥肌及び老人性乾皮症状等を訴える中高年
女子被験者20人が試料を１日２回（朝・夕）連続３ヶ月
間使用後の効果を評価した。試験結果は、皮膚の湿潤
性、平滑性、弾力性の各項目に対して、皮膚に潤いが生
じた、皮膚が滑らかになった、皮膚に張りが生じたと回
答した人数で示した。

（５）外観（肌目，透明性）５℃の恒温室に１日保存した後の試料の外観を観察
し、乳化物の場合は外観（肌目）良好なもの（○）、や
やザラツキのある物（△）、ザラツキがあったりブツが
あるもの（×）、化粧水（ローション）の場合は透明
（○）、やや白濁（△）、白濁（×）に区別して評価し
た。

（実施例）実施例１〜４、比較例１〜２〔スキンローション〕キトサン及び酸性ムコ多糖類の配合量を第１表の如く
変化さす他は下記組成の通り配合して各種スキンローシ
ョンを調整し、試験を実施した。

（１）組成原料組成配合量（Wt％）グリセリン 5.0 メチルパラベン 0.1 エタノール 10.0 キトサン第１表に示す配合量〔分子量1,500〕ヒアルロン酸第１表に示す配合量〔分子量5,200〕精製水全量を100Wt％とする量（２）調製法全成分を均一に混合して各スキンローションを調製し
た。

（３）特性第１表に示す如く本発明のスキンローションは荒肌改
善結果、保湿効果等の老化防止効果に優れたものであっ
た。一方キトサンだを配合した比較例１のスキンローシ
ョン及びヒアルロン酸だけを配合した比較例２のスキン
ローションは老化防止効果に劣り、その差は明らかであ
った。

実施例５〜10〔スキンローション〕分子量5,200のヒアルロン酸の代りに第２表に示す各
種酸性ムコ多糖類を配合する他は実施例１と同様にして
実施例５〜10のスキンローションを調製した。その特性
を第２表に示す。第２表から明らかな如く本発明のスキ
ンローションの老化防止効果等は優れたものであった。

実施例11〜12、比較例３〜４〔スキンローション〕分子量1,500のキトサンの代りに第３表に示す各分子
量のキトサンを配合する他は実施例１と同様にして実施
例11〜12、比較例３〜４のスキンローションを調製し
た。その特性を第３表に示す。第３表から明らかな如
く、分子量1,000のキトサンを配合した実施例11のスキ
ンローション及び分子量10,000のキトサンを配合した実
施例12のスキンローションは外観透明で老化防止効果に
優れたものであった。一方、分子量500のキトサンを配
合した比較例３のスキンローションは老化防止効果に劣
り好ましいものではなかった。又分子量50,000のキトサ
ンを配合した比較例４のスキンローションは外観が透明
でなくやはり好ましいものではなかった。

実施例13〔O/W型スキンクリーム〕（１）組成原料組成配合量（Wt％）（Ａ）流動パラフィン 15.0 ミツロウ 3.0 ステアリン酸 3.0 ソルビタンセスキオルエート 3.0 セタノール 2.5 P.O.E.ソルビタンモノ 4.0 オルエート（20E.O.）（Ｂ）グリセリン 5.0 メチル−Ｐ 0.1 Ｎ−ラウロイル−Ｌ− 0.2 グルタミン酸ナトリウム塩キトサン 0.01 （分子量2,000）ヒアルロン酸ナトリウム 0.1 （分子量8,500）精製水全量を100Wt％とする量（２）調製法成分（Ａ）を80℃で均一に加熱溶解したものの中へ80
℃で均一に加熱溶解した（Ｂ）を投入し撹拌しつつ30℃
まで冷却して本発明のスキンクリームを調製した。

（３）特性その特性を第４表に示す。第４表から明らかな如く本
発明のスキンクリームの各種特性は優れたものであっ
た。

実施例14（O/W型スキンミルク）（１）組成原料組成配合量（Wt％）（Ａ）流動パラフィン 10.0 セタノール 2.0 コレステリン 0.5 モノグリセライド 1.0 P.O.E.ソルビタンモノ 5.0 オルエート（6E.O.）（Ｂ）キトサン 0.05 （分子量2,000）ヘパリン硫酸 0.3 （分子量11,000）精製水全量を100Wt％とする量（２）調製法実施例13と同様に行なう。

（３）特性その特性を第４表に示す。第４表から明らかな如く本
発明のスキンミルクの各種特性は優れたものであった。

実施例15〔ナイトクリーム〕（１）組成原料組成配合量（Wt％）（Ａ）流動パラフィン 15.0 スクワラン 15.0 モノグリセライド 2.0 コレステリン 1.0 セタノール 2.0 セチルパルミテート 1.0 ラノリン 3.0 P.O.E.セチルエーテル（7E.O.） 8.0 （Ｂ）ソルビトール 5.0 メチル−Ｐ 0.1 キトサン 0.3 （分子量5,000）ヘパラン硫酸 0.05 （分子量5,500）精製水全量を100Wt％とする量（２）調製法実施例13と同様に行なう。

（３）特性その特性を第４表に示す。第４表から明らかな如く本
発明のナイトクリームの各種特性は優れたものであっ
た。

実施例16〔マッサージミルク〕（１）組成原料組成配合量（wt％）（Ａ）スクワラン 10.0 オリーブ油 10.0 ミリスチン酸オクチドデシル 10.0 セタノール 2.0 P.O.E.セチルエーテル（5.5E.O.） 4.0 P.O.E.ソルビタントリオルエート（20E.O.） 2.0 （Ｂ）キトサン（分子量3,000） 0.2 ヒアルロン酸（分子量40,000） 0.01 精製水全量を100Wt％とする量（２）調製法実施例13と同様に行なう。

（３）特性その特性を第４表に示す。第４表から明らかな如く本
発明のマッサージミルクの特性は優れたものであった。

（発明の効果）以上記載の如く、本発明は皮膚の老化防止に顕著な効
果を発現し、美肌作用を有し、外観（肌目，透明性）に
も優れた皮膚化粧料を提供する事は明らかである。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】平均分子量が1,000〜10,000の範囲内にあ
るキトサンと、酸性ムコ多糖類及びその塩の群より選択
された少なくとも一種とを含有してなる皮膚化粧料。