JP3083989B2 - 化粧用気密コンパクト容器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は化粧用の気密コンパ
クト容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】化粧料には揮発性成分を含有するものが
あり、このような化粧料を収容する化粧用コンパクト容
器では、揮発性成分が揮発しないように化粧料収容部を
気密に密閉できる構造になっている。

【０００３】実開平７−３５１０号公報にはその一例が
開示されている。この公報に開示されたものは、容器本
体に中枠が固定され、中枠に中皿が嵌合固定され、中皿
の上部にフランジ部分が設けられており、中蓋（蓋体）
の内面には弾性材からなるシール部材が取り付けられて
構成されている。そして、中蓋を閉じると、中蓋のシー
ル部材が中皿のフランジ部分に弾性的に圧接して、中皿
内を気密にシールするようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、ここで中枠
及び中皿はいずれも硬質の樹脂で形成されており、硬質
の部材同士を嵌合し固定するとなると、嵌め合い寸法の
精度管理が非常に厳しいものとなる。嵌め合いがきつ過
ぎると中皿を中枠に嵌め込むのが困難あるいは不可能に
なり、嵌め合いがゆる過ぎると中皿ががたついたりする
からである。このように厳しい精度管理が必要となる
と、製造コストが上がり不利であった。

【０００５】又、これとは別の問題に、前記従来の気密
コンパクト容器においては、中皿のフランジ部とシール
部材との環状の気密接触部分が１条しかなく、気密性に
若干の不安があった。

【０００６】本発明はこのような従来の技術の問題点に
鑑みてなされたものであり、気密保持に対する信頼性が
高く、組み立てが容易で、更にコストダウンを図ること
もできる化粧用気密コンパクト容器を提供することを目
的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために、以下の手段を採用した。本発明は、（イ）
容器本体と、（ロ）容器本体の上部内縁に固定された環
状の中枠と、（ハ）中枠の内側に配され、内部に化粧料
を収容する中皿と、（ニ）中皿の上部外側に固定され、
中枠の内側に嵌合して中皿と中枠とを連結する弾性材か
らなる環状のシール部材と、（ホ）容器本体に開閉可能
に取り付けられ、内面には閉蓋時に前記シール部材に圧
接する環状の圧接部が設けられている蓋体と、を備えた
ことを特徴とする化粧用気密コンパクト容器である（請
求項１に対応）。

【０００８】ここでいう蓋体には外蓋が含まれることは
勿論であるが、容器本体と外蓋との間に設置される中蓋
も含まれる。容器本体に対する蓋体の取り付け構造とし
てはヒンジ機構が好適であるが、ネジ機構であっても構
わない。

【０００９】弾性材からなるシール部材を介して中皿を
中枠に嵌合固定しているので、中皿を中枠に直接嵌合さ
せる場合に比して、中枠と中皿の加工精度が低くても正
しく組み立てることができる。又、シール部材は中皿に
固定されているので、中皿の中枠への組み立ても容易に
できる。

【００１０】前記中枠とシール部材とを嵌合する手段
は、中枠の内周面に設けられた係止突起と、この係止突
起に係合するシール部材の外周面に設けられた係止突起
により構成することも可能である（請求項２に対応）。

【００１１】又、本発明の気密コンパクト容器は、前記
シール部材の上端に外方へ張り出す環状の張り出し部を
設け、張り出し部の先部を下方に屈曲させ、前記中枠の
上面には張り出し部の下方に位置する部位から上方に突
出する環状の台座を設け、この台座と張り出し部との間
には張り出し部の下方撓みを許容する空間部を形成し、
前記蓋体の圧接部には、閉蓋時に前記張り出し部の上面
を圧接する環状突部と、張り出し部の先部を中枠の前記
台座と協働して挟圧する環状壁部とを設けて構成するこ
とも可能である。

【００１２】このように構成した場合には、蓋体を閉じ
ると、蓋体の環状突部がシール部材の張り出し部の上面
に圧接し、蓋体の環状壁部と中枠の台座がシール部材の
先部を挟圧して、中皿が二重に気密密閉される。したが
って、両方の気密部分が同時に破られない限り、中皿の
気密が破られることはない。

【００１３】〈本発明の原材料〉シール部材としてはエ
ラストマ等の弾性を有する軟質樹脂が好適である。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
から図４の図面に基いて説明する。 〔第１の実施の形態〕本発明の第１の実施の形態の化粧
用気密コンパクト容器（以下、コンパクト容器と略称す
る）を図１及び図２の図面に基いて説明する。

【００１５】化粧用気密コンパクト容器（以下、コンパ
クト容器と略称する）は、容器本体１と、容器本体１の
一端にヒンジ部（図示せず）を介して回動可能に取り付
けられた蓋体２とを備えている。図１は蓋体２を閉じた
状態を示し、図２は蓋体２を若干開いた状態を示してい
る。

【００１６】容器本体１と蓋体２との間には、前記ヒン
ジ部から周方向に１８０度離間した位置に、蓋体２を閉
状態に保持し回動不能にするロック機構（図示せず）が
設けられており、このロック機構のロックを解除して蓋
体２を開回動できるようにする解除ボタン（図示せず）
が容器本体１あるいは蓋体２のいずれかに設けられてい
る。尚、これらロック機構と解除ボタンの構造について
は周知技術であるので説明を省略する。

【００１７】容器本体１の上縁内側には環状の中枠３が
固定されている。中枠３は水平部４と垂直部５とを備
え、これらが交差する部位に段部６が設けられ、段部６
の外側には水平部４よりも上方に突出する環状の台座７
が設けられている。又、中枠３の垂直部５の内周面には
周方向所定間隔毎に係止突起８が内方に突出して設けら
れている。

【００１８】この中枠３の垂直部５の内側には、シール
部材２０を備えた中皿９が嵌合固定されている。中皿９
の内側上縁には飾りリング１０が嵌着されており、中皿
９の内部は、揮発性成分を含有する化粧料を収容する化
粧料収容部１１になっている。

【００１９】シール部材２０は中皿９の上部外周に固定
されている。シール部材２０は環状をなし、エラストマ
等の弾性材で形成されており、シール部材成形用の金型
に予め中皿９をインサートしておき、この金型にエラス
トマ等を射出成形することによってシール部材２０を成
形し、同時に中皿９と一体化したものである。

【００２０】シール部材２０は、中枠３の段部６に載置
される突出部２１と、中枠３の係止突起８の下縁に係止
する環状の係止突起２２と、中枠３の台座７の上方に位
置して外方へ張り出す環状の張り出し部２３とを備え、
張り出し部２３の先部２４は斜め下方に屈曲している。
張り出し部２３と台座７との間には空間部１２が形成さ
れており、張り出し部２３が下方に撓むのを許容してい
る。

【００２１】シール部材２０を備えた中皿９は、中枠３
の垂直部５の内側に上から挿入して下方に押し込むこと
によって、簡単に中枠３に固着することができる。しか
も、組み立て時には突出部２１及び係止突起２２が弾性
変形して、中枠３やシール部材２０等の加工上の寸法誤
差をがカバーするので、中皿９を中枠３にしっかりと固
定することができ、がたつくことがない。したがって、
中枠３や中皿９には従来のように高い加工精度が要求さ
れない。

【００２２】一方、蓋体２の天板部１４の内側には、押
圧板１５が嵌合固定されている。押圧板１５は、中央平
坦部１６と、中央平坦部１６の外縁部から下方に延びる
環状の周壁部（圧接部としての環状壁部）１７とを備え
ており、中央平坦部１６の外縁近傍には下方に突出する
環状の突部（圧接部としての環状突部）１８が設けられ
ている。

【００２３】このコンパクト容器では蓋体２を閉じる
と、押圧板１５の突部１８がシール部材２０の張り出し
部２３の基部上面に圧接し張り出し部２３を弾性的に下
方に撓ませる。更に、押圧板１５の周壁部１７の内周面
がシール部材２０の先部２４の外側面に圧接し、周壁部
１７と中枠３の台座７とが協働してシール部材２０の先
部２４を挟圧する。

【００２４】このように、このコンパクト容器では閉蓋
時に、押圧板１５の突部１８による環状の気密接触部と
周壁部１７による環状の気密接触部が２条平行に形成さ
れ、二重の気密構造になる。したがって、これら２カ所
の気密が同時に破られない限り、中皿９に収容した化粧
料の揮発性成分が揮発することがなく、気密保持の確実
性が極めて高い。特に周壁部１７による気密接触部は、
周壁部１７と台座７とがシール部材２０の先部２４を挟
圧することにより生じたものであり、接触圧が極めて高
く、気密が破られる可能性は非常に少ない。

【００２５】〔第２の実施の形態〕図３及び図４は第２
の実施の形態のコンパクト容器を示しており、図３は蓋
体２を閉じた状態であり、図４は蓋体を若干開けた状態
である。

【００２６】第２の実施の形態のコンパクト容器が第１
の実施の形態のものと相違する点は、第２の実施の形態
のコンパクト容器には、シール部材２０の突出部２１の
底部に下方に突出する突起２５を有しており、この突起
２５の下端が中枠３の段部６に突き当たっているところ
にある。

【００２７】シール部材２０を備えた中皿９を中枠に装
着する際、第１の実施の形態のコンパクト容器では突出
部２１と係止突起２２が弾性変形したが、第２の実施の
形態のコンパクト容器では突出部２１の代わりに突起２
５が弾性変形する。突起２５は突出部２１よりも弾性変
形し易いので、第２の実施の形態のコンパクト容器の方
が、中枠３やシール部材２０等の加工上の寸法誤差をカ
バーする効果が大きい。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
弾性材からなるシール部材を介して中皿を中枠に嵌合固
定しているので、中皿を中枠に直接嵌合させる場合に比
して、中枠と中皿の加工精度が低くても正しく組み立て
ることができ、コストダウンを達成することができると
いう優れた効果が奏される。又、シール部材は中皿に固
定されているので、中皿の中枠への組み立ても容易にで
きる。

【００２９】又、本発明のシール部材は、中皿と中枠と
を連結する機能と、閉蓋時に蓋体と協働して中皿を気密
に密閉する機能とを備えており、部品点数少なくして前
記効果を得ることができる。

【００３０】シール部材に張り出し部を設け、中枠に台
座を設け、蓋体の圧接部に環状突部と環状壁部を設け、
閉蓋時に蓋体の環状突部がシール部材の上面に圧接する
とともに、蓋体の環状壁部と中枠の台座が協働してシー
ル部材の先部を挟圧するように構成した場合には、気密
接触部が２重に形成されて気密保持の確実性が増すとい
う優れた効果が奏される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１の実施の形態における化粧用気
密コンパクト容器の閉状態を示す断面図である。

【図２】 本発明の第１の実施の形態における化粧用気
密コンパクト容器の開状態を示す断面図である。

【図３】 本発明の第２の実施の形態における化粧用気
密コンパクト容器の閉状態を示す断面図である。

【図４】 本発明の第２の実施の形態における化粧用気
密コンパクト容器の開状態を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 容器本体 ２ 蓋体 ３ 中枠 ７ 台座 ８ 係止突起 ９ 中皿 １２ 空間部 １７ 周壁部（圧接部としての環状壁部） １８ 突部（圧接部としての環状突部） ２０ シール部材 ２２ 係止突起 ２３ 張り出し部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A45D 33/00 - 33/38 B65D 53/04

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （イ）容器本体と、（ロ）容器本体の上
   部内縁に固定された環状の中枠と、（ハ）中枠の内側に
   配され、内部に化粧料を収容する中皿と、（ニ）中皿の
   上部外側に固定され、中枠の内側に嵌合して中皿と中枠
   とを連結する弾性材からなる環状のシール部材と、
   （ホ）容器本体に開閉可能に取り付けられ、内面には閉
   蓋時に前記シール部材に圧接する環状の圧接部が設けら
   れている蓋体と、を備えたことを特徴とする化粧用気密
   コンパクト容器。
2. 【請求項２】 前記中枠と前記シール部材とを嵌合する
   手段は、中枠の内周面に設けられた係止突起と、この係
   止突起に係合する前記シール部材の外周面に設けられた
   係止突起により構成されていることを特徴とする請求項
   １に記載の化粧用気密コンパクト容器。
3. 【請求項３】 前記シール部材はその上端に外方へ張り
   出す環状の張り出し部を有し、張り出し部の先部は下方
   に屈曲して形成されており、前記中枠の上面には張り出
   し部の下方に位置する部位から上方に突出する環状の台
   座が設けられ、この台座と張り出し部との間には張り出
   し部の下方撓みを許容する空間部が形成され、前記蓋体
   の圧接部は、閉蓋時に前記張り出し部の上面を圧接する
   環状突部と、張り出し部の先部を中枠の前記台座と協働
   して挟圧する環状壁部とを備えたことを特徴とする請求
   項１または２に記載の化粧用気密コンパクト容器。