JP3083485B2 - スルフィド基含有メルカプトカルボン酸およびそのエステルの製造方法 - Google Patents

スルフィド基含有メルカプトカルボン酸およびそのエステルの製造方法

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JP3083485B2 JP08313948A JP31394896A JP3083485B2 JP 3083485 B2 JP3083485 B2 JP 3083485B2 JP 08313948 A JP08313948 A JP 08313948A JP 31394896 A JP31394896 A JP 31394896A JP 3083485 B2 JP3083485 B2 JP 3083485B2
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C319/00Preparation of thiols, sulfides, hydropolysulfides or polysulfides
    • C07C319/14Preparation of thiols, sulfides, hydropolysulfides or polysulfides of sulfides
    • C07C319/18Preparation of thiols, sulfides, hydropolysulfides or polysulfides of sulfides by addition of thiols to unsaturated compounds

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重合連鎖移動剤等
の工業的に広く使用されるスルフィド基含有メルカプト
カルボン酸およびそのエステルの製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】スルフィド基含有メルカプトカルボン酸
エステルは、重合連鎖移動剤等、工業的に広く使用され
ている。
【0003】スルフィド基含有メルカプトカルボン酸エ
ステルを製造する方法としては、Chem.Phar
m.Bull.,38,pp.3035−3041(1
990年)において、トリエチルアミンの存在下に、ク
ロル酢酸エステルにエタン−1,2−ジチオールを反応
させる方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方法では、例えば、塩化水素のような、ハロゲンを
含む廃棄物が多量に発生する。したがって、環境対策な
どのための処理に多大なエネルギーが必要になる。この
ため、生産効率が悪く、工業上の観点において有利でな
いという問題点がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に記載の下記一般式:
【0006】
【化4】
【0007】(ただし、式中、R,R’及びR”は上記
式における定義と同様である)で表わされるスルフィド
基含有メルカプトカルボン酸エステルの製造方法は、無
機固体塩基または陰イオン交換樹脂の存在下で、一般
式:HS−R−SH(ただし、式中、Rは、炭化水素残
基、エーテル基含有炭化水素残基、またはスルフィド基
含有炭化水素残基を表わし、かつ、含有される炭素原子
数が2〜20である)で表わされるジチオール化合物の
一方のチオール基を、一般式:CH 2 =CR’CO 2 R”
(ただし、式中、R’は水素原子または低級アルキル基
を表わし、およびR”は炭化水素残基を表わす)で表わ
されるアクリル酸エステル誘導体に付加反応することか
らなることを特徴としている。
【0008】請求項2に記載のスルフィド基含有メルカ
プトカルボン酸エステルの製造方法は、請求項1の方法
において、前記ジチオール化合物は一般式:
【0009】
【化5】
【0010】(ただし、式中、R 1 およびR 2 はそれぞれ
独立して水素原子または低級アルキル基を表わし、nは
繰り返しを表わす1〜5の整数である)で表わされるこ
とを特徴としている。
【0011】請求項3に記載のスルフィド基含有メルカ
プトカルボン酸エステルの製造方法は、請求項1または
2に記載の方法において、前記ジチオール化合物を前記
アクリル酸エステル誘導体1モルに対して1モル以上の
量で用いることを特徴としている。
【0012】
【0013】
【0014】上記の方法により、ジチオール化合物の一
方のチオール基を、例えば、(メタ)アクリル酸エステ
ル等のアクリル酸エステル誘導体に選択的に付加させる
ことによってスルフィド基含有メルカプトカルボン酸エ
ステルが得られるので、例えば、クロル酢酸エステル等
の、ハロゲン化物が不要である。したがって、有害なハ
ロゲンを含む廃棄物が発生しない。それによって、環境
対策等のための処理を目的とした多大なエネルギーが不
要になり、そのため、目的とするスルフィド基含有メル
カプトカルボン酸エステルを効率的に製造することがで
き、工業上有利になる。
【0015】請求項に記載のスルフィド基含有メルカ
プトカルボン酸の製造方法は、請求項1からのいずれ
かに記載の方法により得られるスルフィド基含有メルカ
プトカルボン酸エステルを加水分解することを特徴とし
ている。
【0016】請求項に記載のスルフィド基含有メルカ
プトカルボン酸の製造方法は、請求項の方法におい
て、前記スルフィド基含有メルカプトカルボン酸が一般
式:
【0017】
【化6】
【0018】(ただし、式中、R1 、R2 およびR3
それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表わ
し、nは繰り返しを表わす1〜5の整数である)で表わ
されることを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態を以下に説
明する。
【0020】本発明によると、無機固体塩基または陰イ
オン交換樹脂の存在下で、下記一般式(1):
【0021】
【化7】
【0022】で表わされるジチオール化合物の一方のチ
オール基を、下記一般式:
【0023】
【化8】
【0024】表わされるアクリル酸エステル誘導体に付
加反応することにより、下記一般式(2):
【0025】
【化9】
【0026】で表わされるスルフィド基含有メルカプト
カルボン酸エステルを製造する。
【0027】この際、上記一般式(1)においては、R
は、炭化水素残基、エーテル基含有炭化水素残基、また
はスルフィド基含有炭化水素残基を表わし、かつ、含有
される炭素原子数は2〜20、好ましくは2〜15であ
る。さらに、これらの原料である、ジチオール化合物及
びアクリル酸エステル誘導体は、それぞれ、単独で使用
されてもあるいは混合物の形態で使用されてもよい。ま
た、上記アクリル酸エステル誘導体を表わす一般式にお
いては、R’は水素原子またはメチル基等の炭素原子数
1〜4の低級アルキル基を表わし、具体的には、R’が
水素原子であるアクリル酸エステルおよびR’がメチル
基であるメタクリル酸エステル等が工業上利用可能であ
る。また、上記式において、R”は上記アクリル酸エス
テル誘導体を構成する任意の置換基を表わし、具体的に
は、炭素原子数1〜20の炭化水素残基であり、例示す
ると、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシ
ル及びステアリル等の脂肪族炭化水素残基;シクロヘキ
シル及びアルキル基置換シクロヘキシル等の脂環式炭化
水素残基;およびフェニル、アルキル基置換フェニル及
びベンジル等の芳香族炭化水素残基などが挙げられる。
【0028】本発明において、上述したジチオール化合
物のうち、炭素原子数が2〜20である炭化水素残基を
有するジチオール化合物は特に限定されないが、例え
ば、以下の化合物が挙げられる:エタン−1,2−ジチ
オール、プロパン−1,3−ジチオール、プロパン−
1,2−ジチオール、ブタン−1,4−ジチオール及び
2,3−ジメチルブタン−1,2−ジチオール等のアル
カンジチオール化合物;シクロヘキサン−1,2−ジチ
オール及びシクロヘキサン−1,4−ジチオール等の脂
環式炭化水素ジチオール化合物;ベンゼン−1,2−ジ
チオール及びベンゼン−1,4−ジチオール等の芳香族
炭化水素ジチオール化合物。
【0029】また、本発明において、炭素原子数2〜2
0のエーテル基含有炭化水素残基を有するジチオール化
合物は特に制限されないが、例えば、以下の構造式で表
わされる化合物:
【0030】
【化10】
【0031】が挙げられる。さらに、上記化合物に加え
て、4,4’−ジメルカプトジフェニルエーテル等のエ
ーテル基含有芳香族炭化水素ジチオール化合物、および
4,4’−ジメルカプトシクロヘキシルエーテル等のエ
ーテル基含有脂環式炭化水素ジチオール化合物もまた、
本発明におけるエーテル基含有炭化水素残基を有するジ
チオール化合物として使用される。
【0032】さらに、本発明において、上記炭素原子数
2〜20のスルフィド基含有炭化水素残基を有するジチ
オール化合物もまた特に限定されないが、下記一般式
(3)で表わされるものが好ましく使用される。
【0033】
【化11】
【0034】ただし、上記一般式(3)中、R1 および
2 はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基等の炭
素原子数1〜4の低級アルキル基を表わし、nは繰り返
しを表わす1〜5、好ましくは1〜3の整数である。
【0035】上記一般式(3)で表わされる化合物の例
としては、例えば、以下の構造式を有する化合物:
【0036】
【化12】
【0037】などが挙げられる。
【0038】また、上記炭素原子数2〜20のスルフィ
ド基含有炭化水素残基を有するジチオール化合物の例と
しては、上記一般式(3)で表わされるもの以外にも、
下記一般式:
【0039】
【化13】
【0040】で表わされるチオエーテル基含有脂肪族炭
化水素ジチオール化合物、4,4’−ジメルカプトジフ
ェニルチオエーテル等のチオエーテル基含有芳香族炭化
水素ジチオール化合物、および4,4’−ジメルカプト
シクロヘキシルチオエーテル等のチオエーテル基含有脂
環式炭化水素ジチオール化合物が挙げられる。ただし、
上記炭素原子数2〜20のスルフィド基含有炭化水素残
基を有するジチオール化合物は上記に限定されるもので
はない。
【0041】一方、本発明において使用されるアクリル
酸エステル誘導体としては、エステル部分を構成する炭
化水素残基が1〜20の炭素原子数を有するものであれ
ば特に制限されることなく使用できる。この炭化水素残
基の具体例としては、メチル、エチル、ブチル、2−エ
チルヘキシル、ラウリル、ステアリル、フェニル、及び
シクロヘキシル等が挙げられる。
【0042】また、本発明において、より高い選択率で
かつ高収率で目的とするスルフィド基含有メルカプトカ
ルボン酸エステルを生成することを目的として、アクリ
ル酸エステル誘導体へのジチオール化合物の一方のチオ
ール基の付加反応は、無機固体塩基または陰イオン交換
樹脂の存在下で行われることを必須とする。本発明の方
法は、触媒として使用される無機固体塩基や陰イオン交
換樹脂が固体塩基であるため、アミン等の均一系の触媒
に比して、触媒と反応生成物との分離が容易であるとい
う利点がある。
【0043】本発明において使用される陰イオン交換樹
脂としては、例えば、側鎖に第3級アミン構造を有する
弱塩基性陰イオン交換樹脂及び側鎖に第4級アンモニウ
ム塩構造を有する強塩基性陰イオン交換樹脂等の種々の
タイプのものが使用可能である。上記陰イオン交換樹脂
の土台となる合成樹脂としては、架橋によって不溶化さ
れたものであれば特に制限されない。例えば、ポリスチ
レン、ポリアクリルアミドやエポシキ樹脂等が挙げられ
る。本発明において使用できる陰イオン交換樹脂の具体
例としては、アンバーライト(Amberlite) IRAシリー
ズの陰イオン交換樹脂(ローム&ハース社(The Rohm &
Haas Company) 製商品);アンバーリスト(Amberlist)
A−21、A−26やA−27等の陰イオン交換樹脂
(ローム&ハース社(The Rohm & Haas Company) 製商
品);ダウエックス(Dowex) SBR、SARやMSR等
の陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル(Dow Chemical)製
商品);およびデュオライト(Duolite) Aシリーズの陰
イオン交換樹脂(住友化学株式会社製商品)などが挙げ
られる。
【0044】また、使用される無機固体塩基としては、
例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スト
ロンチウム及び酸化バリウム等のアルカリ土類金属酸化
物;水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウム等のアル
カリ土類金属水酸化物;酸化イットリウム及び酸化ラン
タン等の希土類金属の酸化物;ナトリウム等のアルカリ
金属でイオン交換されたY型ゼオライト、モルデナイト
型ゼオライト及びZSM−5様ゼオライト等のモレキュ
ラーシーブ類などの種々のタイプのものが使用可能であ
る。なお、これらの化合物は、一種を単独で使用しても
あるいは二種以上を混合して使用してもよい。上記した
無機固体塩基のうち、アルカリ土類金属の酸化物および
/またはアルカリ土類金属の水酸化物が好ましい。
【0045】上記無機固体塩基や陰イオン交換樹脂の使
用量は、使用する触媒の種類に応じて適宜決定される
、アクリル酸エステル誘導体に対して、0.01〜2
0重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。
【0046】本発明において、上記ジチオール化合物の
使用量は特に制限されず、アクリル酸エステル誘導体に
対して上記ジチオール化合物を過剰に用いることによ
り、アクリル酸エステル誘導体を高収率でかつ高選択的
に目的化合物に転化することができる。ただし、ジチオ
ール化合物をあまり過剰に(例えば、10モル倍を超え
て)使用しても、添加量に見合う効果が得られず、ま
た、反応後に回収するジチオール化合物の量が多くなる
ため、経済的に不利である。これに対して、アクリル酸
エステル誘導体の量に対して、ジチオール化合物の量が
極端に少ないと、ジチオール化合物の両方のチオール基
の水素原子がアクリル酸エステル誘導体で置換された化
合物(以下、「二付加体」と称する)が多量に生成し、
目的化合物である、一方のチオール基の水素原子のみが
アクリル酸エステル誘導体で置換された化合物(以下、
「一付加体」と称する)の収率が減少してしまう。した
がって、本発明では、ジチオール化合物を、アクリル酸
エステル誘導体1モルに対して、1モル以上、好ましく
は1〜10モル、より好ましくは1〜5モルの割合で用
いると、添加量に見合うだけの収率で目的化合物が得ら
れ、また、二付加体の収率を減らして一付加体の収率を
向上させることができるので好ましい。
【0047】本発明においては、無溶媒で反応を行うこ
ともできるが、本発明による反応が発熱反応であって反
応時に反応系から熱を除去する必要があるので、除熱の
効果を高めるために溶媒を用いることも可能である。こ
のような溶媒としては、反応に不活性でかつ原料を溶解
することができるものであれば特に制限されずに使用で
き、例えば、アセトニトリルやN,N−ジメチルホルム
アミド等の極性非プロトン化合物、ジオキサンやジエチ
レングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセ
トンやメチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサンやシ
クロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエンやキシレン
等の芳香族炭化水素、およびクロロホルムや四塩化炭素
等のハロゲン化アルキル化合物などの種々のものが使用
可能である。これらの溶媒は、単独で使用してもあるい
は2種類以上を混合して使用してもよい。また、溶媒を
使用する場合の溶媒の使用量は、通常、アクリル酸エス
テル誘導体に対して、重量比で、10倍以下であり、好
ましくは1〜5倍である。
【0048】本発明において、反応温度は特に制限され
ないが、反応温度があまり低いと反応速度が低下し、反
応が進行するのに時間がかかるため経済的ではない。ま
た、反応温度が高ぎると、アクリル酸エステル誘導体の
重合等の副反応が起こり、最終化合物の収率が低下して
しまい、好ましくない。このため、反応温度は、40〜
150℃であることが好ましい。
【0049】アクリル酸エステル誘導体とジチオール化
合物との反応方法は、特に制限されずにいずれの方法に
よって行われてもよい。例えば、これらの両原料を反応
器に一括して仕込んで反応させる方法や、いずれか一方
を反応系に逐次添加して反応させる方法がある。後者の
方法の場合では、過剰量のジチオール化合物へアクリル
酸エステル誘導体を逐次添加する方法が好ましい。これ
により、副反応であるジチオール化合物へのアクリル酸
エステル誘導体の二付加体の生成が抑制でき、目的生成
物の収率や選択性を高めることができる。さらに、アク
リル酸エステル誘導体の重合反応を防止し、安全に操作
を行うことができる点からも好ましい。この逐次添加方
法における添加は、連続的に行ってもよいし、あるいは
断続的に行ってもよい。
【0050】また、本発明における上記反応は、回分方
式、半回分方式及び連続方式のいずれの方式を採用して
行ってもよい。回分方式または半回分方式を採用して反
応を行う場合には、アクリル酸エステル誘導体およびジ
チオール化合物の供給方法は特に限定されるものではな
いが、アクリル酸エステル誘導体の重合を防ぐために
は、アクリル酸エステル誘導体を後で供給するのが好ま
しい。特に、半回分方式は、上述のような安全面の利点
のみでなく、二付加体生成反応を抑制し、目的化合物を
より高い選択性及び収率で得ることができる点からも好
ましい。また、連続方式のうち、連続槽型反応器で行う
場合には、例えば、濾過等の簡単な操作で反応液から触
媒を容易に分離することができる。また、反応を触媒を
充填した連続管型反応器で行う場合には、触媒分離工程
が不要となるので、出口より得られた反応液を、例え
ば、そのまま蒸留、再結晶または再沈殿等をすることに
より、目的化合物を得ることができる。
【0051】本発明において反応時間は特に制限されな
いが、例えば、回分方式あるいは半回分方式の場合に
は、1〜48時間の範囲が生産性の面から好適である。
【0052】上記した本発明の方法によりスルフィド基
含有メルカプトカルボン酸エステルが効率よく得られる
が、これらを酸触媒あるいは塩基触媒の共存下で加水分
解することによって、相当するスルフィド基含有メルカ
プトカルボン酸を得ることができる。特に、下記一般式
(4):
【0053】
【化14】
【0054】で表わされる化合物は、重合連鎖移動剤等
に工業的に広く使用できる有用な化合物である。
【0055】ただし、式中、R1 、R2 およびR3 はそ
れぞれ独立して水素原子またはメチル基等の炭素原子数
1〜4の低級アルキル基を表わし、nは繰り返しを表わ
す1〜5、好ましくは1〜3の整数である。
【0056】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明の範囲がこれらに限定されるもの
ではない。
【0057】実施例1 温度計、還流冷却器、窒素導入管、100ml滴下ロー
トおよび撹拌機が取り付けられた300mlの四つ口フ
ラスコ、ジチオール化合物としてエタン−1,2−ジチ
オール82.50g(0.878モル)、アセトン80
ml、アンバーリストIRA94S(洗浄及び乾燥した
もの)1.20gを仕込んだ。この混合物を、攪拌しな
がら70〜72℃に加熱し、反応中、この温度を維持す
るように制御した。滴下ロートにアクリル酸エステル誘
導体としてアクリル酸メチル37.80g(0.440
モル)を入れ、これを1.5時間にわたって滴下し、そ
の後さらに1.5時間そのまま攪拌し続けた。
【0058】反応終了後、生成物をガスクロマトグラフ
ィーにて分析を行なったところ、アクリル酸メチルの転
化率は100%であり、目的とするスルフィド基含有メ
ルカプトカルボン酸エステルである6−メルカプト−4
−チアヘキサン酸メチルがアクリル酸メチル基準で8
8.9%の収率であった。結果を表1に示す。
【0059】次に、上記の反応混合物を蒸留分離し、1
10〜111℃、8mmHgで、以下の一般式:
【0060】
【化15】
【0061】で示される6−メルカプト−4−チアヘキ
サン酸メチルを単離した。さらに、このようにして得ら
れた化合物を以下の方法により加水分解して、下記一般
式:
【0062】
【化16】
【0063】で示される6−メルカプト−4−チアヘキ
サン酸を得た。すなわち、まず、還流装置付き充填塔、
温度計および攪拌機を備えた300mlの4つ口フラス
コに、6−メルカプト−4−チアヘキサン酸メチル54
g(0.3モル、分子量180)、水180g(10モ
ル)および触媒として強酸性イオン交換樹脂(商品名:
ダウエックス650−H)5.4gを仕込んだ。そし
て、窒素雰囲気下、95〜100℃の反応温度で、一部
水と共にメタノールを留出させながら6時間反応を行っ
た。
【0064】反応は、初期にはメタノールの留出はなか
ったが、徐々に、反応の進行と共にメタノールが留出し
た。
【0065】反応終了後、得られた反応混合物を分析し
たところ、原料の6−メルカプト−4−チアヘキサン酸
メチル2.7gと、6−メルカプト−4−チアヘキサン
酸46.8gが含まれていた。これは、原料基準で反応
率95%であり、生成物の収率として94%にあたる。
【0066】上記反応基質の種類と使用量、溶媒、触
媒、反応条件および結果をまとめて表1に示す。
【0067】実施例2〜 実施例1において、反応基質の種類と使用量、溶媒、触
媒および反応条件を下記表1および2に記載したように
変えた以外は、実施例1と同様の反応を行った。その結
果を表1および2に示す。ただし、表中、基質a及びb
は下記式の通りである。
【0068】
【化17】
【0069】また、表中、触媒としての、「アンバ
ー」、「MgO」及び「NEt3 」は、それぞれ、「ア
ンバーリスト IRA 94S」、「酸化マグネシウ
ム」及び「トリエチルアミン」を表わす。さらに、表
中、「転化率」は、アクリル酸エステル誘導体の転化率
(%)を示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】表1及び2に示されるように、実施例1〜
7すべてにおいて、スルフィド基含有メルカプトカルボ
ン酸エステルが高収率で及び高選択的に得られた。
【0073】
【発明の効果】上述したように、請求項1に記載の方法
は、無機固体塩基または陰イオン交換樹脂の存在下で、
一般式:HS−R−SH(ただし、式中、Rは、炭化水
素残基、エーテル基含有炭化水素残基、またはスルフィ
ド基含有炭化水素残基を表わし、かつ、含有される炭素
原子数が2〜20である)で表わされるジチオール化合
物の一方のチオール基を、一般式:CH 2 =CR’CO 2
R”(ただし、式中、R’は水素原子または低級アルキ
ル基を表わし、およびR”は炭化水素残基を表わす)で
表わされるアクリル酸エステル誘導体に付加反応するこ
とからなる、下記一般式:
【0074】
【化18】
【0075】(ただし、式中、R,R’及びR”は上記
式における定義と同様である)で表わされるスルフィド
基含有メルカプトカルボン酸エステルの製造方法であ
る。
【0076】請求項2に記載のスルフィド基含有メルカ
プトカルボン酸エステルの製造方法は、請求項1の方法
において、前記ジチオール化合物は一般式:
【0077】
【化19】
【0078】(ただし、式中、R 1 およびR 2 はそれぞれ
独立して水素原子または低級アルキル基を表わし、nは
繰り返しを表わす1〜5の整数である)で表わされる方
法である。
【0079】請求項3に記載のスルフィド基含有メルカ
プトカルボン酸エステルの製造方法は、請求項1または
2に記載の方法において、前記ジチオール化合物を前記
アクリル酸エステル誘導体1モルに対して1モル以上の
量で用いることを特徴としている。
【0080】
【0081】
【0082】それゆえ、環境対策等のための処理用の多
大なエネルギーが不要になるので、スルフィド基含有メ
ルカプトカルボン酸エステルを効率的に製造でき、工業
上有利になるという効果を奏する。
【0083】請求項に記載のスルフィド基含有メルカ
プトカルボン酸の製造方法は、請求項1からのいずれ
かに記載の方法により得られるスルフィド基含有メルカ
プトカルボン酸エステルを加水分解する方法である。
【0084】請求項に記載のスルフィド基含有メルカ
プトカルボン酸の製造方法は、請求項の方法におい
て、前記スルフィド基含有メルカプトカルボン酸が一般
式:
【0085】
【化20】
【0086】(ただし、式中、R1 、R2 およびR3
それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表わ
し、nは繰り返しを表わす1〜5の整数である)で表わ
される方法である。
【0087】したがって、重合連鎖移動剤等に工業上広
く使用できる有用な化合物を提供することができるとい
う効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 323/00 C07C 319/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機固体塩基または陰イオン交換樹脂の
    存在下で、一般式:HS−R−SH(ただし、式中、R
    は、炭化水素残基、エーテル基含有炭化水素残基、また
    はスルフィド基含有炭化水素残基を表わし、かつ、含有
    される炭素原子数が2〜20である)で表わされるジチ
    オール化合物の一方のチオール基を、一般式:CH 2
    CR’CO 2 R”(ただし、式中、R’は水素原子また
    は低級アルキル基を表わし、およびR”は炭化水素残基
    を表わす)で表わされるアクリル酸エステル誘導体に付
    反応することを特徴とする、下記一般式: 【化1】 (ただし、式中、R,R’及びR”は上記一般式におけ
    る定義と同様である)で表わされるスルフィド基含有メ
    ルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 該ジチオール化合物一般式: 【化2】 (ただし、式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素
    原子または低級アルキル基を表わし、nは繰り返しを表
    わす1〜5の整数である)で表わされることを特徴とす
    る、請求項1に記載のスルフィド基含有メルカプトカル
    ボン酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 該ジチオール化合物を該アクリル酸エス
    テル誘導体1モルに対して1モル以上の量で用いること
    を特徴とする、請求項1または2に記載のスルフィド基
    含有メルカプトカルボン酸エステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1からのいずれかに記載の方法
    により得られるスルフィド基含有メルカプトカルボン酸
    エステルを加水分解することを特徴とするスルフィド基
    含有メルカプトカルボン酸の製造方法。
  5. 【請求項5】 該スルフィド基含有メルカプトカルボン
    一般式: 【化3】 (ただし、式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立し
    て水素原子または低級アルキル基を表わし、nは繰り返
    しを表わす1〜5の整数である)で表わされることを特
    徴とする、請求項に記載のスルフィド基含有メルカプ
    トカルボン酸の製造方法。
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