JPH06345749A - N−(メタ)アクリロイルモルホリンの製造方法 - Google Patents

N−(メタ)アクリロイルモルホリンの製造方法

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JPH06345749A
JPH06345749A JP5163279A JP16327993A JPH06345749A JP H06345749 A JPH06345749 A JP H06345749A JP 5163279 A JP5163279 A JP 5163279A JP 16327993 A JP16327993 A JP 16327993A JP H06345749 A JPH06345749 A JP H06345749A
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Keiichi Sakashita
啓一 坂下
Junichi Doi
純一 土居
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 (メタ)アクリル酸エノールエステルとモル
ホリンから一工程でN−(メタ)アクリロイルモルホリ
ンを製造する。 【構成】 式(I)で表される(メタ)アクリル酸エノ
ールエステルとモルホリンを反応させて式(II)のマイ
ケル付加物を生成させ、このマイケル付加物をアミン転
位させることによりα,β不飽和アミド(III)を生成
させることからなる、N−(メタ)アクリロイルモルホ
リンの製造方法。 [式中、R,RはH又はCHである]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はN−(メタ)アクリロイ
ルモルホリンの新しい製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決すべき課題】N,N−ジア
ルキル(メタ)アクリルアミドの合成法として以下の方
法が知られている。 (1)アクリル酸、メタクリル酸およびそのエステル、
アミドをアミンと反応させる場合、二重結合のマイケル
付加が起こりやすいので、これらの化合物を原料として
用いる場合は、アミンを2モル反応させた後、生成した
3−ジアルキルアミノ−(2−メチル)−N,N−ジア
ルキルプロピオンアミドを熱分解させてN,N−ジアル
キル(メタ)アクリルアミドを得る。(J.Am.Ch
em.Soc.74巻、6281,(1952)、特公
昭47−40777号公報、特公昭48−31086号
公報、特開昭58−18346号公報、特開昭61−1
45151号公報、特開平−208258号公報)
【0003】(2)また、アクリル酸、メタクリル酸の
二重結合へのマイケル付加を抑えるために最初にアクリ
ル酸、メタクリル酸およびそのエステルをシクロペンタ
ジエンとのDiels−Alder反応で付加体を形成
させて二重結合を保護した後、強塩基性触媒の存在下ア
ミンと反応させてアミドに導いた後、熱分解によりシク
ロペンタジエンを除去して相当する(メタ)アクリルア
ミド誘導体を得る。(特開昭49−66625号公報、
特開昭63−179851号公報) (3)β−アルコキシ置換カルボン酸アミドからアルコ
ールを脱離させ、N−置換不飽和カルボン酸アミドを得
る。(特開平2−304071号公報) (4)さらに、N−(メタ)アクリロイルモルホリンの
製造方法としては、アクリルアミドを強塩基性物質存在
下、極性非プロトン性溶媒中でハロゲン置換化合物と反
応させN,N−ジアルキルアクリルアミド誘導体を得る
方法(特開平1−287078号公報)
【0004】しかしながら、(1)の方法ではアミンを
2倍モル使用するのでアミンの回収工程が必要であり、
また、熱分解の反応速度が遅いため、高温、長時間とい
う過酷な反応条件が必要であり、生成するN,N−ジア
ルキル(メタ)アクリルアミドの重合、各種副反応の増
加による収率の低下が避けられない。(2)の方法で
は、保護基の導入、アミド化、脱保護基という3つの工
程となるため、工程全体が複雑化し、操作性において優
れているとは言い難い。また、高温で保護基を脱離させ
るので重合の危険性が大きい。(3)の方法では、β−
アルコキシ置換カルボン酸に誘導してから脱アルコール
しなければならず、工程数が増大する。また、(4)の
方法では取扱いの面倒な強塩基性物質を使用しなければ
ならない等、優れた方法とは言い難い。
【0005】そこで本発明は、(メタ)アクリル酸エノ
ールエステルと、モルホリンから反応工程途中で保護基
の導入とか、脱保護反応を必要としない一工程でN−
(メタ)アクリロイルモルホリンを製造する方法を提供
しようとするものである。
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(I)
で表わされる(メタ)アクリル酸エノールエステルと、
【化4】 モルホリンとを反応させて一般式(II)で表されるマイケ
ル付加物を生成させ、
【化5】 次いでこのマイケル付加物(II)よりアミンを転位させて
α、β不飽和アミド (III)
【化6】 を生成させることを特徴とするN−(メタ)アクリロイ
ルモルホリンの製造方法にある。
【0006】本発明は、一般式(I)で表わされる(メ
タ)アクリル酸エノールエステルとモルホリンを1:1
のモル比で反応させ、生成したマイケル付加物である3
−モルホリノ−プロピオン酸エノールエステルを製造し
た後、これを処理することによってN−(メタ)アクリ
ロイルモルホリンを得る方法である。
【0007】一般に、ジアルキルアミンと(メタ)アク
リル酸エステルとの反応によりN,N−ジアルキル(メ
タ)アクリルアミドを合成する場合には、マイケル付加
が圧倒的優勢に起こるため、ジアルキルアミンと(メ
タ)アクリル酸エステルを1:1のモル比で反応させた
場合、3−(N,N−ジアルキルアミノ)−(2−メチ
ル)プロピオン酸エステルが高収率で生成し、N,N−
ジアルキル(メタ)アクリルアミドを得ることは困難で
ある。このためジアルキルアミンを2モル反応させて、
N,N−ジアルキル−3−(N,N−ジアルキルアミ
ノ)−(2−メチル)プロピオンアミドを製造後、熱に
よる逆マイケル付加反応で、N,N−ジアルキル(メ
タ)アクリルアミドを合成するという方法をとらざるを
えない。しかしながら、この方法は、高温で長時間加熱
という過酷な条件が必要であり、かつ収率が低いという
欠点があった。
【0008】一方、エノールエステルは、アシル基とビ
ニロキシ基の結合が切断しやすいので、無触媒あるいは
硫酸等の酸性条件下でアミンときわめて温和な条件で反
応して相当するアミドを生成する。(Industri
al&Engineering Chem.41巻、2
920(1949)、USP2472633号明細書)
【0009】そこで本発明者らは、N−(メタ)アクリ
ロイルモルホリンを合成するに際し、式(I)で表わさ
れる(メタ)アクリル酸エノールエステルとモルホリン
を用いる方法について鋭意検討し、以下の事実を見いだ
し本発明を完成した。
【0010】(メタ)アクリル酸エノールエステルとホ
スホリンを等モル混合し、0℃〜30℃で反応させる
と、高収率でマイケル反応付加物である3−モルホリノ
−(2−メチル)プロピオン酸エノールエステル(式(I
I))が生成するが、おどろくべきことに、この化合物を
100〜200℃で熟成したり、溶媒中、酸性触媒又は
塩基性触媒の存在下に処理することによりモルホリノ基
が転位してN−(メタ)アクリロイルモルホリンが生成
した。このマイケル付加物からのモルホリノ基の転位
は、通常の(メタ)アクリル酸エステルを用いた場合こ
れらの反応条件では起らない。
【0011】本発明は、N−(メタ)アクリロイルモル
ホリンの製造において(メタ)アクリル酸のエノールエ
ステルを用いることを特徴としている。本発明方法は、
従来のN−(メタ)アクリロイルモルホリンの製造方法
に比べ次の利点を有している。
【0012】(1)モルホリンの仕込量は、(メタ)ア
クリル酸エノールエステルと等モルでよい。従来のモル
ホリンを(メタ)アクリル酸エステルに対して2倍モル
使用して、2モル付加体を製造した後、モルホリンの脱
離をおこなってN−(メタ)アクリロイルモルホリンを
合成する方法では、モルホリンの回収工程が必要であっ
たが、本発明方法では、モルホリンの回収は不要であ
り、操作性において優れている。
【0013】(2)マイケル付加物を熟成する際、比較
的低温でモルホリンの転位が起こる。このため、液相反
応として工業的に実施可能である。従来の(メタ)アク
リル酸エステルからモルホリンを2モル付加させてから
モルホリンを1モル脱離させる方法では通常200℃以
上の高温が必要であり、場合によっては気相反応にな
る。
【0014】次に、本発明の製造条件について説明す
る。(メタ)アクリル酸エノールエステルとモルホリン
の反応は、無溶媒でモルホリン中に(メタ)アクリル酸
エノールエステルを添加しても、(メタ)アクリル酸エ
ノールエステル中にモルホリンを添加してもよく、また
溶媒の存在下で同様に反応させることもできる。(メ
タ)アクリル酸エノールエステルとモルホリンの仕込み
モル比は1〜1.2:1の範囲でよく、好ましくは1:
1である。
【0015】溶媒としては、基本的にモルホリン及び
(メタ)アクリル酸エノールエステルと反応しないもの
であれば何れも使用できる。特に好ましい溶媒は、トル
エン、キシレン、クメン等の高沸点炭化水素である。反
応温度は0〜90℃の間で任意に設定できるが、マイケ
ル付加反応が発熱反応であることや、高温では(メタ)
アクリル酸エノールエステルが重合する危険性があるこ
とを考慮すると、0〜70℃の範囲で実施することが好
ましい。
【0016】一般式(II)で表わされる(2−メチル)−
モルホリノプロピオン酸エノールエステルからN−(メ
タ)アクリロイルモルホリンへの転換は、無触媒あるい
は酸性、または塩基性触媒の存在下に無溶媒あるいは溶
媒で希釈した状態で実施できる。無触媒の場合、反応温
度は100〜200℃の間である。100℃以下では熱
反応の効率が悪く、200℃以上では重合の危険性が高
くなる。
【0017】溶媒を使用する場合、沸点が反応温度より
高く、モルホリンや(2−メチル)−3−モルホリノプ
ロピオン酸エノールエステルと反応しない溶媒であれば
何れのものでもよい。特に好ましい溶媒としては、トル
エン、キシレン、クメン等の高沸点炭化水素である。
【0018】触媒を用いる反応では、酸性または塩基性
触媒何れも使用できる。酸性触媒としては、硫酸、塩
酸、硝酸などの無機酸類、パラトルエンスルホン酸、酢
酸などの有機酸類、イオン交換樹脂などの固体酸類、あ
るいは塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのルイス酸が挙
げられる。また、塩基性触媒としてはピリジン、ジメチ
ルアミノピリジンなどの三級アミン、三級アミノ基を有
するイオン交換樹脂などが挙げられる。特に好ましいも
のとしては、酢酸、硝酸である。
【0019】触媒を用いる反応では、反応温度は30〜
170℃の間で任意に設定できるが、好ましい反応温度
は40〜100℃である。これらの転換反応中、副生す
るアセトアルデヒド、アセトンなどのエノールアルコー
ル異性化物は反応温度がこれらの化合物の沸点以上であ
る場合には蒸留により除去することも可能であるが、必
要に応じて亜硫酸水素ナトリウムを加えて反応液中から
除去することも可能である。
【0020】反応終了液からのN−(メタ)アクリロイ
ルモルホリンの取り出しは、反応液中からそのまま蒸留
によって取り出すか、あるいは反応液から溶媒抽出した
後に蒸留して取り出しても良い。蒸留にあたっては、N
−(メタ)アクリロイルモルホリンの重合を防止するた
め、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、N−フ
ェニル−N′−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェ
ニレンジアミン(大内新興化学(株)製、商品名ノクラ
ック6C)等を添加してもよい。
【0021】本発明によって製造されるN−(メタ)ア
クリロイルモルホリンは、低粘度、低一次皮膚刺激率と
いう優れた性質をもち、紫外線−電子硬化塗料用希釈モ
ノマーとして広い用途が期待される有用な化合物であ
る。
【0022】
【実施例】次に、実施例をもって本発明を具体的に説明
する。実施例において「部」とあるのは重量部を意味す
る。 実施例1 撹はん機、滴下ロート、温度計、ジムロート冷却管を備
えたガラスフラスコにアクリル酸ビニル19.62部
(0.2mol)、重合防止剤として商品名「ノクラッ
ク6C」を0.04部仕込み、これに空冷下、モルホリ
ン17.42部(0.2mol)を30分かけて滴下し
た。滴下中、反応液は発熱によって、66℃まで液温が
上昇した。この反応液を20分かけて150℃まで昇温
し、同温度にて4時間熟成した。その後、反応液を冷却
し、高速液体クロマトグラフィーにてN−アクリロイル
モルホリンを定量した。反応によって生成したN−アク
リロイルモルホリンの収率は仕込んだモルホリンに対し
て26.1%であった。
【0023】実施例2 撹はん機、滴下ロート、温度計、ジムロート冷却管を備
えたガラスフラスコに、モルホリン8.71部(0.1
mol)重合防止剤として商品名「ノクラック6C」を
0.02部、溶媒としてキシレン19.62部を仕込
み、128℃まで昇温させた。同温度にてアクリル酸ビ
ニル9.81部を20分かけて滴下した。続いて反応液
を同温度にて10時間熟成した。その後、反応液を冷却
し、高速液体クロマトグラフィーにてN−アクリロイル
モルホリンを定量した。反応によって生成したN−アク
リロイルモルホリンの収率は仕込んだモルホリンに対し
て29.1%であった。
【0024】
【発明の効果】本発明の方法によれば、(メタ)アクリ
ル酸エノールエステルに対して等モルのモルホリンの使
用によりN−(メタ)アクリロイルモルホリンを合成す
ることができ、また、マイケル付加を抑制するための保
護基の導入や脱保護反応が不要の一工程での反応であり
比較的低温で実施できるため、きわめて簡便なN−(メ
タ)アクリロイルモルホリンの合成方法である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 で表される(メタ)アクリル酸エノールエステルと、モ
    ルホリンとを反応させて一般式(II) 【化2】 で表されるマイケル付加物を生成させ、次いでこのマイ
    ケル付加物(II)よりアミンを転位させてα、β不飽和ア
    ミド (III) 【化3】 を生成させることを特徴とするN−(メタ)アクリロイ
    ルモルホリンの製造方法。
  2. 【請求項2】 (メタ)アクリル酸エノールエステルと
    モルホリンの仕込みモル比が1〜1.2:1である請求
    項1の製造方法。
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