JP3082549B2 - 支持フィルム付きセラミックグリーンシートの製造方法 - Google Patents

支持フィルム付きセラミックグリーンシートの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばセラミック電子
部品の製造方法において用いられるセラミックグリーン
シートの製造方法に関し、特に、合成樹脂等からなる支
持フィルムで支持されたセラミックグリーンシートの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1を参照して、従来のセラミックグリ
ーンシートの製造方法の一例を説明する。
【0003】図1(a)に示すように、まずロール1か
ら、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等か
らなる支持フィルム2を繰り出す。次に、支持フィルム
2を、槽3内のセラミックスラリー4に浸漬する。さら
にセラミックスラリー4から支持フィルム2を引き上げ
ることによりセラミックスラリーを支持フィルム2の両
面に付着させ、乾燥することにより、支持フィルム2の
両面にセラミックグリーンシート5,6を成形する。
【0004】この方法では、図1(b)に示すように、
支持フィルム2の両面にセラミックグリーンシート5,
6を成形した後、セラミックグリーンシート5,6を支
持フィルム2から剥離する。すなわち、ローラー7,8
間において、セラミックグリーンシート5,6を、支持
フィルム2と剥離する。従って、セラミックグリーンシ
ート5,6は、以後の工程、すなわち内部電極の印刷、
セラミックグリーンシートの打ち抜き等の工程に供され
る。
【0005】近年、積層コンデンサ等のセラミック電子
部品では、より一層の小型化が求められており、かつ積
層コンデンサにおいてはより高容量のものが求められて
いる。従って、厚みの薄いセラミックグリーンシートが
求められている。厚みの薄いセラミックグリーンシート
は機械的強度が低いため、取り扱いに注意を払わねばな
らず、支持フィルムによって支持された状態でなければ
取り扱いが困難になる場合がある。
【0006】よって、図1に示した製造方法では、各セ
ラミックグリーンシート5,6は、支持フィルムに支持
されていない状態で用意されるため、セラミックグリー
ンシートの薄肉化に対応することが困難であった。
【0007】他方、積層コンデンサの製造効率を高める
ために、支持フィルム上においてロールコータを用いて
セラミックグリーンシートを成形し、しかる後支持フィ
ルム上に支持された状態のまま搬送し、乾燥工程、内部
電極の印刷工程等を実施する方法が提案されている。こ
のような方法によれば、セラミックグリーンシートの厚
みが薄くなった場合でも対応可能である。
【0008】しかしながら、例えばセラミックスラリー
が水を溶剤とする場合、すなわち含有されているバイン
ダとして水溶性のものを用い、溶剤として水もしくは水
溶液を用いた場合には、上記のような製造方法を採用す
ることができない場合があった。なぜならば、この種の
水系スラリーは通常粘性が低いため、ロールコータによ
り成形することが困難となるからである。
【0009】従って、上記水系スラリーを用いてセラミ
ックグリーンシートを得る場合には、図1(a)に示し
たセラミックグリーンシートの製造方法を用いざるを得
ず、グリーンシートの取り扱いが困難で薄肉化できなか
った。
【0010】本発明の目的は、セラミックグリーンシー
トの薄肉化に対応することが容易であり、かつ水系スラ
リーを用いてセラミックグリーンシート得る場合であっ
ても支持フィルムに裏打ちされたセラミックグリーンシ
ートを効率よく得ることを可能とする支持フィルム付き
セラミックグリーンシートの製造方法を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも両
面が粘着性を有する長尺状の粘着層の両面に支持フィル
ムを貼り合わせてなる支持体を用意し、前記支持体の両
面上にセラミックグリーンシートを成形し、一方の支持
フィルムに支持されているセラミックグリーンシートを
支持フィルムごと、前記粘着層から剥離することによ
り、支持フィルムで支持されたセラミックグリーンシー
ト一対を得ることを特徴とする、支持フィルム付きセラ
ミックグリーンシートの製造方法である。
【0012】
【作用及び発明の効果】本発明の製造方法では、粘着層
の両面に位置している支持フィルム上においてセラミッ
クグリーンシートが成形される。すなわち、支持フィル
ムに支持されたセラミックグリーンシートが一対用意さ
れることになる。そして、支持フィルムに支持されたセ
ラミックグリーンシートの一方が、支持フィルムごと上
記粘着層から剥離されて、他方の支持フィルムに支持さ
れたセラミックグリーンシートと分離されることにな
る。
【0013】従って、例えば図1に示した製造方法のよ
うに、セラミックスラリーが貯溜された槽内に支持体を
浸漬することによって、支持フィルムに支持されたセラ
ミックグリーンシートを効率よく得ることができる。す
なわち、使用するセラミックスラリーの種類の如何に関
わらず、かつセラミックグリーンシートの成形方法の如
何に関わらず、支持フィルムに支持されたセラミックグ
リーンシートを効率よく得ることが可能となる。
【0014】よって、例えば図1に示したセラミックグ
リーンシート製造方法を用い、さらに引続き、支持フィ
ルムに支持された状態で内部電極材料の印刷等の工程に
支持フィルムに支持されたままのセラミックグリーンシ
ートを供給することができるので、セラミック積層電子
部品の製造工程を簡略化することも可能となる。
【0015】加えて、セラミックグリーンシートが支持
フィルムに支持された状態で供給されるため、セラミッ
クグリーンシートの薄肉化にも容易に対応することがで
きる。
【0016】
【実施例の説明】以下、図面を参照しつつ実施例を説明
することにより、本発明を明らかにする。図2及び図3
は、本発明の一実施例に係る支持フィルム付きセラミッ
クグリーンシート製造方法を説明するための各断面図で
ある。
【0017】本実施例では、まず、図3に示す支持体1
1を用意する。支持体11は、両面粘着テープ12の両
面に第1,第2の支持フィルム13,14を貼り合わせ
た構造を有する。両面粘着テープ12は、本発明の粘着
層を構成するものであるが、両面粘着テープ12に代え
て、再剥離性を有するアクリル系粘着剤等からなる粘着
剤層を支持フィルム13,14間に介在させてもよい。
【0018】上記第1,第2の支持フィルム13,14
としては、従来よりセラミックグリーンシートを支持す
るのに用いられている適宜の材料、例えばポリプロピレ
ンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の
合成樹脂フィルムを用いることができる。
【0019】図3では支持体11の一部のみを示してい
るが、上記支持体11は、ある程度の長さを有する長尺
状の形状とされている。本実施例では、上記支持体11
の両面にセラミックグリーンシートが成形される。この
セラミックグリーンシート成形方法としては、任意の方
法を採用することができる。例えば、図4に示すよう
に、支持体11が巻回されているロール15から支持体
11を繰り出し、槽17内に貯溜されているセラミック
スラリー16に浸漬し、セラミックスラリー16から引
き上げることにより支持体11の両面にセラミックスラ
リーを所定の厚みに付着させてセラミックグリーンシー
トを形成することができる。
【0020】なお、図4において、18及び19はロー
ラーを示し、支持体11の方向を変更するために配置さ
れている。このようなセラミックスラリー16に浸漬
し、引き上げることによりセラミックグリーンシートを
成形する方法は、例えば水を溶剤とする等、比較的粘性
の低いセラミックスラリーを用いてセラミックグリーン
シートを成形する場合に好適に用いることができる。
【0021】上記のようにして、図2に示すように、支
持体11の両面に第1,第2のセラミックグリーンシー
ト20,21が成形される。次に、剥離用のローラー2
2,23間において、第1の支持フィルム13に支持さ
れているセラミックグリーンシート20を、第1の支持
フィルム13ごと、両面粘着テープ12から剥離し、ロ
ール24に巻取る。
【0022】他方、第2のセラミックグリーンシート2
1については、両面粘着テープ12、第2の支持フィル
ム14とともにローラー25側に走行させ、さらに剥離
用のローラー26,27間において両面粘着テープ12
を剥離する。両面粘着テープ12は、ローラー28を介
して走行方向が変えられ、ロール29に巻き取られる。
巻き取られた両面粘着テープ12は、再度支持体11を
構成するのに用いることができる。すなわち、両面粘着
テープ12は、再使用可能である。
【0023】他方、第2の支持フィルム14に支持され
ている第2のセラミックグリーンシート21は、ロール
30に巻き取られ、それによって第2の支持フィルム1
4に支持された第2のセラミックグリーンシート21
が、第1の支持フィルム13に支持された第1のセラミ
ックグリーンシート20と同様に、巻回体として用意さ
れる。
【0024】上記のようにして支持フィルムに支持され
たセラミックグリーンシートを巻回されたロール24,
30を一対得ることができ、これらのロールからセラミ
ックグリーンシートをその後の工程に供給し、セラミッ
ク電子部品の製造方法に供することができる。その結
果、厚みの薄いセラミックグリーンシートを確実にかつ
安定に供給することが可能となる。
【0025】上記実施例では、セラミックグリーンシー
トの成形方法として、セラミックスラリー16に支持体
11を浸漬し、引き上げ、かつ乾燥する方法を示した
が、これに代えて図5に示すように、ドクターブレード
31を用い、支持体11の一方面にドクターブレード法
によりセラミックグリーンシートを成形し、さらに他方
面に同じくドクターブレード法によりセラミックグリー
ンシートを成形してもよい。あるいは、ロールコータを
用い、支持体11の両面にセラミックグリーンシートを
成形してもよい。これらの場合には溶剤として水を用い
た水系スラリー以外のセラミックスラリーを用いて支持
体11の両面にセラミックグリーンシート成形すること
ができることはいうまでもない。
【0026】また、図2に示した実施例では、支持フィ
ルムに支持されたセラミックグリーンシートが、最終的
にロール24,30に巻回されていたが、支持フィルム
に支持されたセラミックグリーンシートを一対得た後に
は、必ずしもロールに巻回する必要はない。すなわち、
図6に第1の支持フィルム13に支持された第1のセラ
ミックグリーンシート20を代表して示すように、図2
のローラー22の後段に、さらに内部電極印刷装置34
及び乾燥機35等を配置しておき、支持フィルム13に
支持されたセラミックグリーンシート20を、そのまま
走行させつつ、連続的にセラミックグリーンシート20
の内部電極の印刷、乾燥等の以後の工程を実施してもよ
い。同様に、第2の支持フィルム14に支持されている
第2のセラミックグリーンシート21についても、同様
に、内部電極の印刷、乾燥等の工程を連続的に実施する
ことができる。
【0027】すなわち、図1に示した従来法では、セラ
ミックグリーンシートが支持フィルムで裏打ちされずに
単独で用意されていたため、このような連続的なセラミ
ック電子部品の製造方法にセラミックグリーンシート5
を利用することができなかったのに対し、本実施例の方
法では、第1,第2のセラミックグリーンシート20,
21の何れをも、上記連続的なセラミック電子部品の製
造方法に利用することができる。よって、セラミック電
子部品の製造効率を効果的に高めることができる。
【0028】なお、図2に示した実施例では、粘着層を
構成する両面テープ12を第2の支持フィルム14から
剥離していたが、両面粘着テープ12は、第2の支持フ
ィルム14に貼り合わせたままであってもよい。同様
に、両面粘着テープ12に代えて再剥離性粘着剤を用い
て粘着層を構成した場合であっても、第2の支持フィル
ム14側に該粘着層が付与されたままで以後の工程に第
2の支持フィルム14に支持されている第2のセラミッ
クグリーンシート21を供給してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、それぞれ、従来のセラミ
ックグリーンシートの製造方法の一例を説明するための
模式図及び断面図。
【図2】本発明の一実施例の支持フィルム付きセラミッ
クグリーンシートの製造方法を説明するための断面図。
【図3】支持体を説明するための部分切欠断面図。
【図4】セラミックグリーンシートの成形方法の一例を
説明するための模式図。
【図5】セラミックグリーンシートの成形方法の他の例
を説明するための模式図。
【図6】支持フィルム付きセラミックグリーンシートを
用いて連続的に各工程を実施する方法を説明するための
断面図。
【符号の説明】
11…支持体 12…粘着層を構成する両面粘着テープ 13,14…第1,第2の支持フィルム 20,21…第1,第2のセラミックグリーンシート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−159966(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 4/00 - 4/40 H01G 13/00 - 13/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも両面が粘着性を有する長尺状
    の粘着層の両面に支持フィルムを貼り合わせてなる支持
    体を用意し、 前記支持体の両面上にセラミックグリーンシートを成形
    し、 一方の支持フィルムに支持されているセラミックグリー
    ンシートを支持フィルムごと、前記粘着層から剥離する
    ことにより、支持フィルムで支持されたセラミックグリ
    ーンシート一対を得ることを特徴とする、支持フィルム
    付きセラミックグリーンシートの製造方法。
JP05332371A 1993-12-27 1993-12-27 支持フィルム付きセラミックグリーンシートの製造方法 Expired - Lifetime JP3082549B2 (ja)

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