JP3081735B2 - ケーブル被覆材の劣化診断方法 - Google Patents
ケーブル被覆材の劣化診断方法Info
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Description
被覆材の劣化程度を診断する方法に関し、特に原子力発
電所関連設備に布設されたケーブル被覆材の熱及び放射
線劣化を、非破壊方式で知見するための方法に関するも
のである。
々な要因によって経年劣化し、電気絶縁性が低下する。
このような劣化はケーブルの布設環境雰囲気が大きく影
響し、例えば原子力発電所関連設備等に布設されたケー
ブルでは、熱や放射線が劣化要因になることが多い。
ル被覆材の劣化診断を行う方法として、直流漏れ電流法
等の電気的診断法があるが、ケーブル構造上かかる電気
的診断法が採用できない場合がある。この場合、活線絶
縁診断は実質的に不可能であるので、布設ケーブルを回
収した後に被覆材を破壊的にサンプリングし、そのサン
プリングした試料を分析して劣化程度を判定するのが一
般的であった。
覆材の劣化診断を行うにあたり、破壊的なサンプリング
を行うことなく、布設状態のままケーブル被覆材の劣化
程度を非破壊的に知見し得る方法を提供することを課題
とする。
の劣化診断方法は、布設状態にあるケーブル被覆材中へ
超音波を伝搬させて超音波伝搬速度を検出し、この検出
結果を予め求めておいた該被覆材の劣化による破断伸び
率の変化と超音波伝搬速度の変化との相関関係に当ては
めることで、劣化程度を知見することを特徴とするもの
である。
よる劣化診断におけるサンプリング試料の分析法とし
て、引張り試験から求める破断伸び率が劣化程度を検知
する有用な手段の一つであることをまず見出した。すな
わち、被覆材の劣化が進行するほど、破断伸び率が低下
するものである。そしてこの破断伸び率の変化が、試料
中を伝搬する超音波速度と関連付けられることを見出し
た。本発明はかかる知見に基づいてなされたものであ
る。
き詳細に説明する。本発明の劣化診断方法を実施するに
際しては、超音波の発信及び受信を行う探触子(プロー
ブ)と、前記プローブにおける超音波の送信から受信ま
での時間を計測し得る装置を準備する。
Pを布設状態にあるケーブル1の被覆材12の外周面の
適宜箇所に取着し、プローブPの超音波発信子Sから超
音波をケーブル1の導体11に向けて送信し、被覆材1
2中を伝搬し被覆材内面で反射した超音波を受信子Rで
受信させる。このとき、被覆材12の劣化による破断伸
び率の変化に基づいて、被覆材12中の超音波伝搬速度
が健全時と比べて変化し、かつその変化は劣化の程度に
応じたものとなる。従って、超音波を発信子Sから送信
してから受信子Rで受信するまでの時間と、被覆材12
の厚さとから、被覆材12中の超音波伝搬速度を求める
ことにより、劣化程度を知見できるものである。
に制限はなく、各種の有機被覆材料に適用可能であり、
例えばエチレン・プロピレンゴム(EPゴム)、シリコ
ンゴム、ブチルゴム、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、
ポリクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンエチルア
クリレート等の被覆材を例示できる。とりわけEPゴム
被覆材は、劣化度合に対する超音波伝搬速度の変化が他
の材料よりも大きく、好ましい診断対象である。
れたケーブルの被覆材は、主に布設環境に存在する熱や
放射線が劣化要因となるが、かかる要因による被覆材の
劣化度合いは、そのケーブルを回収して解体し被覆材を
ダンベル片に打ち抜いて測定した破断伸び率に顕著に現
れる。すなわち、劣化が進行した被覆材は破断伸び率が
著しく低下し、健全時の1/3〜1/10程度まで低下
する。従って、破断伸び率の低下に基づく超音波伝搬速
度の変化から劣化程度を知見する本発明の劣化診断方法
は、上記の原子力発電所関連設備に布設されたケーブル
に好適に適用できる。
の実験を行った。 (実験例1:熱・放射線同時劣化)厚さが約1.2mmの
EPゴムシートを試料とし、これら試料にそれぞれ表1
に示す放射線と熱とを所定時間加え、放射線劣化と熱劣
化とを同時に試料に与えた。上記の試料を平板上に載置
し、その上にカップリング液を少量塗布し、超音波厚さ
計(日本マテック社製『エコノメーター1060』)の
超音波プローブを試料に押し付けることにより、各試料
中の超音波伝搬速度を測定した。なお、超音波伝搬速度
は各試料につき5回測定し、その平均値をもって伝搬速
度とした。また、測定時の環境温度は30℃一定とし
た。
れダンベル片を打ち抜き、このダンベル片の両端を挟持
して相対する方向に引っ張ることにより、破断伸び率を
それぞれの試料につき測定した。これらの結果を表1に
示す。また上記した超音波伝搬速度と破断伸び率との関
係を図2に示す。
クロロスルホン化ポリエチレンシートを試料とし、これ
ら試料にそれぞれ表2に示す熱を所定時間加え、試料に
熱劣化を与えた。この試料の超音波伝搬速度を上記実験
例1と同様にして求めた。なお、測定時の環境温度は4
0℃一定とした。また実験例1と同様にして破断伸び率
をそれぞれの試料につき測定した。これらの結果を表2
に示す。また上記した超音波伝搬速度と破断伸び率との
関係を図3に示す。
ポリ塩化ビニルシートを試料とし、これら試料にそれぞ
れ表3に示す放射線を所定時間照射し、試料に放射線劣
化を与えた。この試料の超音波伝搬速度を上記実験例1
と同様にして求めた。なお、測定時の環境温度は20℃
一定とした。また実験例1と同様にして破断伸び率をそ
れぞれの試料につき測定した。これらの結果を表3に示
す。また上記した超音波伝搬速度と破断伸び率との関係
を図4に示す。
の進行度合いに伴う試料中の超音波伝搬速度の変化と、
別途測定した劣化の進行度合いに伴う破断伸び率の低下
との間には相関関係が認められた。
覆材の劣化診断方法によれば、ケーブル被覆材の劣化程
度を、ケーブルを解体することなく布設状態のまま、す
なわち非破壊で知見することができる。また超音波伝搬
速度は、劣化の程度に応じて変動するので、ケーブル寿
命の予見も行い得、絶縁破壊に至る前にケーブルの張り
替え等の処置の必要性を知見できるなど、本発明は優れ
た効果を奏するものである。
するための断面図である。
ラフ図である。
ラフ図である。
ラフ図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 布設状態にあるケーブル被覆材中へ超音
波を伝搬させて超音波伝搬速度を検出し、この検出結果
を予め求めておいた該被覆材の劣化による破断伸び率の
変化と超音波伝搬速度の変化との相関関係に当てはめる
ことで、劣化程度を知見することを特徴とするケーブル
被覆材の劣化診断方法。 - 【請求項2】 上記ケーブルが、放射線環境下に布設さ
れたケーブルである請求項1記載のケーブル被覆材の劣
化診断方法。 - 【請求項3】 上記ケーブルが、エチレン・プロピレン
ゴムを被覆材とするケーブルである請求項1記載のケー
ブル被覆材の劣化診断方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05202657A JP3081735B2 (ja) | 1993-07-23 | 1993-07-23 | ケーブル被覆材の劣化診断方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05202657A JP3081735B2 (ja) | 1993-07-23 | 1993-07-23 | ケーブル被覆材の劣化診断方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0735733A JPH0735733A (ja) | 1995-02-07 |
JP3081735B2 true JP3081735B2 (ja) | 2000-08-28 |
Family
ID=16460985
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05202657A Expired - Fee Related JP3081735B2 (ja) | 1993-07-23 | 1993-07-23 | ケーブル被覆材の劣化診断方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3081735B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999027360A1 (fr) * | 1997-11-21 | 1999-06-03 | Mitsubishi Cable Industries, Ltd. | Procede et dispositif de diagnostic de la deterioration d'un article presentant au moins une couche de couverture en materiau polymere organique |
-
1993
- 1993-07-23 JP JP05202657A patent/JP3081735B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0735733A (ja) | 1995-02-07 |
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