JP3081734B2 - ケーブル被覆材の劣化診断装置 - Google Patents

ケーブル被覆材の劣化診断装置

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JP3081734B2 JP05202656A JP20265693A JP3081734B2 JP 3081734 B2 JP3081734 B2 JP 3081734B2 JP 05202656 A JP05202656 A JP 05202656A JP 20265693 A JP20265693 A JP 20265693A JP 3081734 B2 JP3081734 B2 JP 3081734B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は布設状態にあるケーブル
被覆材の劣化程度を診断するための装置に関し、特に原
子力発電所関連設備に布設されたケーブル被覆材の熱及
び放射線劣化を、非破壊方式で知見するための装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ケーブルの有機被覆材料(絶縁体)は様
々な要因によって経年劣化し、電気絶縁性が低下する。
このような劣化はケーブルの布設環境雰囲気が大きく影
響し、例えば原子力発電所関連設備等に布設されたケー
ブルでは、熱や放射線が劣化要因になることが多い。
【0003】従来、布設状態(活線状態)にあるケーブ
ル被覆材の劣化診断を行う方法として、直流漏れ電流法
等の電気的診断法があるが、ケーブル構造上かかる電気
的診断法が採用できない場合がある。この場合、活線絶
縁診断は実質的に不可能であるので、布設ケーブルを回
収した後に被覆材を破壊的にサンプリングし、そのサン
プリングした試料を分析して劣化程度を判定するのが一
般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ケーブル被
覆材の劣化診断を行うにあたり、破壊的なサンプリング
を行うことなく、布設状態のままケーブル被覆材の劣化
程度を非破壊的に知見し得る装置を提供することを課題
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のケーブル劣化診
断装置は、布設状態にあるケーブル被覆材中を伝搬する
超音波速度の変化から被覆材の劣化程度を知見するため
の装置であって、超音波の送信及び受信を行なう探触子
と、超音波の送信から受信までの時間と供試ケーブルの
被覆材厚さとから被覆材中の超音波伝搬速度を算出する
演算部と、予め設定した判定基準となる超音波伝搬速度
と計測した超音波伝搬速度とを対比し、この対比結果を
予め求めておいた劣化の進行度合いに伴う当該被覆材中
の超音波伝搬速度の変化と破断伸び率の変化との相関関
係に当てはめることで、供試ケーブルの劣化程度を推定
する判定部とを備えることを特徴とするものである。
【0006】
【作用】本発明者らは、上述の破壊的サンプリング法に
よる劣化診断におけるサンプリング試料の分析法とし
て、引張り試験から求める破断伸び率が劣化程度を検知
する有用な手段の一つであることをまず見出した。すな
わち、被覆材の劣化が進行するほど、破断伸び率が低下
するものである。そしてこの破断伸び率の変化が、試料
中を伝搬する超音波速度と関連付けられることを見出し
た。そこで、上記探触子でケーブル被覆材中に超音波を
伝搬させ、演算部でその被覆材中の超音波伝搬速度を算
出し、判定部で基準値と対比させて劣化程度を推定する
べく構成したものである。
【0007】
【実施例】以下、本発明のケーブル被覆材の劣化診断装
置につき詳細に説明する。図1は本発明の装置の一例を
示すブロック図である。本発明の装置は、超音波の発信
子Sと受信子Rとを備え、劣化診断を行うケーブル1の
外周面の適宜箇所に取り付けられるプローブPと、超音
波の送信から受信までの時間、すなわち発信子Sから出
た超音波が導体で反射されて受信子Rで受信されるまで
の時間をパルスカウンタ等で計測し、予め入力された被
覆材の厚さとから被覆材中の超音波伝搬速度を算出する
演算部2と、予め設定された判定基準となる超音波伝搬
速度、すなわちその被覆材の健全時における超音波伝搬
速度と演算部2が算出した超音波伝搬速度とを対比して
ケーブル1の劣化程度を推定する判定部3とを備えてい
る。
【0008】4は、上記判定部3に接続され、上述の判
定基準となる超音波伝搬速度を設定するための基準値入
力部である。この基準値は、ケーブル1の布設前の健全
時に予め求めておくことが最も望ましいが、ケーブル被
覆材材料と被覆材の仕様厚さとから算出しても良い。あ
るいは、被覆材と同材料のものでシートを作成し、この
シートから基準となる超音波伝搬速度を求めるようにし
ても良い。
【0009】なお5は、供試ケーブルの被覆材中の超音
波伝搬速度測定結果や劣化の推定結果等を表示する、デ
ィスプレイやプリンタ等の表示装置である。これらの装
置は、例えばパソコン等に接続し、所定の処理ソフトで
統括的に運用するよう構成しても良い。
【0010】本発明の装置を使用するに際しては、前記
のプローブPを布設状態にあるケーブル1の被覆材12
の外周面の適宜箇所に取着し、プローブPの超音波発信
子Sから超音波をケーブル1の導体11に向けて送信
し、被覆材12中を伝搬し被覆材12内面で反射した超
音波を受信子Rで受信させる。このとき、被覆材12の
劣化による破断伸び率の変化に基づいて、被覆材12中
の超音波伝搬速度が健全時と比べて変化し、かつその変
化は劣化の程度に応じたものとなる。
【0011】従って、超音波を発信子Sから送信してか
ら受信子Rで受信するまでの時間と、被覆材12の厚さ
とから、被覆材12中の超音波伝搬速度を演算部2で求
め、この値と上記基準値とを判定部3で対比させること
により、劣化程度を知見できるものである。通常、劣化
した被覆材中の超音波伝搬速度は基準値よりも速くな
り、また劣化が進行するほど超音波伝搬速度が速くな
る。すなわち、基準値と算出した超音波伝搬速度との差
の大小が劣化の進行度合いを示すことになり、判定部3
はこれに基づいて劣化の程度を推定するものである。
【0012】本発明の診断対象となる被覆材材料には特
に制限はなく、各種の有機被覆材料に適用可能であり、
例えばエチレン・プロピレンゴム(EPゴム)、シリコ
ンゴム、ブチルゴム、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、
ポリクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンエチルア
クリレート等の被覆材を例示できる。とりわけEPゴム
被覆材は、劣化度合に対する超音波伝搬速度の変化が他
の材料よりも大きく、好ましい診断対象である。
【0013】ところで、原子力発電所関連設備に布設さ
れたケーブルの被覆材は、主に布設環境に存在する熱や
放射線が劣化要因となるが、かかる要因による被覆材の
劣化度合いは、そのケーブルを回収して解体し被覆材を
ダンベル片に打ち抜いて測定した破断伸び率に顕著に現
れる。すなわち、劣化が進行した被覆材は破断伸び率が
著しく低下し、健全時の1/3〜1/10程度まで低下
する。従って、破断伸び率の低下に基づく超音波伝搬速
度の変化から劣化程度を知見する本発明の劣化診断方法
は、上記の原子力発電所関連設備に布設されたケーブル
に好適に適用できる。
【0014】(実験例)本発明の劣化診断装置の動作確
認のため、下記の実験を行った。厚さが約1.2mmのE
Pゴムシートをケーブル被覆材の模擬試料とし、これら
試料にそれぞれ表1に示す熱と放射線とを所定時間加
え、熱劣化と放射線劣化とを同時に与えた。上記の試料
を平板上に載置し、その上にカップリング液を少量塗布
し、超音波探触子Pとして日本マテック社製『エコノメ
ーター1060』(単一型プローブ)を用い、この超音
波プローブを試料に押し付けて超音波を伝搬させ各試料
中の超音波伝搬速度を測定した。一方、基準値となる超
音波伝搬速度を測定するために、劣化させていない上記
と同じ試料につき、予め超音波伝搬速度を測定し、この
値を基準値入力部4に入力しておいた。なお、超音波伝
搬速度は各試料につき5回測定し、その平均値をもって
伝搬速度とした。また、測定時の環境温度は30℃一定
とした。
【0015】一方、上記で使用した同じ試料からそれぞ
れダンベル片を打ち抜き、このダンベル片の両端を挟持
して相対する方向に引っ張ることにより、破断伸び率を
それぞれの試料につき測定した。これらの結果を表1に
示す。なお劣化程度は、超音波伝搬速度が基準値に比べ
5〜20m/s増加したものを劣化度小、20〜50m
/s増加したものを劣化度中、50m/s以上を劣化度
大と表示するよう判定部3を設定した。また上記した超
音波伝搬速度と破断伸び率との関係を図2に示す。
【0016】
【表1】
【0017】図2からも明らかなとおり、劣化の進行度
合いに伴う試料中の超音波伝搬速度の変化と、別途測定
した劣化の進行度合いに伴う破断伸び率の低下との間に
は相関関係が認められ、本発明の装置であれば従来最も
信頼されていた破壊的サンプリング法と同等の劣化診断
結果が得られることが確認できた。
【0018】
【発明の効果】以上説明した通りの本発明のケーブル被
覆材の劣化診断装置によれば、ケーブル被覆材の劣化程
度を、ケーブルを解体することなく布設状態のまま、す
なわち非破壊で知見することができる。また超音波伝搬
速度は、劣化の程度に応じて変動するので、ケーブル寿
命の予見も行い得、絶縁破壊に至る前にケーブルの張り
替え等の処置の必要性を知見できる等、本発明は優れた
効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のケーブル被覆材の劣化診断装置の一例
を示すブロック図である。
【図2】超音波伝搬速度と破断伸び率との関係を示すグ
ラフ図である。
【符号の説明】
1 ケーブル 11 導体 12 被覆材 2 演算部 3 判定部 4 基準値入力部 5 表示部 P 探触子(プローブ) S 超音波発信子 R 超音波受信子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 合議体 審判長 橋場 健治 審判官 住田 秀弘 審判官 伊坪 公一 (56)参考文献 特開 平3−194460(JP,A) 特開 平4−12245(JP,A) 特開 平4−12298(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 布設状態にあるケーブル被覆材中を伝搬
    する超音波速度の変化から被覆材の劣化程度を知見する
    ための装置であって、超音波の送信及び受信を行なう探
    触子と、超音波の送信から受信までの時間と供試ケーブ
    ルの被覆材厚さとから被覆材中の超音波伝搬速度を算出
    する演算部と、予め設定した判定基準となる超音波伝搬
    速度と計測した超音波伝搬速度とを対比し、この対比結
    果を予め求めておいた劣化の進行度合いに伴う当該被覆
    材中の超音波伝搬速度の変化と破断伸び率の変化との相
    関関係に当てはめることで、供試ケーブルの劣化程度を
    推定する判定部とを備えることを特徴とするケーブル被
    覆材の劣化診断装置。
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CN112198229A (zh) * 2020-10-19 2021-01-08 国网山东省电力公司潍坊供电公司 一种电力电缆线芯材料判别装置及方法

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