JP3349090B2 - 有機高分子製物品の劣化診断方法およびそれに用いる超音波伝搬時間測定装置 - Google Patents
有機高分子製物品の劣化診断方法およびそれに用いる超音波伝搬時間測定装置Info
- Publication number
- JP3349090B2 JP3349090B2 JP14385298A JP14385298A JP3349090B2 JP 3349090 B2 JP3349090 B2 JP 3349090B2 JP 14385298 A JP14385298 A JP 14385298A JP 14385298 A JP14385298 A JP 14385298A JP 3349090 B2 JP3349090 B2 JP 3349090B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ultrasonic
- coating layer
- insulated wire
- propagation time
- deterioration
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
Description
び劣化診断用の超音波伝搬時間測定装置に関し、特に絶
縁電線の被覆層などの有機高分子製物品についての劣化
診断方法および超音波伝搬時間測定装置に関する。
射線あるいはその他の原因により劣化し、劣化の進行と
共にその超音波伝搬速度が変化することが知られてい
る。例えば、劣化の進行と共に有機高分子材料の破断伸
び率が低下し、劣化した有機高分子材料中での超音波の
伝搬速度が変化する。この現象を利用して、有機高分子
材料の劣化度を超音波の伝搬速度の変化から診断する方
法が周知である。一方、電力ケーブル、通信ケーブル、
屋内配電線などの各種絶縁電線は、その電気絶縁層やシ
ースなどの被覆層の劣化により停電や火災事故が生じる
可能性があるので、稼働中におけるその被覆層の劣化度
は定期的な測定により監視する必要がある。しかもその
監視は、電線が稼働中である故にその被覆層を破壊する
ことなく行う必要があるために上記の超音波診断法を絶
縁電線の非破壊劣化診断に適用することが提案されてい
る。
は、診断対象の電力ケーブルの被覆層の外表面上から超
音波をケーブルの半径方向に入射し、被覆層中での超音
波伝搬速度Vを下式(1)にて求める方法が提案されて
いる。 V=2a/t (1) 式(1)において、aは被覆層の厚みであり、tは超音
波の入射から該被覆層の下層(例えば、導体)の表面で
反射して再び入射位置まで帰還するに要した時間であ
る。
あることが前提となるので、本発明者らは、先に被覆層
の厚みaに無関係に超音波伝搬速度Vを測定し得るつぎ
の表面伝搬方法を提案した。その方法においては、診断
対象物の表面に超音波発振手段と超音波受信手段(以
下、両手段を纏めて「超音波発受手段」と称することが
ある。)とを互いの設置間隔L1とL2とで設置し、各
設置間隔毎に超音波発振手段から発振された超音波が診
断対象物中を伝搬して超音波受信手段にて受信されるに
要する伝搬時間t1とt2とをそれぞれ測定し、超音波
伝搬速度Vを下式(2)にて求める。なお診断対象物の
表面に設置された超音波発振手段から発振された超音波
が診断対象物に入射する点をμm〜mmのオーダーで正
確に特定することは一般的にできない。同様のことが超
音波受信手段および超音波受信点についても言える。し
たがって上記で言う設置間隔L1とL2は、診断対象物
の表面に設置された超音波発受手段について任意に定め
たそれぞれの特定部位間の間隔である。例えば、超音波
発振手段の最先端と超音波受信手段の最先端との距離で
ある。かかる設置間隔であれば、正確に計測することが
できる。 V=(L2−L1)/(t2−t1) (2)
発受手段における超音波発受点間の距離とその伝搬時間
とが判れば算出し得るにも拘らず、上記の表面伝搬方法
においては設置間隔L1とL2の二点で測定する理由
は、つぎの通りである。即ち、固体中特に有機高分子材
料中を伝搬する超音波は一般的に極めて減衰し易いの
で、超音波発受手段間の設置間隔L1(あるいはL2)
を数百μm〜数十mm程度の極く短距離とする必要があ
る。これ対して超音波発振手段や超音波受信手段の大き
さは、L1と略同じ大きさであり、且つ前記した通り超
音波発受手段の各超音波発受点をμm〜mmのオーダー
で明確且つ正確に把握することができず、しかしてL1
の寸法を正確に把握することが困難となるためである。
二点で測定して式(2)にて超音波伝搬速度Vを算出す
る場合には、超音波発受手段の各超音波発受点を超音波
発受手段の任意の部位の点と仮に定めることができるの
で、数百μm〜数十mm程度の設置間隔L1やL2であ
っても超音波伝搬速度Vを正確に求めることができる。
波伝搬速度Vを測定するために超音波発受手段間の設置
間隔をL1とL2の2点とし、それぞれの伝搬時間t1
とt2の測定が必要であり、しかもそれらのデータから
式(2)により超音波伝搬速度Vを算出する面倒があ
る。
置して、例えば超音波発受手段の各設置点をそれぞれの
最先端と仮に定めて最先端間の間隔を一定に、例えば5
mmに保持して、その状態で伝搬時間Tを測定すると、
超音波発受手段の正確な発受点間距離は不明ではあって
も特定の伝搬時間Tを測定し得、かくしてそれの経時的
変化を知ることができる。本発明者らの研究によれば、
この伝搬時間Tの経時的変化は有機高分子製品の劣化度
を診断する上で頗る有用であることが判明し、本発明を
完成した。
解決しようとする課題は、従来よりも一層簡便な方法に
て超音波により有機高分子製物品の劣化度を診断し得る
方法および劣化診断用の超音波伝搬時間測定装置を提供
することにある。
す方法にて解決される。 (1) 超音波発振手段と超音波受信手段とを有機高分子製
物品の表面に設置し、超音波発振手段から発振された超
音波が有機高分子製物品中を伝搬して超音波受信手段に
て受信される迄に要する伝搬時間を測定し、伝搬時間の
経時的変化から有機高分子製品の劣化度を診断すること
を特徴とする有機高分子製物品の劣化診断方法。 (2) 上記(1) 記載の方法で測定される伝搬時間と有機高
分子製物品を形成する有機高分子材料の該伝搬時間以外
の特性との相関関係を利用して、上記(1) 記載の方法で
測定された伝搬時間の経時的変化を該特性の経時的変化
に換算して有機高分子製物品の劣化度を診断する上記
(1) 記載の有機高分子製物品の劣化診断方法。 (3) 該特性が、引張強さ、破断伸び率、ヤング率、10
0%モジュラス、誘電率、誘電正接、および体積抵抗率
からなる群から選ばれた少なくとも一種である上記(2)
記載の有機高分子製物品の劣化診断方法。 (4) 超音波発振手段と超音波受信手段との設置間隔が、
100μm〜100mmである上記(1) 〜(3) のいずれ
かに記載の有機高分子製物品の劣化診断方法。 (5) 有機高分子製物品が、絶縁電線の被覆層である上記
(1) 〜(4) のいずれかに記載の有機高分子製物品の劣化
診断方法。 (6) 超音波発振手段、超音波受信手段、および超音波発
振手段と超音波受信手段との設置間隔を計測する設置間
隔計測手段とを有することを特徴とする劣化診断用の超
音波伝搬時間測定装置。 (7) 超音波発振手段と超音波受信手段とが、共にそれぞ
れを有機高分子製物品の表面に設置するための設置手段
を有する上記(6) 記載の劣化診断用の超音波伝搬時間測
定装置。
分子製物品の構造、サイズ、製造ロットなどが異なって
も、換言すると該物品中の有機高分子層の厚みに無関係
に、各種の物品に就きその表面に超音波発振手段と超音
波受信手段とを所望の一定の設置間隔にて設置して、超
音波発振手段から発振された超音波が有機高分子製物品
中を伝搬して超音波受信手段にて受信される迄に要する
伝搬時間を測定する。この方法にて伝搬時間の経時的変
化が測定できると、伝搬時間と該伝搬時間以外の有機高
分子製物品を形成する有機高分子材料の特性、例えば、
破断伸び率との相関関係を利用して、伝搬時間の経時的
変化から破断伸び率の経時的変化を知ることができ、そ
の経時的変化から有機高分子製物品の劣化度を診断する
ことができる。よって従来のように超音波発受手段間の
設置間隔を変えた測定や超音波伝速度の計算などが不要
となるので、劣化診断が頗る簡便となる。本発明におい
ては、上記の通り、超音波発振手段と超音波受信手段と
は所望の一定の設置間隔(以下、該設置間隔を基準設置
間隔と言う)にて設置されるが、基準設置間隔は、気温
の変化あるいはその他の理由で変化する可能性がある。
しかし本発明の超音波伝搬時間測定装置は、超音波発振
手段と超音波受信手段との設置間隔を計測する設置間隔
計測手段を有するので、伝搬時間を測定する際にそれを
計測し、その計測値が基準設置間隔からずれている場合
には、基準設置間隔にリセットすることができる。かく
して基準設置間隔に対する伝搬時間の変化を長期にわた
って測定することができる。
を形成する有機高分子としては、所謂、機械的構造材料
として使用し得る程度の機械強度を有する合成または天
然のもの、あるいは各有機高分子毎に通常使用される配
合剤を配合した組成物などが対象となる。
ではポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ
−4−メチルペンテン−1などのポリオレフィン、ナイ
ロンなどのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、熱可塑性ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体な
ど、ゴムでは天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、
エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレ
ン−ジエン三元共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重
合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、エ
チレン−酢酸ビニル共重合ゴム、エチレン−エチルアク
リレート共重合ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴ
ム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素
ゴムなど、熱可塑性エラストマーではABA型トリブロ
ックや(AB)n X型ラジアルブロックなどのスチレン
系熱可塑性エラストマー、ブレンド型TPO、部分架橋
ブレンド型TPO、完全架橋ブレンド型TPOなどのポ
リオレフィン系熱可塑性エラストマー、ニトリルゴムブ
レンド体や部分架橋ニトリルゴムブレンド体などのポリ
塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系や
ポリエーテル系などのポリウレタン系熱可塑性エラスト
マー、ポリエステル・ポリエーテル型やポリエステル・
ポリエステル型などのポリエステル系熱可塑性エラスト
マーなどである。
る。図1は、本発明の劣化診断方法に用いる超音波伝搬
時間測定装置例についての説明図である。図2は図1に
おける超音波発振手段の設置手段と劣化診断の対象たる
有機高分子製物品との界面での超音波の屈折の様子を説
明する説明図である。
ーブルなどの絶縁電線の被覆層を取り上げて、図1に示
す伝搬時間測定装置によりその被覆層内での超音波の伝
搬時間の測定方法および劣化診断方法について説明す
る。図1の装置は、超音波発振手段1、超音波発振制御
手段12、超音波受信手段2、超音波受信制御手段2
2、伝搬時間測定手段3、演算手段4、設置間隔計測手
段5、判定手段6、および表示手段7とからなる。
示せず)にて超音波を発振し得る機能をなし、また設置
手段11を有していて設置手段11により絶縁電線Cの
被覆層C1の表面上に設置されている。超音波発振手段
1から発振された超音波は、設置手段11中を通過して
被覆層C1に入射する。超音波発振制御手段12は、超
音波発振手段1からの超音波の発振時刻などを電気信号
にて後記の伝搬時間測定手段3に入力する機能をなす。
超音波受信手段2は、設置手段21を有していて設置手
段21により被覆層C1の表面上で超音波発振手段1か
ら基準設置間隔Lだけ離れた位置に設置されており、被
覆層C1内を伝搬する超音波を設置手段21を介して受
信する機能をなす。図1では設置手段11や設置手段2
1として、有機高分子、例えば、ポリ四フッ化エチレン
からなる斜角型ディレーチップが使用されている。
段2からの超音波の受信時刻などを電気信号にて伝搬時
間測定手段3に入力する機能をなす。伝搬時間測定手段
3は、伝搬時間Tを測定する機能をなす。設置間隔計測
手段5は、超音波発振手段1と超音波受信手段2との設
置間隔を計測し、且つその計測値が基準設置間隔Lと一
致しているか否かを判定する機能をなす。計測値が基準
設置間隔Lと一致していない場合には、適当な手段にて
超音波発振手段1および/または超音波受信手段2を移
動して設置間隔を基準設置間隔Lに修正する。演算手段
4、判定手段6、および表示手段7の各機能については
後記する。
は、設置手段11を通過して被覆層C1内に入射する。
入射した超音波は、被覆層C1内を種々の経路で伝搬す
るが、そのなかには超音波発振手段1と超音波受信手段
2との間を最短経路で伝搬する超音波成分が存在するの
で、該成分が超音波受信手段2により受信される。
並びに超音波受信手段2による超音波の受信時刻が、そ
れぞれ超音波発振制御手段12と超音波受信制御手段2
2とから伝搬時間測定手段3に入力され、伝搬時間測定
手段3により基準設置間隔Lに対する超音波の伝搬時間
Tが測定される。
手段1から発振された超音波は、図1中に点線で示す経
路、即ち設置手段11、被覆層C1、設置手段21を順
次経由して超音波受信手段2に到る。本発明における基
準設置間隔Lの概念が理解し易いように、図1では設置
手段11と設置手段21が被覆層C1と接する各底面内
で超音波の伝搬密度が最高となる辺りを黒丸で示し、各
黒丸の位置をもってそれぞれ仮に超音波発振手段1の超
音波入射点あるいはその設置位置、超音波受信手段2の
超音波受信点あるいはその設置位置とし、且つ該黒丸間
をもって基準設設置間隔Lとしている。しかし実際に
は、超音波発振手段1の超音波入射点は、設置手段1の
底面の最先端〜最後端のうちのどの位置であるか確定す
ることはできない。同じく超音波受信手段2の超音波受
信点は、設置手段21の底面の最先端〜最後端のうちの
どの位置であるか確定することはできない。しかし、そ
れらが確定し得なくても設置手段11と設置手段21の
各設置位置、例えば設置手段11と設置手段21の各底
面の最先端の位置、が決まればそれら設置手段の構造や
底面寸法に無関係に特定の被覆層C1に対して特定の伝
搬時間Tが測定される。よって本発明においては、超音
波発振手段1と超音波受信手段2との基準設置間隔L
は、設置手段11と設置手段21を用いる場合には、そ
れらの各任意の部位(基点)や超音波発振手段1と超音
波受信手段2の各任意の部位(基点)の間の距離をもっ
て基準設置間隔Lとしてもよい。設置間隔計測手段5
は、かく任意に決められた基点間の距離を計測する。
れた超音波が、通常の超音波受信手段2により受信され
て伝搬時間Tが測定し得る限り、設置手段11と設置手
段21とは必ずしも必要ではなく、両設置手段を使用し
ない場合には、超音波発振手段1と超音波受信手段2と
の任意の部位(基点)間の距離をもって基準設置間隔L
とすることになる。
上記した基準設置間隔Lは、基本的には任意に決めてよ
い。しかし、固体中、特に有機高分子中を伝搬する超音
波は、一般的に極めて減衰し易いので基準設置間隔Lの
値は100μm〜100mm程度、特に500μm〜1
0mm程度とすることが好ましい。
より少なくとも伝搬時間Tの計測時には確認され、一
方、伝搬時間Tは伝搬時間測定手段3にて測定される。
その後、設置間隔計測手段5から基準設置間隔Lが、一
方、伝搬時間測定手段3から伝搬時間Tがそれぞれ演算
手段4に入力され、演算手段4により伝搬時間Tの経時
的変化が記憶される。判定手段6は、被覆層C1を形成
する有機高分子材料についての種々の劣化度における後
記する特性と伝搬時間Tの相関関係データを保持してお
り、演算手段4から入力されるそれらの値を基に劣化度
を判定し、その結果を表示手段7に送って劣化度を種々
の表示方法、例えば絶縁電線の稼働日数−劣化度の関係
グラフなどにて表示する。
いて詳述すると、診断対象の有機高分子物品自体、ある
いは該物品を形成する有機高分子材料の試験シートなど
について、任意に定めた基準設置間隔Lの場合に測定さ
れる伝搬時間Tと伝搬時間以外の特性、例えば、破断伸
び率Elとの相関関係を予め実験的に確立しておく。か
くすると伝搬時間Tと破断伸び率Elとの相関関係を利
用して、測定された伝搬時間Tから直ちに対応する破断
伸び率Elを知ることができる。
は、有機高分子物品の劣化の進行に従って変化する有機
高分子材料の種々の機械的特性、電気的特性、光学的特
性、あるいはその他であってよく、就中、引張強さ、破
断伸び率、ヤング率、100%モジュラスなどの機械的
特性、誘電率、誘電正接、体積抵抗率などの電気的特性
などからなる群から選ばれた少なくとも1種が特に好ま
しい。
発振された超音波が診断対象の有機高分子製物品中を伝
搬して超音波受信手段2にて受信されて伝搬時間Tを測
定し得る限り、設置手段11や設置手段21は必ずしも
必要ではない。しかしそれらを使用した方が、超音波発
受手段1、2の設置が容易且つ安定し、伝搬時間Tの測
定も容易となる。それら設置手段11、21の形成材料
については特に制限がなく、例えば金属、有機高分子、
木材などであってよい。しかしそれら設置手段11、2
1は、可及的に超音波伝搬速度の遅い材料、就中、診断
対象となる有機高分子材料の超音波伝搬速度の1.1倍
以下、特に該速度0.97倍以下のものにて形成するこ
とが好ましい。その理由を図2により以下に説明する。
れも診断対象物の超音波伝搬速度V値より小さい超音波
伝搬速度を有する材料にて形成されている場合を考え
る。この場合、図2に示す通り被覆層C1の表面の法線
Aに対して角度θで発振された超音波は、屈折に関する
スネルの法則により設置手段11と被覆層C1との界面
で大きい角度φにて被覆層C1内に屈折して入射し、か
く入射した超音波の多くの部分が被覆層C1の外表面に
近い層中を進む。また設置手段21(図示せず)も被覆
層C1のV値より小さい超音波伝搬速度を有する材料に
て形成されているので、被覆層C1の外表面に近い層中
を進む高密度の超音波部分は、スネルの法則により設置
手段21に入り易く、かくして超音波受信手段2は、高
密度の超音波部分を受信することができる。したがって
かかる場合には、超音波波形のS/N比が向上して超音
波伝搬時間の信頼性がアップする他、超音波発振手段1
として超音波発振出力が低い安価品を用いることがで
き、あるいは超音波受信手段2としては超音波受信感度
の低いやはり安価品を用い得る利点がある。なお本発明
において、超音波発振手段1から発振された超音波の被
覆層C1の表面の法線Aに対する上記の角度θは、20
〜85°程度が好ましい。
ってよいが、設置手段11や設置手段21の底面と診断
対象物の表面との間の接触性が悪くて空気層が存在する
と、接触面間で超音波の反射が生じて診断対象物内への
入射率が低下することがある。かかる場合には、グリス
や油剤など、就中低極性の、したがって超音波伝搬速度
の遅い材料からなるものを使用して両接触面間に空気層
が存在しないようにすることが好ましい。
は、一般的には制限はない。なおポリエチレン、ポリ塩
化ビニル、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)
などの絶縁電線の被覆層の構成材として多用される有機
高分子は、概して超音波の減衰が大きいので、減衰が比
較的少ない0.1〜5MHz程度、特に0.5〜2MH
z程度の超音波の使用が好ましい。一方、超音波自体と
しては、減衰量が少ない縦波超音波が特に好ましい。
する。
の軟質ポリ塩化ビニル組成物からなるシースを有する電
力ケーブルについて、その表面の軟質ポリ塩化ビニルシ
ース層の超音波の伝搬時間Tを測定した。その際、伝搬
時間Tは、超音波発振手段1と超音波受信手段2とをい
ずれもポリ四フッ化エチレン製斜角型ディレーチップ
(傾斜角度:45°)を使用して両者間の基準設置間隔
L(両ディレーチップの各先端間距離)を2mmとして
上記の軟質ポリ塩化ビニルシース層の表面上に設置し、
周波数1.0MHzの超音波を使用して該シース層中の
伝搬せしめた。一方、上記の軟質ポリ塩化ビニル組成物
と同じ組成物の3mm厚シートをプレス成形し、該シー
トについてこれを促進的に加熱劣化し、劣化度の異なる
試料を得て、それらについて破断伸び率と上記と同条件
で測定した伝搬時間Tとの相関関係を別途確立した。こ
の相関関係を利用すると、上記の電力ケーブルの伝搬時
間Tに対応する上記シース層の破断伸び率は約220%
であった。一方、上記シース層の一部からダンベル試料
片を打ち抜いて、該ダンベル試料片について破断伸び率
を実測したところ、平均228%であって、伝搬時間T
からの推定値とよく一致した。
る。 、超音波発振手段と超音波受信手段とを劣化診断対象
の表面に設置して劣化診断対象の表面層での超音波の伝
搬時間を測定するので、劣化診断対象の厚みに無関係に
且つ非破壊的に、しかして稼働中にある絶縁電線などの
被覆層の劣化度診断にすこぶる好適である。 、超音波発振手段と超音波受信手段との設置間隔Lを
一定としたときに得られる伝搬時間Tと伝搬時間T以外
の有機高分子製物品の特性、例えば、破断伸び率との相
関関係を利用して、伝搬時間Tの経時的変化から破断伸
び率などの経時的変化を知ることができ、その経時的変
化から有機高分子製物品の劣化度を診断することができ
る。よって従来のように超音波発受手段1、2との設置
間隔を変えた測定や超音波伝速度の計算などが不要とな
るので、劣化診断が頗る簡便となる。 、劣化診断対象たる有機高分子製物品の構造、サイ
ズ、製造ロットなどが異なっても、各種の物品に就きそ
の表面に超音波発振手段と超音波受信手段とを所望の一
定の設置間隔Lにて設置し得る。よって構造、サイズ、
製造ロットなどが異なる各種の物品でも、それらが特定
の有機高分子種にて形成されている場合には、その特定
有機高分子種に特有の伝搬時間Tと例えば、破断伸び率
との相関関係のデータがそれら物品の劣化診断に共通的
に利用し得る利点もある。
施例の説明図である。
の屈折の様子を説明する説明図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 超音波発振手段と超音波受信手段とを絶
縁電線の表面に設置し、超音波発振手段から発振された
超音波の、絶縁電線の被覆層の外表面に近い層中を伝搬
して超音波受信手段へいたる高密度部分が、超音波受信
手段にて受信される迄に要する伝搬時間を測定し、伝搬
時間の経時的変化から絶縁電線の被覆層の劣化度を診断
することを特徴とする絶縁電線の被覆層の劣化診断方
法。 - 【請求項2】 請求項1記載の方法で測定される伝搬時
間と絶縁電線の被覆層を形成する有機高分子材料の該伝
搬時間以外の特性との相関関係を利用して、請求項1記
載の方法で測定された伝搬時間の経時的変化を該特性の
経時的変化に換算して絶縁電線の被覆層の劣化度を診断
する請求項1記載の絶縁電線の被覆層の劣化診断方法。 - 【請求項3】 該特性が、引張強さ、破断伸び率、ヤン
グ率、100%モジュラス、誘電率、誘電正接、および
体積抵抗率からなる群から選ばれた少なくとも一種であ
る請求項2記載の絶縁電線の被覆層の劣化診断方法。 - 【請求項4】 超音波発振手段と超音波受信手段との設
置間隔が、100μm〜100mmである請求項1〜3
のいずれかに記載の絶縁電線の被覆層の劣化診断方法。 - 【請求項5】 超音波発振手段と、 該超音波発振手段を絶縁電線の被覆層の表面に設置する
ために、該超音波発振手段と絶縁電線の被覆層との間に
介在させる第1の設置手段と、 超音波受信手段と、 該超音波発振手段を絶縁電線の被覆層の表面に設置する
ために、該超音波受信手段と絶縁電線の被覆層との間に
介在させる第2の設置手段と超音波発振手段と超音波受
信手段との設置間隔を計測する設置間隔計測手段とを有
し、超音波発振手段から発振された超音波が絶縁電線の
被覆層中を伝搬して超音波受信手段にて受信される迄に
要する時間を測定する、絶縁電線の被覆層の劣化診断用
の超音波伝搬時間測定装置であって 、第1および第2の設置手段は、共に、絶縁電線の被覆層
の超音波伝搬速度よりも小さい超音波伝搬速度を有する
材料からなり、かつ、第1の設置手段は、超音 波発振手
段からの超音波を絶縁電線の被覆層の表面の法線に対す
る入射角度が20〜85°で入射させ得る形状に形成さ
れていることを特徴とする絶縁電線の被覆層の劣化診断
用の超音波伝搬時間測定装置 。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14385298A JP3349090B2 (ja) | 1998-05-26 | 1998-05-26 | 有機高分子製物品の劣化診断方法およびそれに用いる超音波伝搬時間測定装置 |
US09/554,787 US6450036B1 (en) | 1997-11-21 | 1998-11-18 | Method and device for diagnosing deterioration of an article having at least a covering layer organic polymer material |
PCT/JP1998/005194 WO1999027360A1 (fr) | 1997-11-21 | 1998-11-18 | Procede et dispositif de diagnostic de la deterioration d'un article presentant au moins une couche de couverture en materiau polymere organique |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14385298A JP3349090B2 (ja) | 1998-05-26 | 1998-05-26 | 有機高分子製物品の劣化診断方法およびそれに用いる超音波伝搬時間測定装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11337532A JPH11337532A (ja) | 1999-12-10 |
JP3349090B2 true JP3349090B2 (ja) | 2002-11-20 |
Family
ID=15348470
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14385298A Expired - Fee Related JP3349090B2 (ja) | 1997-11-21 | 1998-05-26 | 有機高分子製物品の劣化診断方法およびそれに用いる超音波伝搬時間測定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3349090B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007057327A (ja) * | 2005-08-23 | 2007-03-08 | Fuji Electric Systems Co Ltd | 高分子材料劣化診断法 |
JP4779574B2 (ja) * | 2005-10-31 | 2011-09-28 | 富士電機株式会社 | 高分子材料劣化診断法 |
JP7286973B2 (ja) * | 2019-01-11 | 2023-06-06 | 富士電機株式会社 | 樹脂材の劣化評価方法及び劣化評価装置 |
-
1998
- 1998-05-26 JP JP14385298A patent/JP3349090B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11337532A (ja) | 1999-12-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3022955B2 (ja) | 超音波形検出装置、基板上の皮膜の厚さを測定する方法および遅延ラインの識別方法 | |
WO1999027360A1 (fr) | Procede et dispositif de diagnostic de la deterioration d'un article presentant au moins une couche de couverture en materiau polymere organique | |
US8564303B2 (en) | Systems and methods for detecting anomalies in elongate members using electromagnetic back scatter | |
JP2004529370A (ja) | 障害検出システムとその方法 | |
JP3349090B2 (ja) | 有機高分子製物品の劣化診断方法およびそれに用いる超音波伝搬時間測定装置 | |
JPH10253694A (ja) | ケーブルの試験方法および手段 | |
JP3349088B2 (ja) | 超音波伝搬特性の測定方法 | |
JP2003185643A (ja) | ひび割れ検知システム | |
JP3081734B2 (ja) | ケーブル被覆材の劣化診断装置 | |
JP2019200064A (ja) | クラック検知システム及びクラック検知方法 | |
JPH11153584A (ja) | 超音波伝搬特性の測定方法および測定装置 | |
JP2002131292A (ja) | ケーブルの劣化診断方法、劣化診断装置及びその固定治具 | |
JPH08240572A (ja) | ポリマー材料の劣化度および寿命の測定装置 | |
JPH11211699A (ja) | 各種材料又は各種溶液の診断用測定センサ、診断装置及び診断方法 | |
JPH095309A (ja) | 表面劣化、疲労の診断用測定センサ、表面劣化、疲労の診断装置及びその診断方法 | |
JP4779574B2 (ja) | 高分子材料劣化診断法 | |
JP3387825B2 (ja) | 被覆ケーブルの余寿命推定方法 | |
JP2000009701A (ja) | 被覆電線の被覆層の特性測定装置 | |
JP3081735B2 (ja) | ケーブル被覆材の劣化診断方法 | |
JPH09236585A (ja) | 表面劣化、硬化、疲労等の度合の診断用測定センサ及び診断装置並びに診断方法 | |
JPH10177014A (ja) | ケーブルの劣化診断方法 | |
US8875580B2 (en) | Method and apparatus to detect wire pathologies near crimped connector | |
JP3104283B2 (ja) | 超音波トランスジューサ及び超音波センサー並びにホール壁の膜厚測定方法及びその装置 | |
JPH10300731A (ja) | 超音波の伝搬速度の測定方法およびその装置 | |
JPH08271487A (ja) | ポリマー材料の劣化度および寿命の測定センサ、測定装置および判定方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080913 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090913 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090913 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100913 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110913 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120913 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130913 Year of fee payment: 11 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |