JP3081106B2 - 光沢性と加工耐食性に優れた透明樹脂被覆めっき鋼板 - Google Patents
光沢性と加工耐食性に優れた透明樹脂被覆めっき鋼板Info
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- JP3081106B2 JP3081106B2 JP06146963A JP14696394A JP3081106B2 JP 3081106 B2 JP3081106 B2 JP 3081106B2 JP 06146963 A JP06146963 A JP 06146963A JP 14696394 A JP14696394 A JP 14696394A JP 3081106 B2 JP3081106 B2 JP 3081106B2
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- steel sheet
- corrosion resistance
- transparent resin
- plating
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- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、金属クロムの光沢性と
加工耐食性に優れた透明樹脂被覆めっき鋼板に関する。
加工耐食性に優れた透明樹脂被覆めっき鋼板に関する。
【０００２】
【従来の技術】金属クロムの被膜はその優れた光沢性の
ため屋内裸用途に数多く使用されているが、加工後めっ
きされる装飾クロムめっき品とステンレス鋼板が主で、
プレめっきのクロムめっき鋼板はほとんど見受けられな
い。これはクロムめっき被膜は下地に銅めっきやニッケ
ルめっきを施すことにより硬質で光沢性、耐傷付性や耐
食性に優れた被膜が得られるが、加工耐食性に劣るため
めっき後成形されるプレめっき鋼板に適さないからであ
る。
ため屋内裸用途に数多く使用されているが、加工後めっ
きされる装飾クロムめっき品とステンレス鋼板が主で、
プレめっきのクロムめっき鋼板はほとんど見受けられな
い。これはクロムめっき被膜は下地に銅めっきやニッケ
ルめっきを施すことにより硬質で光沢性、耐傷付性や耐
食性に優れた被膜が得られるが、加工耐食性に劣るため
めっき後成形されるプレめっき鋼板に適さないからであ
る。
【０００３】この欠点である加工耐食性を向上させるた
めに、めっきと熱拡散とを組み合わせた公開特許が、種
々開示されている。例えば、（１）特開昭６１ー７６６
６０は鋼板表面にニッケルで２〜１０μｍの厚さに被覆
した後、クロムを１〜１０μｍの厚さにめっきした鋼板
を８００〜１２００℃の温度で熱処理することにより耐
食性の優れた鋼板を得ている。また、（２）特開昭６１
−７９７５８では真空槽内でニッケルとクロムを続けて
蒸着、またはスパッタリング方法で、例えば厚さ１０μ
ｍのニッケル層と厚さ２３μｍのクロム層を付着させた
後、更に合金化処理炉にてニッケルとクロムを地鉄に拡
散させて、Ｎｉ−Ｃｒ合金層を形成させた部分にステン
レスに劣らない光沢度のものを得ている。しかし、
（１）の方法の如く表面がクロムめっき層である鋼板を
一般的な保護ガス中で拡散処理した場合、Ｃｒの酸素親
和力が大きいためＣｒの酸化を抑止することは困難で変
色する。したがってこの酸化被膜を除去する必要があ
る。またいずれの方法もクロム厚さが２μｍ以上付着さ
せており、ストリップのめっきとしては長いめっき槽を
要し経済的でないという欠点を有している。
めに、めっきと熱拡散とを組み合わせた公開特許が、種
々開示されている。例えば、（１）特開昭６１ー７６６
６０は鋼板表面にニッケルで２〜１０μｍの厚さに被覆
した後、クロムを１〜１０μｍの厚さにめっきした鋼板
を８００〜１２００℃の温度で熱処理することにより耐
食性の優れた鋼板を得ている。また、（２）特開昭６１
−７９７５８では真空槽内でニッケルとクロムを続けて
蒸着、またはスパッタリング方法で、例えば厚さ１０μ
ｍのニッケル層と厚さ２３μｍのクロム層を付着させた
後、更に合金化処理炉にてニッケルとクロムを地鉄に拡
散させて、Ｎｉ−Ｃｒ合金層を形成させた部分にステン
レスに劣らない光沢度のものを得ている。しかし、
（１）の方法の如く表面がクロムめっき層である鋼板を
一般的な保護ガス中で拡散処理した場合、Ｃｒの酸素親
和力が大きいためＣｒの酸化を抑止することは困難で変
色する。したがってこの酸化被膜を除去する必要があ
る。またいずれの方法もクロム厚さが２μｍ以上付着さ
せており、ストリップのめっきとしては長いめっき槽を
要し経済的でないという欠点を有している。
【０００４】また、（３）特開平５−２９４９１１では
ニッケルめっき後、熱拡散しさらに光沢ニッケルと光沢
クロムの２層めっきを行うことにより光沢性と耐食性に
優れたクロムめっき鋼板を得ている。この方法はめっき
被膜量は少なく安価であるが、板厚が厚く加工歪みが大
きい用途には加工耐食性が低下するため、結果的に板厚
が薄い鋼板に較べ厚い鋼板は拡散前のニッケルを多く付
着させねばならず経済的でないという欠点を有してい
る。
ニッケルめっき後、熱拡散しさらに光沢ニッケルと光沢
クロムの２層めっきを行うことにより光沢性と耐食性に
優れたクロムめっき鋼板を得ている。この方法はめっき
被膜量は少なく安価であるが、板厚が厚く加工歪みが大
きい用途には加工耐食性が低下するため、結果的に板厚
が薄い鋼板に較べ厚い鋼板は拡散前のニッケルを多く付
着させねばならず経済的でないという欠点を有してい
る。
【０００５】さらに亜鉛系を主にめっき鋼板やステンレ
ス鋼板に樹脂コーティングする公開特許も種々開示され
ている。例えば（４）特開昭６３−１６２８８６ではめ
っき鋼板または冷延鋼板上にクロメート被膜を有しさら
にその表層にカルボキシル化ポリオレフィン系樹脂、液
体エポキシ樹脂とフッ素樹脂を含有する有機複合樹脂ま
たはこれらの樹脂にシリカを含有した有機複合樹脂を被
覆させた耐食性、溶接性、潤滑性、加工後の耐食性、耐
指紋性に優れた表面処理鋼板が、また（５）特開昭６３
−７２３７９ではステンレス鋼材の表面に透明な樹脂層
を設けた後、さらに該樹脂表面に親水性モノマー層を設
けて、放射線同時照射法によりグラフト重合させること
を特徴とする指紋付着防止性に優れた表面処理ステンレ
ス鋼材の製造方法が開示されている。
ス鋼板に樹脂コーティングする公開特許も種々開示され
ている。例えば（４）特開昭６３−１６２８８６ではめ
っき鋼板または冷延鋼板上にクロメート被膜を有しさら
にその表層にカルボキシル化ポリオレフィン系樹脂、液
体エポキシ樹脂とフッ素樹脂を含有する有機複合樹脂ま
たはこれらの樹脂にシリカを含有した有機複合樹脂を被
覆させた耐食性、溶接性、潤滑性、加工後の耐食性、耐
指紋性に優れた表面処理鋼板が、また（５）特開昭６３
−７２３７９ではステンレス鋼材の表面に透明な樹脂層
を設けた後、さらに該樹脂表面に親水性モノマー層を設
けて、放射線同時照射法によりグラフト重合させること
を特徴とする指紋付着防止性に優れた表面処理ステンレ
ス鋼材の製造方法が開示されている。
【０００６】しかし、これらの方法はいずれも苛酷な腐
食環境下で使用される用途用に開発されたもので、前者
は亜鉛系めっき鋼板を原板としＣｒ換算で付着量５〜２
００ｍｇ／ｍ2のクロメート被膜層を形成し耐食性を向
上させているが、このクロメート被膜にはＣｒ6+が含有
しているため黄色で透明性を確保できない欠点を有す
る。また、後者は使用原板がステンレスであり、かつ、
樹脂被膜層およびその処理のためのコストが高価であ
り、これらの方法は経済的でないという欠点を有してい
る。
食環境下で使用される用途用に開発されたもので、前者
は亜鉛系めっき鋼板を原板としＣｒ換算で付着量５〜２
００ｍｇ／ｍ2のクロメート被膜層を形成し耐食性を向
上させているが、このクロメート被膜にはＣｒ6+が含有
しているため黄色で透明性を確保できない欠点を有す
る。また、後者は使用原板がステンレスであり、かつ、
樹脂被膜層およびその処理のためのコストが高価であ
り、これらの方法は経済的でないという欠点を有してい
る。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】本発明は安価で光沢ク
ロムの光沢性を有する加工耐食性に優れた透明樹脂被覆
めっき鋼板を提供することにある。
ロムの光沢性を有する加工耐食性に優れた透明樹脂被覆
めっき鋼板を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
原板の粗度、光沢ニッケルめっき、光沢クロムめっきお
よび透明樹脂被膜条件が意匠性に及ぼす影響について種
々研究した結果、原板粗さは光沢性のためには小さいほ
ど好ましいが、コイル搬送時の表面への疵付き性や生産
性の点で不経済となるため、原板に直接クロムめっきを
施す場合は原板表面の中心線平均粗さを０．１μｍ以下
かつ最大粗さを１μｍ以下とし、またさらに光沢の優れ
た表面にするため、ニッケルとクロムの２層めっきを施
す場合は原板の中心線平均粗さ０．２μｍ以下である低
炭素鋼板を使用する。上述のめっき原板を使用し直接ま
たは下地として厚さ１〜３μｍの光沢ニッケルを介して
金属Ｃｒ量で５０〜３００ｍｇ／ｍ2の光沢クロムめっ
きを行い、さらに上層にクロメート処理を施すことな
く、直接熱硬化性を有するポリウレタンなどの透明樹脂
を、またはさらに耐食性の優れた被膜を得るために、こ
の透明樹脂に乾燥後の被膜重量比で５〜３０ｗｔ％のコ
ロイダルシリカを混入させた有機無機混合の透明樹脂を
乾燥後被膜厚さで１〜１０μｍに塗布し約２４０℃で焼
き付けることにより密着性の良い金属クロムの光沢を有
し、加工耐食性に優れた安価な透明樹脂被覆めっき鋼板
が得られることを見いだした。
原板の粗度、光沢ニッケルめっき、光沢クロムめっきお
よび透明樹脂被膜条件が意匠性に及ぼす影響について種
々研究した結果、原板粗さは光沢性のためには小さいほ
ど好ましいが、コイル搬送時の表面への疵付き性や生産
性の点で不経済となるため、原板に直接クロムめっきを
施す場合は原板表面の中心線平均粗さを０．１μｍ以下
かつ最大粗さを１μｍ以下とし、またさらに光沢の優れ
た表面にするため、ニッケルとクロムの２層めっきを施
す場合は原板の中心線平均粗さ０．２μｍ以下である低
炭素鋼板を使用する。上述のめっき原板を使用し直接ま
たは下地として厚さ１〜３μｍの光沢ニッケルを介して
金属Ｃｒ量で５０〜３００ｍｇ／ｍ2の光沢クロムめっ
きを行い、さらに上層にクロメート処理を施すことな
く、直接熱硬化性を有するポリウレタンなどの透明樹脂
を、またはさらに耐食性の優れた被膜を得るために、こ
の透明樹脂に乾燥後の被膜重量比で５〜３０ｗｔ％のコ
ロイダルシリカを混入させた有機無機混合の透明樹脂を
乾燥後被膜厚さで１〜１０μｍに塗布し約２４０℃で焼
き付けることにより密着性の良い金属クロムの光沢を有
し、加工耐食性に優れた安価な透明樹脂被覆めっき鋼板
が得られることを見いだした。
【０００９】以下、本発明について詳細に説明する。
【００１０】本発明において使用される原板は一般に使
用されている低炭素鋼で焼鈍・調質圧延を行ったフルフ
ィニッシュ仕上げの板厚０．１〜１．５ｍｍ、中心線平
均粗さ０．１μｍかつ最大粗さが１μｍ以下または中心
線平均粗さ０．２μｍ以下の冷延鋼板である。原板板厚
は厚いほど折曲げ加工時の部分的な加工歪みに伴う光沢
や耐食性の劣化が大きいので１．５ｍｍ以下、好ましく
は１．０ｍｍ以下である。また、原板の表面粗度は製品
の意匠性に大きな影響を与えるが、特に下地に光沢ニッ
ケルを施さない場合、光沢クロムめっきによる光沢性向
上に効果がある中心線平均粗さで０．１μｍ以下かつ最
大粗さが１μｍ以下が好ましい。下地めっきとして光沢
ニッケルを施す場合は原板の中心線平均粗さが０．２μ
ｍ以下とするが、より好ましくは中心線平均粗さ０．１
μｍ以下の冷延鋼板である。
用されている低炭素鋼で焼鈍・調質圧延を行ったフルフ
ィニッシュ仕上げの板厚０．１〜１．５ｍｍ、中心線平
均粗さ０．１μｍかつ最大粗さが１μｍ以下または中心
線平均粗さ０．２μｍ以下の冷延鋼板である。原板板厚
は厚いほど折曲げ加工時の部分的な加工歪みに伴う光沢
や耐食性の劣化が大きいので１．５ｍｍ以下、好ましく
は１．０ｍｍ以下である。また、原板の表面粗度は製品
の意匠性に大きな影響を与えるが、特に下地に光沢ニッ
ケルを施さない場合、光沢クロムめっきによる光沢性向
上に効果がある中心線平均粗さで０．１μｍ以下かつ最
大粗さが１μｍ以下が好ましい。下地めっきとして光沢
ニッケルを施す場合は原板の中心線平均粗さが０．２μ
ｍ以下とするが、より好ましくは中心線平均粗さ０．１
μｍ以下の冷延鋼板である。
【００１１】図１は低炭素鋼板上に、厚さ１μｍの光沢
ニッケルめっきをした時の表面光沢に及ぼすめっき原板
粗度の影響を記したものである。光沢度は日本電色
（株）製光沢計“ＶＧ−２ＰＤ”（反射角度：２０゜）
で測定した値であるが原板の平均粗さが０．２μｍを越
えるとめっき後の光沢度が急激に低下した。原板粗さは
光沢性のためには小さいほど好ましいが、０．０３μｍ
以下であるとコイル搬送時の表面への疵付き性や生産性
の点で不経済である。また０．２μｍ以上であると後工
程の光沢ニッケルめっきを行っても目的とする光沢性の
ある鋼板が得られない。従って原板の中心線平均粗さは
０．２μｍ以下、好ましくはニッケルめっきを施さない
めっき原板と同じく０．１０μｍ以下のものが推奨され
る。
ニッケルめっきをした時の表面光沢に及ぼすめっき原板
粗度の影響を記したものである。光沢度は日本電色
（株）製光沢計“ＶＧ−２ＰＤ”（反射角度：２０゜）
で測定した値であるが原板の平均粗さが０．２μｍを越
えるとめっき後の光沢度が急激に低下した。原板粗さは
光沢性のためには小さいほど好ましいが、０．０３μｍ
以下であるとコイル搬送時の表面への疵付き性や生産性
の点で不経済である。また０．２μｍ以上であると後工
程の光沢ニッケルめっきを行っても目的とする光沢性の
ある鋼板が得られない。従って原板の中心線平均粗さは
０．２μｍ以下、好ましくはニッケルめっきを施さない
めっき原板と同じく０．１０μｍ以下のものが推奨され
る。
【００１２】下地として光沢ニッケルめっきを施す場合
は一般的なワット浴やスルファミン酸浴、その他いずれ
の光沢ニッケルめっき浴を用いてもよいが、厚さ１〜３
μｍめっきする。光沢ニッケルめっきのめっき厚が光沢
に及ぼす影響は添加する光沢剤の種類と量により異なる
が一般的に１μｍ以下であると所定の光沢が得られな
い。また３μｍ以上付着させてもその効果は飽和し不経
済であるので１〜３μｍの範囲とする。
は一般的なワット浴やスルファミン酸浴、その他いずれ
の光沢ニッケルめっき浴を用いてもよいが、厚さ１〜３
μｍめっきする。光沢ニッケルめっきのめっき厚が光沢
に及ぼす影響は添加する光沢剤の種類と量により異なる
が一般的に１μｍ以下であると所定の光沢が得られな
い。また３μｍ以上付着させてもその効果は飽和し不経
済であるので１〜３μｍの範囲とする。
【００１３】光沢のあるめっき原板または下地として光
沢ニッケルめっきしためっき鋼板の片面または両面に電
解クロムめっきを施すが、表１の原板サンプルＮｏ．２
をめっき原板とした場合のクロムめっき量が光沢に及ぼ
す影響を図２に示す。クロムめっき量は５０〜３００ｍ
ｇ／ｍ2が好ましい。５０ｍｇ／ｍ2以下では光沢クロム
としての光沢性が確保できず、また３００ｍｇ／ｍ2以
上ではストリップ状でのめっきとして生産性が低下し経
済的でないからである。より好ましくは光沢があり、か
つ経済的な１００〜２００ｍｇ／ｍ2である。この光沢
クロムめっき条件については特に規定されるものでな
く、一般に用いられているＴＦＳ（ティンフリースチー
ル）用のめっき浴やサージェント浴を用いることができ
る。クロムオキサイドはクロムの酸素親和力が強いため
必然的に生成し、この被膜は耐食性向上に寄与するが過
剰であると光沢を劣化させるので３０ｍｇ／ｍ2以下、
好ましくは２０ｍｇ／ｍ2以下である。
沢ニッケルめっきしためっき鋼板の片面または両面に電
解クロムめっきを施すが、表１の原板サンプルＮｏ．２
をめっき原板とした場合のクロムめっき量が光沢に及ぼ
す影響を図２に示す。クロムめっき量は５０〜３００ｍ
ｇ／ｍ2が好ましい。５０ｍｇ／ｍ2以下では光沢クロム
としての光沢性が確保できず、また３００ｍｇ／ｍ2以
上ではストリップ状でのめっきとして生産性が低下し経
済的でないからである。より好ましくは光沢があり、か
つ経済的な１００〜２００ｍｇ／ｍ2である。この光沢
クロムめっき条件については特に規定されるものでな
く、一般に用いられているＴＦＳ（ティンフリースチー
ル）用のめっき浴やサージェント浴を用いることができ
る。クロムオキサイドはクロムの酸素親和力が強いため
必然的に生成し、この被膜は耐食性向上に寄与するが過
剰であると光沢を劣化させるので３０ｍｇ／ｍ2以下、
好ましくは２０ｍｇ／ｍ2以下である。
【００１４】上述の表面処理した鋼板を一般的に用いら
れるクロメート処理やリン酸処理を施すことなく、乾燥
後透明で熱硬化の性質を有する水系エマルジョンや溶剤
系のポリウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステ
ル樹脂系、アクリル樹脂系およびフッ素樹脂系の１種以
上を混合した樹脂、またはこの樹脂に対して乾燥後の被
膜重量比で１〜３０ｗｔ％のコロイダルシリカを混入さ
せた有機無機混合樹脂を乾燥後被膜厚さで１〜１０μｍ
に塗布する。さらに、この塗布した鋼板を１５０〜３０
０℃で焼付け、乾燥し被膜を形成させる。
れるクロメート処理やリン酸処理を施すことなく、乾燥
後透明で熱硬化の性質を有する水系エマルジョンや溶剤
系のポリウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステ
ル樹脂系、アクリル樹脂系およびフッ素樹脂系の１種以
上を混合した樹脂、またはこの樹脂に対して乾燥後の被
膜重量比で１〜３０ｗｔ％のコロイダルシリカを混入さ
せた有機無機混合樹脂を乾燥後被膜厚さで１〜１０μｍ
に塗布する。さらに、この塗布した鋼板を１５０〜３０
０℃で焼付け、乾燥し被膜を形成させる。
【００１５】コロイダルシリカ添加量の増加につれて被
膜は若干硬化する。また、適当量の添加により耐食性が
向上するが逆に過剰になると加工部の耐食性は劣化する
ので乾燥被膜中におけるこのコロイダルシリカの量は、
樹脂に対する重量含有率として３０％以下、好ましくは
５〜２０％である。
膜は若干硬化する。また、適当量の添加により耐食性が
向上するが逆に過剰になると加工部の耐食性は劣化する
ので乾燥被膜中におけるこのコロイダルシリカの量は、
樹脂に対する重量含有率として３０％以下、好ましくは
５〜２０％である。
【００１６】乾燥後の被膜厚さを規定した理由は１μｍ
以下であると干渉色を生じ外観上好ましくない。また１
０μｍ以上は塗布しても耐食性向上に寄与せず、経済的
でないからである。塗布後の焼付け温度と時間は樹脂の
種類などにより異なり必ずしも一様でなく、被膜の密着
性を考慮して設定される。
以下であると干渉色を生じ外観上好ましくない。また１
０μｍ以上は塗布しても耐食性向上に寄与せず、経済的
でないからである。塗布後の焼付け温度と時間は樹脂の
種類などにより異なり必ずしも一様でなく、被膜の密着
性を考慮して設定される。
【００１７】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。
る。
【００１８】実施例１ 表１に示す表面粗度が異なる２種類の板厚０．４ｍｍの
低炭素鋼板を供試材としてアルカリ脱脂及び硫酸酸洗に
よる清浄化処理と活性化処理を施した後、下記低濃度の
クロムめっき浴にて１００〜２００ｍｇ／ｍ2の光沢ク
ロムめっきを行い、さらにポリウレタン樹脂またはアク
リル樹脂を厚さ１〜１０μｍ塗布した後、板温を２００
〜２４０℃に加熱し、樹脂被膜を形成させた。焼付け温
度が２００℃以下では塗膜密着性が劣った。樹脂被覆め
っき鋼板の特性評価は光沢度と塩水噴霧試験で評価し
た。その結果を表２に示す。乾燥後塗膜厚さ１μｍ以下
では干渉色が発生したが色調がステンレスに類似し、光
沢性と加工耐食性に優れた樹脂被覆めっき鋼板が得られ
た。比較例10はめっき原板にクロムめっきを施すことな
く、直接透明樹脂を被覆したもの、また比較例11は原板
表面の最大粗さが規定した値より高い鋼板をめっき原板
として使用したものでいずれも光沢度が劣った。比較例
12は樹脂の塗膜が薄いため光沢度は良いが、干渉色が生
じた。また比較例13はクロムめっきのみで、透明樹脂を
被覆しないもので加工部の耐食性が良くないという問題
があった。
低炭素鋼板を供試材としてアルカリ脱脂及び硫酸酸洗に
よる清浄化処理と活性化処理を施した後、下記低濃度の
クロムめっき浴にて１００〜２００ｍｇ／ｍ2の光沢ク
ロムめっきを行い、さらにポリウレタン樹脂またはアク
リル樹脂を厚さ１〜１０μｍ塗布した後、板温を２００
〜２４０℃に加熱し、樹脂被膜を形成させた。焼付け温
度が２００℃以下では塗膜密着性が劣った。樹脂被覆め
っき鋼板の特性評価は光沢度と塩水噴霧試験で評価し
た。その結果を表２に示す。乾燥後塗膜厚さ１μｍ以下
では干渉色が発生したが色調がステンレスに類似し、光
沢性と加工耐食性に優れた樹脂被覆めっき鋼板が得られ
た。比較例10はめっき原板にクロムめっきを施すことな
く、直接透明樹脂を被覆したもの、また比較例11は原板
表面の最大粗さが規定した値より高い鋼板をめっき原板
として使用したものでいずれも光沢度が劣った。比較例
12は樹脂の塗膜が薄いため光沢度は良いが、干渉色が生
じた。また比較例13はクロムめっきのみで、透明樹脂を
被覆しないもので加工部の耐食性が良くないという問題
があった。
【００１９】 供試材 ＊１：Ｃ方向；圧延方向に対し９０度方向
【００２０】クロムめっき条件 めっき浴組成 無水クロム酸 ：１００ｇ／ｌ 硫酸 ：０．４ｇ／ｌ ホウフッカ水素酸：０．４ｇ／ｌ 電解条件 ＰＨ ：０．１ 温度 ：５０℃ 電流密度：６０Ａ／ｄｍ2
【００２１】使用樹脂： １）東亞合成（株）製 ポリウレタン系エマルジョン樹
脂（水系） ＵＥＺー１１５；固形分３２％ ２）三井東圧（株）製 アクリル系エマルジョン樹脂
（水系） アルマテックス Ｅ２０８；固形分４５％
脂（水系） ＵＥＺー１１５；固形分３２％ ２）三井東圧（株）製 アクリル系エマルジョン樹脂
（水系） アルマテックス Ｅ２０８；固形分４５％
【００２２】使用コロイダルシリカ： １）触媒化成工業（株）製 カタロイド ＳＩ−３０ 粒子径：１０〜１４ｎｍ、固形分３０％
【００２３】光沢度評価方法：日本電色（株）製 光
沢計“ＶＧ−２ＰＤ”（反射角度：２０゜）で測定し、
結果を「◎」「○」「△」「×」で表示した。その意味
するところは下記に準じた。 「◎」：光沢度が１００１以上 「○」：光沢度が ７０１〜１０００ 「△」：光沢度が ５００〜 ７００ 「×」：光沢度が ５００未満
沢計“ＶＧ−２ＰＤ”（反射角度：２０゜）で測定し、
結果を「◎」「○」「△」「×」で表示した。その意味
するところは下記に準じた。 「◎」：光沢度が１００１以上 「○」：光沢度が ７０１〜１０００ 「△」：光沢度が ５００〜 ７００ 「×」：光沢度が ５００未満
【００２４】耐食性評価方法 樹脂を塗布（一部はクロムめっきのみ）した鋼板を大き
さ１０ｘ１２０ｃｍに切断し、その平板部の状態と内側
曲げ半径１ｍｍで９０度折曲げ加工した２種類のサンプ
ルを塩水噴霧試験（ＪＩＳ Ｚ２３７１）に供した。評
価はこの平板部と９０度折曲げ加工部について塩水噴霧
２４時間後の赤錆発生面積比を測定し、結果を「◎」
「○」「△」「×」で表示した。その意味するところは
下記に準じた。 「◎」：０ 〜０.０２％未満［耐食性；優］ 「○」：０.０２〜０.０５％未満 「△」：０.０５〜０.１％未満 「×」：０.１％以上 ［耐食性；劣］
さ１０ｘ１２０ｃｍに切断し、その平板部の状態と内側
曲げ半径１ｍｍで９０度折曲げ加工した２種類のサンプ
ルを塩水噴霧試験（ＪＩＳ Ｚ２３７１）に供した。評
価はこの平板部と９０度折曲げ加工部について塩水噴霧
２４時間後の赤錆発生面積比を測定し、結果を「◎」
「○」「△」「×」で表示した。その意味するところは
下記に準じた。 「◎」：０ 〜０.０２％未満［耐食性；優］ 「○」：０.０２〜０.０５％未満 「△」：０.０５〜０.１％未満 「×」：０.１％以上 ［耐食性；劣］
【００２５】 ＊１：Ｃ方向；圧延方向に対し９０度方向
【００２６】実施例２ 表３に示す４種類の低炭素鋼板を供試材としてアルカリ
脱脂および硫酸酸洗による清浄化処理と活性化処理を施
した後、下記ワット浴にて１．５μｍの光沢ニッケルめ
っきを行い、さらに乾燥することなく実施例１で記した
条件で付着量１００〜２００ｍｇ／ｍ2の光沢クロムめ
っきを行った。このめっき鋼板に水系または溶剤系エマ
ルジョンのポリウレタン樹脂を乾燥後塗膜厚さ１〜１０
μｍに塗布した後、２２０〜２４０℃に加熱、乾燥し樹
脂被膜を形成させた。樹脂被覆めっき鋼板の特性評価は
光沢度と塩水噴霧試験で評価し、その結果を表４に示
す。めっき原板の板厚が厚いほど９０度折曲げ加工部の
耐食性は劣化する傾向が認められた。比較例９は光沢ニ
ッケルと光沢クロムは発明例と同様に実施したが透明樹
脂被覆をしていないめっき鋼板である。また、比較例10
と11は３μｍの無光沢ニッケルめっき後、非酸化性雰囲
気中で５５０℃で５時間熱拡散し、さらに発明例と同じ
く１．５μｍの光沢ニッケルめっきと付着量１００ｍｇ
／ｍ2の光沢クロムめっきを施しためっき熱拡散処理鋼
板である。
脱脂および硫酸酸洗による清浄化処理と活性化処理を施
した後、下記ワット浴にて１．５μｍの光沢ニッケルめ
っきを行い、さらに乾燥することなく実施例１で記した
条件で付着量１００〜２００ｍｇ／ｍ2の光沢クロムめ
っきを行った。このめっき鋼板に水系または溶剤系エマ
ルジョンのポリウレタン樹脂を乾燥後塗膜厚さ１〜１０
μｍに塗布した後、２２０〜２４０℃に加熱、乾燥し樹
脂被膜を形成させた。樹脂被覆めっき鋼板の特性評価は
光沢度と塩水噴霧試験で評価し、その結果を表４に示
す。めっき原板の板厚が厚いほど９０度折曲げ加工部の
耐食性は劣化する傾向が認められた。比較例９は光沢ニ
ッケルと光沢クロムは発明例と同様に実施したが透明樹
脂被覆をしていないめっき鋼板である。また、比較例10
と11は３μｍの無光沢ニッケルめっき後、非酸化性雰囲
気中で５５０℃で５時間熱拡散し、さらに発明例と同じ
く１．５μｍの光沢ニッケルめっきと付着量１００ｍｇ
／ｍ2の光沢クロムめっきを施しためっき熱拡散処理鋼
板である。
【００２７】 供試材 ＊１：Ｃ方向；圧延方向に対し９０度方向
【００２８】光沢ニッケルめっき条件 ワット浴組成 硫酸ニッケル：２４０ ｇ／ｌ 塩化ニッケル ： ４５ ｇ／ｌ ほう酸 ： ３０ ｇ／ｌ 光沢剤 ： 添加 電解条件 ＰＨ ：４．３ 温度 ：５０℃ 電流密度：６ Ａ／ｄｍ2
【００２９】使用樹脂 １）東亞合成（株）製 ポリウレタン系エマルジョン樹
脂（水系） ＵＥＺー１１５；固形分３２％ ２）三井東圧（株）製 ポリウレタン系エマルジョン樹
脂（溶剤系） オレスター ＮＬ２４５０Ｈ３０；固形分３０％
脂（水系） ＵＥＺー１１５；固形分３２％ ２）三井東圧（株）製 ポリウレタン系エマルジョン樹
脂（溶剤系） オレスター ＮＬ２４５０Ｈ３０；固形分３０％
【００３０】使用コロイダルシリカ： １）触媒化成工業（株）製 カタロイド ＳＩ−３０
（水系） 粒子径：１０〜１４ｎｍ、固形分３０％ ２）日産化学（株）製 スノーテックス（溶剤系） 粒子径：１０〜２０ｎｍ、固形分３１％
（水系） 粒子径：１０〜１４ｎｍ、固形分３０％ ２）日産化学（株）製 スノーテックス（溶剤系） 粒子径：１０〜２０ｎｍ、固形分３１％
【００３１】評価方法 光沢度および耐食性の評価方法については実施例１に準
じた。
じた。
【００３２】 ＊１：Ｃ方向;圧延方向に対し９０度方向
【００３３】
【発明の効果】原板表面の粗さを規定した低炭素鋼板の
表面に直接、または下地として光沢ニッケルめっきを施
した表面に光沢クロムと透明樹脂を被覆した鋼板は安価
で光沢性に優れ、屋内裸用鋼板として用いることができ
る。
表面に直接、または下地として光沢ニッケルめっきを施
した表面に光沢クロムと透明樹脂を被覆した鋼板は安価
で光沢性に優れ、屋内裸用鋼板として用いることができ
る。
【００３４】
【図１】光沢ニッケルめっき後の光沢に及ぼすめっき原
板の中心線平均粗さの影響を示す図面である。
板の中心線平均粗さの影響を示す図面である。
【図２】表面光沢に及ぼす光沢クロムめっき厚さの影響
を示す図面である。
を示す図面である。
Claims (4)
- 【請求項１】 めっき原板表面の平均粗さが０．１μｍ
以下でありかつ最大表面粗さが１μｍ以下である低炭素
鋼板の表面に、金属Ｃｒ量で５０〜３００ｍｇ／ｍ2の
金属光沢を有するクロムめっき層を施し、さらにそのめ
っき表面の片面又は両面に透明樹脂を乾燥後被膜厚さ１
〜１０μｍに塗布した、光沢性と加工耐食性に優れた透
明樹脂被覆めっき鋼板。 - 【請求項２】 請求項１の透明樹脂において、固形分の
重量比で５〜３０ｗｔ％のコロイダルシリカを混入させ
た有機無機混合樹脂として、乾燥後被膜厚さ１〜１０μ
ｍに塗布した光沢性と加工耐食性に優れた透明樹脂被覆
めっき鋼板。 - 【請求項３】 めっき原板の平均粗さが０．２μｍ以下
である低炭素鋼板の表面に光沢ニッケルめっきとそのニ
ッケルめっき表面の片面もしくは両面に金属Ｃｒ量で５
０ｍｇ〜３００ｍｇ／ｍ2の金属光沢を有するクロムめ
っき層、さらにそのクロムめっき表面の片面もしくは両
面に透明樹脂を乾燥後被膜厚さ１〜１０μｍに塗布した
光沢性と加工耐食性に優れた透明樹脂被覆めっき鋼板。 - 【請求項４】 請求項３の透明樹脂において、固形分の
重量比で５〜３０ｗｔ％のコロイダルシリカを混入させ
た有機無機混合樹脂として乾燥後被膜厚さ１〜１０μｍ
に塗布した光沢性と加工耐食性に優れた透明樹脂被覆め
っき鋼板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP06146963A JP3081106B2 (ja) | 1994-06-07 | 1994-06-07 | 光沢性と加工耐食性に優れた透明樹脂被覆めっき鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP06146963A JP3081106B2 (ja) | 1994-06-07 | 1994-06-07 | 光沢性と加工耐食性に優れた透明樹脂被覆めっき鋼板 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07331458A JPH07331458A (ja) | 1995-12-19 |
| JP3081106B2 true JP3081106B2 (ja) | 2000-08-28 |
Family
ID=15419547
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP06146963A Expired - Fee Related JP3081106B2 (ja) | 1994-06-07 | 1994-06-07 | 光沢性と加工耐食性に優れた透明樹脂被覆めっき鋼板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3081106B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP2416400A1 (en) | 2009-03-31 | 2012-02-08 | Nippon Steel Corporation | Material for metallic outer case for secondary battery utilizing non-aqueous electrolyte, metallic outer case, secondary battery, and process for production of material for metallic outer case |
-
1994
- 1994-06-07 JP JP06146963A patent/JP3081106B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH07331458A (ja) | 1995-12-19 |
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