JPS6243000B2 - - Google Patents
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- JPS6243000B2 JPS6243000B2 JP9437381A JP9437381A JPS6243000B2 JP S6243000 B2 JPS6243000 B2 JP S6243000B2 JP 9437381 A JP9437381 A JP 9437381A JP 9437381 A JP9437381 A JP 9437381A JP S6243000 B2 JPS6243000 B2 JP S6243000B2
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- zinc
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Description
本発明は鋼板の少なくとも一方の面にニツケル
加熱拡散層を形成した後、その拡散被膜上に重ね
て亜鉛−ニツケル合金めつきを施し、耐食性、塗
装性、溶接性および被膜の加工性の優れた亜鉛−
ニツケル合金めつき鋼板を製造する方法に関する
ものである。 省資源、省エネルギーの観点から耐久化傾向が
強まり、耐食性の優れた表面処理鋼板が要求さ
れ、しかも苛酷な条件下で使用される場合が増加
している。特に自動車車体の腐食環境がますます
苛酷になり、車体腐食が大きな問題になつてい
る。最近、自動車の防食に関して法令による規制
が行われ、例えば、カナダでは1981年車に対して
表面の錆なし1年、孔あき腐食なし5年の保証が
義務付けられている。 このような車体の腐食対策として、亜鉛めつき
鋼板の耐食性を改善する方法が考えられ、合金め
つきや複合めつきの研究が種々行われている。そ
の中で特に亜鉛−ニツケル合金めつき鋼板は耐食
性、溶接性、塗装性などの優れた表面特性を有
し、例えば、特開昭55−110791号、特開昭55−
152194号などにその有用性が報告され、なかでも
10〜20%のニツケル含有合金(γ単相)が最も優
れた耐食性が得られることが発表されている。自
動車車体の内面腐食に対しては、ニツケル含有量
が10〜20wt%の亜鉛−ニツケル合金めつきが亜
鉛めつきより優れた耐食性を示すが、苛酷な腐食
条件では必ずしも満足できないことがわかつてき
た。 本発明は上述の亜鉛−ニツケル合金めつき鋼板
の耐食性、皮膜の加工性等をさらに改良すること
を目的として鋭意研究を重ねた結果、鋼板の少な
くとも一方の面にニツケル被覆層を形成し、非酸
化性雰囲気中で加熱して鋼中にニツケル拡散層を
形成し、この後に鋼板の少なくとも一方の面に形
成したニツケル拡散層上に亜鉛−ニツケル合金め
つきをニツケル含有率が3〜9wt%(η+γ二
相)または10〜20wt%(γ単相)となるよう施
すことにより所期の目的に有利に適合することを
見い出し、本発明に至つた。 本発明は亜鉛−ニツケル合金めつき鋼板の耐食
性、皮膜の加工性などを改良しようとするもので
あり、鋼板の少なくとも片面にニツケル被覆層を
形成し、非酸化性雰囲気中で加熱して鋼中にニツ
ケルの拡散層を形成した後、鋼板の少なくとも片
面に形成したニツケル拡散層の上に所要量のニツ
ケル含有率の亜鉛−ニツケル合金めつきを施して
上記目的に適う表面処理鋼板を製造する方法にあ
る。 本発明においては、上述のように純粋なニツケ
ル下地層の代りにニツケル拡散層を形成するので
あるが、このようにニツケル拡散層を形成すると
以下のような効果が得られる。 (1) ニツケル拡散層(Ni15g/m2以下、、好まし
くは1〜5g/m2)を鋼中に浸透拡散させた新
たな鋼板表面状態をつくり出すことによつて、
鋼板表面と亜鉛−ニツケル合金めつき層との電
気的接触により生ずる腐食電流を小さくするこ
とができる。 (2) 純粋なニツケル被覆層は亜鉛−ニツケル合金
めつき層および鋼板より著しく貴な電位にあ
り、亜鉛−ニツケル合金めつき層のピンホール
あるいは欠陥部から下地のニツケル被散層が露
出すると腐食電流が大きくなり、逆に耐食性が
低下し好ましくない。 本発明において用いる鋼板の種類、寸法には特
に限定されることはないが、鋼中に拡散層を形成
するためのニツケル付着量は15g/m2以下が望ま
しく、好ましくは1〜5g/m2が良い。ニツケル
付着量が0.5g/m2未満ではニツケル拡散層によ
る耐食性の向上はなく、20g/m2以上では製造コ
ストのアツプのために経済的でなくなるからであ
る。ニツケル被覆層の形成方法は電気めつき、化
学めつき、蒸着等の任意の方法でよいが、ニツケ
ル塩化物を塗布してニツケル拡散を行う場合の加
熱雰囲気は還元性にする必要がある。ニツケルの
鋼中への拡散のための加熱は非酸化性雰囲気中で
450〜950℃で、好ましくは600〜850℃の温度で行
うのが良い。450℃以下の温度では鋼中へのニツ
ケル拡散が十分に進行せず、850℃以上では鋼板
が軟化し、材質、形状等に悪影響を及ぼすからで
ある。加熱時間はニツケルを拡散させるに必要な
時間として5秒以上あれば良く、5秒以下では十
分な拡散が行なわれない。 ニツケル拡散層上に施す亜鉛−ニツケル合金め
つきは本発明者等の研究によると次のようなこと
が判明した。 (1) ニツケル含有量が10〜20wt%のγ単相が犠
牲防食性があり、かつ耐食性が最も優れてい
る。 (2) ニツケル含有量が3〜9wt%のη+γ二相は
γ単相に比べて若干耐食性は低下するが、一方
皮膜の加工性が優れており、加工部での耐食性
の低下がない。なお、η相は亜鉛中にニツケル
が固溶した相である。 本発明において用いられるめつき浴は高電流密
度が得られ、めつき浴の電気伝導度が良いことが
望ましく、この観点から硫酸浴、塩化浴またはこ
れらの混合浴が用いられる。このような浴を用い
て亜鉛−ニツケル合金めつきを形成させる連続電
気めつき方法において、ニツケル含有率はめつき
条件により異なることが知られている。すなわ
ち、ニツケル含有率は浴中のNi2+モル濃度比の増
大、浴温の上昇、電流密度の増大、PHの上昇、液
流速の減少などにより増加する傾向がある。 従つて、硫酸塩浴では、ニツケル含有率が10〜
20wt%のγ単相の析出は、Ni2+モル濃度60〜80
%、PH2〜4、浴温40〜70℃、電流密度20〜
80A/dm2、流速20m/min以上のめつき条件で
得られ、ニツケル含有率が3〜9wt%のη+γ二
相の析出は、Ni2+モル濃度60%未満、流速10m/
min以上で得られる。一方、塩化物浴では、ニツ
ケル含有率が10〜20wt%のγ単相の析出は、
Ni2+モル濃度40〜60%、PH2〜4、浴温40〜70
℃、電流密度20〜150A/dm2、流速20m/min以
上のめつき条件で得られ、ニツケル含有率が3〜
9wt%のη+γ二相の析出は、Ni2+モル濃度40%
未満、流速10m/min以上で得られる。また、硫
酸塩と塩化物との混合浴ではその混合比率によつ
て異なり、Ni2+モル濃度25〜75%の範囲で変える
ことによりγ単相もしくはη+γ二相の析出が任
意に得られる。以下、本発明を実施例につき説明
する。 実施例 1 素材SPCC、板厚0.7mm、幅100mm、長さ200mmの
冷延鋼板を電解脱脂酸洗を行つた後、ワツト浴を
用いて5A/dm2の電流密度、浴温50℃で片面に
0.5〜10g/m2のニツケル付着量となるように電
気めつきした。その後、H2(10%)+N2(90%)
の還元雰囲気中で板温800℃で30秒加熱し、ニツ
ケル拡散を行つた。この試料に、さらに硫酸浴
(浴中のNi2+モル濃度比75%)を用いて30A/d
m2の電流密度、浴温50℃で、ニツケル含有量
13wt%のγ単相よりなる亜鉛−ニツケル合金め
つきを20g/m2施した。 このようにして得られた本発明による表面処理
鋼板、比較材として、ニツケルめつき後加熱拡散
処理を行わずに亜鉛−ニツケル合金したもの、亜
鉛−ニツケル合金めつき鋼板および冷延鋼板につ
いて以下に記すような種々の試験を行つた。その
結果を表1に示す。 (1) 無塗装での耐食性 塩水噴霧試験(JIS Z 2371)による平板お
よび円筒深絞り加工部の赤錆発生までの日数を
測定した。 (2) 電着塗装後の耐食性 塩水噴霧試験30日後におけるカチオン型電着
塗装(10μm)クロスカツト部からの塗膜のふ
くれ程度を測定した。評価は、◎良、〇やや
良、×不良、で示す。 (3) 3コート塗装後の密着性 塩水噴霧試験90日後における3コート(電着
+中塗り+上塗り)クロスカツト部のセロテー
プ剥離法による塗膜の剥離程度を測定した。 表1の試験結果から、本発明による表面処理鋼
板は従来のものに比べて、無塗装での耐食性、塗
装後の耐食性および塗膜密着性が著しく改良され
ていることが明らかである。 なお、実施例1の比較例に示すγ単相よりなる
亜鉛−ニツケル合金めつき鋼板は、めつき皮膜の
本質的な特性に基因し、深絞り加工によつてめつ
き皮膜に亀裂を生じるために、耐食性は著しく低
下する。しかし、本発明のように、亜鉛−ニツケ
ル合金めつき層の下地にニツケル拡散層を有し、
素地鋼が露出しない場合は耐食性の低下が少な
く、比較材に比べて耐食性は著しく優れている。 実施例 2 実施例1と同様に冷延鋼板を電解脱脂酸洗を行
つた後、ニツケルめつきを行ない、実施例1と同
様にしてニツケル拡散を行なつた。さらに、この
試料に塩化物浴(浴中のNi2+モル濃度比30%)を
用いて、50A/dm2の電流密度、浴温50℃で、ニ
ツケル含有量8wt%のη+γ二相よりなる亜鉛−
ニツケル合金めつきを20g/m2施した。 このようにして得られた本発明による表面処理
鋼板、比較材として、ニツケルめつき後加熱拡散
処理を行わずに亜鉛−ニツケルめつきしたも
の、、亜鉛−ニツケル合金めつき鋼板および冷延
鋼板について、実施例1と同様に種々の試験を行
つた。その結果を表2に示す。 下表2の試験結果から、本発明による表面処理
鋼板は従来のものに比べて、無塗装での耐食性、
塗装後の耐食性および塗膜密着性が著しく改良さ
れていることが明らかである。 なお、実施例2に示す亜鉛−ニツケル合金めつ
きがη+γ二相よりなる本発明例の場合は、めつ
き皮膜の耐加工性が優れているため、深絞り加工
によるめつき皮膜の亀裂はなく、加工による耐食
性の低下は殆んどない。一方、比較例のニツケル
めつき+亜鉛−ニツケル合金めつき鋼板では、特
に加工により素地鋼が露出すると、下地のニツケ
ルめつき層と亜鉛−ニツケル合金めつき層との接
触腐食が大きくなり、耐食性は低下する。
加熱拡散層を形成した後、その拡散被膜上に重ね
て亜鉛−ニツケル合金めつきを施し、耐食性、塗
装性、溶接性および被膜の加工性の優れた亜鉛−
ニツケル合金めつき鋼板を製造する方法に関する
ものである。 省資源、省エネルギーの観点から耐久化傾向が
強まり、耐食性の優れた表面処理鋼板が要求さ
れ、しかも苛酷な条件下で使用される場合が増加
している。特に自動車車体の腐食環境がますます
苛酷になり、車体腐食が大きな問題になつてい
る。最近、自動車の防食に関して法令による規制
が行われ、例えば、カナダでは1981年車に対して
表面の錆なし1年、孔あき腐食なし5年の保証が
義務付けられている。 このような車体の腐食対策として、亜鉛めつき
鋼板の耐食性を改善する方法が考えられ、合金め
つきや複合めつきの研究が種々行われている。そ
の中で特に亜鉛−ニツケル合金めつき鋼板は耐食
性、溶接性、塗装性などの優れた表面特性を有
し、例えば、特開昭55−110791号、特開昭55−
152194号などにその有用性が報告され、なかでも
10〜20%のニツケル含有合金(γ単相)が最も優
れた耐食性が得られることが発表されている。自
動車車体の内面腐食に対しては、ニツケル含有量
が10〜20wt%の亜鉛−ニツケル合金めつきが亜
鉛めつきより優れた耐食性を示すが、苛酷な腐食
条件では必ずしも満足できないことがわかつてき
た。 本発明は上述の亜鉛−ニツケル合金めつき鋼板
の耐食性、皮膜の加工性等をさらに改良すること
を目的として鋭意研究を重ねた結果、鋼板の少な
くとも一方の面にニツケル被覆層を形成し、非酸
化性雰囲気中で加熱して鋼中にニツケル拡散層を
形成し、この後に鋼板の少なくとも一方の面に形
成したニツケル拡散層上に亜鉛−ニツケル合金め
つきをニツケル含有率が3〜9wt%(η+γ二
相)または10〜20wt%(γ単相)となるよう施
すことにより所期の目的に有利に適合することを
見い出し、本発明に至つた。 本発明は亜鉛−ニツケル合金めつき鋼板の耐食
性、皮膜の加工性などを改良しようとするもので
あり、鋼板の少なくとも片面にニツケル被覆層を
形成し、非酸化性雰囲気中で加熱して鋼中にニツ
ケルの拡散層を形成した後、鋼板の少なくとも片
面に形成したニツケル拡散層の上に所要量のニツ
ケル含有率の亜鉛−ニツケル合金めつきを施して
上記目的に適う表面処理鋼板を製造する方法にあ
る。 本発明においては、上述のように純粋なニツケ
ル下地層の代りにニツケル拡散層を形成するので
あるが、このようにニツケル拡散層を形成すると
以下のような効果が得られる。 (1) ニツケル拡散層(Ni15g/m2以下、、好まし
くは1〜5g/m2)を鋼中に浸透拡散させた新
たな鋼板表面状態をつくり出すことによつて、
鋼板表面と亜鉛−ニツケル合金めつき層との電
気的接触により生ずる腐食電流を小さくするこ
とができる。 (2) 純粋なニツケル被覆層は亜鉛−ニツケル合金
めつき層および鋼板より著しく貴な電位にあ
り、亜鉛−ニツケル合金めつき層のピンホール
あるいは欠陥部から下地のニツケル被散層が露
出すると腐食電流が大きくなり、逆に耐食性が
低下し好ましくない。 本発明において用いる鋼板の種類、寸法には特
に限定されることはないが、鋼中に拡散層を形成
するためのニツケル付着量は15g/m2以下が望ま
しく、好ましくは1〜5g/m2が良い。ニツケル
付着量が0.5g/m2未満ではニツケル拡散層によ
る耐食性の向上はなく、20g/m2以上では製造コ
ストのアツプのために経済的でなくなるからであ
る。ニツケル被覆層の形成方法は電気めつき、化
学めつき、蒸着等の任意の方法でよいが、ニツケ
ル塩化物を塗布してニツケル拡散を行う場合の加
熱雰囲気は還元性にする必要がある。ニツケルの
鋼中への拡散のための加熱は非酸化性雰囲気中で
450〜950℃で、好ましくは600〜850℃の温度で行
うのが良い。450℃以下の温度では鋼中へのニツ
ケル拡散が十分に進行せず、850℃以上では鋼板
が軟化し、材質、形状等に悪影響を及ぼすからで
ある。加熱時間はニツケルを拡散させるに必要な
時間として5秒以上あれば良く、5秒以下では十
分な拡散が行なわれない。 ニツケル拡散層上に施す亜鉛−ニツケル合金め
つきは本発明者等の研究によると次のようなこと
が判明した。 (1) ニツケル含有量が10〜20wt%のγ単相が犠
牲防食性があり、かつ耐食性が最も優れてい
る。 (2) ニツケル含有量が3〜9wt%のη+γ二相は
γ単相に比べて若干耐食性は低下するが、一方
皮膜の加工性が優れており、加工部での耐食性
の低下がない。なお、η相は亜鉛中にニツケル
が固溶した相である。 本発明において用いられるめつき浴は高電流密
度が得られ、めつき浴の電気伝導度が良いことが
望ましく、この観点から硫酸浴、塩化浴またはこ
れらの混合浴が用いられる。このような浴を用い
て亜鉛−ニツケル合金めつきを形成させる連続電
気めつき方法において、ニツケル含有率はめつき
条件により異なることが知られている。すなわ
ち、ニツケル含有率は浴中のNi2+モル濃度比の増
大、浴温の上昇、電流密度の増大、PHの上昇、液
流速の減少などにより増加する傾向がある。 従つて、硫酸塩浴では、ニツケル含有率が10〜
20wt%のγ単相の析出は、Ni2+モル濃度60〜80
%、PH2〜4、浴温40〜70℃、電流密度20〜
80A/dm2、流速20m/min以上のめつき条件で
得られ、ニツケル含有率が3〜9wt%のη+γ二
相の析出は、Ni2+モル濃度60%未満、流速10m/
min以上で得られる。一方、塩化物浴では、ニツ
ケル含有率が10〜20wt%のγ単相の析出は、
Ni2+モル濃度40〜60%、PH2〜4、浴温40〜70
℃、電流密度20〜150A/dm2、流速20m/min以
上のめつき条件で得られ、ニツケル含有率が3〜
9wt%のη+γ二相の析出は、Ni2+モル濃度40%
未満、流速10m/min以上で得られる。また、硫
酸塩と塩化物との混合浴ではその混合比率によつ
て異なり、Ni2+モル濃度25〜75%の範囲で変える
ことによりγ単相もしくはη+γ二相の析出が任
意に得られる。以下、本発明を実施例につき説明
する。 実施例 1 素材SPCC、板厚0.7mm、幅100mm、長さ200mmの
冷延鋼板を電解脱脂酸洗を行つた後、ワツト浴を
用いて5A/dm2の電流密度、浴温50℃で片面に
0.5〜10g/m2のニツケル付着量となるように電
気めつきした。その後、H2(10%)+N2(90%)
の還元雰囲気中で板温800℃で30秒加熱し、ニツ
ケル拡散を行つた。この試料に、さらに硫酸浴
(浴中のNi2+モル濃度比75%)を用いて30A/d
m2の電流密度、浴温50℃で、ニツケル含有量
13wt%のγ単相よりなる亜鉛−ニツケル合金め
つきを20g/m2施した。 このようにして得られた本発明による表面処理
鋼板、比較材として、ニツケルめつき後加熱拡散
処理を行わずに亜鉛−ニツケル合金したもの、亜
鉛−ニツケル合金めつき鋼板および冷延鋼板につ
いて以下に記すような種々の試験を行つた。その
結果を表1に示す。 (1) 無塗装での耐食性 塩水噴霧試験(JIS Z 2371)による平板お
よび円筒深絞り加工部の赤錆発生までの日数を
測定した。 (2) 電着塗装後の耐食性 塩水噴霧試験30日後におけるカチオン型電着
塗装(10μm)クロスカツト部からの塗膜のふ
くれ程度を測定した。評価は、◎良、〇やや
良、×不良、で示す。 (3) 3コート塗装後の密着性 塩水噴霧試験90日後における3コート(電着
+中塗り+上塗り)クロスカツト部のセロテー
プ剥離法による塗膜の剥離程度を測定した。 表1の試験結果から、本発明による表面処理鋼
板は従来のものに比べて、無塗装での耐食性、塗
装後の耐食性および塗膜密着性が著しく改良され
ていることが明らかである。 なお、実施例1の比較例に示すγ単相よりなる
亜鉛−ニツケル合金めつき鋼板は、めつき皮膜の
本質的な特性に基因し、深絞り加工によつてめつ
き皮膜に亀裂を生じるために、耐食性は著しく低
下する。しかし、本発明のように、亜鉛−ニツケ
ル合金めつき層の下地にニツケル拡散層を有し、
素地鋼が露出しない場合は耐食性の低下が少な
く、比較材に比べて耐食性は著しく優れている。 実施例 2 実施例1と同様に冷延鋼板を電解脱脂酸洗を行
つた後、ニツケルめつきを行ない、実施例1と同
様にしてニツケル拡散を行なつた。さらに、この
試料に塩化物浴(浴中のNi2+モル濃度比30%)を
用いて、50A/dm2の電流密度、浴温50℃で、ニ
ツケル含有量8wt%のη+γ二相よりなる亜鉛−
ニツケル合金めつきを20g/m2施した。 このようにして得られた本発明による表面処理
鋼板、比較材として、ニツケルめつき後加熱拡散
処理を行わずに亜鉛−ニツケルめつきしたも
の、、亜鉛−ニツケル合金めつき鋼板および冷延
鋼板について、実施例1と同様に種々の試験を行
つた。その結果を表2に示す。 下表2の試験結果から、本発明による表面処理
鋼板は従来のものに比べて、無塗装での耐食性、
塗装後の耐食性および塗膜密着性が著しく改良さ
れていることが明らかである。 なお、実施例2に示す亜鉛−ニツケル合金めつ
きがη+γ二相よりなる本発明例の場合は、めつ
き皮膜の耐加工性が優れているため、深絞り加工
によるめつき皮膜の亀裂はなく、加工による耐食
性の低下は殆んどない。一方、比較例のニツケル
めつき+亜鉛−ニツケル合金めつき鋼板では、特
に加工により素地鋼が露出すると、下地のニツケ
ルめつき層と亜鉛−ニツケル合金めつき層との接
触腐食が大きくなり、耐食性は低下する。
【表】
【表】
Claims (1)
- 1 鋼板の少なくとも片面に付着量が0.5〜15
g/m2のニツケル被覆層を形成し、非酸化性雰囲
気中で加熱して鋼中にニツケルを拡散させてニツ
ケル拡散層を形成し、次いで鋼板のニツケル拡散
層上にニツケル含有率が3〜9wt%(η+γ二
相)または10〜20wt%(γ単相)の亜鉛−ニツ
ケル合金めつきを施すことを特徴とする高耐食性
表面処理鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9437381A JPS57210991A (en) | 1981-06-18 | 1981-06-18 | Manufacture of surface-treated steel plate with high corrosion resistance |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9437381A JPS57210991A (en) | 1981-06-18 | 1981-06-18 | Manufacture of surface-treated steel plate with high corrosion resistance |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS57210991A JPS57210991A (en) | 1982-12-24 |
| JPS6243000B2 true JPS6243000B2 (ja) | 1987-09-10 |
Family
ID=14108507
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9437381A Granted JPS57210991A (en) | 1981-06-18 | 1981-06-18 | Manufacture of surface-treated steel plate with high corrosion resistance |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS57210991A (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| ATE554190T1 (de) * | 2009-08-25 | 2012-05-15 | Thyssenkrupp Steel Europe Ag | Verfahren zum herstellen eines mit einem metallischen, vor korrosion schützenden überzug versehenen stahlbauteils und stahlbauteil |
| JP4849186B2 (ja) | 2009-10-28 | 2012-01-11 | Jfeスチール株式会社 | 熱間プレス部材およびその製造方法 |
-
1981
- 1981-06-18 JP JP9437381A patent/JPS57210991A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS57210991A (en) | 1982-12-24 |
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