JP3078559U - 貴金属装飾品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本体に異なる貴金属素材を充填して製品にコス
ト競争力を付加したり、肌当りも良好で使いやすい製品
を提供することができ、しかも複数の貴金属素材を用
い、任意の模様等を所望の位置やサイズ等に簡単に形成
することができる貴金属装飾品を提供することを目的と
するものである。 【解決手段】貴金属もしくは貴金属合金を用いて凹部を
形成した貴金属装飾品の本体と、この本体の凹部に鋳造
された、本体と異なる貴金属もしくは貴金属合金からな
る充填部とを備えたことを特徴とする貴金属装飾品。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】この考案は、貴金属装飾品の製造技術に係わるも のであり、本体に異なる貴金属素材を充填して製品にコスト競争力を付加したり 、肌当りも良好で使いやすい製品を提供することができ、しかも複数の色相の異 なる貴金属素材を用い、任意の模様等を所望の位置やサイズ等に簡単に形成する ことができるようにした貴金属装飾品に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、貴金属装飾品は圧延、ヤスリ、きさげ、蝋付け等の手 法を用いた手細工あるいはロストワックス法を駆使して多様なデザインの装飾品 を製造していた。

【０００３】またそのような熟練による加工法とともに、図６に示すよう な、また実開昭６１−２３８１４号公報や、特開平３−２１８７０５号公報、特 開平７−３１３２２４号公報、特開平７−３１３２２５号公報、また特開昭５６ −１８８０６号公報や、特開平６−７２１０号公報、特開平６−１００１１号公 報に記載されたような、クラッド接合した複数の貴金属板材からなる素材を用い たり、特開平３−１３６６０４号公報に記載されたように、鋳造時に複数の貴金 属を溶融接合させることにより、異なる色相からなる色違い模様の貴金属装飾品 を得られることが知られている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記ロストワックス法によ る多様なデザインの貴金属装飾品を得る製造技術だけでは限界があることはいう までもない。さりとてクラッド接合した複数の貴金属板材からなる素材を用いた り、鋳造時に複数の貴金属を溶融接合させることにより、異なる色相からなる色 違い模様の貴金属装飾品を得る手法においても、単なる板材や線材をクラッド接 合により組み付けたり、２種類の貴金属を単に溶融時に接合させるだけであって 、任意の模様等を所望の位置やサイズ等に簡単に形成することはできなかった。

【０００５】またいずれの手法も、それぞれ高価な貴金属素材を中実の状 態で使用しており、重量感はあるものの、重くて使いづらかったり、コスト高に なってしまうという欠点があった。さらに、上記重いという問題点を解消するた め、貴金属装飾品の裏面や側面等を空洞（肉盗み）にして軽量化することも行な われているが、逆に肌当りが悪くなってしまうという欠点があった。

【０００６】この考案は、本体に異なる貴金属素材を充填して製品にコス ト競争力を付加したり、肌当りも良好で使いやすい製品を提供することができ、 しかも複数の貴金属素材を用い、任意の模様等を所望の位置やサイズ等に簡単に 形成することができる貴金属装飾品を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】すなわちこの考案の貴金属装飾品は、貴金属 もしくは貴金属合金を用いて凹部を形成した貴金属装飾品の本体と、この本体の 凹部に鋳造された、本体と異なる貴金属もしくは貴金属合金からなる充填部とを 備えたことを特徴とするものである。

【０００８】なお、この考案に係る貴金属装飾品において、上記本体の凹 部が、本体の背面から表面に通じる貫通孔であることをも特徴としている。

【０００９】この考案は以上のように、貴金属装飾品の本体に形成した注 型用凹部に、本体と異なる貴金属素材を鋳造し、充填したので、本体および充填 部のいずれかに安価な貴金属素材を用いて製品にコスト競争力を付加したり、複 数の貴金属素材を用い、任意の模様等を所望の位置やサイズ等に簡単に形成する ことができる貴金属装飾品を提供することができるようになった。

【００１０】またこの考案によれば、貴金属もしくは貴金属合金からなる 本体を使用し、この本体に形成した注型用凹部に、本体と異なる貴金属もしくは 貴金属合金を鋳造し、充填して構成したので、非常に軽量でかつ高級感に優れ、 なおかつ肌当りも良好で使いやすく、しかも見た目より安くコスト競争力のある 貴金属装飾品を提供することができるようになった。

【００１１】

【考案の実施の形態】以下図面に基いて、この考案の貴金属装飾品を具体的 に説明する。図１はこの考案の貴金属装飾品の１実施例を示す平面図、図２はそ の側面図、図３はその縦断面図、図４はこの考案に係る貴金属装飾品の他の実施 例を示す縦断面図、図５はこの考案の貴金属装飾品の製造工程を示すフローチャ ートである。

【００１２】図１ないし図３において、１は、貴金属装飾品のほぼ全体形 状を備えた本体で、貴金属もしくは貴金属合金を用いてロストワックス鋳造、電 鋳（エレクトロフォーミング）、プレス成形、曲げ加工や彫刻等の手段で作製さ れている。図では指輪に適用した例を示している。この本体１には、注型用凹部 ２が形成されている。図ではこの凹部２は表面から裏面に通じる貫通孔からなっ ているが、貫通していなくともよいことはもちろんである。そして、この本体１ の凹部２には、本体１と異なる貴金属もしくは貴金属合金からなる素材が充填さ れ、所望の充填部３が形成されている。このようにすれば、指輪表面の肌当りも 良好で使いやすい製品を提供することができるのである。

【００１３】上記本体１および充填部３を構成する貴金属もしくは貴金属 合金としては、金や銀、プラチナ、およびそれらの合金が挙げられる。もちろん 、使用する貴金属の種類や合金組成を変えることにより、それぞれの色相を変え ることができる。例えばプラチナとホワイトゴールドのような、同じ色相の貴金 属素材を組み合わせれば、非常に高級感がありながら見た目より安く、コスト競 争力を備えた貴金属装飾品を得ることができる。また、本体１および充填部３と してそれぞれ色相の異なる素材をそれぞれに用いることによって、上述の充填部 ３が模様部分として本体１から明確に浮き上がるようにすることも可能である。

【００１４】上記貴金属装飾品の製造に際しては、図５に示すフローチャ ートのような工程を経て、所望の貴金属装飾品を得ることができる。すなわち、 先ず貴金属もしくは貴金属合金を用いて注型用凹部２を形成した貴金属装飾品の 本体１を作製する。得た本体１をワックス模型製作用の型内にセットした後、注 型用凹部２へワックスを圧入して本体１と一体化した模型とする。次に、この一 体化模型を用いてロストワックス法に準じて鋳型を作る。この鋳型に、本体１と 異なる貴金属もしくは貴金属合金を鋳造して本体１の注型用凹部２を充填するの である。そして、例えばこの充填部３を本体１と同じような色相とすることによ り、非常に高級感がありながら見た目より安く、コスト競争力を備えた貴金属装 飾品を得ことができる。また、充填部３を本体１とは異なる色相とすることによ り、充填部３を模様部分として浮き上がらせた貴金属装飾品を得たりすることが できるのである。

【００１５】得た鋳造品は、本体１と凹部２からなる凹部へ充填（貴金属 類）して形成した充填部３との接合部分に、貴金属素材の膨張率の違いによる隙 間が生じることが多い。その場合には、ロー材を充填してロー付けしたり、接着 剤その他の充填材を埋めたりすることにより補整することが望ましい。もちろん 、治具・工具で加圧して補整することも可能である。

【００１６】上記充填部３の位置は、貴金属装飾品の表面や側面、裏面等 のいずれの個所に設けてもよい。指輪等の場合、外周や内周全体にリング状に形 成するときは脱落を心配する必要はないが、外面や側面、内面に部分的に形成す るときは、上記補整手段のみならず、接合部位に設ける凹凸等の抜け止め構造等 によって、脱落しないように配慮しておくことが望ましい。

【００１７】図４は、貴金属装飾品の上部のみに凹部１２を設けた本体１ １を示し、当該部分は貴金属もしくは貴金属合金を用いてロストワックス鋳造、 電鋳（エレクトロフォーミング）、プレス成形、曲げ加工や彫刻等の手段で作製 されている。この例でも凹部１２は貫通孔であるが、貫通していなくてもよいこ とは上述の通りである。この凹部１２に本体１１と異なる貴金属もしくは貴金属 合金を鋳造して充填し、充填部１３を形成している。

【００１８】上記各実施例においては、この考案を指輪に適用した場合に ついて説明したが、ネックレスやペンダント、イヤリング等の下げ飾り、ブレス レット、ブローチ、ネクタイ止めやネクタイピン、その他の貴金属装飾品に適用 できることはいうまでもない。

【００１９】

【考案の効果】この考案は以上のように、貴金属装飾品の本体に形成した注 型用凹部に、本体と異なる貴金属素材を鋳造し、充填したので、本体および充填 部のいずれかに安価な貴金属素材を用いて製品にコスト競争力を付加したり、複 数の貴金属素材を用い、任意の模様等を所望の位置やサイズ等に簡単に形成する ことができる貴金属装飾品を提供することができるようになった。

【００２０】またこの考案によれば、貴金属もしくは貴金属合金からなる 本体を使用し、この本体に形成した注型用凹部に、本体と異なる貴金属もしくは 貴金属合金を鋳造し、充填して構成したので、非常に軽量でかつ高級感に優れ、 しかも見た目より安くコスト競争力のある貴金属装飾品を提供することができる ようになった。

【００２１】さらにこの考案によれば、貴金属もしくは貴金属合金からな る本体を使用し、この本体に形成した注型用凹部に、本体と異なる貴金属もしく は貴金属合金を鋳造し、充填して構成したので、非常に肌当りがよく商品価値の 高い貴金属装飾品を提供することができるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の貴金属装飾品の１実施例を示す平面
図である。

【図２】その側面図である。

【図３】その縦断面図である。

【図４】この考案に係る貴金属装飾品の他の実施例を示
す縦断面図である。

【図５】この考案の貴金属装飾品の製造工程を示すフロ
ーチャートである。

【図６】従来例の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 本体 ２ 凹部 ３ 充填部 １１ 本体 １２ 凹部 １３ 充填部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】貴金属もしくは貴金属合金を用いて凹部を
   形成した貴金属装飾品の本体と、この本体の凹部に鋳造
   された、本体と異なる貴金属もしくは貴金属合金からな
   る充填部とを備えたことを特徴とする貴金属装飾品。
2. 【請求項２】本体の凹部が、本体の背面から表面に通じ
   る貫通孔である請求項１に記載の貴金属装飾品。