JP3077876U - パイル編織物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 裁断縫製時の裁断屑、ごみ等の減少を図り、
縫合作業を容易にしてコストの低減をはかり、製品の仕
上がりを美しくし、かつ縫合部の分厚くなるのを防いで
取扱時違和感がなく、洗濯を容易にしたパイル編織物を
提供することである。 【解決手段】 基布１を所要寸法の方形状に製編織し、
この基布１の両端縁または周縁に、パイルが存在しない
所要大きさの無パイル面３、４を設けたのである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、布団のシーツやカバー或は布団の表地や敷き毛布等に用いられる パイル編物及び織物に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、パイル織物は、たて糸とよこ糸とを交錯して基布を形成し、この基布に パイル糸を織り込んで全面にパイル面を作成し、織機の機幅全体に製織されてい た。このパイル織物から袋状布団カバー等を縫製する場合、この広幅の原反を広 げ、袋カバーの展開原型に裁断し適宜隅角部を切断し周縁を重ねて縫合していた 。

【０００３】 ところが、このような裁断縫製方法では、布の裁断屑やパイルの切り屑等が多 量に発生し、不衛生であり、かつ資源の損失でもあり、また、縫合縁が二重のパ イル面となるため厚手となり、特に毛足の長いパイルでは縫合作業がしにくく、 さらにミシン目に沿ってパイルが倒れて外観上見苦しく、縫合部のみが分厚くな って嵩張り使用中違和感があり洗濯もしにくい問題がある。そのほか大きな裁断 屑は捨てることができず再利用もし難い問題がある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

そこで、この考案の課題は、裁断縫製時の裁断屑、ごみ等の減少を図り、縫合 作業を容易にしてコストの低減を図り、製品の仕上がりを美しくし、かつ縫合部 の分厚くなるのを防いで取扱時違和感がなく、洗濯を容易としたパイル編物及び 織物を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するために、この考案においては、基布を所要寸法の方形状 に製編織し、この基布の両端縁または周縁に、パイルが存在しない所要大きさの 無パイル面を設けたのである。前記無パイル面の基布にパイル糸を編み込みまた は織り込んでおくのが好ましい。

【０００６】

【作用】

この考案に係るパイル編織物は、布団等のカバーを縫製する際、このカバーの 展開原型に合わせた大きさに製編織されているため裁断屑の発生が非常に少なく 二重地となる縫合縁は、一方がパイル面他方が薄手の基布、または両方が薄手の 基布であるため縫合作業が容易である。また、外観上も美しく仕上がり、使用上 の違和感がない。

【０００７】

【考案の実施の形態】

以下、この考案の実施形態を添付図面に基づいて説明する。

【０００８】 図１及び図２に示すように、この考案の第１例のパイル編織物Ａは、綿糸等か らなるたて糸とよこ糸とを交錯して綾織組織等の織物、または綿糸等を編糸とす る編物のしっかりとした所要寸法の方形状基布１を製編織しながら、肌触りがよ く柔軟性と保温性を備えたアクリル等からなるパイル糸を編み込みまたは織り込 んで片面（表面）に方形状パイル面２が形成され、前記基布１の周縁において、 対の短辺にパイルが存在しない比較的広幅の長方形状無パイル面３、３が、また 対の長辺に細幅の長方形状無パイル面４、４がそれぞれ設けられたものである。

【０００９】 前記パイル編織物Ａの基布１は、縫製すべき布団カバーＢ（通称フィット式シ ーツ・図２参照）の展開原型に対応する大きさのたて・よこの寸法に製編織され ており、布団カバーＢを縫製する際に裁断屑の大幅な節減と高能率化を図ること ができる。

【００１０】 前記パイル編織物Ａからこれに対応する布団カバーＢを縫製する場合は、方形 状パイル編織物Ａの４つ角をカット線５に沿って切断し、方形状折目線６よりパ イルのない裏面に四辺部を折込みカット線５を縫合線７として縫合し袋体を形成 し、細幅の無パイル面４の耳を落としながら布団出入口８の周縁に飾付ゴム帯９ を縫付けて伸縮性が付与され、内装した布団をしっかりと包囲するようになって いる。

【００１１】 前記無パイル面３、４は、折目線６に沿いその外側に位置してそれぞれ形成さ れており基布であるため薄地である。

【００１２】 前記無パイル面３は、よこ糸状のパイル糸を全く編み込まずまたは織り込まず に形成してもよく、またパイル糸を基布１の中へ添え糸状に編み込みまたは織り 込んで形成してもよい。無パイル面４では、パイル面２の端縁でよこ糸状のパイ ル糸をカットしてもよく、また基布１の中へ編み込みまたは織り込んでもよい。 両無パイル面３、４ともパイル糸を基布の中へ編み込みまたは織り込んだものは 、パイル面２の端縁にパイル糸の切端がないため、耐久性を備えており、洗濯を 繰返してもパイル糸端がほつれ出るようなことはない。さらに、両無パイル面３ 、４は、同じ編織組織に形成されており、製品に縫製後外見上一体状に見えて体 裁がよい。

【００１３】 なお、前記基布１及び対向する無パイル面３、４の大きさは、用途に対応して 適宜選択することができる。

【００１４】 前記パイル編織物Ａは、図３に示すように、柄出装置付きパイル用自動編機ま たは自動織機によって１枚ずつ連続した原反として高能率に製編織される。なお 、二重織り織機にて製織する場合、二重の基布の間にパイル面と無パイル面とが 継続して形成されるようになり、無パイル面では上下の基布が遊離し不安定とな る懸念があるが、ガイド板を付設して押圧することにより両基布が離反しないよ うにすれば位置ずれを防止することができる。

【００１５】 図４及び図５は、この考案の第２例のパイル編織物Ｃ及びこれにより縫製され た布団カバーＤを示す。このパイル編織物Ｃは、対の短辺の無パイル面１０、１ ０の幅寸法ｌ₁ 及びパイル面の布団に対応した折目線１１までの寸法ｌ₂ と、対 の長辺の無パイル面１２、１２の幅寸法ｌ₁ ’及び折目線１１までの寸法ｌ₂ ’ とがそれぞれ略同寸法に形成されている。

【００１６】 このため縫製された布団カバーＤは、布団出入口１３方向から見た場合、短辺 長辺の両無パイル面１０、１０、１２、１２が布団及び布団出入口１３と相似形 状を呈し外観上美しい。

【００１７】 図６は、この考案の第３例のパイル編織物Ｅを示し、布団に対応した大きさの 方形状基布１４の長辺の両端縁のみに対の無パイル面１５、１５が設けられてい る。このパイル編織物Ｅは、パイル用自動編機または自動織機によって１枚ずつ 連続して生産する際高能率が期待でき、また製品化の際の裁断時に長さの異なる 多品種に対応できて有利である。

【００１８】 図７は、この考案の第４例の布団カバーＦ（通称キャップ式シーツ）を示す。 これに用いるパイル編織物は、この布団カバーＦの展開原型とほぼ同じたて・よ こ寸法の長方形状基布１６と、この基布１６の対の短辺端縁部を除く全体片面（ 表面）に形成したパイル面１７と、短辺端縁部に設けた所要大きさの対の方形状 無パイル面１８、１８とからなる。

【００１９】 前記パイル編織物から布団カバーＦを縫製する場合には、一方の無パイル面１ ８を多少内側の折目線１９から端部を基布の裏面に向けて折込み、折返した部分 の両端縁を縫合線２０、２０として接合して袋部を形成し、全周縁に縁取り２１ を施し長手方向端縁に２対の連結ひも２２、２２、２２、２２を取付ける。

【００２０】 なお、この考案のパイル編織物は、上述のような、布団カバー、毛布カバー、 ベッドカバーのほか、布団の表地または裏地としても適用でき、さらに、一部に 袋部を備えた椅子カバー、ソファーカバー、ピアノカバー等のインテリア用、自 動車のシートカバー等にも適用できる。

【００２１】 また、このパイル編織物は基布の片面にパイル面を形成するほか、両面にパイ ル面を形成することができ、かつパイル長を適宜選択することができ、よこ糸で パイルを作るよこパイル織りやたてパイル織り、製織直後ナイフでパイルを切り 上下に織物を同時に作る二重織り、ラッセルパイル経編物等用途に対応して編み 組織及び織り組織を適宜選択することができる。

【００２２】

【考案の効果】

この考案によれば、以上のように、所望の布団カバーの展開原型に合わせた大 きさのたて・よこ寸法の長方形パイル編織物で、その端縁または周縁に、縫製時 に重ね合せる縫合縁に対応して無パイル面を設けたものであって、原布からの縫 製時に裁断屑やごみ等の発生が少なく資源の節約を図ることができ、かつ衛生的 であり、さらに縫合時パイルに妨害されないため縫合作業が容易で製品の仕上が りが美しく、また方形状カバー本体のコーナの厚みが増大しないため嵩張らず、 使用中及び折畳み時違和感がなく、洗濯もしやすい等の多くの効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案のパイル編織物の第１例を示す平面図

【図２】同上から縫製する布団カバーを示す平面図

【図３】同上の生機（きばた）原反を示す平面図

【図４】この考案の第２例を示す平面図

【図５】同上から縫製する布団カバーを示す平面図

【図６】この考案の第３例を示す平面図

【図７】この考案の第４例の布団カバーを示す平面図

【符号の説明】

Ａ、Ｃ、Ｅ パイル編織物 Ｂ、Ｄ、Ｆ 布団カバー ｌ₁ 、ｌ₁ ’ 幅寸法 ｌ₂ 、ｌ₂ ’ 寸法 １、１４、１６ 基布 ２、１７ パイル面 ３、４、１０、１２、１５、１８ 無パイル面 ５ カット線 ６、１１、１９ 折目線 ７、２０ 縫合線 ８、１３ 布団出入口 ９ 飾付ゴム帯 ２１ 縁取り ２２ 連結ひも

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 基布と、この基布にパイル糸を編み込み
   または織り込んで形成したパイル面とからなるパイル編
   織物において、前記基布を所要寸法の方形状に製編織
   し、この基布の両端縁または周縁に、パイルが存在しな
   い所要大きさの無パイル面を設けたことを特徴とするパ
   イル編織物。
2. 【請求項２】 前記無パイル面の基布にパイル糸を編み
   込みまたは織り込んだ請求項１に記載のパイル編織物。