JP3077484B2 - エレベータ式駐車装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は機械式駐車装置に係わ
り、更に詳しくは、エレベータにより車両を昇降させる
エレベータ式駐車装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年のモータリゼーションの発展に伴
い、駐車場不足が大きくクローズアップされ、特に都市
部における大規模な駐車場の整備が要望され、従来から
種々の機械式駐車装置が提案され実施されている。図３
は、車両１を載せたパレット２を昇降させるエレベータ
式駐車装置の一例である。この装置は、ワイヤ４で吊り
下げられたケージ５を有し、この上にパレット２を載せ
てパレットと共に車両１を昇降させるようになってい
る。また、ケージ５は位置決め装置６を備え、ケージ５
を所定の高さに停止させ、位置決め装置６のストッパ板
６ａを図で左右に移動させて、その先端により格納棚７
のローラ７ａを挟持してケージ５を両側の格納棚７に対
して位置決めする。次いで図示しない横送り装置により
格納棚７の上にパレット２を横移動するようになってい
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
のエレベータ式駐車装置では、ワイヤ４の伸び等により
ケージ５の正確な停止（位置決め）が難しく、停止位置
のわずかなズレは、ストッパ板６ａとローラ７ａとの係
合により矯正する必要があった。そのため、ストッパ板
６ａを駆動するアクチュエータ６ｂを大型で大出力（例
えば１トン×４台）にする必要があり、アクチュエータ
６ｂのケージ５内への収納が難しく、かつコスト高とな
る問題点があった。本発明はかかる問題点を解決するた
めに創案されたものである。すなわち、本発明の第１の
目的は、小型かつ小出力のアクチュエータによりケージ
を正確に位置決めすることができるエレベータ式駐車装
置を提供することにある。

【０００４】また、図４に示すように、従来のエレベー
タ式駐車装置の格納棚７には、先端部８ａがパレット側
に突出した係止棒８ｂを有する棚ストッパ８が設けら
れ、その先端部８ａにより図４（Ａ）に示すようにパレ
ット２の端面を係止し、振動等によりパレット２がケー
ジ側に移動しないようになっていた。この係止棒８ｂは
ピンにより上下に揺動可能に支持され、末端に取り付け
られた引張バネ８ｃにより、水平に付勢され、図４
（Ｂ）に示すようにパレットの横行の際に、ストッパ板
６ａにより係止棒８ｂに連結されたローラ８ｄを押し下
げて先端部８ａを下げ、パレット２を横行するようにな
っていた。

【０００５】しかし、かかる従来の棚ストッパでは、パ
レット２の横行中にストッパ板６ａを復帰することがで
きず、従って、パレットの大部分が横行し終わっていて
も、横移動が完全に完了するまではケージ５を下降させ
ることができず、駐車装置全体のサイクルタイムを短縮
できない問題点があった。本発明はかかる問題点を解決
するために創案されたものである。すなわち、本発明の
第２の目的は、パレット２の横行中にケージ５を下降さ
せることができ、これによりサイクルタイムを更に短縮
することができるエレベータ式駐車装置を提供すること
にある。

【０００６】更に、上述した従来のエレベータ式駐車装
置では、位置決め装置６のストッパ板６ａにより格納棚
７のローラ７ａを挟持した後、ワイヤ４に張力がかかっ
たままにしておくと、車両１を載せたパレット２の重量
が大きい（例えば約３トン）ため、パレット２を格納棚
７に横移動させた後、位置決め装置６を解除した際にワ
イヤ４の伸びが減り、ケージ５が浮き上がる問題点があ
った。また、これを避けるために図４（Ｂ）のようにワ
イヤ４を緩めすぎると、ワイヤの曲がりによりワイヤの
寿命が短くなる問題点があった。本発明はかかる問題点
を解決するために創案されたものである。すなわち、本
発明の第３の目的は、ケージの浮き上がり防止し、かつ
ワイヤの寿命低下を防止することができるエレベータ式
駐車装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、ワイヤ
で吊り下げられたケージを有し、車両を載せたパレット
を昇降させるエレベータ式駐車装置において、ケージ下
部に取り付けられたケージ支持装置を備え、該ケージ支
持装置は、ケージに枢着された複数のＬ字形揺動部材
と、該揺動部材をＬ字形の一端がケージ外方に突出する
張出位置とケージ内方に位置する復帰位置との間を揺動
させる揺動用シリンダと、Ｌ字形の一端が格納棚に設け
られた支持部材上に載るときに、Ｌ字形の他端の揺動を
係止する係止部材とを有し、これにより所定の格納棚よ
り上方でＬ字形揺動部材を張出位置に揺動させ、Ｌ字形
の一端を格納棚の支持部材上に載せて、ケージを所定の
格納棚に対して位置決めするようになっていることを特
徴とするエレベータ式駐車装置が提供される。

【０００８】本発明の好ましい実施例によれば、格納棚
に設けられ、水平に付勢された係止棒と、該係止棒の先
端に枢着されケージ上のパレット端面を係止する係止ロ
ーラと、係止棒の下方に取り付けられた解除ローラとか
らなるパレット係止装置と、ケージに取り付けられ、水
平外方にシフトして前記解除ローラと係合し、該解除ロ
ーラと共に前記係止ローラを押し下げて係止ローラのパ
レット端面との係止を外す係止解除装置と、を更に備え
る。また、ワイヤの下端に取り付けられた端板と、該端
板とケージ下面との間に挟持されケージを支持する圧縮
バネと、端板の下方移動を検出する支持確認用センサー
と、を更に備えることが好ましい。

【０００９】

【作用】上記本発明の構成によれば、張出位置におい
て、Ｌ字形揺動部材のＬ字形の一端が格納棚に設けられ
た支持部材上に載るときに、ケージに設けられた係止部
材によりＬ字形の他端の揺動が係止されるので、Ｌ字形
の一端に作用するケージ、パレット、車両等の重量を揺
動部材の支持ピン及び係止部材で支持することができ
る。従って、揺動用シリンダには車両等の重量が作用し
ないため、揺動用シリンダを揺動部材を張出位置と復帰
位置との間を揺動させるだけの小型かつ小出力のシリン
ダにすることができる。また、格納棚に設けられた支持
部材上にケージ下部に取り付けられたＬ字形揺動部材の
Ｌ字形の一端が載り、その他端はケージに設けられた係
止部材により係止されるので、ワイヤの伸び等に影響さ
れずにケージを格納棚に対して正確に位置決めすること
ができる。

【００１０】また、上記パレット係止装置は、係止棒の
先端に枢着された係止ローラによりパレットの端面を係
止するので、係止解除装置により一旦この係止ローラの
パレット端面との係止が外れると、係止ローラはパレッ
トの下面に接触しながらパレットの横移動が完了すると
バネにより自動的に係止位置に戻ってパレットの端面を
係止する。従って、一旦係止ローラの係止を外した後
は、係止解除装置により係止ローラを解除し続ける必要
がなく、係止解除装置をいつでも復帰させることができ
る。これにより、パレットの大部分が横行した後、ケー
ジを下降させて、駐車装置全体のサイクルタイムを更に
短縮することができる。

【００１１】更に、ワイヤの下端に取り付けられた端板
と、該端板とケージ下面との間に挟持されケージを支持
する圧縮バネと、端板の下方移動を検出する支持確認用
センサーと、備えることにより、ケージが格納棚に設け
られた支持部材上に載り、ワイヤが緩んで圧縮バネが伸
び、端板が下方移動したことを支持確認用センサーによ
り検出してケージの下降を停止することができ、ワイヤ
を弛まない程度に緩めることができ、ケージの浮き上が
りとワイヤの寿命低下を防止することができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照
して説明する。なお、各図において共通する部分には同
一の符号を付して使用する。図１及び図２は、本発明に
よるエレベータ式駐車装置の部分構成図であり、図１は
昇降時、図２は停止時を示している。図１及び図２にお
いて、エレベータ式駐車装置１０は、ワイヤ４で吊り下
げられたケージ５を有し、車両１を載せたパレット２を
昇降させるようになっている。かかる構成は、図３の従
来のエレベータ式駐車装置と同様である。

【００１３】本発明のエレベータ式駐車装置１０は更
に、ケージ下部に取り付けられたケージ支持装置１２を
備える。このケージ支持装置１２は、ケージ５に枢着さ
れた複数のＬ字形揺動部材１３と、この揺動部材１３を
Ｌ字形の一端１３ａがケージ外方に突出する張出位置
（図２）とケージ内方に位置する復帰位置（図１）との
間を揺動させる揺動用シリンダ１４と、Ｌ字形の一端１
３ａが格納棚７に設けられた支持部材９上に載るとき
に、Ｌ字形の他端１３ｂの揺動を係止する係止部材１１
とを有する。かかる構成により、所定の格納棚７より上
方でＬ字形揺動部材１３を張出位置に揺動させ、Ｌ字形
の一端１３ａを格納棚７の支持部材９上に載せて、ケー
ジ５を所定の格納棚７に対して位置決めすることができ
る。また、張出位置において、Ｌ字形揺動部材１３のＬ
字形の一端１３ａが格納棚７に設けられた支持部材９上
に載るときに、ケージ５に設けられた係止部材１１によ
りＬ字形の他端１３ｂの揺動が係止されるので、Ｌ字形
の一端１３ａに作用するケージ５、パレット２、車両１
等の重量を揺動部材１３の支持ピン１３ｃ及び係止部材
１１で支持することができる。従って、揺動用シリンダ
１４には車両等の重量は作用しないため、揺動用シリン
ダ１４の出力は揺動部材１３を張出位置と復帰位置との
間を揺動させるだけの小型かつ小出力で足りる。また、
格納棚７に設けられた支持部材９上にケージ下部に取り
付けられたＬ字形揺動部材１３のＬ字形の一端１３ａが
載り、その他端１３ｂはケージ５に設けられた係止部材
１１により係止されるので、ワイヤ４の伸び等に影響さ
れずにケージ５を格納棚７に対して正確に位置決めする
ことができる。

【００１４】図１及び図２において、本発明のエレベー
タ式駐車装置１０は更に、格納棚７に設けられたパレッ
ト係止装置１５と、ケージ５に取り付けられた係止解除
装置１６とを備えている。パレット係止装置１５は、水
平に付勢された係止棒１５ａと、係止棒１５ａの先端に
枢着されケージ上のパレット端面を係止する係止ローラ
１５ｂと、係止棒１５ａの下方に取り付けられた解除ロ
ーラ１５ｃとからなる。係止棒１５ａは圧縮バネ１５ｄ
で係止位置、すなわち水平位置に付勢されている。係止
解除装置１６は、水平外方にシフトして解除ローラ１５
ｃと係合し、この解除ローラ１５ｃと共に係止ローラ１
５ｂを押し下げて係止ローラ１５ｂの係止を外すように
なっている。係止解除装置１６の水平外方へのシフトは
小型のシリンダ１７による。かかる構成により、係止棒
１５ａの先端に枢着された係止ローラ１５ｂによりパレ
ット２の端面を係止するので、係止解除装置１６により
一旦この係止ローラのパレット端面との係止が外れる
と、係止ローラ１５ｂは図２に示すようにパレット２の
下面に接触しなが係止方向（上向き）に常にバネ等で付
勢されており、パレット２の横移動が完了すると自動的
に係止位置（水平）に戻ってパレット２の端面を係止す
る。従って、一旦係止ローラ１５ｂの係止を外した後
は、係止解除装置１６をいつでも復帰させることがで
き、パレット２の大部分が横行した後、ケージ５を下降
させることにより、駐車装置全体のサイクルタイムを更
に短縮することができる。

【００１５】本発明のエレベータ式駐車装置１０は更
に、ワイヤ４の下端に取り付けられた端板１８と、この
端板１８とケージ下面との間に挟持されケージを支持す
る圧縮バネ１９と、端板１８の下方移動を検出する支持
確認用センサー２０とを備える。これにより、ケージ５
が格納棚７に設けられた支持部材９上に載り、ワイヤ４
が緩んで圧縮バネ１９が伸び、端板１８が下方移動した
ことを支持確認用センサー２０により検出してケージの
下降を停止することができ、ワイヤを弛まない程度に緩
めることができ、ケージの浮き上がりとワイヤの寿命低
下を防止することができる。

【００１６】なお、本発明は、上述した実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で自
由に変更できることは勿論である。

【００１７】

【発明の効果】上述したように、本発明のエレベータ式
駐車装置は、小型かつ小出力のアクチュエータによりケ
ージを正確に位置決めすることができ、パレットの横行
中にケージを下降させることができ、これによりサイク
ルタイムを更に短縮することができ、ケージの浮き上が
り防止し、かつワイヤの寿命低下を防止することができ
る、優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるエレベータ式駐車装置の昇降時の
部分構成図である。

【図２】本発明によるエレベータ式駐車装置の停止時の
部分構成図である。

【図３】従来のエレベータ式駐車装置の部分構成図であ
る。

【図４】図３の作動状態を示す図である。

【符号の説明】

１ 車両 ２ パレット ４ ワイヤ ５ ケージ ６ 位置決め装置 ７ 格納棚 ８ 棚ストッパ ９ 支持部材 １０ 機械式地下駐車装置 １１ 係止部材 １２ ケージ支持装置 １３ 揺動部材 １３ａ Ｌ字形の一端 １３ｂ Ｌ字形の他端 １４ 揺動用シリンダ １５ パレット係止装置 １６ 係止解除装置 １７ シリンダ １８ 端板 １９ 圧縮バネ ２０ 支持確認用センサー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大野 俊孝 東京都江東区豊洲三丁目１番15号 石川 島播磨重工業株式会社 東二テクニカル センター内 (72)発明者 原 興忠 東京都江東区豊洲三丁目１番15号 石川 島播磨重工業株式会社 東二テクニカル センター内 (72)発明者 星野 修二 東京都江東区豊洲三丁目１番15号 石川 島播磨重工業株式会社 東二テクニカル センター内 (56)参考文献 特開 平６−123180（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−129369（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−65273（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−100866（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭41−18907（ＪＰ，Ｙ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E04H 6/18 E04H 6/06

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワイヤで吊り下げられたケージを有し、
   車両を載せたパレットを昇降させるエレベータ式駐車装
   置において、 ケージ下部に取り付けられたケージ支持装置を備え、該
   ケージ支持装置は、ケージに枢着された複数のＬ字形揺
   動部材と、該揺動部材をＬ字形の一端がケージ外方に突
   出する張出位置とケージ内方に位置する復帰位置との間
   を揺動させる揺動用シリンダと、Ｌ字形の一端が格納棚
   に設けられた支持部材上に載るときに、Ｌ字形の他端の
   揺動を係止する係止部材とを有し、 これにより所定の格納棚より上方でＬ字形揺動部材を張
   出位置に揺動させ、Ｌ字形の一端を格納棚の支持部材上
   に載せて、ケージを所定の格納棚に対して位置決めする
   ようになっていることを特徴とするエレベータ式駐車装
   置。
2. 【請求項２】 格納棚に設けられ、水平に付勢された係
   止棒と、該係止棒の先端に枢着されケージ上のパレット
   端面を係止する係止ローラと、係止棒の下方に取り付け
   られた解除ローラとからなるパレット係止装置と、 ケージに取り付けられ、水平外方にシフトして前記解除
   ローラと係合し、該解除ローラと共に前記係止ローラを
   押し下げて係止ローラのパレット端面との係止を外す係
   止解除装置と、を更に備えることを特徴とする請求項１
   に記載のエレベータ式駐車装置。
3. 【請求項３】 ワイヤの下端に取り付けられた端板と、
   該端板とケージ下面との間に挟持されケージを支持する
   圧縮バネと、端板の下方移動を検出する支持確認用セン
   サーと、を更に備えることを特徴とする請求項１に記載
   のエレベータ式駐車装置。