JP3076723B2 - 米飯の保温制御方法 - Google Patents

米飯の保温制御方法

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JP3076723B2
JP3076723B2 JP06112545A JP11254594A JP3076723B2 JP 3076723 B2 JP3076723 B2 JP 3076723B2 JP 06112545 A JP06112545 A JP 06112545A JP 11254594 A JP11254594 A JP 11254594A JP 3076723 B2 JP3076723 B2 JP 3076723B2
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広一 富本
国和 江場
英宏 山田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、保温ジャー、炊飯ジャ
ー等に適用される米飯の保温制御方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、炊飯ジャー等の米飯保温装置で
は、保温温度が低くなると腐敗菌が増殖しやすく、風味
が損なわれる一方、高くなると米飯は黄変ないし褐変す
るという問題があった。このため、食事中あるいは食事
までの時間が短い場合には、保温温度を高く設定して風
味が損なわれることがないようにすると共に、睡眠時等
の食事までの時間が長い場合には、保温温度を若干低く
設定して黄変等が生じず、かつ、腐敗菌の増殖を最小限
に抑制できるようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の保温方法では次のような問題があった。
【0004】すなわち、米飯の状態のいかんに拘わらず
低温保温の受付けが可能となっていた。具体的には、食
事中で通常保温でなければならない場合であっても、誤
操作により低温保温に移行するという問題があった。
【0005】また、保温温度の設定が必ずしも適切では
なく、腐敗菌の増殖あるいは米飯の黄変等をもたらして
いた。
【0006】また、低温保温では内容器温度の検出のみ
によって通電制御しているため、米飯残量の違いに拘わ
らず、通電量が一定であるため、温度変化のばらつきが
大きく、必ずしも適切な保温状態が得られていなかっ
た。
【0007】さらに、保温温度は内容器温度を調整する
ことのみにより行っており、蓋温度は主に米飯から発生
した蒸気が結露することを防止するためのいわゆる露飛
ばしとして使用されている。このため、通常及び低温保
温状態で確実に露飛ばしを行わせることができるよう
に、前記蓋温度は高めに設定されている。したがって、
低温保温時の加熱が過剰となり、内容器温度を低下させ
ているにも拘わらず、米飯が黄変するという問題が発生
していた。
【0008】さらにまた、低温保温中に食事したくなっ
た場合、適切な低温保温の解除方法が提供されていなか
った。このため、風味に優れた米飯を食事することがで
きないという問題があった。
【0009】そこで、本発明は前記問題点に鑑み、米飯
の風味を損なわず、黄変等の発生も防止して適切に保温
することのできる米飯の保温制御方法を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明では、米飯を長時間保温する場合、内容器保
温温度を、通常保温温度と、該通常保温温度よりも低い
低温保温温度とで保温制御する米飯の保温制御方法にお
いて、一度も通常保温温度で温度制御が行われていない
場合(例えば、炊飯前あるいは炊飯中等)、低温保温制
御に移行しないようにしたものである。
【0011】低温保温制御に移行しない条件としては、
低温保温制御から通常保温制御に復帰している場合(低
温保温が4時間未満であれば受付可能とする。)、白米
以外を炊く場合(例えば、玄米等)、低温保温が途中で
解除されることなく終了した場合等であってもよい。
【0012】低温保温制御の初期では、内容器を加熱す
るヒータへの通電を停止して自然冷却させ、該自然冷却
時の内容器の温度変化から米飯容量を推測することによ
り、その後、米飯容量が少なくなるに従って徐々に通電
率を小さくして通電制御を行うようにしてもよい。この
場合、米飯容量が少なくなるに従って徐々に通電率を小
さくなるように制御される。
【0013】蓋保温温度を内容器保温温度に比べて高
く、かつ、通常保温制御時に比べて低温保温制御時の方
が低くなるように調整するようにしてもよい。
【0014】前記蓋保温温度を通常保温制御から低温保
温制御に移行する際、通常保温制御時及び低温保温制御
時の蓋保温温度と内容器保温温度との温度差に比べて大
きな温度差となるように調整するようにしてもよい。
【0015】低温保温制御から通常保温制御に強制的に
復帰させる際の復帰時間を、通常復帰時間に比べて短時
間で行わせるようにしてもよい。
【0016】前記内容器保温温度を、通常保温制御時に
は65〜72℃、低温保温制御時には54〜61℃にそ
れぞれ調整するのが好ましい。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に従って説
明する。
【0018】図1は炊飯ジャーの断面図を示し、外装体
1内には外容器1aに支持された内容器2が収容され、
これらは外装体1の肩部に回動自在に設けた蓋体3によ
って閉塞されるようになっている。
【0019】外容器1aの底には、前記内容器2の底面
に圧接する加熱板4が配設されている。また、内容器2
の胴部上方には胴ヒータ6が巻回されている。さらに、
外容器1aの底面中央部には、内容器2の底に圧接して
内容器温度を検出するためのサーミスタ等の底センサ7
が配設され、検出温度は外装体1の底面に配設した温度
制御装置8に入力されるようになっている。
【0020】前記蓋体3には内蓋9が取り付けられてお
り、この内蓋9はその上面周縁部に配設した蓋ヒータ1
0により加熱されるようになっており、内蓋温度はサー
ミスタ等の蓋センサ11で検出されるようになってい
る。
【0021】前記温度制御装置8は、前記底センサ7及
び蓋センサ11での検出温度の入力を受け、炊飯ヒータ
5、胴ヒータ6及び蓋ヒータ10への通電量を調整する
ことにより、米飯温度を所望温度に制御している。ま
た、外装体1に設けたおやすみスイッチ12により下記
する低温保温制御を行なう。
【0022】次に、前記構成からなる炊飯ジャーによる
炊飯終了後の通常保温制御及び低温保温制御について、
図2、図3及び図4のフローチャートに従って図5のグ
ラフ及び図6の表を参照しつつ説明する。
【0023】すなわち、炊飯が終了すれば、ステップS
1で通常保温を行なう。
【0024】この通常保温では、炊飯ヒータ5への通電
率を0.5/30、胴ヒータ6への通電率を8/10と
すると共に、底センサ7での検出温度(以下、底温度と
いう。)が65〜72℃、好ましくは67〜69℃とな
るように両ヒータ5,6への通電・遮断を繰り返す。
【0025】一方、蓋ヒータ10への通電率を1とする
と共に、蓋センサでの検出温度(以下、蓋温度とい
う。)が、常に、前記底温度よりも6℃高くなるよう
に、すなわち、71〜78℃、好ましくは73〜75℃
となるように蓋ヒータ10への通電・遮断を繰り返す。
これにより、米飯から発生した水蒸気が内蓋9に付着す
ることがなく、いわゆる露飛ばしが行われる。
【0026】ステップS2では、おやすみスイッチ12
がオンされたかどうかを判断する。おやすみスイッチ1
2がオフ状態のままであれば、ステップS1の通常保温
を続行し、オン状態となれば、図2のステップS3に移
行して低温保温制御を開始する。
【0027】ただし、所定条件下ではおやすみスイッチ
12の操作によっても低温保温制御には移行しないよう
にしている。具体的には、通常保温制御が全く行われ
ていない場合(例えば、炊飯前あるいは炊飯中等)、
一旦、低温保温制御から通常保温制御に復帰している場
合(この場合、低温保温制御が4時間未満であれば受付
可能とする。)、白米以外を炊く場合(例えば、玄米
等)、低温保温制御が途中で解除されることなく終了
した場合等には低温保温制御は受け付けないようにす
る。
【0028】前記低温保温制御は、図3のフローチャー
トに従って行なう。
【0029】まず、ステップS11で、低温保温時間H
が、第1設定時間a(本実施例では、底温度が57℃に
なるまでの時間)になるまでステップS12において第
1保温モードで保温制御する。第1保温モードでは、炊
飯ヒータ5及び胴ヒータ6への通電を停止すると共に、
蓋ヒータ10への通電率を1として蓋温度が底温度に比
べて7℃高い64℃となるように通電・遮断を繰り返
す。
【0030】このように、低温保温制御の開始直後に蓋
温度を通常保温制御時に比べて高く設定したのは、内容
器2が加熱されないため、米飯温度と底温度との差が大
きくなる結果、飽和温度が低下して内蓋9で凝縮しやす
くなるためである。
【0031】次に、底温度が57℃まで低下すれば、ス
テップS13で、低温保温時間Hが、第2設定時間b
(8−(a+2)、本実施例では4時間)になるまでス
テップS14において第2保温モードで保温制御する。
第2保温モードでは、前記通常保温と同様に、炊飯ヒー
タ5への通電率を0.5/30、胴ヒータ6への通電率
を8/10とすると共に、底温度が57℃に維持される
ように通電・遮断を繰り返す(本実施例では、通電時間
は通常保温の約70%となっている。)。
【0032】なお、前記底温度を57℃としたのは、長
時間この温度に維持しても米飯に黄変が生じず、しか
も、腐敗菌の発生を最小限に抑えるのに最適の温度だか
らである。また、蓋温度は底温度よりも4℃高く設定し
て、前記第1保温モードと同様に内蓋9の露飛ばしを行
なうが、この場合、通常保温よりも低温で保温するた
め、発生する水蒸気量は少ないと考え、蓋温度は若干低
めに設定している。
【0033】続いて、第2設定時間bが経過すれば、ス
テップS15で8時間経過したか否かを判断する。ここ
で、判断する時間を8時間としたのは、腐敗菌の発生を
抑えて米飯を食する状態に維持するのに最適だからであ
る。
【0034】そして、低温保温時間が8時間経過するま
では、ステップS16において第3保温モードで保温制
御する。この第3保温モードでは、前記通常保温制御と
同様に炊飯ヒータ5及び胴ヒータ6への通電を制御す
る。
【0035】一方、蓋ヒータ10への通電率を1とする
と共に、蓋温度が底温度よりも4℃高くなるように、通
電・遮断を繰り返す。すなわち、前記炊飯ヒータ5及び
胴ヒータ6への通電に伴って徐々に上昇する底温度に対
して4℃高い温度を維持できるようにして内蓋9の露飛
ばしを行なう。
【0036】なお、前記低温保温時間は図示しない操作
部により自由に設定可能であり、その値は最大12時間
である。
【0037】また、前記低温保温制御において、通電率
を設定して所望温度が得られるように各ヒータ5,6,
10への通電・遮断を繰り返すようにしたのは、通電率
1により温度制御する場合に比べて温度変化のばらつき
を小さく抑えるためである。
【0038】前記低温保温制御中に、食事したくなった
場合には、おやすみスイッチ12をオフ状態とすること
により、通常保温状態に復帰させることができる。すな
わち,ステップS4で、低温保温中におやすみスイッチ
12がオフされたか否かを判断することにより、オン状
態であれば低温保温制御を続行し、オフ状態となれば、
ステップS5で復帰モードに移行する。
【0039】ステップS5の復帰モードでは、図4のフ
ローチャートに従って保温状態を通常保温に復帰させ
る。
【0040】まず、ステップS21で炊飯ヒータ5への
通電率を1として内容器温度を急速に上昇させる(第1
復帰モード)。この第1復帰モードは、ステップS22
で復帰モードに移行してから1分経過するか、あるい
は、底温度が80℃を越えるまで続行する。
【0041】そして、ステップS22の条件のいずれか
一方を満足すれば、ステップS23に移行して炊飯ヒー
タ5への通電率を0.5/30、胴ヒータ6への通電率
を8/10とすると共に、底温度が65〜72℃、好ま
しくは67〜69℃となるように通電・遮断を繰り返
す。
【0042】一方、蓋ヒータ10への通電率を1とする
と共に、蓋温度が底温度よりも5℃高くなるように通電
・遮断を繰り返す(第2復帰モード)。この第2復帰モ
ードは、ステップS24で復帰モードに移行してから1
時間30分経過するまで行なう。
【0043】このように、低温保温制御中であっても、
おやすみスイッチ12をオフ状態とすることにより急速
に米飯の保温状態を通常保温状態に復帰させ、米飯温度
を食事するのに適した温度に復帰させることができる。
【0044】なお、前記実施例では、炊飯ジャーに適用
する場合について説明したが、保温専用の電子ジャーに
適用してもよいことは勿論である。
【0045】また、前記実施例では、底センサ7での検
出温度に基づいて炊飯ヒータ5及び胴ヒータ6への通電
率を制御することにより保温制御するフィードバック制
御を行なうようにしたが、低温保温制御に移行する際の
底温度の変化状態から米飯容量を推測し、この推測した
米飯容量に基づいて通電制御してもよい(米飯容量の推
測は、予め、底温度の単位時間当たりの温度勾配の変化
に対応してデータを入力しておけばよい。)。
【0046】すなわち、推測した米飯容量に応じて、予
め、炊飯ヒータ5及び胴ヒータ6への通電率を調整して
おくことにより、フィードフォアード制御するようにし
てもよい。これによれば、より適切な保温温度が得ら
れ、従来のような温度のばらつきを最小限に抑えること
ができる。
【0047】さらに、前記実施例において、おやすみス
イッチ12のオン・オフ状態を示す表示部を設けるのが
好ましい。この表示部は、外装体1の前方部に設けたL
ED等の表示ランプや液晶パネルによって構成すること
ができ、特に、液晶パネルによって表示する場合には低
温保温の残り時間を表示するのがよい。また、低温保温
制御中におやすみスイッチ12がオフ状態とされ、強制
的に通常保温制御に復帰する場合や、前述のような条件
を満足せずに受付けを拒否する場合等に表示を行なうよ
うにしてもよい。
【0048】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
では、通常保温制御が全く行われていない場合(例え
ば、炊飯前あるいは炊飯中等)、低温保温制御から通常
保温制御に復帰している場合(低温保温制御が4時間未
満であれば受付可能とする。)、白米以外を炊く場合
(例えば、玄米等)、低温保温制御が途中で解除される
ことなく終了した場合等、所定条件下では低温保温制御
に移行しないようにしたので、誤動作を起こす心配もな
い。
【0049】また、低温保温制御の初期において米飯量
の違いからその後の内容器の温度変化を推測し、通電制
御を行なうようにしたので、より適切な温度制御が可能
となる。
【0050】また、通常保温制御及び低温保温制御に応
じて蓋保温温度を調整するようにしたので、露飛ばしを
行いつつ、米飯の黄変等を防止することができる。
【0051】また、最も米飯から水蒸気が発生する通常
保温から低温保温制御に移行する際に蓋温度を高くする
ようにしたので、さらに適切に露飛ばしを行なわせるこ
とができる。
【0052】また、低温保温制御中であっても、強制的
に通常保温制御に復帰させるようにしたので、米飯を最
適な風味とすることができ、短時間で行わせることによ
り実用性を高くすることが可能である。
【0053】特に、低温保温制御時の内容器温度を最適
値に設定するようにしたので、内容器の保温を米飯に腐
敗菌が発生せず、かつ、黄変等も生じないように保温す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例に係る電気炊飯器の正面断面図であ
る。
【図2】 図1の温度制御装置に於ける保温制御を示す
フローチャートである。
【図3】 図2の低温保温を示すフローチャートであ
る。
【図4】 図2の復帰モードを示すフローチャートであ
る。
【図5】 低温保温制御時の時間と底温度の関係を示す
グラフである。
【図6】 各保温状態での各ヒータへの通電率及び制御
温度の関係を示す表である。
【符号の説明】
2 内容器 3 蓋体 5 炊飯ヒータ 6 胴ヒータ 7 底センサ 8 温度制御装置 9 内蓋 10 蓋ヒータ 12 おやすみスイッチ
フロントページの続き (72)発明者 山田 英宏 大阪府大阪市北区天満1丁目20番5号 象印マホービン株式会社内 (72)発明者 徳田 幸治 大阪府大阪市北区天満1丁目20番5号 象印マホービン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−61550(JP,A) 特開 昭60−149348(JP,A) 特開 平4−354909(JP,A) 特開 平6−30842(JP,A) 特開 平6−30843(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A47J 27/00 109

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 米飯を長時間保温する場合、内容器保温
    温度を、通常保温温度と、該通常保温温度よりも低い低
    温保温温度とで保温制御する米飯の保温制御方法におい
    て、 一度も通常保温温度で温度制御が行われていない場合、
    低温保温制御に移行しないようにすることを特徴とする
    米飯の保温制御方法。
  2. 【請求項2】 米飯を長時間保温する場合、内容器保温
    温度を、通常保温温度と、該通常保温温度よりも低い低
    温保温温度とで保温制御する米飯の保温制御方法におい
    て、 白米以外を炊く場合、低温保温制御に移行しないように
    することを特徴とする米飯の保温制御方法。
  3. 【請求項3】 米飯を長時間保温する場合、内容器保温
    温度を、通常保温温度と、該通常保温温度よりも低い低
    温保温温度とで保温制御する米飯の保温制御方法におい
    て、 蓋保温温度を内容器保温温度に比べて高く、かつ、通常
    保温制御時に比べて低温保温制御時の方が低くなるよう
    に調整することを特徴とする米飯の保温制御方法。
  4. 【請求項4】 米飯を長時間保温する場合、内容器保温
    温度を、通常保温温度と、該通常保温温度よりも低い低
    温保温温度とで保温制御する米飯の保温制御方法におい
    て、 前記蓋保温温度を、通常保温制御から低温保温制御に移
    行する際、通常保温制御時及び低温保温制御時の蓋保温
    温度と内容器保温温度との温度差に比べて大きな温度差
    となるように調整することを特徴とする米飯の保温制御
    方法。
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