JP2004079216A - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Abstract
【課題】温め直しのときの調理済み食品の状態判断と、それによる適切な再加熱処理を実行し得る制御装置を備えた便利な誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】載置プレート7下方の誘導コイル1に通電制御する制御装置4と、通電制御指令を制御装置4に発令する操作部Sとを備えた誘導加熱調理器において、再加熱キーk1による再加熱指令で作動する再加熱制御手段52を制御装置4に設け、載置プレート7上の金属鍋の温度を検出する温度センサd1を配備し、再加熱制御手段52を、再加熱指令が発令されると、そのときの検出温度が所定温度以上のときは、第一設定温度t1になるまで誘導コイル1に通電し、かつ、検出温度が所定温度ts未満のときは、第一設定温度t1よりも高温の第二設定温度t2になるまで加熱する再加熱モードが行われるよう構成する。
【選択図】 図6
【解決手段】載置プレート7下方の誘導コイル1に通電制御する制御装置4と、通電制御指令を制御装置4に発令する操作部Sとを備えた誘導加熱調理器において、再加熱キーk1による再加熱指令で作動する再加熱制御手段52を制御装置4に設け、載置プレート7上の金属鍋の温度を検出する温度センサd1を配備し、再加熱制御手段52を、再加熱指令が発令されると、そのときの検出温度が所定温度以上のときは、第一設定温度t1になるまで誘導コイル1に通電し、かつ、検出温度が所定温度ts未満のときは、第一設定温度t1よりも高温の第二設定温度t2になるまで加熱する再加熱モードが行われるよう構成する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IHクッキングコンロ等の誘導加熱調理器に係り、詳しくは、温め直し技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のIHクッキングコンロにおいて、調理済み食品を温めなおすには、沸騰させる等、所定の高温まで加熱するか、それに加えてその所定の高温をしばらく維持するという処理が一般的であり、このような再加熱処理は人為判断による人為操作によって為されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
IHクッキングコンロは電気で作動するものであって、電気的に制御する機能を持たせ易いものであるから、前述した再加熱処理を自動的に行わせる運転モードを設けることが可能のように思える。つまり、調理済み食品の状態判断、及びそれに基づく再加熱処理を自動的に行わせるのである。そこで、自動的に温め直しを行わせる場合には、調理済み食品の状況によっては留意すべき点がある。
【0004】
すなわち、既に加熱調理された調理済食品を再び温めるに当たり、長時間放置して十分に温度が下がっているような場合は、雑菌が繁殖していることが考えられるので沸騰或いはそれに近い高温にまで温めることが必要である。一方、まだ温かい等、放置時間が短い場合は、沸騰過熱による殺菌は必要なく、食べ頃温度に温めれば良い。このように、調理済食品を再加熱するには、そのときの調理済み食品の状態を検出し、その検出情報に基づいて再加熱処理を行わせるシステムを構築することが必要である。
【0005】
そこで本発明の目的は、再加熱処理を自動化するにあたり、その温め直しをしようとするときの調理済み食品の状態判断と、それによる適切な再加熱処理を実行し得る制御装置を備えた便利な誘導加熱調理器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の構成は、金属鍋を載置するための載置プレートと、この載置プレートの下方に配置される誘導コイルと、この誘導コイルに対して通電制御するための制御装置と、誘導コイルに対する通電制御の指令を制御装置に発令するための操作部とを備えて成る誘導加熱調理器において、
操作部に、再加熱指令を制御装置に発令自在な再加熱発令手段を設け、再加熱指令によって作動する再加熱制御手段を制御装置に設け、載置プレートに載置された金属鍋の温度を検出する温度検出手段を配備し、
再加熱制御手段は、再加熱発令手段によって再加熱指令が発令されると、そのときの温度検出手段の検出温度が所定温度以上である場合には、予め設定された第一設定温度になるまで誘導コイルに通電させ、かつ、検出温度が所定温度未満である場合には、第一設定温度よりも高温の第二設定温度になるまで加熱させる再加熱モードが実行されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1の構成は、載置プレートに置かれた調理済み食品の入った金属鍋の温度を、熱伝導によって温度検出手段で検出させて知ることができるから、再加熱指令が発令されたときの検出温度に基づいて、再加熱のやり方を選択設定させる手段である。すなわち、再加熱発令手段による再加熱指令が発令されたときの検出温度が所定温度以上のときには、調理後、或いは前回の再加熱処理後からそれほど時間が経っていない状況であると判断できるから、予め設定された第一設定温度にまで加熱させるように制御する。
【0008】
そして、検出温度が所定温度未満であるときには、調理後、或いは前回の再加熱処理後から長時間経っている状況であると判断できるから、この場合には第一設定温度よりも高温の第二設定温度になるまで加熱させるように制御するのである。例えば、調理後間もない状態では雑菌の繁殖を気にする必要はないから、第一設定温度を食べ頃温度(約75度等)に設定し、調理後長時間経って雑菌の繁殖を考慮した方が良い状況では、第二設定温度を沸騰温度に設定し、殺菌消毒の作用を発揮できる処理を行うのである。
【0009】
例えば、請求項6の構成のように、第一設定温度を沸騰温度未満の温度に、かつ、第二設定温度を沸騰温度に夫々設定すれば、既に加熱処理された調理済み食品を再び温めるにあたり、長時間放置して十分に温度が下がっているような場合には、第二設定温度である沸騰温度まで加熱されるので、繁殖した雑菌を死滅させた殺菌状態としながら温めることができる。そして、ある程度は温かいような場合は、第一設定温度である沸騰温度未満の温度にまで加熱されるので、「調理が済んでから間が無くて放置時間が短い場合は、沸騰加熱による殺菌は必要なく、食べ頃温度に温めれば良い」、という前述の要望に応じることができる。
【0010】
その結果、再加熱指令の発令時における金属鍋の検出温度が高い場合には比較的低い温度に加熱させ、検出温度が低いときには比較的高い温度に加熱させるという再加熱処理を行わせる制御手段により、金属鍋の温度状況を人為判断し、かつ、その判断に基づいて再加熱の火加減や時間の設定並びにコンロに付き添うという人為操作を行っていた従来の面倒な再加熱操作を不要にでき、調理済み食品の温度状況判断から、その温度状況に見合った再加熱処理が自動的に行われるという、操作簡単で便利な誘導加熱調理器を提供することができた。
【0011】
請求項2の構成は、請求項1の構成において、再加熱モード状態において、温度検出手段の検出温度如何に拘わらずに第二設定温度まで加熱させる指令を制御装置に出す強力加熱発令手段を設けてあることを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の構成は、再加熱モード状態において強力加熱発令手段を作動させるよう設定しておけば、再加熱モードの実行による金属鍋の検出温度から、第一設定温度まで加熱させる判断が為される状態であっても、金属鍋を強制的に第二設定温度まで加熱させる手段である。つまり、強力加熱発令手段を作動させておけば、第一と第二設定温度を選択設定する再加熱モード状態であっても、必ず高温の第二設定温度まで再加熱されるのである。
【0013】
例えば、食しようとする人の好みの関係上沸騰させたいとか、夏日等の気候的に調理済み食品が傷み易い環境では、再加熱時には、衛生上から沸騰又はそれに近い温度まで再加熱させるといった場合に、強力加熱発令手段を発令させるのが好適である。
【0014】
その結果、請求項2の誘導加熱調理器では、請求項1の構成による作用効果を奏するとともに、強力加熱発令手段を設けたことにより、便利な再加熱処理モードの制御が行える状態としながら、温度や湿度といった気候条件や好み等に応じて、意図的に高温の第二設定温度まで必ず加熱される状態を選択設定できるようになり、より使い勝手が向上するようにできた。
【0015】
請求項3の構成は、請求項1又は2の構成において、温度検出手段による温度検出が設定時間継続される状態に構成し、再加熱制御手段が、温度検出手段による検出温度の単位時間あたりの変動量が所定量以下になった時点での検出温度に基づいて作動するように構成してあることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3の構成は、正確に温度検出できる状態になってから温度検出作動を行わせる手段である。すなわち、ある金属鍋を載せて加熱調理していた直後又は途中に、調理済み食品の入った金属鍋を載置プレートに置き代えて温め直しを行うような場合に、再加熱対象金属鍋は低温であるのに載置プレートは高温となっていることがあると、検出温度が実際よりも高くなってしまい、再加熱モードが正しく行われないことが予測できる。反対に、他の加熱調理器で調理されてから間もない調理済み食品を、誘導加熱調理器で温め直す場合には、調理済み食品入り金属鍋は比較的高温であるに対して、誘導加熱調理器の載置プレートは低温であることから、検出温度が実際よりも低くなってしまい、やはり再加熱モードが正しく行われないことが考えられる。
【0017】
そこで、温度検出がある程度の時間継続して行われるように構成し、検出温度の単位時間当たりの変動量が所定量以下になった時点での検出温度に基づいて温度判断を行わせることにより、載置プレートの温度と金属鍋の温度とが十分近づいた又は一致した状態で温度検出することになり、再加熱対象の調理済み食品の実際の温度又はほぼその温度を検出することができ、再加熱モードを正しく行えるようになるのである。
【0018】
その結果、請求項1又は2の構成による作用効果を奏するとともに、温度検出手段による調理済み食品の実際の温度検出作動を正しく行えることができ、再加熱モードによる温め直し精度を所期通りに発揮させることが可能であり、再加熱制御に信頼性のある誘導加熱調理器を提供することができた。
【0019】
請求項4の構成は、請求項1〜3の構成において、再加熱モード状態において、温度検出手段の検出温度が設定値以上になり、かつ、温度ハンチングの周期が所定時間以上になると、誘導コイルへの通電を減少又は停止させる再加熱終了制御手段を設けてあることを特徴とするものである。
【0020】
請求項4の構成は、再加熱モードによる加熱処理の終了を規定するものである。すなわち、加熱による金属鍋内の食品温度の温度検出手段による上昇具合は、鍋内食品の温度上昇に伴う対流により、一様に上がって行くというものではなく、上がったり下がったりを繰り返しながら上昇するような状態になるので、単に所定温度を越えたら加熱を停止するよう構成すると、その後に一旦温度が下がってしまい、実際には十分に加熱されていない状況のあることが予測できる。
【0021】
そこで、検出温度が設定値以上になり、かつ、温度ハンチングの周期が所定時間以上になると、誘導コイルへの通電を減少又は停止させるように構成すれば、金属鍋内における食品の対流による温度の低い部分と高い部分との平均値として、すなわち調理済み食品の温め直しによる温度が全体として設定値に到達したと見なすことができる。従って、それによって加熱を抑制又は停止するように制御させることにより、調理済み食品の内部の方の温度が低いといった具合に、部分的にはまだ温まっていないといったことが解消され、調理済み食品を無理なく全体的に設定温度に再加熱することができるのである。
【0022】
その結果、請求項1〜3の構成による作用効果を奏するとともに、検出温度が設定以上であり、かつ、温度ハンチングの周期が所定時間以上となることでもって判断させる工夫により、再加熱モードによる調理済み食品の温め直し温度を正確に実現し得る精度に優れた再加熱処理制御が行える有用な誘導加熱調理器を提供することができた。
【0023】
請求項5の構成は、請求項4の構成において、再加熱モード状態における温度検出手段の検出作動が設定時間毎に繰り返されるように構成し、再加熱終了制御手段は、設定値以上の温度検出と、所定時間以上の温度ハンチングの周期との双方が、予め設定された回数以上連続して検出されると、誘導コイルへの通電を減少又は停止させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
請求項5の構成は、再加熱による温度到達の正確さをより高めるようにした手段である。すなわち、請求項4の構成では、温度検出による設定温度以上の検出作動が1回でも良いものであったが、前述したように鍋内における食品対流によっては再び温度が設定値以下に下がることがあるから、その下がった状態での温度ハンチングが所定範囲内に収まっても、依然として調理済み食品の全体としての温度は設定温度に達していないことが有り得る。
【0025】
そこで、温度ハンチングの周期が所定時間以上になったことと、検出温度が設定値以上になったこととの双方が、共に予め設定された回数以上連続して検出されると、誘導コイルへの通電を減少又は停止させるように構成すれば、温度上昇途中にある調理済み食品が一時的に温度低下する状態を考慮しても、全体としての温度が設定以上になったことをより正確に判断することが可能になる。
【0026】
その結果、請求項4の構成による作用効果が強化されて、再加熱モードによる調理済み食品の温め直し温度を、より正確に実現することができ、一層再加熱処理制御の精度に優れる誘導加熱調理器を提供することができた。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1〜図4にIHクッキングコンロ(誘導加熱調理器の一例)が示されている。このIHクッキングコンロは、コンロ枠Bに、第一及び第二コンロ部C1,C2と、魚焼き用のグリルGとを有して構成されている。なお、第一、第二コンロ部C1,C2間で後方側に、円形ヒータ13を用いた第3コンロ部C3を配設しても良い。なお、以下においては、「スイッチ」と「キー」とは実質的に同義語であると見なして良いものとする。
【0029】
コンロ枠Bは、上面の載置プレート7、左右側板8,9、前面における向かって左側に配置されたグリルGの開閉扉11と、右側に配置された操作部Sとを有した箱体に構成されている。載置プレート7の左側後部には、グリルGの排気口12を設けてある。第一コンロ部C1は、載置プレート7の左側部分と、その直下に配された渦巻状の第1誘導コイル1とで構成され、第二コンロ部C2は、載置プレート7の右側部分と、その直下に配された渦巻状の第2誘導コイル2とで構成されている。グリルGは、第1誘導コイル1の下方に形成されたグリル用空間部10と、そこに配されたグリル用のヒータ3とで構成されている。
【0030】
コンロ枠Bには、第2誘導コイル2の下方において上下に積層配置された第一及び第二制御基板5,6、その後方に配置されたマイコン等で成る制御装置4、前述したグリル用空間部10とその後面から排気口12に続く煙道14等が内装されている。第一、第二コンロ部C1,C2における各中心部の載置プレート7の裏面には、第一、第二温度センサ(温度検出手段の一例)d1、d2が装備されている。
【0031】
開閉扉11には、内部を透視するためのガラス窓11aと取っ手11btとを有しており、グリル用空間部10には、水入れ用の受け皿33、載せ網34が装備されている。制御装置4の横外側には、各制御基板5,6に設けられたヒートシンク5a,6aに対する冷却ファン35を配置してある。
【0032】
図5に示すように、操作部Sは、左右中央に表示操作部15を、左に第一コンロ操作部16とグリル操作部17とを、そして右に第二コンロ操作部18を夫々配置して構成されている。表示操作部15は、液晶パネルを用いた表示部19と、その下方の時限操作部20とで成り、表示部19には、主に時間を示す3桁の大表示手段21と、重量を示す3桁の小表示手段22と、各種表示ランプ23〜29、及び案内文字等が配されている。時限操作部20は、自動電源OFF機能付きのタイマー選択スイッチ30、時間設定用として分数増加スイッチ31、及び分数減少スイッチ32が装備されている。
【0033】
第一コンロ操作部は、第1誘導コイル1への通電状態を操作するものであり、電源の入切りスイッチ36、出力増大スイッチ37、及び出力低下スイッチ38とが配されている。第一コンロ操作部16の下方に配置されたグリル操作部17は、ヒータ3への通電状態を操作するものであり、電源の入切りスイッチ39、加熱対象の重量(グラム数)を設定するための重量増大及び低下の各スイッチ40,41、保温スイッチ42、及び肉と魚の選択スイッチ43とが配されている。
【0034】
第二コンロ操作部18は、第2誘導コイル2への通電状態を操作するものであり、上段には電源の入切りスイッチ44、出力増大スイッチ45、出力低下スイッチ46が、そして下段には、加熱制御の入切りスイッチ47、比較的大出力に設定するための強めスイッチ48、比較的小出力に設定するための弱めスイッチ49、温度設定を行う揚げ物スイッチ50、及び自動調理スイッチ51を設けてある。
【0035】
図6には、本コンロにおいて再加熱モードを行うための再加熱制御回路Lを示してある。家庭等に導かれている電圧200ボルト(100ボルトでも可)の商用電源Eが、整流回路54によって直流化されて、後述の再加熱制御手段52を有した制御装置4に入力されている。制御装置4には、第一及び第二誘導コイル1,2がインバータ回路56,57を介して接続され,かつ、IGBT(MOS型トランジスタ)を用いたスイッチング部70,71が各インバータ回路56,57に設けてあるとともに、グリル用ヒータ3、円形ヒータ13と、それらの入切りスイッチ39,55が制御装置4に接続してある。そして、第一、第二誘導コイル1,2の入切りスイッチ36,44、第一、第二温度センサd1、d2、ブザー等の各報知手段58,59、並びに表示装置53を制御装置4に接続してある。
【0036】
ところで、第一、第二誘導コイル1,2を内コイルと外コイルとの2つのコイルで構成する場合には、これら内外コイルに交互に電流を流す(交番電流)ことにより、金属鍋内の調理済み食品に対流を生じさせて、より効率良く加熱できるように構成しても良い。
【0037】
次に、再加熱制御手段52による再加熱制御について説明する。操作部Sには、押し込むことによって再加熱指令を制御装置4に発令自在な再加熱スイッチ(再加熱発令手段の一例)k1,k2、及び液晶パネル等による表示装置53を設けてあるとともに、再加熱指令によって作動する再加熱制御手段52を制御装置4に設けてある。
【0038】
再加熱制御手段52は、再加熱スイッチk1,k2によって再加熱指令が発令されると、そのときの第一、第二温度センサd1,d2の検出温度が所定温度ts(例:60℃)以上である場合には、予め制御装置4に設定された第一設定温度t1(例:80℃)になるまで第一、第二誘導コイル1,2に出力80%で通電さて加熱させる。そして、検出温度が所定温度ts未満である場合には、第一設定温度t1よりも高温の第二設定温度t2(例:沸騰温度)になるまで第一、第二誘導コイル1,2に出力80%で通電させて加熱させる再加熱モードが実行されるように再加熱制御手段52が構成されている。出力を80%とすることにより、調理済み食品が焦げないようしながらも、効率良く温めることができる。尚、あたためモードで再加熱を行うようにしても良い。
【0039】
再加熱制御は次のような場合に用いる。すなわち、昨日作ったカレー(調理済み食品の一例)を昼食用として温め直すときには、カレーの入った金属鍋を第一コンロ部C1(又は第二コンロ部C2)に置き、それから第一再加熱スイッチk1を入り操作する。すると、第一温度センサd1が載置プレート7及び金属鍋を介してカレーの温度(例:常温の20℃)を検出し、その検出温度20℃と制御装置4に記憶された所定温度tsである60℃とを比較し、第二設定温度t2である沸騰温度まで加熱させる沸騰再加熱モードが実行される、という一連の制御作動が自動的に行われる。
【0040】
そして、第一温度センサd1が沸騰温度を検出したら、或いは一定時間沸騰温度を検出したら、第一誘導コイル1への通電を減らす又は絶って沸騰温度よりもやや低い温度(制御設定温度であり、例えば90℃)に調温するとともに、ブザー等の報知手段を一定時間作動させてユーザーに知らせるところまで自動的に行われて再加熱モードが終了する。なお、沸騰させた後の制御設定温度を後述の食べ頃温度に落ち着かせるように制御させても良い。
【0041】
また、先ほど作ったばかりのカレーを温め直すときには、第一温度センサd1による検出温度が65℃であるといった具合に、前述の所定温度よりも高ければ、第一設定温度t1である食べ頃温度(例80℃)まで加熱する食べ頃再加熱モードが実行されるようになる。そして、検出温度が第一設定温度t1に到達したら第一誘導コイル1への通電を絶つとともにブザーを鳴らすという一連の作動が自動的に行われるのは、沸騰再加熱モードのときと同じである。この食べ頃再加熱モードでは必要最小限度の加熱で済むのでカレー、シチュー等の調理済み食品が煮詰まって味が濃くなることが殆ど生じない利点がある。
【0042】
操作部Sの表示装置53には、再加熱スイッチk1,k2がスイッチONに成ると、「再加熱モード」(第一コンロ部C1が選択されたときには「再加熱モード1」という具合に、最後に1又は2の数字が付く表示でも良い)という表示が為され、その後の温度検出による検出温度が、例えば「65℃」という具合に表示されてから、「沸騰再加熱モード:90℃」又は「食べ頃再加熱モード:80℃」という表示に変わる。そして、目標温度に到達して再加熱制御が終了すると、「沸騰再加熱モード:完」や「食べ頃再加熱モード:完」という表示に変わり、かつ、ブザーやアラームが鳴るのである。
【0043】
実際には、再加熱モードの終了に伴って自動的に保温モードに移行するように制御装置4が構成されている。すなわち、制御設定温度や食べ頃温度になったら直ぐに、或いは所定時間経過後には、制御装置4によって自動的に保温モードに切換り、設定された保温温度(例75℃)を保持するように、第一、第二誘導コイル1,2への通電をインバーター制御(ON−OFF制御でも良い)するのである。この保温モードは、再加熱スイッチk1,k2が切り操作されるまで続行される。尚、保温中にユーザーが金属鍋を移動した場合には、温度センサd1,d2の検出温度が激減すること(鍋無し検地)により、加熱が即刻終了されるように制御装置4が機能する。
【0044】
また、再加熱スイッチk1,k2の少なくとも一方が入り操作された再加熱モード状態において、第一、第二温度センサーd1,d2の検出温度如何に拘わらずに、沸騰温度といった高温の第二設定温度まで加熱させる指令を制御装置4に出す強加熱スイッチ(強力加熱発令手段の一例)60を操作部Sに設けてある。これにより、熱いものが好みであるとか、腐りやすい夏場での殺菌のために再加熱時には必ず沸騰させたい場合に好適な手段である。
【0045】
参考に、図8に再加熱制御手段52による再加熱モードのフローチャートを示す。第1コンロ部C1を使った場合で概略説明する。まず、カレー等が入った金属鍋を第一誘導コイル1部位の載置プレート7の上にカレー等の調理済み食品の入った金属鍋を置いてから、第一再加熱スイッチk1を入り操作する(あたため開始SW:ステップ井1)。第一温度センサd1による検出温度が60℃以上か未満かを判断し(ステップ井2)、以上であれば第一設定温度t1が選択され(ステップ井3)、未満であれば第二設定温度t2が選択され(ステップ井4)て、出力80%での加熱(ステップ井5)が開始される。
【0046】
第一温度センサd1による検出温度が目標温度(第一又は第二設定温度)になると(ステップ井6)、第一誘導コイル1への通電量を減(少又は停止)させ、保温モードに切換える(ステップ井7)。そして、第一再加熱スイッチk1が切り(OFF)操作されたかどうかを判断し(ステップ井8)、スイッチOFFでれば再加熱制御の終了であり、ONであれば第一温度センサd1による検出温度が本温度以上か未満であるかの判断を行う(ステップ井9)。目標保温温度以上であれば第一誘導コイル1への通電を絶って(ステップ井10)からステップ井8に戻り、未満であれば第一誘導コイル1を出力50%で作動させてからステップ井8に戻る。
【0047】
図8には明確に図示していないが、再加熱モードを終わらせる再加熱終了制御手段61を制御装置4に設けてある。すなわち、再加熱終了制御手段61の機能により、再加熱モード状態において、第一、第二温度センサd1、d2の検出温度が設定値以上になり、かつ、温度ハンチングの周期が所定時間以上になると、第一、第二誘導コイル1,2への通電が減少又は停止するのである。
【0048】
つまり、加熱される調理済み食品の温度上昇形態は、鍋内での対流により、熱くなった部分に変わって冷たい部分が温度センサd1,d2に近接し、それによって一旦検出温度が下がることが生じるとともに、その温度昇降が繰り返されながら全体としての温度画上昇していくようになる。この現象は、金属鍋が大きいとか、シチュー等の調理済み食品の量が多いような場合には、より顕著に表れる。
【0049】
これにより、検出温度の昇降が繰り返される現象、すなわち温度ハンチングが比較的短い時間内に明確に生じている場合は、まだ十分に温まっておらず、調理済み食品が全体的に温まったら、温度ハンチングの周期が十分に長くなるようになるから、再加熱終了制御手段61を設けたことにより、全体的に温まった真に再加熱された状態になったら再加熱モードが終了するようになり、部分的に冷たいといった不都合なく、良好に再加熱できるようになる。
【0050】
このように、再加熱制御手段52を設けたことにより、次のような効果がある。
i.ユーザーは単一のスイッチ操作(ワンキー操作)で火加減を気にすることなく温めることができ、その間に他の作業を気軽に行える。
ii.温め中に料理を焦がすような失敗が無くなる。
iii.ワンキー操作なので、老人や体の不自由なユーザーでも使い易い。
【0051】
図7に示すように、日常でよく使うオートキー(操作スイッチ)を並べて配置して明確化すべく、操作部Sに、魚焼オートキー62、湯沸しオートキー63、温めオートキー64を並べて配置し、その上又は下に、それらの加熱出力の強スイッチ65、弱スイッチ66とを並べて配置しても良い。LEDや液晶パネル等で構成されて操作部Sの横に配置される表示部67には、例えば、魚焼オートキー62が操作された場合には、「オート」という文字が表示され、かつ、「10分」といったできあがりまでの所要時間が表示されるようにする。
【0052】
例えば、おでん等熱く温めたいときには強スイッチ65を入り操作して「強」モードにし、味噌汁等のように軽く温めた方が良いときには弱スイッチ66を入り操作して「弱」モードに設定する。強弱スイッチ65,66を設けたので、温めレベルをユーザーが微調整できる利点がある。火加減の強弱の別設定手段として、強弱のスイッチ65,66を設けない場合には、例えば、温めオートキー64を二回押すと「弱」モードに、そして3回押すと「強」モードとなるように構成し、簡単操作とする。また、「強」モードに設定されると、そのモード終了と同時に設定時間(5分等)のタイマー付きの所定温度状態が維持される制御(温度維持ルーチン)が行われるようにしても良い。
【0053】
〔別実施形態〕
〈1〉 −第2再加熱制御手段68−
載置プレート7部分に取付けられる温度検出手段d1,d2による温度検出が設定時間継続して行われる状態に構成し、温度検出手段による検出温度の単位時間あたりの変動量が所定量以下になった時点での検出温度に基づいて作動する第2再加熱制御手段68(請求項3で言う「再加熱制御手段」に相当)を、再加熱制御手段52に代えて備えた制御回路Lに構成しても良い(図6に仮想線で描かれた「第2再加熱制御手段68」を参照)。
【0054】
これは、前述の鍋内における食品の対流による検出温度誤差を極力無くそうとする考えに基づくものであり、連続する温度検出値の単位時間当たり変動量がある程度小さくなったら、鍋内での部分的な温度差が少なくなったことであるから、それによって調理済み食品がほぼ均一な温度状態になったと見なして検出温度の信頼性を高めるのである(例:5秒間での温度変化が2度以下)。
【0055】
〈2〉 −第2再加熱終了制御手段69−
再加熱モード状態における温度検出手段d1,d2の検出作動が設定時間毎に繰り返されるように構成し、設定値以上の温度検出と、所定時間以上の温度ハンチングの周期との双方が、予め設定された回数以上連続して検出されると、第一、第二誘導コイル1,2への通電を減少又は停止させる第2再加熱終了制御手段69(請求項5で言う「再加熱終了制御手段」に相当)を、再加熱終了制御手段61に代えて備えた制御回路Lに構成しても良い(図6の仮想線参照)。
【0056】
前述したように、加熱に伴って鍋内では食品の対流が生じているから、ある時点における1回だけの温度検出作動では正確さに欠けるから、複数回の測定が望ましいとともに、食品の部分的な温度差によって検出温度が刻々と昇降変化することからも、検出温度のハンチングが複数回繰り返されることで温度変化の少ない信頼性の高い検出データになったと判断する制御手段である。
【0057】
従って、設定温度(例:70℃)以上の温度検出が予め設定された回数(例:3回)以上検出され、かつ、検出温度の上昇と下降、或いは下降と上昇とのセットによる温度ハンチングが予め設定された回数(例:3回)以上検出されたら、鍋内の調理済み食品が全体的に温まったと見なし、保温に移行すべく第一、第二誘導コイル1,2への通電量を絞るとか、通電を停止するといった処理が行われるのである。
【0058】
図9には、第2再加熱終了制御手段69による概念を表したグラフ、すなわち、時間経過に伴う温度グラフが示されている。これによると、まず、第一誘導コイル1に定格電流を流して出力100%で加熱を開始し、目標設定温度の半分の温度に上昇したら出力を50%に下げ、設定温度に達したら出力0%(加熱停止)にする。その後、設定温度から2度下がると再び出力50%で加熱して設定温度まで上げるのであるが、2度下がるに要する時間が1分以上になると、その次に設定温度まで上昇させてから、単位時間当たりの温度降下の測定を止め、タイマー設定された保温モードに移行する。図9では、区間a,bでは2度下がるに要する時間が1分未満であり、区間cで初めて、1分以上掛けて2度下がる状態になったことを示している。
【0059】
保温モードでは、第一温度センサd1の検出作動と出力50%の加熱作動との組合せによって、検出温度が設定温度より2度低い値に維持されるように制御され、タイマーによって設定された設定時間が経過すると再加熱スイッチk1を切る等によって自動的に第2再加熱終了制御手段69を作動停止させ、ブザー等の制御が終了したことを報知して完了する。参考として図10に、図9に示すグラフの要旨を表すフローチャートを示す。
【0060】
図10において、(繰り返し)とあるのは、検出温度を、設定温度とこれより2℃低い温度との間の範囲に維持させる保温ルーチンが完了報知(保温完了指令)が出るまで続けられることの意味である。尚、このフローでは、消電(コイル出力0%)から1分過ぎると、設定温度より2℃下がっていなくても次のステップに進むようにプログラムされているが、この「1分経過」の判断ルーチンを省略しても良い。
【0061】
〈3〉 誘導加熱調理器としては、誘導コイルを1個備えた単一のコンロ部を有したIHクッキングコンロや、IHホットプレートでも良く、その他種々のものも可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、載置プレート上に置かれた調理済み食品の状態判断、すなわち温度状況を正しく検出することができ、食べ頃温度に加熱するか、一旦沸騰させてから食べ頃温度に戻す又は加熱を停止させる、といった食品状況に応じた適切な温め直しが自動的に行わせることが可能になり、温め直しをしようとするときの調理済み食品の状態判断と、それによる適切な再加熱の実行とが自動化された便利な誘導加熱調理器を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】IHクッキングコンロの全体斜視図
【図2】主要部品の配置を示す平面図
【図3】図2におけるx−x線の断面図
【図4】図2におけるy−y線の断面図
【図5】操作部の拡大正面図
【図6】IHクッキングコンロの制御回路図
【図7】オート機能を示す操作部の概略図
【図8】再加熱モードのフローチャートを示す図
【図9】別の再加熱モードによる時間と温度との関係グラフを示す図
【図10】図9によるフローチャートを示す図
【符号の説明】
1 誘導コイル
4 制御装置
7 載置プレート
52 再加熱制御手段
60 強力加熱発令手段
61 再加熱終了制御手段
S 操作部
d1 温度検出手段
k1 再加熱発令手段
t1 第一設定温度
t2 第二設定温度
ts 所定温度
【発明の属する技術分野】
本発明は、IHクッキングコンロ等の誘導加熱調理器に係り、詳しくは、温め直し技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のIHクッキングコンロにおいて、調理済み食品を温めなおすには、沸騰させる等、所定の高温まで加熱するか、それに加えてその所定の高温をしばらく維持するという処理が一般的であり、このような再加熱処理は人為判断による人為操作によって為されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
IHクッキングコンロは電気で作動するものであって、電気的に制御する機能を持たせ易いものであるから、前述した再加熱処理を自動的に行わせる運転モードを設けることが可能のように思える。つまり、調理済み食品の状態判断、及びそれに基づく再加熱処理を自動的に行わせるのである。そこで、自動的に温め直しを行わせる場合には、調理済み食品の状況によっては留意すべき点がある。
【0004】
すなわち、既に加熱調理された調理済食品を再び温めるに当たり、長時間放置して十分に温度が下がっているような場合は、雑菌が繁殖していることが考えられるので沸騰或いはそれに近い高温にまで温めることが必要である。一方、まだ温かい等、放置時間が短い場合は、沸騰過熱による殺菌は必要なく、食べ頃温度に温めれば良い。このように、調理済食品を再加熱するには、そのときの調理済み食品の状態を検出し、その検出情報に基づいて再加熱処理を行わせるシステムを構築することが必要である。
【0005】
そこで本発明の目的は、再加熱処理を自動化するにあたり、その温め直しをしようとするときの調理済み食品の状態判断と、それによる適切な再加熱処理を実行し得る制御装置を備えた便利な誘導加熱調理器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の構成は、金属鍋を載置するための載置プレートと、この載置プレートの下方に配置される誘導コイルと、この誘導コイルに対して通電制御するための制御装置と、誘導コイルに対する通電制御の指令を制御装置に発令するための操作部とを備えて成る誘導加熱調理器において、
操作部に、再加熱指令を制御装置に発令自在な再加熱発令手段を設け、再加熱指令によって作動する再加熱制御手段を制御装置に設け、載置プレートに載置された金属鍋の温度を検出する温度検出手段を配備し、
再加熱制御手段は、再加熱発令手段によって再加熱指令が発令されると、そのときの温度検出手段の検出温度が所定温度以上である場合には、予め設定された第一設定温度になるまで誘導コイルに通電させ、かつ、検出温度が所定温度未満である場合には、第一設定温度よりも高温の第二設定温度になるまで加熱させる再加熱モードが実行されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1の構成は、載置プレートに置かれた調理済み食品の入った金属鍋の温度を、熱伝導によって温度検出手段で検出させて知ることができるから、再加熱指令が発令されたときの検出温度に基づいて、再加熱のやり方を選択設定させる手段である。すなわち、再加熱発令手段による再加熱指令が発令されたときの検出温度が所定温度以上のときには、調理後、或いは前回の再加熱処理後からそれほど時間が経っていない状況であると判断できるから、予め設定された第一設定温度にまで加熱させるように制御する。
【0008】
そして、検出温度が所定温度未満であるときには、調理後、或いは前回の再加熱処理後から長時間経っている状況であると判断できるから、この場合には第一設定温度よりも高温の第二設定温度になるまで加熱させるように制御するのである。例えば、調理後間もない状態では雑菌の繁殖を気にする必要はないから、第一設定温度を食べ頃温度(約75度等)に設定し、調理後長時間経って雑菌の繁殖を考慮した方が良い状況では、第二設定温度を沸騰温度に設定し、殺菌消毒の作用を発揮できる処理を行うのである。
【0009】
例えば、請求項6の構成のように、第一設定温度を沸騰温度未満の温度に、かつ、第二設定温度を沸騰温度に夫々設定すれば、既に加熱処理された調理済み食品を再び温めるにあたり、長時間放置して十分に温度が下がっているような場合には、第二設定温度である沸騰温度まで加熱されるので、繁殖した雑菌を死滅させた殺菌状態としながら温めることができる。そして、ある程度は温かいような場合は、第一設定温度である沸騰温度未満の温度にまで加熱されるので、「調理が済んでから間が無くて放置時間が短い場合は、沸騰加熱による殺菌は必要なく、食べ頃温度に温めれば良い」、という前述の要望に応じることができる。
【0010】
その結果、再加熱指令の発令時における金属鍋の検出温度が高い場合には比較的低い温度に加熱させ、検出温度が低いときには比較的高い温度に加熱させるという再加熱処理を行わせる制御手段により、金属鍋の温度状況を人為判断し、かつ、その判断に基づいて再加熱の火加減や時間の設定並びにコンロに付き添うという人為操作を行っていた従来の面倒な再加熱操作を不要にでき、調理済み食品の温度状況判断から、その温度状況に見合った再加熱処理が自動的に行われるという、操作簡単で便利な誘導加熱調理器を提供することができた。
【0011】
請求項2の構成は、請求項1の構成において、再加熱モード状態において、温度検出手段の検出温度如何に拘わらずに第二設定温度まで加熱させる指令を制御装置に出す強力加熱発令手段を設けてあることを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の構成は、再加熱モード状態において強力加熱発令手段を作動させるよう設定しておけば、再加熱モードの実行による金属鍋の検出温度から、第一設定温度まで加熱させる判断が為される状態であっても、金属鍋を強制的に第二設定温度まで加熱させる手段である。つまり、強力加熱発令手段を作動させておけば、第一と第二設定温度を選択設定する再加熱モード状態であっても、必ず高温の第二設定温度まで再加熱されるのである。
【0013】
例えば、食しようとする人の好みの関係上沸騰させたいとか、夏日等の気候的に調理済み食品が傷み易い環境では、再加熱時には、衛生上から沸騰又はそれに近い温度まで再加熱させるといった場合に、強力加熱発令手段を発令させるのが好適である。
【0014】
その結果、請求項2の誘導加熱調理器では、請求項1の構成による作用効果を奏するとともに、強力加熱発令手段を設けたことにより、便利な再加熱処理モードの制御が行える状態としながら、温度や湿度といった気候条件や好み等に応じて、意図的に高温の第二設定温度まで必ず加熱される状態を選択設定できるようになり、より使い勝手が向上するようにできた。
【0015】
請求項3の構成は、請求項1又は2の構成において、温度検出手段による温度検出が設定時間継続される状態に構成し、再加熱制御手段が、温度検出手段による検出温度の単位時間あたりの変動量が所定量以下になった時点での検出温度に基づいて作動するように構成してあることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3の構成は、正確に温度検出できる状態になってから温度検出作動を行わせる手段である。すなわち、ある金属鍋を載せて加熱調理していた直後又は途中に、調理済み食品の入った金属鍋を載置プレートに置き代えて温め直しを行うような場合に、再加熱対象金属鍋は低温であるのに載置プレートは高温となっていることがあると、検出温度が実際よりも高くなってしまい、再加熱モードが正しく行われないことが予測できる。反対に、他の加熱調理器で調理されてから間もない調理済み食品を、誘導加熱調理器で温め直す場合には、調理済み食品入り金属鍋は比較的高温であるに対して、誘導加熱調理器の載置プレートは低温であることから、検出温度が実際よりも低くなってしまい、やはり再加熱モードが正しく行われないことが考えられる。
【0017】
そこで、温度検出がある程度の時間継続して行われるように構成し、検出温度の単位時間当たりの変動量が所定量以下になった時点での検出温度に基づいて温度判断を行わせることにより、載置プレートの温度と金属鍋の温度とが十分近づいた又は一致した状態で温度検出することになり、再加熱対象の調理済み食品の実際の温度又はほぼその温度を検出することができ、再加熱モードを正しく行えるようになるのである。
【0018】
その結果、請求項1又は2の構成による作用効果を奏するとともに、温度検出手段による調理済み食品の実際の温度検出作動を正しく行えることができ、再加熱モードによる温め直し精度を所期通りに発揮させることが可能であり、再加熱制御に信頼性のある誘導加熱調理器を提供することができた。
【0019】
請求項4の構成は、請求項1〜3の構成において、再加熱モード状態において、温度検出手段の検出温度が設定値以上になり、かつ、温度ハンチングの周期が所定時間以上になると、誘導コイルへの通電を減少又は停止させる再加熱終了制御手段を設けてあることを特徴とするものである。
【0020】
請求項4の構成は、再加熱モードによる加熱処理の終了を規定するものである。すなわち、加熱による金属鍋内の食品温度の温度検出手段による上昇具合は、鍋内食品の温度上昇に伴う対流により、一様に上がって行くというものではなく、上がったり下がったりを繰り返しながら上昇するような状態になるので、単に所定温度を越えたら加熱を停止するよう構成すると、その後に一旦温度が下がってしまい、実際には十分に加熱されていない状況のあることが予測できる。
【0021】
そこで、検出温度が設定値以上になり、かつ、温度ハンチングの周期が所定時間以上になると、誘導コイルへの通電を減少又は停止させるように構成すれば、金属鍋内における食品の対流による温度の低い部分と高い部分との平均値として、すなわち調理済み食品の温め直しによる温度が全体として設定値に到達したと見なすことができる。従って、それによって加熱を抑制又は停止するように制御させることにより、調理済み食品の内部の方の温度が低いといった具合に、部分的にはまだ温まっていないといったことが解消され、調理済み食品を無理なく全体的に設定温度に再加熱することができるのである。
【0022】
その結果、請求項1〜3の構成による作用効果を奏するとともに、検出温度が設定以上であり、かつ、温度ハンチングの周期が所定時間以上となることでもって判断させる工夫により、再加熱モードによる調理済み食品の温め直し温度を正確に実現し得る精度に優れた再加熱処理制御が行える有用な誘導加熱調理器を提供することができた。
【0023】
請求項5の構成は、請求項4の構成において、再加熱モード状態における温度検出手段の検出作動が設定時間毎に繰り返されるように構成し、再加熱終了制御手段は、設定値以上の温度検出と、所定時間以上の温度ハンチングの周期との双方が、予め設定された回数以上連続して検出されると、誘導コイルへの通電を減少又は停止させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
請求項5の構成は、再加熱による温度到達の正確さをより高めるようにした手段である。すなわち、請求項4の構成では、温度検出による設定温度以上の検出作動が1回でも良いものであったが、前述したように鍋内における食品対流によっては再び温度が設定値以下に下がることがあるから、その下がった状態での温度ハンチングが所定範囲内に収まっても、依然として調理済み食品の全体としての温度は設定温度に達していないことが有り得る。
【0025】
そこで、温度ハンチングの周期が所定時間以上になったことと、検出温度が設定値以上になったこととの双方が、共に予め設定された回数以上連続して検出されると、誘導コイルへの通電を減少又は停止させるように構成すれば、温度上昇途中にある調理済み食品が一時的に温度低下する状態を考慮しても、全体としての温度が設定以上になったことをより正確に判断することが可能になる。
【0026】
その結果、請求項4の構成による作用効果が強化されて、再加熱モードによる調理済み食品の温め直し温度を、より正確に実現することができ、一層再加熱処理制御の精度に優れる誘導加熱調理器を提供することができた。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1〜図4にIHクッキングコンロ(誘導加熱調理器の一例)が示されている。このIHクッキングコンロは、コンロ枠Bに、第一及び第二コンロ部C1,C2と、魚焼き用のグリルGとを有して構成されている。なお、第一、第二コンロ部C1,C2間で後方側に、円形ヒータ13を用いた第3コンロ部C3を配設しても良い。なお、以下においては、「スイッチ」と「キー」とは実質的に同義語であると見なして良いものとする。
【0029】
コンロ枠Bは、上面の載置プレート7、左右側板8,9、前面における向かって左側に配置されたグリルGの開閉扉11と、右側に配置された操作部Sとを有した箱体に構成されている。載置プレート7の左側後部には、グリルGの排気口12を設けてある。第一コンロ部C1は、載置プレート7の左側部分と、その直下に配された渦巻状の第1誘導コイル1とで構成され、第二コンロ部C2は、載置プレート7の右側部分と、その直下に配された渦巻状の第2誘導コイル2とで構成されている。グリルGは、第1誘導コイル1の下方に形成されたグリル用空間部10と、そこに配されたグリル用のヒータ3とで構成されている。
【0030】
コンロ枠Bには、第2誘導コイル2の下方において上下に積層配置された第一及び第二制御基板5,6、その後方に配置されたマイコン等で成る制御装置4、前述したグリル用空間部10とその後面から排気口12に続く煙道14等が内装されている。第一、第二コンロ部C1,C2における各中心部の載置プレート7の裏面には、第一、第二温度センサ(温度検出手段の一例)d1、d2が装備されている。
【0031】
開閉扉11には、内部を透視するためのガラス窓11aと取っ手11btとを有しており、グリル用空間部10には、水入れ用の受け皿33、載せ網34が装備されている。制御装置4の横外側には、各制御基板5,6に設けられたヒートシンク5a,6aに対する冷却ファン35を配置してある。
【0032】
図5に示すように、操作部Sは、左右中央に表示操作部15を、左に第一コンロ操作部16とグリル操作部17とを、そして右に第二コンロ操作部18を夫々配置して構成されている。表示操作部15は、液晶パネルを用いた表示部19と、その下方の時限操作部20とで成り、表示部19には、主に時間を示す3桁の大表示手段21と、重量を示す3桁の小表示手段22と、各種表示ランプ23〜29、及び案内文字等が配されている。時限操作部20は、自動電源OFF機能付きのタイマー選択スイッチ30、時間設定用として分数増加スイッチ31、及び分数減少スイッチ32が装備されている。
【0033】
第一コンロ操作部は、第1誘導コイル1への通電状態を操作するものであり、電源の入切りスイッチ36、出力増大スイッチ37、及び出力低下スイッチ38とが配されている。第一コンロ操作部16の下方に配置されたグリル操作部17は、ヒータ3への通電状態を操作するものであり、電源の入切りスイッチ39、加熱対象の重量(グラム数)を設定するための重量増大及び低下の各スイッチ40,41、保温スイッチ42、及び肉と魚の選択スイッチ43とが配されている。
【0034】
第二コンロ操作部18は、第2誘導コイル2への通電状態を操作するものであり、上段には電源の入切りスイッチ44、出力増大スイッチ45、出力低下スイッチ46が、そして下段には、加熱制御の入切りスイッチ47、比較的大出力に設定するための強めスイッチ48、比較的小出力に設定するための弱めスイッチ49、温度設定を行う揚げ物スイッチ50、及び自動調理スイッチ51を設けてある。
【0035】
図6には、本コンロにおいて再加熱モードを行うための再加熱制御回路Lを示してある。家庭等に導かれている電圧200ボルト(100ボルトでも可)の商用電源Eが、整流回路54によって直流化されて、後述の再加熱制御手段52を有した制御装置4に入力されている。制御装置4には、第一及び第二誘導コイル1,2がインバータ回路56,57を介して接続され,かつ、IGBT(MOS型トランジスタ)を用いたスイッチング部70,71が各インバータ回路56,57に設けてあるとともに、グリル用ヒータ3、円形ヒータ13と、それらの入切りスイッチ39,55が制御装置4に接続してある。そして、第一、第二誘導コイル1,2の入切りスイッチ36,44、第一、第二温度センサd1、d2、ブザー等の各報知手段58,59、並びに表示装置53を制御装置4に接続してある。
【0036】
ところで、第一、第二誘導コイル1,2を内コイルと外コイルとの2つのコイルで構成する場合には、これら内外コイルに交互に電流を流す(交番電流)ことにより、金属鍋内の調理済み食品に対流を生じさせて、より効率良く加熱できるように構成しても良い。
【0037】
次に、再加熱制御手段52による再加熱制御について説明する。操作部Sには、押し込むことによって再加熱指令を制御装置4に発令自在な再加熱スイッチ(再加熱発令手段の一例)k1,k2、及び液晶パネル等による表示装置53を設けてあるとともに、再加熱指令によって作動する再加熱制御手段52を制御装置4に設けてある。
【0038】
再加熱制御手段52は、再加熱スイッチk1,k2によって再加熱指令が発令されると、そのときの第一、第二温度センサd1,d2の検出温度が所定温度ts(例:60℃)以上である場合には、予め制御装置4に設定された第一設定温度t1(例:80℃)になるまで第一、第二誘導コイル1,2に出力80%で通電さて加熱させる。そして、検出温度が所定温度ts未満である場合には、第一設定温度t1よりも高温の第二設定温度t2(例:沸騰温度)になるまで第一、第二誘導コイル1,2に出力80%で通電させて加熱させる再加熱モードが実行されるように再加熱制御手段52が構成されている。出力を80%とすることにより、調理済み食品が焦げないようしながらも、効率良く温めることができる。尚、あたためモードで再加熱を行うようにしても良い。
【0039】
再加熱制御は次のような場合に用いる。すなわち、昨日作ったカレー(調理済み食品の一例)を昼食用として温め直すときには、カレーの入った金属鍋を第一コンロ部C1(又は第二コンロ部C2)に置き、それから第一再加熱スイッチk1を入り操作する。すると、第一温度センサd1が載置プレート7及び金属鍋を介してカレーの温度(例:常温の20℃)を検出し、その検出温度20℃と制御装置4に記憶された所定温度tsである60℃とを比較し、第二設定温度t2である沸騰温度まで加熱させる沸騰再加熱モードが実行される、という一連の制御作動が自動的に行われる。
【0040】
そして、第一温度センサd1が沸騰温度を検出したら、或いは一定時間沸騰温度を検出したら、第一誘導コイル1への通電を減らす又は絶って沸騰温度よりもやや低い温度(制御設定温度であり、例えば90℃)に調温するとともに、ブザー等の報知手段を一定時間作動させてユーザーに知らせるところまで自動的に行われて再加熱モードが終了する。なお、沸騰させた後の制御設定温度を後述の食べ頃温度に落ち着かせるように制御させても良い。
【0041】
また、先ほど作ったばかりのカレーを温め直すときには、第一温度センサd1による検出温度が65℃であるといった具合に、前述の所定温度よりも高ければ、第一設定温度t1である食べ頃温度(例80℃)まで加熱する食べ頃再加熱モードが実行されるようになる。そして、検出温度が第一設定温度t1に到達したら第一誘導コイル1への通電を絶つとともにブザーを鳴らすという一連の作動が自動的に行われるのは、沸騰再加熱モードのときと同じである。この食べ頃再加熱モードでは必要最小限度の加熱で済むのでカレー、シチュー等の調理済み食品が煮詰まって味が濃くなることが殆ど生じない利点がある。
【0042】
操作部Sの表示装置53には、再加熱スイッチk1,k2がスイッチONに成ると、「再加熱モード」(第一コンロ部C1が選択されたときには「再加熱モード1」という具合に、最後に1又は2の数字が付く表示でも良い)という表示が為され、その後の温度検出による検出温度が、例えば「65℃」という具合に表示されてから、「沸騰再加熱モード:90℃」又は「食べ頃再加熱モード:80℃」という表示に変わる。そして、目標温度に到達して再加熱制御が終了すると、「沸騰再加熱モード:完」や「食べ頃再加熱モード:完」という表示に変わり、かつ、ブザーやアラームが鳴るのである。
【0043】
実際には、再加熱モードの終了に伴って自動的に保温モードに移行するように制御装置4が構成されている。すなわち、制御設定温度や食べ頃温度になったら直ぐに、或いは所定時間経過後には、制御装置4によって自動的に保温モードに切換り、設定された保温温度(例75℃)を保持するように、第一、第二誘導コイル1,2への通電をインバーター制御(ON−OFF制御でも良い)するのである。この保温モードは、再加熱スイッチk1,k2が切り操作されるまで続行される。尚、保温中にユーザーが金属鍋を移動した場合には、温度センサd1,d2の検出温度が激減すること(鍋無し検地)により、加熱が即刻終了されるように制御装置4が機能する。
【0044】
また、再加熱スイッチk1,k2の少なくとも一方が入り操作された再加熱モード状態において、第一、第二温度センサーd1,d2の検出温度如何に拘わらずに、沸騰温度といった高温の第二設定温度まで加熱させる指令を制御装置4に出す強加熱スイッチ(強力加熱発令手段の一例)60を操作部Sに設けてある。これにより、熱いものが好みであるとか、腐りやすい夏場での殺菌のために再加熱時には必ず沸騰させたい場合に好適な手段である。
【0045】
参考に、図8に再加熱制御手段52による再加熱モードのフローチャートを示す。第1コンロ部C1を使った場合で概略説明する。まず、カレー等が入った金属鍋を第一誘導コイル1部位の載置プレート7の上にカレー等の調理済み食品の入った金属鍋を置いてから、第一再加熱スイッチk1を入り操作する(あたため開始SW:ステップ井1)。第一温度センサd1による検出温度が60℃以上か未満かを判断し(ステップ井2)、以上であれば第一設定温度t1が選択され(ステップ井3)、未満であれば第二設定温度t2が選択され(ステップ井4)て、出力80%での加熱(ステップ井5)が開始される。
【0046】
第一温度センサd1による検出温度が目標温度(第一又は第二設定温度)になると(ステップ井6)、第一誘導コイル1への通電量を減(少又は停止)させ、保温モードに切換える(ステップ井7)。そして、第一再加熱スイッチk1が切り(OFF)操作されたかどうかを判断し(ステップ井8)、スイッチOFFでれば再加熱制御の終了であり、ONであれば第一温度センサd1による検出温度が本温度以上か未満であるかの判断を行う(ステップ井9)。目標保温温度以上であれば第一誘導コイル1への通電を絶って(ステップ井10)からステップ井8に戻り、未満であれば第一誘導コイル1を出力50%で作動させてからステップ井8に戻る。
【0047】
図8には明確に図示していないが、再加熱モードを終わらせる再加熱終了制御手段61を制御装置4に設けてある。すなわち、再加熱終了制御手段61の機能により、再加熱モード状態において、第一、第二温度センサd1、d2の検出温度が設定値以上になり、かつ、温度ハンチングの周期が所定時間以上になると、第一、第二誘導コイル1,2への通電が減少又は停止するのである。
【0048】
つまり、加熱される調理済み食品の温度上昇形態は、鍋内での対流により、熱くなった部分に変わって冷たい部分が温度センサd1,d2に近接し、それによって一旦検出温度が下がることが生じるとともに、その温度昇降が繰り返されながら全体としての温度画上昇していくようになる。この現象は、金属鍋が大きいとか、シチュー等の調理済み食品の量が多いような場合には、より顕著に表れる。
【0049】
これにより、検出温度の昇降が繰り返される現象、すなわち温度ハンチングが比較的短い時間内に明確に生じている場合は、まだ十分に温まっておらず、調理済み食品が全体的に温まったら、温度ハンチングの周期が十分に長くなるようになるから、再加熱終了制御手段61を設けたことにより、全体的に温まった真に再加熱された状態になったら再加熱モードが終了するようになり、部分的に冷たいといった不都合なく、良好に再加熱できるようになる。
【0050】
このように、再加熱制御手段52を設けたことにより、次のような効果がある。
i.ユーザーは単一のスイッチ操作(ワンキー操作)で火加減を気にすることなく温めることができ、その間に他の作業を気軽に行える。
ii.温め中に料理を焦がすような失敗が無くなる。
iii.ワンキー操作なので、老人や体の不自由なユーザーでも使い易い。
【0051】
図7に示すように、日常でよく使うオートキー(操作スイッチ)を並べて配置して明確化すべく、操作部Sに、魚焼オートキー62、湯沸しオートキー63、温めオートキー64を並べて配置し、その上又は下に、それらの加熱出力の強スイッチ65、弱スイッチ66とを並べて配置しても良い。LEDや液晶パネル等で構成されて操作部Sの横に配置される表示部67には、例えば、魚焼オートキー62が操作された場合には、「オート」という文字が表示され、かつ、「10分」といったできあがりまでの所要時間が表示されるようにする。
【0052】
例えば、おでん等熱く温めたいときには強スイッチ65を入り操作して「強」モードにし、味噌汁等のように軽く温めた方が良いときには弱スイッチ66を入り操作して「弱」モードに設定する。強弱スイッチ65,66を設けたので、温めレベルをユーザーが微調整できる利点がある。火加減の強弱の別設定手段として、強弱のスイッチ65,66を設けない場合には、例えば、温めオートキー64を二回押すと「弱」モードに、そして3回押すと「強」モードとなるように構成し、簡単操作とする。また、「強」モードに設定されると、そのモード終了と同時に設定時間(5分等)のタイマー付きの所定温度状態が維持される制御(温度維持ルーチン)が行われるようにしても良い。
【0053】
〔別実施形態〕
〈1〉 −第2再加熱制御手段68−
載置プレート7部分に取付けられる温度検出手段d1,d2による温度検出が設定時間継続して行われる状態に構成し、温度検出手段による検出温度の単位時間あたりの変動量が所定量以下になった時点での検出温度に基づいて作動する第2再加熱制御手段68(請求項3で言う「再加熱制御手段」に相当)を、再加熱制御手段52に代えて備えた制御回路Lに構成しても良い(図6に仮想線で描かれた「第2再加熱制御手段68」を参照)。
【0054】
これは、前述の鍋内における食品の対流による検出温度誤差を極力無くそうとする考えに基づくものであり、連続する温度検出値の単位時間当たり変動量がある程度小さくなったら、鍋内での部分的な温度差が少なくなったことであるから、それによって調理済み食品がほぼ均一な温度状態になったと見なして検出温度の信頼性を高めるのである(例:5秒間での温度変化が2度以下)。
【0055】
〈2〉 −第2再加熱終了制御手段69−
再加熱モード状態における温度検出手段d1,d2の検出作動が設定時間毎に繰り返されるように構成し、設定値以上の温度検出と、所定時間以上の温度ハンチングの周期との双方が、予め設定された回数以上連続して検出されると、第一、第二誘導コイル1,2への通電を減少又は停止させる第2再加熱終了制御手段69(請求項5で言う「再加熱終了制御手段」に相当)を、再加熱終了制御手段61に代えて備えた制御回路Lに構成しても良い(図6の仮想線参照)。
【0056】
前述したように、加熱に伴って鍋内では食品の対流が生じているから、ある時点における1回だけの温度検出作動では正確さに欠けるから、複数回の測定が望ましいとともに、食品の部分的な温度差によって検出温度が刻々と昇降変化することからも、検出温度のハンチングが複数回繰り返されることで温度変化の少ない信頼性の高い検出データになったと判断する制御手段である。
【0057】
従って、設定温度(例:70℃)以上の温度検出が予め設定された回数(例:3回)以上検出され、かつ、検出温度の上昇と下降、或いは下降と上昇とのセットによる温度ハンチングが予め設定された回数(例:3回)以上検出されたら、鍋内の調理済み食品が全体的に温まったと見なし、保温に移行すべく第一、第二誘導コイル1,2への通電量を絞るとか、通電を停止するといった処理が行われるのである。
【0058】
図9には、第2再加熱終了制御手段69による概念を表したグラフ、すなわち、時間経過に伴う温度グラフが示されている。これによると、まず、第一誘導コイル1に定格電流を流して出力100%で加熱を開始し、目標設定温度の半分の温度に上昇したら出力を50%に下げ、設定温度に達したら出力0%(加熱停止)にする。その後、設定温度から2度下がると再び出力50%で加熱して設定温度まで上げるのであるが、2度下がるに要する時間が1分以上になると、その次に設定温度まで上昇させてから、単位時間当たりの温度降下の測定を止め、タイマー設定された保温モードに移行する。図9では、区間a,bでは2度下がるに要する時間が1分未満であり、区間cで初めて、1分以上掛けて2度下がる状態になったことを示している。
【0059】
保温モードでは、第一温度センサd1の検出作動と出力50%の加熱作動との組合せによって、検出温度が設定温度より2度低い値に維持されるように制御され、タイマーによって設定された設定時間が経過すると再加熱スイッチk1を切る等によって自動的に第2再加熱終了制御手段69を作動停止させ、ブザー等の制御が終了したことを報知して完了する。参考として図10に、図9に示すグラフの要旨を表すフローチャートを示す。
【0060】
図10において、(繰り返し)とあるのは、検出温度を、設定温度とこれより2℃低い温度との間の範囲に維持させる保温ルーチンが完了報知(保温完了指令)が出るまで続けられることの意味である。尚、このフローでは、消電(コイル出力0%)から1分過ぎると、設定温度より2℃下がっていなくても次のステップに進むようにプログラムされているが、この「1分経過」の判断ルーチンを省略しても良い。
【0061】
〈3〉 誘導加熱調理器としては、誘導コイルを1個備えた単一のコンロ部を有したIHクッキングコンロや、IHホットプレートでも良く、その他種々のものも可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、載置プレート上に置かれた調理済み食品の状態判断、すなわち温度状況を正しく検出することができ、食べ頃温度に加熱するか、一旦沸騰させてから食べ頃温度に戻す又は加熱を停止させる、といった食品状況に応じた適切な温め直しが自動的に行わせることが可能になり、温め直しをしようとするときの調理済み食品の状態判断と、それによる適切な再加熱の実行とが自動化された便利な誘導加熱調理器を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】IHクッキングコンロの全体斜視図
【図2】主要部品の配置を示す平面図
【図3】図2におけるx−x線の断面図
【図4】図2におけるy−y線の断面図
【図5】操作部の拡大正面図
【図6】IHクッキングコンロの制御回路図
【図7】オート機能を示す操作部の概略図
【図8】再加熱モードのフローチャートを示す図
【図9】別の再加熱モードによる時間と温度との関係グラフを示す図
【図10】図9によるフローチャートを示す図
【符号の説明】
1 誘導コイル
4 制御装置
7 載置プレート
52 再加熱制御手段
60 強力加熱発令手段
61 再加熱終了制御手段
S 操作部
d1 温度検出手段
k1 再加熱発令手段
t1 第一設定温度
t2 第二設定温度
ts 所定温度
Claims (6)
- 金属鍋を載置するための載置プレートと、この載置プレートの下方に配置される誘導コイルと、この誘導コイルに対して通電制御するための制御装置と、前記誘導コイルに対する通電制御の指令を前記制御装置に発令するための操作部とを備えて成る誘導加熱調理器であって、
前記操作部に、再加熱指令を前記制御装置に発令自在な再加熱発令手段を設け、前記再加熱指令によって作動する再加熱制御手段を前記制御装置に設け、前記載置プレートに載置された金属鍋の温度を検出する温度検出手段を配備し、
前記再加熱制御手段は、前記再加熱発令手段によって再加熱指令が発令されると、そのときの前記温度検出手段の検出温度が所定温度以上である場合には、予め設定された第一設定温度になるまで前記誘導コイルに通電させ、かつ、検出温度が所定温度未満である場合には、前記第一設定温度よりも高温の第二設定温度になるまで加熱させる再加熱モードが実行されるように構成されている誘導加熱調理器。 - 前記再加熱モード状態において、前記温度検出手段の検出温度如何に拘わらずに前記第二設定温度まで加熱させる指令を前記制御装置に出す強力加熱発令手段を設けてある請求項1に記載の誘導加熱調理器。
- 前記温度検出手段による温度検出が設定時間継続される状態に構成し、前記再加熱制御手段が、前記温度検手段による検出温度の単位時間あたりの変動量が所定量以下になった時点での検出温度に基づいて作動するように構成してある請求項1又は2に記載の誘導加熱調理器。
- 前記再加熱モード状態において、前記温度検出手段の検出温度が設定値以上になり、かつ、温度ハンチングの周期が所定時間以上になると、前記誘導コイルへの通電を減少又は停止させる再加熱終了制御手段を設けてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記再加熱モード状態における前記温度検出手段の検出作動が設定時間毎に繰り返されるように構成し、前記再加熱終了制御手段は、設定値以上の温度検出と、所定時間以上の温度ハンチングの周期との双方が、予め設定された回数以上連続して検出されると、前記誘導コイルへの通電を減少又は停止させるように構成されている請求項4に記載の誘導加熱調理器。
- 前記第二設定温度が沸騰温度であり、前記第一設定温度が沸騰温度未満の温度である請求項1〜5のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
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-
2002
- 2002-08-09 JP JP2002234150A patent/JP2004079216A/ja active Pending
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