JP2004162937A - 加熱調理装置 - Google Patents

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Ikuko Tanaka
郁子 田中
Yoshitaka Kawasaki
良隆 川崎
Yoshiko Yasunobu
淑子 安信
Tomoko Tani
谷  知子
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Abstract

【課題】加熱調理の待機期間中に、食材の冷却手段を作動させて食材の品質劣化を抑制し、雑菌などが繁殖せず、食感食味を損なわない時間予約型の食品加熱調理装置を提供する。
【解決手段】加熱調理装置の庫内に冷却手段を備え、加熱調理工程に至る前段階および調理後の保存段階に作動させ、昇温による待機中の品質、調理後の品質の低下を抑制する手段を備えて動作させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱調理工程前後の待機時間もしくは保存時間における温度管理機能を有する加熱調理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
家庭における食品の加熱調理には、電子レンジ(マイクロ波加熱)、オーブントースター(ヒータ加熱)、炊飯器(誘導加熱)など各種の電熱機器が広く利用されており、電気エネルギー利用による高制御性の利点を活かして、タイマー予約による完成時指定の加熱調理機能や、調理後の保温機能が付加された機器も利用されている。また、情報化技術の進展に伴い、宅外から電話等の指令を送信することにより、所望の機器を遠隔操作する手段も多数提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−215067号公報
【特許文献2】
特開平11−284757号公報
【特許文献3】
特開2001−264077号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の方法のように、タイマーや電話による遠隔操作で加熱調理のタイミングや時間を設定する予約調理では、同じ条件で調理器内にセットされたにも拘わらず、調理後の食品の品質に大きなばらつきがあった。例えば米の炊飯においては、炊飯器内の米や水を同じ条件(分量、米の研ぎ具合等)にし、炊飯時間を同一にしてもデンプンの変質が進んだ酸味を呈する炊飯米になることがあった。また、総菜や弁当などの調理食品では加熱調理後に食味や食感が損なわれていることもあり、帰宅時に自己消費する場合に限らず、在宅する病人や要介護者のために食品の加熱調理準備をし、タイマー制御や遠隔操作によって希望する時刻に、最適な食品品質を確保した形で、調理を完了させることは、困難であった。
【0005】
また、加熱調理後の保存においては、炊飯器のように保温する場合は比較的問題が少ないが、加熱調理後に常温まで放熱もしくは冷却してから食する総菜などでは、食味や食感を損なわれることもあり、一般に加熱調理を早めに行って保存しておくという予約調理は困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消し、調理食品の最適品質を維持しつつ、安全にかつ最適なタイミングで加熱調理を行い得る予約もしくは遠隔操作可能な加熱調理装置を提供するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために第1の本発明の加熱調理装置は、調理庫内に加熱手段と冷却手段とを備え、前記加熱手段を動作させ前記調理庫内の食品の加熱調理を行う加熱調理工程の前段の待機工程および後段の保存工程の少なくとも一方において、前記冷却手段が動作することを特徴とする。
【0008】
また、第2の本発明の加熱調理装置は、外部電話からの信号を受信して前記加熱調理工程の開始もしくは完了時刻を制御されると有効である。
【0009】
また、第3の本発明の加熱調理装置は、前記冷却手段の動作により前記調理庫内温度を、少なくとも−5℃以下の冷凍温度と、0℃〜+5℃の冷蔵温度との2種類に制御する機能を有すると有効である。
【0010】
また、第4の本発明の加熱調理装置は、前記加熱手段の動作により、少なくとも前記調理庫内の前記食品表面温度が+10℃以下に抑制した解凍温度と、+60℃以上に昇温させる調理温度の2種類に制御する機能を有すると有効である。
【0011】
また、第5の本発明の加熱調理装置は、前記待機工程において、前記冷却手段による冷凍温度制御と前記加熱手段による解凍温度制御とを交互に繰り返し動作させ、その後調理温度まで前記加熱手段により昇温するよう制御すると有効である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本願発明者は、上記課題を解決するために検討した結果、加熱調理装置における予約調理において調理の開始が始まるまでの待機時間または、調理完了後の待機時間における食品周囲の環境条件、特に温度条件が食品の品質に影響を与えているという知見を得た。
【0013】
例えば、炊飯米がデンプンの変質が進んで酸味を呈したり、総菜や弁当などの調理食品では加熱調理後に食味や食感が損なわれるのは、炊飯器や加熱調理後の食品の周囲の温度が適温よりも高いことに起因することが判明した。
【0014】
このことから、本出願人は、加熱調理器内に加熱手段に加え、冷却手段を設け、上記冷却手段を制御することで、予約もしくは遠隔操作により、調理食品の最適品質を確保した形で、安全にかつ最適なタイミングで加熱調理を行い得る加熱調理装置を提供した。
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお本発明では、調理庫内を冷却する手段が必要であるが、これには冷蔵庫等で使用されるヒートポンプサイクル(圧縮機、放熱器、キャピラリ、冷却器で構成される)や、ペルチェ素子が使用できる。一方加熱手段としては、マグネトロンから発せられるマイクロ波や、シーズヒータ、放熱ランプ、電磁誘導加熱などが用いられ、機器形態としては電子レンジ、オーブン、グリル、炊飯器、製パン機など、家庭で用いられる各種加熱調理器が利用可能である。また温度を検出する手段を付加する場合には、熱電対やサーミスタといった接触式の測温素子の他、赤外線センサを用いた非接触型の測温素子を用いてもよい。これらはいずれも従来から一般的に使用されているもので、ここでは詳細な構成や作用動作の説明を省略する。また、外部電話から送られる信号に基づいて機器を操作する手段は、テレコントロールとして一般的に使われるもので、コントロール信号の発信は、固定電話、自動車電話、PHS等を含む携帯電話等が挙げられ、いずれも本発明の効果を制限するものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る加熱調理装置の第1の実施の形態を示す構成概略図、図2はその動作制御を示す制御フロー図である。図1において、1は調理装置本体で、2は調理室、3は調理食材を入れた調理容器である。4は加熱制御部で、5は加熱制御部4と接続されて調理室2内にマイクロ波を照射する加熱部、また6は冷却制御部で、7は冷却制御部6と接続されて低温を発生するペルチェ素子からなる冷却部である。
【0017】
上記構成において、その制御フローと作用動作を図2に基づいて説明する。まず、調理容器3に加熱調理用の食材一式を入れて、調理室2の底面に備えられた冷却部7上に載置しセットする(S11)。次に加熱制御部7で所望の出来上がり時刻を入力(S12)するとともに、同じく加熱制御部7で調理メニューを、冷却制御部6で調理待機工程での保存メニューを選択(S13)してスタートさせる。こうすると、調理器本体1内に別途備えられた調理および保存用シーケンス記憶部(ここでは図示していない)から、前記メニュー選択(S13)に応じた記憶シーケンスを呼び出し(S14)、加熱調理工程(S18)に至るまで最適な待機条件を維持するために調理室2内の冷却が必要か否かを判定(S15)し、例えば室温が既に十分低いなど保冷が不要な場合にはそのままで待機(S16)を、室温が高い場合には冷却部7を動作させて冷却(S17)しつつ、加熱調理(S18)を行う時間を待つ。先に入力(S12)した完了希望時刻から、内部時計による計時(S19)を経て加熱調理(S18)開始の時刻に到達したことが確認される(S20)と、常温で待機していた(S16)場合はそのまま、冷却部7による冷却操作(S17)を行っていた場合はその動作を停止され、選択されたメニューに沿って加熱部5を作動させて加熱調理(S18)が行われる。加熱調理工程(S18)が終了した段階で、先に呼び出したシーケンス(S14)と対応させつつ、以降の冷蔵保存の要否を判断(S21)し、冷蔵保存(もしくは調理物の冷却)が必要な場合には、再度冷却部7を動作させて冷却保存の工程(S22)に入り、不要な場合(加温状態ですぐに供食する場合を含む)にはそのままで完了時刻を待ち(S23)、入力した(S12)所望時刻の到来とともに全操作を終了(S24)する。かくして、食材をセット(S11)してから加熱調理(S18)を行うまでの待機時間が数時間〜十数時間という長期に亘る場合においても、適宜冷却部7を動作させて調理室2内を冷却し、その間の気温変動による食材の変質や雑菌の繁殖を抑制することが可能になるもので、タイマー制御によって例えば帰宅時刻に合わせた加熱調理を行っても、調理食品の安全性と食味食感が維持確保できることになる。
【0018】
この操作は、単に外出者が自己喫食するためのものに限らず、調理作業ができない病人や要介護者等のために、喫食時刻を決めてタイマー予約で調理する場合にも有効で、炊事作業のための介助者の作業負担、時間制約から解放することができるものでもある。
【0019】
またこの操作の対象となる食材は、通常の生食材から加熱調理を行うもののみではなく、例えば冷凍された調理済み食品を解凍し加熱する場合にも有効で、喫食時刻直前までは冷凍状態で保存品質を確実に維持し、喫食直前に解凍加熱して供食することができ、別途備えられた冷凍庫から取り出して加熱調理機器にセットするという操作なく、外出前や就寝前など、タイマー予約し得る時点で準備操作を完結することができ、極めて操作性や利便性に優れた装置を提供できるものである。
【0020】
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、機器構成は若干異なるものの基本的な操作と作用は実施の形態1と同様であり、外部の電話と接続されて終了時刻等を任意設定する方法とこれに伴う動作制御方法が異なる。したがって、この相違点を中心に本実施の形態を説明する。
【0021】
図3は本実施の形態を示す構成概略図である。図3において、31は調理装置本体で、内部に調理室32備え、この調理室32には食材を入れる調理容器33が嵌装されている。34は加熱制御部で電磁誘導加熱を行う加熱部35と接続されている。また36は冷却制御部で、ペルチェ素子からなる冷却部37と接続されている。ここで外部電話38と連通して信号変換器39が備えられ、変換された信号は加熱制御部34(および冷却制御部36)に送られるよう接続されている。なお40は電源接続部である。
【0022】
上記構成において、食材のセットおよび加熱制御部34、冷却制御部36へのメニュー入力、冷却部37や加熱部35の動作などは実施の形態1と同様であり、詳細な説明は省略するが、外部電話38によるメニュー選択制御を中心に説明する。外部電話38で制御する前提としては、調理容器33に食材が入っており、電源接続部40が電源に接続されていることが必須であるが、加熱制御部35には特に動作指令がなくてもよく、冷却制御部36のみを操作して待機工程の冷却部37の動作を指令しているだけの場合も対応できる。この状態で外部電話38から電話をかけ、所定の信号を発信すれば、信号変換器39でその信号を基に加熱制御部34および冷却制御部36の制御信号へと変換(詳細は省略)して伝送し、この制御信号に従って所望の時刻に加熱調理を完了、あるいはその後の冷却、保存もしくは保冷等の制御を行うものである。このような処理を行うことにより、例えば帰宅時間が変更になった場合の加熱調理完了時間の変更、機構の急変に対応した待機時間中の冷却保存条件の変更、喫食予定の変更による加熱調理操作の追加や削減、調理後の保存条件の追加変更など臨機の対応が可能になり、加熱調理の前後における温度条件を制御して真に所望のタイミングで安全性と食味食感を確保しようとする本発明のねらいが、さらに着実に実行し得るものである。
【0023】
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、基本の構成は実施の形態1と同じであり、操作制御の方法とこれに伴う作用効果が異なる。したがって、この相違点を中心に説明する。なおここでは構成の図示を省略しているが、構成要素の番号は実施の形態1(図1)に準拠し、同一番号が同一構成を示している。
【0024】
図4は本実施の形態での動作制御の例を示す温度/時間特性図である。図4において温度変化で示すように、冷却部7を動作させた冷凍操作(S41)で食材温度を−10℃以下まで下げ、次に加熱部5を動作させた解凍操作(S42)で+10℃付近まで昇温させる。この操作を繰り返し(S43,S44、S45、S46)、その後所望時刻に対応させて加熱調理操作(S47)を行っている。このように操作することにより、食材の冷凍操作(S41,S43,S45)の中で食材内部の水分が氷結し、体積膨張によって細胞構造の一部を破壊する作用が生じる。一方、解凍操作(S42,S44、S46)の中では、破壊した細胞からの脱水と、周囲に共存する調味液の浸透が生じ、かくして食材を冷却保存している間に調理作用を補助する効果が得られることになる。こうした前処理の後に加熱調理(S47)を行えば、組織の破壊で食材が軟化したり、調味液が食材内部まで十分に浸透したりするという副次効果(調理支援作用)も得られ、雑菌繁殖や食材の変質を抑制する安全保存機能に加えて、上記調理支援作用により、より食味を向上させ得るものである。なお、解凍操作(S42,S44,S46)の到達温度は、保存中の雑菌繁殖等を抑制するために、+10℃以下、望ましくは+5℃以下とするのが望ましい。上記冷凍操作(S41,S43,S45)については、体積膨張によって細胞構造の一部を破壊するため−5℃以下、好ましくは−10℃以下である。
【0025】
また、上記調理支援作用を必要としない場合は、食材の加熱温度を、雑菌等が増殖しない0℃〜10℃(より好ましくは0〜5℃)に加熱する解凍レベルと、+60℃以上に加熱する調理レベルの2段階に制御することにより、保存時の雑菌繁殖を防止しつつ解凍する工程と、最終の本格加熱調理を実行する工程とを確保し、食材の調理作用をより有効に実行し得る加熱調理が可能となる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、タイマー制御等の予約手段によって加熱調理する場合に、その前後の工程で保冷処理する手段を備えることにより、所望の時間に加熱調理を完成する利便性に加えて、その前後の工程における雑菌増加や食材の変質を防止し、安全で高品質の加熱調理食品を所望のタイミングで提供し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加熱調理装置の第1の実施の形態を示す構成概略図
【図2】本発明の加熱調理装置の第1の実施の形態において加熱調理装置の制御フロ−図
【図3】本発明の加熱調理装置の第2の実施の形態を示す概略構成図
【図4】本発明の加熱調理装置の第3の実施の形態の動作制御の特性図
【符号の説明】
1,31 調理装置本体
2,32 調理室
3,33 調理容器
4,34 加熱制御部
5,35 加熱部
6,36 冷却制御部
7,37 冷却部
38 外部電話
39 信号変換器
40 電源接続部

Claims (5)

  1. 調理庫内に加熱手段と冷却手段とを備え、前記加熱手段を動作させ前記調理庫内の食品の加熱調理を行う加熱調理工程の前段の待機工程および後段の保存工程の少なくとも一方において、前記冷却手段が動作することを特徴とする加熱調理装置。
  2. 外部電話からの信号を受信して、前記加熱調理工程の開始もしくは完了時刻が、制御されることを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
  3. 前記冷却手段の動作により前記調理庫内温度を、少なくとも−5℃以下の冷凍温度と、0℃〜+5℃の冷蔵温度との2種類に制御する機能を有する請求項1または2記載の加熱調理装置。
  4. 前記加熱手段の動作により、少なくとも前記調理庫内の前記食品表面温度が+10℃以下に抑制した解凍温度と、+60℃以上に昇温させる調理温度の2種類に制御する機能を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加熱調理装置。
  5. 前記待機工程において、前記冷却手段による冷凍温度制御と前記加熱手段による解凍温度制御とを交互に繰り返し動作させ、その後調理温度まで前記加熱手段により昇温するよう制御することを特徴とする請求項4記載の加熱調理装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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