以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、共通する説明を簡略化または省略する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による調理システム1を示す図である。図1に示すように、調理システム1は、調理機器2と冷蔵庫3とを備える。調理機器2の例としては、炊飯器、電子レンジ、IHクッキングヒーター、自動調理鍋など、家庭のキッチンに置かれている家電機器が挙げられる。なお、調理機器2は、家庭用のものに限らず、業務用のものでもよい。
調理機器2は、例えば、食材を加熱する工程を含む調理動作を実行することができる。調理機器2は、調理機器制御部2aと、調理機器センサ部2bと、調理機器通信部2cと、使用者の操作を受け付ける調理機器操作部2dと、使用者に情報を報知する調理機器報知部2eとを備える。調理機器制御部2aは、調理機器2が行う調理動作を制御することができる。調理機器制御部2aは、例えば、少なくとも一つのメモリと少なくとも一つのプロセッサとを備えたものでもよい。調理機器制御部2aは、日時を管理するタイマー機能を有していてもよい。調理機器センサ部2bは、例えば、調理温度、食材が収納された空間の圧力、食材の重量、のうちの少なくとも一つの情報を検出するセンサを備えていてもよい。調理機器通信部2cは、他の機器と通信する機能を有する。調理機器報知部2eは、使用者に報知する情報をディスプレイに表示してもよいし、音声アナウンスにより使用者に情報を伝達してもよいし、その両方を行うように構成されていてもよい。
調理システム1は、複数の調理機器2を含むものでもよい。その場合、複数の調理機器2は、例えば炊飯器、電子レンジ、IHクッキングヒーター、自動調理鍋のうちの異なる2種以上を含んでいてもよい。
冷蔵庫3は、一つまたは複数の貯蔵室4を備えている。貯蔵室4は、例えば、凍結点よりも高い温度で食料を保存する冷蔵室でもよいし、凍結点よりも低い温度で食料を冷凍保存する冷凍室でもよいし、凍結点またはその近くの温度で食料を保存するチルド室でもよい。貯蔵室4内の温度を以下「庫内温度」と称する。冷蔵庫3は、庫内温度が異なる複数の貯蔵室4を備えてもよい。冷蔵庫3は、容積が異なる複数の貯蔵室4を備えてもよい。また、冷蔵庫3は、上記冷蔵室及び上記チルド室のいずれも備えず、凍結点よりも低い温度で食料を冷凍保存する冷凍室のみを貯蔵室4として備えたものでもよい。
冷蔵庫3は、冷蔵庫制御部3aと、冷蔵庫センサ部3bと、冷蔵庫通信部3cと、使用者の操作を受け付ける冷蔵庫操作部3dと、使用者に情報を報知する冷蔵庫報知部3eとをさらに備える。冷蔵庫制御部3aは、庫内温度を制御することができる。冷蔵庫制御部3aは、例えば、少なくとも一つのメモリと少なくとも一つのプロセッサとを備えたものでもよい。冷蔵庫制御部3aは、日時を管理するタイマー機能を有していてもよい。冷蔵庫センサ部3bは、庫内温度を検出するセンサを備える。冷蔵庫センサ部3bは、庫内温度以外の情報を検出するセンサをさらに備えていてもよい。冷蔵庫通信部3cは、他の機器と通信する機能を有する。冷蔵庫報知部3eは、使用者に報知する情報をディスプレイに表示してもよいし、音声により使用者に情報を伝達してもよいし、その両方を行うように構成されていてもよい。
調理機器2及び冷蔵庫3のいずれか一方または両方は、例えばスマートフォンのような携帯端末と通信可能でもよい。その場合には、当該携帯端末が調理機器2あるいは冷蔵庫3のユーザーインターフェースとして調理機器操作部2d、調理機器報知部2e、冷蔵庫操作部3d、及び冷蔵庫報知部3eの機能のうちの少なくとも一部の機能を代替可能であるように構成してもよい。
図示を省略するが、冷蔵庫3は、貯蔵室4を冷却する冷却装置を備える。この冷却装置は、例えば、冷凍サイクルの運転を行う冷媒回路と、冷媒回路の冷却器を通過した冷気を循環させるファンと、貯蔵室4内への冷気の流入を制御するダンパとを備えるものでもよい。この場合、冷蔵庫制御部3aは、冷媒回路、ファン、ダンパのうちの少なくとも一つの動作を調整することで、庫内温度を制御することができる。または、冷却装置は、例えばペルチェ素子を用いたものでもよい。この場合、冷蔵庫制御部3aは、ペルチェ素子に供給する電力を調整することで、庫内温度を制御することができる。
本実施の形態の調理システム1では、調理機器2と冷蔵庫3とは、調理機器通信部2cと冷蔵庫通信部3cとの間で直接的に通信を行い、各自の持つ情報を相互に送受信することができる。これにより、素早く情報を相互に伝えることができるため、通信間のラグがなく、よりタイムリーに動作を行うことができる。
調理機器2は、冷蔵庫3と連携する動作モードである連携調理モードを実行可能である。以下では、調理機器2が連携調理モードを実行することで調理された食品を「連携調理食品」と呼ぶ場合がある。連携調理モードは、例えば、調理機器2により調理された連携調理食品を冷蔵庫3の貯蔵室4内に収納して保存するための動作モードでもよい。また、連携調理モードは、貯蔵室4に貯蔵された食材を用いて調理機器2により調理する動作モードでもよい。貯蔵室4に貯蔵された食材を用いて調理機器2により調理する連携調理モードを以下「貯蔵食材使用モード」と呼ぶ場合がある。なお、複数の調理機器2を含む調理システム1の場合には、少なくとも一つの調理機器2が連携調理モードを実行可能であればよい。
調理機器2が連携調理モードを実行する場合に、冷蔵庫3は、庫内温度が食品保管温度に等しくなっていれば、庫内温度を、食品保管温度よりも高い温度または食品保管温度よりも低い温度へ変化させるように、冷却装置を動作させる。食品保管温度は、調理機器2が連携調理モードを実行しない場合に、貯蔵室4内で食品を保管するときの温度である。食品保管温度は、例えば、調理機器2が連携調理モードを実行しない場合に、貯蔵室4の扉を閉めた状態に維持して庫内温度が一定温度に到達したときの庫内温度に相当する。
調理機器2が連携調理モードを実行する場合に、冷蔵庫3は、連携調理食品を収納する予定になっている貯蔵室4の庫内温度を事前に変化させる処理を実行してもよい。この場合、冷蔵庫3は、連携調理食品が貯蔵室4に収納されるよりも前に当該貯蔵室4の庫内温度が食品保管温度よりも低い温度になるように庫内温度を低下させてもよい。そのようにすることで、加熱調理された高温の連携調理食品が貯蔵室4に収納された後の庫内温度の上昇を確実に軽減できる。あるいは、冷蔵庫3は、連携調理食品が貯蔵室4に収納されるよりも前に、貯蔵室4の庫内温度が、連携調理食品を収納するのに適した温度になるように、貯蔵室4の庫内温度を上昇または低下させてもよい。そのようにすることで、貯蔵室4に収納された連携調理食品をより適切な温度で保存することができる。
貯蔵室4に貯蔵された食材を以下「貯蔵食材」と呼ぶ場合がある。調理機器2が貯蔵食材使用モードを実行する場合に、冷蔵庫3は、貯蔵食材使用モードにより調理される予定の貯蔵食材が貯蔵された貯蔵室4の庫内温度が、食品保管温度よりも高い温度になるように調整してもよい。以下の説明では、貯蔵室4に貯蔵された食材を調理に使用するときの温度として予め設定された温度を「第一温度」と称する。第一温度は、食品保管温度よりも高い温度である。例えば調理機器操作部2dあるいは冷蔵庫操作部3dを使用者が操作することで、使用者が第一温度の値を設定できるように構成してもよい。また、調理機器2あるいは冷蔵庫3が、食材の種類に応じて、第一温度の値を自動で設定してもよい。
調理機器2が貯蔵食材使用モードを実行する場合に、冷蔵庫3は、貯蔵食材使用モードにより調理される貯蔵食材が貯蔵された貯蔵室4の庫内温度が第一温度に等しくなるように庫内温度を調整してもよい。この場合、冷蔵庫3は、貯蔵食材が貯蔵室4から取り出されるよりも前に、当該貯蔵室4の庫内温度を第一温度に調整する。そのようにすることで、貯蔵室4から取り出されたときの貯蔵食材の温度を、調理に適した第一温度に近づけることができる。例えば、貯蔵食材が、冷凍室である貯蔵室4内で冷凍されたものである場合に、貯蔵食材の温度を事前に上昇させることができるので、冷凍された貯蔵食材の調理が容易になる。この場合、庫内温度調整処理前の冷凍室の庫内温度が例えば−18℃のときには庫内温度調整処理によって庫内温度を−15℃まで上昇させてもよい。また、庫内温度調整処理前の冷凍室の庫内温度が例えば−7℃のときには庫内温度調整処理によって庫内温度を−5℃まで上昇させてもよい。
例えば、外部から食材が貯蔵室4に投入されると、貯蔵室4の扉が開いたときに外気が貯蔵室4に流入したり、新たに投入された食材が熱を発したりすることで、庫内温度が上昇する。このため、貯蔵食材使用モードが実行されない場合でも、庫内温度が上昇して第一温度に近づく可能性がある。したがって、調理機器2が貯蔵食材使用モードを連携調理モードとして実行する場合に、貯蔵食材が貯蔵された貯蔵室4の庫内温度がすでに第一温度に達している可能性がある。このため、調理機器2が貯蔵食材使用モードを連携調理モードとして実行する場合に、冷蔵庫3は、すでに庫内温度が第一温度に等しくなっていれば、庫内温度を第一温度のまま維持するように、冷却装置を動作させる。これにより、冷却装置の消費電力を抑制できる。
上述したようにして、調理機器2が連携調理モードを実行する場合に庫内温度が食品保管温度になっていれば冷蔵庫3が庫内温度を変化させる処理、あるいは、調理機器2が連携調理モードを実行する場合に庫内温度が第一温度になっていれば冷蔵庫3が庫内温度を第一温度のまま維持する処理を、以下の説明では「庫内温度調整処理」と呼ぶ場合がある。
上述したように、本実施の形態の調理システム1によれば、調理機器2が連携調理モードを実行する場合に冷蔵庫3が庫内温度調整処理を実行することで、使用者の利便性を向上できる。
また、実施の形態1による冷蔵庫3は、上述したように、調理機器2が連携調理モードを実行する場合に、庫内温度が食品保管温度になっていれば、庫内温度を変化させるものである。また、実施の形態1による連携方法は、調理機器2が連携調理モードを実行する連携調理ステップと、調理機器2が連携調理モードを実行する場合に、庫内温度が食品保管温度になっていれば、冷蔵庫3が庫内温度を変化させる庫内温度変更ステップとを有するものである。
調理機器2は、複数種類の連携調理モードを実行可能でもよい。この場合、複数種類の連携調理モードは、例えば、カレー、シチュー、煮物などのような料理のメニューに応じて異なる調理モードを含んでいてもよいし、米飯の硬さあるいは粘りなどの炊き上がり状態が異なる複数の炊飯モードを含んでいてもよい。使用者は、例えば、調理機器操作部2dを操作することにより、複数種類の連携調理モードから、調理機器2に実行させる連携調理モードを選択することができる。
連携調理モードを実行する場合に、調理機器2は、実行される連携調理モードの種類の情報と、調理食品の量に関する情報と、調理時間に関する情報と、調理温度に関する情報とのうちの少なくとも一つの情報を含む調理情報を送信してもよい。調理温度は、例えば、調理が終了した食品の温度でもよいし、調理途中の食材の温度でもよい。調理機器センサ部2bが調理温度を検出してもよい。調理機器制御部2aは、加熱中の調理温度の上昇速度を用いて、調理食品の量を判定してもよい。調理機器2がIHクッキングヒーターである場合、調理機器制御部2aは、使用されている鍋の大きさを検出し、その検出された鍋の大きさを用いて、調理食品の量を判定してもよい。調理時間に関する情報は、例えば、連携調理モードの調理動作の開始から終了までの所要時間の情報、あるいは連携調理モードの調理動作の終了時刻の情報などを含む。連携調理モードの調理動作の終了時刻を以下「調理終了時刻」と称する。
調理機器2が連携調理モードを実行する場合に、冷蔵庫3は、庫内温度を、調理機器2が送信した調理情報に応じた温度に調整する。これにより、より適切な庫内温度にすることができる。例えば、冷蔵庫3は、調理情報における調理温度が高いほど庫内温度を低くする制御を実行してもよい。加熱調理後の連携調理食品が貯蔵室4に入れられた場合、その連携調理食品の温度が高いほど、庫内温度が上昇しやすい。そこで、庫内温度調整処理として、調理温度が高いほど庫内温度を低くする制御を実行することで、連携調理食品が貯蔵室4に入れられた後の庫内温度の上昇をより確実に軽減できる。また、冷蔵庫3は、調理情報における調理食品の量が多いほど庫内温度を低くする制御を実行してもよい。加熱調理後の連携調理食品が貯蔵室4に入れられた場合、その連携調理食品の量が多いほど、庫内温度が上昇しやすい。そこで、庫内温度調整処理として、連携調理食品の量が多いほど庫内温度を低くする制御を実行することで、連携調理食品が貯蔵室4に入れられた後の庫内温度の上昇をより確実に軽減できる。以上のようにすることで、貯蔵室4内で保存される連携調理食品の品質を保つことと、消費電力をなるべく低減することとをより適切に両立できる。
調理機器2が連携調理モードを実行する場合に、冷蔵庫3が備える複数の貯蔵室4のうちから、庫内温度を調理情報に応じた温度に調整する貯蔵室4を調理情報に応じて冷蔵庫制御部3aが選択してもよい。すなわち、冷蔵庫3が備える複数の貯蔵室4のうちから、庫内温度調整処理の対象となる貯蔵室4を、調理情報に応じて冷蔵庫制御部3aが選択してもよい。例えば、連携調理食品を冷凍保存するための連携調理モードが実行される場合には、複数の貯蔵室4のうちから冷凍室に相当する貯蔵室4を庫内温度調整処理の対象として選択する。また、連携調理食品を冷蔵保存するための連携調理モードが実行される場合には、複数の貯蔵室4のうちから冷蔵室に相当する貯蔵室4を庫内温度調整処理の対象として選択する。また、容積の異なる複数の貯蔵室4がある場合には、庫内温度調整処理の対象となる貯蔵室4を、調理情報における調理食品の量に応じて冷蔵庫制御部3aが選択してもよい。例えば、調理食品の量が多い場合には、広い収納スペースが必要となるので、容積の大きい貯蔵室4を庫内温度調整処理の対象として選択する。その一方で、調理食品の量が少ない場合には、広い収納スペースは必要ないので、容積の小さい貯蔵室4を庫内温度調整処理の対象として選択する。以上のようにすることで、貯蔵室4ごとにさらに適切な最適な動作を行うことができ、無駄な動作が省けて省エネルギーになるとともに、他の食品への影響を防ぐことができる。
冷蔵庫3は、一つの貯蔵室4のうちで庫内温度を変化させる空間の広さを変えることができるように構成されていてもよい。例えば、貯蔵室4内に冷気が吹き出す方向を変えるルーバを設け、冷蔵庫制御部3aが当該ルーバを動かして冷気の吹き出し方向を変えることで、貯蔵室4のうちで庫内温度を変化させる空間の広さを変えてもよい。あるいは、貯蔵室4の内部空間を複数の空間に分割する移動式の隔壁を設け、冷蔵庫制御部3aが当該隔壁の位置を移動することで、貯蔵室4のうちで庫内温度を変化させる空間の広さを変えてもよい。調理機器2が連携調理モードを実行する場合に、貯蔵室4のうちで庫内温度を変化させる空間の広さを調理情報に応じて冷蔵庫制御部3aが自動で変更してもよい。例えば、調理食品の量が多い場合には、広い収納スペースが必要となるので、貯蔵室4のうちで庫内温度を変化させる空間を広くする。その一方で、調理食品の量が少ない場合には、広い収納スペースは必要ないので、貯蔵室4のうちで庫内温度を変化させる空間を狭くする。以上のようにすることで、連携調理食品が貯蔵室4に収納されたときの負荷をなるべく軽減することと、保存される連携調理食品の品質を保つこととを両立できる。
冷蔵庫3が庫内温度調整処理を完了する時刻を調理時間に応じて自動で変更してもよい。庫内温度調整処理の完了とは、庫内温度が、庫内温度調整処理における目標庫内温度に到達することに相当する。すなわち、庫内温度調整処理が完了する時刻は、調理機器2が連携調理モードを実行する場合に庫内温度の変化が完了する時刻に相当する。調理後の連携調理食品を貯蔵室4に収納する場合、庫内温度調整処理が完了する時刻は、調理終了時刻と同じ時刻か、それよりも前の時刻であることが望ましい。すなわち、調理終了時刻までに、連携調理食品の保存に適した庫内温度の状態で冷蔵庫3が待機していることが望ましい。そのようにすることで、使用者は、調理終了後に待たずに、連携調理食品を適切な庫内温度の貯蔵室4に入れることができるので、利便性がさらに向上する。このような理想を実現するため、調理時間が短い場合、すなわち調理終了時刻が早い場合には、冷蔵庫制御部3aは、庫内温度の変化速度が高速となるように庫内温度調整処理を実行する。その一方で、調理時間が長い場合、すなわち調理終了時刻が遅い場合には、冷蔵庫制御部3aは、庫内温度の変化速度が低速となるように庫内温度調整処理を実行する。これにより、消費電力を低減できる。なお、庫内温度の変化速度が速すぎると、消費電力の増加、貯蔵室4内の他の食品への影響、庫内温度のオーバーシュートあるいはアンダーシュートなどの悪影響が発生する可能性がある。このため、冷蔵庫制御部3aは、庫内温度の変化速度を、そのような悪影響が発生しない程度の速度に調整する。その結果、庫内温度調整処理が完了する時刻が調理終了時刻よりも遅くなる場合には、調理機器2は、冷蔵庫3から受信した情報に応じて、調理終了時刻が、庫内温度調整処理が完了する時刻と同じ時刻か、庫内温度調整処理が完了する時刻よりも後の時刻になるように、調理動作を修正することが好ましい。
冷蔵庫3は、上述した複数種類の調理情報を組み合わせて、庫内温度調整処理の動作内容を決定してもよい。冷蔵庫3は、庫内温度調整処理に関する貯蔵室4の情報である貯蔵室情報を送信してもよい。貯蔵室情報は、例えば、複数の貯蔵室4のうちのいずれが庫内温度調整処理の対象になるかの情報と、庫内温度調整処理における目標庫内温度の情報と、貯蔵室4のうちで庫内温度を変化させる空間の広さの情報と、庫内温度調整処理が完了する予定時刻の情報と、庫内温度調整処理の対象となる貯蔵室4の現在の庫内温度の情報とのうちの1以上の情報を含む。
調理機器2は、冷蔵庫3が送信した貯蔵室情報に応じて、連携調理モードの調理動作を修正してもよい。貯蔵室4に収納される予定の連携調理食品の調理温度が高い場合あるいは連携調理食品の量が多い場合には、庫内温度調整処理における目標庫内温度と、庫内温度調整処理の前の庫内温度との差が大きくなる結果、庫内温度調整処理に長い時間がかかる可能性がある。この場合、庫内温度調整処理が完了する予定時刻が、連携調理モードの調理動作を調理機器2が完了する予定時刻よりも遅い時刻になる可能性がある。このような場合に、調理機器2は、連携調理モードの調理動作が終了する時刻が遅くなるように、当該調理動作における加熱時間、加熱出力などのパラメータを修正してもよい。そのようにすることで、調理完了後に連携調理食品を貯蔵室4に収納するときの使用者の待ち時間を短縮するか待ち時間を無くすことができるので、利便性がさらに向上する。また、調理機器2は、庫内温度調整処理の対象となる貯蔵室4の現在の庫内温度の情報に応じて、連携調理モードの調理動作が終了する時刻を調整してもよい。例えば、庫内温度調整処理の対象となる貯蔵室4の現在の庫内温度が基準に比べて高い場合には、庫内温度調整処理に長い時間がかかると予想されるので、調理機器2は、連携調理モードの調理動作が終了する時刻が遅くなるように、当該調理動作における加熱時間、加熱出力などのパラメータを修正してもよい。
冷蔵庫3が送信した貯蔵室情報に応じて調理機器2が連携調理モードの調理動作を修正した場合には、調理機器2は、修正後の調理情報を冷蔵庫3へ送信してもよい。調理機器2と冷蔵庫3の両者の持つ情報をタイムリーに受け渡すことで、最適な設定・動作へとフィードバックを行うことができ、余分な動作を減らすことができる。
図2は、実施の形態1による調理システム1の調理機器2の動作の例を示すフローチャートである。図3は、実施の形態1による調理システム1の冷蔵庫3の動作の例を示すフローチャートである。図2に示すように、調理機器制御部2aは、調理モードを実行するに際して、実行する調理モードが連携調理モードであるかどうかを判断する(ステップST100)。実行する調理モードが連携調理モードでない場合には、調理機器制御部2aは、調理モードの実行を続ける(ステップS100)。その後、調理が終了する。これに対し、ST100で、実行する調理モードが連携調理モードである場合には、調理機器制御部2aは、調理情報を含む調理データを調理機器通信部2cから冷蔵庫3へ送信する(ステップS101)。
図3に示すように、冷蔵庫通信部3cは、調理機器2が送信した調理データを受信する(ステップS111)。次いで、冷蔵庫制御部3aは、庫内温度調整処理を行うために、調理情報に応じて、冷蔵庫動作モードを変更する(ステップS112)。続いて、冷蔵庫制御部3aは、貯蔵室情報を含む冷蔵庫動作データを冷蔵庫通信部3cから調理機器2へ送信する(ステップS113)。
図2に示すように、調理機器通信部2cは、冷蔵庫3が送信した冷蔵庫動作データを受信する(ステップS102)。次いで、調理機器制御部2aは、冷蔵庫3から受信した貯蔵室情報に応じて、連携調理モードの調理動作を修正することができるかどうかを判断する(ステップST101)。このステップST101において、調理機器制御部2aは、冷蔵庫3から受信した貯蔵室情報に応じて連携調理モードの調理動作を修正した場合に、例えば調理終了後の調理食品のおいしさが低下するなどの影響が出るかどうかによって、連携調理モードの調理動作を修正することができるかどうかを判断する。上記影響を以下「調理影響」と称する。
調理影響がなく、連携調理モードの調理動作を修正可能である場合には、調理機器制御部2aは、連携調理モードの調理動作を修正する(ステップS106)。これに対し、調理影響があると判定された場合には、調理機器制御部2aは、調理影響が出ない範囲で修正可能となる修正調理データを計算する(ステップS103)。修正調理データは、調理情報を含む。この調理機器制御部2aは、この修正調理データを調理機器通信部2cから冷蔵庫3へ送信する(ステップS104)。
図3に示すように、冷蔵庫制御部3aは、冷蔵庫通信部3cが調理機器2から修正調理データを受信したかどうかを判断する(ステップST111)。修正調理データを受信しなければ、冷蔵庫制御部3aは、ステップS112で変更した動作モードのまま動作を実行する。これに対し、修正調理データを受信した場合は、冷蔵庫制御部3aは、修正調理データの調理情報に応じた庫内温度調整処理を行うために、当該調理情報に応じて、庫内温度調整処理を含む冷蔵庫動作モードを修正する(ステップS114)。次いで、冷蔵庫制御部3aは、修正された貯蔵室情報を含む冷蔵庫動作データを冷蔵庫通信部3cから調理機器2へ送信する(ステップS115)。
図2に示すように、調理機器通信部2cは、冷蔵庫3がステップS115で送信した冷蔵庫動作データを受信する(ステップS105)。次いで、調理機器制御部2aは、修正された貯蔵室情報と、ステップS103で計算された修正調理データとの間に不整合がないことを確認した上で、連携調理モードの調理動作を修正する(ステップS106)。
ステップS106で、調理機器制御部2aは、例えば、庫内温度調整処理が完了する予定時刻に応じて、連携調理モードの調理動作が終了する時刻を調整する。調理終了後すぐに使用者が連携調理食品を調理機器2から貯蔵室4へ移すことができるようにするために、連携調理モードの調理動作が終了する時刻は、庫内温度調整処理が完了する時刻と同時か、もしくは庫内温度調整処理が完了する時刻よりも後の時刻であることが望ましい。なお、ステップS106において、連携調理モードの調理動作を修正する必要がなければ、調理機器制御部2aは、修正の処理を実行しなくてよい。
連携調理モードの調理動作の実行中、調理機器制御部2aは、調理が終了したかどうかを判断する(ステップST102)。調理が終了した場合には、調理機器制御部2aは、冷蔵庫動作データの情報を調理機器報知部2eにより使用者に報知する(ステップS107)。このステップS107で使用者に報知する情報は、例えば、調理が終了した連携調理食品を複数の貯蔵室4のうちのいずれの貯蔵室4に収納すればよいかの情報と、貯蔵室4内のどの領域に連携調理食品を収納すればよいかの情報との少なくとも一方を含んでもよい。また、ステップS107で使用者に報知する情報を、調理機器報知部2eに代えて、あるいは調理機器報知部2eに加えて、冷蔵庫報知部3eから使用者に報知してもよい。
図2及び図3を用いて説明した例では、連携調理モードであるかどうかを調理機器2が判断しているが、連携調理モードであるかどうかを冷蔵庫3が判断してもよい。連携調理モードであるかどうかを冷蔵庫3が判断する場合の例について、図4及び図5のフローチャートを参照して説明するが、同一または対応するステップには、同一の符号を付して、説明を省略または簡略化する。
図4は、実施の形態1による調理システム1の調理機器2の動作の例を示すフローチャートである。図5は、実施の形態1による調理システム1の冷蔵庫3の動作の例を示すフローチャートである。図4に示すように、調理機器制御部2aは、調理モードを実行するに際して、実行する調理モードが連携調理モードであるかどうかを判断することなく、調理情報を含む調理データを調理機器通信部2cから冷蔵庫3へ送信する(ステップS101)。
図5に示すように、冷蔵庫通信部3cは、調理機器2が送信した調理データを受信する(ステップS111)。次いで、冷蔵庫制御部3aは、調理機器2からの調理データに基づいて、連携調理モードであるかどうかを判断する(ステップST110)。連携調理モードでない場合には、冷蔵庫制御部3aは、調理機器2からの調理データを破棄し(ステップS110)、調理データを受信する前と同じ動作モードを続行する。これに対し、連携調理モードである場合には、冷蔵庫制御部3aは、庫内温度調整処理を行うために、調理情報に応じて、冷蔵庫動作モードを変更する(ステップS112)。続いて、冷蔵庫制御部3aは、貯蔵室情報を含む冷蔵庫動作データを冷蔵庫通信部3cから調理機器2へ送信する(ステップS113)。ステップS113以降の冷蔵庫3の動作は、図3と同じであるので、説明を省略する。
図4に示すように、ステップS101の後、調理機器制御部2aは、調理機器通信部2cが冷蔵庫3からの冷蔵庫動作データを受信したかどうかを判断する。調理機器通信部2cが冷蔵庫動作データを受信していない場合には、連携調理モードではないので、調理機器制御部2aは、そのまま調理モードの実行を続ける(ステップS100)。これに対し、調理機器通信部2cが冷蔵庫動作データを受信した場合には、連携調理モードであるので、調理機器制御部2aは、冷蔵庫3から受信した貯蔵室情報に応じて、連携調理モードの調理動作を修正することができるかどうかを判断する(ステップST101)。ステップST101以降の調理機器2の動作は、図2と同じであるので、説明を省略する。
上述した図5のステップST110の変形例として、冷蔵庫制御部3aは、調理機器2より受信した調理モードから連携調理モードであるかどうかを単に判断することに代えて、今回受信した調理モードに対して庫内温度調整処理が実行可能であるかどうかを以下のようにして判断してもよい。例えば、今回の調理モードを受信する前に、同じ調理機器2から受信した他の調理モードに対して庫内温度調整処理が実行されている場合がある。また、調理システム1が複数の調理機器2を含む場合において、今回の調理モードを受信する前に、他の調理機器2から受信した調理モードに対して庫内温度調整処理が実行されている場合がある。これらの場合のように、他の庫内温度調整処理が既に実行中である場合に、新たな庫内温度調整処理を実行すると、保存してある食材に悪影響を及ぼす場合がある。例えば、新たな庫内温度調整処理によって冷凍室である貯蔵室4の庫内温度が変更されると、冷凍保存してある食材に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、冷蔵庫制御部3aは、今回受信した調理モードに対して庫内温度調整処理を実行した場合に悪影響があるかどうかを予想し、悪影響がないと予想された場合にはステップS112へ進んで冷蔵庫動作モードを変更する。これに対し、悪影響があると予想された場合には、冷蔵庫制御部3aは、ステップS110へ進んで調理機器2からの調理データを破棄し、今回受信した調理モードに対する庫内温度調整処理を実行しないようにする。
図2から図5を用いて説明した例では、連携調理モードであるかどうかの判断を調理機器2と冷蔵庫3のいずれか一方のみで行うようにしているが、このような例に限らず、連携調理モードであるかどうかの判断を調理機器2と冷蔵庫3の両方が行ってもよい。そのようにすることで、例えば、万が一調理機器2側で調理連携モードと誤判断しても、冷蔵庫3側で再度判断し直すことができるため、無駄な動作を防ぐことができ、より高い信頼性が確保できる。
図2から図5を用いて説明した例では、調理機器2と冷蔵庫3が相互に情報を送受信しているが、このような例に限らず、調理機器2から冷蔵庫3への情報伝達だけを行い、冷蔵庫3から調理機器2への情報伝達を行わないようにしてもよい。すなわち、冷蔵庫3が貯蔵室情報を調理機器2へ送信しなくてもよい。
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付して、共通する説明を簡略化または省略する。
図6は、実施の形態2による調理システム5を示す図である。図6に示すように、実施の形態2による調理システム5では、調理機器2及び冷蔵庫3がネットワーク6に対して通信可能に接続されている。ネットワーク6は、例えばホームネットワークでもよい。ネットワーク6は、使用者の家の中に設置されるサーバコンピュータ等によって構築される。ネットワーク6を介して、調理機器2と冷蔵庫3は、相互に通信を行うことができる。ネットワーク6に対する調理機器2あるいは冷蔵庫3の接続方法については、特に限定されず、無線通信接続でもよいし有線通信接続でもよい。ネットワーク6は、実施の形態1において調理機器制御部2a及び冷蔵庫制御部3aが実行する処理のうちの少なくとも一部の処理を代替して実行可能である。
図示を省略するが、例えば、AIスピーカー、スマートフォンなどの他の機器がネットワーク6に対して通信可能に接続されていてもよい。また、図6の例では調理機器2及び冷蔵庫3の外部にネットワーク6が設けられているが、変形例として、ネットワーク6を構築するためのサーバコンピュータ等が、調理機器2及び冷蔵庫3のいずれか一方の内部に配置されていてもよい。
ネットワーク6は、調理機器2及び冷蔵庫3が通信する情報を、情報収集部7に記憶させることにより当該情報を収集する。情報収集部7は、図6の例のようにネットワーク6が備えるサーバコンピュータ内にあってもよい。この例に限らず、情報収集部7は、ネットワーク6の外の例えばクラウドサーバ内にあってもよいし、調理機器2及び冷蔵庫3のいずれか一方の内部に配置されていてもよい。
ネットワーク6は、情報収集部7に収集された情報を学習することにより、調理機器2の連携調理モードの動作と、調理機器2が連携調理モードを実行する場合の冷蔵庫3の庫内温度調整処理の動作とのいずれか一方または両方を修正可能である。例えば、ネットワーク6は、情報収集部7に収集された情報から、使用者ごとの調理の好みあるいは習慣を学習し、調理機器2及び冷蔵庫3へフィードバックしてもよい。
使用者は、調理機器2の連携調理モードの動作と、調理機器2が連携調理モードを実行する場合の冷蔵庫3の庫内温度調整処理の動作との少なくとも一方に対する評価情報を、AIスピーカー、スマートフォン、調理機器操作部2d、冷蔵庫操作部3dなどを用いて、ネットワーク6へ送信してもよい。ネットワーク6は、その評価情報を情報収集部7に収集し、学習してもよい。例えば、ネットワーク6は、庫内温度調整処理により変更された庫内温度が低すぎたり高すぎたりすることを上記評価情報から学習した場合には、次回の庫内温度調整処理における目標庫内温度を修正してもよい。
以上のようにすることで、調理機器2あるいは冷蔵庫3の動作を、使用者ごとにカスタマイズされた動作へと、より適切に改良することができ、利便性がさらに向上する。
図7は、実施の形態2による調理システム5の調理機器2の動作の例を示すフローチャートである。図8は、実施の形態2による調理システム5の冷蔵庫3の動作の例を示すフローチャートである。図9は、実施の形態2による調理システム5のネットワーク6の動作の例を示すフローチャートである。
図7に示すように、調理機器制御部2aは、調理モードを実行するに際して、調理情報を含む調理データを調理機器通信部2cからネットワーク6へ送信する(ステップS201)。図9に示すように、ネットワーク6は、調理機器2からの調理データに基づいて、連携調理モードであるかどうかを判断する(ステップST221)。連携調理モードでない場合には、ネットワーク6は、処理を終了する。連携調理モードである場合には、ステップS222へ進み、ネットワーク6は、冷蔵庫動作データの送信依頼を冷蔵庫3に送信する。
図8のステップS211でネットワーク6からの冷蔵庫動作データの送信依頼を冷蔵庫3が受信すると、ステップS212へ進み、冷蔵庫3は、冷蔵庫動作データをネットワーク6へ送信する。図9のステップS223で冷蔵庫3からの冷蔵庫動作データをネットワーク6が受信すると、ステップST222へ進み、ネットワーク6は、冷蔵庫3が庫内温度調整処理を実施するように動作モードを変更することが可能であるかどうかを判断する。このステップST222で、ネットワーク6は、例えば、前述した図5のステップST110の変形例と同様にして、冷蔵庫3が庫内温度調整処理を実施するように動作モードを変更することが可能であるかどうかを判断してもよい。冷蔵庫3が庫内温度調整処理を実施するように動作モードを変更することができない場合には、ネットワーク6は、処理を終了する。これに対し、冷蔵庫3が庫内温度調整処理を実施するように動作モードを変更することが可能である場合には、ステップS224へ進み、ネットワーク6は、庫内温度調整処理を実施するように冷蔵庫動作モードを変更するための冷蔵庫動作データを計算する。この冷蔵庫動作データは、貯蔵室情報を含む。
続いて、ネットワーク6は、ステップS224で計算された冷蔵庫動作データに基づいて、連携調理モードの調理動作を修正することができるかどうかを判断する(ステップST223)。調理影響があるために連携調理モードの調理動作を修正することができない場合には、ステップS225へ進み、ネットワーク6は、調理影響を抑制できるような修正調理データを計算する。この修正調理データは、調理情報を含む。次いで、ネットワーク6は、修正調理データの調理情報に応じた庫内温度調整処理を実施するように、修正した冷蔵庫動作データを計算する(ステップS226)。その後、ネットワーク6は、修正された冷蔵庫動作データに基づいて、連携調理モードの調理動作を修正することができるかどうかを再度判断する(ステップST223)。ステップST223で連携調理モードの調理動作を修正することができると判断された場合には、ネットワーク6は、連携調理モードの調理動作を修正するための修正調理データを調理機器2へ送信する(ステップS227)。次いで、ネットワーク6は、修正冷蔵庫動作データを調理機器2及び冷蔵庫3の双方へ送信する(ステップS228)。なお、本実施の形態であれば、ステップST223,ステップS225,ステップS226を設けたことで、調理機器2の動作及び冷蔵庫3の動作のそれぞれが最適になるように、両者の計算をネットワーク6内で繰り返し実施することができる。これに対し、調理機器2と冷蔵庫3との間で何度もデータをやり取りする場合には、データ送受信に時間がかかる。本実施の形態であれば、ネットワーク6を用いることで、そのようなデータ送受信が不要であるので、処理を迅速に完了することが可能となる。
図7に示すように、調理機器2は、ネットワーク6から修正調理データを受信したかどうかを判断する(ステップST201)。ネットワーク6から修正調理データを受信していない場合には、調理機器2は、そのまま調理動作を続行する(ステップS200)。これに対し、ネットワーク6から修正調理データを受信した場合には、ステップS202へ進み、調理機器2は、ネットワーク6から修正冷蔵庫動作データを受信する。続いて、調理機器2は、ネットワーク6から受信した修正調理データに応じて、連携調理モードの調理動作を修正する(ステップS203)。連携調理モードの調理動作の実行中、調理機器制御部2aは、調理が終了したかどうかを判断する(ステップST202)。調理が終了した場合には、調理機器2は、最終調理データをネットワーク6へ送信する(ステップS204)。次いで、調理機器2は、ネットワーク6から受信した冷蔵庫動作データの情報を調理機器報知部2eにより使用者に報知する(ステップS205)。
図8に示すように、冷蔵庫3は、ネットワーク6から修正冷蔵庫動作データを受信したかどうかを判断する(ステップST211)。ネットワーク6から修正冷蔵庫動作データを受信していない場合には、冷蔵庫3は、動作を変更することなく、本フローチャートの処理を終了する。これに対し、ネットワーク6から修正冷蔵庫動作データを受信した場合には、ステップS213へ進み、冷蔵庫3は、当該データに応じて庫内温度調整処理を行うために、冷蔵庫動作モードを修正する(ステップS213)。次いで、冷蔵庫3は、最終冷蔵庫動作データをネットワーク6へ送信する(ステップS214)。
図9に示すように、ネットワーク6は、調理機器2から送信された最終調理データと、冷蔵庫3から送信された最終冷蔵庫動作データとを受信する(ステップS229)。そして、ネットワーク6は、その受信した最終調理データ及び最終冷蔵庫動作データを情報収集部7に保存する(ステップS230)。
実施の形態3.
次に、実施の形態3について説明するが、前述した実施の形態との相違点を中心に説明し、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付して、共通する説明を簡略化または省略する。
本実施の形態における調理機器2は、冷凍保存に適した米飯を炊き上げる冷凍用米飯炊飯モードを連携調理モードとして実行可能である。本実施の形態における調理機器2は、例えば、炊飯専用の炊飯器でもよいし、炊飯以外の調理も実行可能な自動調理鍋でもよい。冷凍保存に適した米飯を以下「冷凍用米飯」と称する。調理機器2は、炊飯後にそのまま食べる米飯を炊き上げる通常炊飯モードを実行可能である。通常炊飯モードにより炊き上げられた米飯を以下「通常米飯」と称する。
炊飯直後の冷凍用米飯は、通常米飯よりも糊化度が低い。炊飯直後の冷凍用米飯は、通常米飯よりも硬い。炊飯直後の冷凍用米飯は、通常米飯よりも粘りが少ない。冷凍用米飯は、通常米飯に比べて、飯粒同士がくっつきにくい。冷凍用米飯は、通常米飯に比べて、飯粒同士が離れやすい。通常米飯のように十分に糊化した米飯は、冷凍されると、飯粒同士がくっついた状態で凍結するので、全体がひとかたまりになり、使用者が手作業で小分けにすることが困難である。これに対し、冷凍用米飯は、冷凍された場合、飯粒同士が離れた状態またはパラパラと離れやすい状態で凍結する傾向がある。このため、冷凍保存された冷凍用米飯を使用者が手作業で容易に小分けにすることができる。冷凍用米飯は、冷凍保存された後、再加熱されてから食べられることを前提としている。冷凍用米飯は、例えば、電子レンジのような加熱手段によって再加熱されてから食べられる。冷凍された冷凍用米飯は、再加熱されることによって糊化が進み、柔らかくなり、粘りが増加するので、おいしく食べられるようになる。
調理機器2は、炊飯モードにおいて、沸騰工程、沸騰工程よりも前に予熱する予熱工程、予熱工程と沸騰工程との間において昇温させる昇温工程などを実行する。冷凍用米飯炊飯モードにおいて、調理機器2は、例えば、これらの各工程の継続時間あるいは加熱温度などが通常炊飯モードとは異なるように調整することで、冷凍用米飯を炊き上げることができる。
調理機器2が冷凍用米飯炊飯モードを実行する場合の庫内温度調整処理において、冷蔵庫3は、冷凍用米飯を冷凍保存する貯蔵室4の庫内温度を、冷凍用米飯を小分けにできる状態で冷凍保存できる温度に調整する。冷凍用米飯を小分けにできる状態で冷凍保存できる温度を以下「小分け可能冷凍温度」と称する。小分け可能冷凍温度で冷凍保存された冷凍用米飯は、使用者が手作業で容易に小分けにすることができる。このため、冷凍保存された冷凍用米飯のうちの一部を取り出して食べるときに便利である。また、小分け可能冷凍温度で冷凍保存された冷凍用米飯は、飯粒同士が離れやすいので、再加熱のときに加熱ムラが生じにくいという利点もある。一般に、−9℃以上の温度で冷凍保存された冷凍用米飯は、使用者が手作業で容易に小分けにすることができる。また、冷凍用米飯の品質を保持するためには、最大氷結晶生成温度帯よりも低い温度で冷凍することが望ましい。これらのことから、小分け可能冷凍温度は、例えば、−5℃以下で−9℃以上の範囲の温度とすることが好ましい。
調理機器2は、冷凍用米飯炊飯モード以外の炊飯モードを連携調理モードとして実行可能でもよい。例えば、調理機器2は、チャーハン、チキンライス、ピラフなどの炒め飯を作るのに適した米飯を作るための炒め飯モードを実行してもよい。調理機器2が炒め飯モードを実行する場合の庫内温度調整処理において、冷蔵庫3は、米飯を保存する貯蔵室4の庫内温度が、米飯が凍結することなく冷却される冷却温度になるように調整する。この冷却温度は、例えば、0℃〜5℃の範囲の温度でもよい。このような冷却温度で米飯を保存すると、糊化澱粉の再配列が進み、米飯の粘りが低下するとともに、米飯の硬さが増加する。その結果、炒め飯を作るのに適した米飯が得られる。
また、調理機器2は、米飯を長期間冷凍保存するための長期冷凍保存炊飯モードを連携調理モードとして実行可能でもよい。調理機器2が長期冷凍保存炊飯モードを実行する場合の庫内温度調整処理において、冷蔵庫3は、米飯を保存する貯蔵室4の庫内温度が、米飯が急速冷凍される急速冷凍温度になるように調整する。この急速冷凍温度は、例えば、−18℃でもよい。
連携調理モードの炊飯モードを実行する場合に、調理機器2は、例えば、炊飯モードの種類、炊飯量、炊飯時間、炊飯温度のうちの少なくとも一つの情報を含む炊飯情報を調理情報として冷蔵庫3へ送信する。冷蔵庫3は、調理機器2からの炊飯情報に応じて、庫内温度調整処理における目標庫内温度を決定する処理と、複数の貯蔵室4のうちから庫内温度調整処理の対象とする貯蔵室4を選択する処理と、貯蔵室4のうちで庫内温度を変化させる空間の広さを決定する処理とのうちの少なくとも一つの処理を実行する。
図10は、実施の形態3における冷蔵庫3の一例を模式的に示す斜視図である。図10に示す例において、庫内温度調整処理の対象となる貯蔵室4は、手前に引き出すことができる。庫内温度調整処理において、冷蔵庫3は、調理機器2からの炊飯量の情報に応じて、貯蔵室4のうちで庫内温度を変化させる空間の広さを変える。図10の例では、炊飯量が少量である場合には貯蔵室4のうちの手前側の一部の領域のみの庫内温度を変化させ、炊飯量が多量である場合には貯蔵室4のうち手前から奥までの全体の領域の庫内温度を変化させる。
図11は、実施の形態3における冷蔵庫3の他の例を模式的に示す正面図である。庫内温度調整処理において、冷蔵庫3は、調理機器2からの炊飯情報の炊飯量に応じて、貯蔵室4のうちで庫内温度を変化させる空間の広さを変える。図11の例では、炊飯量が少量である場合には貯蔵室4のうちの上部領域のみの庫内温度を変化させ、炊飯量が多量である場合には貯蔵室4のうち上部から下部までの全体の領域の庫内温度を変化させる。
庫内温度調整処理において貯蔵室4のうちで庫内温度を変化させる空間の広さを変える場合に、貯蔵室4のうちのどの領域の庫内温度を変化させるかについては、図10及び図11に示す例に限定されるものではなく、いずれの領域を選択してもよい。
図12は、調理機器2が冷凍用米飯炊飯モードを実行する場合において、冷蔵庫3が庫内温度調整処理を完了したときの庫内温度である初期温度と、炊飯量との関係を示す図である。図12に示す例において、冷蔵庫3は、調理機器2からの炊飯量の情報に応じて、初期温度を変化させる。すなわち、冷蔵庫3は、炊飯量が少量のときには初期温度を−7℃とし、炊飯量が中程度の量のときには初期温度を−7.7℃程度とし、炊飯量が多量のときには初期温度を−8.4℃程度とする。このように、炊飯量が多いほど初期温度を低くすることで、炊き上がった冷凍用米飯が貯蔵室4に収納された後の庫内温度を、より適切な温度にすることができる。その結果、急激な庫内温度の変化をより確実に抑制できるので、貯蔵室4内で既に保存されている他の食品の劣化、あるいは消費電力の増大を確実に抑制できる。冷凍用米飯炊飯モード以外の炊飯モードを調理機器2が実行する場合の庫内温度調整処理においても、冷蔵庫3は、調理機器2からの炊飯量の情報に応じて、炊飯量が多いほど初期温度を低くするように調整してもよい。ただし、初期温度を低くしすぎると、すでに貯蔵室4内に別の食品が入っている場合に、当該食品の保存品質に影響が生じる可能性がある。このため、冷蔵庫3は、貯蔵室4内にすでに入っている別の食品の保存品質に影響の出ない範囲で初期温度を調整する。例えば、冷凍用米飯炊飯モードを調理機器2が実行する場合、冷蔵庫3は、初期温度を、冷凍された冷凍用米飯を使用者が手作業で容易に小分けにすることができる温度である、−9℃以上にすることが望ましい。他の例として、炒め飯モードを調理機器2が実行する場合には、米飯の凍結を確実に予防するために、冷蔵庫3は、初期温度を0℃以上にすることが望ましい。
図13は、調理機器2が冷凍用米飯炊飯モードを実行した場合の、冷凍用米飯が収納される貯蔵室4の庫内温度の変化の例を示す図である。図13は、炊飯量が多量のときの例を示す。図13に示す例では、以下のようになっている。調理機器2が炊飯を開始すると、冷蔵庫3が庫内温度調整処理を実行することで、庫内温度が低下していく。調理機器2が炊飯を終了したとき、庫内温度調整処理が完了する。このときの庫内温度すなわち初期温度は、−8.4℃程度である。炊き上がった冷凍用米飯が貯蔵室4に収納されると、その熱によって庫内温度が上昇する。冷蔵庫3は、最終的な庫内温度が−7℃に収束するように庫内温度を制御することが望ましい。これにより、冷凍された冷凍用米飯の品質を良好に保持することができる。
なお、調理機器2が冷凍用米飯炊飯モード等の連携調理モードを実行する場合に冷蔵庫3が貯蔵室4の庫内温度を変化させるときの庫内温度の変化速度が速すぎると、貯蔵室4内の貯蔵食材の温度と貯蔵室4内の空気の温度との差によって貯蔵食材から水分が蒸発し、霜が発生する可能性がある。そのような霜の発生を確実に抑制する観点からは、庫内温度の変化速度をなるべく低速にすることが望ましい。本実施の形態であれば、調理機器2が炊飯を終了する時刻と同じ時刻に冷蔵庫3が庫内温度調整処理が完了することで、炊飯終了後に冷凍用米飯を貯蔵室4に収納するときの使用者の待ち時間を無くしつつ、庫内温度の変化速度をなるべく低速にすることが可能となる。
実施の形態4.
次に、実施の形態4について説明するが、前述した実施の形態との相違点を中心に説明し、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付して、共通する説明を簡略化または省略する。
本実施の形態の調理システムは、実施の形態3で説明した冷凍用米飯炊飯モードを実行可能な調理機器2を備える。この調理機器2により炊飯された後に冷蔵庫3の貯蔵室4にて冷凍保存された米飯を以下「冷凍米飯」と称する。本実施の形態の調理システムは、冷凍米飯を解凍可能な電子レンジとしての機能を有する調理機器2をさらに備える。以下では、この電子レンジとしての機能を有する調理機器2を単に「電子レンジ」と称する。また、冷凍用米飯炊飯モードを実行可能な調理機器2を単に「調理機器2」と称する。
本実施の形態における電子レンジは、冷凍米飯を解凍する場合に、調理機器2から送信された炊飯情報と、冷蔵庫3から送信された冷凍情報とのいずれか一方または両方の情報に応じて、加熱時間及び出力電力のいずれか一方または両方を自動で設定可能である。上記炊飯情報は、例えば、炊飯モードの種類、炊飯量、炊飯時間、炊飯温度のうちの少なくとも一つの情報を含む。上記冷凍情報は、例えば、庫内温度調整処理により庫内温度が調整された貯蔵室4内で冷凍された冷凍米飯の冷凍温度及び冷凍時間のいずれか一方または両方の情報を含む。電子レンジは、例えば、冷凍温度が低いほど、加熱時間及び出力電力のいずれか一方または両方を増加させてもよい。また、電子レンジは、炊飯情報から推定できる冷凍米飯の糊化度、硬さ、粘りなどの特性に応じて、加熱時間及び出力電力のいずれか一方または両方を調整してもよい。冷凍米飯を解凍する場合に、電子レンジが、炊飯情報と冷凍情報とのいずれか一方または両方の情報に応じて、加熱時間及び出力電力のいずれか一方または両方を自動で設定することで、使用者が加熱時間及び出力電力を設定することなく、冷凍米飯を適切に解凍することができる。
冷凍米飯が貯蔵室4から取り出された場合には、使用者が冷凍米飯を電子レンジで解凍しようとしていると推測できるので、電子レンジは、炊飯情報と冷凍情報とのいずれか一方または両方の情報に応じて、加熱時間及び出力電力のいずれか一方または両方を自動で設定してもよい。その場合、冷凍米飯が収納された貯蔵室4の扉が開かれたことをセンサにより検知することで冷凍米飯が貯蔵室4から取り出されたかどうかを判定してもよいし、冷凍米飯が収納された貯蔵室4内を撮影するカメラにより撮影された画像を処理することによって、冷凍米飯が貯蔵室4から取り出されたかどうかを判定してもよい。
あるいは、冷凍米飯を解凍するための冷凍米飯加熱モードを電子レンジが備え、冷凍米飯加熱モードを使用者が選択した場合に、電子レンジが、炊飯情報と冷凍情報とのいずれか一方または両方の情報に応じて、加熱時間及び出力電力のいずれか一方または両方を自動で設定してもよい。そのようにすることで、使用者が冷凍米飯以外の食品を電子レンジで加熱するときに、冷凍米飯用の加熱時間あるいは出力電力が誤って設定されてしまうことを確実に防止できる。
冷凍米飯は、飯粒がパラパラの状態であり、容易に小分けにすることができる。このため、貯蔵室4に多量の冷凍米飯が保存されている場合でも、そのうちから使用者が少量の冷凍米飯を取り出して電子レンジで解凍する可能性がある。そのような場合でも適切な加熱時間あるいは出力電力を電子レンジが自動で設定できるようにするために、電子レンジは、解凍する冷凍米飯の量を判定し、冷凍米飯の量に応じて、加熱時間及び出力電力のいずれか一方または両方を自動で補正してもよい。例えば、電子レンジは、加熱中の冷凍米飯の温度上昇速度をセンサにより検出することで冷凍米飯の量を判定してもよいし、カメラにより撮影した冷凍米飯の画像を処理することで冷凍米飯の量を判定してもよいし、冷凍米飯の重量を計測することで冷凍米飯の量を判定してもよい。
電子レンジは、例えば、前述した炒め飯モードあるいは長期冷凍保存炊飯モードのような他の連携調理モードで調理機器2により調理された後に冷蔵庫3の貯蔵室4内で保存された米飯その他の食品を再加熱する場合に、調理機器2から送信された調理情報と、冷蔵庫3から送信された貯蔵室情報とのいずれか一方または両方の情報に応じて、加熱時間及び出力電力のいずれか一方または両方を自動で設定してもよい。そのようにすることで、使用者が加熱時間及び出力電力を設定することなく、保存された食品を適切に再加熱することができる。
なお、上述した複数の実施の形態のうち、組み合わせることが可能な二つ以上を組み合わせて実施してもよい。