JP3075552B2 - 車両用灯具とその製造装置及び製造方法 - Google Patents

車両用灯具とその製造装置及び製造方法

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JP3075552B2
JP3075552B2 JP06111676A JP11167694A JP3075552B2 JP 3075552 B2 JP3075552 B2 JP 3075552B2 JP 06111676 A JP06111676 A JP 06111676A JP 11167694 A JP11167694 A JP 11167694A JP 3075552 B2 JP3075552 B2 JP 3075552B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両用灯具に関し、特に
断面形状が半円型、三角型等をした複数本の突条部を並
列配置したレンズステップを有するレンズを用いた灯具
とその製造装置及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の前照灯に用いられるレンズに
は、レンズ周側部に配置される側面部の長さを光軸方向
或いはこれに近い方向に長くした箱型レンズとして構成
したものが多い。この種のレンズを備える灯具では、灯
具を自動車の車体に装着したときに、この側面部を透し
て自動車の車体が外部から露見されて外観上の見栄えが
低下されることがあり、これを防止するために、側面部
には光を拡散するためのレンズステップ(以下、サイド
ステップと称する)を形成しており、このサイドステッ
プとして近年では断面形状が半円型、或いは三角型等の
種々の断面形状をした複数本の突条部を並列配置したレ
ンズステップで構成したものが用いられている。
【0003】図9はこのようなレンズのうち、断面形状
が半円型の突条部をサイドステップに用いた自動車用前
照灯の一例であり、灯具ボディ1の前面開口11の周縁
に沿ってシール溝13を有し、このシール溝13により
レンズ2を取着固定している。この灯具ボディ1とレン
ズ2は灯室を画成し、この灯室内にはリフレクタ3や電
球4が支持されている。前記レンズは透明樹脂を一体成
形して形成しており、所要の正面形状をしたレンズ部2
1と、その周囲に一体形成された側面部22と、この側
面部22の端縁に沿って形成されるシール脚部23とで
構成される。このシール脚部23は前記灯具ボディ1の
シール溝13内に挿入され、図外の接着剤により固定さ
れる。また、前記レンズ部21には前照灯の配光特性を
満たすように縦縞状のレンズステップ24が形成され
る。そして、側面部22の内面には、レンズの前後方向
に向けられた多数の半円型レンズステップからなるサイ
ドステップ26をレンズの周方向に配列形成している。
この半円型のレンズステップ26は、突状に形成された
複数の半円筒状部26aをレンズの周方向に並列配置し
た構成とされている。
【0004】したがって、この構成のレンズを備えた前
照灯では、前照灯を自動車の車体に装着したときに、レ
ンズ部21を透して前照灯の外部から側面部22が観察
されるが、この側面部22に形成された半円型のサイド
ステップ26により光が拡散されるため、側面部22を
透して車体が明確な状態で露見されることがなく、前照
灯における見栄えの低下を防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなサイドステ
ップを有する従来のレンズでは、図10に図9のB−B
線拡大断面図を示すように、半円型のサイドステップ2
6を構成する複数の半円筒状部26aを相互に接続する
部分に、先端が鋭角な谷部26cが形成されることにな
る。このため、この谷部26cの底部において反射光が
集中され、レンズ2の表面側から側面部22を見たとき
に、この谷部26cがコントラストのかなり強い線状に
見えることになる。このため、側面部22の全体として
多数本の高コントラストのサイドステップ26の輪郭線
が配列された状態に見え、自動車全体の印象が灯具によ
って大きく左右され、自動車のデザイン上の観点から好
ましくないことがある。また、このように半円筒状部2
6aの境界の谷部26cが鋭角であると、この部分に応
力が集中し易く、レンズ2に加えられる衝撃等によって
この部分に割れや欠けが発生することもある。
【0006】また、このようなレンズを樹脂成形により
形成する場合、成形用の金型装置では、図11に示すよ
うに、前記半円型サイドステップ26に対応した半円型
断面を有する凹溝112を並列配置した構成の金型が使
用されている。また、このレンズを樹脂成形するために
キャビティ内に樹脂を注入するゲートは、通常では一部
の側面部22に設けたのシール脚部23に対して、複数
のゲートを所定の間隔で配置している。
【0007】このため、この金型装置では、サイドステ
ップ26を成形する固定型101と可動型102とで画
成されるキャビティ103は、複数の半円筒面状の凹溝
112が配列された構成とされるが、特に隣接する凹溝
112間の境界部はキャビティ内方に向けて鋭角に突出
された先鋭部114として形成されることになる。した
がって、ゲートからキャビティ内に注入された樹脂が、
このサイドステップのキャビティ103にまで流動さ
れ、樹脂がその表面に沿って流動されてくると、その際
に凹溝112間の先鋭部114において流速が低下され
て樹脂が滞留され易くなり、この先鋭部114に沿った
部分115の樹脂が先に冷却されて固化が進行される状
態となる。そして、この固化された樹脂115が後から
流動されてくる樹脂によって押し流されるため、この領
域では固化された樹脂と固化されていない樹脂が混在さ
れた状態となり、その結果、樹脂密度に脈状のむらが生
じ、その部分の透明樹脂が白濁され、所謂ウェルドが発
生することになる。
【0008】このウェルドは、樹脂が凹溝112の長さ
方向と交差する方向、特に直交する方向に流れる場合に
顕著であり、図9に示したようなレンズの場合には、ゲ
ートからの樹脂はレンズの四方に均等速度で流動してレ
ンズ全域に流動されるため、ゲートが存在していないレ
ンズの左右側面部においては樹脂の流動方向が凹溝と直
交に近い状態とされ、これらの部分において前記したよ
うな現象が生じ易く、この部分にウェルドが発生し易い
ものとなっている。また、このウェルドは、前照灯に用
いられるレンズのように耐熱性や透明性、耐衝撃性に優
れたポリカーボネート樹脂を用いてレンズを形成する場
合に、この種の樹脂は流動性が低いため、前記したよう
な一部固化によるウェルドが特に発生し易いものとなっ
ている。
【0009】
【発明の目的】本発明の目的は、外観上の見栄えを改善
し、かつ強度上の信頼性を高めたレンズを備える車両用
灯具を提供することにある。また、ウェルドの発生を防
止したレンズを有する車両用灯具を提供する。更に、本
発明の他の目的は、ウェルドの発生を防止したレンズの
樹脂成形を可能にした製造装置を提供する。また、本発
明の目的は、ウェルドの発生を防止してレンズの樹脂成
形を可能にした製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の車両用灯具は、
射出成形により箱型に形成されたレンズの側面部の内面
に複数本の突条部を並列配置して形成されるレンズステ
ップは、並設された各突条部の間に連絡部を有し、この
連絡部は突条部と緩やかに接続される面で構成さ、少な
くとも前記側面部は当該側面部に対向配置されたゲート
から射出される樹脂が前記レンズステップの長さ方向と
交差する方向に流動して成形されることを特徴とする。
例えば、突条部は断面形状が半円に近い形状とされ、連
絡部は突条部と逆方向に彎曲される円弧面またはこれに
近い曲面で形成される。また、突条部は頂点部が円弧状
に形成された断面が三角形とされ、連絡部は平面に形成
される。
【0011】また、本発明の灯具の製造装置は、側面部
の内面に複数本の突条部を並列配置したレンズステップ
を有する箱型のレンズを射出成形法により樹脂成形する
ための金型装置において、前記レンズステップを成形す
るキャビティの内面形状は、複数の凹溝部を並列配置
し、かつ各凹溝部の間には凹溝と緩やかに接続される面
部を有し、かつ前記キャビティ内に樹脂を充填するため
の複数のゲートを側面部に沿って配設していることを特
徴とする。
【0012】更に、本発明の灯具の製造方法は、側面部
の内面に複数本の突条部を並列配置したレンズステップ
を有する箱型のレンズを金型装置を用いて射出成形法に
より樹脂成形するに際し、前記金型装置のレンズステッ
プを成形するキャビティの内面形状を、複数の凹溝部を
並列配置し、かつ各凹溝部の間には凹溝部と緩やかに接
続される面部を形成し、側面部に沿って配設した複数の
ゲートから少なくとも側面部においては前記レンズステ
ップの長さ方向と交差する方向に樹脂が流動するように
キャビティ内に樹脂を充填し、かつ固化してレンズを成
形することを特徴とする。
【0013】
【作用】レンズステップを構成するために、箱型のレン
ズの側面部の内面に並列配置された複数本の突条部の相
互間に緩やかに接続される連絡部を設けることで、この
連絡部が際立って目立つことがなく、外観上の見栄えが
低下されることがなく、しかも応力が集中することもな
く強度的な信頼性を改善する。また、レンズの射出成形
法による樹脂成形に際してレンズステップにおけるウェ
ルドの発生が防止できる。一方、金型装置のレンズステ
ップを形成する部分を、凹溝部の相互間に緩やかに接続
される面からなる面部を設け、かつ側面部に対向して配
置したゲートから充填される樹脂が側面部のレンズステ
ップの長さ方向と交差する方向に流動する場合でも、
形時における樹脂の流動を滑らかなものとし、ウェルド
の発生を防止する。
【0014】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は本発明を自動車の前照灯に適用した実施例
の外観斜視図である。この前照灯は、黒色樹脂を一体成
形してその前面に矩形の開口11を有し、かつ背面に電
球挿通用の開口12を有する灯具ボディ1と、この灯具
ボディ1の前面開口11に取着されて灯室を画成するレ
ンズ2と、この灯室内に内装されて前記灯具ボディ1に
支持されるリフレクタ3と、このリフレクタ3の焦点位
置に配置される電球4をリフレクタ3に支持するための
電球ソケット5とを備えている。
【0015】前記レンズ2は透明樹脂を射出成形により
箱型レンズとして形成しており、図2に裏面側の斜視図
を示すように、前記灯具ボティ1の前面開口11に対応
した形状を有するレンズ部21と、その周囲に一体形成
された側面部22と、この側面部22の端縁に沿って形
成されて灯具ボディ1に取着する際に利用されるシール
脚部23とで構成される。また、前記レンズ部21の内
面には所要の配光特性を得るためのレンズステップ24
が形成され、また前記側面部22の内面には断面がかま
ぼこ状をしたサイドステップ26が形成される。前記レ
ンズ2はシール脚部23を灯具ボディ1の開口縁に沿っ
て形成したシール溝13に内挿し、接着剤を充填するこ
とにより灯具ボディ1に取着されるものであることはこ
れまでのものと同じである。
【0016】図3(a)は前記レンズのサイドステップ
26を示すために、レンズ2の一部を破断した斜視図、
図3(b)はその一部の拡大断面図である。このサイド
ステップ26は、複数の凸型の半円筒面部26aを並列
配置して断面形状が略半円型をした形状とされており、
レンズのデザイン上の見栄えを高めるために、レンズ部
21に設けられたレンズステップ24の境界線をそのま
ま上下の各側面部22に延長させた幅寸法に形成され
る。このとき、図2に示されるように、上側の側面部2
2Uよりも下側の側面部22Dのステップ幅を小さく
し、光の拡散が生じ易いものとしている。また、左右の
各側面部22R,22Lは下側の側面部22Dのサイド
ステップに略等しい小さいステップ幅に形成している。
そして、図3(b)に示されるように、サイドステップ
26の各半円筒面部26aが並列される相互接続部に生
じる連絡部、ここでは谷部26bはその半円筒面部26
aに連絡される部分25が半円筒面部26aに対して緩
やかに接続される凹状の半円型の曲面として形成されて
いる。
【0017】図4は前記レンズ2を射出成形法によって
製造する際に利用される金型装置の断面図であり、固定
型101と可動型102とで前記レンズ2のキャビティ
103を形成し、このキャビティ103に臨む固定型の
一部、即ちレンズ2の下側面部22Dのシール脚部23
に相当する個所に樹脂を注入するための複数のゲート1
04を所定の間隔で開口し、かつこれをランナー105
及びスプルー110に接続している。このスプルー11
0及びランナー105は金型をセットする図外の射出成
形機に設けた射出ノズルに接続されるものであることは
言うまでもない。一方、前記キャビティ103の一部の
シール脚部23に臨む可動型102の一部には突出しピ
ン106が設けられる。この突出しピン106はその基
端部が突出しプレート107に支持されており、レンズ
2の成形後に可動型102を固定型101から分離さ
せ、その後に突出しプレート107を可動型102に向
けて移動させることで、可動型102に付着しているレ
ンズを突出しピン106の先端で突出して可動型102
から分離させるものである。
【0018】図5は前記金型のA−A線拡大断面図であ
り、前記サイドステップ26を成形するための可動型1
02は、レンズの上下、左右の各側面部においてレンズ
の光軸方向に沿う複数の半円筒面状の凹溝111を周方
向に並列配置した構成とされ、かつ各凹溝111の相互
接続部に生じる山部112は凹溝111に緩やかに接続
される断面が半円型の凸状面として形成されている。な
お、ここではレンズの光軸方向を金型の離型方向に一致
するようにキャビティ103を形成している。したがっ
て、レンズの光軸方向に向けて形成されたサイドステッ
プ成形用の凹溝111も金型の離型方向に向けられてい
ることになる。
【0019】したがって、この金型を用いてレンズの射
出成形を行うと、透明樹脂は複数のゲート105からそ
れぞれキャビティ103内に注入され始め、キャビティ
内を流動して充填される。このとき、樹脂は下側面部2
2Dのシール脚部23から下側面部22D、更にレンズ
部21に向けて流動されるが、これと同時にシール脚部
23をレンズ2の周方向に流動され、各辺のシール脚部
23から各側面部22R,22L,22Uを流れ、レン
ズ部21に流動される。
【0020】このとき、下側面部22Dではサイドステ
ップ26がシール脚部23からレンズ部21に向けて形
成されているため、樹脂はサイドステップ26を成形す
る凹溝111の長さ方向、或いはこれと若干交差する方
向に向けて流動される。一方、左右の各側面部22R,
22Lと上側面部22Uでは、半円筒面状の凹溝111
とは交差する方向、極端な場合には凹溝111の長さ方
向と直交する方向に樹脂が流動される。しかしながら、
これらの側面部において、凹溝111間の境界部の山部
112が凹溝111に緩やかに接続される半円型の凸状
面に形成されているため、図5に矢印で示すように、樹
脂はこの山部112と凹溝111に沿って滑らかに流動
される。このため、樹脂の流れが山部112において滞
留されることがなく、成形時にこの部分で樹脂が部分的
に固化されることはない。したがって、この部分におけ
る樹脂の乱流によるウェルドの発生が防止される。
【0021】また、前記レンズ2では、上下左右の各側
面部のサイドステップ26を成形するために金型に設け
られる半円筒状の凹溝111をレンズ2の光軸方向に向
けて形成しているため、成形されるサイドステップ26
もレンズ2の光軸方向に向けられており、しかもこの実
施例ではレンズの光軸と、レンズを成形する金型の離型
方向を一致させているため、樹脂成形されたレンズを離
型する際に、サイドステップ26の形状が離型の障害に
なることはない。また、その際にサイドステップ26が
金型と干渉として欠ける等の不具合が生じることもな
い。特に、凹溝111間の山部112を滑らかな曲面と
して形成することで、その離型を更に容易なものにでき
る。
【0022】このように成形されたレンズ2では、各側
面部21に形成される半円型のサイドステップ26は、
図3に示したように半円筒面部26aの相互間の谷部2
6bの形状が緩やかな曲線とされているため、この部分
で反射光が集中することがなく、レンズの表面側から見
たときに、サイドステップ26の谷部26bがコントラ
ストの強い線状に見えることがない。したがって、レン
ズ2の外観上の印象を柔らかなものにでき、自動車のデ
ザインに対する影響を緩和し、結果として灯具の見栄え
を改善する。また、サイドステップ26の谷部26bを
半円筒面部26aに緩やかに接続される曲面とすること
で、側面部22におけるレンズ厚が最も薄い部分となる
谷部26bの厚さを幾分厚くでき、この部分における応
力の集中を回避し、レンズ2の割れ等を防止して強度上
の信頼性を改善することも可能となる。
【0023】図6は本発明の他の実施例を示す図であ
り、前記実施例の図3(b)に対応する図である。この
実施例ではサイドステップ26の半円筒面部26a間に
形成される連絡部としての谷部26bを平面で形成し、
かつ半円筒面不26aと平面状谷部26bとの接続部分
25の角度を鈍角として両者を緩やかに接続した構成と
している。このように構成しても、ウェルドの発生が防
止でき、かつ灯具の外観上の見栄えにおいても谷部の線
状が和らげられるものとなる。また、図7はこのサイド
ステップ26を樹脂成形するための金型装置の要部を示
す断面図であり、可動型102に形成する凹溝111の
間に平坦な山部113を形成し、この山部113と凹溝
111との接続部分を鈍角とすることで、山部113と
凹溝111とが緩やかな面で接続した構成となるように
している。
【0024】更に、図8は本発明の他の実施例を示す図
であり、ここではサイドステップ26の突条部を、頂角
が90度をした三角形断面の三角面部26a′で形成し
ている。この三角面部26a′の頂点は円弧状に形成さ
れ、かつ隣接する各三角面部26a′の間には連絡部と
しての谷部26cを平面で形成している。また、この三
角面部26a′と谷部26cとの接続部分は緩やかな面
で接続されるように両者のなす角度が鈍角となるように
形成している。この例では接続部分の角度は135度に
節制されている。
【0025】なお、この実施例では、三角面部26a′
の幅寸法Xと谷部26cの幅寸法Yの比(X:Y)が
5:1〜10:1の範囲となるようにすることが、ウェ
ルドの発生を防止し、かつ灯具の外観上の見栄えを改善
する上で好ましい。この比がこれよりも大きいと、谷部
26cを設けたことによる前記効果が低減される。ま
た、この比がこれよりも小さいと、サイドステップとし
ての機能が低下される。また、三角面部26a′の高さ
寸法Zは、その幅寸法Xとの比(X:Z)が、2:1〜
3:1の範囲となるように設定することが好ましい。こ
の比がこれよりも大きいと、谷部26cを設けたことに
よる前記効果が低減され、これよりも小さいとサイドス
テップとしての機能が低下される。
【0026】なお、前記したX:YとX:Zの比は、図
3及び図6に示したサイドステップにも同様に適用でき
る。特に、図3の例の場合には半円筒面部26aと谷部
26bとを変曲点においてX,Yを区分する。また、図
示は省略するが、この実施例においてもサイドステップ
を形成するための金型は、可動型に三角面部と谷部をそ
れぞれ凹溝と山部として形成されることになる。
【0027】ここで、前記実施例では、レンズに耐熱
性、透明性が要求されるために流動性の低いポリカーボ
ネイトを用いた自動車の前照灯に適用した例を示してい
るが、他の樹脂でレンズを形成する場合、或いは前照灯
以外の灯具のレンズを形成するにも本発明を同様に適用
することができる。また、かまぼこ型のレンズステップ
を、サイドステップ以外のレンズステップとして形成す
る場合にも本発明を適用することが可能である。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、射出成形
により箱型に形成されたレンズの側面部の内面に形成さ
れる複数本の突条部を並列配置したレンズステップは、
複数の突条部の間に連絡部を有し、この連絡部は突条部
と緩やかに接続される面で構成されるので、この連絡部
がレンズステップにおいて際立って目立つことがなく、
灯具の外観上の見栄えが低下されることが防止できると
ともに、連絡部に応力が集中することもなく、レンズの
割れ等を防止して強度的な信頼性を改善することができ
る効果がある。また、突条部はその長さ方向がレンズを
金型で成形する際の金型装置の抜き方向に向けられる
め、樹脂成形されたレンズを離型する際に、レンズステ
ップの形状が離型の障害になることはなく、かつレンズ
ステップが金型と干渉として欠ける等の不具合が生じる
こともない。さらに、側面部は1つの側面部に対向配置
されたゲートからの樹脂がレンズステップの長さ方向と
交差する方向に流動されて成形されるが、この場合にお
いても、樹脂の円滑な流れが確保でき、ウェルドの発生
を防止したレンズが成形可能となる。
【0029】また、本発明の製造装置は、側面部の内面
に複数本の突条部を並列配置したレンズステップを有す
る箱型のレンズを成形するキャビティの内面形状を、複
数の凹溝部を並列配置し、かつ各凹溝部の間には凹溝部
と緩やかに接続される面部を形成し、かつ前記キャビテ
ィ内に樹脂を充填するための複数のゲートを側面部に沿
って配設しているので、この製造装置を用いてレンズの
樹脂成形を行うことにより、樹脂成形時における樹脂の
流動を滑らかなものとし、特に側面部ではレンズステッ
プの長さ方向と交差する方向に樹脂が流動する場合で
も、側面部におけるウェルドの発生を防止し、見栄えの
良いレンズを製造することができる。
【0030】更に、本発明の製造方法は、側面部の内面
に複数本の突条部を並列配置したレンズステップを有す
る箱型のレンズを射出成形法により樹脂成形するための
金型装置に設けるキャビティの内面形状を、複数の凹溝
部を並列配置し、かつ各凹溝部の間には凹溝部と緩やか
に接続される面部を形成し、側面部に沿って配設した複
数のゲートから少なくとも側面部においては前記レンズ
ステップの長さ方向と交差する方向に樹脂が流動するよ
うにキャビティ内に樹脂を充填し、かつ固化してレンズ
を成形するので、樹脂成形時における樹脂の流動を滑ら
かなものとし、特に側面部ではレンズステップの長さ方
向と交差する方向に樹脂が流動する場合でも、側面部
おけるウェルドの発生を防止し、見栄えの良いレンズを
製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車の前照灯に適用した一実施例の
全体構成を示す部分分解斜視図である。
【図2】図1の灯具のレンズの裏面状態を示す斜視図で
ある。
【図3】レンズの要部を示す一部を破断した拡大斜視図
と、その断面図である。
【図4】レンズを樹脂成形する金型装置の全体構成の断
面図である。
【図5】図4のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図6】本発明の他の実施例の要部の断面図である。
【図7】図6のサイドステップを成形する金型装置の要
部の断面図である。
【図8】本発明の更に他の実施例の要部の断面図であ
る。
【図9】従来のレンズを備える灯具の一例の一部を破断
した斜視図である。
【図10】図7のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図11】従来のサイドステップを成形する金型の一部
の断面図である。
【符号の説明】
1 灯具ボディ 2 レンズ 4 電球 21 レンズ部 22(22U,22D,22R,22L) 側面部 23 シール脚部 26 サイドステップ 26a 半円筒面部 26b 谷部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−163702(JP,A) 特開 平3−20902(JP,A) 実開 昭50−133786(JP,U) 実開 昭64−12304(JP,U) 実開 平3−19203(JP,U) 実開 昭56−82809(JP,U) 実開 昭60−26103(JP,U)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 箱型に形成され、その側面部の内面に複
    数本の突条部を並列配置したレンズステップを有する射
    出成形されたレンズを備える車両用灯具において、前記
    レンズステップは並設された各突条部の間に連絡部を有
    し、前記連絡部は前記突条部と緩やかに接続される面で
    構成され、少なくとも前記側面部は側面部に対向配置さ
    れたゲートから射出される樹脂が前記レンズステップの
    長さ方向と交差する方向に流動して成形されることを特
    徴とする車両用灯具。
  2. 【請求項2】 前記突条部は断面形状が半円に近い形状
    とされ、前記連絡部は前記突条部と逆方向に彎曲される
    円弧面またはこれに近い曲面で形成されてなる請求項1
    記載の車両用灯具。
  3. 【請求項3】 前記突条部は頂点部が円弧状に形成され
    た断面が三角形とされ、前記連絡部は平面に形成されて
    なる請求項1記載の車両用灯具。
  4. 【請求項4】 前記突条部はその長さ方向がレンズを金
    型で成形する際の金型装置の抜き方向に向けられてなる
    請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用灯具。
  5. 【請求項5】 車両用灯具のレンズとして用いられ、側
    面部の内面に複数本の突条部を並列配置したレンズステ
    ップを有する箱型のレンズを射出成形法により樹脂成形
    するための金型装置において、前記レンズステップを成
    形するキャビティの内面形状は、複数の凹溝部を並列配
    置し、かつ前記各凹溝部の間には前記凹溝部と緩やかに
    接続される面部を有し、かつ前記キャビティ内に樹脂を
    充填するための複数のゲートを側面部に沿って配設して
    いることを特徴とする車両用灯具の製造装置。
  6. 【請求項6】 車両用灯具のレンズとして用いられ、側
    面部の内面に複数本の突条部を並列配置したレンズステ
    ップを有する箱型のレンズを金型装置を用いて射出成形
    法により樹脂成形するに際し、前記金型装置の前記レン
    ズステップを成形するキャビティの内面形状として、複
    数の凹溝部を並列配置し、かつ前記各凹溝部の間には前
    記凹溝部と緩やかに接続される面部を形成し、側面部に
    沿って配設した複数のゲートから少なくとも側面部にお
    いては前記レンズステップの長さ方向と交差する方向に
    樹脂が流動するように前記キャビティ内に樹脂を充填
    し、かつ固化してレンズを成形することを特徴とする車
    両用灯具の製造方法。
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