JP3075287B2 - 電子部品用パラジウム薄膜形成方法 - Google Patents

電子部品用パラジウム薄膜形成方法

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JP3075287B2 JP02178638A JP17863890A JP3075287B2 JP 3075287 B2 JP3075287 B2 JP 3075287B2 JP 02178638 A JP02178638 A JP 02178638A JP 17863890 A JP17863890 A JP 17863890A JP 3075287 B2 JP3075287 B2 JP 3075287B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、電子部品材料として使用されるガラスまた
はセラミックスの基材上にパラジウム薄膜を形成する方
法に関するものである。
(従来技術とその問題点) 従来、ガラス、またはセラミックスの基材上にパラジ
ウムの厚膜ペーストを用いて厚膜を形成し、コンデンサ
ー等に用いられているが、膜厚が2〜3μmと厚く、1
μm以下の薄膜を実現するための努力がなされている
が、パラジウムの微粉末が用いられており、その粒径は
0.5μm以上であるため緻密な薄膜を形成するのが困難
であり、このためコンデンサー等のファインパターン化
およびコンパクト化が困難となっている。
また、該パラジウムペーストは懸濁液であるためスク
リーン印刷法でのみ塗布が可能なため、複雑な形状物上
の塗布については困難であるという欠点があった。
他に、真空スパッタリング法や蒸着法ではパラジウム
薄膜形成の生産性が低く(約20〜30%)装置も高価であ
り工業生産上での経済的に欠けるというものであった。
また、既に有機パラジウムを利用した薄膜形成方法が
報告されているが、従来のものはイオウまたはメルカプ
タンを含むものであり、このものは他の金属例えば銀電
極等と硫化物を形成するなど不都合を生じ、実質上工業
的には使用不可能であった。
特に、硫化物は非常にもろく、耐久性に欠けるもので
ある。
(発明の目的) 本発明は、上記従来法の欠点を解消するために成され
たもので、イオウを含まない有機パラジウム化合物を用
いて簡便な方法と装置で膜の厚みを従来法の1/2以下に
し、緻密でピンホールのない、均一な1μm以下の電子
部品用パラジウム薄膜を形成する方法を提供することを
目的とする。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、ガラス、セラミックスまたは金属の基材上
にナフテン酸、アビエチン酸、ステアリン酸、ネオデカ
ン酸、デカン酸、またはオクタン酸の有機酸塩あるいは
アセチルアセトンのパラジウム錯体の1種以上を含む有
機パラジウム化合物と有機バインダとしての樹脂と有機
溶剤を含む混合溶液を塗布、乾燥、焼成することによ
り、該ガラス、セラミックスまたは金属の基材上に1ミ
クロン以下のパラジウム薄膜を形成することを特徴とす
る電子部品用パラジウム薄膜形成方法である。また、前
記混合溶液の塗布方法がスクリーン印刷、凹版、平版印
刷、スピンコーティング、ディッピング法、筆塗り、ス
タンプ法より選ばれる電子部品用パラジウム薄膜形成方
法である。
以下本発明の詳細について説明する。
該パラジウムの有機酸塩かパラジウム錯体とするのは
それぞれ熱分解温度が300℃以下で金属パラジウムに分
解することができるとともに、有機バインダとしての樹
脂と共通の有機溶剤で溶解することができ、しかも焼成
すると不純物が残ることがないからである。
また、必要により鉛、ビスマス、ケイ素、クロム、ホ
ウ素、アンチモン、バナジウム、カルシウム、マグネシ
ウム、マンガン、亜鉛、ジルコニウム、バリウム、スト
ロンチウム、ランタン、およびニオブから成る群よりえ
らばれた1種または2種以上の金属の樹脂酸金属塩を適
量加えることでパラジウム薄膜の密着性を高めることが
できる。
有機バインダとしての樹脂はエポキシ樹脂、アクリル
樹脂、アルキド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ロジン
誘導体樹脂、およびテルペン樹脂から成る群から1種以
上を選び、パラジウム薄膜を均一な厚みに形成するため
に塗布、乾燥時にダレ等のない適度の粘性を得ることが
できるからである。
また、有機溶媒としては、メンタノール、ターピネオ
ール、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、酢酸
エチル、エチレングリコール、アミルアセテート、セル
ソルブ、石油エーテル、クロロホルム、ジペンテン、四
塩化炭素、精油等より選んだ1種以上で前記有機パラジ
ウム化合物と樹脂金属塩と有機バインダとしての樹脂を
溶解して均一な溶液状にすることができるものである。
以上のように有機パラジウム化合物を含む混合溶液の
成分にはイオウが含有していないので、有害となるイオ
ウ化合物は生成しない。
該有機パラジウム化合物を含む混合溶液の成分割合は
おおむね、主成分としての有機パラジウム化合物が10〜
65wt%で、有機バインダとしての樹脂が5〜20wt%で、
有機溶媒が30〜45wt%である。
ガラスまたはセラミックス基材に対しパラジウム薄膜
の密着性を保つため他の金属樹脂酸を加えるが、その場
合の成分割合はおおむね、主成分としての有機パラジウ
ム化合物が10〜65wt%で、他の樹脂酸金属塩が0.1〜5wt
%で、有機バインダとしての樹脂が5〜20wt%で、有機
溶媒が25〜40wt%である。
上記の成分割合から成る有機パラジウム化合物を含む
混合溶液を例えばスクリーン印刷で塗布、乾燥、焼成す
るとパラジウム薄膜として約0.1〜0.5μmの厚みのもの
を得ることができる。
また、乾燥温度は100〜125℃で、10分間で、焼成温度
は750〜850℃で、10分間行えばよい。
塗布方法についても前記スクリーン印刷法の他の方法
である凹版、平版印刷、ディッピング、筆塗法、スタン
プ、スピンコーティングなどが可能であり、何れかを用
いればよいものできる。
該有機パラジウム化合物を含む混合溶液を用いて、塗
布、乾燥、焼成して従来法の欠点を解消することができ
るのは、該有機パラジウム化合物を含む混合溶液が均一
な溶液状であるため成分組成が均一で乾燥した場合でも
部分凝集することもなく、焼成した際には有機パラジウ
ム化合物であるため熱分解しそれぞれが原子レベルで金
属成分と結合し基材上にパラジウム薄膜を均一に形成す
ることができるからである。
なお、パラジウム薄膜の厚みを調節するには有機パラ
ジウム化合物の割合を調節するか、印刷条件を調節する
か、塗布、乾燥、焼成の操作を繰り返すことで可能であ
るが繰り返し回数は3回以下が好ましい、その理由は生
産性が落ちるからである。
以下、本発明に係わる実施例を記載するが、該実施例
は本発明を限定するものではない。
(実施例1) 96%アルミナ基板(100mm×100mm×厚さ0.635mm)
に、ネオデカン酸パラジウム(Pd20wt%)40wt%、2−
エチルヘキサン酸ビスマス(Bi2%)10wt%、フェノー
ル樹脂20wt%、α−ターピネオール30wt%で調製した有
機パラジウム化合物を含む混合溶液をスクリーン印刷で
塗布し、室温で10分間乾燥し、120℃で10分間加熱乾燥
し、次いで800℃で10分間焼成して、96%アルミナ基板
上にパラジウムの厚み0.5μmの薄膜を形成した。
(実施例2) アルミナペレット(直径2〜3mm)に、ロジン酸パラ
ジウム(Pd20wt%)40wt%、酢酸エチル20wt%で調製し
た有機パラジウム化合物を含む混合溶液をディッピング
により塗布し、室温で10分間乾燥し、次いで830℃で10
分間焼成して厚み0.1〜0.2μmのパラジウム薄膜を形成
した。
(実施例3) ガラスグレーズ基板(400mm×250mm×1mm)上に、2
−エチルヘキサン酸パラジウム(Pd15%)30wt%、ロジ
ン酸ビスマス(Bi10%)10wt%、アルキッド樹脂15wt
%、α−ターピネオール30wt%、ブチルカルビトール15
wt%で調製した有機パラジウム化合物を含む混合溶液を
凹版印刷にてラインアンドスペースが50μm−50μmの
ファインパターンを直接印刷後、室温で10分間乾燥後、
120℃、10分間加熱乾燥し、次いで830℃で10分間焼成し
て0.2μmの膜厚のパラジウムのラインアンドスペース
が70μm−30μmのファインパターンが得られた。
(発明の効果) 本発明は、従来法としての厚膜ペースト法では得られ
なかった1μm以下の電子部品用パラジウム薄膜を真空
装置なしで塗布、乾燥、焼成という簡便な方法で形成す
ることができ、得られた電子部品用パラジウム薄膜は緻
密でピンホールのない均一な膜であり密着力も強く、凹
版印刷等により印刷条件によってはエッチングなしでラ
インアンドスペースが25−50μmのファインパターンを
直接描くことも可能で、さらに、複雑な形状の基材上に
各種の塗布方法を用いて行うことで、電子部品用パラジ
ウム薄膜層を形成することができ経済的で極めて効果の
高いものであると言える。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス、またはセラミックスの基材上にナ
    フテン酸、アビエチン酸、ステアリン酸、ネオデカン
    酸、デカン酸、またはオクタン酸の有機酸塩あるいはア
    セチルアセトンのパラジウム錯体の1種以上を含む有機
    パラジウム化合物と有機バインダとしての樹脂と有機溶
    剤を含む混合溶液を塗布、乾燥、焼成することにより、
    該ガラス、またはセラミックスの基材上に1ミクロン以
    上のパラジウム薄膜を形成することを特徴とする電子部
    品用パラジウム薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】前記混合溶液の塗布方法がスクリーン印
    刷、凹版、平版印刷、スピンコーティング、ディッピン
    グ法、筆塗り、スタンプ法より選ばれる請求項1に記載
    の電子部品用パラジウム薄膜形成方法。
JP02178638A 1990-07-06 1990-07-06 電子部品用パラジウム薄膜形成方法 Expired - Lifetime JP3075287B2 (ja)

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