JP3073547B2 - クロック分配回路 - Google Patents

クロック分配回路

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JP3073547B2
JP3073547B2 JP03129915A JP12991591A JP3073547B2 JP 3073547 B2 JP3073547 B2 JP 3073547B2 JP 03129915 A JP03129915 A JP 03129915A JP 12991591 A JP12991591 A JP 12991591A JP 3073547 B2 JP3073547 B2 JP 3073547B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】[発明の目的]
【0002】
【産業上の利用分野】この発明は半導体チップ、特にL
SIのチップ上に形成されるクロック分配回路に関す
る。
【0003】
【従来の技術】LSI上のクロック信号は、LSI各部
の動作タイミングの基となるので、そのタイミング精度
の維持は重要で、設計上特に注意が払われてきた。クロ
ック信号線には多数のフリップフロップやラッチが接続
されており、それらに供給されるクロック信号のタイミ
ングにズレがあると、誤動作を引き起こす。クロック信
号のLSI各部でのタイミングのズレをクロックスキュ
ーと呼ぶ。
【0004】図17に従来のクロック分配配線の一例を
示す。
【0005】外部クロック信号は入力バッファ701に
入力され、クロック幹線702を駆動する。クロック幹
線702には、クロック支線バッファ703〜707が
接続されている。各クロック支線バッファは、受持ちの
支線のフリップフロップやラッチを駆動する。このよう
なクロック分配系は、クロックツリーと呼ばれることが
ある。
【0006】このようなクロック配線において、各支線
でのフリップフロップ、ラッチへ供給されるクロックの
タイミングを揃えるため、クロック支線バッファが駆動
する負荷を等しく設計する必要がある。
【0007】LSI技術の進展により、配線幅、配線間
隔が微細になってきており、配線の抵抗が無視できなく
なってきている。例えば、支線バッファ706の負荷は
フリップフロップ4個(7061〜7064)、支線バ
ッファ707の負荷は、フリップフロップ3個(707
1〜7073)である。負荷のバランスはほぼとれてい
るが、負荷の位置が異なる。
【0008】クロック支線バッファ706,707付近
の等価回路を図18に示す。また、フリップフロップ7
064,7071およびクロック幹線702のタイミン
グ波形を図19,20に示す。
【0009】図19,20は、上からフリップフロップ
7064のD入力の波形、フリップフロップ7071の
Q出力波形、フリップフロップ7064に入力されるタ
イミング信号波形、7071に入力されるタイミング信
号波形、およびクロック単線702におけるクロック信
号の波形を示している。
【0010】図19のフリップフロップ7064に入力
されるタイミング信号波形と7071に入力されるタイ
ミング信号波形は、同一波形であることを示している。
なお図中のVDDは電流電圧を示す。
【0011】ここで、図19で示したようにクロックス
キューが小さい場合では、フリップフロップ7071の
Q出力が変化する前に、フリップフロップ7064が入
力取り込みを終える。すなわち、クロック立ち上がり前
のフリップフロップ7071の出力がクロック立ち上が
り後のフリップフロップ7064の出力として現れる。
【0012】しかしながら、図20で示したようにクロ
ックが遅れた場合には、フリップフロップ7064に供
給されるクロック信号は、長いクロック配線の抵抗のた
めに、遅れが大きい。一方、フリップフロップ7071
に供給されるクロック信号は、クロック支線バッファの
近くのために、遅れが小さい。図17から明らかなよう
に、フリップフロップ7071のQ出力は、フリップフ
ロップ7064のD入力に直結されているため信号の遅
れが小さい。
【0013】このように、クロック信号のスキューが信
号の遅れを上回ると、誤動作を引き起こす。すなわち、
図20で示したように、フリップフロップ7064のク
ロックが遅れているため、フリップフロップ7064で
のD入力で入力取り込みが遅れる。その結果、フリップ
フロップ7064はフリップフロップ7071の変化し
た後の値を読み込むことになる。
【0014】もしくは、フリップフロップ7064のD
ホールドタイム不足で、動作が不安定となる。これは、
いわゆる「筒抜け」と呼ばれる誤動作である。この誤動
作は、図19,20から明らかなようにクロック周波数
の高低には無関係である。
【0015】これを防ぐためには、クロック支線に接続
されるフリップフロップの個数だけではなく接続位置ま
で、クロック支線間で等しくするなどの対策が考えられ
る。しかし、これは配置の自由度を大幅に制限し、コン
ピュータによる自動配置配線設計の負担が増える欠点が
あった。
【0016】また、図21に示すようにクロック配線1
001をメッシュ状に配線し、配線の抵抗を下げる方法
も提案されている。これは配線抵抗の低下の面では優れ
ているが、反面、配線容量が増えるため動作速度の低下
や消費電力の増大を招く欠点があった。またクロック配
線をメッシュ状にするために自動配線設計への負担が増
大するなどの欠点があった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
クロック分配回路では、クロックスキューを低減させる
ために、クロックツリーの設計や調整が必要であった
り、メッシュ状のクロック配線のためクロック配線の配
線容量が増える欠点があった。
【0018】本発明はこの問題を解決するためのもの
で、その目的はクロックスキューの少ないクロック分配
回路を提供することである。
【0019】[発明の構成]
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、第1の発明は、半導体チップ上に隣接して並行に配
置された第1,第2のクロック配線と、前記第1のクロ
ック配線の一端を駆動する第1のクロックバッファと、
前記第1のクロックバッファと同一入力信号を受け、か
つ前記第1のクロック配線の一端とは反対側の端部に隣
接する前記第2のクロック配線の一端を駆動する第2の
クロックバッファと、前記第1,第2のクロック配線の
隣接する任意の位置で両配線間に接続される少なくとも
1個のクロック分岐回路とを具備し、前記クロック分岐
回路によって、前記第1のクロック配線信号と前記第2
のクロック配線信号とを、所望の比率あるいは一定の比
率によって混合してバッファされたクロック信号を出力
するようにしたことを特徴とするものである。
【0021】また、第2の発明は、隣接して平行に配置
された前記第1,第2のクロック配線を、所望の間隔で
互いに交差させることにより、略等しい静電容量を持つ
ように設置したことを特徴とするものである。
【0022】
【作用】第1の発明は、半導体チップ上に第1,第2の
クロック配線を隣接して並行に配置する。また、第2の
発明は、さらに所望の間隔で互いに交差させる。
【0023】このように配置された第1,第2のクロッ
ク配線は、同一のクロック信号を受ける第1,第2のク
ロックバッファによって同一のタイミングで駆動されて
いるが、クロックバッファの接続は、第1,第2のクロ
ック配線間で、反対の端部に対してなされている。すな
わち、第1のクロック配線では、その配線の先端(x=
0)にクロックバッファが接続され、第2のクロック配
線ではその配線の終端(x=L)にクロックバッファが
接続されている。
【0024】したがって、第1,第2のクロック配線間
の隣接する位置では、クロック信号の伝搬方向が異なる
ので、その遅れの度合いは反対となる。そのため、第
1,第2のクロック配線間の隣接する位置にクロック分
岐回路を接続し、第1のクロック配線信号と第2のクロ
ック配線信号とを混合してバッファされたクロック信号
を出力する。
【0025】このとき、クロック分岐回路において、第
1のクロック配線信号と第2のクロック配線信号とを、
この回路が接続される位置までの、前記第1のクロック
バッファからの配線長と前記第2のクロックバッファか
らの配線長とに応じた比率によって混合する。あるい
は、この回路が接続される位置にはかかわらず、常に一
定の比率によって混合する。
【0026】この混合されてバッファされたクロック信
号の遅れは、クロック配線の一端にクロックバッファを
接続した従来のクロック配線での遅れに対して著しく小
さくなる。その結果、クロックスキューが大幅に低下す
る。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。
【0028】第1の発明図1は、第1の発明の一実施例
にかかるクロック分配回路の構成を示す図であり、図2
は図1の回路の動作原理を説明するための図である。
【0029】図1において、101,102はLSIチ
ップ上に、互いにほぼ隣接しかつ並行に配置された第
1,第2のクロック配線を示す。このクロック配線10
1,102は、第1,第2のクロックバッファ103,
104を介して外部クロック信号に接続されている。ま
た第1のクロックバッファ103は図示するように第1
のクロック配線101の一端に接続され、これを駆動す
る。
【0030】いまこの一端を配線の先端とすると、第2
のクロックバッファ104は、第2のクロック配線10
2の終端に接続されている。なお、図示のように、第
1,第2のクロックバッファ103,104は同じ外部
クロック入力信号を受け、同一タイミングのクロック信
号を出力する。
【0031】図1において、105は、第1,第2のク
ロック配線101,102の隣接する任意の位置に接続
されたクロック分岐回路を示す。各クロック分岐回路1
05の出力側には、例えばフリップフロップやラッチ等
の各種回路要素106が、回路設計に基づいて接続され
ている。
【0032】図2は、図1における第1,第2のクロッ
ク配線101,102を抽出し、説明の為に単純な形に
して示したものである。次にこの図2を参照しながら、
本発明のクロックスキューについて説明する。
【0033】図2に示す第1のクロック配線101(L
cw)、第2のクロック配線102(Lccw)におい
て、いま両配線の配線長をLとする。ここで配線上の任
意の位置をxとすると、位置xは、クロックバッファ1
03の出力端を0とし、Lcwに沿って遠ざかるにした
がって増加し、Lcwの終端ではx=Lとなるように定
義する。Lcw上の途中の各位置xも、同図に示すよう
に、L/4,L/2,3L/4と表すことができる。
【0034】一般にクロック配線は、分布RC有限長線
路と見なすことができる。この線路の位置xと時間tの
ステップ応答v(x,t)は、篠崎寿夫、式部幹著「過
渡現象と波形解析」1965年出版、によれば次式で表
される。
【0035】
【数1】
【0036】ここで、LSIにおける具体例を検討する
ため、クロック配線Lcw、Lccwを次のように想定
する。
【0037】アルミニューム主体の金属配線とする。配
線の抵抗率ρ=3×10-6Ωcm、配線幅w=0.8μ
m、配線厚さ0.3μm、配線長L=20mmこれらより、
次のパラメータを得ることができる。
【0038】 以上の条件における(1)式の計算結果を図3に示
す。ここで、Tdをクロック信号波形が電源電圧VDDの
50%に達するまでにかかる時間と定義する。
【0039】同図から、クロック配線Lcwのクロック
バッファ103に近いx=2mmではTd(2mm)=0.
1ns、終端に近いx=18mmではTd(18mm)=1.
9nsにも達していることが分かる。その時間差は1.8
nsもあり、フリップフロップのホールド時間よりも大き
い。一方、クロック配線LccwはLcwと反対回りな
ため、例えばクロック配線Lccwの位置x=2mmでの
クロック信号は、Lcwの位置x=18mmのそれと同じ
である。
【0040】そこで、これら2つのクロック信号を、ク
ロック分岐回路105によって混合する。以下に、この
クロック分岐回路105について、図4を用いて説明す
る。
【0041】クロック分岐回路105は、第1のクロッ
ク信号と第2のクロック信号の中間電圧を分圧抵抗40
1,402によって求め、Nチャンネルトランジスタ4
03とPチャンネルトランジスタ404からなるCMO
Sインバータに入力し、反転整形した出力Vckを第3
のクロック信号として得る回路である。
【0042】図5は、図4の回路の動作を説明するため
の図であって、遅れの小さい信号(Td=t1)と、遅
れの大きい信号(Td=t2)を配線Lcw,Lccw
に入力した例を示す。
【0043】図5(a),(b)は各入力信号の電圧波
形VLcw (x),VLccw(x)を示し、図5(c)はC
MOSインバータのゲート電圧波形VG を示す。このゲ
ート電圧VG は、電圧VLcw (x)とVLccw(x)の中
間電圧となるので、Td=t3(t1<t3かつt3<
t2)の信号を生じる。すなわち信号の遅れも2つの入
力信号のほぼ中間になる。CMOSインバータ出力に
は、これを反転、整形した第3のクロック信号Vckが
出力される。
【0044】図5(d)は、このVck信号の波形を示
し、t4はこの時の信号の遅れである。
【0045】ここで、クロック分岐回路105におけ
る、VLcw (x)とVLccw(x)との混合比をW1
(x)及びW2(x)とすると、ΔVG =A{W1
(x)×ΔVLcw (x)+W2(x)×ΔVLccw
(x)}と表わせる。なお、W1(x)+W2(x)=
1、W1(x)はxの増加に対して一定または単調増加
関数、W2(x)は逆に単調減少関数である。また、A
は定数、Δは変動分である。
【0046】このように混合比を可変できるクロック分
岐回路105を、図2で示したLcwとLccwの任意
の位置に接続したときの、CMOSインバータのゲート
電圧VG を図6に示す。また、位置xと混合比との関係
を図7に示す。図7から分かるように、W1(x)はx
の増加に対して単調増加であり、W2(x)は逆に単調
減少である。
【0047】図6において、VG (10mm)はx=10
mmにおける電圧値である。x=10mmは中間点のため、
LcwとLccwの波形は等しくなる。このため、x=
10mmでの混合比を、図7に示すように、W1(10m
m)=W2(10mm)=0.5とする。
【0048】また、VG (2mm)はx=2mmにおける電
圧値である。x=2mmでのLcwの波形は、クロックバ
ッファ103から2mmしか離れていないため遅れが小さ
いが、Lccwの波形は、クロックバッファ104から
18mmも離れているため遅れが大きい。そこで、これら
2つのクロック信号に対する混合比を、W1(2mm)=
0.335、W2(2mm)=0.665としてVG (2
mm)を得ている。
【0049】x=18mmでは、Lcwの波形とLccw
の波形との遅れ方が、x=2mmでのそれとは逆になる。
このため、W1(18mm)=0.665、W2(18m
m)=0.335と設定することにより、VG(18mm)
が得られる。同様に、VG (6mm)とVG (14mm)
を、最適な混合比を設定することによって得ている。
【0050】図6から分かるように、クロック分岐回路
105に接続される各種ゲート回路の閾値Vth(通常
0.4〜0.6×VDD程度)では、位置xにかかわら
ず、Td(x)を約1.2ns一定にすることができる。
これにより、クロック分岐回路105から出力される信
号Vckのスキューをゼロにでき、スキューのないクロ
ック信号をLSI内部に供給できる。
【0051】このようにTd(x)を約1.2ns一定に
してLSI設計に適用するには、各クロック分岐回路1
05の混合比W1(x)、W2(x)を、位置xに応じ
て設定する必要がある。
【0052】そこで、クロックスキューが許容範囲内で
あれば良いことに着目し、混合比W1(x)、W2
(x)を位置xにかかわらず一定にすることも考えられ
る。
【0053】図8は、W1(x)=W2(x)=0.5
に一定させたときのクロック波形を示したものである。
これによるクロックスキューは、Td(2mm)=Td
(18mm)=0.8ns、Td(10mm)=1.2nsとな
り、最大0.4nsである。これは、図3における時間差
1.8nsに比べて1/4以下のスキューであり、設計条
件によっては十分許容範囲内に入る。
【0054】このように混合比を一定にすれば、クロッ
ク分岐回路105が1種類でよく、配置処理が簡単にな
る。
【0055】なお、クロック配線の形状は、図1に示す
ものであっても、また図2に示すものであってもよく、
その配置形状には捕われない。この形状は基本的には、
図9に示すように互いに隣接し、かつ並行に配置された
2本のクロック配線601と602からなる。この各ク
ロック配線601,602は、同一のクロック信号で、
しかも互いに逆方向から駆動されることを特徴としてい
る。
【0056】第2の発明 第1の発明では、例えば、図10のようにGND配線が
第1のクロック配線101のすぐ近くに並行して配置さ
れている(BB´近傍)と、GND配線と第1のクロッ
ク配線101(Lcw)とのカップリングのため、第1
のクロック配線101の配線容量が増える。一方、GN
D配線から遠い第2のクロック配線102(Lccw)
の容量はほとんど増えない。
【0057】つまり、第1のクロック配線101の容量
が第2のクロック配線102の容量より大きくなるた
め、クロック信号の遅れが所望値からずれ、クロック分
岐回路105の出力にスキューが生じる恐れがある。ま
た、クロック配線と基板間の絶縁膜厚が第1のクロック
配線101と第2のそれの間で異なるため、配線容量が
アンバランスになりクロックスキューが生じる可能性も
ある。
【0058】そこで、このような他の配線の影響や絶縁
膜厚の不均一性によるスキューの発生を防ぐための第2
の発明を、以下に説明する。
【0059】図11は、第2の発明の実施例の構成を示
す図である。
【0060】第1のクロック配線101(Lcw)と第
2のクロック配線102(Lccw)は、互いに逆方向
からクロックバッファ103,104で駆動されてい
る。LcwとLccwは、所望の間隔で互いに交差して
設置されている。同図中AA´の拡大断面図を図12、
配線容量の比較を図13に示す。Lcwの容量は、基板
間容量C2とGND配線とのカップリング容量C1の合
計であり、Lccwの容量は、基板間容量C4とGND
配線とのカップリング容量C3の合計である。
【0061】区間1ではLcwのすぐ隣側にGND配線
が走っているため、Lcwとの間のカップリング容量C
1は、Lccwのそれ(C3)に比べて大きくなる。反
対に、区間2ではLccwがGND配線により近いた
め、C3>C1になる。クロック配線全長に渡って区間
1と区間2を等しい長さで設ければ、Lcwの容量とL
ccwの容量は平均化されてほぼ等しくなる。これによ
りクロック配線上の各点での遅れは所望の値となり、ク
ロック分岐回路105の出力のクロックスキューを防ぐ
ことができる。
【0062】第2の発明が効果を示す別の例を図14に
示す。同図に示すようにクロック配線下の絶縁膜厚が均
一でなく、紙面に向かって右側へ行くほど厚くなってい
る。このような膜厚不均一の傾向はLSI製造プロセス
ではよく現れる。区間1では膜厚t1<t2ゆえC5>
C6、反対に区間2では、膜厚t1>t2ゆえC5<C
6となる(図15参照)。
【0063】クロック配線全長に渡って区間1と区間2
を等しい長さで設ければ、Lcwの容量とLccwの容
量は平均化されてほぼ等しくなる。これによりクロック
配線上の各点での遅れは所望の値となり、クロック分岐
回路の出力のクロックスキューを防ぐことができる。
【0064】図16は、第2の発明に加え、さらに第1
と第2のクロック配線容量を精密にマッチングさせる構
造を示す断面図である。この構造は、特に低いクロック
スキューや高速クロックが要求される時に適している。
【0065】クロック配線の下に、一定電圧が印加され
る第3の配線となるGND電位のプレートを敷くこと
で、クロック配線容量C7,C8がGNDプレートとの
垂直距離でほぼ決まり、近くの他の配線や基板の影響を
受にくくなる。クロック配線を互いに交差させること
で、さらに絶縁膜厚の不均一性による配線容量を平均化
している。GNDプレートは、もちろん電源配線の一部
として使用でき、安定な一定電位でありさえすればVD
Dでも、他の電圧でもよい。またクロック配線の上に被
るかたちでこのようなプレートを設けても同様の効果が
得られる。
【0066】なお、この一定電位が印加される第3の配
線は、第2の発明だけでなく、第1の発明による第1,
第2のクロック配線下あるいは配線上に設けることも可
能である。また、第2の発明による第1,第2のクロッ
ク配線間に接続されるクロック分岐回路が、各クロック
配線信号を所望の比率あるいは一定の比率によって混合
してバッファすることは勿論である。
【0067】以上述べた第1,第2の発明のクロック分
配回路は、特にゲートアレイ、スタンダードセルで代表
されるASIC(Application Specific IC )に好適で
ある。ASICは、短い設計期間が要求されるため、設
計過程を極力自動化し、LSI設計技術者の介入を避け
る必要がある。しかし従来のクロックツリー方式の分配
回路では、クロック支線バッファが駆動する負荷、配線
長のバランス等、LSI設計技術者によるチェック、調
整を必要とする場合があった。
【0068】これらの発明の方式では、クロック分岐回
路をクロック幹線のどこに接続しても、クロックスキュ
ーは従来より小さくできる。そのためクロック分配回路
の配置を自動配置配線プログラムに任せられ、ミスを減
らして設計効率を向上できる。
【0069】また、配線Lcw、Lccwに直接接続で
きるクロック分岐回路を内蔵したフリップフロップ、ラ
ッチ等をライブラリに準備してもよい。この場合、クロ
ック分岐回路105は不要であり、自動配置配線プログ
ラムも使用できる。
【0070】さらに、配線LcwとLccwは、それぞ
れ配線の持つ容量と抵抗を同じにするために、なるべく
近接し、かつ並行するようにレイアウトする必要があ
る。これは配線幅を可変できる機能を持つ最近の自動配
線プログラムを利用して次のように行う。
【0071】クロック配線幅をW、クロック配線間隔を
Sとすると、初めにクロック配線を、2W+Sの幅を持
つ1本の配線として自動配線を行い、後処理で2本のク
ロック配線に置き換える。こうすれば、2本のクロック
配線は並行するから、容量、抵抗はほとんど同じにでき
る。また、ペア配線機能を持つ自動配線プログラムを利
用しても、同様の結果が得られる。
【0072】従来の配線方式に比べると、これらの発明
のクロック配線ではハードウエアの増加として、クロッ
クバッファが1つ、クロック配線が1本、クロック分岐
回路がいくつか増加するが、これらはLSI全体からみ
ればほとんど問題とならない。反対に、クロックスキュ
ーを従来のものに比べて充分低減できるので、経済的に
大きな効果が得られる。
【0073】
【発明の効果】以上、説明したように、第1の発明によ
れば、クロックスキューを従来の回路に比べて大幅に低
減することができる。また、第2の発明によれば、クロ
ック配線以外の配線の影響や絶縁膜厚の不均一性による
クロックスキューの発生を防ぐことができる。
【0074】これにより、LSI回路の自動設計にあた
って設計上の制約が解除され、自動配置配線設計の作業
効率が向上する。さらに、これらの発明を実行する上で
のハードウエアの増加も作業効率の向上に伴う経済性に
比べて無視しうる程度であるため、充分に経済的であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の一実施例にかかるクロック分配回
路の構成図である。
【図2】図1で示したクロック配線の一部を抽出した配
線図である。
【図3】本発明における分布RC有限長線路のステップ
応答を表すグラフである。
【図4】図1で示したクロック分岐回路の一実施例を示
す回路図である。
【図5】図4で示したクロック分岐回路の動作説明のた
めの波形図である。
【図6】クロック信号を混合した際のクロック分岐回路
のゲート電圧VG を表すグラフである。
【図7】クロック分岐回路が接続される位置と混合比と
の関係を表すグラフである。
【図8】混合比を一定にしたときのクロックスキューを
示すクロック波形図である。
【図9】第1の発明の特徴を簡略説明するための構成図
である。
【図10】第1の発明の欠点を説明するための回路図で
ある。
【図11】第2の発明のクロック分配回路の構成図であ
る。
【図12】図11のAA´部分の断面拡大図である。
【図13】図12で示した配線容量の比較表である。
【図14】絶縁膜厚が不均一であるときの図11のAA
´部分の断面拡大図である。
【図15】図14で示した配線容量の比較表である。
【図16】第1,第2のクロック配線の下にGNDプレ
ートを設けた場合の断面拡大図である。
【図17】従来のクロック分配回路を示す構成図であ
る。
【図18】図7で示した回路の一部分の詳細を示す回路
図である。
【図19】図17,18で示した回路のクロックスキュ
ーが小さい場合の動作波形図である。
【図20】図19に対し、クロックが遅れた場合の動作
波形図である。
【図21】図17以外の従来のクロック分配回路を示す
構成図である。
【符号の説明】
102,103,601,602 クロック配線 103,104,701 クロックバッファ 105 クロック分岐回路 106 フリップフロップまたはラッチ 401,402 分圧抵抗 403 Nチャンネルトランジスタ 404 Pチャンネルトランジスタ C1〜C8 配線容量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−41918(JP,A) 特開 昭62−217632(JP,A) 特開 昭62−169462(JP,A) 特開 平1−189137(JP,A) 特開 昭64−57736(JP,A) 特開 平1−238036(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/82 G06F 17/50 H01L 21/822 H01L 27/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体チップ上に隣接して並行に配置さ
    れた第1,第2のクロック配線と、前記第1のクロック
    配線の一端を駆動する第1のクロックバッファと、前記
    第1のクロックバッファと同一入力信号を受け、かつ前
    記第1のクロック配線の一端とは反対側の端部に隣接す
    る前記第2のクロック配線の一端を駆動する第2のクロ
    ックバッファと、前記第1,第2のクロック配線の隣接
    する任意の位置で両配線間に接続される少なくとも1個
    のクロック分岐回路とを具備し、前記クロック分岐回路
    によって、前記第1のクロック配線信号と前記第2のク
    ロック配線信号とを、所望の比率によって混合してバッ
    ファされたクロック信号を出力するようにしたことを特
    徴とするクロック分配回路。
  2. 【請求項2】 半導体チップ上に隣接して平行に配置さ
    れ、かつ所望の間隔で互いに交差されることにより、略
    等しい静電容量を持つように設置された第1,第2のク
    ロック配線と、前記第1のクロック配線の一端を駆動す
    る第1のクロックバッファと、前記第1のクロックバッ
    ファと同一入力信号を受け、かつ前記第1のクロック配
    線の一端とは反対側の端部に隣接する前記第2のクロッ
    ク配線の一端を駆動する第2のクロックバッファと、前
    記第1,第2のクロック配線の隣接する任意の位置で両
    配線間に接続される少なくとも1個のクロック分岐回路
    とを具備し、前記クロック分岐回路によって、前記第1
    のクロック配線信号と前記第2のクロック配線信号と
    を、所望の比率によって混合してバッファされたクロッ
    ク信号を出力するようにしたことを特徴とするクロック
    分配回路。
  3. 【請求項3】 前記第1,第2のクロック配線は、一定
    電圧が印加される第3の配線上あるいは配線下に配置さ
    れたことを特徴とする請求項1および2記載のクロック
    分配回路。
  4. 【請求項4】 前記クロック分岐回路によって、前記第
    1のクロック配線信号と前記第2のクロック配線信号と
    を、前記第1,第2のクロック配線の隣接する任意の位
    置にかかわらず一定の比率によって混合してバッファさ
    れたクロック信号を出力するようにしたことを特徴とす
    る請求項3記載のクロック分配回路。
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